JP3967159B2 - シート状物品の供給装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、封入・封緘機、等においてシート状物品を供給する技術分野に属する。特に、所定の間隔に区切られた載置部を有するコンベヤに対して、折丁、枚葉紙、冊子、等のシート状物品を、その載置部の適正な位置に確実に供給する供給装置に関する。
【０００２】
【従来技術】
封入・封緘機、等においては、所定の順番でシート状物品を重ね合せること（丁合）が行なわれる。封入・封緘機は、一般に、コンベヤとフィーダ（供給装置）を有する。コンベヤは、コンベヤベルトに所定の間隔で配置されたピンを有する。そのピンにシート状物品の端部を当接して搬送することにより複数のシート状物品が位置決めされる。フィーダは、コンベヤの搬送方向に沿って複数台が配置される。フィーダは、搬送に同期してピンとピンとの間にシート状物品を供給する。所定のフィーダから所定の折丁をコンベヤに供給することで、所定の順番でシート状物品を重ね合せることができる。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
コンベヤに対してシート状物品を供給するタイミングは、コンベヤとフィーダとが同期しているため基本的には運転中に変化することはない。しかし、シート状物品の形状（寸法、紙癖、等）や質量、等によっては、そのシート状物品がフィーダを離れてからコンベヤに進行するときにタイミングが変化することがある。すなわち、空気の抵抗を受けて姿勢を変化させたり、落下するまでの所要時間が変化することがある。
【０００４】
たとえば、図３（Ａ）に示すように、面積に比較して質量の大きいシート状物品では正常なタイミングで進行する。これに対して、図３（Ｂ）に示すように、面積に比較して質量の小さいシート状物品では、空気の抵抗を受けて落下が不安定となる。その場合には、図４に示すように、シート状物品の位置ずれが生じたり、シート状物品が浮いてピンに乗ってしまうことがある。
【０００５】
これを回避しシート状物品を安定供給するために、封入・封緘機、等における供給のタイミングをシート状物品の形状・質量に合わせて調整する作業が、オペレータによって行なわれる。この作業は運転を停止して調整を行ない、再開して調整結果を確かめる作業であるため大きな生産阻害となる。また、負荷が大きく、比較的高い熟練度を必要とするものである。
【０００６】
しかし、シート状物品の全長がピンとピンの間隔とほぼ同じときには、図５に示すように、調整幅が不足する。そのために、調整を行ってもタイミングの十分な改善が不可能であることがある。オペレータは十分な調整を行なえないままに運転を余儀なくされることとなる。その結果、コンベヤジャムが発生する、運転を長時間停止する、不良品が大量発生する、後工程でジャムが発生する、等の問題が生じることとなる。
【０００７】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、折丁、枚葉紙、冊子、等のシート状物品の供給におけるタイミングの変化を小さくし、所定の間隔に区切られた載置部を有するコンベヤに対して、シート状物品を、その載置部の適正な位置に確実に供給する供給装置を提供することにある。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題は下記の本発明によって解決される。すなわち、本発明の請求項１に係る供給装置は、ピンとピンとの間のコンベヤベルト面を載置部とするピン付コンベヤにおける搬送と同期して、積み重ねられたシート状物品を１枚１枚に分離しチャックで掴んで移動し前記載置部に供給する供給装置であって、前記分離した前記シート状物品を前記載置部に押し付けるように前記シート状物品の上面側から前記載置部に向けて空気を噴出するノズルを、前記チャックと干渉しない位置である前記シート状物品の前端部と後端部の２個所に配置したものである。
【０００９】
