JP3965106B2 - 桁構造の補強工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
桁構造に補強用部材を溶接接合により取り付ける桁構造の補強工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、設計時の運転能力等を上げる必要が生じ、そのため設計時の桁構造の耐久能力を向上する必要が生じる。例えば、クレーンの走行桁等の既存の桁構造の耐久性を向上させるために、既存の桁構造のフランジに補強用部材を取り付けることにより、運転能力アップによる荷重の増加に対応する桁構造の補強工法が実施されている。しかし、既存の桁構造に補強用部材を溶接接合すると、溶接部から疲労亀裂が発生し、かえって桁構造の耐久性を低下させる結果となることが判明している。そのため、既存の桁構造に補強用部材を取り付けるために、既存の桁構造のフランジにボルト孔を削孔し、ボルト等の連結手段により取り付ける桁構造の補強工法が採用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭54−56953号公報
【特許文献2】
特開昭62−207579号公報
【特許文献3】
特開平10−279273号公報
【非特許文献1】
(Surface Nanocrystallization(SN C)of metallic Materials−Presentaion of the Concept behind a New Approach,J.Master.Sci.Technol.Vol.15 No.3,1999)
【0004】
【発明が解決すべき課題】
しかし、ボルト等の連結手段による補強用部材の桁構造への取り付けは、既存桁構造への削孔作業が必要であり、削孔による断面欠損の問題や、作業性、施工コストの面において、溶接接合より劣るという問題があることから、溶接接合による補強部材の桁構造への取り付けが望まれ、様々な溶接部の疲労向上処理策がとられている。
【0005】
金属部材の溶接部の疲労向上処理策には大きく分けて2種類あり、まず、疲労が問題となる部分の形状を変えて応力集中を少なくする、グラインディング、TIGドレッシングなどがある。また、疲労が問題となる部分に圧縮残留応力を与えて、実質的な繰り返し応力範囲を小さくする、ハンマーピーニング、ニードルピーニング、ショットピーニング、低温変態溶材などがある。このうち、ハンマーピーニングに関しては、応力集中を少なくする効果と圧縮応力を導入する効果の両方を持つとされている。
【0006】
上記の疲労向上処理策のうち、応力集中を少なくする処理策の効果は目に見えて明らかであるが、実際には、疲労が問題となる箇所においてはわずかな傷などが疲労強度をむしろ悪化させる原因となることがあるために、グラインダー処理などに関しては処理に熟練が必要のみならず、作業に時間が必要であり、大きなコスト増加要因となる。
【0007】
また、TIGドレッシングに関しても、作業には熟練者が必要なのと、適用部位に熱を加えるために、金属部材の補強に使う場合などについては、応力変動に起因する溶接材料の高温割れを防ぐために作業中は金属部材の使用を止める必要があるなど、やはり大きなコスト増加要因となる。
【0008】
一方、圧縮残留応力を導入する処理策であるが、圧縮残留応力は目に見えないために、処理後の影響が測定しにくく、検査によって効果を保証することが困難であるということが問題となり、品質管理上の観点から、判断・診断能力あるエンジニアが立ち会えないような状況では、通常は使われない。
【0009】
また、ハンマーピーニングでは、処理部に大きな塑性変形を与えることができるため、処理の痕跡を大きくし、実施後に処理を特定することはできるが、処理時にできる表面の傷がかえって応力集中をもたらし、疲労強度を低下させることがあるのと、その塑性変形を与えるときの大きな反動のために著しく作業性が悪いために、細かいコントロールが困難であり、品質管理が非常に難しい。
【0010】
また、上記のような圧縮残留応力を導入する疲労向上処理策を特に金属部材の補修に用いる場合、疲労亀裂の発生初期である寸法1mm以下の小さな時点では、浸透探傷試験、磁粉探傷試験、渦流探傷試験などの現在の検査法では検出は不可能であるが、このような亀裂を残している状態で、上記の疲労寿命向上処理策を適用しても、亀裂の進展を止めることができないために、圧縮残留応力導入による疲労寿命向上効果はほとんど無いと考えられる。
【0011】
