JP3966744B2 - 電子写真感光体および該電子写真感光体を用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体および該電子写真感光体を用いた画像形成装置に関するものである。詳しくは特定の化合物を含有する電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、従来の複写機だけにとどまらず、各種プリンタ、ファクシミリなどに幅広く使われている。電子写真技術の中核をなす感光体については、アモルファスシリコン、砒素−セレン系などの無機光導電材料と有機系の光導電材料が使用されている。
【0003】
有機系感光体としてはいくつかの層構成が考案されているが、電荷発生と電荷輸送の機能を分離し電荷発生層、電荷輸送層を積層したいわゆる積層型感光体が、生産性が高い、安全性が高い、設計の自由度が高く、より高性能な光導電特性を持った感光体が得られることなどから精力的に研究・開発されており、現在では感光体の主流となっている。
【0004】
一方で、電子写真プロセスにおいては帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等の作用を反復して受けるため、感光体に対しては物理的、機械的、化学的、電気的等様々な耐久性、安定性が要求される。特に現像剤、転写材、コロナ放電生成物、クリーニングブレード等の機械的接触に対する耐久性は無機系感光体に比較しまだ劣っているのが現状である。更に近年の高解像度化、高画質化を指向した現像剤の微粒子化あるいは球形度の高い化学重合トナーの実用化等に伴い、トナーの易転写性や高精度なクリーニング特性に対する要求が高まって来ている。
【0005】
トナーの易転写性や高精度なクリーニング特性を達成するためには、感光体表面の摩擦力や付着力に関係するエネルギーを低下させる必要があるが、そのための手段としてこれまでに、例えばフッ素系やシリコーン系レベリング剤の使用、具体的にはシリコーンオイル等を表面層に添加する方法や、ポリテトラフルオロエチレン,シリコン粉末等の塗布表面改質剤を表面層に分散させる方法が知られている。
【0006】
具体的には例えば、特開昭61−132954号公報ではシリコーンオイルを添加することが、特開昭63−65450号公報にはフッ素系樹脂粉体を含有させることが報告されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら一般に使用されている表面改質剤は、例えばレベリング剤では、塗工液成分との相溶性に乏しいため、塗膜製造工程での塗膜乾燥時あるいは比較的短期の保管の間にレベリング剤が表面に移行し、表面層の極表面に偏析しやすい。そのため、初期的には表面エネルギーを効果的に低下させることが出来るものの、繰り返し表面が摺擦される間にレベリング剤が容易に削り取られてしまい、すぐに効果が無くなり持続性に問題があった。また例えば、ポリテトラフルオロエチレン微粒子を感光層に分散させた場合には、確かに潤滑性が向上し、かつその効果も持続するようであるが、これらの微粒子は感光層に入射する潜像形成をするための光を散乱、反射してしまい忠実な潜像形成を妨げる場合があった。特に近年、デジタル信号により制御されたレーザー、LED,液晶シャッターなどのドット状微小潜像を用いるプロセスではこの影響が大きく、画像の均一性を大きく低下させてしまうことがわかっている。
【0008】
一方、前述したように最近のトナー現像剤は高解像度化、高画質化、高速化に対してより小粒径化、ガラス転移点温度が低くなる傾向にあるが、これらは感光体表面との付着力アップによる転写効率の低下やフィルミングの発生を引き起こし易くなることを意味しており、これまで知られている感光体表面の改質技術をもってしても十分に対応することが出来ず、より高機能な表面特性を持った感光体が待ち望まれているのが現状である。
【0009】
すなわち、本発明の目的は光散乱や反射がなく、表面エネルギーが低く、表面すべり性や表面離型性に優れ、かつ耐久においてもそれらの表面特性が持続する高機能な電子写真感光体、及び該感光体を用いた画像形成装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題に関し鋭意検討した結果、特定の化合物を感光層に含ませることにより、極めて効果的に表面エネルギーを低下させることができ、かつその効果も持続性のあることを見出し本発明に至った。すなわち本発明の要旨は、導電性支持体上に少なくとも感光層からなる電子写真感光体において、該感光層に下記一般式(1)で示される化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体、該感光体を用いた画像形成装置にある。
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、Aは炭素数100乃至200の分岐または直鎖状の飽和或いは不飽和脂肪族炭化水素基を表す。Bは、分子量500以下の置換基を有していても良い、芳香族炭化水素基または水素原子を表し、nは1乃至5の数字を表す。)
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の感光層は導電性支持体上に設けられる。導電性支持体としては、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケルなどの金属材料をドラム状にしたもの、表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体をシート、ベルト、ドラム、ロール状にしたもの、更にはカーボン、銅粉末などの導電性微粒子をプラスチックや紙に練り混んだもの等が使用される。
【0014】
