JP3970647B2 - 製紙機械用ベルト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
本発明は経糸および緯糸を用いて織成された製紙機械用のベルトであって、製紙機械において抄紙機の乾燥部で使用される抄紙用ドライヤーカンバスおよび製紙機械において湿紙もしくはシートの搬送などに用いられる製紙機械用のベルトに関する。
【0002】
以下、特に断りのない限り、「製紙機械用ベルト」とは抄紙用ドライヤーカンバスを含む製紙機械用途のベルトを言う。
【0003】
【従来の技術】
以下、主に抄紙用ドライヤーカンバスについて説明するが、それにより、その他製紙機械で使用されるベルトについてもその作用・効果が理解でき、適用が可能となる。
【0004】
抄紙用ドライヤーカンバスは、寸法安定性、耐熱性、耐摩耗性、抗張力性および耐薬品性に優れたポリエステルモノフィラメントよりなるものが一般的である。また、ドライヤーカンバスの長手方向(経糸方向)の両端部に設ける継手部を、経糸を折返した接合用ループにて作成する所謂ワープループ継手が多用されるが、この場合にも上記性能を有するモノフィラメント、特にポリエステルモノフィラメントの経糸が適している。
【0005】
近年の抄紙機の高生産性や高抄速化の傾向に伴い、ドライヤーカンバスの使用条件も一層厳しくなると共に、従来にも増して使用寿命の長いことが要求されるようになってきた。このカンバスの長寿命化のために、耐摩耗性を向上させることが重要な要件の一つになってきている。近年の省資源や原料コストの低減の要求に応じた古紙原料使用率の増加に伴う添料の変化や増加傾向も、耐摩耗性向上の必要性に影響を与えている。
【0006】
また、抄紙機の一方の側(例えば上部)だけに配設されたドライヤーカンバスに湿紙が帯同されて走行する、所謂シングルラン方式や、ドライヤーシリンダーを抄紙機の上部もしくは下部の一方の側に単列配置した、所謂単列ドライヤー方式などの構成による高抄速、広幅の抄紙機が多く使用されており、この場合、ドライヤーカンバスは通気度を低めに、厚さは薄いことが好ましい。また、抄紙機の高抄速化、広幅化の傾向に対応するためにドライヤーカンバスは使用時の寸法変化や変形が極めて少なく、形態保持性、寸法安定性に優れ蛇行・斜行のない安定した走行性を示すことが従来に増して要求されている。
【0007】
ポリエステルモノフィラメントは寸法安定性や耐熱性、耐摩耗性、抗張力性に優れているが、近年の抄紙機で要求される高度な条件に合致したカンバスとするためには、糸自身の性能の向上だけでは対応が困難であり、ドライヤーカンバスの織組織で工夫することが必要になってきた。
【0008】
カンバスの織組織を工夫したものとして、特表平10−505138号公報で提案されている抄紙機械布ベルトの織組織がある。この公報に記載の織組織は、図12に示されたものである。
【0009】
この特表平10−505138号公報には、経糸に、望ましくは断面形状が扁平な糸を使用し、緯糸は大、小2種類のサイズの糸をその層内で交互に、かつ上下に重ねて配置し、図12に示すような織組織とし、小さい緯糸に織り込まれた経糸のナックルが表面に出ないような表・裏二層の構造とし、かつ、耐熱性、耐摩耗性と耐加水分解性を有する糸を使用すること、およびその結果、使用寿命を長くできる効果のあることが記載されている。
【0010】
しかしながら、経糸が抄紙機械布ベルトの表面または裏面のいずれかを規定する構造であり、ベルト表面または裏面のいずれかの経糸が熱および摩耗による劣化を直接に受けることにより、ベルトの使用寿命に影響することが考えられる。また経糸をベルト端部で折返して接合用ループを形成させ織り戻すワープループ継手や、折返す経糸でスパイラル線を係止するスパイラル継手等の継手部をベルト端部に具備する場合、接合用ループを形成する経糸、または、スパイラル線を係止する経糸を、抄紙機械布ベルトの表面または裏面のいずれか一方の面での熱や摩耗による劣化が回避された表面または裏面を規定する経糸で形成するとしても、その経糸の端部を、接合用ループを形成またはスパイラル線を係止した後に抄紙機械布ベルトの元の組織に再度織り戻す際には、表面または裏面の他方を規定する隣接する経糸、すなわち表面または裏面のいずれかの一方の同じ面での熱や摩耗による劣化の回避が必ずしも期待できない表面または裏面の他方の面を規定する経糸のコースに織り戻すことになるため、織り戻したその経糸の部分は熱や摩擦による劣化を直接受けることになり、結果的にベルト本体に比べて継手部の織組織が早期に劣化する可能性があり、接合用ループもしくはスパイラル線の係止を維持するのが困難となる可能性を否定できない。
【0011】
また、これとは別に特開平8−209580号公報に提案されている乾燥布の織組織がある。この公報に記載の織組織は、図13〜図15に示されたものである。この公報には、製紙機布は、上面と下面を規定する平坦な縦方向糸を含み、各々が平坦な縦方向糸に織り込まれる2層の横方向糸を有し、うねり交差部の他の縦方向糸は、2層の横方向糸と織られた2層を互いに結び付け、これらのうねった縦方向糸のナックルは、平坦な縦方向糸で規定されて平面に関して布の内側に存在することが記載されている。その結果、熱や摩耗による劣化をより受けにくく、平坦さによる縦方向糸の保護により長い布寿命が得られる旨の効果が記載されている。
【0012】
しかし、この織組織によれば、図15に示す緯糸18’は、経糸26およびループ30を形成する経糸の2本の経糸に織り込まれている。また、緯糸18は、経糸26の下側およびループ30を形成する経糸の上側に位置するが、図15によく示されているように、それぞれの経糸は緯糸18を大きく捲回することなく交錯しており、緯糸18を強く締め付けていないので、また、緯糸のうち太い寸法の緯糸18は、クリンプがつき難いと考えられるので、組織としては不安定で、用途によっては目ズレを起こすことが考えられ、寸法安定性が良くないことも考えられる。さらに、通気度の高いものを得ようとすると、例えば緯糸の密度を小さくする必要があるので、上記影響が大きく出てくることが考えられる。そのため、形態や寸法の安定性を満たしつつ、高い通気度品を得るのが難しいことも予想される。従って、通気度を広い範囲で調整することが難しいことになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、上記従来の技術およびその問題点を勘案して、近年の高抄速・広幅の製紙機械にも適用が可能な機能、すなわち優れた形態保持特性、寸法安定性および走行の安定性を備えると共に、湿熱を含む熱劣化および摩耗損傷に対する耐性を有する構造を備え、従来にも増して使用寿命の延長が見込める抄紙用ドライヤーカンバスを含む製紙機械用ベルトを提供する。
【0014】
より詳しくは、該ベルトの表面側および裏面側からの熱負荷の影響および摩耗損傷を受ける状況下にあっても、該ベルトが有する優れた形態保持性と寸法安定性とが維持され、長期にわたり走行の安定性が確保できる製紙機械用ベルトを提供する。
【0015】
しかも併せて、抄紙用ドライヤーカンバスにおいて必要不可欠な湿紙との接触面の良好な平滑性、ならびに、低い通気度範囲を含む広い通気度の調整範囲が得られる製紙機械用ベルトとすることは勿論である。さらには、ドライヤーシリンダーを一方の側に単列に配置した、所謂、単列ドライヤー方式などの形式の抄紙機における乾燥部にも適用可能な、低い通気度範囲と厚さ寸法範囲を得ることを目指すものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための手段について種々検討を重ねた結果、本発明に到達したものである。すなわち、
【0017】
▲1▼ 合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布からなる製紙機械用ベルトであって、該ベルトが少なくとも表面層と裏面層を備え、表面層を形成する経糸が少なくとも裏面層側からの熱劣化および摩耗損傷を受け難く、かつ、裏面層を形成する経糸が少なくとも表面層側からの熱劣化および摩耗損傷を受け難い織物構造を有するものとする。
【0018】
▲2▼ 上記表面層と裏面層とが、織成布を構成する緯糸の一部であって、表面層側および裏面層側の両方からの熱劣化および摩耗損傷が回避された前記緯糸の一部を介して結合された該ベルトの織物構造とする。それにより、表面層と裏面層の結合状態が、表面層側および裏面層側の両方からの熱および摩耗による影響を受け難く、結合状態を長期にわたって維持可能な織物構造となる。
