JP3990121B2 - ボア内表面の溝加工方法 - Google Patents

ボア内表面の溝加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンシリンダブロックのボア内表面に潤滑油を保持するための微細な溝を形成するボア内表面の溝加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークとしての例えばシリンダブロックには、当該ワークを実際に使用するときに要求される条件として、ピストンの焼き付きを防止すること、という条件がある。この条件に適合するため、シリンダブロックのボア内表面には、油溜まりの窪みが形成されている。
【0003】
油溜まりを形成する加工法として、ホーニング砥石により微小な網目状の油溜まりを形成するホーニング加工が知られているが、ホーニング砥石を回転および昇降させながらボア内表面の全領域を加工するため、潤滑油を積極的に保持させる必要がある一部の領域の窪みのみを深く形成することは難しい。
【0004】
そこで、ボア内表面のうち潤滑油を積極的に保持させる必要がある一部の領域にレーザ光を照射し、当該領域に油溜まりの窪みを形成するようにしたレーザ加工も提案されている。レーザ光による溝加工方法によれば、所望形状の溝を必要な領域にだけ形成することができる。レーザ光による溝加工方法は,例えば、特開平7−40068号公報に示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ピストンの焼き付きを防止する観点からすれば、油溜まりの窪みの深さを大きくして潤滑油を保持する機能を高める方がよいが、窪みの深さが必要以上に大きいと潤滑油の消費量が増えてしまう。また、窪みの形状に応じて保持される潤滑油の量が違ってくるため、窪みの形状は、ピストンとの間の摩擦係数に影響を与え、エンジンの動力性能に大きな影響を与える。
【0006】
したがって、レーザ加工に際しては、潤滑油の消費量の低減を図りつつ、焼き付きの防止と、動力性能の向上とを図り得るように、油溜まりの窪みを適正な形状に形成する必要がある。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたものであり、エンジンシリンダブロックを実際に使用するときに要求される条件に適合した適正な形状の溝をボア内表面に形成し得るボア内表面の溝加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0009】
(1)エンジンシリンダブロックのボア内表面に潤滑油を保持するための微細な連続溝を形成するボア内表面の溝加工方法において、
前記ボア内表面にレーザ光を照射し、連続した連続溝と、当該連続溝の周囲で前記ボア内表面から盛り上がる盛り上がり部とを形成するに際して、前記ボア内表面を基準とした深さが前記盛り上がり部の前記ボア内表面を基準とした高さ以上である連続溝を形成する条件にて溝加工を行う工程と、
形成された連続溝にレーザ光を再度照射し、先の工程により生じた前記盛り上がり部の高さよりも小さい高さの盛り上がり部が生じる連続溝を形成する条件にて溝加工を行う工程と、
レーザ光により前記ボア内表面に溝加工を行った後、ホーニング加工により前記盛り上がり部を除去する工程と、を有し、
レーザ光による前記ボア内表面への溝加工は、複数段階のいずれも、レーザ光を所定のパルス周波数で照射しつつ所定の移動速度で移動させることにより、点状の窪みが前記移動方向に沿って連続してなる微細な連続溝を形成するものであり、かつ、「移動速度/パルス周波数」により定義され、パルス間の距離として表されるバイトサイズを5.6μm〜28μmに設定して行われ、
レーザ光の平均出力は、10W〜50Wの範囲であり、
さらに、前記バイトサイズの範囲のうち1回目のバイトサイズよりも大きいバイトサイズに設定して、1回目の溝加工により形成された前記連続溝にレーザ光を再度照射することによって、1回目の溝加工により生じた盛り上がり部の高さを減少させてなるボア内表面の溝加工方法。
【0013】
)レーザ光を再度照射する際のバイトサイズは、28μm近傍であることを特徴とする上記()に記載のボア内表面の溝加工方法。
【0016】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0017】
