JP3987227B2 - 菓子類用小麦粉組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽さ、口溶け、しっとり感等の食感に優れるとともに、沈みがなく、ボリューム感、内相等の外観にも優れたビスケット等のクッキー類、スポンジケーキ等のケーキ類等の菓子類に用いる小麦粉組成物、低油脂含量でもしっとり感、口溶け感等の食感に優れるとともに、底上りがなく、ボリューム感等の外観にも優れたバターケーキを製造するための小麦粉組成物、及びそれらを含有したミックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
小麦粉を用いて得られる菓子類の代表例としては、クッキー、スポンジケーキ、ロールケーキ、バターケーキ等が挙げられる。このうちクッキー類は、サクサクとしていて軽く、口溶けの良好な食感が求められている。スポンジケーキ等のケーキ類はしっとりとして口溶けが良好な食感が求められている。また上記菓子類には、風味、食感を良好なものとするために多量の油脂が用いられているが、近年の健康志向の高まりから、油脂含量の多い菓子は敬遠される傾向にある。このため上記菓子類の中でも特に油脂含量の多いバターケーキについて、風味、食感を維持しつつ、油脂含量の少ないものが望まれている。さらに上記ケーキ類は、内相が丸目で膜が薄く、ボリューム感があり、かつ焼成時にケーキの中央部が窪んだり収縮する沈み、あるいは底の中心が浮き上がる底上がり等のない優れた外観が求められている。
【0003】
上記した優れた食感を得るために、例えば粒径が350μm以上のデュラム小麦セモリナを30重量%以上の割合で含有することを特徴とする菓子用穀類粉砕物(特開平9−187216号公報)が知られている。また強力粉を配合した菓子類は低油脂含量でもしっとり感が向上することが知られている。さらに沈みを防止するために、菓子類用小麦粉を長期間保存して熟成させる方法、焼成直後の生地に衝撃等を加える方法(特公昭51−15103号公報)、グルコノデルタラクトンと澱粉類を小麦粉に配合する方法(特公昭57−27692号公報)等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−187216号公報の技術は、過度の粘りがなく、歯切れがよく、軽い、良好な食感と風味を有する菓子類が得られ、また油脂含量を低減した場合でもかかる食感、風味を維持した菓子類を得ることができるという優れた特徴を有するが、しっとり感及びボリューム感の点では必ずしも十分ではなかった。また強力粉を配合すると、しっとり感は生じるが、底上がりが生じてしまうという問題があった。さらに長期熟成方法や、特公昭51−15103号公報、特公昭57−27692号公報の技術では、保存中の品質管理が困難で経済性が悪い、工場の生産ラインに組み込むのが困難である、沈み防止の効果が十分でない、あるいはボリューム感、内相、底上げ防止効果等が十分でない等の問題があった。
【0005】
このため、上記のような優れた食感、外観を具備するクッキー類、ケーキ類等の菓子類を得ることができる小麦粉組成物、低油脂含量でも優れた食感、外観を有するバターケーキ用小麦粉組成物、及びこれらの小麦粉組成物を含有するミックスが求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、強力粉と同程度に蛋白質含量が高いため、クッキー類やケーキ類等の菓子類の製造には適さないと考えられ、これまで硬質で弾力性のある食感が要求されるスパゲッティやマカロニ等の原料として、主にセモリナの形態で用いられてきたデュラム小麦粉に着目した。そして特定粒径に調整したデュラム小麦粉を特定量含有する小麦粉組成物を用いれば、上記のようなサクサクとして軽く、またはしっとりとしており、かつ口溶けが良好な優れた食感、沈みや底上がりがなく、ボリューム感、内相等が優れた外観を有するビスケット等のクッキー類、スポンジケーキ等のケーキ類等の菓子類が得られること、また油脂含量を低減してもしっとり感、口溶け感、ボリューム感等に優れ、かつ底上がりや沈みがなく、内相も優れたバターケーキが得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、粒径350μm以上の粒子が10重量%未満であるデュラム小麦粉2〜50重量%、及びデュラム小麦粉以外の小麦粉98〜50重量%からなるスポンジケーキ用、バターケーキ用又はカステラ用の小麦粉組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。