【0019】
▲3▼ 織成布を構成する経糸の一部であって、表面層側および裏面層側の両方からの熱劣化および摩耗損傷が回避された前記経糸の一部が、前記表面層側および裏面層側の両方からの熱劣化および摩耗損傷が回避された前記緯糸の一部だけを強固に織り込んで、織成布の表面および裏面から隔離された織成布の一部をなす織物構造部分を有する織物構造とする。それにより、該ベルトに優れた形態保持性、寸法安定性および走行安定性を付与できると同時に、それら性能が、表面層側および裏面層側の両方からの熱および摩耗による影響によっても低下し難く、それら性能を長期にわたって維持可能な織物構造となる。
【0020】
▲4▼ 前記織成布の表面および裏面から隔離された織成布の一部をなす織物構造部分を構成する経糸が、該ベルトの長手方向(経糸方向)に作用する張力負荷を直接負担することが可能な該ベルトの構造とする。それにより、優れた走行安定性が、表面層側および裏面層側の両方からの熱および摩耗の影響によっても低下せず、該ベルトの安定した走行性能を長期にわたって維持可能となる。
【0021】
▲5▼ 少なくとも湿紙と接触する前記表面層側表面への経糸の表出が均一かつ充分に確保された織物構造とする。それにより、少なくとも前記表面層側表面の良好な表面性を有し、抄紙用ドライヤーカンバスに求められる高度な品質要求にも適用可能な製紙機械用ベルトとする。
【0022】
【発明の実施形態】
本発明の製紙機械用ベルトは、合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布から成る製紙機械用ベルトであって、表面層および裏面層を備え、経糸が第1経糸および第2経糸から成り、緯糸が表面層側の第1層の緯糸裏面層側の第2層の緯糸、およびベルトの厚さ方向で第1層の緯糸と第2層の緯糸との間に配された第3層の緯糸から成る。以下本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は本発明の第1実施形態に係る製紙機械用ベルト40の織物の縦断面概念図である。この実施形態の織組織の製紙機械用ベルト40は、経糸が第1経糸(例えば図1の場合、53,54,55,56)および第2経糸(例えば図1の場合、57,58,59,60)、緯糸が第1層の緯糸61、第2層の緯糸62および第3層の緯糸63から成る。第1経糸のうちの一部(例えば図1における表面層側51の第1経糸53,55)が、連続する2本〜4本のいずれかの本数(図1の場合2本)の第1層の緯糸61を表面層側51から織り込み、次に1本または連続する2本(図1の場合1本)の第3層の緯糸63を裏面層側52から織り込み、さらに次の連続する2本〜4本のいずれかの本数(図1の場合2本)の第1層の緯糸61を表面層側51から織り込む繰り返しのパターンで、第1層および第3層の緯糸61,63を織り込んで表面層41を形成する。
【0024】
また、第1経糸のうちの残部(例えば、図1における裏面層側52の第1経糸54,56)が、連続する2本〜4本のいずれかの本数(図1の場合2本)の第2層の緯糸62を裏面層側52から織り込み、次に1本または連続する2本(図1の場合1本)の第3層の緯糸63を表面層側51から織り込み、さらに次の連続する2本〜4本のいずれかの本数(図1の場合2本)の第2層の緯糸62を裏面層側52から織り込む繰り返しのパターンで、第2層の緯糸62および第3層の緯糸63を織り込んで裏面層42を形成する。
【0025】
さらに、第2経糸(図1の場合、57,58,59,60)は第3層の緯糸63だけを織り込む。
【0026】
さらにまた、表面層41を形成する第1経糸(例えば図1における53,55)と裏面層42を形成する第1経糸(例えば図1における54,56)が該ベルトの厚さ方向に重なる第1経糸の対(図1の場合は、第1経糸53と54、および第1経糸55と56が対を形成)を形成する。
【0027】
なお、図1では、前記第2経糸57,58,59,60は、第3層の緯糸63を平織組織に織り込む例を示している。
【0028】
図2は本発明の第2の実施形態に係る製紙機械用ベルト70の織組織の縦断面概念図である。この実施形態の織組織の製紙機械用ベルト70は、第1経糸のうちの一部(例えば、図2における表面層側71の第1経糸73,75)が、第1層の緯糸79および第3層の緯糸81を織り込んで表面層41を形成する繰り返しパターンは、例えば、図1で示した上記実施形態の織組織と同じであり、また、第1経糸のうちの残部(例えば図2におけ裏面層側72の第1経糸74,76)が第2層の緯糸80および第3層の緯糸81を織り込んで裏面層42を形成する繰り返しパターンも、例えば図1で示した上記実施形態の織組織の場合と同じであり、第2経糸(図2の場合、77,78)が第3層の緯糸81だけを織り込み、さらに表面層41を形成する第1経糸(例えば、図2における73,75)と裏面層42を形成する第1経糸(たとえば、図2における74,76)が該ベルトの厚さ方向に重なる第1経糸の対(図2の場合は、第1経糸73と74,および第1経糸75と76が対を形成)を形成する点も、例えば図1で示した上記の実施形態の織組織と同じである。なお、図2では前記第2経糸77,78が第3層の緯糸81を平織組織に織り込む例を示している。
【0029】
図3は本発明の第3の実施形態に係る製紙機械用ベルト90の織組織の縦断面概念図である。この実施形態の織組織の製紙機械用ベルト90は、図3に例示したように、経糸が第1経糸93,94,95,96,97,98および第2経糸99,100,101,102,103,104、緯糸が第1層の緯糸105、第2層の緯糸106および第3層の緯糸107から成る。第1経糸のうちの一部93,95,97が、連続する3本の第1層の緯糸105を表面層側91から織り込み、次に1本の第3層の緯糸107を裏面層側92から織り込み、さらに次の連続する3本の第1層の緯糸105を表面層側91から織り込む繰り返しのパターンで、第1層および第3層の緯糸を織り込んで表面層41を形成する。
【0030】
また、第1経糸のうちの残部94,96,98が、連続する3本の第2層の緯糸106を裏面層側92から織り込み、次に1本の第3層の緯糸107を表面層側91から織り込み、さらに次の連続する3本の第2層の緯糸106を裏面層側92から織り込む繰り返しのパターンで、第2層の緯糸106および第3層の緯糸107を織り込んで裏面層42を形成する。
【0031】
さらに、第2経糸99,100,101,102,103,104は第3層の緯糸107だけを(例えば、図3の例では平織組織)織り込んでいる。
【0032】
さらには、表面層41を形成する第1経糸93,95,97と裏面層42を形成する第1経糸94,96,98が該ベルトの厚さ方向に重なる対、すなわち、経糸93と94、経糸95と96、経糸97と98の対を形成する。
【0033】
上記本発明の第1〜第3実施形態の製紙機械用ベルト40、70、90において、第1経糸のうちの1部が、連続する2本〜4本のいずれかの本数の第1層の緯糸を表面層から織り込み、次に第3層の緯糸を裏面層側から織り込み、さらに次の連続する2本〜4本のいずれかの本数の第1層の緯糸を表面層側から織り込む繰り返しのパターンで、前記第1層および第3層の緯糸を織り込んで表面層を形成し、同様に第1経糸の残部が裏面層を形成する組織は、必要な表面層および裏面層の表面平滑性と形態保持性を勘案して適宜選択できる。すなわち、第1経糸が第1層の緯糸を表面層側から織り込む本数、および第1経糸が第2層の緯糸を裏面層側から織り込む本数は、少ないほど形態保持性に有利であるが、1本では必要な表面平滑性を得られない。また、5本以上では必要な形態保持性が得難くなる。
【0034】
また、上記の第1〜第3の各実施形態の製紙機械用ベルト40、70、90では、第1経糸が連続する2〜4本のいずれかの本数の緯糸を表面層側51、71,91もしくは裏面層側52,72,92から織り込んで、表面層側51,71,91および裏面層側52,72,92に第1経糸の長浮き(第1経糸の表出部)を形成するため、製紙機械用ベルトの表面層側および裏面層側の表面の平滑性や耐摩耗性に有利となる。
【0035】
表面層41を形成する第1経糸と裏面層42を形成する第1経糸とが該ベルトの厚さ方向に重なる構成により、裏面層42を形成する第1経糸は、例えば表面層側51,71,91での熱や摩耗による劣化から、および表面層41を形成する第1経糸は裏面層側52,72,92での熱や摩耗による劣化から保護されるため、該ベルトの織組織全体としての劣化が抑制される効果をもたらす。
【0036】
