JP3976608B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水平軸や傾斜軸を中心に回転するドラム内で洗濯物の洗濯を行うドラム式洗濯機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、横軸型のドラムを備えたドラム式洗濯機においては、縦軸型の洗濯兼脱水槽を備えた全自動洗濯機と同様に、洗濯運転に際し、ドラム内の洗濯物の負荷量を検知し、負荷量に応じて洗濯水位を決定するようにしている。
【0003】
また、ドラム式洗濯機においては、脱水時にドラム内に洗濯物の偏りによる大きな偏心荷重があると、ドラムの高速回転時や高速回転への立ち上げ途中に外槽が大きく振動してしまうため、ドラムが比較的に低速な領域で回転しているときに偏心荷重を検知し、偏心荷重が大きい場合には、一旦脱水を中止して、ドラム内の洗濯物の分散を行った後に脱水を再開するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、偏心荷重の検知に基づいて、ドラムを高速回転できるか否かの判定を精度よく、かつ短時間で行えるドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
上記課題を解決する本願発明のドラム式洗濯機は、外槽内に横軸型のドラムが回転自在に配設され、該外槽内に水を貯留した状態でドラムを回転させることによりドラム内に収容された洗濯物を洗濯し、前記外槽内から水を排出した状態でドラムを高速回転させることにより洗濯物を脱水するドラム式洗濯機において、
洗いやすすぎによって水を含んだ状態にあるドラム内の洗濯物の負荷量を検知する負荷量検知手段と、
脱水行程において、この負荷量検知手段により負荷量を検知した後であって、遠心力によってドラム内壁に洗濯物が張り付くような低速の第1速度領域でドラムを回転している状態で、ドラム内の洗濯物の偏りによる偏心荷重の大小を、前記負荷量検知手段によって検知した負荷量を考慮して判定する第1偏心荷重判定手段と、
前記ドラムが前記第1速度領域よりも高い第2速度領域で回転している状態で偏心荷重の大小を判定する第2偏心荷重判定手段と、
前記ドラムを高速回転に立ち上げる際、まず、前記第1速度領域において、前記第1偏心荷重判定手段によって偏心荷重が小さいと判定されると、前記ドラムの回転速度を上昇させ、次に、前記第2速度領域において、前記第2偏心荷重判定手段によって偏心荷重が小さいと判定されると前記ドラムの回転速度を上昇させ、一方、前記ドラムを高速回転に立ち上げる際の前記第1速度領域及び第2速度領域のいずれかにおいて、偏心荷重が大きいと判定されると、脱水動作を一旦中止し、遠心力によってドラム内壁に洗濯物が張り付かないような回転速度でドラムを回転させてドラム内で偏った洗濯物を分散させる分散動作を行い、その後脱水動作を再開する脱水制御手段と、を備え、
前記脱水制御手段は、前記第1速度領域で偏心荷重が大きいと判定された場合には、前記負荷量検知手段に新たな負荷量検知をさせずに、脱水動作再開後の前記第1脱水領域での偏心荷重の判定において、前記負荷量検知手段が前回検知した負荷量を採用し、
さらに前記脱水制御手段は、前記第2速度領域で偏心荷重が大きいと判定された場合には、前記負荷量検知手段に新たな負荷量検知をさせて、脱水動作再開後の前記第1速度領域での偏心荷重の判定において、当該の新たな負荷量を採用する、ことを特徴としている。
【0015】
ドラム内の偏心荷重が同じであっても、ドラム内の洗濯物の量が多いと、ドラムの全体重量が大きくなって慣性力が大きくなるので、振動は大きくなりにくい。一方、ドラム内の偏心荷重が同じであっても、ドラム内の洗濯物の量が多いと、ドラムの回転時に偏心荷重の影響が生じにくく、偏心荷重を小さく検知してしまう。
【0016】