本発明はまた、かかる小麦粉組成物を含有するスポンジケーキ用、バターケーキ用又はカステラ用のミックスを提供することにより、上記目的を達成したものである。なお、平均粒径とは、マイクロトラックFSA測定での50%累積パーセント径である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の菓子類用小麦粉に用いるデュラム小麦粉は、粒径が350μm以上の粒子が10重量%未満であることが必要であり、1重量%未満であることが好ましい。また150μm以下であることがより好ましく、20〜100μmであることが特に好ましい。粒径が350μm以上の粒子が10重量%未満であれば、食感、外観の優れた菓子類が得られるが、特に20〜100μmであれば、製造時の吸水量が適量で、生地が重くなりすぎたり軽くなりすぎることがなく、極めて優れた食感、外観の菓子類が得られる。デュラム小麦をかかる粒径とするには、例えばターボミル、ロールミル、ピンミル等を用いて粉砕すればよい。粉砕処理のみでは不十分な場合、分級処理してもよい。あるいは市販品を用いてもよい。ここでデュラム小麦とは、二粒系小麦に属し、アメリカノースダコタ州を中心として産出される小麦である。
【0009】
本発明の菓子類用小麦粉組成物に用いるデュラム小麦粉以外の小麦粉としては、例えば薄力粉、中力粉、強力粉等が挙げられる。あるいはこれらの混合物でもよい。これらは一等粉、準一等粉、二等粉、三等粉のいずれでもよく、またその粒径に特に制限はない。
【0010】
本発明の菓子類用小麦粉組成物中の、デュラム小麦粉の含有量は、2〜50重量%であることが必要であり、2〜40重量%であることが好ましく、10〜30重量%であることが特に好ましい。デュラム小麦粉以外の小麦粉の含有量は、98〜50重量%であることが必要であり、98〜60重量%であることが好ましく、90〜70重量%であることが特に好ましい。デュラム小麦粉の含有量が2〜50重量%であれば、種生地と粉類を合わせるとき、卵をホイップすることにより生成した気泡の破壊が少なく、外観、食感に優れた菓子類を得ることができる。本発明の菓子類用小麦粉組成物は、デュラム小麦粉及びその他の小麦粉を上記割合で混合、撹拌することにより得ることができる。
【0011】
本発明の菓子類用ミックスは、かかる菓子類用小麦粉組成物の他に、スポンジケーキ、ロールケーキ、カステラ、クッキー等の目的とする菓子の種類に応じて、大麦粉、ライ麦粉等の小麦粉以外の穀粉;コーンフラワー、ポテトフラワー等の澱粉類;食塩;砂糖等の糖類;脱脂粉乳、バター等の乳製品;油脂類;卵や卵製品;香辛料;乳化剤;活性グルテン等の蛋白強化剤;ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養強化剤;ガム類等の保水剤;保存剤等を1種または2種以上配合したものである。該ミックスは、保存性、取り扱い性等の観点から粉末状であることが好ましい。該菓子類用ミックスは、これらの原料を適宜混合、撹拌、乾燥等することにより得ることができる。
【0012】
本発明において菓子類には、クッキー、ビスケット、クラッカー等のクッキー類、スポンジケーキ、ロールケーキ、バターケーキ、カステラ、ホットケーキ、シュークリーム等のケーキ類が挙げられ、このうちスポンジケーキ、カステラ、ロールケーキ、バターケーキが好ましい。
【0013】
本発明の菓子類用小麦粉組成物または菓子類用ミックスを用いて、常法に従いクッキー類、ケーキ類等の菓子類を製造できる。
【0014】
本発明のバターケーキ用小麦粉組成物に用いる薄力粉は、一等粉、準一等粉、二等粉、三等粉のいずれでもよく、またその粒径に特に制限はない。
【0015】
本発明のバターケーキ用小麦粉組成物に用いるデュラム小麦粉は、平均粒径が100μm以下であることが必要であり、80μm以下であることが好ましい。また350μm以上の粒子が10重量%未満であることが必要であり、1重量%未満であることが好ましい。平均粒径が100μmより大きいか、または350μm以上の粒子が10重量%以上であると、口溶け感及びボリューム感が悪くなる。デュラム小麦をかかる粒径とするには、例えばターボミル、ロールミル、ピンミル等を用いて粉砕すればよい。粉砕処理のみでは平均粒径が100μm以下とならない場合、分級処理してもよい。あるいは市販品を用いてもよい。
