JP3964064B2 - 液化石油ガス放出防止器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液化石油ガス(以下、LPGと略称する)供給装置において、地震や火災等の災害によってガス洩れが生じたときに、装置内部の流体流量が設定値以上になったことを感知して、特に液用流路を自動的に遮断するガス放出防止器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のガス放出防止器は、液化石油ガス法により1ton未満の民生用バルク貯槽に取り付け義務化されている。
【0003】
図4は、従来の液用のガス放出防止器50を示す。このガス放出防止器50は、パイプ本体2内の流体流路3の、上流側をバルク貯槽に取り付けられた液取出弁(図示せず)に、下流側を強制気化装置(図示せず)にそれぞれ連通させて取り付けられ、流体流路3に設けられた弁室4内に閉止弁5を備えて構成されている。このガス放出防止器50の上流側は、上流側ジョイントパイプ51を介して液取出弁の出口に接続され、その下流側は、下流側ジョイントパイプ52に接続される適宜の配管系(図示せず)を介して強制気化装置の入口に接続される。この強制気化装置の出口は、ガスメータを備えた適宜の配管系(図示せず)により、ガス消費者の使用する燃焼器等に接続している。
【0004】
これによりガス消費者は、液取出弁の開放によりバルク貯槽から供給されるLPGの液相を強制気化装置でガス化し、LPGとして燃焼器等で消費することができる。
【0005】
このときガス放出防止器50は、液化石油ガス法により調整器の容量の3倍以下の流体流量を感知したときに、その流体の流れを停止するように設計閉止流量が定められており、これによりガス消費者の安全が図られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらガス放出防止器50は、前記設計閉止流量が通過流体を100%液相であるものとして定められているので、次のような不具合を有している。
【0007】
すなわち、バルク貯槽およびバルク貯槽から強制気化装置までの配管系は、日常の温度変化を受けており、このためLPGが液相100%でガス放出防止器50を通過するとは限らない。例えば、ガス放出防止器50を通過するLPGの状態が、気相あるいは気相・液相の混合流体である場合には、流速の大きい気相供給が主となり、この結果ガス消費者の通常の燃焼器等の使用の場合でも、閉止弁5の上流側と下流側の圧力差(上流側圧力P1>下流側圧力P2)が設計閉止流量時に生じる圧力差と同等以上となり、これによりガス放出防止器50が閉止弁5を閉じる方向に作動して民生用バルク供給システムが停止する、と言う不具合を有している。なお図4中、符号53は、閉止作動後ガス放出防止器50を再開させるための解除バルブである。
【0008】
そこで、この発明は、ガス洩れ等の異常流量時の流体流路の遮断性能を損なうことなく、かつガス消費者の通常の燃焼器等の使用時には、LPGの相状態に影響されることなくガスの供給を確保することができる液化石油ガス放出防止器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、パイプ本体内の流体流路の、上流側を液取出弁に、下流側を強制気化装置にそれぞれ連通させて取り付けられ、前記流体流路に設けられた弁室内に配置され流体の通過孔が穿設された弁本体と、前記通過孔を開閉する弁部を上流側に位置させて前記弁本体に摺動可能に装着された弁体と、前記弁本体と前記弁部との間に装着され前記弁体を開方向に付勢するばねとから構成された閉止弁を備えて構成された液化石油ガス放出防止器において、前記弁室を下流側に延設して調整室を設けると共に、この調整室内に前記流体流路となる管路の管径を絞って形成した調整管を配置したことを特徴とする。
【0010】
このため請求項1の発明では、バルク貯槽内の液相LPGは、液取出弁の開放により、ガス放出防止器を通過して強制気化装置に供給され、この強制気化装置でガス化されて、さらに末端の燃焼器等に供給されるようになっている。
【0011】
このときガス放出防止器を通過するLPGの相状態が、一時的に気相あるいは気相・液相の混合流体となったとしても、閉止弁の下流側に配置された調整管により流体流路が絞られて気相の流速を抑制することができるので、閉止弁の上流側と下流側の圧力差が大きくなるのを抑制することができ、これにより閉止弁の不用意な閉止作動を防止することができる。
【0012】
また、ガス放出防止器を通過するLPGの相状態が、100%液相のときには設定閉止流量相当で閉止弁の上流側と下流側の圧力差が弁体を閉作動させるに充分な大きさになり、これにより弁部が流体の通過孔を閉塞して液相LPGの供給を停止させる。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の液化石油ガス放出防止器であって、前記調整管は、前記調整室に嵌入可能な同一外形を有して形成されており、かつ前記管径の絞り度合いを加減して調整器の容量に対応する閉止流量を設定したことを特徴とする。