さらに、本発明の上記第1〜第3の各実施形態の製紙機械用ベルト40、70、90においては、2本〜4本のいずれかの本数(例えば図1および図2の場合2本で例示)の第2経糸から成る第2経糸のグループ(例えば、図1の場合は第2経糸57と58、および第2経糸59と60が各1グループを形成)と、1対〜4対のいずれかの数(例えば図1の場合は、第1経糸53と54が1対、および、第1経糸55と56が1対を形成)の第1経糸の対から成る第1経糸のグループを、緯糸方向に交互に配置する。
【0037】
第2経糸のグループが製紙機械用ベルトの緯糸方向(幅方向)に占める割合が多いほど、第2経糸によって形成できる継手グループの密度が高くなるので、継手強力のより高い製紙機械用ベルトとなる。また、第2経糸が第3層の緯糸だけを織り込んで形成する織物構造部分が強固になるので、製紙機械用ベルトの形態保持性や寸法安定性の向上にも寄与する。一方、第2経糸のグループの緯糸方向に占める割合が多すぎると、表面および裏面を形成する第1経糸の割合が少なくなり表面平滑性や耐摩耗性が低下する。また第1経糸の対の対数が多いほど表面および裏面の表面平滑性や耐摩耗性で有利になる。
【0038】
図1〜図3において、経糸を表す符号の横に付した丸印で囲った数値は、経糸の幅方向での配置順を示している。
【0039】
すなわち、図1では、第2経糸の一部の2本57,58が第3層の緯糸63を平織組織に織り込んだ第2経糸の1つのグループ{経糸配置順で○1,○2(○1,○2は、使用可能文字の制約上それぞれ図1における数字の1,2を○で囲んだものを示す。以下、同じ)}、次に、2本の第1経糸53と54が厚さ方向に重なって対になる1対の第1経糸のグループ(経糸配置順で○3,○4)、その次に、第2経糸の残部の2本59,60が第3層の緯糸63を平織組織に織り込んだ他の第2経糸のグループ(経糸配置順で○5、○6)、さらにその次に2本の第1経糸55と56が厚さ方向に重なって対になる1対の他の第1経糸のグループ(経糸配置順で○7,○8)の順に、2本で1組の1つの第2経糸のグループと2本で1対の1つの第1経糸のグループとを緯糸方向に交互に配置した例を示している。この場合は、製紙機械用ベルトの表面の平滑性、耐摩耗性が確保できる点に加えて、第2経糸により形成される継手ループの分布の均一性や継手強力の確保ができて好ましい。
【0040】
また、上記図2では、第2経糸の2本77,78からなる第2経糸のグループ(経糸配置順で○1,○2)、次に、2本の第1経糸73,74が厚さ方向に重なって対になる1対の第1経糸のグループ(経糸配置順で○3,○4)、その次に、2本の第1経糸75,76が厚さ方向に重なって対になる1対の第1経糸の他の1つのグループ(経糸配置順で○5,○6)の順に、2本で1組の1つの第2経糸のグループと2本で1対の2つの第1経糸のグループとを緯糸方向に交互に配置した例を示している。
【0041】
この場合は、上記図1で例示した製紙機械用ベルト40より製紙機械用ベルト70の表面の平滑性、耐摩耗性の点で効果が見込めるため好ましい。
【0042】
また、図3では、第2経糸の一部の2本99,100からなる第2経糸1つのグループ(経糸配置順で○1,○2)、次に、2本の第1経糸93,94が厚さ方向に重なって対になる1対の第1経糸のグループ(経糸配置順で○3,○4)、その次に、第2経糸の他の2本101,102からなる第2経糸の他の1つのグループ(経糸配置順で○5,○6)、次に、2本の第1経糸95,96が厚さ方向に重なって対になる1対の第1経糸のグループ(経糸配置順で○7,○8)、その次に、第2経糸の別の2本103,104からなる第2経糸の他の1つのグループ(経糸配置順で○9,○10)、その次に2本の第1経糸97,98が厚さ方向に重なって対になる1対の第1経糸のグループ(経糸配置順で○11,○12)の順に、2本1組の1つの第2経糸のグループと2本で1対の第1経糸のグループとを緯糸方向に、2本1組の第2経糸のグループと2本で1対の一つの第1経糸のグループとを緯糸方向に交互に配置した例を示している。
【0043】
この場合には、第1経糸93,95,97もしくは94,96,98が表面層側91もしくは裏面層側92に形成する第1経糸の長浮き(第1経糸の表出部)の浮き長さが、上記図1や図2に例示したものよりも緯糸3本分と長くなるため、製紙機械用ベルトの表面の平滑性や耐摩耗性の確保の点でさらに有利になり好ましい。
【0044】
さらに、本発明の上記の第1〜第3実施形態の製紙機械用ベルト40、70、90においては、前述のように、第2経糸が第3層の緯糸だけを織り込む織組織とする。第2経糸は製紙機械用ベルトを構成する経糸の一部であって、表面層側および裏面層側の両方からの熱劣化および摩耗損傷が回避された経糸である。また第3層の緯糸は、製紙機械用ベルトを構成する緯糸の一部であって、表面層側および裏面層側の両方からの熱劣化および摩耗損傷が回避された緯糸である。これにより製紙機械用ベルトの表面および裏面から隔離され該ベルトの一部をなす織物構造部分、すなわち後述する図6に示す、第2経糸と第3層の緯糸とで形成される該ベルトの厚さ方向中心部の層115を有する織物構造となる。
【0045】
第2経糸が第3層の緯糸だけを織り込む織組織として、上記図1〜図3に例示したものは、第2経糸が平織組織で第3層の緯糸を織り込むものであるが、この場合には、第2経糸と第3層の緯糸との交錯数が多く、しかも、緯糸に対する経糸の密着度合いが増して、織組織の剛性や形態の安定性が良化する。
【0046】
また、平織組織以外の織組織で第2経糸が第3層の緯糸を織り込む織物組織の構造も可能である。
【0047】
ここで、図4(A)は図1の織組織の第2経糸(57,58,59,60)を強調して表示した継手部付近の織物組織の縦断面の概念図であり、64は第2経糸の端部に形成される継手ループである。また、図4(B)は図4(A)の概念図のうち第2経糸および第3層の緯糸63のみを表示した概念図であり、第2経糸が第3層の緯糸63を平織組織に織り込んで、継手ループ64を形成している。さらに、図4(C)の概念図では、第2経糸が第3層の緯糸63を経畝織の織組織に織り込むことによって、継手ループ65を形成した例を示している。また、さらに図4(D)の概念図では、第2経糸が第3層の緯糸63を表3/1,裏1/3の経二重織の織組織に織り込むことによって、継手ループ66を形成した例を示している。
【0048】
図4(A)、(B)、(C)で例示の、平織もしくは経畝織の織組織のものは、継手ループを形成する第2経糸の端部を元の織組織に織り戻す際に、緯糸方向に隣接する他の第2経糸のコースに織り戻す必要があるが、図4(D)で示す経二重織のものは、厚さ方向に重なる他の第2経糸のコースに織り戻すことができるため、厚さ方向に重なる2本の第2経糸からなる第2経糸のグループが緯糸方向の単位寸法当たりに占める割合が少なくなり、その分第2経糸による継手ループの単位寸法当たりの密度を大きく設定することが可能になり好ましい。さらに、継手ループを形成する第2経糸に断面四角形の扁平モノフィラメントを用いるときでも、継手ループを形成するために経糸を捩る必要がなく、厚さ方向に重なる他の第2経糸のコースに織り戻すことができ、継手ループ作成の作業効率や継手部の品質の安定性に寄与するため好ましい。
【0049】
ここで図6は、図1および図2に例示した実施形態の織組織の縦断面構造図である。
【0050】
本発明の上記第1および第2の各実施形態の製紙機械用ベルト40、70においては、上述の各構成に加えて、第2経糸が第3層の緯糸を織り込んで形成する第2経糸のナックルの頂部111,112のうち表面層側の頂部111が該ベルト110の表面層側表面113よりも厚さ方向内側にあり、かつ、裏面層側の頂部112が該ベルト110の裏面層側表面114よりも厚さ方向内側にある構成とする。
【0051】
また、上記第3の実施形態の製紙機械用ベルト90においても同じく上述の各構成に加えて、第2経糸が第3層の緯糸を織り込んで形成する第2経糸のナックルの頂部のうち、表面層側91の頂部が該ベルト90の表面層側表面よりも厚さ方向内側にあり、かつ裏面層側92の頂部が該ベルト90の裏面層側表面よりも厚さ方向内側にある構成とする。
【0052】
第2経糸のナックルの頂部111,112が表面層側表面113および裏面層側表面114より厚さ方向内側にある構成とするので、第2経糸のナックル頂部111,112がベルトの使用時に表面層側表面113および裏面層側表面114で直接に摩耗を受けることが回避され、しかも、例えば抄紙機のドライヤーや湿紙に直接に接せず、それらから受ける熱負荷も軽減されるため、第2経糸の熱や摩耗による劣化の防止に極めて有効である。
