JP3982105B2 - 被覆光ファイバ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に光ファイバテープ心線に用いられる被覆光ファイバに関し、特に優れた密着性と被覆除去性とを備えた被覆構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、光ケーブル内に収納される光ファイバの高密度化、光ケーブルの接続作業の効率化などを目的として、光ファイバテープ心線が広く用いられている。図5は従来の光ファイバテープ心線を示す図であり、光ファイバテープ心線23は、複数の被覆光ファイバ21を平行に配置し、その外周に紫外線硬化型樹脂からなる一括被覆層22を施して形成される。被覆光ファイバ21は、石英系ガラスからなる光ファイバ(以下、「ガラスファイバ」と略記する)1の外周に軟質の紫外線硬化型樹脂からなる被覆層20が設けられる。
【0003】
このような光ファイバテープ心線23においては、ガラスファイバ1と被覆層20との間の密着力が小さいと、ガラスファイバ1と被覆層20との界面が部分的に剥離し、低温時などにおいてガラスファイバ1はマイクロベンドを受け、光ファイバの伝送損失が増加し易くなる。一方、ガラスファイバ1と被覆層20との間の密着力が大き過ぎると、上述の光ファイバテープ心線23を他の光ファイバと接続する際、一括被覆層22と被覆層20を除去してガラスファイバ1を口出しするのが困難となる。
【0004】
これらの課題に関する従来技術の一例が、特開平9−5587号公報に記載されている。ガラスファイバ1の外周表面に被覆層20が設けられてなる図5に示す構成の被覆光ファイバ21において、ガラスファイバ1と被覆層20との間の密着力に対して、被覆層20のガラスファイバ1に対する防護性および被覆層20を除去する時のストリッパビリティの関係について記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら本発明者らによる種々の検討によれば、特開平9−5587号公報に記載されている被覆光ファイバ21において、ガラスファイバ1と被覆層20との間の密着力が所定値に調整されても被覆層20の樹脂によってガラスファイバ1と被覆層20との間に部分的に剥離が生じたり、あるいは被覆層20が破壊する場合が現われた。その結果、伝送損失が増加する場合があり安定な特性を得ることが出来ず、改善が望まれた。
【0006】
そこで本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、優れた密着性と被覆除去性とを備えた被覆構造を見出だすことができたので、これを用いた被覆光ファイバを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる被覆光ファイバは、ガラスファイバの外周に一次樹脂被覆層が設けられた被覆光ファイバにおいて、一次樹脂被覆層の樹脂材は、ガラスファイバとの密着力が30g/cm以上かつ80g/cm以下であり、さらに、100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2以上かつ0.25kg/mm2以下であることを特徴とする。
【0008】
本発明の被覆光ファイバによれば、一次樹脂被覆層の樹脂材は、ガラスファイバとの密着力が30g/cm未満ではガラスファイバを確実に保持することができず、ガラスファイバと一次樹脂被覆層との間で界面剥離が発生する場合があり、また、80g/cmを越えると一次樹脂被覆層をガラスファイバから完全に除去することが困難となり、被覆樹脂が残存するするようになる。
【0009】
さらに、本発明者らの検討結果によれば、ガラスファイバに一次樹脂被覆層が設けられローラを介して巻き取られるとき、ローラ表面の微小異物等が一次樹脂被覆層と接触して、微小異物等と接触する一次樹脂被覆層の局所部分に大応力がかかり、ガラスファイバと一次樹脂被覆層との界面に「剥離」が生じたり、あるいは一次樹脂被覆層に亀裂が生じて「ボイド」を発生することが判明した。このように局部的に大変形が発生し永久変形を起こす状態は、一次樹脂被覆層が弾性限界を越えた状態の現象である。そこで、一次樹脂被覆層の大変形に起因する剥離あるいはボイドを評価するため新たに「100%伸びにおける応力」を導入した。そして種々検討した結果、一次被覆樹脂材の100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2未満では一次被覆層にボイドが発生し、0.25kg/mm2を越えると剥離が生じる傾向を示すことが分かった。
【0010】
すなわち本発明の被覆光ファイバは、100%伸びにおける応力とガラスファイバに対する接着力とが所定範囲内の一次樹脂被覆材によって形成されるので、界面剥離あるいはボイドの発生が抑制され、また、被覆除去性のよい特性が得られる。