これらの影響は相反するものなので、影響力が同じであれば、負荷量を考慮する必要はない。しかしながら、機器の構成などにより、通常はどちらかの影響が強く出るので、実際は負荷量を考慮しなければ、正確な立ち上げ制御を行うことができない。
【0017】
そこで、この構成では、少なくとも第1速度領域での偏心荷重判定の際に負荷量を考慮するようにする。例えば、2つの影響を相殺した結果、後者ような偏心荷重検知精度へ及ぼす影響が大きい場合、負荷量が多いほど、偏心荷重が大きいと判定する閾値を小さくするようにする。これにより、負荷量によらず、正確な立ち上げ制御ができる。
【0018】
ところで、第1速度領域で回転しているときには、回転速度が低いためほとんど洗濯物から脱水されることがない。このため、第1速度領域において偏心荷重が大きいと判定された後に脱水動作を再開したときは、負荷量はほとんど前と変化しない。そこで、この場合は、新たに負荷量を検知することなく、次に、第1速度領域において新たに偏心荷重の大小を判定するときには前の負荷量をそのまま採用する。よって、負荷量検知のために時間を費やすことがなく、脱水の立ち上げに要する時間を短縮することができる。
【0019】
一方、第2速度領域で回転しているときには、速度がある程度高いため、洗濯物からはある程度脱水される。このため、第2速度領域において偏心荷重が大きいと判定された後に脱水動作を再開したときは、負荷量は前とはかなり変わってくる。そこで、この場合は、新たに負荷量を検知し、次に、第1速度領域において新たに偏心荷重の大小を判定するときには新しい負荷量を採用する。よって、負荷量を考慮した正確な立ち上げ判断を行うことができる。
【0020】
なお、第2速度領域における偏心荷重の判定の際にも負荷量を考慮してもよく、この場合も新たに負荷量を検知すれば、その負荷量を採用する。
【0021】
また、第1速度領域や第2速度領域の回転速度は、一定であってもよいし上昇していてもよい。
【0022】
さらに、偏心荷重が大きいと判定した場合に、ドラムを一旦停止させたのちに脱水を再開して第1回転速度に到達させる動作も、第1回転速度に達するまでの段階で、遠心力によってドラム内壁に洗濯物が張り付ないような回転速度でドラムが回転し、ドラム内で偏った洗濯物が分散するので、本発明の分散動作の概念に含まれる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るドラム式洗濯機の一実施例について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本実施例のドラム式洗濯機の外観斜視図、図2は本ドラム式洗濯機内部の要部の正面縦断面図、図3は同じく内部の要部の右側面縦断面図、図4は給水部を中心に描いた構成図、図5は操作パネルの外観平面図である。
【0025】
図1に示すように、このドラム式洗濯機において、外箱1は、上面と前面との間の角部がやや丸みをもちつつ前下がりに傾斜しており、この傾斜部からその後方にかけて大きな洗濯物投入口3が開口し、この洗濯物投入口3を開閉するために、該洗濯物投入口3の後方に二つ折り状態で起立可能な上蓋2が設けられている。また、上蓋2の左側には前方に引き出し自在の洗剤容器4が、右側には前後方向に延伸して操作パネル5が設けられている。この操作パネル5はそのほぼ全体が斜め上方を指向しているため、ユーザが本洗濯機の前方に立った姿勢で斜め下方を見下ろしたとき、操作パネル5面はその視線に対して垂直に近い状態となり、表示が見易く且つ操作キーも押し易いという配慮がなされている。
【0026】