【0053】
しかも、第2経糸に織り込まれる第3層の緯糸は、該ベルトの厚さ方向中心部付近に存しており、熱や摩耗による劣化から最も保護される位置に在るため、これら第2経糸と第3層の緯糸とで形成される該ベルトの厚さ方向中心部の層115は、該ベルトの表面層41および裏面層42に比較して熱や摩耗による劣化から最も保護される層となるから、例え表面層41および裏面層42に損傷劣化をきたしても、最後まで該ベルトの形態を保持し走行の安定性を維持できる。
【0054】
さらに、第2経糸を用いて継手部の接合用ループを形成もしくはスパイラル線を係止すれば、その第2経糸が該ベルトの経糸方向に作用する張力負加を直接に負担することができるので、上記作用のもと、該ベルトの走行の安定性を長期にわたって維持することが可能となる。したがって、従来のベルトよりも長期の使用寿命を得ることができる。
【0055】
第2経糸のナックル頂部111の表面層側表面113からの厚さ方向内側への隙間間隔および第2経糸のナックル頂部112の裏面層側表面114からの隙間間隔が大きい程、第2経糸のナックル頂部111、112の摩耗損傷、および、第2経糸の熱劣化の防止に有利であるが、該ベルトの形態保持性や走行安定性の確保から第2経糸および第3層の緯糸の断面寸法に制約が生じ、それら隙間間隔の上限値が制約される。好ましくは、それら隙間間隔は、表面層側表面113または裏面層側表面114から少なくとも0.05mm以上、好ましくは表面層41または裏面層42を形成する第1経糸の断面厚さ寸法の少なくとも1/2以上とする。また、それら隙間間隔の上限値は、該ベルトの表面層側表面113と裏面層側表面114との間隔、すなわち該ベルトの厚さ寸法と、適宜好適に規定した該ベルトの厚さ方向中心部の層115の厚さ寸法との差の1/2で規定される。
【0056】
以上、本発明の製紙機械用ベルトについては経糸および緯糸に主に合成繊維モノフィラメントを使用した抄紙用ドライヤーカンバスで説明しているが、本発明の製紙機械用ベルトに使用する合成繊維はモノフィラメント以外に、細いモノフィラメントを複数本撚り合わせた撚糸、マルチフィラメントもしくはスパン糸を複数本撚り合わせた撚糸、あるいはこれら形状の違う繊維を複数本撚り合わせた撚糸も使用することができる。特に搬送物との滑りを少なくしたい用途には有用である。
【0057】
本発明で使用する糸の材質は、本実施例では主にポリエステル(PE)を使用したが、ポリエステルに限定されることなく、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を用途に応じ適宜選択して、それら材質からなる糸条を、経糸および/または緯糸に、単独あるいはそれらを組み合わせて用いることができる。
【0058】
例えば、抄紙用ドライヤーカンバスに使用する場合、寸法安定性、引張強力や接結強力などの特性を考慮して、ポリエステルモノフィラメント、特にはPET(ポリエチレンテレフタレート)を使用するのが望ましい。また、第1経糸のうち少なくとも表面層を形成する第1経糸、または、それに加えて少なくとも第1層の緯糸に、耐熱性、耐加水分解性に優れるPPSやPEEKのモノフィラメントを、それ以外の経糸および緯糸、特に第2経糸に引張強力、接結強力および寸法安定性に優れたポリエステルモノフィラメントを使用するのが好ましい。さらには芯と鞘で材質の異なる複合型モノフィラメントも使用できる。
【0059】
経糸および緯糸に用いる糸条、特にモノフィラメントの糸条断面の形状は、円形、楕円形、長円形、繭形、正方形、扁平な四角形およびこれら形状を一部変更したもの等に特に限定するものでなく、またそれらの断面形状の糸条を、経糸および緯糸に、単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0060】
例えば、第1経糸に断面が四角形の扁平モノフィラメント、第2経糸に断面が円形のモノフィラメントを用いる構成とすると、該ベルトの表面および裏面の表面で第1経糸の占める面積が多くなり、表面平滑性の向上や、耐摩耗性の向上が期待でき、表面層を形成する第1経糸と裏面層を形成する第1経糸が重なって対になる構成を実質的に確保できる。また、断面が円形のモノフィラメントは同じ断面寸法の扁平断面のものに比べて単糸強力が大きく、継手強力が確保しやすく、また、第2経糸で接合用ループを形成する際に、捩れを特に考慮する必要がないので効率の良い継手作成が可能となる。
【0061】
断面が四角形の扁平なモノフィラメントの長辺寸法と短辺寸法の比は1.3:1〜4:1のものが使用出来る。好適には1.5:1〜3:1の比である。
【0062】
断面が四角形以外の楕円形、長円形、繭形等の扁平なモノフィラメントを使用する場合も、上記の断面が四角形の扁平なモノフィラメントと同じように、長辺寸法と短辺寸法の比は1.3:1〜4:1のものが使用できる。また、好適には1.5:1〜3:1の比である。
【0063】
加えて、本発明の実施においては、第1層、第2層および第3層の緯糸の少なくとも1層の緯糸に、乾熱収縮の高いモノフィラメントを用いることができる。
【0064】
第1層、第2層および第3層の緯糸の少なくとも1層の緯糸に、乾熱収縮率の高いモノフィラメントを用いることにより、ヒートセット加工後のベルトは、経糸密度が増加し、緯糸には経糸の強い締め付け力によるクリンプが一層顕著に形成され、経糸と緯糸の交錯部での密着性が一層強化されるので、抄紙用ドライヤーカンバスとして必要な良好な表面性を備え、形態および寸法の安定性や、走行安定性に優れた製紙機械用ベルトを実現することができる。
【0065】
本発明の実施に当たり緯糸に用いる乾熱収縮率の高いモノフィラメントとは、160℃において12%〜26%、180℃において14%〜30%の範囲、より好適には160℃において12%〜21%、180℃において14%〜24%の範囲の張力を与えない状態での乾熱収縮率を有するものを言い、ドライヤーカンバス用に一般に入手可能なものである。例えば、ポリエステルモノフィラメントは、Shakespeare社製PX−405が上市され入手可能である。また、PPSモノフィラメントでは、特開平5−195318号公報に開示されたもの等がある。なお、通常の工業用織物に使用するポリエステルモノフィラメントは、張力を与えない状態での乾熱収縮率が、160℃において2%〜6%、180℃において3%〜10%のものが多く使用されている。
【0066】
さらに加えて、本発明の実施においては、第1層、第2層および第3層の緯糸に断面が円形のモノフィラメントを用いると共に、第3層の緯糸に第1層および第2層の緯糸よりも大径のモノフィラメントを用いる構成とするのが好ましい。
【0067】
第1層、第2層および第3層の緯糸に断面が円形のモノフィラメントを用いると共に、第3層の緯糸に第1層および第2層の緯糸よりも大径のモノフィラメントを用いる構成にすることにより、第1層〜第3層の緯糸を有する該ベルトの緯糸方向の剛性(ヨコ剛性)を確保して、例えば緯糸方向の幅寸法が5m以上の広幅の用途にも対応できるヨコ剛性を確保すると共に、必要な寸法および走行の安定性に優れた製紙機械用ベルトを達成することが容易となる。
【0068】
本発明の製紙機械用ベルトにおいては、第3層の緯糸に第1経糸および第2経糸のすべての経糸が組織し、第1経糸が形成する表面層および裏面層は第3層の緯糸を介して連結しており、かつ、第2経糸は第3層の緯糸だけを織り込んだ織組織よりなるものであるから、この織組織のいわば中核になる第3層の緯糸の直径を第1層および第2層の緯糸より太径にすることにより、表面層と裏面層の結合状態が強化されると共に、ヨコ剛性が強化されて、寸法および走行の安定性に優れた使用寿命の長い製紙機械用ベルトを実現することができる。
【0069】
なお、図1〜図3では、第1層の緯糸と第2層の緯糸とは、同じ線径のモノフィラメントとした。かつ、第1層の緯糸と第2層の緯糸が厚さ方向に重なって配置される状態を示した。また、第3層の緯糸が第1層の緯糸と第1層の緯糸の間、および第2層の緯糸と第2層の緯糸の間に配置される実施形態を示したが、それにより本発明のこれらの実施形態では製紙機械用ベルトの厚さ方向寸法をより小さくすることができるため望ましい。
【0070】
本発明に使用する第1層および第2層の緯糸の繊度は、断面が円形モノフィラメントの線径換算で0.2mm〜0.8mmの範囲が使用できる。好ましくは0.3mm〜0.6mmの範囲である。また、第3層の緯糸の線経は、第1層および第2層の緯糸の線径の1.5倍〜2.0倍、つまり0.3mm〜1.6mm、好ましくは0.45mm〜1.2mmの範囲で使用できる。