また、溶接部に低温変態溶材を使用する場合についても、止端部に圧縮残留応力を導入する場合についても、高強度鋼では効果が大きいが、低強度鋼では効果がほとんど無くなってしまうという特性があるのと、やはり、溶接による熱が加えられることから、TIGドレッシング同様、施工上の問題があって使いにくい部分があり、また、他の処理法と同様に導入した圧縮残留応力の効果が判定しにくい。
【0012】
上記のように、金属部材の溶接部の応力集中を減らす疲労向上処理策には、主に施工上の効率、施工者の熟練の問題があり、一方、圧縮応力を導入する疲労向上処理策には、その効果を計測して、品質管理を行うことができないことが問題であり、そのために、このような疲労寿命向上処理策を金属部材と補強用部材との溶接部に使うことは困難であった。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、桁構造と補強用部材との溶接部の疲労向上処理策として、超音波で先端を振幅20μm〜60μm、周波数15kHz〜60kHzで振動させる工具を用いて、溶接部表面を打撃するピーニングを行う超音波衝撃処理を行い、溶接部の疲労強度を向上させ、耐久性の高い桁構造の補強工法を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本第1発明は、上記課題を解決するために、CT形鋼をI型断面桁のウェブのラインに合わせて溶接した補強工法において、CT形鋼のウェブの板厚をtとしたとき、CT形鋼の端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成することを特徴とする。
【0015】
本第2発明は、本第1発明の桁構造の補強工法において、CT形鋼の端部からtの区間に開先を取り、その回し溶接の脚長を5mm以上としたことを特徴とする。
【0016】
本第3発明は、幅がI型断面桁または箱断面桁のフランジ幅より狭く端部が直線またカーブした形状のカヴァープレートをI型断面桁または箱断面桁のフランジに溶接する補強工法において、カヴァープレートの板厚をtとしたときに、カヴァープレートの板幅全体および端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成することを特徴とする。
【0017】
本第4発明は、本第3発明の桁構造の補強工法において、カヴァープレートの端部の区間に開先を取り、その重ね溶接の脚長を5mm以上としたことを特徴とする。
【0018】
本第5発明は、幅がI型断面桁または箱断面桁のフランジ幅より広く端部が直線またカーブした形状のカヴァープレートをI型断面桁または箱断面桁のフランジに溶接する補強工法において、カヴァープレートの板厚をtとしたときに、カヴァープレートの板幅全体および端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成することを特徴とする。
【0019】
本第6発明は、フランジ幅がI型断面桁のフランジ幅よりも狭いH形鋼をI型断面桁のフランジに、そのウェブを前記I型断面桁のウェブのラインに合わせて溶接した補強工法において、H形鋼のフランジの板厚をtとしたとき、H形鋼の板幅全体および端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成することを特徴とする。
【0020】
本第7発明は、I型断面桁の下フランジにトラス梁を有するガセットプレートを溶接する補強工法において、ガセットプレートの板厚をtとしたとき、ガセットプレート端部から両側についてt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
金属部材の疲労破壊の発生は、応力集中と残留応力に大きく影響される。荷重を受ける金属材においては応力集中部に転移がたまり、それがすべり線の蓄積となって亀裂に発展し、亀裂が発生後はそれが進展して行く。残留応力は、通常、溶接部などで引張残留応力として存在し、実効的な繰り返し応力範囲を拡大させて亀裂を発生しやすくするとともに、生成した亀裂の開口を促進すると考えられている。そのため、金属材の疲労寿命を向上させるには、応力集中を緩和するとともに、残留応力をできるだけ圧縮状態に近づけることが必要となってくる。
【0023】
金属部材の溶接部には、表面形状の急変部と引っ張り残留応力の両方が存在し、疲労強度的に最も弱点となる。この表面形状の急変部が切り欠きとして作用し、応力集中部となるために、この応力集中部に塑性変形を与え、なだらかな止端半径が大きな曲面によって形成された表面を形成することが、応力集中部を緩和することになる。また、このとき金属材の板厚方向に塑性変形を与えれば、その塑性化した金属材が周囲の金属によって拘束されることによって圧縮力が導入される。
【0024】