【0011】
本発明に係わる他の被覆光ファイバは、前述の被覆光ファイバの外周に、2.5%伸びにおける弾性率が20kg/mm2以上かつ200kg/mm2以下の樹脂材からなる二次樹脂被覆層が設けられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の二次樹脂被覆層は、光ファイバに加わる外力から保護することを主目的とするものであり、上記の被覆光ファイバによれば、二次樹脂被覆材の2.5%伸びにおける弾性率が20kg/mm2未満では外力が一次樹脂被覆層へ伝搬し易くなるので、一次樹脂被覆層への応力伝搬が増加してボイドが発生し易くなる。また、200kg/mm2を越えると可撓性が少なくなり伝搬損失が増加するようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の被覆光ファイバの実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は本実施形態に係わる光ファイバテープ心線を示す図であり、光ファイバテープ心線6は、複数本(図1では4本)の被覆光ファイバ4を平行に配置し、その外周に紫外線硬化型樹脂からなる一括樹脂被覆層5を施して形成される。
【0015】
図2は光ファイバテープ心線に用いられる被覆ファイバを示す図であり、被覆光ファイバ4は、石英系ガラスからなるガラスファイバ1の外周に紫外線硬化型樹脂Aからなる一次樹脂被覆層2が設けられる。一次樹脂被覆層2の樹脂材は、ガラスファイバ1との密着力が30g/cm以上かつ80g/cm以下であり、さらに、100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2以上かつ0.25kg/mm2以下である。
【0016】
上記の被覆光ファイバ4において、一次樹脂被覆層2はガラスファイバ1を中心軸上に保持し剥離を抑制するため、一次樹脂被覆層2とガラスファイバ1との間の密着力に30g/cmの下限が存在すると共に、軸方向に所定の力を加えることによって一次樹脂被覆層2を除去するため80g/cmの上限が必要となる。密着力の上限を越えると一次樹脂被覆層2を除去したときガラスファイバ1の表面に一次樹脂被覆2が残存するようになる。
【0017】
さらに、本発明者らの検討結果によれば、ガラスファイバ1の外周に一次樹脂被覆層2が設けられローラを介して巻き取られるとき、ローラ表面の微小異物等が一次樹脂被覆層2と接触して、微小異物等と接触する一次樹脂被覆層2の局所部分に大応力がかかり、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との界面に剥離が生じたり、あるいは一次樹脂被覆層2に亀裂が生じてボイドを発生することが判明した。このように局部的に大変形が発生し永久変形を起こす状態は、一次樹脂被覆層2が弾性限界を越えた状態の現象である。そこで、一次樹脂被覆層2の大変形に起因して発生する剥離あるいはボイドを評価するため、100%伸びにおける応力を導入した。
【0018】
ローラによる影響を詳細に検討するため、表面にマンドレルを設置したスクリーニング機構を巻替機に設け、マンドレルの上に被覆光ファイバ4を通過させることによって、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との界面剥離あるいはボイドを生じさせ、顕微鏡観察により発生頻度を調査した。その結果、一次被覆樹脂材2の100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2未満では一次被覆層2にボイドが発生し、0.25kg/mm2を越えると剥離が生じる傾向を示すことが分かった。
【0019】
一次樹脂被覆層2を形成する樹脂Aとして、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂等の紫外線硬化型樹脂が用いられる。一次樹脂被覆層2の樹脂Aは、ガラスファイバ1との密着力を30g/cm以上かつ80g/cm以下とするには、例えば、紫外線硬化型樹脂Aの合成に用いられる樹脂の極性モノマー量、あるいはシランカップリング剤の添加量を調整することによって得られる。
【0020】
また、一次樹脂被覆層2の樹脂Aは、100%伸びにおける応力を0.04kg/mm2以上かつ0.25kg/mm2以下とするには、例えば、紫外線硬化型樹脂Aの合成に用いられる樹脂の含有モノマーの添加比率を調整することによって上記範囲になるようにする。あるいは、紫外線硬化型樹脂Aの合成に用いられる樹脂に多官能モノマーが添加されたものを用い、単官能モノマーの添加量を調整したものが用いられる。単官能モノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、N-ビニルカプロラクタム等のうちから選択される一種または二種以上のものが用いられる。