図5に示すように、操作パネル5には、操作キーとして、電源キー5a、洗濯行程の開始及び一時停止を指示するためのスタートキー5b、後述の除菌すすぎの実行を設定するための除菌プラス選択キー5c、風呂水の使用の設定を行うための風呂水選択キー5d、通常の洗剤を使用した洗濯における運転コースを選択するためのコース選択キー5e、本洗濯機の特徴的な運転コースである洗剤ゼロコースを選択するための洗剤ゼロコース選択キー5f、全洗濯乾燥行程の連続動作ではなく特定の行程のみの実行をユーザ自身が指定するための複数の各行程選択キー5gなどが備えられている。また、表示器として、指定された特定行程での洗い時間やすすぎ回数などの数値を表示するための数値表示器群5h、残り時間や予約時間を表示するための数値表示器5j、自動的に検知された負荷量に応じた洗剤量の目安が表示される洗剤量目安表示器5kが備えられているほか、上記運転コースの設定などに応じて点灯したり、洗濯行程の進捗状況を報知したりするための各種の表示器が適宜に分散して配置されている。
【0027】
次に、図2〜図4により内部構成について概略的に述べる。外箱1の内部にあっては、周面が略円筒形状で両端面がほぼ閉塞された外槽10が、外箱1の左右側面にそれぞれ端面が対向する状態で、左右両側上方から吊支する二本のばね11と、前後方向に外槽10の下部を支持する三本のダンパ12とにより適度に揺動自在に保持されている。この外槽10の内部には、洗濯物を内部に収容するための内槽として、多数の通水穴13aが穿孔された略円筒形状の周面とほぼ閉塞された両端面とを有する横型のドラム13が、左右方向に延伸する水平軸線Cを中心に回転自在に設けられている。このドラム13の内周面には、回転に伴って洗濯物を掻き上げるためのバッフル13bが、水平軸線Cの周りに略120°の角度間隔で設けられている。ドラム13の左右両端部にはバランサ65が設けられている。このバランサ65は、内部に液体が封入された環状中空体であって、その内部の外周側に放射状に設けられた隔壁によって内周側が連通した複数の区画室に画成されている。
【0028】
ドラム13の左端面中央に固着された主軸14は、外槽10の左端面に固定されている第1軸受ケース16に保持された軸受17により支承されている。他方、ドラム13の右端面中央に固着された補助軸15は、外槽10の右端面に固定されている第2軸受ケース18に保持された軸受19により支承されている。この主軸14及び補助軸15により上記水平軸線Cが形成される。外槽10の左端面から側方へと突出した主軸14の先端には、アウタロータ型の直流ブラシレスモータ20のロータ20bが固定され、一方、モータ台を兼ねる第1軸受ケース16にはモータ20のステータ20aが固定されている。図示しない制御回路からステータ20aに駆動電流が供給されるとそれによってロータ20bが回転し、主軸14を介してロータ20bと同一の回転速度でドラム13が回転駆動される。
【0029】
外槽10の周面の上部から斜め前方にかけて、外箱1の洗濯物投入口3と一致する位置に、洗濯物を出し入れするための外槽開口100が設けられ、外槽開口100は左右水平方向に延伸する軸を中心に回動自在に設けられた外槽扉101により開閉自在となっている。また、ドラム13の周面(胴部)にも洗濯物を出し入れするためのドラム開口130が設けられ、ドラム開口130は、前後方向に観音開き構造を有する二枚の扉体131a,131bから成るドラム扉131により開閉自在となっている。但し、ドラム13は回転可能であるため、ドラム開口130が外槽開口100と径方向に一致した位置でドラム13が停止状態を維持するように、ステータ20aの下方にはドラムロック装置21が設けられており、ドラム13停止時にはドラムロック装置21から突出するピンとロータ20bに形成されている係合凹部とが噛み合い、ドラム13の停止位置が決まるように構成されている。
【0030】
外槽10の右側底部には排水口22が設けられ、排水口22はトルクモータの動作により開閉する排水バルブ23を介し、図示しない排水ホースを通して外部の排水溝へと接続されている。また、外槽10の最底部には一段窪んだ凹陥部10aが形成されており、そこにはほぼ水平に延在する水加熱ヒータ24が配設されており、外槽10内に貯留された水を適度な温度に加熱することができるようになっている。
【0031】