【0071】
また本発明に使用する第1経糸および第2経糸の繊度は、断面円形糸の場合の直径寸法が0.3mm〜0.6mmの範囲のものが好ましい。例えば正方形断面の場合は一辺寸法換算で0.3mm〜0.6mmの範囲のものが使用できる。
【0072】
また、第1経糸に断面四角形や断面楕円形等の扁平糸を用いるときには、長辺寸法が0.3mm〜1.6mm、短辺寸法が0.2mm〜0.6mmのものが使用できる。好ましくは、長辺寸法0.3mm〜1.2mm、短辺寸法0.2mm〜0.4mmの範囲で使用できる。
【0073】
また、第2経糸に断面円形糸を用いるときには、直径寸法0.3mm〜0.6mmの範囲のものが好ましい。第3層の緯糸を図4(D)の組織で織り込むとき、厚さ方向に重なって織り込むことができるので、第2経糸に扁平な糸を用いるのが好ましく、この場合、第2経糸として使用する扁平糸は長辺寸法0.3mm〜1.2mm、短辺寸法0.2mm〜0.6mmの範囲のものが使用できる。
【0074】
当然、経糸および緯糸の繊度は、上記範囲以外のものも使用できるが、要求される織物の特性や製織および加工の設備の能力により自ずと制限される。
【0075】
また、本発明で適用する経糸および緯糸の密度は、前記の経糸や緯糸の寸法範囲に応じ、上記要求される機能、特性および製造条件を考慮して適宜選択できる。例えば経糸密度は、第1経糸は2本が厚さ方向に重なった1対として配置されるから、第1経糸の単位幅当たりの本数を1/2として換算した経糸充填率を、90%〜130%を満たす範囲の密度が使用できる。好ましくは95%〜125%の範囲で使用できる。なお、後述の実施例1の場合、経糸充填率は115.8%、後述の実施例4の場合、経糸充填率は114.0%である。ここで経糸充填率は、経糸の寸法を幅方向の投影寸法で見たときの単位幅寸法当たりに経糸が占める割合を言う。
【0076】
緯糸密度は、例えば、第1経糸に短辺寸法0.3mm、長辺寸法0.6mmの断面四角形のモノフィラメント、第2経糸に直径寸法0.45mmの断面円形モノフィラメント、第1層および第2層の緯糸に直径寸法0.4mmの断面円形モノフィラメント、第3層の緯糸に直径寸法0.8mmの断面円形モノフィラメントを使用して、図1の織組織で作成した場合、緯糸密度は10本×3層/2.54cm〜16本×3層/2.54cmの範囲が可能であり、その範囲により抄紙用のドライヤーカンバスとして要求される機械的性能および所謂単列ドライヤー形式の乾燥部のカンバスに要求される通気度の範囲が実現可能である。
【0077】
上記寸法範囲および密度の範囲に基づいて製作することにより、厚さ寸法1.5mmを含む1.5mm〜2.2mmの広い範囲の厚さ寸法の製紙機械用ベルトが実現可能である。
【0078】
また、これらの寸法範囲および密度の範囲に基づいて製作することにより、低い通気度1,300cm3/cm2・minを含む1,300cm3/cm2・min〜15,000cm3/cm2・minの広い範囲の通気度の製紙機械用ベルトが実現可能である。
【0079】
上記通気度および厚さ寸法の範囲は、ドライヤーシリンダーを一方の側に単列に配置された、所謂単列ドライヤー方式などの形式の抄紙機における乾燥部にも適用可能な低い通気度範囲を含む広い通気度であり、また、厚さ寸法1.8mm以下を含む適用可能な厚さ寸法の範囲である。
【0080】
また、本発明においては、織成布を構成する第2経糸の一部を延長し、折返して接合用ループを形成の後、織成布本体の織組織内に綴り込んで、折返しループ列をなし、この折返しループ列を互いに噛み合わせてなる共通孔に接合芯線を挿通して織成布を無端状に接続するための接合用ループ列よりなるベルト継手部(所謂、ワープループ継手)を、前記織成布の縦方向の両端末に具備することができる。この継手部は、例えば実開昭54−181103号公報に記載の方法を使用して作成できる。
【0081】
図4(A)〜(D)は本発明の製紙機械用ベルト両端部におけるワープループ継手を形成するための接合用ループ64〜66を具備したベルト継手部の縦断面の概念図である。
【0082】
また、図5は本発明の製紙機械用ベルト両端部のスパイラル継手を形成するためのスパイラル線係止用ループ67にスパイラル線68を係止したベルト継手部(所謂、スパイラル継手)の縦断面の概念図である。
【0083】
すなわち、本発明においては、図5に示すように、織成布を構成する第2経糸の一部を延長し、折返してスパイラル線係止用ループ67を形成の後、織成布本体の織組織内に綴り込んで、前記スパイラル線係止用ループ67列にスパイラル線68をそれぞれ係止し、さらに2つのスパイラル線68,68同士を交互に噛み合わせてなるスパイラル線68,68相互の共通孔に、接合芯線(図示省略)を挿入して織成布を無端状に接続するスパイラル継手を、前記織成布の縦方向の両端末に具備することができる。
【0084】
製紙機械用ベルトを、図4(A)〜(D)に示すように、その長手方向両端部に設けたワープループ継手のための接合用ループ64〜66、もしくは図5に示すように、第2経糸の端部に形成したスパイラル線係止用ループ67に係止したスパイラル線68を用いて接合し無端状ベルトとして使用するとき、長手方向すなわち経糸方向の張力は、上記接合用ループ64〜66を形成、もしくはスパイラル線係止用ループ67を形成する第2経糸に直接にかかる。それにより、優れた走行安定性が、表面層側および裏面層側の両方からの熱および摩耗の影響によっても低下せず、該ベルトの安定した走行性能を長期にわたり維持可能となる。
【0085】
本発明の製紙機械用ベルトでは使用時の前記経糸方向の張力が、該ベルトの表面層側および裏面層側の表面より厚さ方向内側に配置した第2経糸にのみ直接かかるので、その張力負荷が継手部の表面平滑性に影響を与える心配がない。
【0086】
また、接合用ループ64〜66を形成、またはスパイラル線係止用ループ67を形成し織り戻される第2経糸は、図4(A)、(B)、(C)、(D)の概念図で分かるようにベルト端部の第1層および第2層の最先端緯糸同士の間より延出しループを形成して織り戻される構成とすることができ、また、ループ部分がベルト厚さ寸法より低く、ベルトの表面および裏面よりベルトの厚さ方向の外側に出ることがないように構成できるので、ループ部分が直接に熱や摩耗の影響による劣化を受け難くなり、ループ部分の使用寿命の延長効果を得ることが可能となる。
【0087】
なお、本発明の各実施形態に係る製紙機械用ベルトの各特性値の測定装置および測定方法については、以下による。
【0088】
▲1▼通気度
JIS L−1096:1999 「一般織物試験方法」における通気性の測定に用いるフラジール形法に準拠した測定装置を用い、規定の測定面積を有する空気孔を介して規定の圧力(125Pa)のもとで単位時間に試験片を通過する空気量(cm3/cm2・min)を測定する。
【0089】
▲2▼ズレ角度
図9(A)(B)はズレ角度測定装置140であって、固定支柱141の上端部と基端部に横アーム142,143の一端が上下揺動可能に取り付けられ、横アーム142,143の他端は連結アーム144で連結され、常時は上側の横アーム142が固定水平アーム145にピン146にて固定されている。このようなズレ角度測定装置140において、横アーム142に所定長、所定幅の試料Sの上端部を固定し、下端に試料Sの幅1cm当たり1kgの荷重Wを懸垂する。この状態で下側の横アーム143に試料Sを固定し、その後、荷重を取り去る。このようにして、図9(A)のごとく試料Sを固定し、ピン146を抜き、図9(B)のように下向きのモーメントをかける。この状態で一定時間放置後、ズレの寸法を測定し、その状態のまま、温度180℃で一定時間熱処理を行う。その後、再度、ズレの寸法を測定する。ズレ角度θ1(加熱前)、θ2(加熱後)の計算は、図9(C)のごとく、横アーム142に固定された指針147が横切った位置での目盛の読みから得たズレの寸法x(mm)と、枢支ピン148から指針147の先端までの長さのL(=120mm)とにより、次式で計算される。tanθ=x/120, θ=tan-1(x/120)
上記により求めたズレ角度θ1,θ2から、ベルト走行時の織組織ズレを推定し、ベルトの走行安定性の評価に用いる。
【0090】
▲3▼3点曲げ剛性