本発明によれば、複数段階のレーザ加工を行うことにより、盛り上がり部の高さを減少させつつ、深い溝を形成できる。その後、ホーニング加工により盛り上がり部を除去しても、ワーク表面には所定の深さの溝が残る。したがって、潤滑油を保持する機能が高く、油溜りの窪みとして好適な溝をボア内表面に形成することができる。しかも、盛り上がり部の高さが減少することにより、その後のホーニング加工による除去量が減少するため、ホーニング加工が容易になる。したがって、ホーニング加工に要する時間が短くなるため、生産効率の向上にも寄与し得る。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、レーザ加工装置10からボア内表面31にレーザ光を照射して微細な溝を形成している状況を示す図、図2は、ボア内表面31のうちレーザ加工が施される領域を示す斜視図である。なお、図2おいて、レーザ加工が施される領域は二点鎖線にて表される。
【0024】
図1に示すように、レーザ加工装置10は、レーザ発振器11と、照射ミラー12と、集光レンズ13が内蔵された集光部14と、集光部14の図中下端に設けられた伝達ミラー15と、集光部14を軸線回りに回転および軸線方向に昇降駆動する駆動装置16と、を有する。レーザ発振器11から出力されたレーザ光20は、照射ミラー12により集光部14に向けて折り返され、集光レンズ13で集光され、伝達ミラー15により折り返され、エンジンシリンダブロック30のボア内表面31(ワーク表面に相当する)に照射される。ボア内表面31にレーザ光20を所定パルス周波数で照射しつつ集光部14を所定速度で移動させることにより、移動方向に連続した微細な溝がボア内表面31に形成される。
【0025】
図2に示すように、レーザ光20による溝加工は、シリンダヘッド側開口端から所定寸法の領域に対して施される。この領域は、ピストンの上死点近傍に相当するため熱衝撃が大きく、焼き付きをもっとも防止しなければならない領域である。
【0026】
レーザ光20による溝加工を行うと、加熱による膨張や蒸発によって、溝の周囲には、盛り上がり部(「デブリ」と称される)が必然的に形成されてしまう。このような盛り上がり部がボア内表面31に残ったままでは、ピストンの円滑な摺動が阻害される。そこで、レーザ加工の後に、ボア内表面31に形成された盛り上がり部を、ホーニング加工などにより完全に除去し、ボア内表面31を平滑に形成する。このホーニング加工は、従来の公知の装置および方法によって実施される。
【0027】
これにより、ボア内表面31の所定領域に油溜りの窪みを形成する一連の加工が完了する。
【0028】
次に、レーザ光20による溝加工におけるレーザ加工条件について考察する。
【0029】
(レーザ加工条件の仕様1)
図3は、レーザ加工条件の仕様1におけるレーザ光20の照射の繰り返し数と加工形状との関係を示す図である。加工形状は、図6(A)に示すように、符号aで示される溝32の溝幅(μm)、符号bで示されるボア内表面31を基準とした溝32の深さ(μm)および符号cで示されるボア内表面31を基準とした盛り上がり部33の高さ(μm)を測定した。図3中の三角形は溝幅(μm)の測定値を示し、丸は溝32の深さ(μm)の測定値を示し、四角は盛り上がり部33の高さ(μm)の測定値を、それぞれ示している。
【0030】
レーザ加工条件の仕様1は、平均出力が50W、加工速度が15m/minである。この条件で、レーザ光20の照射の繰り返し数(パルス周波数)を1kHzから90kHzまで変化させた。
【0031】
繰り返し数を1kHから90kHzまで変化させた場合の加工形状は、図示するように、不連続つまり点状に窪みが形成されるパターン▲1▼、表面が連続した窪みとなるパターン▲2▼、窪みにならず表面に盛り上がりが出るパターン▲3▼、表面が連続した浅い窪みとなるパターン▲4▼と変化する。
【0032】
パターン▲3▼では、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さcよりも小さい(b<c)。このため、レーザ加工後に行うホーニング加工によって盛り上がり部33を除去すると、潤滑油を保持する機能が著しく低い溝32となり、油溜りの窪みとして適さないものとなる。
【0033】