その凹陥部10aよりも前方側の外槽10底部には、外槽10内に貯留された水を電気分解するために複数枚の板状の電解用電極25aを電解室25b内部に備えた電解水生成部25が、外槽10に対して着脱可能に配設されている。電解水生成部25の電解室25bと外槽10とは、上下にそれぞれ略水平に延びる二本の連通管25c,25dで連結されている。電解用電極25aは耐腐食性を有するべくチタンの表面に白金をコーティングしたものであり、この電解用電極25aが水中に没する状態で電解用電極25a間に所定電圧を印加すると、後述するように次亜塩素酸などの含塩素物質と活性酸素種とを含む電解水が生成され、これによって洗い性能を高めることができるとともに除菌作用を発揮することができる。この点について後で詳述する。
【0032】
図1に示したように、外箱1の上面後部には、一端が水道栓に接続される水道水給水ホースの他端が接続される水道水給水口6と、一端が例えば風呂の浴槽内に貯留された水に浸漬される風呂水ホースの他端が接続される風呂水給水口7とが設けられている。図4に示すように、水道水給水口6は給水バルブ30の水導入口に接続され、風呂水給水口7は風呂水ポンプ31の吸入口に接続されている。給水バルブ30の複数の水導出口には大別して洗剤給水路32と柔軟仕上剤給水路33とが接続され、それぞれ洗剤投入器35に引き出し自在に内装される洗剤容器4の洗剤収容部4aと柔軟仕上げ剤収容部4bとに水を吐き出すように構成されている。また、洗剤給水路32は分岐され、風呂水ポンプ31に呼び水を供給する呼び水配管34となっている。風呂水ポンプ31の吐出口に接続された風呂水給水路36も洗剤容器4の洗剤収容部4aに水を吐き出すように構成されている。なお、図示していないが、給水バルブ30からは乾燥運転時の除湿用の冷却水を流す除湿水路も設けられている。
【0033】
洗剤容器4に吐き出された水はいずれも、最終的には洗剤投入器35から給水管37を通り、外槽10の後部側の注水口から外槽10内に流れ込む。而して、水道水は給水バルブ30におけるバルブ開閉制御に応じて、風呂水は風呂水ポンプ31の動作に応じて、いずれも洗剤投入器35を介して給水管37から外槽10へと供給される。
【0034】
外槽10の凹陥部10a後方側には、外槽10の左右方向の略中央付近に設けられた開口10bから右端面側に延伸する筒状の管路10cが外槽10と一体に形成されており、該管路10cは乾燥運転の際に外槽10内に加熱空気を循環的に供給するための乾燥循環風路の一部となっている。図示しないが、乾燥循環風路の他の主要部分は外槽10の右端面及び第2軸受ケース18の外側及び後方に配設され、乾燥循環風路内には、外槽10内から上記開口10bを介して取り出された湿った空気を除湿するための除湿器、除湿された空気を加熱するための乾燥用ヒータ、外槽→除湿器→ヒータ→外槽という循環的な空気流を発生させる送風ファンなどが設けられている。
【0035】
図6は、上記構成を有する本実施例のドラム式洗濯機の電気系ブロック構成図である。制御部50はCPU、ROM、RAM、タイマなどを含むマイクロコンピュータ(マイコン)を中心に構成されており、ROMに格納されている制御プログラムに基づいて、洗い、すすぎ、脱水及び乾燥の各行程の運転動作を行うための各種の制御を実行する。
【0036】
制御部50には、使用者が各種設定や指示を与えるために操作パネル5に設けられた上記各種操作キーからキー入力信号が与えられるとともに、外槽10内に貯留された水の水位を検知する水位センサ52、洗いやすすぎ行程時には水温を、乾燥行程時にはドラム13の出口側の温度を検出するドラム出口温度センサ53、乾燥行程時に除湿後の冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ54、モータ20へ影響を与えるような温度であるドラム式洗濯機の周囲の雰囲気温度を検知するために制御基板上に配置された雰囲気温度センサ62、商用電源からの供給電圧(電源電圧)を検知するための電圧検知回路63、モータの回転速度を検知するための速度センサ64、外槽10内での異常な泡の発生を検知する泡検知センサ55などからそれぞれ信号が入力される。