図10の曲げ剛性試験装置150により、幅30mm(図10では紙面に垂直な方向の寸法)の試料153の両端を100mmだけ離間させ固定配置した直径20mmのローラー151,151に係止し、試料153の中央部に直径10mmの丸棒152と荷重計(図示せず)を介して上方に引き上げる。丸棒152の引き上げ量と共に荷重計の表示値は増大していくが、ある程度引き上げると荷重計の表示値は増大しなくなる。この時の最大荷重を剛性値と称し、単位[cN/3cm]で表す。試料153を緯糸方向に曲げるように作成して測定した剛性値は、広幅の抄紙機における走行安定性の評価に用いる。
【0091】
▲4▼摩耗量
図11は摩耗試験装置160であって、経糸方向を長手にして幅30mm×長さ500mmの大きさで作成した試料片163をそれぞれ、#400サンドペーパー162を全周に貼付した周囲長400mmのローラー161の周囲に、張力荷重0.5kg/cmのもとに抱き角度90°で取り付けて、ローラーを300回/minの一定速度で回転させ、経過時間1分毎に各試料片163の厚さを測定して摩耗量を求め、試料片163における経過時間と摩耗量の関係を確認する。
【0092】
(実施例)
次に、本発明の実施例1〜4およびこれらの実施例1〜4に対する比較例1〜3について、表1〜表6に基づいて説明する。
なお、各表において、「TM」はポリエステルモノフィラメント、「AK」はアクリルスパン糸、「高収縮糸」は乾熱収縮率の高いモノフィラメントを表す。
【0093】
【表1】
Figure 0003970647
【0094】
【表2】
Figure 0003970647
【0095】
【表3】
Figure 0003970647
【0096】
(実施例1)
実施例1の製紙機械用ベルトを、表1に示す仕様と図1に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、第1経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.60mmの断面四角形の扁平ポリエステルモノフィラメント、第2経糸に直径寸法が0.45mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントを用い、第1層および第2層の緯糸に直径寸法が0.40mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの乾熱収縮率の高い(160℃で12.3%、180℃で18.1%)糸を用い、第3層の緯糸に直径寸法が0.80mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの乾熱収縮率の高い(160℃で12.8%、180℃で19.0%)高収縮糸を用いて製織し、製織した布を通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度78.5本/2.54cm、緯糸密度14.5本×3層/2.54cm、厚さ1.88mm、通気度1,600cm3/cm2・minであった。
【0097】
(実施例2)
実施例2の製紙機械用ベルトを、表1に示す仕様と図1に示す織組織に基づいて製作した。すなわち実施例1と同じ経糸および緯糸の使用で、また同じ織組織でヨコ密度だけを変えて製織し、製織した布を通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度81.0本/2.54cm、緯糸密度12.0本×3層/2.54cm、厚さ1.97mm、通気度4,300cm3/cm2・minであった。
【0098】
(実施例3)
実施例3の製紙機械用ベルトを、表2に示す仕様と図1に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、第1経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.60mmの断面四角形の扁平ポリエステルモノフィラメント、第2経糸に直径寸法が0.45mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントを用い、第1層および第2層の緯糸に直径寸法が0.40mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの通常の乾熱収縮率(160℃で3.0%、180℃で5.2%)の糸を用い、第3層の緯糸に直径寸法が0.80mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの通常の乾熱収縮率(160℃で3.3%、180℃で5.9%)の糸を用いて製織し、製織した布を通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度75.0本/2.54cm、緯糸密度12.0本×3層/2.54cm、厚さ1.95mm、通気度9,500cm3/cm2・minであった。
【0099】
(実施例4)
実施例4の製紙機械用ベルトを、表2に示す仕様と図2に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、第1経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.60mmの断面四角形の扁平ポリエステルモノフィラメント、第2経糸に直径寸法が0.50mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントを用い、第1層および第2層の緯糸に直径寸法が0.40mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの乾熱収縮率の高い(160℃で12.3%、180℃で18.1%)高収縮糸を用い、第3層の緯糸に直径寸法が0.80mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの乾熱収縮率の高い(160℃で12.8%、180℃で19.0%)高収縮糸を用いて製織し、製織した布を通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度79.0本/2.54cm、緯糸密度12.5本×3層/2.54cm、厚さ1.98mm、通気度1,300cm3/cm2・minであった。
【0100】
上記実施例1,実施例2,実施例3および実施例4は、経糸および緯糸にスパン糸等の嵩高糸を使用しないで、ポリエステルモノフィラメントの糸だけを使用して、1,300cm3/cm2・min〜9,500cm3/cm2・minと低い通気度を含む広い調整範囲を実現した。
【0101】
(比較例1)
比較例1の製紙機械用ベルト120を、表3に示す仕様と図7に示す織組織に基づいて製作した。ここで図7の織組織は、経糸123,124,125,126と、表面層側121の緯糸127および裏面層側122の緯糸128よりなっている。図1〜図3と同様、図7では、経糸を示す符号の横に付した丸印で囲った数値は経糸の緯糸方向での配置順を示している。経糸は緯糸方向に123,124,125,126の順に配置されている。つまり表2/2,裏3/1破れ斜文緯2重織の織組織である。経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.60mの断面四角形の扁平ポリエステルモノフィラメント、緯糸に直径寸法が0.70mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの高収縮糸(160℃で13.0%、180℃で18.9%の乾熱収縮率)を用いて製織し、製織した布を、通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度52.5本/2.54cm、緯糸密度17.5本×2層/2.54cm、厚さ1.77mm、通気度3,900cm3/cm2・minであった。
【0102】
(比較例2)
比較例2の製紙機械用ベルトを、表3に示す仕様と図7に示す織組織に基づいて製作した。すなわち、経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.60mmの断面四角形の扁平ポリエステルモノフィラメント、緯糸に直径寸法が0.80mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントの高収縮糸(160℃で12.8%、180℃で19.0%の乾熱収縮率)を用いて製織し、製織した布を、通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度53.0本/2.54cm、緯糸密度15.0本×2層/2.54cm、厚さ1.93mm、通気度11,000cm3/cm2・minであった。
