JP3984365B2 - 化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子 - Google Patents

化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子 Download PDF

Info

Publication number
JP3984365B2
JP3984365B2 JP16036998A JP16036998A JP3984365B2 JP 3984365 B2 JP3984365 B2 JP 3984365B2 JP 16036998 A JP16036998 A JP 16036998A JP 16036998 A JP16036998 A JP 16036998A JP 3984365 B2 JP3984365 B2 JP 3984365B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gacl
substrate
gan
gas
growth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP16036998A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11354844A (ja
Inventor
淳 小河
茂稔 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sharp Corp filed Critical Sharp Corp
Priority to JP16036998A priority Critical patent/JP3984365B2/ja
Publication of JPH11354844A publication Critical patent/JPH11354844A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3984365B2 publication Critical patent/JP3984365B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Led Devices (AREA)

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明はGaN系化合物半導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GaN系化合物半導体により高性能の発光ダイオードが商品化され、GaN系化合物半導体は発光デバイス材料として多くの研究機関が開発に注力している。従来より、GaN系化合物半導体は、ハイドライド気相成長法(以下、HVPE法)や、有機金属気層成長法(以下、MOCVD法)や、分子線エピタキシー法(以下MBE法)等により作製されている。上記の成長用基板としては、サファイア基板や、SiC基板等が用いられてきたが、最近、HVPE法によって成膜した比較的厚いGaN単結晶膜をホモ接合用基板として用いることで、より高品質なGaN系化合物半導体を成長させることが可能となることがわかってきた(例えば、A.Sakai,H.Sunakawa and A.Usui,Appl.Phys.Lett.,71,2259(1997))。このため、GaN系化合物半導体の製造を目的としたHVPE法等の成長速度の大きい化合物半導体の製造方法に対して大きな関心が集まってきている。
【0003】
図6に従来のHVPE法によるGaN系化合物半導体結晶の成長装置の概略を示す。次式に示すように、III族原料は、Ga(610)をGa加熱用電気炉(607)約750℃で保持しながら、Ga上にHClガス(602)を導入して主にGaClを形成し、キャリアガスであるH2ガス(604)と主にGaClを含むガス(605)として供給を行う。
Ga(液体)+HCl(気体)→GaCl(気体)+1/2H2(気体) (式1)
V族原料はNH3ガス(603)をキャリアガスであるH2ガス(604)と混合して供給を行う。サファイア基板(601)は1000℃になるように維持しながら、上述したGaClとNH3を基板上で混合して成長を行う。
【0004】
GaClは、NH3との反応性に優れ、次式(式2)に示すように、効率良くGaNを成長させることができる。
Figure 0003984365
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のHVPE法によるGaN系化合物半導体結晶の成長においては、HClを充分に供給する必要があった。なぜなら、HClの供給を減らすと、(式1)の反応が不充分になり、NH3との反応性がGaClよりも劣るGaCl2、GaCl3が生成してしまいGaNの製造効率が悪くなるためである。しかしながら、HClを充分に供給することによって、Cl源として供給されたHClのうち(式1)の反応を起こさず成長に関与しない余剰HCl及び(式2)で副次的に生じたHClがNH3と反応して、(式3)に示すように、固体のNH4Clが生成される。
HCl(気体)+NH3(気体)→NH4Cl(固体) (式3)
未反応のHCl量は、(式1)で反応する量より多く、(式2)で副次的に生じるHCl量の数十倍以上の過剰なHClがNH3と反応して、NH4Clを生成することになり、石英反応管(606)及び排ガス処理装置(609)へと続く配管(608)内にNH4Clが90%以上を占める多量の粉末が付着して、配管詰まり等の問題を起こしていた。この問題は、成長速度を上げるためにHCl投入量を増加させるとさらに悪化していた。
【0006】
本発明は、上述する課題を解決するためになされたもので、GaN系化合物半導体の結晶成長に於いて、過剰なHClを減少させ、反応石英管、配管に生成物等の付着を抑制させる原料の選択、及び装置上の工夫を行い、GaN系化合物半導体の良好な結晶を効率良く、安定して製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明(請求項1)に係る化合物半導体の製造方法は、成長装置において、所定の温度に保持された基板上に、Ga含有ガスとN含有ガスとが供給されることにより、基板上にGaNを結晶成長させる化合物半導体の製造方法であって、成長装置内部において、GaCl3ガスが、基板の上流側に設置された、溶融Ga上を通過してから、基板上に供給され、また、NH3ガスが基板上に供給されることにより、上記目的を達成する。
【0008】
GaCl3(気体)+2Ga(液体)→3GaCl(気体) (式4)
(式4)に示すように、GaCl3は、Gaと共に600℃以上に加熱すると、GaClが優先的に生成される。さらに、GaCl3から副生成されたCl2及びCl原子が、GaCl発生のためのCl源となり、供給されるGa量に対してCl原子の量が少なくてよく、Cl源として投入されるHClは、不要、もしくは少量に抑えることができる。この結果、従来のGaとHClを用いる場合と比較して、Cl供給量に対するGa供給量が多くなって成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0009】
つまり、成長装置において、Ga源にGaCl3及びGaを使用することによって、GaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になる。
【0010】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとGaCl3とGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0011】