このような、溶接部に対する塑性加工を可能とする手段として、超音波で先端を振幅20μm〜60μm、周波数15kHz〜60kHzで振動させる工具を用いて、溶接部表面を打撃するピーニングを行う超音波衝撃処理という処理がある。この手法を用いることによって、溶接部表面に塑性加工を行い、深さ1.5mmほどにまで圧縮残留応力を導入することができる。
【0025】
この超音波衝撃処理という手法は、基本的にはハンマーピーニングと疲労強度向上に関する基本メカニズムは変わらないが、一回一回の打撃のエネルギーを小さい変わりに、1秒間に1万回以上の打撃を与えることによって、同じような塑性変形を実現している。しかも、一回一回の打撃力は小さいために、機器に生じる反動はほとんどまったく無く、ハンマーピーニングと比較して使用性、施工性の面で非常に有利である。
【0026】
また、この超音波衝撃処理という処理は、この金属表面に対し非常に多くの回数の打撃を与えているということで、金属材表面に対して従来のハンマーピーニングには無い効果をもたらしている。また、一回一回の打撃エネルギーがショットピーニングより大きいことで、従来のショットピーニングにも無い効果をもたらしている。
【0027】
まず、回数を多く表面を叩くことで、処理の均一性が得られる。ハンマーピーニングでも数パスを同一線上で実施すればある程度の均一性が得られることは知られているが、超音波衝撃処理の打撃サイクル数は15〜60kHzであり、その得られる均一性はハンマーピーニングと全く異なるレベルにあり、処理スピードが0.5m/分程度であれば、ほとんど溶接部表面を均一に仕上げ、欠陥を全く残すことがない。
【0028】
また、その処理後の表面は著しい平滑さを持つ。超音波衝撃処理による処理後の平滑さは、グラインダー仕上げ後の溶接部表面よりも著しく平滑である。
【0029】
また、処理後の溶接部表面の組織は超音波を利用して塑性加工を数多く繰り返すことによって、著しく組織が細かくなることがわかっている。(非特許文献1参照)
【0030】
実際、超音波衝撃処理を疲労向上の目的で金属材に使った結果、処理前後で金属材組織は大きく変化している。このような、金属材の組織を細かくする効果は、特に金属材の組織が粗大化する溶接近傍のHAZ部で顕著であり、通常は100μmまで粗大化するHAZの粒径が、超音波衝撃処理の処理後はほとんど粒径が観察できないほどの寸法に小さくなっており、独特な金属材組織が超音波衝撃処理によって達成されている。
【0031】
また、超音波衝撃処理によって金属材の表面での金属材の組織が細かくなるのに伴って、硬さが増す。超音波衝撃処理後の母材部、溶金部、HAZ部の硬さの分布は、特に溶接金属材としてよく用いられる高強度の鋼については、硬さが20%以上増している。ほか、材質と処理時間によっては、硬さは最大、処理前の約2倍まで増加することがあるが、ただし、これは固くてもろいマルテンサイとなったわけではなく、主に、細粒化による効果と、転移の蓄積による加工硬化であるため、溶接割れをもたらすような種類の硬さの増加ではない。
【0032】
金属材の疲労破壊は、亀裂の発生と進展から構成される。亀裂発生寿命と亀裂進展寿命の合計が疲労亀裂にいたる全寿命となる。そして、応力集中や、残留応力が厳しい箇所から亀裂が発生する場合が多く、発生した亀裂は、さらに進展を継続して最終的に部材の破断に至る。金属材の疲労破壊の寿命を向上させるためには、疲労亀裂の発生及び疲労亀裂の進展を抑制することが必要である。
【0033】
しかし、通常はいったん金属材に亀裂が発生すると、その亀裂先端での応力集中は極めて大きく、この進行を止めることは極めて困難であるとされている。例えば、先端にストップホールをあけ、その穴を高力ボルトで締め上げても、亀裂先端を残した場合はボルト内部に亀裂が進展して、切断してしまうことすらある。
【0034】
初期の疲労亀裂を観察すると、まわし溶接試験体の疲労試験中のひずみ計測により、発生を検知した時点の亀裂の状態である初期の疲労亀裂を観察すると、この時点でまわし溶接継ぎ手での普通の疲労寿命の約1割が経過しており、残りの9割の寿命は、この亀裂の進展寿命であり、この亀裂を取り除かない限りほとんど決まってしまう状態にある。
【0035】
しかしながら、この状態の亀裂は通常の浸透探傷試験や、磁粉探傷試験では検知することができない。もし、この状態で従来の疲労寿命向上手法であるハンマーピーニングやショットピーニングを行ったとすると、この亀裂を残したまま処理を行ってしまうため、見かけ上は処理面には塑性変形が生じているが、亀裂の進展は止められないために、改善効果は形状改良による応力集中の低減程度しかなく、寿命がほとんど伸びないという状況が考えられる。
【0036】