アルミニウムドラムを用いる場合には、その材質としてはJISで規定されている例えば3000番台、5000番台、6000番台等のアルミニウム合金の押し出し・引き抜き管或いはそれらを切削加工したものが用いられ、その表面粗さとしては最大表面粗さRmaxで1.5μm以下が好ましい。
導電性支持体と感光層との間には通常使用されるような、公知のブロッキング層が設けられていてもよい。ブロッキング層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドなどの有機層が使用される。
【0015】
アルミニウム陽極酸化被膜を用いる場合の膜厚としては、例えば1乃至10μmが好都合であり、よりブロッキング機能を高めるため、酢酸ニッケルなどにより封孔されていることが望ましい。
有機層をバリアー層として用いる場合には単独あるいはチタニア、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム等の金属酸化物あるいは銅、銀、アルミニウム等の金属微粉末を単独或いは混合分散させて用いてもよい。これら微粉末の粒径としては適宜選べるが、例えば一次粒径として数十nm乃至数μmのものを用いることが好ましく、混合して用いてもかまわない。
【0016】
これらのバリアー層の膜厚は適宜設定できるが、0.05μmから20μm、好ましくは0.1μmから10μmの範囲で用いることが好ましい。
感光層は電荷発生層、電荷輸送層を導電性支持体側からこの順に積層したもの(以後これを順積層型感光層と呼ぶことがある)、あるいは逆に積層にしたもの(以後これを逆積層型感光層と呼ぶことがある)、さらには電荷輸送媒体中に電荷発生物質を分散したもの(以後これを分散型感光層と呼ぶことがある)など、いずれも用いることができるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
【0017】
順積層型感光層の場合、電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えばアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、ベンズイミダゾール顔料、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、スクエアリウム塩等を用いることが出来る。
電荷発生層にはこれらの顔料および/または塩を、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等の各種バインダー樹脂で結着した形の分散層で使用してもよい。
【0018】
この場合の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して30から500重量部の範囲より使用され、その膜厚は通常0.1μm〜2μm 、好ましくは0.15μm〜0.8μmが好適である。
また電荷発生層には、必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。さらに、上記物質の蒸着膜であってもよい。
【0019】
電荷輸送層は電荷輸送機能を持ったバインダー樹脂単独で形成されても良いが、電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散されて構成がより望ましい。
電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂などが挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。
【0020】
電荷輸送物質としては、例えばピレン、アントラセン等の多環芳香族化合物、カルバゾール、インドール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾリン、オキサチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール等の複素環化合物、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、N−メチルカルバゾール−3−カルバルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン系化合物、5−(4−(ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン)−5H−ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン等のスチリル系化合物、p−トリトリルアミン等のトリアリールアミン化合物、N,N,N,N−テトラフェニルベンジジン等のベンジジン系化合物、ブタジエン系化合物、ジ−(p−ジトリルアミノフェニル)メタン等のトリフェニルメタン系化合物などが挙げられる。
【0021】
前記バインダー樹脂とこれら電荷輸送物質との割合は、通常バインダー樹脂100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは40〜150重量部の範囲で使用される。
また電荷輸送層には、必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、増感剤、レベリング剤、電子吸引性物質等の各種添加剤を含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚は10〜60μm、好ましくは10〜45μmの厚みで使用される。
【0022】
最表面層として従来公知の、例えば熱可塑性あるいは熱硬化性ポリマーを主体とするオーバーコート層を設けてもよい。
感光体の各層は、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、例えば浸漬塗布方法、スプレー塗布方法、リング塗布方法等の公知の方法を用いて順次塗布、形成される。
【0023】