【0016】
本発明のバターケーキ用小麦粉組成物は、上記薄力粉を50〜98重量%、好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは70〜90重量%、及び上記デュラム小麦粉を50〜2重量%、好ましくは50〜5重量%、特に好ましくは30〜10重量%配合することにより得ることができる。薄力粉含量が98重量%より多いとしっとり感、口溶け感が悪く、50重量%未満では口溶け感、ボリューム感が悪くなり、また底上がり現象が生じる。本発明のバターケーキ用小麦粉組成物は、かかるデュラム小麦粉及び薄力粉を上記割合で混合、攪拌することにより得ることができる。
【0017】
本発明のバターケーキ用ミックスは、上記バターケーキ用小麦粉組成物に、バターケーキの製造に一般的に用いられる食塩;ベーキングパウダー;砂糖等の糖類;脱脂粉乳、バター等の乳製品;ショートニング等の油脂類;卵や卵製品;乳化剤;活性グルテン等の蛋白強化剤;ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の栄養強化剤;保存剤等の1種または2種以上を配合したものであり、保存性、取り扱い性等の観点から粉末状であることが好ましい。該バターケーキ用ミックスは、これらの原料を適宜混合、撹拌、乾燥等することにより得ることができる。
【0018】
バターケーキは通常小麦粉と油脂(バター)とをほぼ等量配合したものが基本であるが、本発明の小麦粉組成物を用いれば、油脂を小麦粉に対して約25%以上減少しても、しっとり感、口溶け感、ボリューム感に優れ、かつ底上がり現象のないものが得られる。
【0019】
本発明のバターケーキ用小麦粉組成物を用い、シュガーバッター法、フラワーバッター法またはオールインミックス法等任意の方法によりバターケーキを製造することができる。
【0020】
【実施例】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0021】
実施例1〜5及び比較例1〜4
(1)デュラム粉(日清製粉株式会社製「レオーネTE」)を42メッシュでスルーさせたもの(350μm未満)及び菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレット」)を表1に示す割合で配合して菓子類用小麦粉組成物をそれぞれ調製した。
(2)上白糖(日新製糖株式会社製造)を20メッシュでスルーさせた後、この上白糖100gに全卵100gを加えて、ホイッパーで十分に攪拌した。次いでこれを5コートミキサー(三英製作所製)に入れ、ホイッパーを用いて種比重が約0.28になるまで高速で十分に泡立てた。なお、種比重は、予め重量を測定した100ml容の計量カップに、種生地を隙間のないように盛りつけ、縁から盛り上がった上部の部分をパレットで擦り切って重量を測定し、(B−A)/100(ただし、A=計量カップの重量(g)、B=種生地を盛りつけた後の計量カップの重量(g))により算出した。
(3)上記(2)で得られた種生地240gをボールに計量し、上記(1)で調製した各菓子類用小麦粉組成物を20メッシュでスルーさせたもの100gを加え、杓文字で生地比重が0.46±0.01となるように混ぜ合わせてスポンジケーキ生地を調製した。なお、生地の比重の測定は、前記(2)の方法にしたがった。
(4)上記(3)で得られたスポンジケーキ生地を、底と内周部に型紙を敷いたケーキ型(内径15.2cm、高さ5.5cm)に移し、190℃で30分間焼成した。焼成後、ケーキ型に衝撃を与えないように窯から静かに取り出して、円周部の型紙を持ち、スポンジケーキをケーキ型から静かに取り出して室温に放置し放冷した。
【0022】
試験例1
1日後に、スポンジケーキから円周部(側壁部)の型紙を剥ぎ取り、菜種種子置換法で体積を測定した。次いで、スライサーを用いてケーキの円周部(側壁部)から内側に、垂直方向に27mm厚で2回切り出した後、15mm厚で1回切り出し、該15mm厚で切り出した部分について、その中央部の高さと両端部の高さを定規で測定した。次いで、該15mm厚で切り出した部分の内相及び食感を以下の評価基準にしたがって5名のパネラーに評価してもらった。その平均値、体積及び高さを表1に示す。
◎スポンジケーキの評価基準
内相
5点:丸目、均一で膜が薄く、極めて良好である。
4点:丸目でほぼ均一で、膜がかなり薄く、ほぼ良好である。
3点:丸目だがやや不均一である。
2点:横目で不均一であり、底部にやや目詰まりがあり、不良である。
1点:横目で不均一であり、膜が厚く目詰まりがあり、極めて不良である。
食感
5点:ソフトで弾力があり、しっとりしていて口溶けが良く極めて良好である。
4点:ほぼソフトで弾力があり、しっとりしていて口溶けがかなり良く良好である。
3点:ややソフトで、やや弾力感があるが、やや乾いている。
2点:かなり重く硬く、口溶けが悪く不良である。
1点:重く、粘着質で団子状であり、極めて不良である。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1〜5では、体積が大きく、中央に窪みがなく、しかも内相及び食感にも優れるスポンジケーキが得られた。このうち実施例2〜4が特に優れていた。これに対し比較例1〜4では、体積が小さく、中央に窪みがあり、しかも内相及び食感が極めて劣るスポンジケーキしか得られなかった。
【0025】
実施例6〜8
(1)デュラム粉(日清製粉株式会社製「レオーネX」)をコーヒーミルで粉砕した後ダルトン篩(東京スクリーン(株)製)で3分間篩分けして、粒度分布が、100μm以上150μm以下(実施例6)、20μm以上100μm未満(実施例7)、及び20μm未満(実施例8)のデュラム粉を調製した。
(2)上記(1)で調製したデュラム粉20重量部に菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレット」)を80重量部配合して、実施例1に記載の方法にしたがってスポンジケーキを製造した。
【0026】
試験例2
上記(2)で得られた各スポンジケーキについて、試験例1と同様にして体積、高さを測定し、内相、食感を評価した。結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
実施例6〜8は、いずれも体積があり、沈みがなく、内相、食感にも非常に優れていたが、このうち実施例7が顕著に優れていた。
【0029】
実施例9〜13及び比較例5〜8
(1)デュラム粉(日清製粉株式会社製「レオーネTE」)を42メッシュでスルーさせたもの(350μm未満)及び菓子用小麦粉(日清製粉株式会社製「バイオレット」)を表3に示す割合で配合して菓子類用小麦粉組成物をそれぞれ調製した。
(2)20コートのミキサーボールに全卵900gを入れ、ホイッパーでほぐし、これに上白糖(日新製糖株式会社製造)810gを加えて攪拌し、27℃位に湯煎してから、ホイッパーを用いて種比重が0.46になるまで高速で泡立てた。
(3)蜂蜜(森永製菓株式会社製)90g、水飴(スドー株式会社製)135g、水90gを湯煎して30℃位まで温め、シロップにしてから前記の種に加え、高速で比重0.48になるまで攪拌した。
(4)菓子用小麦粉組成物450gを20メッシュでスルーさせた後、杓文字で生地比重が0.53となるように(滑らかになるまで)粉合わせした。
(5)前記の生地を20メッシュでスルーさせ、15分間室温でねかした。
(6)紙を敷いた木枠(横380mm、縦290mm、高さ70mm)に前記の生地約2,400gを流し込み、210℃で約60分間焼成した。
(7)窯出し後、サラダオイルを染み込ませた布を被せ反転し、木枠を外してから、再度カステラを反転し元に戻して一晩放冷した。
【0030】
試験例3
前記のカステラを包丁で2cmの厚さに切り、切り出した部分の内相及び食感を以下の評価基準にしたがって5名のパネラーに評価してもらった。その平均値及び底溜まりの有無を表3に示す。
◎カステラの評価基準
内相
5点:均一で膜が薄く、極めて良好である。
4点:ほぼ均一で、膜が薄く、ほぼ良好である。
3点:やや不均一である。
2点:不均一で荒れていて、底部にやや目詰まりがあり、不良である。
1点:不均一で荒れていて、膜が厚く目詰まりがあり、極めて不良である。
食感
5点:ソフトで弾力があり、しっとりしていて口溶けが良く極めて良好である。
4点:ほぼソフトで弾力があり、しっとりしていて口溶けがかなり良く良好である。
3点:ややソフトで、やや弾力感があるが、やや乾いている。
2点:かなり重く硬く、口溶けが悪く不良である。
1点:重く、粘着質で団子状であり、極めて不良である。
【0031】
【表3】
【0032】
実施例9〜13では、カステラの底溜まりがなく、比較例5と比べて食感が改善されていた。比較例6〜8は、底溜まりがあり、食感も好ましくなかった。
【0033】
参考例1〜3
デュラム小麦をターボミルを用いて粉砕し、平均粒径が100μmであるデュラム小麦粉(参考例1)、平均粒径が75μmであるデュラム小麦粉(参考例2)、及び平均粒径が50μmであるデュラム小麦粉(参考例3)を得た。これらのデュラム小麦粉はいずれも350μm以上の粒子は実質的に含まない。
【0034】
実施例14〜21及び比較例9〜12
表4に示す配合で各小麦粉を混合、撹拌し、バターケーキ用小麦粉組成物を得た。次いで表5に示す配合で各原料を混合、撹拌し、バターケーキ用ミックスを得た。該バターケーキ用ミックス240g、卵100g、バター50g及び水30gをボールに入れ(小麦粉:砂糖:油脂:卵=98:97:75:100)、電動ミキサーを用いて高速で3分間撹拌した。得られた生地の比重を実施例1と同様にして測定し、次いで該生地を6号型(直径18cm)に流し入れ、コンベクションオーブン(リンナイ RCK−10M(a)型)を用いて180℃で35分間焼成し、バターケーキを得た。
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
試験例4
上記で得られた各生地の焼成後のケーキ容積はナタネ法により測定した。次いで上記で得られた各バターケーキについて、しっとり感、口溶け感、及び外観(ボリューム感、底上がり現象の有無)を、10名のパネラーを用いて以下の評価基準で評価した。その平均を表6に示す。
◎評価基準
しっとり感
5:非常にしっとりとしており、かつねちゃつきがない。
4:かなりしっとりとしており、かつねちゃつきがほとんどない。
3:ややしっとり感があり、かつねちゃつきが少ない。
2:あまりしっとり感がなくややぱさついているか、またはややしっとりしすぎてねちゃつきを感じる。
1:しっとり感がなくぱさついているか、またはしっとりしすぎてねちゃつきを感じる。
口溶け感
5:非常にソフトで口溶けがよく、口の中に入れただけで溶ける食感である。4:ソフトで口溶けがよい。
3:ややソフトで口溶けがよい。
2:口溶けがやや悪く、口の中で団子状になりやすい。
1:口溶けが非常に悪く、口の中ですぐ団子状になる。
外観
5:ボリューム感があり、かつ底上がりがない。
4:ボリューム感がやや少ないが、底上がりがほとんどない。
3:ボリューム感は少ないが、底上がりがあまりない。
2:ボリューム感が少なく、底上がりがする。
1:ボリューム感がなく、底上がりがする。
【0038】
【表6】
【0039】
実施例14〜21のバターケーキは、食感、外観がいずれも優れていた。このうちバターケーキ用小麦粉組成物中のデュラム小麦粉の配合量が10〜30重量%である、実施例15〜18、20及び21がより優れており、該配合量が15〜30重量%であり、かつデュラム小麦粉の平均粒径が75μmまたは50μmである、実施例16〜18及び21が特に優れていた。一方比較例9〜12のバターケーキは、食感、外観のいずれかが劣っていた。
【0040】
【発明の効果】
本発明の菓子類用小麦粉組成物または菓子類用ミックスを用いれば、サクサク感や、しっとり感、口溶け感等の食観、ボリューム感、内相、沈み現象がない等の外観に優れたビスケット等のクッキー類、スポンジケーキ等のケーキ類等の菓子類を得ることができる。本発明のバターケーキ用小麦粉組成物またはバターケーキ用ミックスを用いれば、低油脂含量でしっとり感、口溶け感及びボリューム感に優れるとともに、底上がり現象のないバターケーキを得ることができる。
Claims (3)
- 粒径350μm以上の粒子が10重量%未満であるデュラム小麦粉2〜50重量%、及びデュラム小麦粉以外の小麦粉98〜50重量%からなるスポンジケーキ用、バターケーキ用又はカステラ用の小麦粉組成物。
- デュラム小麦粉の粒径が150μm以下である請求項1記載の小麦粉組成物。
- 請求項1または2記載の小麦粉組成物を含有するスポンジケーキ用、バターケーキ用又はカステラ用のミックス。
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