【0103】
(比較例3)
比較例3の製紙機械用ベルト130を、表3に示す仕様と図8に示す織組織に基づいて製作した。ここで図8の織組織は経糸133,134,135,136と表面層側131の緯糸137、裏面層側132の緯糸138および中間層の緯糸139よりなっている。図1〜図3と同様、図8でも、経糸を示す符号の横に付した丸印で囲った数値は、経糸の緯糸方向での配置順を示している。経糸は緯糸方向に133,134,135,136の順に配置されている。経糸に寸法が厚さ0.30mm×幅0.60mmの断面四角形の扁平ポリエステルモノフィラメント、表面層側の緯糸に綿式番手6のアクリルスパン糸を4本撚り合わせた撚糸を、中間層および裏面層の緯糸に直径寸法が0.50mmの断面円形ポリエステルモノフィラメントを用いて製織し、製織した布を、通常の方法でヒートセット加工処理して製作した。製作した製紙機械用ベルトは、経糸密度54.5本/2.54cm、緯糸密度16.5本×3層/2.54cm、厚さ1.82mm、通気度2,700cm3/cm2・minであった。
【0104】
なお、比較例1、比較例2および比較例3の製紙機械用ベルトは、抄紙用ドライヤーカンバスとして、特に優れた表面平滑性が要求されるパートに使用されており、幅が5mを越える広幅の、かつ抄速度が1,300m/minを越える高抄速の抄紙機の、所謂シングルラン形式や単列ドライヤー形式の乾燥部に使用実績があるものである。
【0105】
(形態保持性および走行安定性の評価)
上記実施例2と4、比較例1、2および3の製紙機械用ベルトの加熱前および加熱後のズレ角度θ1およびθ2を、前記ズレ角度の試験方法により測定して、走行時の織組織のズレを推定し、走行安定性および形態保持性を評価した。測定は各ベルトについてサンプル数3にて行い、測定結果を表4に示した。
【0106】
【表4】
Figure 0003970647
【0107】
加熱前のズレ角度θ1は、実施例2で0.60°、実施例4で0.97°であった。一方、比較例1では2.73°、比較例2で3.33°、比較例3で2.70°であった。
【0108】
また、加熱後のズレ角度θ2は、実施例2で1.48°、実施例4で2.25°であった。一方、比較例1では4.00°、比較例2で6.33°、比較例3で4.86°であった。
【0109】
したがって、実施例2と実施例4は共に、加熱前および加熱後においてもズレ角度は比較例1、2および3に比べ小さい値となり、また、加熱前と加熱後の変化量も実施例2(0.88)と実施例4(1.28)は共に、比較例1(1.27)、2(3.00)および3(2.16)に比べ、同等またはそれよりも小さい値となっており、表面性および走行安定性に優れ、広幅、高抄速の抄紙機の所謂シングルラン形式や単列ドライヤー方式の乾燥部で使用実績のある比較例1、比較例2および比較例3の製紙機械用ベルトに比較して、走行安定性に優れ、また形態保持性にも優れることが判った。
【0110】
(ヨコ剛性の評価)
上記実施例2と実施例4、および比較例3の製紙機械用ベルトの緯糸方向(ヨコ方向)の3点曲げ剛性を測定して、実使用での走行安定性を推定し評価した。測定は各ベルトについてサンプル数3にて行い、測定結果を表5に示す。
【0111】
【表5】
Figure 0003970647
【0112】
曲げ加重は、実施例2で380cN/3cm、実施例4で330cN/3cmであり、幅5mを越える広幅の抄紙機の乾燥部で使用されて走行性に問題のない比較例3が350cN/3cmであり、ほぼ同等であり問題ない性能である。
【0113】
(耐摩耗性の確認)
上記ほぼ同等の経糸充填率と通気度を有する実施例2と比較例1の製紙機械用ベルトについて、経過時間と摩耗量の関係を前述の測定装置および測定方法により確認した。また、経過時間7分時点と経過時間20分時点のサンプルを採取し、インストロン5568型万能試験装置を用いて、経糸方向の強力を測定し、試験開始前の強力に対する強力保持率(%)を算出した。測定は各ベルトについてサンプル数3にて行い、測定結果を表6に示す。
【0114】
【表6】
Figure 0003970647
【0115】
実施例2は、経過時間7分で摩耗量0.18mm、経過時間20分で摩耗量0.27mm、また経過時間7分および20分時点の強力保持率はそれぞれ76%および46%であった。
【0116】
これに対して比較例1は、経過時間7分で摩耗量0.11mm、経過時間20分で摩耗量0.18mm、また経過時間7分および20分時点の強力保持率はそれぞれ49%および33%であった。
【0117】
比較例1のベルトは経過時間7分の時点で強力保持率は50%を下回っている。一方、実施例2では経過時間7分の時点で摩耗量が比較例1のものより多いにもかかわらず、強力保持率は76%を維持している。この傾向は経過時間20分、すなわち実施例2の摩耗量がその第1経糸の厚さ寸法とほぼ等しくなるまでの経過時間においても同様で、実施例2は比較例1に比べ、摩耗量が多いのにもかかわらず強力保持率が高いことが判った。
【0118】
実施例2の製紙機械用ベルトは、第2経糸のナックル頂部が表面層側表面および裏面側表面よりも厚さ方向内側にあるため、表面層を形成する第1経糸の有効強力が摩耗損傷により低下しても第2経糸は初期には殆ど損傷しないので、高い強力保持率を確保できるのである。また、表面層を形成する第1経糸の摩耗が進行した状態においても好ましい強力保持率を維持できるため、実使用においても該ベルトの形態と強力が長期に維持できることが期待できる。
【0119】
また、第2経糸を用いて使用時の経糸方向の張力が直接に作用する接合用ループ(図4参照)を形成、もしくはスパイラル線を係止して継手部を形成して用いる(図5参照)ことにより、以上の効果が一層有効なものになり、使用時間の延長を図ることが可能となる。
【0120】
一方、比較例1のベルトでは、構成している経糸が全て同じシステムで表面層および裏面層の表面に表出する経糸のナックルを有するから、表面層側表面での摩耗損傷は初期から直接織組織全体に影響して、該ベルトの形態保持性および強力保持性に影響することになるのである。
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布からなる製紙機械用ベルトにおいて、少なくとも表面層および裏面層を備え、経糸を構成する第1経糸の1部が緯糸を構成する第1層の緯糸と第3層の緯糸を織り込んで表面層を形成し、経糸を構成する第1経糸の残部が緯糸を構成する第2層の緯糸と第3層の緯糸を織り込んで裏面層を形成し、さらに、表面層を形成する第1経糸と裏面層を形成する第1経糸が該ベルトの厚さ方向に重なって対になるように構成するので、表面層を形成する第1経糸が少なくとも裏層面側からの熱や摩耗による劣化から保護され、かつ、裏面層を形成する第1経糸が少なくとも表面層側からの熱や摩耗による劣化から保護され、該ベルトの織組織全体としての劣化が抑制された製紙機械用ベルトが実現できる。
【0122】
加えて、経糸を構成する第2経糸が第3層の緯糸だけを織り込み、その第2経糸のナックル頂部が表面層側表面および裏面層側表面よりも厚さ方向内側にある構成とするので、第2経糸のナックルを含む第2経糸と第3層の緯糸とで形成される厚さ方向中心部の層は、表面層側表面および裏面層側表面での摩耗が回避され、しかも抄紙機のドライヤー等の加熱体や湿紙から直接受ける熱負荷も軽減されるので、熱や摩耗による劣化が防止され、表面層および/または裏面層に損傷劣化をきたしても、最後まで形態を保持し走行性を維持可能な製紙機械用ベルトが実現できる。
【0123】
加えて本発明によれば、第3層の緯糸に第1経糸および第2経糸のすべての経糸が組織し、第1経糸が形成する表面層および裏面層は第3層の経糸を介して連結するように構成しているので、さらには、第3層の緯糸を第1層および第2層の緯糸よりも太径にするので、表面層と裏面層の結合を強固にし緯糸方向の剛性も強化した、寸法および走行の安定性に優れた製紙機械用ベルトを実現できる。
【0124】