【0014】
このため請求項2の発明では、同一外形の調整管の管径の絞り度合いを加減して調整器の容量に対応する閉止流量を設定したので、容量の相違する調整器に対してそれぞれ適用されるガス放出防止器のパイプ本体の共通化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態としてのガス放出防止器1を示す。このガス放出防止器1は、パイプ本体2内の流体流路3の、上流側を液取出弁(図示せず)に、下流側を強制気化装置(図示せず)にそれぞれ連通させて取り付けられ、流体流路3に設けられた弁室4内に閉止弁5を備え、かつ弁室4を下流側に延設して調整室6を設けると共に、この調整室6内に流体流路3となる管路13の管径を絞って形成した調整管7を配置して構成されている。
【0017】
パイプ本体2は、従来と同様に側部の凹部に解除バルブ53を備えて構成されており、その上流側は、上流側ジョイントパイプ51を介してバルク貯槽(図示せず)に取り付けられた液取出弁の出口に接続され、その下流側は、下流側ジョイントパイプ52に接続される適宜の配管系(図示せず)を介して強制気化装置の入口に接続される。解除バルブ53は、凹部に螺着されたバルブ本体54と、このバルブ本体54の軸心部位に螺合されたスピンドル55とから構成されている。
【0018】
さらにパイプ本体2には、パイプ本体2内の流体流路3と、解除バルブ53で閉塞された凹部内の閉鎖空間2bとを連通する解除通路2a、および前記閉鎖空間2bと、弁室4内に閉止弁5を配置することによって形成される弁室4の周壁と閉止弁5の外周壁との隙間4aとを連通する解除通路2cが形成されている。これら解除通路2a,閉鎖空間2b,解除通路2c,および隙間4aは、スピンドル55の先端が解除通路2cを閉塞することによって全体の連通が断たれ、前記閉塞を解除することによって全体が連通するようになっている。
【0019】
閉止弁5は、図2に示すように、弁室4内に配置され流体の通過孔9が穿設された弁本体8と、通過孔9を開閉する弁部10aを上流側に位置させて弁本体8に摺動可能に装着された弁体10と、弁本体8と弁部10aとの間に装着され弁体10を開方向に付勢するばね11とから構成されている。
【0020】
弁本体8には、上流側凹部8aと下流側凹部8bとが形成されており、通過孔9は、弁本体8の軸心部位から位置ずれさせて上流側凹部8aと下流側凹部8bとにそれぞれ開口するように貫通形成されている。下流側凹部8bの周壁には、貫通孔8cが形成されており、弁室4内に閉止弁5を配置したときに貫通孔8cを介して下流側凹部8bと隙間4aとが連通するようになっている。さらに弁本体8の中央外周部には、フランジ部8dが形成されており、このフランジ部8dの上流側および上流側凹部8aの開口周辺部にOリング15およびシールリング12が取り付けられており、弁本体8は、フランジ部8dを、その周面を弁室4の周壁に接し、かつOリング15を介して弁室4の段部に密接させて弁室4内に配置されている。
【0021】
弁体10は、弁本体8の軸心部位に形成された貫通孔に軸方向摺動自在に挿通された弁棒10bと、この弁棒10bの上流側端部に取り付けられ上流側凹部8aの開口を覆う大きさの板状体で形成された弁部10aとから構成されている。弁棒10bの下流側端部には、抜止部材10cが取り付けられている。
【0022】
ばね11は、弁部10aと上流側凹部8aの底部との間に取り付けられており、弁体10を上流側へ付勢している。
【0023】
このため弁体10は、常時はばね11で付勢されて上流側凹部8aの開口を開放して通過孔9を介しての流体の流れを許容するが、閉止弁5の上流側と下流側の圧力差ΔP(上流側圧力P1>下流側圧力P2)がばね11のばね力を上回ったときには、圧力差ΔPによりばね11のばね力に抗して下流側へ移動し、弁部10aがシールリング12に密接して上流側凹部8aの開口を閉塞して流体の流れを停止させる。
【0024】
また、調整室6は、弁室4と同一径で弁室4を下流側へ延設することによって形成されている。この調整室6には、流体流路3となる管路13を穿設した調整管7が配置されている。この調整管7は、閉止弁5と、パイプ本体2の下流側に螺合した下流側ジョイントパイプ52との間に挟持されている(図1参照)。
【0025】
この調整管7の管路13は、図3に示すように、閉止弁5側を大径T1に、下流側ジョイントパイプ52側を小径T2になるように管径を絞って形成されている。管路13の閉止弁5側の径T1は、弁本体8の下流側凹部8bの開口径と略同一である。
【0026】