ところが、この状態でも超音波衝撃処理を行うと、深さ1.5mm程度まで塑性変形による圧縮応力を導入するために、亀裂を叩き潰し、亀裂先端を開口しないようにしてしまうことができる。もちろん、圧縮応力を導入できる深さは、ハンマーピーニングでも同程度以上の深さが可能であるが、ハンマーピーニングは処理効果にむらがあり、亀裂を叩けずに残す部分が多いと考えられ、その点、超音波衝撃処理は前述のように打撃回数が著しく多いために、均一に亀裂の開口を抑制することができる。
【0037】
よって、効果的に疲労寿命向上効果を得るには、溶接金属材については超音波衝撃処理を溶接部の止端部を中心に、溶接金属部、HAZ部に処理することが基本である。もっとも疲労的な弱点になる溶接金属とHAZの境界面を疲労に対して強化する。また、溶接金属部表面に生じる高温割れの悪影響も著しく緩和できる。ただし、低温の水素割れについてはほとんど効果を持たないと考えられるので注意が必要である。
【0038】
溶接部の処理にあたっては、1処理線での処理回数は1パスでも充分であるが、より均一性を高めたい場合や、よりコントロール性を向上させたり、過大な塑性変形を防止するために、処理1回あたりの入力パワーを押えたい場合は、2回以上の処理を同一線上に対して行うことにより、より確実な疲労寿命向上効果を得ることができる。
【0039】
本発明の実施形態を図により説明する。図1(a)(b)に示されるように、上下フランジ2、3とウェブ4から構成されるI型断面桁1の下フランジ3に、ウェブ6とフランジ7により構成される補強用のCT形鋼5を、そのウェブ6をI形断面桁1のウェブ4の位置に合せて溶接接合して補強するものである。図1(a)に示されるように、補強用のCT形鋼5は、I型断面桁1より若干短めで、その端部は斜めに切断された形状とする。I型断面桁1の下フランジ3と補強用のCT形鋼5の端部からCT形鋼5のウェブ6の板厚t以上の範囲に、圧縮残留応力の導入に効果的である温度が100℃以下になった状態で、超音波衝撃処理を行って溝を形成し、溶接部8の止端部の形状を応力集中が起こらないように改善する。
【0040】
また、溶接部8の補強用のCT形鋼5の端部から補強用のCT形鋼5のウェブ6の板厚tの区間に開先を取り、その回し溶接の脚長を5mm以上とし、その範囲に超音波衝撃処理を行い、溶接部8の止端部形状を応力集中が起こらないように改善する。
溶接部8に超音波衝撃処理をする時、処理を行う溶接部7に引っ張り荷重を載荷した状態で行うと、さらに圧縮残留応力の導入に効果的である。
【0041】
図2(a)(b)に示されるように、I型断面桁1の下フランジ3に補強用のカヴァープレート9溶接接合して補強するものである。図2(a)(b)では、補強用のカヴァープレート9の板幅が、I型断面桁1の下フランジ3の幅より狭いケースを示しているが、図2(c)に示されるように、補強用のカヴァープレート9の板幅をI型断面桁1の下フランジ3の幅より広くしてもよい。また、補強用のカヴァープレート9の端部の形状は直線状でもカーブした形状にしてもよい。
I型断面桁1の下フランジ3とカヴァープレート9の溶接部8のカヴァープレート9の端部の板幅全体と、端部から補強用のカヴァープレート9の板厚t以上の範囲に、圧縮残留応力の導入に効果的である温度が100℃以下になった時、超音波衝撃処理を行って溝を形成し、溶接部8の止端部の形状を応力集中が起こらないように改善する。
補強用のカヴァープレート9の溶接部8の端部から開先を取り、その重ね溶接の脚長を5mm以上とし、その範囲に超音波衝撃処理を行い、溶接部8の止端部形状を応力集中が起こらないように改善する。
【0042】
図3(a)(b)に示されるように、I型断面桁1の下フランジ3に、I型断面桁1の下フランジ3のフランジ幅より狭いフランジ幅をもつ補強用のH形鋼10のフランジ11を、そのウェブ12がI型断面桁1のウェブ4と合うように位置させ溶接接合して補強する。補強用のH形鋼10は、I型断面桁1より短く、その端部は斜めに切断される。
I型断面桁1と補強用のH形鋼10のフランジ11の溶接部8の、補強用のH形鋼10のフランジ11の端部の板幅全体と、端部からH形鋼10のフランジの板厚t以上の範囲に、圧縮残留応力の導入に効果的である温度が100℃以下になった時、超音波衝撃処理を行って溝を形成し、溶接部8の止端部の形状を応力集中が起こらないように改善する。
【0043】
図4に示されるように、I型断面桁1の下フランジ3に、トラス梁14を備えた補強用のガセットプレート13を溶接接合して補強する。I型断面桁1の下フランジ3と補強用のガセットプレート13の溶接部8の端部から両側のガセットプレート13の板厚t以上の範囲に、圧縮残留応力の導入に効果的である温度が100度以下のときに超音波衝撃処理を行って溝を形成し、止端部形状を応力集中が起こらいように改善する。
【0044】