感光体の構成として分散型感光層を有する場合には、上記のような配合比のバインダー樹脂と電荷輸送物質を主成分とするマトリックス中に、前記電荷発生物質が分散されるが、その場合の粒子径は十分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少なすぎると十分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があるため、例えば好ましくは0.5〜50重量% 、より好ましくは10〜45重量%で使用される。感光層の膜厚は、通常5〜50μm 、より好ましくは10〜45μmで使用される。 またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、シリコーンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤を添加してもよい。
【0024】
本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で示される化合物を含むことを特徴とする。一般式(1)において、式中Aの炭素数が少ない場合には感光層との相溶性が良くなる傾向にある反面、表面エネルギーの低下効果についてはやや少ない傾向が見られ、逆に炭素数が多い場合には表面エネルギーの低下効果は大きくなる傾向にある反面、感光層との相溶性や、感光層を形成する際の塗工液の安定性、相溶性が悪くなる傾向にあるため、式中A部分の炭素数は100乃至200とする。
【0025】
式中A部分の分岐や不飽和の程度については特に制限はないが、効果的に表面エネルギーを低下させるためには各々あまり多くないことが好ましい。
式中Xは二価の結合基、例えば酸素、硫黄、スルホニル基、スルホン基、サルフェニル基、カルボニル基、エステル基、チオエステル基、リン酸エステル基、メチレン基などを表す。
【0026】
式中Bは置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の芳香族炭化水素基または水素原子を表わす。この場合の置換基としては、式量500以下の、例えばメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ウンデカン基などのアルキル基;アリル基、イソプロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基などのアリールアルコキシ基;クロル原子、ブロム原子などのハロゲン原子;ヒドロキシ基;アシル基;ベンゾイル基; シアノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのジアルキルアミノ基;ジベンジルアミノ基、ベンジル−エチルアミノなどのアリールアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジ−p−トリルアミノ基等のジアリールアミノ基;クロロメチル基、ブロモプロピル基などのハロアルキル基などが挙げられる。これらの中ではフェニル基やジアリールアミノ基を置換基として持つものが、より効果的である。
【0027】
nは1乃至5、好ましくは1乃至3の数字を表す。nが2乃至5の場合、Bは同一であっても異なっていてもかまわない。一般式(1)で示される化合物は一種類或いは二種以上の混合物としていずれで使用してもかまわない。一般式(1)で示される化合物の好ましい例として、次の表1〜2に示されるような化合物が挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。また、次の表1〜2には一般式(1)で示される化合物の、A,X,Bに相当する部分のみを記載した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0031】
本化合物は基本的に感光層の最表面層に含有させられるが、順積層感光層に含有させる場合には、電荷輸送層のバインダー樹脂100重量部に対して0.01乃至30重量部、好ましくは0.1乃至20重量部、より好ましくは0.3乃至20重量部の範囲で用いられる。分散型感光層に含有させる場合も同様である。
【0032】
オーバーコート層を有する感光体に使用する場合には、該層に添加されるが、その場合の添加量としてはオーバーコート層の樹脂成分100重量部に対して0.1乃至50重量部の範囲で用いることが好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置について、装置の一例を示す図1に基づいて説明する。
【0033】
図1において、1はドラム状感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1はその回転過程で帯電手段3により、その表面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、ついで露光部4において像露光手段により潜像形成のための露光が行われる。露光手段としてはスリット露光やレーザー光走査露光などがある。形成された静電潜像は、次に現像手段5でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段6により給紙部から給送された転写体(紙など)7に順次転写されていく。像転写された転写体はついで定着手段8に送られ、像定着され、機外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1の表面はクリーニング手段9により転写残りのトナーが除去され、除電手段10により除電されて次の画像形成のために清浄化される。
【0034】
図1では帯電手段3としてコロナ帯電装置が描かれているが、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。