この発明(請求項2)に係る化合物半導体の製造方法は、成長装置において、所定の温度に保持された基板上に、Ga含有ガスとN含有ガスとが供給されることにより、基板上にGaN系化合物を結晶成長させる化合物半導体の製造方法であって、気相成長装置内部において、GaCl3ガスが、基板の上流側に設置された、溶融Ga上を通過してから、さらに、予備加熱部を通過することにより加熱されて、基板上に供給され、また、NH3ガスが基板上に供給されることにより、上記目的を達成する。
【0012】
請求項1と同様の理由により、Ga源にGaCl3及びGaを使用することで、HClが不要、もしくは少量に抑えることができる。さらにGaCl3及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことにより、生成されたGaClがGaCl3、GaCl2等に変化することを防止する。この結果、従来のGaとHClを用いる場合、またGaCl3及び溶融Gaを用いて予備加熱を行わない場合と比較して、Cl供給量に対するGa供給量が多くなって成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0013】
つまり、Ga源にGaCl3及びGaを使用し、かつGaCl3及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことによって、GaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になる。
【0014】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとGaCl3とGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0015】
予備加熱の温度は300〜1100℃、さらには800〜1000℃が好ましい。温度が低い場合は、GaClが他の塩化物に変化し、温度が高い場合は生成されたGaClが分解されてしまい好ましくない。
【0016】
この発明(請求項3)に係る化合物半導体の製造方法は、成長装置において、所定の温度に保持された基板上に、Ga含有ガスとN含有ガスとが供給されることにより、基板上にGaN系化合物を結晶成長させる化合物半導体の製造方法であって、成長装置内部において、(C252GaCl(以下DEGaCl)ガスが、基板の上流側に設置された、溶融Ga上を通過してから、基板上に供給され、また、NH3ガスが基板上に供給されることにより、上記目的を達成する。
【0017】
(C252GaCl(気体)→GaCl(気体)+2C24+H2 (式5)
(式5)に示すようにDEGaClと溶融Gaを用いる方法においては、DEGaClの大部分はGaClに変化し、さらに溶融Gaにより、GaClがGaCl2、GaCl3へと変化することを妨げることが可能となる。このため、供給されるGa量に対してCl原子の量が少なくてよく、Cl源として投入されるHClは、不要、もしくは少量に抑えることができる。この結果、従来のGaとHClを用いる場合と比較して、Cl供給量に対するGa供給量が多くなって成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0018】
つまり、成長装置において、Ga源にDEGaCl及びGaを使用することによって、GaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になる。
【0019】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとDEGaClとGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0020】
この発明(請求項4)に係る化合物半導体の製造方法は、成長装置において、所定の温度に保持された基板上に、Ga含有ガスとN含有ガスとが供給されることにより、基板上にGaN系化合物を結晶成長させる化合物半導体の製造方法であって、気相成長装置内部において、DEGaClガスが、基板の上流側に設置された、溶融Ga上を通過してから、さらに、予備加熱部を通過することにより加熱されて、基板上に供給され、また、NH3ガスが基板上に供給されることにより、上記目的を達成する。
【0021】
請求項3と同様の理由により、Ga源にDEGaCl及びGaを使用することで、HClが不要、もしくは少量に抑えることができる。さらに予備加熱を行うことにより、生成されたGaClが他のGaの塩化物等に変化することを防止する。この結果、従来のGaとHClを用いる場合、またDEGaCl及び溶融Gaを用いて予備加熱を行わない場合と比較して、Cl供給量に対するGa供給量が多くなって成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0022】
つまり、成長装置において、Ga源にDEGaCl及びGaを使用し、かつDEGaCl及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことによって、GaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になる。
【0023】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとDEGaClとGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0024】
予備加熱の温度は300〜1100℃、さらには800〜1000℃が好ましい。予備加熱の温度は300〜1100℃、さらには800〜1000℃が好ましい。温度が低い場合は、GaClが他の塩化物に変化し、温度が高い場合は生成されたGaClが分解されてしまい好ましくない。
【0025】
この発明(請求項5)に係る発光素子は、請求項1、2、3または4のいずれかに記載のGaN系化合物半導体の製造方法を用いて製造された化合物半導体基板を、基板として用いて形成されてなることによって上記目的を達成する。
【0026】
請求項1、2、3または4のいずれかに記載のGaN系化合物半導体の製造方法を用いて製造された化合物半導体を基板として用いて発光素子を形成することにより、基板との格子不整合、熱膨張係数差から生じる欠陥等を抑えることができて、特性の優れたレーザー素子を作製することができる。
【0027】
また、研磨等により、サファイア等の下地基板を除去したn型のGaN結晶基板を用いることにより、直接基板からn型電極を形成することが可能となるため、n型電極形成のためのドライエッチング等の工程がなくなり、歩留まりが向上する。また、レーザーを作製する場合、劈開が容易になるため、良好なレーザー端面を形成することが可能になり、発光効率等を改善することが可能となる。
【0028】
なお、本発明においてGaN系化合物半導体とは、V族元素が窒素であるIII−V族化合物半導体のことを示しており、例えばGaN、AlN、AlxGa1-xN(0<x<1)、InN、InyGa1-yN(0<y<1)、InαGaβAl1- α - βN(0<α<1、0<β<1)を指すものである。
【0029】
また、排ガス処理装置とは、成長に使用したり、副次的に生成されたH2ガス、NH3、Gaの塩化物、NH4Cl等のガスを燃焼して、さらに吸着体により吸着して当該ガス濃度を環境基準値以下に低下させて、外部に排出する装置である。
【0030】
【発明の実施の形態】
これより、本発明を実施した形態を具体的に挙げながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、Ga源としてGaCl3及びGaを用いた方法でGaN結晶を成長した例について説明する(図1は本実施の形態で使用した結晶成長装置の概略図である。図2は本実施の形態における結晶成長装置の石英反応管内の水平方向の温度プロファイルである。)。
【0031】