【0037】
また、制御部50には負荷駆動部51が接続されており、この負荷駆動部51を介して既に説明したドラムモータ20、水加熱ヒータ24、給水バルブ30、風呂水ポンプ31、排水バルブ23、電解水生成部25、ドラムロック装置21のほか、上記送風ファンを回転駆動するファンモータ60や乾燥用ヒータ61などの動作をそれぞれ独立に制御する。この負荷駆動部51はインバータ回路(インバータ手段、出力手段)を含む。このインバータ回路は、速度センサ64によって検知した回転速度に基づいて制御部50が決定したデューティ比に従ってモータ20へ駆動電圧を出力する。
【0038】
さて、本実施例のドラム式洗濯機は、洗濯運転が開始されると、ドラム13内の洗濯物の負荷量を検知し、この負荷量に基づいて、洗濯水位を決めるなどしている。以下、負荷量検知の制御動作について、図7のフローチャートにしたがって説明する。
【0039】
まず、商用電源(AC100V)の実際の電源電圧を検出する(ステップS1)。次に、モータ20(ドラム13)を起動し、第1回転速度65rpmまで立ち上げる(ステップS2)。モータ20の回転速度が65rpmに到達すると、検知した電源電圧に基づいて固定するデューティ比を決定する(ステップS3、S4)。電源電圧が大きいほどデューティ比は小さく設定される。次に、設定されたデューティ比に従ってモータ20へ駆動電圧が印加すると共に、所要時間のカウントを開始する(ステップS5)。こうして、モータ20の回転速度が上昇し、モータが第2回転速度140rpmに達すると、モータ20を停止すると共に、カウントを停止する(ステップS6、S7)。次に、雰囲気温度センサ62によって雰囲気温度を検知する(ステップS8)。そして、この検知温度に基づいて決定された温度補正値αをカウントされた所要時間T0に加算して、測定時間Tを算出する(ステップS9)。負荷量を判定するために閾値Ta、Tb、Tc(Ta<Tb<Tc)を複数設けており、この測定時間Tをこれら閾値と比較する。そして、T<Taならば、負荷量を0〜1Kgと判定し、Ta≦T<Tbならば、負荷量を1〜2kgと判定し、Tb≦T<Tcならば、負荷量を2〜4.5kgと判定し、Tc≦Tならば、負荷量を4.5〜8kgと判定する(ステップS10)。
【0040】
出願人が実験したところ、今回の負荷量検知に使用する速度領域では、同じ駆動電圧であっても温度が高いほどモータ20のトルクが大きくなることを確認した。よって、温度補正値αは、温度が高いほど大きな値としている。このため、同じ所要時間であっても検知温度が高いほど負荷量を大きめに判定する。
【0041】
なお、第1回転速度、第2回転速度に達するまでの時間には、制限時間を設けている。即ち、制限時間1分以内に65rpmに達しない場合には、負荷量を4.5〜8kgと判定し(ステップS3、S11、S12)、以降の負荷量検知を行わない。また、65rpmから制限時間5秒以内に140rpmまで達しない場合には、負荷量を4.5〜8kgと判定する(ステップS6、S11、S12)。
【0042】
以上のように、本ドラム式洗濯機では、負荷量検知を行う前に、電源電圧を検知し、電源電圧の大きさに応じて負荷量検知を行うときのデューティ比を決定するようにしたので、電源電圧の変動によらず、一定の駆動電圧をモータ20に印加することができ、正確な負荷量検知を行うことができる。
【0043】
さらに、モータ20に影響を及ぼす雰囲気温度を検知し、回転速度の上昇勾配(第2回転速度までの所要時間)と、検知した温度とに基づいて負荷量を判定するようにたので、モータ20への温度の影響に左右されず、正確に負荷量検知を行うことができる。
【0044】
なお、モータ20に影響を及ぼす雰囲気温度ではなく、モータ20自身の温度を検知するようにしてもよい。
【0045】