本発明によれば、シート状物品の供給はピン付コンベヤにおける搬送と同期して行なわれるようにしたものであるから、所定の間隔に区切られた載置部を有するピン付コンベヤに対して、シート状物品を、その載置部の適正な位置に確実に供給する。また、前記チャックと干渉しない位置である前記シート状物品の前端部と後端部の２個所に前記ノズルを配置したから、前記シート状物品を掴んで移動するためのチャックを具備する供給装置に適合する。また、ノズルが噴出する空気により分離したシート状物品が載置部に押し付けられるから、面積に比較して質量の小さいシート状物品でも、空気の抵抗を受けて落下が不安定となるようなことがない。したがって、折丁、枚葉紙、冊子、等のシート状物品の供給におけるタイミングの変化を小さくすることができる。
【００１０】
また本発明の請求項２に係る供給装置は、請求項１に係る供給装置において、前記空気の前記噴出は、前記供給装置から前記シート状物品が離れて前記載置部に向けて進行する期間において行なわれるようにしたものである。本発明によれば、供給装置から離れて載置部に向けて進行するシート状物品が不安定となる期間においてノズルから空気が噴出される。したがって、適正期間の空気噴出によりシート状物品の供給におけるタイミングの変化が効率的かつ効果的に小さくされる。
【００１１】
また本発明の請求項３に係る供給装置は、請求項１または２のいずれかに係る供給装置において、前記空気の噴出量を調節する空気噴出量調節手段を具備するようにしたものである。本発明によれば、調節によりノズルから適正量の空気が噴出される。したがって、適正量の空気噴出によりシート状物品の供給におけるタイミングの変化が効率的かつ効果的に小さくされる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について実施の形態を説明する。シート状物品を掴んで移動するためのチャックを具備する本発明の供給装置について図１を参照して説明する。図１（Ａ）はその供給装置の側面図であり、図１（Ｂ）は正面図である。図１において、１はドラム、２ａ，２ｂはチャック、３ａ，３ｂは吸盤、４ａ，４ｂはノズル、１１ａ，１１ｂはピン、１２はコンベヤベルト、１００はシート状物品である。
【００１６】
シート状物品１００は、供給装置の上部に設けられた収容箱に台積みされている。吸盤３ａ，３ｂは収容箱の一番下のシート状物品１００の表面を吸着する。吸盤３ａ，３ｂは上下動するアームの先端に取付けられており、シート状物品１００を吸着した状態でそのアームが上下動する。これにより、シート状物品１００のすくなくとも一方の端が収容箱の外に捲り（めくり）出される。
【００１７】
捲り出されたシート状物品１００の一方の端は、チャック２ａ，２ｂのいずれかによって掴まれる。チャック２ａ，２ｂはドラム１に設けられており、ドラム１は回転している。したがって、チャック２ａ，２ｂのいずれかによって掴まれたシート状物品１００は、ドラム１の回転とともに収容箱の外に引き出され、図１（Ａ）に示すシート状物品１００ａの状態となる。
【００１８】
このようにして台積みされたシート状物品１００は、下のものから順番に収容箱から取り出される。収容箱から取り出されたシート状物品１００は、ドラム１がさらに回転すると、図１（Ａ）に示すシート状物品１００ａの位置からシート状物品１００ｂの位置へと移行する。図１（Ａ）に示すチャック２ｂの位置はシート状物品１００ｂを放す位置である。この放す位置においてシート状物品１００ｂはコンベヤベルト１２の真上に位置するように構成されている。
【００１９】
ドラム１の回転とともに放す位置に達し放されたシート状物品１００ｂは、従来の供給装置においては自然落下によりコンベヤベルト１２に向けて進行する。これに対して本発明の供給装置においては、ノズル４ａ，４ｂから空気を噴出することにより強制落下させコンベヤベルト１２に向けて進行させる。すなわち、図１（Ａ）、図１（Ｂ）に示すように、ノズル４ａ，４ｂは、シート状物品１００ｂの上面側からコンベヤベルト１２に向けて空気を噴出する。
【００２０】
図１（Ａ）、図１（Ｂ）に示すように、ノズル４ａ，４ｂは、シート状物品１００ｂの前端部と後端部の２個所に配置する。この前端部と後端部は、シート状物品１００ｂの搬送方向を基準とする前端部と後端部である。これによりノズル４ａ，４ｂは、チャック２ａ，２ｂと機械的な干渉を起こさない。
【００２１】