成長用基板としてサファイアのC面を用いた。前処理として、サファイア表面を有機溶媒で洗浄を行い、洗浄したサファイアをトレーにセットして、MOCVD装置内に設置し、水素フロー中で1100℃でサファイアのクリーニングを行った。その後、基板の温度を600℃で維持し、III族原料であるトリメチルガリウム(Ga(CH33:以下TMG)とV族原料であるNH3を導入し、成長を行う。TMGの供給量を20μmol/min.、NH3の供給量を4.0l/min.とし、5分間成長した際の成長膜厚は約600nmであった。次にTMGの供給を止めて、1050℃まで昇温して、その後TMGを50μmol/min.、NH3を4.0l/min.供給し、30分かけてGaN結晶を2μm成長させる。
【0032】
この基板(101)を図1の結晶成長装置に導入し、H2フロー中、1100℃でクリーニングを行う。次に、基板温度を1000℃に保持して、III族原料として、70℃に保温したGaCl3(103)をN2ガス(106)でバブリングを行い、200μmol/min.を導入して、キャリアガスであるN2ガス(106)1000cc/min.と混合して供給を行った。GaCl3の一部は途中でGaCl2、GaCl等に変化して、Clが余剰になるが、この余剰Clは、Ga加熱用電気炉(109)によって700℃程度に加熱したGa(112)付近でのGaClの生成に使われる。このときの温度プロファイルは図2のようになる。投入したCl原子は、大部分がGaClに変わり、NH4Cl(固体)の生成が抑えられる。V族原料は、NH3(105)を2000cc/min.、キャリアガスであるN2ガス(106)10000cc/min.を混合して供給を行った。GaClを含んだガス(107)が基板付近に供給され、これがNH3と反応して基板上でGaN結晶が成長する。その後、キャリアガス、未反応のNH3、Gaの塩化物等は石英反応管(108)及びステンレス製の配管(110)を通じて排ガス処理装置(111)へと送られる。
【0033】
3時間成長を行ったGaN膜の厚みは450μmであり、X線による結晶の(0004)からの回折ピークの半値幅は4.3arcmin.であり、成長した膜は透明で、結晶表面に発生している欠陥は1011cm-2であった。
【0034】
本実施の形態と同程度の成長速度に設定したHClとGaを用いた従来法の場合、成長回数7〜8回毎に反応管、配管等のクリーニング等のメンテナンスが必要であったが、この場合、成長回数が22回を過ぎてもGaN結晶の特性劣化は見られなかった。25回を越えた時点で劣化が始まり、このとき結晶表面に発生している欠陥は1012cm-2であった。つまり、成長装置において、Ga源にGaCl3及びGaを使用することによって、GaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になった。結晶性は従来のHVPE法により作製されたものと同程度であった。
【0035】
GaCl3は、Gaと共に600℃以上に加熱すると、GaClが優先的に生成される。さらに、GaCl3から副生成されたCl2及びCl原子が、GaCl発生のためのCl源となり、供給されるGa量に対してCl原子の量が少なくてよく、Cl源として投入されるHClは、不要、もしくは少量に抑えることができる。この結果、溶融Gaの温度を同程度に設定した従来法と比較して、基板へのCl供給量に対するGa供給量が多くなっているために成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0036】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとGaCl3とGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0037】
本実施の形態において、MOCVD法によるGaNバッファ層とGaN成長層の代わりに、直接、図1の結晶成長装置でバッファ層を成長させた場合においても上述の効果を確認できた。また、SiH4(104)、(C552Mg(以下Cp2Mg)(102)等のガスを流すことで、n型、p型のGaN系化合物半導体の結晶を作製することも可能である。
【0038】
成長基板としては、サファイア以外にSiC、GaAs、スピネル、マイカ等が適用でき、いずれの場合も結晶の高品質化、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、サファイア基板上の中間層としては、TMGの代わりにTMAを用いて作製したAlNの中間層を用いた場合、またはTMGとTMAの混合ガスを用いてAlxGa1-xN(0<x<1)の中間層を用いた場合、さらにZnOを用いた場合も、同様の手順で該基板上に成長させたGaN結晶の特性には大差はなかった。
【0039】
キャリアガスは、本実施の形態においてはN2ガスを用いているが、H2ガスを用いた場合も、本実施の形態と同様の効果がある。
【0040】
さらに、成長膜はGaN以外にも、GaとGaCl3と併用して、In源としてHClとIn、もしくはInCl3を用いることで成長を行ったInyGa1-yN(0<y<1)においても、従来からあるHClとGa、Inを用いる方法と比較して、成長速度の増加、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、GaとGaCl3に加えて、従来のHVPE法で用いる5〜10分の1程度の量のHClを溶融Ga上に供給した場合も、同様の効果を確認している。また、成長層の組成、SiH4、Cp2Mg等のドーピングの種類、濃度等を変化させた多層構造の成長においても、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
【0041】
(実施の形態2)
本実施の形態では、Ga源としてGaCl3及びGaを使用し、GaCl3を成長基板上に導入する前に予備加熱を行う方法によってGaN結晶を成長した例について説明する(図3は本実施の形態で使用した結晶成長装置の概略図である。図4は本実施の形態における結晶成長装置の石英反応管内の水平方向の温度プロファイルである。)。
【0042】
成長用基板としてサファイアのC面を用いた。実施の形態1と同様にしてMOCVD法でGaNバッファ層と2μmのGaN層を成長させる。
【0043】
この基板(301)を成長装置に導入し、H2フロー中、1100℃でクリーニングを行う。次に、基板温度を1000℃に保持して、III族原料として、70℃に保温したGaCl3(303)をN2ガス(306)でバブリングを行い、200μmol/min.を導入して、キャリアガスであるN2ガス(306)1000cc/min.と混合して供給を行った。
【0044】
GaCl3、Ga加熱用電気炉(309)により加熱された溶融Ga(313)の下流部は、予備加熱用電気炉(310)を用いて、図4の温度プロファイルになるように予備加熱を行い、基板の中心から約15cm手前までにガス温度が900℃程度になるように、電気炉を調整する。この予備加熱領域(314)の加熱により、GaClが他のGaの塩化物に変化することが防止される。また、V族原料はNH3(305)を2000cc/min.、キャリアガスであるN2ガス(306)10000cc/min.を混合して供給を行った。GaClを含むガス(307)が基板付近に供給され、NH3と反応してGaN結晶が成長する。その後、キャリアガス、未反応のNH3、Gaの塩化物等は石英反応管(308)及びステンレス製の配管(311)を通じて排ガス処理装置(312)へと送られる。
【0045】
3時間成長を行ったGaN膜の厚みは510μmであり、X線による結晶の(0004)からの回折ピークの半値幅は4.3arcmin.であり、成長した膜は透明で、結晶表面に発生している欠陥は1011cm-2であった。
【0046】