次に、本実施例のドラム式洗濯機においては、脱水行程において、ドラム13の高速回転時や高速回転に立ち上げるときに、ドラム13内の洗濯物の偏りによって生ずる偏心荷重によって外槽10が大きく振動しないような脱水立ち上げ制御を行っており、この制御動作を図8のフローチャートにしたがって説明する。
【0046】
脱水行程に入ると、前記モータ20を起動して、初期速度80rpmまで立ち上げ、80rpmに達すると定速制御により回転速度を80rpm維持した状態で、ドラム13内の洗濯物の偏りによる偏心荷重の検知を行う(ステップS20、S21)。例えば、偏心荷重が大きいほど、定速回転状態におけるドラム13(モータ20)の回転速度の変動が大きくなるので、この現象を利用し、この回転速度変動の大きさ検知して、これに基づいて偏心荷重を求める。そして、求めた偏心荷重を所定の初期閾値と比較し(ステップS22)、初期閾値以下であれば、偏心荷重が小さいと判定して回転速度を上昇させて第1速度100rpmまで立ち上げる。
【0047】
モータ20の回転速度が100rpmに達すると、定速制御により回転速度を100rpm維持した状態で、まず、ドラム13内の洗濯物の負荷量検知を行う(ステップS23、S25)。例えば、一時的にモータ20に電気的なブレーキを掛け、そのときの回転速度の低下度合いを検知し、この低下度合いによって負荷量の大小を判定する。即ち、低下量が大きいほど負荷量が小さいと判定する。そして、検知した負荷量に基づいて、第1閾値、第2閾値及び第3閾値を設定する(ステップS26)。第1閾値及び第2閾値は、この第1速度(第1速度領域)で行う偏心荷重の判定において、検知した偏心荷重と比較される閾値であり、第3閾値は、第1速度領域よりも高い第2速度領域170rpm〜260rpmで行う偏心荷重の判定において、検知された偏心荷重と比較される閾値である。これらの閾値は、検知した負荷量が大きいほど小さい値に設定される。その理由は、以下のとおりである。
【0048】
ドラム13内の偏心荷重が同じであっても、ドラム13内の洗濯物の量が多いと、ドラム13の全体重量が大きくなって慣性力が大きくなるので、振動は大きくなりにくい。一方、ドラム13内の偏心荷重が同じであっても、ドラム13内の洗濯物の量が多いと、ドラム13の回転時に偏心荷重の影響が生じにくく、偏心荷重を小さく検知してしまう。出願人の行った実験の結果、本ドラム式洗濯機の場合は、後者ような負荷量が偏心荷重検知精度へ及ぼす影響の方が大きいことが判明した。このため、負荷量が多いほど閾値を小さく設定するようにしたのである。
【0049】
さて次に、回転速度を100rpmに維持したまま、初期速度と同様の偏心荷重検知を行う(ステップS27)。そして、求めた偏心荷重と第1閾値とを比較する(ステップS28)。この第1閾値は、このままの状態で回転速度を上昇させるか否かを判定するための閾値である。このときの偏心荷重が第1閾値以下であれば、偏心荷重が小さいと判定してさらに回転速度を上昇させる(ステップS29)。
【0050】
一方、偏心荷重が第1閾値より大きければ、第2閾値と比較する(ステップS30)。この第2閾値は、バランサ65を用いて行う偏心荷重の軽減制御(以下、G−FALL制御という)によって十分小さくできる偏心荷重であるか否かを判定するための閾値である。偏心荷重が第2閾値以下であれば、偏心荷重を十分小さくできると判断して、次にG−FALL制御を行う(ステップS31)。即ち、100rpmでの回転状態では、バランサ65の各区画室には略同等の液が貯められている。そこで、偏心荷重位置にある区画室が上方に持ち上げられつつあるタイミングでドラム13の回転速度を短時間減速させる。すると、液体に作用する遠心力が減少するので、この区画室からの液体がこぼれ落ち、他の区画室に流れ込む。このような減速を1ないし複数回繰り返すことにより、偏心荷重位置近傍の区画室の液体は殆どなくなり、その反対の区画室の液量が増加する。これにより、バランサ65の偏心荷重と洗濯物による偏心荷重との釣り合いによってドラム13全体の偏心荷重が小さくなる。