ノズル４ａ，４ｂによる空気の噴出は、間欠的ではなく供給動作における全期間において連続して行なうことができる。しかし、ノズル４ａ，４ｂによる空気の噴出は、チャック２ｂがシート状物品１００ｂを放し供給装置からシート状物品１００ｂが離れて載置部であるコンベヤベルト１２に向けて進行する期間において行なうと好適である。適正期間だけ噴出することにより空気を無駄に消費することがなく、運転速度の変化、等の変化に対する許容範囲が広くなり調整も容易となる。
【００２２】
ノズル４ａ，４ｂによる空気の噴出量を調節するために、空気噴出量調節器（図示せず）を設けることができる。空気噴出量調節器は圧縮空気の配管におけるノズル４ａ，４ｂに近い部位に設ける。
このように適正期間かつ適正量の空気噴出によりシート状物品の供給におけるタイミングの変化を効率的かつ効果的に小さくすることができる。
【００２３】
コンベヤベルト１２にはピン１１ａ，１１ｂが設けられている。コンベヤベルト１２はエンドレスループとなっており、ピンは２つだけでなくピン１１ａ，１１ｂ，・・・というように等間隔に配列している。供給装置は、シート状物品１００をピンとピントの間に正確に供給する。シート状物品１００の搬送方向の後端はピンに当接して位置決めされ、シート状物品１００はそのピンに押されながら搬送される。
【００２４】
供給装置によるシート状物品１００の供給がそのように正確に行なわれるのは供給装置とコンベヤベルト１２が同期しているからである。供給装置の動作、具体的には、吸盤３ａ，３ｂがシート状物品１００を吸着する動作、チャック２ａ，２ｂがシート状物品１００を掴み放す動作、ドラム１の回転してシート状物品１００を移行する動作、ノズル４ａ，４ｂが空気を噴出する動作は、コンベヤベルト１２による搬送に同期した動作である。この同期は、通常は、同一のラインシャフトの回転によって各部分が駆動される構成によって実現される。
【００２５】
次に、上述とは別の供給装置の一例を挙げて本発明について実施の形態を説明する。シート状物品を圧着して移動するためのベルトを具備する本発明の供給装置について図２を参照して説明する。図２（Ａ）はその供給装置の側面図であり、図２（Ｂ）は正面図である。図１において、５はベルト、６はノズル、２１ａ，２１ｂはピン、２２はコンベヤベルト、１００はシート状物品である。
【００２６】
シート状物品１００は、供給装置のベルト５の上流側の上部に設けられた収容箱に台積みされている。収容箱の一番下のシート状物品１００の表面とベルト５の表面とは摩擦力が働いている。したがって、ベルト５が走行すると、そのシート状物品１００を収容箱の外に引き出す力がその摩擦力により作用する。収容箱には所定の間隙の開口部が設けられており、収容箱からは一番下のシート状物品１００だけをその開口部から引き出すことができる。収容箱には、開口部を所定の間隙とするだけでなく、２枚以上のシート状物品１００が同時に引き出されることがないようにする周知の構成を設けることができる。
【００２７】
収容箱から取り出されたシート状物品１００は、ベルト５の走行にしたがって搬送され、シート状物品１００ｂはコンベヤベルト２２の真上に供給される。従来の供給装置においては自然落下によりコンベヤベルト２２に向けて進行する。これに対して本発明の供給装置においては、ノズル６から空気を噴出することにより強制落下させコンベヤベルト２２に向けて進行させる。すなわち、図２（Ａ）、図２（Ｂ）に示すように、ノズル６は、シート状物品１００ｂの上面側からコンベヤベルト１２に向けて空気を噴出する。
【００２８】
図２（Ａ）、図２（Ｂ）に示すように、ノズル６は、直線状領域に空気を噴出するノズルである。この空気が噴出される直線状領域が、シート状物品１００ｂの前後方向の全体を押さえるようにする。この前後方向は、シート状物品１００ｂの搬送方向を基準とする前後方向である。これにより１つのノズル６で、シート状物品１００ｂの全体を均等な力で押さえることができ、シート状物品１００ｂの姿勢が安定する。
【００２９】
ノズル６による空気の噴出は、間欠的ではなく供給動作における全期間において連続して行なうことができる。しかし、ノズル６による空気の噴出は、ベルト５からシート状物品１００ｂが離れて載置部であるコンベヤベルト２２に向けて進行する期間において行なうと好適である。適正期間だけ噴出することにより空気を無駄に消費することがなく、運転速度の変化、等の変化に対する許容範囲が広くなり調整も容易となる。