本実施の形態と同程度の成長速度に設定したIII族材料としてHClとGaを用いた従来法の場合、成長回数5〜6回毎に反応管、配管等のクリーニング等のメンテナンスが必要であったが、この場合、成長回数が15回を過ぎてもGaN結晶の特性劣化は見られなかった。17回を越えた時点で劣化が始まり、このとき結晶表面に発生している欠陥は1012cm-2であった。つまり、Ga源にGaCl3及びGaを使用し、かつGaCl3及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことによって、GaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になった。結晶性は従来のHVPE法により作製されたものと同程度であった。
【0047】
GaCl3は、Gaと共に600℃以上に加熱すると、GaClが優先的に生成される。さらに、GaCl3から副生成されたCl2及びCl原子が、GaCl発生のためのCl源となり、供給されるGa量に対してCl原子の量が少なくてよく、Cl源として投入されるHClは、不要、もしくは少量に抑えることができる。さらにGaCl3及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことにより、生成されたGaClがGaCl3、GaCl2等に変化することを防止する。この結果、溶融Gaの温度を同程度に設定した従来法と比較して、またGaCl3及び溶融Gaを用いて予備加熱を行わない場合と比較しても、基板へのCl供給量に対するGa供給量が多くなっているために成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0048】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとGaCl3とGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0049】
予備加熱用電気炉は、石英反応管に導入されたGaCl3、DEGaClもしくは、これらが変化したGaの塩化物を加熱するものであり、Ga加熱用電気炉と併用して、石英反応管左端から成長基板までの範囲を加熱を制御できるものとする。また、加熱には、電気炉に限らず、ランプ加熱等の加熱可能な手段であれば代用できる。
【0050】
予備加熱温度は300〜1100℃、さらには800〜1000℃が好ましい。温度が低い場合は、GaClが他の塩化物に変化し、温度が高い場合は生成されたGaClが分解されてしまい好ましくない。
【0051】
本実施の形態において、MOCVD法によるGaNバッファ層とGaN成長層の代わりに、直接、図3の結晶成長装置でバッファ層を成長させた場合においても上述の効果を確認できた。また、SiH4(304)、Cp2Mg(302)等のガスを流すことで、n型、p型のGaN系化合物半導体の結晶を作製することも可能である。
【0052】
成長基板としては、サファイア以外にSiC、GaAs、スピネル、マイカ等が適用でき、いずれの場合も結晶の高品質化、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、サファイア基板上の中間層としては、TMGの代わりにTMAを用いて作製したAlNの中間層を用いた場合、またはTMGとTMAの混合ガスを用いてAlxGa1-xN(0<x<1)の中間層を用いた場合、さらにZnOを用いた場合も、同様の手順で該基板上に成長させたGaN結晶の特性には大差はなかった。
【0053】
キャリアガスは、本実施の形態においてはN2ガスを用いているが、H2ガスを用いた場合も、本実施の形態と同様の効果がある。
【0054】
さらに、成長膜はGaN以外にも、GaCl3、Gaと併用して、In源としてHClとIn、もしくはInCl3を用いることで成長を行ったInyGa1-yN(0<y<1)においても、従来からあるHClとGa、Inを用いる方法と比較して、成長速度の増加、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、Ga、GaCl3に加えて、従来のHVPE法で用いる5〜10分の1程度の量のHClを溶融Ga上に供給した場合も同様の効果を確認している。また、成長層の組成、SiH4、Cp2Mg等のドーピングの種類、濃度等を変化させた多層構造の成長においても、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
【0055】
(実施の形態3)
本実施の形態では、Ga源としてDEGaCl及びGaを用いた方法でGaN結晶を成長した例について説明する(本実施の形態で使用した結晶成長装置の概略図は、実施の形態1の説明に用いた図1において、(103)をGaCl3からDEGaClに変更したものである。本実施の形態における結晶成長装置の石英反応管内の水平方向の温度プロファイルの図は、実施の形態1の説明に用いた図2と同様のものである。)。
【0056】
成長用基板としてサファイアのC面を用いた。実施の形態1と同様にしてMOCVD法でGaNバッファ層と2μmのGaN層を成長させる。
【0057】
トレーにセットした該基板(101)を、成長装置のサセプター部に設置し、H2フロー中、1100℃でクリーニングを行った後、基板温度を1000℃に保持し、III族原料として、DEGaCl(103)を200μmol/min.を導入して、キャリアガスであるN2ガス(106)1000cc/min.と混合して供給を行った。DEGaClの一部は途中でGaCl2、GaCl等に変化するが、Ga加熱用電気炉(109)により、700℃程度に加熱したGa(112)付近で主にGaClに変化する。このときの温度プロファイルは、図2のになるようなる。V族原料はNH3(105)2000cc/min.と、キャリアガスであるN2ガス(106)10000cc/min.を混合して供給を行った。
【0058】
GaClを含むガス(107)が基板付近に供給され、これがNH3と反応してGaN結晶が成長する。キャリアガス、未反応のNH3、Gaの塩化物等は石英反応管(108)及びステンレス製の配管(110)を通じて排ガス処理装置(111)へと送られる。
【0059】
3時間成長を行ったGaN膜の厚みは310μmであり、X線による結晶の(0004)からの回折ピークの半値幅は4.1arcmin.であった。成長した膜は透明で、結晶表面に発生している欠陥は1011cm-2であった。
【0060】
本実施の形態と同程度の成長速度に設定したIII族材料としてHClとGaを用いた従来法の場合、成長回数12〜13回毎に反応管、配管等のクリーニング等のメンテナンスが必要であったが、この場合、成長回数が32回を過ぎてもGaN結晶性の劣化は見られなかった。35回を越えた時点で劣化が始まり、このとき結晶表面に発生している欠陥は1012cm-2であった。
【0061】
つまり、成長装置において、Ga源にDEGaCl及びGaを使用することによって、高品質なGaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になった。DEGaClの一部は途中でGaCl2、GaCl等に変化するが、GaCl以外の塩化物の大部分は700℃程度に加熱したGa付近でGaClの生成に使われる。このため、供給されるGa量に対してCl原子の量が少なくてよく、Cl源として投入されるHClは、不要、もしくは少量に抑えることができる。この結果、溶融Gaの温度を同程度に設定した従来法と比較して、基板へのCl供給量に対するGa供給量が多くなっているために成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0062】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとDEGaClとGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり好ましくない。
【0063】
本実施の形態において、MOCVD法によるGaNバッファ層とGaN成長層の代わりに、直接、図1の結晶成長装置でバッファ層を成長させた場合においても上述の効果を確認できた。また、SiH4(104)、Cp2Mg(102)等のガスを流すことで、n型、p型のGaN系化合物半導体の結晶を作製することも可能である。