一方、パターン▲2▼では、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さc以上である(b≧c)。このため、レーザ加工後に盛り上がり部33を除去しても、潤滑油を保持する機能が高い溝32となり、油溜りの窪みとして好適なものとなる。つまり、ワークとしてのシリンダボアを実際に使用するときに要求される条件に適合した適正な形状の溝32となる。
【0034】
したがって、パターン▲2▼の周波数帯域である約9kHzから約45kHzにおいて加工を行うことにより、連続した溝32と、当該溝32の周囲でボア内表面31から盛り上がる盛り上がり部33とが形成され、さらに、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbが、盛り上がり部33の高さc以上の寸法であり、潤滑油を保持する機能が高い、焼き付き防止の油溜りの窪みを形成できることがわかった。
【0035】
(レーザ加工条件の仕様2)
図4は、レーザ加工条件の仕様2におけるレーザ光20の照射の繰り返し数と加工形状との関係を示す図である。
【0036】
レーザ加工条件の仕様2は、平均出力が10W、加工速度が15m/minである。この条件で、繰り返し数を1kHから90kHzまで変化させた。
【0037】
繰り返し数を1kHから90kHzまで変化させた場合の加工形状は、図示するように、不連続つまり点状に窪みが形成されるパターン▲1▼、表面が連続した窪みとなるパターン▲2▼、窪みにならず表面に盛り上がりが出るパターン▲3▼と変化する。
【0038】
仕様1と同様に、パターン▲2▼では、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さc以上である(b≧c)。パターン▲3▼では、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さcよりも小さい(b<c)。
【0039】
したがって、パターン▲2▼の周波数帯域である約9kHzから約40kHzにおいて加工を行うことにより、連続した溝32と、当該溝32の周囲でボア内表面31から盛り上がる盛り上がり部33とが形成され、さらに、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbが、盛り上がり部33の高さc以上の寸法であり、潤滑油を保持する機能が高い、焼き付き防止の油溜りの窪みを形成できることがわかった。
【0040】
(レーザ加工条件の仕様3)
図5は、レーザ加工条件の仕様3におけるレーザ光20の照射の繰り返し数と加工形状との関係を示す図である。
【0041】
レーザ加工条件の仕様3は、平均出力が10W、加工速度が5m/minである。この条件で、繰り返し数を1kHから90kHzまで変化させた。
【0042】
繰り返し数を1kHから90kHzまで変化させた場合の加工形状は、図示するように、不連続つまり点状に窪みが形成されるパターン▲1▼、表面が連続した窪みとなるパターン▲2▼、窪みにならず表面に盛り上がりが出るパターン▲3▼と変化する。
【0043】
仕様1と同様に、パターン▲2▼では、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さc以上である(b≧c)。パターン▲3▼では、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さcよりも小さい(b<c)。また、この仕様3では、溝32が形成されないこともある(b=0)。
【0044】
したがって、パターン▲2▼の周波数帯域である約3kHzから約12kHzにおいて加工を行うことにより、連続した溝32と、当該溝32の周囲でボア内表面31から盛り上がる盛り上がり部33とが形成され、さらに、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbが、盛り上がり部33の高さc以上の寸法であり、潤滑油を保持する機能が高い、焼き付き防止の油溜りの窪みを形成できることがわかった。
【0045】
(バイトサイズに関する考察)
図6(B)に示すように、パルス間の距離で表されるバイトサイズS(μm)は、加工速度と繰り返し数とに基づいて、「加工速度/パルス周波数」により定義される。レーザ加工条件の仕様1と仕様2とは、加工速度が同じで、レーザ平均出力が異なっている。また、レーザ加工条件の仕様2と仕様3とは、レーザ平均出力が同じで、加工速度が異なっている。
【0046】