また、本発明によれば、熱や摩耗による劣化から最も保護される位置にある第2経糸を用いて接合用ループを形成もしくはスパイラル線を係止して継手部を形成できるので、走行の安定性を長期にわたって維持することが可能となり、また、継手ループ部分が該ベルトの表面層側表面および裏面層側表面より厚さ方向の外側に出ないように構成できるので、ループ部分が直接に熱や摩耗の影響による劣化を受け難くなり、使用寿命の長期化が可能なベルトが実現できる。また、使用時の経糸方向の張力が該ベルトの表面層側表面および裏面層側表面より厚さ方向の内側に配置した第2経糸にのみ直接かかるので、その張力負荷が継手部の表面平滑性に影響を与えることがない製紙機械用ベルトを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製紙機械用ベルトの第1実施形態に係る織組織の縦断面の概念図である。
【図2】本発明の製紙機械用ベルトの第2実施形態に係る織組織の縦断面の概念図である。
【図3】本発明の製紙機械用ベルトの第3実施形態に係る織組織の縦断面の概念図である。
【図4】(A)は本発明の第1実施形態のループ継手を有する製紙機械用ベルトの継手部の織組織の縦断面の概念図、
(B)は(A)の製紙機械用ベルトの継手部の第2経糸を強調した織組織の縦断面の概念図、
(C)は本発明の他の実施形態のループ継手を有する製紙機械用ベルトの継手部の第2経糸を強調した織組織の縦断面の概念図、
(D)は本発明のまた別の実施形態のループ継手を有する製紙機械用ベルトの継手部の第2経糸を強調した織組織の縦断面の概念図である。
【図5】本発明のスパイラル線を有する製紙機械用ベルトの継手部の織組織の縦断面の概念図である。
【図6】本発明の製紙機械用ベルトの織組織の実施形態の縦断面構造図である。
【図7】比較例の製紙機械用ベルトの織組織の縦断面の概念図である。
【図8】他の比較例の製紙機械用ベルトの織組織の縦断面の概念図である。
【図9】(A)は本発明および比較例の製紙機械用ベルトのズレ角度測定装置における測定前の概略斜視図、
(B)は本発明および比較例の製紙機械用ベルトのズレ角度測定装置における測定時の概略斜視図、
(C)は本発明および比較例の製紙機械用ベルトのズレ角度測定方法の説明図である。
【図10】本発明および比較例の製紙機械用ベルトの曲げ剛性測定装置および測定方法の概略説明図である。
【図11】本発明および比較例の製紙機械用ベルトの摩耗試験装置および試験方法の概略説明図である。
【図12】従来の製紙機械用ベルトの織組織の縦断面の概念図である。
【図13】従来の他の製紙機械用ベルトの織組織の拡大斜視図である。
【図14】従来の他の製紙機械用ベルトの織組織の拡大平面図である。
【図15】従来の他の製紙機械用ベルトの織組織の断面構造図である。
【符号の説明】
40、70、90、110 製紙機械用ベルト
41 表面層
42 裏面層
51、71、91 表面層側
52、72、92 裏面層側
53、54、55、56 第1経糸
57、58、59、60 第2経糸
61、79、105 第1層(表面層側)の緯糸
62、80、106 第2層(裏面層側)の緯糸
63、81、107 第3層(中間の層)の緯糸
64、65、66 接合用ループ
67 スパイラル線係止用ループ
68 スパイラル線
73、74、75、76 第1経糸
77、78 第2経糸
93、94、95、96、97、98 第1経糸
99、100、101、102、103、104 第2経糸
111 表面層側のナックルの頂部
112 裏面層側のナックルの頂部
113 表面層側表面
114 裏面層側表面
115 表面および裏面に露出しない厚さ方向の中心部の層
140 ズレ角度測定装置
150 曲げ剛性測定装置
160 摩耗試験装置

Claims (8)

  1. 合成繊維の経糸および緯糸を用いた織成布から成る製紙機械用ベルトであって、前記ベルトが、少なくとも表面層および裏面層を備え、
    前記経糸が第1経糸および第2経糸から成り、前記緯糸が前記表面層側の第1層の緯糸前記裏面層側の第2層の緯糸、およびベルトの厚さ方向で第1層の緯糸と第2層の緯糸との間に配された第3層の緯糸から成り、
    前記第1経糸のうちの一部が、連続する2本〜4本のいずれかの本数の前記第1層の緯糸を表面層側から織り込み、次に1本または連続する2本の前記第3層の緯糸を裏面層側から織り込み、さらに次の連続する2本〜4本のいずれかの本数の前記第1層の緯糸を表面層側から織り込む繰り返しパターンで、前記第1層および第3層の緯糸を織り込んで前記表面層を形成し、
    前記第1経糸のうちの残部が、連続する2本〜4本のいずれかの本数の前記第2層の緯糸を裏面層側から織り込み、次に1本または連続する2本の前記第3層の緯糸を表面層側から織り込み、さらに次の連続する2本〜4本のいずれかの本数の前記第2層の緯糸を裏面層側から織り込む繰り返しパターンで、前記第2層および第3層の緯糸を織り込んで前記裏面層を形成し、
    前記第2経糸は前記第3層の緯糸だけを織り込み、
    さらに前記表面層を形成する第1経糸と前記裏面層を形成する第1経糸が該ベルトの厚さ方向に重なる第1経糸の対を形成したことを特徴とする製紙機械用ベルト。
  2. 前記第1経糸のうちの一部が、連続する2本の前記第1層の緯糸を表面層側から織り込み、次に1本の前記第3層の緯糸を裏面層側から織り込み、さらに次の連続する2本の前記第1層の緯糸を表面層側から織り込む繰り返しパターンにより前記表面層を形成し、
    前記第1経糸のうちの残部が、連続する2本の前記第2層の緯糸を裏面層側から織り込み、次に1本の前記第3層の緯糸を表面層側から織り込み、さらに次の連続する2本の前記第2層の緯糸を裏面層側から織り込む繰り返しパターンにより前記裏面層を形成し、
    前記第2経糸が前記第3層の緯糸を平織組織で織り込んだことを特徴とする請求項1に記載の製紙機械用ベルト。
  3. 前記第1経糸のうちの一部が、連続する3本の前記第1層の緯糸を表面層側から織り込み、次に1本の前記第3層の緯糸を裏面層側から織り込み、さらに次の連続する3本の前記第1層の緯糸を表面層側から織り込む繰り返しパターンにより前記表面層を形成し、
    前記第1経糸のうちの残部が、連続する3本の前記第2層の緯糸を裏面層側から織り込み、次に1本の前記第3層の緯糸を表面層側から織り込み、さらに次の連続する3本の前記第2層の緯糸を裏面層側から織り込む繰り返しパターンにより前記裏面層を形成し、
    前記第2経糸が前記第3層の緯糸を平織組織で織り込んだことを特徴とする請求項1に記載の製紙機械用ベルト。
  4. 2本〜4本のいずれかの本数の前記第2経糸から成る第2経糸のグループと、1対〜4対のいずれかの数の前記第1経糸の対から成る第1経糸のグループとが、緯糸方向に交互に配設されており、
    前記第2経糸が前記第3層の緯糸を織り込んで形成する経糸ナックルの頂部のうち、前記表面層側の頂部が該ベルトの表面層側表面よりも厚さ方向内側にあり、かつ、前記裏面層側の頂部が該ベルトの裏面層側表面よりも厚さ方向内側にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製紙機械用ベルト。
  5. 前記第1経糸に断面が扁平な四角形のモノフィラメント、前記第2経糸に断面が円形のモノフィラメントを用いたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製紙機械用ベルト。
  6. 前記第1層、第2層および第3層の緯糸の少なくとも1層の緯糸に、乾熱収縮率の高いモノフィラメントを用いたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製紙機械用ベルト。
  7. 前記第1層、第2層および第3層の緯糸に断面が円形のモノフィラメントを用いると共に、前記第3層の緯糸に前記第1層および第2層の緯糸よりも大径のモノフィラメントを用いたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の製紙機械用ベルト。
  8. 前記織成布を構成する前記第2経糸の一部を延長し、折返してループを形成の後、織成布本体の織組織内に綴り込んで、折返しループ列をなし、この折返しループ列を互いに噛み合わせてなる共通孔に接合芯線を挿通して織成布を無端状に接続するための接合用ループ列よりなるベルト継手部、
    または、前記折返しループ列にスパイラル線をそれぞれ係合し、さらに2つのスパイラル線同士を噛み合わせてなるスパイラル線相互の共通孔に接合芯線を挿通して織成布を無端状に接続するためのベルト継手部を、
    前記織成布の経糸方向の両端に具備することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の製紙機械用ベルト。
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