【0064】
成長基板としては、サファイア以外にSiC、GaAs、スピネル、マイカ等が適用でき、いずれの場合も結晶の高品質化、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、サファイア基板上の中間層としては、TMGの代わりにTMAを用いて作製したAlNの中間層を用いた場合、またはTMGとTMAの混合ガスを用いてAlxGa1-xN(0<x<1)の中間層を用いた場合、さらにZnOを用いた場合も、同様の手順で該基板上に成長させたGaN結晶の特性には大差はなかった。
【0065】
キャリアガスは、本実施の形態においてはN2ガスを用いているが、H2ガスを用いた場合も、本実施の形態と同様の効果がある。
【0066】
本実施の形態において、溶融Gaを用いずにGa源としてDEGaClのみを用いる場合も、HClを使用する必要がないために、NH4Clの発生が抑えらた結果、メンテナンス回数減少の効果を確認した。
【0067】
さらに、成長膜はGaN以外にも、DEGaClと併用して、In源としてHClとIn、もしくはInCl3を用いることで成長を行ったInyGa1-yN(0<y<1)においても、従来からあるHClとGa、Inを用いる方法と比較して、成長速度の増加、メンテナンス回数の減少の効果を確認している。また、Ga、DEGaClに加えて、従来のHVPE法で用いる5〜10分の1程度の量のHClを溶融Ga上に供給した場合も同様の効果を確認している。また、成長層の組成、SiH4、Cp2Mg等のドーピングの種類、濃度等を変化させた多層構造の成長においても、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
【0068】
(実施の形態4)
本実施の形態では、Ga源にDEGaCl及びGaを使用し、DEGaCl及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことによる方法でGaN結晶を成長した例について説明する(本実施の形態で使用した結晶成長装置の概略図は、実施の形態2の説明に用いた図3において、(303)をGaCl3からDEGaClに変更したものである。本実施の形態における結晶成長装置の石英反応管内の水平方向の温度プロファイルの図は、実施の形態2の説明に用いた図4と同様のものである。)。
【0069】
成長用基板としてサファイアのC面を用いた。実施の形態1と同様にしてMOCVD法でGaNバッファ層と2μmのGaN層を成長させる。
【0070】
トレーにセットした該基板(301)を、成長装置のサセプター部に設置し、H2フロー中、1100℃でクリーニングを行った後、基板温度を1000℃に保持し、V族原料はNH3(305)を2000cc/min.と、キャリアガスであるN2ガス(306)10000cc/min.を混合して供給を行った。III族原料として、DEGaCl(303)を200μmol/min.を導入して、キャリアガスであるN2ガス(306)1000cc/min.と混合して供給を行った。DEGaClの一部は途中でGaCl2、GaCl等に変化するが、Ga加熱用電気炉(309)で約700℃に加熱した溶融Ga(313)付近で主にGaClに変化する。さらに、溶融Gaの下流部には、予備加熱用電気炉(310)を用いて、図4の温度プロファイルになるように予備加熱を行い、基板の中心から約15cm手前までにガス温度が900℃程度になるように、電気炉を調整する。この予備加熱領域(314)の加熱により、GaClが他のGaの塩化物等に変化することが防止される。GaClを含むガス(307)とが基板付近に供給され、これがNH3と反応してGaN結晶が成長する。キャリアガス、未反応のNH3、溶融Ga等は石英反応管(308)及びステンレス製の配管(311)を通じて排ガス処理装置(312)へと送られる。
【0071】
3時間成長を行ったGaN膜の厚みは340μmであり、X線による結晶の(0004)からの回折ピークの半値幅は4.1arcmin.であった。成長した膜は透明で、結晶表面に発生している欠陥は1011cm-2であった。溶融Gaを併用して、かつ予備加熱を行うことで、基板上へのGaClの供給量が増えて、実施の形態3に比べて、成長速度が上がっている。本実施の形態と同程度の成長速度に設定したHClとGaを用いた従来法の場合、成長10〜12回毎に反応管、配管等のクリーニング等のメンテナンスが必要であったが、本実施の形態を用いた場合、成長回数が30回を過ぎてもGaN結晶性の劣化は見られなかった。33回を越えた時点で劣化が始まり、このとき結晶表面に発生している欠陥は1012cm-2であった。つまり、成長装置において、Ga源にDEGaCl及びGaを使用し、かつDEGaCl及び溶融Gaと反応したGaの塩化物のガスを成長基板上に導入する前に予備加熱を行うことによって、高品質なGaN系化合物半導体を、安定して、効率良く得ることが可能になった。
【0072】
DEGaClと溶融Gaを用いる場合、DEGaClの一部は途中でGaCl2等に変化するが、これらは700℃程度に加熱したGa付近でGaClの生成に使われる。このため、従来法に比して、供給されるGa量に対してCl原子の量が少なくてよく、Cl源として投入されるHClは、不要、もしくは少量に抑えることができる。さらに予備加熱を行うことにより、生成されたGaClが他のGaの塩化物等に変化することを防止する。この結果、従来のGaとHClを用いる場合、またDEGaCl及び溶融Gaを用いて予備加熱を行わない場合と比較して、Cl供給量に対するGa供給量が多くなって成長速度が上がり、かつ必要となるHClが少なくなりNH4Cl(固体)の生成が抑えられる。このことにより、装置の汚れ、配管詰まり等の問題が大きく改善されて、メンテナンスの回数が減り、生産効率が上がる。
【0073】
溶融Gaの加熱温度は、400〜1100℃が好ましく、低すぎるとDEGaClとGaとの反応が抑えられGaClの生成が抑えられ、1100℃を超えるとGaの蒸気圧が上がって、供給過剰となり、好ましくない。
【0074】
予備加熱用電気炉は、石英反応管に導入されたGaCl3、DEGaClもしくは、これらが変化したGaの塩化物を加熱するものであり、Ga加熱用電気炉と併用して、石英反応管左端から成長基板までの範囲を加熱を制御できるものとする。また、加熱には、電気炉に限らず、ランプ加熱等の加熱可能な手段であれば代用できる。
【0075】
予備加熱温度は300〜1100℃、さらには800〜1000℃が好ましい。温度が低い場合は、GaClが他の塩化物に変化し、温度が高い場合は生成されたGaClが分解されてしまい好ましくない。
【0076】
本実施の形態において、MOCVD法によるGaNバッファ層とGaN成長層の代わりに、直接、図3の結晶成長装置でバッファ層を成長させた場合においても上述の効果を確認できた。また、SiH4(304)、Cp2Mg(302)等のガスを流すことで、n型、p型のGaN系化合物半導体の結晶を作製することも可能である。
【0077】
成長基板としては、サファイア以外にSiC、GaAs、スピネル、マイカ等が適用でき、いずれの場合も結晶の高品質化、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、サファイア基板上の中間層としては、TMGの代わりにTMAを用いて作製したAlNの中間層を用いた場合、またはTMGとTMAの混合ガスを用いてAlxGa1-xN(0<x<1)の中間層を用いた場合、さらにZnOを用いた場合も、同様の手順で該基板上に成長させたGaN結晶の特性には大差はなかった。
【0078】
キャリアガスは、本実施の形態においてはN2ガスを用いているが、H2ガスを用いた場合も、本実施の形態と同様の効果がある。
【0079】
本実施の形態において、溶融Gaを用いずにGa源としてDEGaClのみを用いる場合も、HClを使用する必要がないために、NH4Clの発生が抑えらた結果、メンテナンス回数減少の効果を確認した。