図3〜図5には、上記の定義より求めたバイトサイズSがあわせて示される。例えば、図3を参照して、平面視で連続溝が形成されなかったパターン▲1▼と連続溝が形成されたパターン▲2▼との境界である繰り返し数9kHzの場合には、
15[m/min]/60[sec]/(9×1000)[Hz]
より、バイトサイズSは、約28μmとなる。また、パターン▲2▼とパターン▲3▼との境界である繰り返し数45kHzの場合には、
15[m/min]/60[sec]/(45×1000)[Hz]
より、バイトサイズSは、約5.6μmとなる。
【0047】
レーザ加工条件の仕様1〜仕様3において、連続溝であり、かつ、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbが盛り上がり部33の高さc以上(b≧c)であるパターン▲2▼の境界におけるバイトサイズSの下限値および上限値は、
Figure 0003990121
である。
【0048】
ここに、バイトサイズSの下限値に関しては、各仕様でばらつきがあるが、レーザ平均出力が同じであれば同程度になるはずであり、仕様2と仕様3との間のズレは、計測誤差および図上にプロットした位置のズレによるもので、大きな違いはない。
【0049】
また、仕様1におけるレーザ平均出力(50W)は、仕様2および仕様3におけるレーザ平均出力(10W)の500%であり、エネルギー量が相当異なるものの、パターン特性はほぼ同じであり、加工速度が同じ仕様1と仕様2との間では、バイトサイズSの下限値のズレは、仕様2に対して11%程度にすぎず、エネルギー量の大きな違い(500%)に比べればきわめて小さく、大きな違いはないと考えられる。
【0050】
これより、レーザ平均出力が10W〜50Wの範囲では、加工速度が変化した場合でも、バイトサイズSの下限値5.6μmから上限値28μmの範囲となるようにパルス周波数を設定することにより、パターン▲2▼の溝形状、すなわち、連続溝であり、かつ、ボア内表面31を基準とした溝32の深さbが盛り上がり部33の高さc以上(b≧c)である焼き付き防止の油溜りの窪みを形成できることがわかった。
【0051】
上記のバイトサイズSの範囲5.6μm〜28μmのうち、8μm〜12μmの範囲が溝32の深さbが深いので、潤滑油を保持する機能が高い油溜りの窪みを形成する場合に適用してより好適なバイトサイズSとなる。
【0052】
加工速度が5m/min(仕様3)および15m/min(仕様1および仕様2)の場合を実験したが、その理由は次のとおりである。つまり、加工速度が5m/minよりも小さいと、従来の加工時間に対して遅くなるので、生産効率(単位時間当たりの加工数)がきわめて低くなる。また、加工速度が15m/minよりも大きいと、パルス周波数をより大きくする必要があるが、パルス周波数が大きすぎると、レーザ加工装置10の消耗が激しく、装置寿命が短くなる。以上のことから、実際の生産時に採用し得る加工速度の下限値および上限値を考慮して、加工速度が5m/min(仕様3)および15m/min(仕様1および仕様2)の場合について実験を行った。
【0053】
さらに、レーザ平均出力が50W(仕様1)および10W(仕様2および仕様3)の場合を実験したが、その理由は次のとおりである。つまり、レーザ平均出力が10Wよりも小さいと、油溜りの窪みとして機能させるのに十分な深さの溝32を形成することができない。また、レーザ平均出力が50Wよりも大きいとき、例えば100Wのときには、レーザ光20の無効成分が大きくなり、使用できるのはせいぜい50W程度である。また、現状の生産時には、レーザ平均出力の範囲として10W〜50Wの範囲が、通常、使用されている。以上のことから、さらには省エネルギーについても考慮して、レーザ平均出力が50W(仕様1)および10W(仕様2および仕様3)の場合について実験を行った。
【0054】
上述したように、十分な油溜まりの機能を有する窪みが形成されるか否かは、「加工速度/パルス周波数」により定義されるバイトサイズSに基づいて判断することができ、加工速度を変更する場合でも、バイトサイズSが5.6μm〜28μmとなるパルス周波数帯域で加工することにより、試行錯誤を行うことなく容易に、レーザ光20による溝加工を実施ができる。
【0055】
第1の実施形態は、レーザ光20による溝加工を2回繰り返して行っている
【0056】