【0051】
こうして、G−FALL制御によって偏心荷重を小さくすると、再びステップS27に戻って偏心荷重の検知を行う。
【0052】
さて、回転速度が上昇して170rpmに達すると、その後回転速度が260rpmに達するまで、定期的に偏心荷重の判定を行う(ステップS32〜S35)。偏心荷重が大きいと激しく外槽10が振動して上昇するはずの回転速度が一時的に低下するので、その低下量を偏心荷重の大きさの指標とし、この低下量(前回との速度差)を検知して第3閾値と比較する。第3閾値以下であれば、偏心荷重が小さいと判定して回転速度を上昇させたまま、偏心荷重の判定を繰り返す。そして、260rpmに達した時点で定期的な偏心荷重判定を止めて、その後、最終的に脱水を行う高速回転速度へ上昇させる。
【0053】
ところで、ステップS22、ステップS30、ステップS34において、偏心荷重がそれぞれの閾値(初期閾値、第2閾値、第3閾値)より大きいときは、偏心荷重が大きいと判定して、一旦脱水動作を中止してドラム13(モータ20)を停止する。また、ステップS30で偏心荷重が大きいと判定したときは、ステップS36で負荷量検知フラグ(FLAG)を「1」に設定し、ステップS34で偏心荷重が大きいと判定したときは、ステップS37で負荷量検知フラグを「0」に設定する。この負荷量検知フラグは、ステップS25で負荷量検知を行うか否かを指示するフラグであり、「0」なら負荷量検知を行うことを指示し、「1」なら負荷量検知を行わないことを指示する。なお、負荷量検知フラグは、初期状態では「0」に設定される。
【0054】
ドラム13が一旦停止されると、脱水動作を再開する。即ち、モータ20を再び起動し、最初と同じように初期速度80rpmまで立ち上げる。このとき、洗濯物がドラム内壁に張り付く回転速度、即ち洗濯物に作用する遠心力が重力よりも小さくなる回転速度になるまでの間は、洗濯物がほぐされてドラム内で分散する。よって、初期速度に立ち上がったときには、偏心荷重が小さくなっている可能性が高い。
【0055】
次に、このあと第1速度100rpmに達したときには、ステップS24で、負荷検知フラグを判定する。そして、このフラグが「1」であれば、負荷量検知を行わずに、ステップS27の偏心荷重の検知に移行する。これは、前には第1速度領域で脱水が中止されたため、この速度領域では負荷量が大きく変わるほどの洗濯物からの脱水がなく、負荷量検知の必要がないからである。
【0056】
一方、負荷量検知フラグが「0」であれば、ステップS25で新たに負荷量を検知し、ステップS26でこの負荷量に基づいて第1閾値、第2閾値、第3閾値を設定する。これは、前には第2速度領域で脱水が中止されたため、この速度領域で負荷量がある程度変わってしまうほどの洗濯物からの脱水があるため、負荷量検知の必要があるからである。
【0057】
こうして、以降は最初と同じように脱水の立ち上げの制御が行われることになる。
【0058】
以上のように、本ドラム式洗濯機においては、偏心荷重の大小を判定するときに洗濯物の負荷量を考慮するようにしているので、負荷量によらず、正確な立ち上げ制御ができる。
【0059】
その上、回転速度が低いためほとんど洗濯物から脱水されることがない第1速度領域において偏心荷重が大きいと判定されたことにより、脱水動作を中断したときには、脱水再開後に第1速度領域において、新たに負荷量を検知せず、前の負荷量に基づく閾値で偏心荷重の大小を判定するようにしているので、負荷量検知のために時間を費やすことがなく、脱水の立ち上げに要する時間を短縮することができる。
【0060】
一方、洗濯物からはある程度脱水される第2速度領域において偏心荷重が大きいと判定されたことにより、脱水動作を中断したときにときには、脱水再開後に第1速度領域において、新たに負荷量を検知して閾値を設定しなおし、偏心荷重の大小を判定するようにしているので、負荷量を考慮した正確な立ち上げ判断を行うことができる。