このように構成されたガス放出防止器1は、通過流体の流れを停止させるときの基準流量となる閉止流量を設定しなければならないが、この閉止流量は、調整器の容量に対応させて設定する必要がある。
【0027】
すなわち調整器は、ガス消費者の負荷量に応じて、その容量が30kg/h,50kg/h,100kg/h等のものが用意されるが、このときの各設定閉止流量は、前記各調整器の容量の3倍相当流量となる90kg/h以下,150kg/h以下,300kg/h以下となる。
【0028】
この閉止流量は、調整管7の管路13の管径の絞り度合い、および閉止弁5の通過孔9の通過面積およびばね11のばね力により決定される。
【0029】
このため好ましくは調整管7は、調整室6に嵌入可能な同一外形を有して形成されており、かつ管路13の管径の絞り度合い(径T2の大きさ)を加減して前記調整器の容量に対応する閉止流量を設定する。本実施形態では、調整管7は、その外径T3が調整室6と略同一径となるように形成されている。
【0030】
さらに好ましくは閉止弁5は、弁本体8が弁室4に嵌入可能な同一外形を有して形成されており、かつ通過孔9の通過面積およびばね11のばね力を加減して、前記調整器の容量に対応する閉止流量を設定する。
【0031】
このように構成することにより、調整器の容量の相違する強制気化装置に対してそれぞれ適用されるガス放出防止器1のパイプ本体2の共通化を図ることができ、ひいては部品数の削減による部品管理の容易化を図ることができる。さらに加えて共通のパイプ本体2を用いて、性能の異なる調整管7と閉止弁5を組み合わせることにより異なる設定閉止流量のガス放出防止器1を容易に設計することができる。
【0032】
次に、このように構成されたガス放出防止器1の作用について説明する。
【0033】
ガス放出防止器1は、その上流側が、上流側ジョイントパイプ51を介してバルク貯槽に取り付けられた液取出弁の出口に接続され、その下流側が、下流側ジョイントパイプ52に接続される適宜の配管系(図示せず)を介して強制気化装置の入口(液量調節弁)に接続される。この強制気化装置の出口は、ガスメータを備えた適宜の配管系(図示せず)により、ガス消費者の使用する燃焼器等に接続している。
【0034】
このような取り付け状態において、ガス放出防止器1から強制気化装置までの配管系は、燃焼器等の負荷の停止から再び負荷状態になるまでの間、太陽熱等により加温されてバルク貯槽温度より高くなり、この結果配管内のLPGは、液相から気相へ変化する。これは、一時的に配管内圧力がバルク貯槽内圧力より高くなり、見かけ上配管内の気相LPGが、液取出弁を介して、液取出弁に接続してバルク貯槽内に配設されたサイフォン管(図示せず)へ移動した結果である。
【0035】
この状態から燃焼器等の負荷を開始させると、開始直後、強制気化装置の出口側圧力が下がり、強制気化装置の液量調節弁が開く。このとき気相供給となってガス放出防止器1内を気相LPGが通過し、そのときの流量は、設定閉止流量以上となる。しかし、ガス放出防止器1は、気相LPGの設定閉止流量以上の流量にも拘わらず、閉止弁5の下流側に配置した調整管7のオリフィス機能により、閉止弁5の上流側と下流側の圧力差ΔPが大きくなるのを抑制することができ、これにより通常使用状態での閉止作動を起動させることなく、燃焼器等へのガス供給を継続して行うことができる。
【0036】
これは、ガス放出防止器1を通過するLPGの相状態が、一時的に気相あるいは気相・液相の混合流体となったとしても、閉止弁5の下流側に配置された調整管7により流体流路3が絞られて気相の流速を抑制することができるので、閉止弁5の上流側と下流側の圧力差ΔPが大きくなるのを抑制することができ、これにより閉止弁5の不用意な閉止作動を防止することができることによる。
【0037】
また、さらにガス供給を継続すると、前述した気相供給後、配管温度がバルク貯槽温度より低くなり、100%液相のLPGが強制気化装置へ供給されることになる。このため、通常の使用状態では、ガス放出防止器1の液相LPGの通過流量が設定閉止流量以下に抑えられ、この結果ガス放出防止器1の閉止作動を伴うことなく、燃焼器等へのガス供給を継続して行うことができる。
【0038】
さらに、ガス放出防止器1は、配管途中の破損等に起因して液相LPGの通過流量が設定閉止流量相当となったときは、閉止作動する。
【0039】
すなわち、ガス放出防止器1を通過するLPGの相状態が、100%液相のときには設定閉止流量相当で閉止弁5の上流側と下流側の圧力差ΔPが弁体10を閉作動させるに充分な大きさになり、これにより弁部10aが流体の通過孔9(厳密には上流側凹部8a)を閉塞して液相LPGの供給を停止させる。
【0040】