【0021】
図3は被覆光ファイバの一次樹脂被覆層をガラスファイバから一定の条件下で除去する方法を示す図であり、図3(a)は一次樹脂被覆層をガラスファイバから引抜く前の状態を示す図、図3(b)は引抜いた後の状態を示す図である。まず、金属等の硬質板10上に被覆光ファイバ4の先端部を接着剤11によって固着させる。次に、硬質板10上の一次樹脂被覆層2に長手方向と直角に切り込み12を入れ、硬質板10に固定された被覆光ファイバ4の他端側をドラム13に巻き付けながら矢印14の方向に引っ張る。その結果、硬質板10上には管状の一次樹脂被覆層2が残され、ガラスファイバ1のみが引き抜かれる。
【0022】
また、一次樹脂被覆層2の樹脂材とガラスファイバ1との接着力は、フィルム状の試料によって測定される。まず、硫酸に浸漬して表面を洗浄した石英ガラス板上に一次樹脂被覆層2の樹脂Aを塗布し、200mJ/cm2の紫外光を照射して厚さ200μm、幅5cmのフィルムを形成し、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気に一週間放置して硬化しフィルム状の一次樹脂被覆を作製する。次いでフィルム状の一次樹脂被覆を石英ガラス板の一端から180度の方向に200mm/分の速度で引き剥がす。密着力は、一次樹脂被覆を剥がすときの単位幅当たりの力の最大値(g/cm)で定義される。
【0023】
100%伸びにおける一次樹脂被覆材の応力を測定するには、まず、ポリプロピレンの基板上に一次被覆層2の樹脂Aを塗布し、100mJ/cm2の紫外光を照射して厚さ100μm、幅6mmのシートを形成し、温度25℃、相対湿度50%の雰囲気に24時間放置して硬化しシート状の一次被覆を作製する。次いで、シート状の一次被覆をJISK71272号型の規格にしたがって試験片を作製し、中央に25mm間隔の評線を付ける。作製された試験片を引張試験機を用いて、引張荷重に対する歪み履歴を追跡し、評線間の伸びが100%となる場合の応力を測定する。応力の測定方法はJISK7113規格にしたがって行なわれる。
【0024】
図4は、光ファイバテープ心線に用いられる他の構成の被覆光ファイバを示す図であり、被覆光ファイバ4は、ガラスファイバ1とその外周に設けられた紫外線硬化型樹脂Aからなる一次樹脂被覆層2と紫外線硬化型樹脂Bからなる二次樹脂被覆層3とによって形成される。一次樹脂被覆層2の樹脂材は、ガラスファイバ1との密着力が30g/cm以上かつ80g/cm以下であり、さらに、100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2以上かつ0.25kg/mm2以下である紫外線硬化型樹脂Aであり、図2に示された被覆光ファイバの樹脂材と同じである。
【0025】
一次樹脂被覆層2の外周に設けられた二次樹脂被覆層3は、光ファイバに加わる外力から保護することを主目的とし、外力が紫外線硬化型樹脂Aに伝搬してボイドの発生を抑制するため、2.5%伸び時の弾性率に20kg/mm2の下限が存在すると共に、可撓性が少なくなり損失増加を抑制するため、200kg/mm2の上限が必要である。
【0026】
二次樹脂被覆層3を形成する樹脂Bとして、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等の紫外線硬化型樹脂がある。樹脂Bは、2.5%伸び時の弾性率を20kg/mm2以上、かつ、200kg/mm2以下とするには、例えば、紫外線硬化型樹脂Bの合成に用いられる樹脂の含有モノマーの比率を調整することによって得られる。あるいは、紫外線硬化型樹脂Bの合成に用いられる樹脂に多官能モノマーが添加されたものを用い、単官能モノマーの添加量を調整したものが用いられる。単官能モノマーとしては、テトラエチレングリコール、N-ビニルカプロラクタム、イソボニルアクリレート等のうちから選択される一種または二種以上のものが用いられる。
【0027】
2.5%伸び時の弾性率の測定方法は、JISK7113規格にしたがって行なわれる。また、伝送損失の変化は、スクリーニングテスト前後の波長1.55μmにおける伝送損失をOTDRを用いて測定し、両者の差で評価した。なお、図4に示される二次樹脂被覆層4は、被覆光ファイバの識別性をもたせるため外周に着色層が設けられることが好ましい。
【0028】
【実施例】
本発明者らは、上記の実施形態に基づいて、最初に図2に示すようにガラスファイバ1の外周に一次樹脂被覆層2が設けられた被覆光ファイバ4を作製し、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との界面剥離、一次樹脂被覆層2の破壊によるボイド、一次樹脂被覆層2の除去性について検討した。界面剥離およびボイドは、顕微鏡を用いて目視によって調べた。除去性は図3に示す方法によって被覆を除去した後、ガラスファイバの表面を目視によって調べた。被覆光ファイバ4に使用した樹脂A、および被覆光ファイバ4の性能を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1において、剥離、ボイドおよび除去性の判定基準は、それぞれ剥離、ボイドおよび一次樹脂が全く無ければ 、少しでも有れば×を付した。