【００３０】
ノズル６による空気の噴出量を調節するために、空気噴出量調節器（図示せず）を設けることができる。空気噴出量調節器は圧縮空気の配管におけるノズル６に近い部位に設ける。
適正期間かつ適正量の空気噴出によりシート状物品の供給におけるタイミングの変化を効率的かつ効果的に小さくすることができる。
【００３１】
コンベヤベルト２２にはピン２１ａ，２１ｂが設けられている。コンベヤベルト２２はエンドレスループとなっており、ピンは２つだけでなくピン２１ａ，２１ｂ，・・・というように等間隔に配列している。供給装置は、シート状物品１００をピンとピントの間に正確に供給する。シート状物品１００の搬送方向の後端はピンに当接して位置決めされ、シート状物品１００はそのピンに押されながら搬送される。
【００３２】
供給装置によるシート状物品１００の供給がそのように正確に行なわれるのは供給装置とコンベヤベルト２２が同期しているからである。供給装置の動作、具体的には、ベルト５がシート状物品１００を引き出す動作、ベルト５がシート状物品１００をコンベヤベルト２２の真上に供給する動作、ノズル６が空気を噴出する動作は、コンベヤベルト２２による搬送に同期した動作である。この同期は、通常は、同一のラインシャフトの回転によって各部分が駆動される構成によって実現される。
【００３３】
【発明の効果】
以上のとおりであるから、本発明の請求項１に係る供給装置によれば、折丁、枚葉紙、冊子、等のシート状物品の供給におけるタイミングの変化を小さくする供給装置が提供される。また、所定の間隔に区切られた載置部を有するコンベヤに対して、シート状物品を、その載置部の適正な位置に確実に供給する供給装置が提供される。また、シート状物品の供給におけるタイミングの変化を小さくするとともにシート状物品を掴んで移動するためのチャックを具備する供給装置に適合することができる。また本発明の請求項２に係る供給装置によれば、適正期間の空気噴出によりシート状物品の供給におけるタイミングの変化を効率的かつ効果的に小さくすることができる。また本発明の請求項３に係る供給装置によれば、適正量の空気噴出によりシート状物品の供給におけるタイミングの変化を効率的かつ効果的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のシート状物品の供給装置における構成の一例を示す図である。
【図２】本発明のシート状物品の供給装置における構成の別の一例を示す図である。
【図３】面積に比較して質量の大きいシート状物品と質量の小さいシート状物品との挙動の相異を示す説明図である。
【図４】シート状物品のコンベヤベルトにおける位置ずれ、浮きを示す模式図である。
【図５】シート状物品の全長がピンとピンの間隔とほぼ同じときには調整幅が不足することを示す模式図である。
【符号の説明】
１ ドラム
２ａ，２ｂ チャック
３ａ，３ｂ 吸盤
４ａ，４ｂ，６ ノズル
５ ベルト
１１ａ，１１ｂ，２１ａ，２１ｂ ピン
１２，２２ コンベヤベルト
１００ シート状物品

Claims (3)

1. ピンとピンとの間のコンベヤベルト面を載置部とするピン付コンベヤにおける搬送と同期して、積み重ねられたシート状物品を１枚１枚に分離しチャックで掴んで移動し前記載置部に供給する供給装置であって、前記分離した前記シート状物品を前記載置部に押し付けるように前記シート状物品の上面側から前記載置部に向けて空気を噴出するノズルを、前記チャックと干渉しない位置である前記シート状物品の前端部と後端部の２個所に配置したことを特徴とする供給装置。
2. 請求項１記載の供給装置において、前記空気の前記噴出は、前記供給装置から前記シート状物品が離れて前記載置部に向けて進行する期間において行なわれることを特徴とする供給装置。
3. 請求項１または２に記載の供給装置において、前記空気の噴出量を調節する空気噴出量調節手段を具備することを特徴とする供給装置。

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