この停止時には、ガス放出防止器1よりも下流側の全てのバルブを閉じて停止原因を究明すると共に、その停止原因を排除した後、解除バルブ53のスピンドル55を開放して解除通路2a,閉鎖空間2b,解除通路2c,隙間4a,および貫通孔8cを連通させて閉止弁5の上流側と下流側の圧力差ΔPを解消することによってガス放出防止器1は、再使用可能となる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、通過するLPGの相状態が、一時的に気相あるいは気相・液相の混合流体となったとしても、閉止弁の下流側に配置された調整管により閉止弁の上流側と下流側の圧力差が大きくなるのを抑制することができ、これにより閉止弁の不用意な閉止作動を防止することができ、かつ略100%液相のときには設定閉止流量相当で閉止弁の弁部が流体の通過孔を閉塞して液相LPGの供給を停止させることができるので、ガス洩れ等の異常流量時の流体流路の遮断性能を損なうことなく、かつガス消費者の通常の燃焼器等の使用時には、LPGの相状態に影響されることなくガスの供給を確保することができるガス放出防止器を提供することができる。
【0042】
また、請求項2の発明によれば、同一外形の調整管の管径の絞り度合いを加減して調整器の容量に対応する閉止流量を設定したので、請求項1の発明の効果に加えて、容量の相違する調整器に対してそれぞれ適用されるガス放出防止器のパイプ本体の共通化を図ることができ、これにより部品数の削減による部品管理の容易化をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としてのガス放出防止器の縦断面図である。
【図2】図1のガス放出防止器に適用される閉止弁の拡大断面図である。
【図3】図1のガス放出防止器に適用される調整管の拡大断面図である。
【図4】従来のガス放出防止器の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ガス放出防止器
2 パイプ本体
3 流体流路
4 弁室
5 閉止弁
6 調整室
7 調整管
8 弁本体
9 通過孔(流体の)
10 弁体
10a 弁部
11 ばね
13 管路
Claims (2)
- パイプ本体内の流体流路の、上流側を液取出弁に、下流側を強制気化装置にそれぞれ連通させて取り付けられ、前記流体流路に設けられた弁室内に配置され流体の通過孔が穿設された弁本体と、前記通過孔を開閉する弁部を上流側に位置させて前記弁本体に摺動可能に装着された弁体と、前記弁本体と前記弁部との間に装着され前記弁体を開方向に付勢するばねとから構成された閉止弁を備えて構成された液化石油ガス放出防止器において、
前記弁室を下流側に延設して調整室を設けると共に、この調整室内に前記流体流路となる管路の管径を絞って形成した調整管を配置したことを特徴とする液化石油ガス放出防止器。 - 請求項1に記載の液化石油ガス放出防止器であって、
前記調整管は、前記調整室に嵌入可能な同一外形を有して形成されており、かつ前記管径の絞り度合いを加減して調整器の容量に対応する閉止流量を設定したことを特徴とする液化石油ガス放出防止器。
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JP34026798A JP3964064B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 液化石油ガス放出防止器 |
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JP34026798A JP3964064B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 液化石油ガス放出防止器 |
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Family Applications (1)
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JP34026798A Expired - Lifetime JP3964064B2 (ja) | 1998-11-30 | 1998-11-30 | 液化石油ガス放出防止器 |
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CN105402420B (zh) * | 2015-12-02 | 2017-09-19 | 广东奇才阀门科技有限公司 | 限制充装瓶阀 |
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1998
- 1998-11-30 JP JP34026798A patent/JP3964064B2/ja not_active Expired - Lifetime
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