つまり、まず、前記バイトサイズの範囲(5.6μm〜28μm)のうちの所定のバイトサイズSに設定してレーザ加工し、ボア内表面31に、連続した溝32と、その周囲の盛り上がり部33とを形成する。ボア内表面31を基準とした溝32の深さbは、盛り上がり部33の高さc以上である。
【0057】
その後、前記バイトサイズの範囲(5.6μm〜28μm)のうち1回目のバイトサイズよりも大きいバイトサイズに設定して、1回目の加工により形成された溝32と同じ箇所にレーザ光を再度照射し、レーザ加工する。
【0058】
ここに、一回目のレーザ加工は、盛り上がり部33の高さが大きくても深い連続溝32を形成し得るバイトサイズS(パターン(2)の略中間に相当するサイズ)に設定して行う。二回目のレーザ加工は、盛り上がり部33の高さが小さく(連続溝32の深さも小さくなる)、かつ、連続溝32を加工可能なバイトサイズS(パターン(2)内でパターン(1)側に近い側に相当するサイズ)に設定して行う。レーザ光20を再度照射する際のバイトサイズSは、28μm近傍が好ましい。
【0059】
かかる2段階のレーザ加工を行うことにより、一回目のレーザ加工により生じた盛り上がり部33の高さが減少することがわかった。
【0060】
盛り上がり部33の高さが減少することにより、その後のホーニング加工による除去量が減少するため、ホーニング加工が容易になる。しかも、ホーニング加工に要する時間が短くなるため、生産効率の向上にも寄与し得る。
【0061】
なお、2段階以上のレーザ加工を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザ加工装置からボア内表面にレーザ光を照射して微細な溝を形成している状況を示す図である。
【図2】 ボア内表面のうちレーザ加工が施される領域を示す斜視図である。
【図3】 レーザ加工条件の仕様1におけるレーザ光の照射の繰り返し数と加工形状との関係を示す図である。
【図4】 レーザ加工条件の仕様2におけるレーザ光の照射の繰り返し数と加工形状との関係を示す図である。
【図5】 レーザ加工条件の仕様3におけるレーザ光の照射の繰り返し数と加工形状との関係を示す図である。
【図6】 図6(A)は、溝の加工形状を拡大して示す図、図6(B)は、「加工(移動)速度/パルス周波数」により定義されるバイトサイズの説明に供する図である。
【符号の説明】
10…レーザ加工装置
20…レーザ光
30…エンジンシリンダブロック
31…ボア内表
32…溝
33…盛り上がり部
b…溝の深さ
c…盛り上がり部の高さ
S…バイトサイズ

Claims (2)

  1. エンジンシリンダブロックのボア内表面に潤滑油を保持するための微細な連続溝を形成するボア内表面の溝加工方法において、
    前記ボア内表面にレーザ光を照射し、連続した連続溝と、当該連続溝の周囲で前記ボア内表面から盛り上がる盛り上がり部とを形成するに際して、前記ボア内表面を基準とした深さが前記盛り上がり部の前記ボア内表面を基準とした高さ以上である連続溝を形成する条件にて溝加工を行う工程と、
    形成された連続溝にレーザ光を再度照射し、先の工程により生じた前記盛り上がり部の高さよりも小さい高さの盛り上がり部が生じる連続溝を形成する条件にて溝加工を行う工程と、
    レーザ光により前記ボア内表面に溝加工を行った後、ホーニング加工により前記盛り上がり部を除去する工程と、を有し、
    レーザ光による前記ボア内表面への溝加工は、複数段階のいずれも、レーザ光を所定のパルス周波数で照射しつつ所定の移動速度で移動させることにより、点状の窪みが前記移動方向に沿って連続してなる微細な連続溝を形成するものであり、かつ、「移動速度/パルス周波数」により定義され、パルス間の距離として表されるバイトサイズを5.6μm〜28μmに設定して行われ、
    レーザ光の平均出力は、10W〜50Wの範囲であり、
    さらに、前記バイトサイズの範囲のうち1回目のバイトサイズよりも大きいバイトサイズに設定して、1回目の溝加工により形成された前記連続溝にレーザ光を再度照射することによって、1回目の溝加工により生じた盛り上がり部の高さを減少させてなるボア内表面の溝加工方法。
  2. レーザ光を再度照射する際のバイトサイズは、28μm近傍であることを特徴とする請求項1に記載のボア内表面の溝加工方法。
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