【0031】
(実施例1〜5及び比較例1〜4)
直径125μmの石英ガラスからなるガラスファイバ1を線引きし、その外周に紫外線硬化型樹脂Aからなる外径200μmの一次樹脂被覆層2を設けて図2に示す構成の被覆光ファイバ4を作製した。紫外線硬化型樹脂Aは、ガラスファイバ1との密着力を変化させるため合成に用いられるウレタンアクリレート系樹脂の極性・非極性モノマー量、あるいはシランカップリング剤の添加量を調整すると共に、100%伸びにおける応力を変化させるため、一次プレポリマー合成時のジオール化合物を調整してP−1〜P−9を試作した。
【0032】
実施例1〜3の被覆光ファイバ4においては、一次樹脂被覆層2を形成する樹脂Aはガラスファイバ1との密着力が30g/cm〜80g/cmであり、かつ、100%伸びにおける応力が0.1kg/mm2である。これらの被覆光ファイバ4の性能について調査したところ、剥離あるいはボイドは現われなかった。また、被覆光ファイバ4の先端部について一次樹脂被覆層2をガラスファイバ1から引抜きながら除去したところ、一次樹脂被覆層2がガラスファイバ1の表面に残留することはなかった。
【0033】
一方、比較例1に示すように、樹脂Aの密着力を20g/cmまで小さくして同様の調査をしたところ、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との間に剥離が生じている部分が存在した。反対に比較例2に示すように、樹脂Aの密着力を100g/cmまで大きくして同様の調査をしたところ、一次樹脂被覆層2がガラスファイバ1の表面に固着し残留する部分が存在した。
【0034】
さらに、実施例4〜5の被覆光ファイバ4においては、一次樹脂被覆層2を形成する樹脂Aは100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2〜0.25kg/mm2、かつ、ガラスファイバ1との密着力が50g/cmである。これらの被覆光ファイバ4の性能について調査したところ、剥離あるいはボイドは現われなかった。また、被覆光ファイバ4の先端部について一次樹脂被覆層2をガラスファイバ1から引抜きながら除去したところ、一次樹脂被覆層2がガラスファイバ1の表面に固着し残留するところはなかった。
【0035】
一方、比較例3に示すように、100%伸びにおける応力を0.03kg/mm2まで小さくして同様な調査をしたところ、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との間にボイドの生じている部分が存在した。反対に比較例4に示すように、100%伸びにおける応力を0.3kg/mm2まで大きくして同様の調査をしたところ、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との間に剥離する部分が存在していた。
【0036】
以上の実施例および比較例で得られた結果から明らかなように、一次樹脂被覆層2の樹脂Aの密着力が30g/cm〜80g/cmの範囲で、かつ100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2〜0.25kg/mm2の範囲では、被覆光ファイバの剥離、ボイドおよび除去性は良好であり、これらの範囲以外では不良と判断することができる。これに対して一次樹脂被覆層2の樹脂Aを従来使用している2.5%伸び時におけるヤング率で評価すると、表1に示すようにP−1〜P−9のいずれの樹脂Aにおける2.5%伸び時のヤング率は0.10kg/mm2〜0.15kg/mm2であり、被覆光ファイバ4の剥離、ボイドおよび除去性の性能について、実態に即した判定をすることができない。
【0037】
次に、図4に示すように一次樹脂被覆層2の外周に二次樹脂被覆層3を設けてなる被覆光ファイバ4を作製し、ガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との界面の剥離、一次樹脂被覆層2の破壊によるボイド、一次樹脂被覆層2の除去性およびスクリーニングテスト前後の伝送損失変化について前述のOTDR法で検討した。被覆光ファイバ4に使用した樹脂A、Bおよび被覆光ファイバ4の性能を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2において、剥離、ボイドおよび除去性の判定基準は、それぞれ剥離、ボイドおよび一次樹脂が全く無ければ 、少しでも有れば×を付した。