【発明の効果】
本発明の構成の超音波衝撃処理により、桁構造と補強用部材との溶接部の止端部に1秒間に1万回以上の打撃を与え、一回一回の打撃力が小さいので、他のピーニングに比較し使用性、施工性が優れた衝撃処理が可能となり、溶接部の止端部の形状を改善し、桁構造の耐久性を高める補強工法となる。
【0045】
超音波衝撃処理は、回数を多く表面を打撃するので、処理の均一性が得られ、処理後の表面の平滑さを得られるので、溶接部の止端部からの疲労亀裂発生が抑制され、桁構造の耐久性を高める補強工法となる。
【0046】
超音波衝撃処理は、数多くの打撃による塑性加工を繰り返すことにより処理後の金属表面の組織を著しく細かくすることができ、疲労亀裂の発生を抑制でき、桁構造の耐久性を高める補強工法となる。
【0047】
疲労亀裂の発生しやすい溶接部の止端部、HAZ部、溶接金属部を超音波衝撃処理するのでもっとも疲労的な弱点となる溶接金属とHAZ部の境界面の疲労に対して強化され、また、溶接金属表面に生じる高温割れの影響も著しく緩和できるので、桁構造の耐久性を高める補強工法となる。
【0048】
超音波衝撃処理により、溶接部の止端部に圧縮残留応力が導入され、疲労亀裂の発生と進展が抑制される。
【0049】
桁構造と補強用部材との溶接部の疲労亀裂の発生が抑制され、桁構造と補強用部材が一体となり、桁構造の真の補強がなされ、且つ耐久性の高い桁構造の補強工法となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)本発明の一実施形態を示す図
【図2】(a)(b)(c)本発明の一実施形態を示す図
【図3】(a)(b)本発明の一実施形態を示す図
【図4】本発明の一実施形態を示す図
【符号の説明】
1:I型断面桁
2:I型断面桁の上フランジ
3:I型断面桁の下フランジ
4:I型断面桁のウェブ
5:補強用CT形鋼
6:CT形鋼のウェブ
7:CT形鋼のフランジ
8:溶接部
9:補強用のカヴァープレート
10:補強用のH形鋼
11:補強用のH形鋼のフランジ
12:補強用のH形鋼のウェブ
13:補強用のガセットプレート
14:トラス梁

Claims (7)

  1. CT形鋼をI型断面桁のウェブのラインに合わせて溶接した補強工法において、CT形鋼のウェブの板厚をtとしたとき、CT形鋼の端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成すること
    を特徴とする桁構造の補強工法。
  2. CT形鋼の端部からtの区間に開先を取り、その回し溶接の脚長を5mm以上としたこと
    を特徴とする請求項1に記載の桁構造の補強工法。
  3. 幅がI型断面桁または箱断面桁のフランジ幅より狭く端部が直線またカーブした形状のカヴァープレートをI型断面桁または箱断面桁のフランジに溶接する補強工法において、カヴァープレートの板厚をtとしたときに、カヴァープレートの板幅全体および端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成すること
    を特徴とする桁構造の補強工法。
  4. カヴァープレートの端部の区間に開先を取り、その重ね溶接の脚長を5mm以上としたこと
    を特徴とする請求項3に記載の桁構造の補強工法。
  5. 幅がI型断面桁または箱断面桁のフランジ幅より広く端部が直線またカーブした形状のカヴァープレートをI型断面桁または箱断面桁のフランジに溶接する補強工法において、カヴァープレートの板厚をtとしたときに、カヴァープレートの板幅全体および端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成すること
    を特徴とする桁構造の補強工法。
  6. フランジ幅がI型断面桁のフランジ幅よりも狭いH形鋼をI型断面桁のフランジに、そのウェブを前記I型断面桁のウェブのラインに合わせて溶接した補強工法において、H形鋼のフランジの板厚をtとしたとき、H形鋼の板幅全体および端部からt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成すること
    を特徴とする桁構造の補強工法。
  7. I型断面桁の下フランジにトラス梁を有するガセットプレートを溶接する補強工法において、ガセットプレートの板厚をtとしたとき、ガセットプレート端部から両側についてt以上の範囲に温度100℃以下で超音波衝撃処理を行うことにより、溶接部の止端部に応力集中が起こらないような形状とするための溝を形成すること
    を特徴とする桁構造の補強工法。
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