【0080】
さらに、成長膜はGaN以外にも、DEGaClと併用して、In源としてHClとIn、もしくはInCl3を用いることで成長を行ったInyGa1-yN(0<y<1)においても、従来からあるHClとGa、Inを用いる方法と比較して、成長速度の増加、装置メンテナンス回数減少の効果を確認している。また、Ga、DEGaClに加えて、従来のHVPE法で用いる5〜10分の1程度の量のHClを溶融Ga上に供給した場合も同様の効果を確認している。また、成長層の組成、SiH4、Cp2Mg等のドーピングの種類、濃度等を変化させた多層構造の成長においても、本実施の形態と同様の効果があることを確認している。
【0081】
(実施の形態5)
本実施の形態では、GaN結晶を基板として用いたデバイスとして、レーザーチップを作製した例について説明する(図5は、本実施の形態によるレーザー素子製造法により、作製された素子の断面図である)。
【0082】
実施の形態1で作製したサファイア(501)上のGaN結晶(502)の基板(以下GaN基板)を洗浄し成長用トレーにセットする。このトレーをMOCVD装置内のサセプター部に設置し、H2フロー中で1100℃まで加熱して、基板のクリーニングを行い、次に1050℃でTMGを50μmol/min.、NH3を4.0l/min.およびSiH4を1μmol/min供給し、n型GaNコンタクト層(503)を4μm成長させる。
【0083】
次に、基板温度を800℃に下げて、トリメチルインジウム(In(CH33:以下TMI)を100μmol/min、TMGを50μmol/min.、NH3を8.0l/min.およびSiH4を0.1μmol/minを供給して、n型In0.07Ga0.93N層(505)を0.1μm成長させる。
【0084】
次に、1050℃でTMGを50μmol/min.、TMAを60μmol/min、NH3を4.0l/min.およびSiH4を1μmol/min供給し、n型Al0.15Ga0.85Nクラッド層(506)を0.4μm、TMAの供給を止めてn型GaNガイド層(507)を0.1μm成長させる。さらに、基板温度を770℃まで冷却させて、TMIを300μmol/min、TMGを50μmol/min.、NH3を8.0l/min.を供給し(20sec.)、次にTMIを40μmol/min.に変化させて供給する(20sec.)。この成長を5サイクル行って、多重量子井戸構造(MQW)の活性層(In0.15Ga0.85N−In0.03Ga0.97N)(508)を成長させる。
【0085】
次に、この770℃において、TMGを50μmol/min.、NH3を4.0l/min.、TMAを90μmol/minおよびCp2Mgを4μmol/min.用いて、Al0.2Ga0.8N蒸発防止層(509)を成長させる。さらに、TMAの供給を止めて、p型GaNガイド層(510)を0.1μm成長させて、次にCp2Mgを7μmol/min.に上げて、TMAを60μmol/min加えて、p型Al0.15Ga0.85Nクラッド層(511)を0.4μm、そしてTMAの供給を止めて、Cp2Mgを6μmol/min.に変えて、p型GaNコンタクト層(512)を0.4μm成長させる。この後Cp2Mg、TMGの供給を止めて、350℃までNH3雰囲気中で冷却し、その後、H2雰囲気中で室温まで下げて、MOCVD装置から取り出す。
【0086】
次に、この成長膜をフォトリソグラフィとドライエッチング技術により、表面よりn型GaN層(503)に達する溝を作製した後、露出したn型GaNコンタクト層にTi、Alよりなるn型電極(504)を形成し、またp型GaN層表面にNi、Auの18μm−1100μmのp型電極(513)を形成し、さらに、ダイシング、へき開等により、チップ分割して、LD素子を作製した。
【0087】
この素子は、室温において、レーザー発振し、しきい電流、電圧は150mA、5.6Vであった。一方、サファイアC面基板を用いて、同様に素子を作製したが、室温レーザー発振には至らなかった。これは実施の形態1で製造したGaN結晶を用いた場合、この上に成長させたMOCVD法によるGaN系化合物半導体との格子不整合、熱膨張係数の差から生じる欠陥の発生が抑えられ、リーク電流、Mgの拡散等の特性を下げる要因が減少したためと考えられる。
【0088】
また、実施の形態1の方法で作製したn型GaN結晶からサファイア基板を分離して、この分離GaN結晶を基板として使用した場合においては、サファイアC面基板からの余計な応力が掛らないことと、へき開が容易になり、良好な端面が形成できるために、しきい電流、しきい電圧が低下して、さらにレーザー特性が向上した。この場合、基板からn型電極を形成することができて、n型電極形成のためのドライエッチング等の余分な工程が省かれることで歩留まりが向上する。
【0089】
成長基板は実施の形態1のGaN結晶以外にも、実施の形態2、3または4のいずれかの方法で作製したGaN結晶、DEGaClと併用して、In源としてHClとIn、もしくはInCl3を用いることで成長を行ったInN結晶、InyGa1-yN(0<y<1)結晶、また、ドーピングの種類、濃度等を目的に応じて変化させた結晶を基板として用いた場合も、基板との格子不整合、熱膨張係数差から生じる欠陥を抑えることができ、結晶性が向上し、良好な素子特性を示すことを確認している。
【0090】
【発明の効果】
上記のように、本発明を適用することで高品質のGaN系化合物半導体の作製が可能になり、かつ装置の生産効率が向上した。さらに、該化合物半導体を基板として用いることで、高品質、高信頼性の デバイスを作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態及び第三の実施の形態のGaN結晶の製造方法を説明する成長装置の概略図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態及び第三の実施の形態のGaN結晶の製造方法を説明する成長装置の石英反応管内の水平方向の温度プロファイルの図である。
【図3】本発明の第二の実施の形態及び第四の実施の形態のGaN結晶の製造方法を説明する成長装置の概略図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態及び第四の実施の形態のGaN結晶の製造方法を説明する成長装置の石英反応管内の水平方向の温度プロファイルの図である。
【図5】本発明の第六の実施の形態のレーザー素子製造法により作製された素子の断面図である。
【図6】本発明の従来の技術、及び解決しようとする課題のGaN結晶の製造方法を説明する成長装置の概略図である。
【符号の説明】
101 基板
102 Cp2Mg
103 GaCl3またはDEGaCl
104 SiH4
105 NH3
106 N2
107 GaClを含むガス
108 石英反応管
109 Ga加熱用電気炉
110 配管
111 排ガス処理装置
112 Ga
301 基板
302 Cp2Mg
303 GaCl3またはDEGaCl
304 SiH4
305 NH3
306 N2
307 GaClを含むガス
308 石英反応管
309 Ga加熱用電気炉
310 予備加熱用電気炉
311 配管
312 排ガス処理装置
313 Ga
314 予備加熱領域
501 サファイア
502 GaN結晶
503 n型GaNコンタクト層
504 n型電極
505 n型In0.07Ga0.93N層
506 n型Al0.15Ga0.85Nクラッド層
507 n型GaNガイド層
508 MQW活性層
509 p型Al0.2Ga0.8N蒸発防止層
510 p型GaNガイド層
511 p型Al0.15Ga0.85Nクラッド層
512 p型GaNコンタクト層
513 p型 電極
601 基板
602 HCl
603 NH3
604 H2
605 H2キャリアガスと主にGaClを含むガス
606 石英反応管
607 Ga加熱用電気炉
608 配管
609 排ガス処理装置
610 Ga