【0061】
なお、偏心荷重が大きくて脱水を中断したときには、脱水を再開する前に、ドラム内壁に洗濯物が張り付かないような回転速度でドラム13を正逆回転して、ドラム13内の洗濯物をほぐすような分散動作を行ってもよい。この場合、多少所要時間は増加するが洗濯物の分散効果は大きくなる。
【0062】
以上、本発明のドラム式洗濯機の一実施例について説明したが、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更や修正を行える。
【0063】
例えば、偏心荷重の判定の仕方は、上記実施例に限られずどのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例によるドラム式洗濯機の外観斜視図。
【図2】 本実施例のドラム式洗濯機の内部の要部の正面縦断面図。
【図3】 本実施例のドラム式洗濯機の内部の要部の右側面縦断面図。
【図4】 本実施例のドラム式洗濯機の給水部を中心に描いた構成図。
【図5】 本実施例のドラム式洗濯機の操作パネルの外観平面図。
【図6】 本実施例のドラム式洗濯機の電気系構成図。
【図7】 本実施例のドラム式洗濯機の負荷量検知の制御動作を示すフローチャート
【図8】 本実施例のドラム式洗濯機の脱水立ち上げ制御動作を示すフローチャート
【符号の説明】
10 外槽
13 ドラム
20 直流ブラシレスモータ
50 制御部(負荷量検知手段、モータ制御手段、決定手段、第1偏心荷重判定手段、第2偏心荷重判定手段、脱水制御手段)
62 雰囲気温度センサ(温度検知手段)
64 速度センサ(速度検知手段)
Claims (1)
- 外槽内に横軸型のドラムが回転自在に配設され、該外槽内に水を貯留した状態でドラムを回転させることによりドラム内に収容された洗濯物を洗濯し、前記外槽内から水を排出した状態でドラムを高速回転させることにより洗濯物を脱水するドラム式洗濯機において、
洗いやすすぎによって水を含んだ状態にあるドラム内の洗濯物の負荷量を検知する負荷量検知手段と、
脱水行程において、この負荷量検知手段により負荷量を検知した後であって、遠心力によってドラム内壁に洗濯物が張り付くような低速の第1速度領域でドラムを回転している状態で、ドラム内の洗濯物の偏りによる偏心荷重の大小を、前記負荷量検知手段によって検知した負荷量を考慮して判定する第1偏心荷重判定手段と、
前記ドラムが前記第1速度領域よりも高い第2速度領域で回転している状態で偏心荷重の大小を判定する第2偏心荷重判定手段と、
前記ドラムを高速回転に立ち上げる際、まず、前記第1速度領域において、前記第1偏心荷重判定手段によって偏心荷重が小さいと判定されると、前記ドラムの回転速度を上昇させ、次に、前記第2速度領域において、前記第2偏心荷重判定手段によって偏心荷重が小さいと判定されると前記ドラムの回転速度を上昇させ、一方、前記ドラムを高速回転に立ち上げる際の前記第1速度領域及び第2速度領域のいずれかにおいて、偏心荷重が大きいと判定されると、脱水動作を一旦中止し、遠心力によってドラム内壁に洗濯物が張り付かないような回転速度でドラムを回転させてドラム内で偏った洗濯物を分散させる分散動作を行い、その後脱水動作を再開する脱水制御手段と、を備え、
前記脱水制御手段は、前記第1速度領域で偏心荷重が大きいと判定された場合には、前記負荷量検知手段に新たな負荷量検知をさせずに、脱水動作再開後の前記第1脱水領域での偏心荷重の判定において、前記負荷量検知手段が前回検知した負荷量を採用し、
さらに前記脱水制御手段は、前記第2速度領域で偏心荷重が大きいと判定された場合には、前記負荷量検知手段に新たな負荷量検知をさせて、脱水動作再開後の前記第1速度領域での偏心荷重の判定において、当該の新たな負荷量を採用する、ことを特徴とするドラム式洗濯機。
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