【0035】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り以下の実施例によって制限されるものではない。
合成例−1
下記繰り返し構造を持つ、平均炭素数200の水素添加ポリブタジエンポリオ
【0036】
【化3】
【0037】
ール(1)(三菱化学(株)社製 商品名:ポリテールH)150gとトルエン300mlとを反応容器に仕込み、70℃で加熱溶解する。これに三臭化リン9.7gを20分かけて滴下し、70℃で1時間加熱攪拌したものに水150mlを加えた後、炭酸ナトリウム水溶液を用いて中和し、メタノール2L中に放出した。沈殿を濾別、メタノールで洗浄することにより、水添ポリブタジエン臭化物151gを得た。
【0038】
上記臭化物140gとパラヒドロキシフェニル−ジフェニルアミン25g、臭化テトラブチルアンモニウム9.6g、テトラヒドロフラン375mlを仕込み、テトラヒドロフランを加熱還流させながら水酸化カリウム8.2gを30分かけて添加した。5時間攪拌しながら加熱還流した後、この反応液を水−メタノール(1/4)混合液中に放出して沈殿を濾取し、さらに水−メタノール(1/4)混合液で懸洗した。この沈殿をトルエン900mlに溶解して活性白土35gを加え、70℃で30分間加熱攪拌した。活性白土を濾別した後に再び活性白土35gを加えて70℃で30分間処理して濾過を行い、そのトルエン溶液をメタノール中に放出した。この沈殿を濾取することにより、白色の固体143gを得た。
【0039】
この生成物の赤外吸収スペクトルとH+NMRスペクトルを各々図2、図3に示す。これらのスペクトルから一部副生成物が混じっているものの、得られた生成物は下記構造であることがわかった。
【0040】
【化4】
【0041】
実施例−1
図4に示されるCu−Kα特性X線による粉末X線回折におけるX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部にn−プロパノール200重量部を加え、サンドグラインドミルで4時間粉砕し微粒化分散処理を行った。
【0042】
次にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)5重量部の10%メタノール溶液と混合し分散液を作成した。 次にポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム蒸着面上に、この分散液を乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにバーコーターにより塗布し、電荷発生層を設けた。この電荷発生層の上に、以下に示される化合物を50重量部、合成例
【0043】
【化5】
【0044】
−1で合成した化合物を5重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを4重量部、および下記ポリカーボネート樹脂100重量部(共重合比率
【0045】
【化6】
【0046】
はモル比)をテトラヒドロフランと1,4−ジオキサンの混合溶媒1000重量部に溶解させた溶液をフィルムアプリケータにより塗布し、乾燥後の膜厚が23μmとなるように電荷輸送層を設けた。このようにして作成した感光体を感光体Aとする。
実施例−2
実施例−1において, 合成例−1で合成した化合物の添加量を3重量部に変えた以外は、実施例−1と同様に行い、感光体Bを作成した。
実施例−3
実施例−1において, 合成例−1で合成した化合物の添加量を1重量部に変えた以外は、実施例−1と同様に行い、感光体Cを作成した。
実施例−4
実施例−1において, 合成例−1で合成した化合物に代えて、合成例−1で用いた平均炭素数200の水添ポリブタジエンポリオール(1)(三菱化学(株)社製 商品名:ポリテールH)を5重量部加えた以外は、実施例−1と同様に行い、感光体Dを作成した。
実施例−5
実施例−4において,ポリテールHの添加量を3重量部に変えた以外は、実施例−4と同様に行い、感光体Eを作成した。
実施例−6
実施例−4において, ポリテールHの添加量を1重量部に変えた以外は、実施例−4と同様に行い、感光体Fを作成した。
実施例−7
実施例−4において, ポリテールHの代わりにポリテールHと同じ繰り返し構造をもち、平均炭素数が100の水添ポリブタジエンポリオールを5重量部に変えた以外は、実施例−4と同様に行い、感光体Gを作成した。
比較例−1
実施例−1において、合成例−1で合成した化合物にかえて、ジメチルシリコーン(粘度0.1センチポアズ)0.1重量部加えたこと以外は、実施例−1と同様に行い、比較感光体Hを作成した。
比較例−2
実施例−1において、合成例−1で合成した化合物にかえて、ジメチルシリコーン(粘度100センチポアズ)0.1重量部を加えた以外は、実施例−1と同様に行い、比較感光体Iを作成した。
【0047】
これらの感光体を感光体特性試験機(川口電機(株)製モデルEPA8100)に装着して、アルミニウム面への流れ込み電流を35μAになるように帯電させた後、露光、除電を行い、その時の帯電性、帯電開始から2秒放置後の電位の低下率、基準電位−450Vにおける半減露光量、残留電位を測定した。その測定結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4の結果から判るように、実施感光体はそれぞれ、比較感光体と比較し、ほとんど同一の電気特性を示しており、本発明による化合物を含有させても電気的な特性に対してはほとんど影響を及ぼさないことが判る。
次に、全自動動摩擦摩耗試験機(協和界面化学(株)社製DFPM−SS)に図5の模式図に示すように感光体をセットし、感光体表面にトナー(ヒュレットパッカード社製LaserJet4用トナー)を0.1mg/cm2となるように均一に乗せた後、ウレタンゴム製クリーニングブレード(シャープ(株)製SF−7800用クリーニングブレードを1cm幅に切断したもの)を45度の角度で試料に当て、加重200g、速度5mm/秒、ストローク20mmで移動させた時のそれぞれの感光体の動摩擦係数を測定した。この測定を100回繰り返して行なった。3回目及び100回目での動摩擦係数の測定結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】