Claims (5)

  1. 成長装置内で所定の温度に保持された基板上に、Ga含有ガスとN含有ガスとが供給されることにより、基板上にGaN系化合物を結晶成長させる化合物半導体の製造方法において、前記Ga含有ガスは、GaCl3または(C252GaClが溶融Gaの上を通過することによって得ることを特徴とする化合物半導体の製造方法。
  2. 前記Ga含有ガスは、溶融Gaの上を通過した後、予備加熱されてから、基板に到達することを特徴とする請求項1に記載の化合物半導体の製造方法。
  3. 前記Ga含有ガスは、GaCl3とGaを反応させることによって得ることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体の製造方法。
  4. 前記Ga含有ガスは、(C252GaClを分解することによって得ることを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体の製造方法。
  5. 請求項1、2、3または4のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法を用いて形成されたGaN系化合物半導体を、成長用基板として用いてなることを特徴とする半導体発光素子。
JP16036998A 1998-06-09 1998-06-09 化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子 Expired - Fee Related JP3984365B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16036998A JP3984365B2 (ja) 1998-06-09 1998-06-09 化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16036998A JP3984365B2 (ja) 1998-06-09 1998-06-09 化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11354844A JPH11354844A (ja) 1999-12-24
JP3984365B2 true JP3984365B2 (ja) 2007-10-03