【0040】
(実施例6〜7及び参考例1〜2)
直径125μmの石英ガラスからなるガラスファイバ1を線引きし、その外周に紫外線硬化型樹脂Aからなる外径200μmの一次樹脂被覆層2と最外周に識別層を有する外径255μmの二次樹脂被覆層3を設けた図4に示す構成の被覆光ファイバ4を作製した。
【0041】
二次樹脂被覆層3に使用される紫外線硬化型樹脂Bは、2.5%伸び時の弾性率を変化させるためウレタンアクリレート系樹脂の含有モノマー比率を調整してQ−1〜Q−4を試作した。識別層は、エポキシアクリレート系樹脂を用いた。一次樹脂被覆層2に使用した紫外線硬化型樹脂Aは、表1に示したP−3と同じものである。
【0042】
実施例6〜7の被覆光ファイバ4においては、一次樹脂被覆層2は単層では表1に示されるように良好な特性を有する樹脂P−3であり、また、二次樹脂被覆層3は2.5%伸び時の弾性率が20kg/mm2〜200kg/mm2の樹脂Q−2、Q−3である。これらの被覆光ファイバ4についてガラスファイバ1と一次樹脂被覆層2との間の剥離および一次樹脂被覆層2の亀裂によるボイドを調査したところ、剥離あるいはボイドは現われなかった。また、被覆光ファイバ4の先端部について一次樹脂被覆層2および二次樹脂被覆層3をガラスファイバ1から引抜きながら除去したところ、一次樹脂被覆層2がガラスファイバ1の表面に残留するところはなかった。
【0043】
一方、参考例1に示すように、二次樹脂被覆層3の2.5%伸びにおける弾性率を15kg/mm2まで小さくした樹脂Q−1について同様の調査をしたところ、一次樹脂被覆層2に亀裂に生じてボイドが生じている部分が存在した。反対に参考例2に示すように、二次樹脂被覆層3の2.5%伸びにおける弾性率を250kg/mm2まで大きくした樹脂Q−4について同様な調査をしたところ、伝送損失の増加は0.2dB/kmであった。
【0044】
さらに、図4に示す4本の被覆光ファイバ4を平行に配列しながら一括樹脂被覆層5を用いて、図1に示す光ファイバテープ心線6を作製した。一括樹脂被覆層5として使用した紫外線硬化型樹脂は、二次樹脂被覆層3と適度な密着性をもたせるためウレタンアクリレート系樹脂の架橋密度とウレタン基を調整した。一次樹脂被覆層2の樹脂材は、ガラスファイバとの密着力が30g/cm以上かつ80g/cm以下であり、さらに、100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2以上かつ0.25kg/mm2以下である。二次樹脂被覆層3の樹脂材は、2.5%伸びにおける弾性率が20kg/mm2以上かつ200kg/mm2以下である。このように作製された光ファイバテープ心線6の性能について調査した結果、被覆光ファイバ4には剥離あるいはボイドを生じることがなく、また、被覆の除去性および伝送損失の優れたものであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明らは、被覆光ファイバに用いられる一次樹脂被覆材について、一次樹脂被覆材が備える要件として「100%伸びにおける応力」を導入した。本発明の被覆光ファイバは、100%伸びにおける応力とガラスファイバに対する接着力とが所定範囲内の一次樹脂被覆材によって形成されるので、界面剥離あるいはボイドの発生が抑制され、また、被覆除去性のよい特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係わる光ファイバテープ心線を示す図である。
【図2】本実施形態に係わる被覆光ファイバを示す図である。
【図3】図3(a)は被覆光ファイバの被覆層を除去する前の状態を示す図であり、図3(b)は除去後の状態を示す図である。
【図4】本実施形態に係わる他の被覆光ファイバを示す図である。
【図5】従来の光ファイバテープ心線を示す図である。
【符号の説明】
1・・・ガラスファイバ、2・・・一次樹脂被覆層、3・・・二次樹脂被覆層、4・・・被覆光ファイバ、5・・・一括樹脂被覆層、6・・・光ファイバテープ心線、10・・・硬質板、11・・・接着剤、12・・・切り込み、13・・・ドラム、14・・・矢印。
Claims (2)
- ガラスファイバの外周に一次樹脂被覆層が設けられた被覆光ファイバにおいて、前記一次樹脂被覆層の樹脂材は、前記ガラスファイバとの密着力が30g/cm以上かつ80g/cm以下であり、さらに、100%伸びにおける応力が0.04kg/mm2以上かつ0.25kg/mm2以下であることを特徴とする被覆光ファイバ。
- 請求項1に記載の被覆光ファイバの外周に、2.5%伸びにおける弾性率が20kg/mm2以上かつ200kg/mm2以下の樹脂材からなる二次樹脂被覆層が更に設けられたことを特徴とする被覆光ファイバ。
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