表5の結果から明らかなように比較感光体H,Iでは初期或いは100回の摺擦を行った後も、高い動摩擦係数を示しているのに対し、本発明による感光体では初期の動摩擦係数は低く、かつ100回の摺擦後もその特性が持続されていることが判る。
次に、感光層作成用溶液の均一性を目視により評価した結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
表6の結果から明らかなように、感光体D,E,F,Gでは白濁や分離などの塗工上の問題を生じたが、合成例−1で合成した化合物を添加した、A,B,Cの感光層作成用の溶液は、塗工上良好な状態を維持していた。
実施例−8
図6に示されるような、Cu−Kα特性X線による粉末X線分析におけるX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部に1,2−ジメトキシエタン200重量部を加え、サンドグラインドミルで4時間粉砕し微粒化分散処理を行った。次にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)5重量部の10%メタノール溶液と混合し分散液を作成した。
【0054】
この分散液を外径30mm、長さ250mm、肉厚0.75mmの、表面が陽極酸化処理されたアルミシリンダー上に、浸漬塗布により乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、電荷発生層を設けた。
この電荷発生層の上に、以下に示される化合物を70重量部、合成例−1で合
【0055】
【化7】
【0056】
成した化合物を5重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエンを4重量部、ジメチルシリコーン(信越化学工業(株)製、商品名KF−96)0.1重量部および下記ポリカーボネート樹脂100重量部(共重合比率はモル比)
【0057】
【化8】
【0058】
をテトラヒドロフランと1,4−ジオキサンの混合溶媒1000重量部に溶解させた溶液をフィルムアプリケータにより乾燥後の膜厚が18μmとなるように塗布し、電荷輸送層を設けた。この様にして作成した感光体を感光体Jとする。
次に、この感光体Jを市販のレーザープリンタ(セイコーエプソン(株)製、製品名LP−1800)に搭載し、以下のようにしてトナー転写率の評価を行った。
【0059】
まず、全面ベタ黒の画像パターンのプリントを行った。次に感光体を取り出し、感光体表面に残ったトナーを透明粘着テープ((株)ライオン事務器製、製品名セロハンテープP−18)に写し取った。該透明粘着テープに写し取られた残留トナーの光学反射濃度(A)及びプリント画像のベタ黒部の光学反射濃度(B)を反射濃度計(Macbeth社製、製品名RD−918)でそれぞれ測定し、トナー転写率を下記式(2)
トナー転写率(%)=(B)÷{(A)+(B)}×100 (2)
により算出した。その結果、トナー転写率は92.6%であった。
比較例−3
実施例8において、合成例−1で合成した化合物を加えない以外は実施例8と同様にして比較感光体Kを作成した。この感光体Kに関し、実施例8と同じ方法でトナー転写率を評価したところ、90.1%であった。
【0060】
この結果から明らかなように、本発明による感光体はトナー転写率に関しても、著しく向上させる効果のあることが判る。
【0061】
【発明の効果】
本発明による、感光層に特定の化合物を使用した電子写真感光体は、小粒径のトナーをも効率よく転写できる優れた表面特性を有しており、繰り返し使用においてもその表面特性は持続するため、常に安定した画像を形成することが出来る。 また、該化合物を含有させたことによる感度、光応答特性等の光導電特性に対する悪影響もほとんどなく、耐久性に優れており、極めて品質の高い高速の複写機やカラープリンタ等の画像形成装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】合成例−1記載の化合物の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図3】合成例−1記載の化合物のH+NMRスペクトルを示す図である。
【図4】実施例−1記載のオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。
【図5】全自動摩擦摩耗試験機による測定の模式図である。
【図6】実施例−7記載のオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1.ドラム状感光体
2.軸
3.帯電手段
4.露光部
5.現像手段
6.転写手段
7.転写体
8.定着手段
9.クリーニング手段
10.除電手段
Claims (3)
- 感光層が少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層からなることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 少なくとも請求項1または2記載の電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段と、トナー転写後の感光体をクリーニングするためのクリーニング手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
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