Family

ID=15713494

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16036998A Expired - Fee Related JP3984365B2 (ja) 1998-06-09 1998-06-09 化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3984365B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2247768A2 (en) * 2008-02-27 2010-11-10 S.O.I.Tec Silicon on Insulator Technologies Thermalization of gaseous precursors in cvd reactors
KR101738638B1 (ko) 2010-05-12 2017-05-22 고꾸리쯔 다이가꾸호우징 도쿄노우코우다이가쿠 삼염화 갈륨가스의 제조방법 및 질화물 반도체 결정의 제조방법
EP3059336A4 (en) 2013-09-11 2017-07-12 National University Corporation Tokyo University Of Agriculture and Technology Nitride semiconductor crystal, manufacturing method, and manufacturing apparatus
WO2023214590A1 (ja) * 2022-05-06 2023-11-09 株式会社福田結晶技術研究所 高品質・低コストGaN自立基板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11354844A (ja) 1999-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6852161B2 (en) Method of fabricating group-iii nitride semiconductor crystal, method of fabricating gallium nitride-based compound semiconductor, gallium nitride-based compound semiconductor, gallium nitride-based compound semiconductor light-emitting device, and light source using the semiconductor light-emitting device
US8882910B2 (en) AlGaN substrate and production method thereof
US5923950A (en) Method of manufacturing a semiconductor light-emitting device
JP2751963B2 (ja) 窒化インジウムガリウム半導体の成長方法
JP3656606B2 (ja) Iii族窒化物半導体結晶の製造方法
JP2002222771A (ja) Iii族窒化物膜の製造方法、iii族窒化物膜の製造用下地膜、及びその下地膜の製造方法
JPH0964477A (ja) 半導体発光素子及びその製造方法
JPH09134878A (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法
JP3940673B2 (ja) Iii族窒化物半導体結晶の製造方法、および窒化ガリウム系化合物半導体の製造方法
WO2010098163A1 (ja) 発光素子の製造方法および発光素子
US8236103B2 (en) Group III nitride semiconductor crystal, production method thereof and group III nitride semiconductor epitaxial wafer
JPH09309796A (ja) 窒素系iii−v族化合物半導体の成長方法
JP3991823B2 (ja) Iii族窒化物半導体結晶、その製造方法、iii族窒化物半導体エピタキシャルウェーハ
JP3984365B2 (ja) 化合物半導体の製造方法、並びに半導体発光素子
JP2004356522A (ja) 3−5族化合物半導体、その製造方法及びその用途
JP4284944B2 (ja) 窒化ガリウム系半導体レーザ素子の製造方法
JP2005536883A (ja) AlGaN単層またはAlGaN多層構造のMBE成長
JP3174257B2 (ja) 窒化物系化合物半導体の製造方法
JP4222287B2 (ja) Iii族窒化物半導体結晶の製造方法
JP4670206B2 (ja) 窒化物系半導体の製造方法
JP3274907B2 (ja) 窒化インジウムガリウム化合物半導体の成長方法
JP3478287B2 (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体の結晶成長方法と窒化ガリウム系化合物半導体
JP5706696B2 (ja) 発光素子の製造方法及び発光素子
JP3203282B2 (ja) 発光デバイス用窒化インジウムガリウム半導体
JP3473595B2 (ja) 発光デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041008

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070626

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070706

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110713

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110713

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120713

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120713

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130713

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees