JP3950368B2 - 分散電源システムおよびその運用方法、並びに運用プログラム - Google Patents

分散電源システムおよびその運用方法、並びに運用プログラム Download PDF

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    • Y04S10/50Systems or methods supporting the power network operation or management, involving a certain degree of interaction with the load-side end user applications

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統に接続した複数の需要家からなる中系統を構成して、これを分散電源拠点とし、この分散電源拠点内で電力を融通して、分散電源の経済性、信頼性を向上する分散電源システムおよびその運用方法、並びに運用プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電力需要家により、ガスタービン、ディーゼルエンジン、マイクロガスタービンや燃料電池等の比較的コンパクトな電源を用いて発電する分散型エネルギーシステムへの取り組みが行われている。分散型エネルギーシステムは、CO2及びNOxの排出量の削減、電力事業の規制緩和、エネルギー消費構造の変革等を促進するものと考えられており、例えば米国ではクリーン、安価、低騒音、コンパクトなマイクロガスタービンが既に採用され始めており、我が国でもマイクロガスタービンの評価試験が盛んに行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、分散エネルギーシステムの利用を通じて多様なエネルギー需要家の顧客満足を図るには、エネルギー供給の信頼性、経済性の観点から、システムを構築する必要がある。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、エネルギー供給の信頼性および経済性を飛躍的に向上できる分散電源システムおよびその運用方法、並びに運用プログラムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による分散電源システムは、電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した分散電源拠点と、分散電源拠点に含まれ、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う需要家コントローラーと、需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続され、需要家コントローラーの情報に基づいて分散電源拠点内の需要家間における電力融通に関する管理制御を該分散電源拠点全体で一括で行う分散電源拠点コントローラーとを備えたことを特徴とする。
【0005】
分散電源拠点では、中系統に接続した需要家の分散電源の電力を他需要家の負荷の運転のために融通する。分散電源拠点コントローラーは、需要家同士の電力の融通に関する管理制御を行う。中系統は、電力系統から負荷を終端とした所謂配電系統に至るまでの中間の系統を意味し、この中系統に分散電源が設けられた構成である。中系統の分散電源拠点内で電力の融通を行うようにしているので、負荷変動に対して分散電源を部分負荷運転をする必要が少なくなり、分散電源単独で運用する場合に比べて、分散電源によるエネルギー供給の経済性、信頼性を高められる。
【0006】
この発明による分散電源システムは、電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した複数の分散電源拠点と、各分散電源拠点は、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う複数の需要家コントローラーと、前記複数の需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続され、需要家コントローラーの情報に基づいて当該一つの分散電源拠点内の需要家間における電力融通に関する管理制御を該分散電源拠点全体で一括で行う分散電源拠点コントローラーとを備えていることを特徴とする。
【0007】
即ち前記分散電源拠点は、電力系統に対して複数設けることができ、それぞれの分散電源拠点に需要家コントローラーおよび分散電源拠点コントローラーが備えられ、分散電源拠点内の需要家間において電力の融通を行うようにしている。これにより、負荷変動に対して分散電源を部分負荷運転をする必要が少なくなり、分散電源を単独で運用する場合に比べて、分散電源によるエネルギー供給の経済性、信頼性を向上できる。
【0008】
この発明による分散電源システムは、前記複数の需要家のうち、一の需要家の需要家コントローラーが、買電要求を分散電源拠点コントローラーに送信し、前記複数の需要家のうち、他の需要家の需要家コントローラーが、売電要求を分散電源拠点コントローラーに送信し、分散電源拠点コントローラーは、買電要求と売電要求を所定の組合せ処理に基づき組合せて、前記一の需要家から他の需要家に電力を売買するように制御することを特徴とする。
【0009】
この分散電源システムでは、需要家コントローラーからの買電要求と売電要求を所定の組合せ処理により組合せて電力の売買を行う。需要家間の電力の売買管理は、分散電源拠点を管理制御する分散電源コントローラーにより一括で行う。また、所定の組合せ処理についても分散電源コントローラーにより実行される。分散電源コントローラーにより一括管理することで、電力売買をスムーズに行える。
【0010】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、要求される買値および売値に基づいて、単数の需要家に最も利益をもたらす組合せを行うことを特徴とする。
【0011】
単数の需要家に最も利益をもたらす場合は、典型的には当該需要家が最も安価に電力を購入できること、或いは最も高価に電力を販売できることである。また、この利益を享受するのは市場原理に基づき、単数の需要家である。このようにすれば、分散電源拠点内の電力売買に競争原理を働かせることができる。なお、具体例として前記単数の需要家が、複数の売電要求のなかで最も安価なものを選択しその価格で電力を購入することや、自己の買電要求する買値で電力を購入すること等を挙げることができる。
【0012】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、要求される買値および売値のうちから最も近い買値と売値とを要求する需要家同士を組合せることを特徴とする。この場合、需要家の要求する価格に最も近い、即ち需要家が最も満足を得られる組合を提供できる。
【0013】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、買電要求する需要家コントローラーは、売電要求する需要家コントローラーからの売値情報に基づいて、買電要求をキャンセルすることを特徴とする。
【0014】
たとえ組合せ処理によりある需要家から電力を買い受けることになっても、買値と余りに離れている等の理由があれば、買電要求をキャンセルすることで、不本意に電力を購入することを防止できる。また、需要家が法外な価格を要求することを防止できる。
【0015】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記分散電源拠点内のいずれかの需要家の分散電源が機能不全となった場合、前記分散電源拠点コントローラーは、この需要家に対して他の需要家の分散電源から所定条件のもとに電力を供給するように制御することを特徴とする。
【0016】
特定需要家の分散電源が機能不全となった場合、他の需要家の分散電源から電力供給を受けることで、電力系統から電力を供給されなくても、特定需要家の負荷の運転を停止する必要がない。このため、単独の分散電源により負荷運転を行う場合に比べて、分散電源による電力供給の信頼性を向上できる。
【0017】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記組合せ処理において、一の需要家の需要家コントローラーは、組合せを制限する他の需要家を指定してその情報を分散電源拠点コントローラーに送信し、分散電源拠点コントローラーは、前記一の需要家と指定に係る他の需要家との組合せを行わないようにすることを特徴とする。
【0018】
即ち、需要家によっては特定の需要家との間で電力売買の関係を築くのを好まない場合があり、そのようなとき需要家は特定の他の需要家を指定して当該需要家との組合せが行われないようにできる。これにより、不本意な相手との電力売買関係が築かれることはない。
【0019】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記複数の分散電源拠点の分散電源拠点コントローラー同士は、実質的に分散電源拠点間で電力系統を介して電力の売買を行い、電力会社の料金徴収手段は、前記分散電源拠点間の電力売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座から徴収することを特徴とする。
【0020】
即ち、この分散電源システムでは、分散電源拠点同士が電力系統により繋がっているのでこれらの間で電力売買が可能であり、実質的に電力会社に売電しないときは、当該電力会社は分散電源拠点同士の電力融通の仲介手数料を徴収できる。これにより、需要家、電力会社の双方に利益を出すことができる。
【0021】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記複数の分散電源拠点は、中系統に接続され且つ車両や船舶等の移動手段に搭載した分散電源を接続する分散電源ステーションをそれぞれ有することを特徴とする。
【0022】
分散電源ステーションを設けることで、分散電源の設備を保有していない場合でも分散電源拠点の全体の発電量を増加できる。即ち、必要に応じて移動手段により分散電源を持ってきて中系統に接続し、ここから電力の供給を受けることができ、システムのイニシャルコストを低く抑え且つ必要な場合に発電量を増加できる。
【0023】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記移動手段は車両であり、前記分散電源ステーションは、地下にタンクを有するガソリンスタンドを利用しており、このタンクに分散電源の燃料を貯蔵していることを特徴とする。
【0024】
土地の狭い我が国では、車ほどの大きさの分散電源になればその置き場所に困るのが通常であり、分散電源に加えて燃料タンクを設置すると相当な面積を必要とする。そこで、ガソリンスタンドに移動手段により分散電源を配置し、地下のタンクに貯蔵している燃料により分散電源を稼動させるようにすれば、分散電源の置き場の問題を解決できる。また、分散電源を車両に積載して移動する場合、ガソリンスタンドはその目的から車両が進入して停車しやすい構造となっているので、分散電源ステーションとして好適である。
【0025】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、更に、前記分散電源ステーションは、接続した前記移動手段に搭載した分散電源から供給された電力を貯蔵する蓄電手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
蓄電手段を分散電源ステーションに備えることで、電力が必要とされているときに移動手段を拘束する必要がなくなる。即ち、移動手段に搭載した分散電源を分散電源ステーションに接続し、この分散電源により発電した電力を蓄電手段に貯蔵する。これにより、移動手段が分散電源ステーションから離れて移動しても、必要とされる電力を蓄電手段に蓄えているので、当該分散電源拠点の電力需要に応えることができる。
【0027】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記蓄電手段は、分散電源拠点内の余剰電力を貯蔵し得ることを特徴とする。更に、分散電源拠点内の余剰電力を貯蔵するようにしておけば、分散電源拠点内で電力不足が生じたときに、当該貯蔵電力を使用できる。これにより、分散電源拠点内の電力供給の信頼性を高めることができる。
【0028】
この発明による分散電源システムは、電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した分散電源拠点と、分散電源拠点に含まれ、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う需要家コントローラーと、前記分散電源拠点内で、前記複数の需要家のうち特定の需要家を所定の条件に基づいてグルーピングして構成した仮想分散電源拠点と、当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続されると共に当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーとを備えたことを特徴とする。
【0029】
多数の需要家が存在する場合において、特定の需要家によりグルーピングを行い、これらグループをプログラム上の仮想分散電源拠点とする。そして、この仮想分散電源拠点には分散電源拠点コントローラーが対応付けられ、グルーピングした需要家ら専用の分散電源拠点コントローラーを構築する。これにより、グルーピングした需要家は、専用の仮想分散電源拠点コントローラーにより管理制御されるので、全体として効率的な運用が可能になる。
【0030】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記グルーピングした仮想分散電源拠点は、予め仮想分散電源拠点を作ることを約した特定の需要家らにより構成されていることを特徴とする。このようにすれば、特定の需要家同士で仮想分散電源拠点を構成し、その需要家らのみによって当該仮想分散電源拠点の運用を行うことができる。
【0031】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記グルーピング時に前記仮想分散電源拠点コントローラーは、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家の情報に基づき、参加可否判断を行うことを特徴とする。
【0032】
無条件で需要家を分散電源システムに参加させた場合、需要家の状態によってはシステムの効率的な運用に支障をきたす場合がある。このため、仮想分散電源拠点コントローラーが需要家の情報に基づいて参加可否判断を行うことで、システムの効率低下を防止している。需要家の情報は、例えば需要家の保有する分散電源の種類やメンテナンス記録、需要家の営業内容や時間帯等である。
【0033】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記グルーピング時に前記仮想分散電源拠点コントローラーは、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家が存在する場合に、当該需要家がシステムの最適運用に支障をきたすおそれがあるとき、この需要家の需要家コントローラーに対して参加拒否通知を行うことを特徴とする。
【0034】
参加拒否通知を行うことにより、問題のある需要家の参加を防止してシステムの運用を効率的に行うと共に、当該需要家に状態の改善を促すことができる。ここで、システムの最適運用とは、通常の性能を有する分散電源を用い、通常考えられる負荷を備えた複数の需要家をグルーピングした運用である。メンテナンス不足等による不具合を起こしている分散電源を有する需要家をグループに入れるのは、システムの最適運用とはいえない。
【0035】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、更に、前記仮想分散電源拠点コントローラーは、参加拒否通知を行った後、需要家の需要家コントローラーから改善通知を仮想分散電源拠点コントローラーに送信することで、当該需要家の参加を許可することを特徴とする。
【0036】
即ち、参加拒否された需要家であっても、問題を改善すればシステムに参加できるようにしたものである。問題のない需要家であれば、システムの効率的な運用に寄与できるから、分散電源の経済性、信頼性を更に高めることができる。なお、前記改善通知には、証拠を添付して送信するのが好ましい。不十分な改善対策で参加を認めると、結局、他の需要家に迷惑がかかることになるためである。
【0037】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記複数の分散電源拠点は、分散電源拠点相互間でマイクロ波による送受電を行う送受電システムを有していることを特徴とする。マイクロ波により送電を行えば、ケーブルにより分散電源拠点が接続されていなくても、分散電源拠点間で電力の融通を図ることができる。例えば人工衛星を中継すれば、離島、僻地、外国等の遠隔地に電力を送ることができるようになる。
【0038】
この発明による分散電源システムの運用方法は、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、前記複数の需要家のうち一の需要家の需要家コントローラーからネットワーク経由で分散電源拠点コントローラーに対して買電要求を出す手順と、他の需要家の需要家コントローラーからネットワーク経由で分散電源拠点コントローラーに対して売電要求を出す手順と、分散電源拠点コントローラーにより、買電要求を出した需要家と売電要を出した需要家とを所定の組合せ処理に基づいて組合せ、これら需要家の間で電力の売買を行わせる手順とを含むことを特徴とする。
【0039】
このように、分散電源拠点を管理制御する分散電源拠点コントローラーにより、買電要求と売電要求に係る需要家同士を所定の組合せ処理に基づき組合せることで、需要家の間で電力売買をスムーズに行うことができる。
【0040】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、要求される買値および売値に基づいて、単数の需要家に最も利益をもたらす組合せを行う手順を含むことを特徴とする。
【0041】
このように、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、単数の需要家は市場原理に基づいて最大の利益を得ることができる。単数の需要家の最大利益は、典型的には、最も安価に電力を購入すること或いは最も高価で電力を販売することである。具体例としては、前記単数の需要家が、複数の売電要求のなかで最も安価なものを選択しその価格で電力を購入することや、自己の買電要求する買値で電力を購入すること等である。
【0042】
この発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、要求される買値および売値のうちから最も近い買値と売値とを要求する需要家同士を組合せる手順を含むことを特徴とする。
【0043】
買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、需要家の買電要求および売電要求のうち、互いに最も近い要求同士を組合せることで、全ての需要家が満足できる電力売買を行うことができる。なお、買値と売値との許容される差は、予め設定しておけば良い。
【0044】
この発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、買電要求する需要家コントローラーは、売電要求する需要家コントローラーからの売値情報に基づいて、買電要求をキャンセルする手順を含むことを特徴とする。
【0045】
たとえ組合せ処理によりある需要家から電力を買い受けることになっても、買値と余りに離れている等の理由(具体的には、下記実施の形態参照)があれば、買電要求をキャンセルすることで、不本意に電力を購入することを防止できる。また、需要家が法外な価格を要求することを防止でき、分散電源拠点全体の運用の適正化を図ることができる。
【0046】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、前記分散電源拠点内のいずれかの需要家の分散電源が機能不全となった場合、この需要家に対して他の需要家の分散電源から所定条件のもとに電力を供給する手順を含むことを特徴とする。
【0047】
特定需要家の分散電源が機能不全となった場合、他の需要家の分散電源から電力供給を受けることで、特定需要家の負荷の運転を停止する必要がない。このため、単独の分散電源により負荷運転を行う場合に比べて、分散電源による電力供給の信頼性を向上できる。なお、分散電源の機能不全とは、分散電源の出力が半分以下に低下した場合や、故障により停止した場合等が該当する。
【0048】
この発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、前記組合せ処理において、一の需要家により、前記組合せを制限する他の需要家を指定する手順と、前記一の需要家と指定に係る他の需要家との組合せを行わないようにする手順とを含むことを特徴とする。
【0049】
需要家によっては、特定の需要家と電力売買関係を持ちたくない場合がある。例えば前記特定の需要家の分散電源は信頼性がない等の理由である。この発明では、予め一の需要家からの指定により、指定に係る需要家との組合せが行われないようにする。これにより、不本意な相手との電力売買関係が築かれることはない。
【0050】
この発明による分散電源システムの運用方法は、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御し、更に、このような分散電源拠点が前記電力系統に複数接続され、当該分散電源拠点間で電力の融通をするにあたり、前記分散電源拠点間で電力系統を介してネットワーク上で電力の売買を行う手順と、分散電源拠点間の電力売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座からネットワークを介して徴収する手順とを含むことを特徴とする。
【0051】
電力の売買を分散電源拠点の間で行う場合、電力系統を介して電力の売買を行うことになる。一方、電力系統を保有する電力会社に売電するのではないため、売買価格は分散電源拠点同士が決定でき、電力会社は電力系統を用いた売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座から徴収する。これにより、分散電源拠点および電力会社の双方が利益を享受できる。
【0052】
この発明による分散電源システムの運用方法は、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御し、更に、このような分散電源拠点が前記電力系統に複数接続され、当該分散電源拠点間で電力の融通をするにあたり、各分散電源拠点に設けた分散電源ステーションに移動手段に搭載した分散電源を接続することで当該分散電源から電力の供給を受けるようにしたことを特徴とする。
【0053】
分散電源ステーションを設けることで、分散電源の設備を保有していない場合でも分散電源拠点の全体の発電量を増加できる。これにより、分散電源システムのイニシャルコストを低く抑え且つ分散電源拠点の立場では必要な場合に発電量を増加できる。
【0054】
この発明による分散電源システムの運用方法は、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、前記複数の需要家のうち特定の需要家を所定条件に基づいてグルーピングして仮想分散電源拠点を構築する手順と、当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーを構築する手順とを含むことを特徴とする。
【0055】
多数の需要家が存在する場合において、特定の需要家によりグルーピングを行い、これらグループを仮想分散電源拠点とする。そして、この仮想分散電源拠点には分散電源拠点コントローラーが対応付けられ、グルーピングした需要家ら専用の分散電源拠点コントローラーを構築する。これにより、グルーピングした需要家は、専用の仮想分散電源拠点コントローラーにより管理制御されるので、全体として効率的な運用が可能になる。
【0056】
この発明による分散電源システムの運用方法は、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、予め仮想分散電源拠点を作ることを約した特定の需要家らをグルーピングして仮想分散電源拠点を構築する手順と、当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーを構築する手順とを含むことを特徴とする。このようにすれば、特定の需要家同士で仮想分散電源拠点を構成し、その需要家らのみによって当該仮想分散電源拠点の運用を行うことができる。
【0057】
この発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、前記グルーピング時に、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家の情報に基づき、参加可否判断を行う手順を含むことを特徴とする。
【0058】
需要家が分散電源システムに参加するとき、無条件で需要家を分散電源システムに参加させた場合、需要家の状態によってはシステムの効率的な運用に支障をきたす場合がある。このため、仮想分散電源拠点コントローラーが需要家の情報に基づいて参加可否判断を行うことで、システムの効率低下を防止している。
【0059】
この発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、前記グルーピング時に、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家が存在する場合であって、当該需要家がシステムの最適運用にそぐわないとき、この需要家の参加拒否を行う手順を含むことを特徴とする。
【0060】
参加拒否通知を行うことにより、問題のある需要家の参加を防止してシステムの運用を効率的に行うと共に、当該需要家に状態の改善を促すことができる。ここで、システムの最適運用とは、通常の性能を有する分散電源を用い、通常考えられる負荷を備えた複数の需要家をグルーピングした運用である。このため、不具合を起こしている分散電源を有する需要家をグループに参加させると、システムの最適運用が損なわれることがある。
【0061】
この発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、更に、参加拒否を行った後、需要家から改善策の実施通知に基づき、当該需要家の参加を許可する手順を含むことを特徴とする。問題のない需要家であれば、システムの効率的な運用に寄与できるから、分散電源の経済性、信頼性を更に高めることができる。そこで、この発明では、参加拒否された需要家であっても、問題を改善すればシステムに参加できるようにしている。
【0062】
この発明による分散電源システムの運用プログラムは、コンピュータに、上記いずれか一つに記載の各手順を実行させるためのものである。
【0063】
この発明による分散電源システムは、上記構成において、前記分散電源拠点内において、前記中系統内の電力系統に一般負荷を接続し、分散電源を有する自家発系統に複数の重要負荷を接続すると共に前記電力系統と自家発系統を系統連係し、この系統連係回路に遮断手段を設け、前記商用系統から複数の重要負荷に商用電力を供給する商用電力供給系統を設けると共に、この商用電力供給系統と重要負荷に繋がる複数の自家発系統との接続点にそれぞれオーバラップ切換手段を備えたことを特徴とする。
【0064】
一般的な系統連系運転を行った後にオーバラップ切換手段を商用電力供給系統から自家発系統に切り換えておき、電力系統から接続されている中系統と自家発系統とを遮断手段を介して系統連係した状態で運転すると、中系統に落雷等による瞬低が発生しても、重要負荷は電力潮流制御により遮断手段を介し当初から自家発系統下で運転しているのと同じ条件下であるから、遮断手段により瞬低の影響を殆ど受けない。また、遮断手段を各重要負荷毎に、或いは各重要負荷の全負荷に相当する大型の遮断手段を設ける必要が運用方法によっては必要なく、需要負荷毎にオーバラップ切換手段を設ければ済む。このため、システム全体のコストを低減できる。
【0065】
つぎの発明による分散電源システムは、上記構成において、更に自家発電機の出力を監視し、この出力に応じて、前記複数の重要負荷のそれぞれに設けたオーバラップ切換手段を順次切り換え、電力系統から前記商用電力供給系統を介した重要負荷への電力供給を、自家発系統を介した重要負荷への電力供給に切り換える制御手段を備えたことを特徴とする。
【0066】
出力に応じてオーバラップ切換手段を順次切り換えると、遮断手段、高速限流遮断装置の容量が重要負荷の全容量より小さいときでも、後述の運用方法によっては遮断装置の電力潮流を監視・制御しながらの運用が可能であり、電力系統から自家発系統への切換が可能であり、特に高速限流遮断手段の容量を小さくできるから装置コストを低減できる。
【0067】
つぎの発明による分散電源システムは、上記構成において、更に自家発電機の現在の出力を監視し、当該現在出力量と、既に自家発電機により運転している重要負荷の全負荷量と新たに切り換えることになる重要負荷の負荷とを加算した予定負荷量と、の差が、前記遮断手段の容量に収まるように前記自家発電機の現在出力量を制御すると共に、前記複数の重要負荷のそれぞれに設けたオーバラップ切換手段を順次切り換え、電力系統から前記商用電力供給系統を介した重要負荷への電力供給を、自家発系統を介した重要負荷への電力供給に切り換える制御手段を備えたことを特徴とする。
【0068】
予定負荷量と現在出力量の差が容量を越えている場合、遮断手段に当該遮断手段の容量より大きい電力潮流が生じることになり、この超えている分だけ更に大きな容量の遮断手段が必要になるが、自家発電機の現在出力量を制御することで、遮断手段における電力潮流制御が可能になる。これにより、遮断手段の所定容量内で運用できるので、大容量の遮断手段は不要である。
【0069】
つぎの発明による分散電源システムは、上記構成において、更に前記複数の重要負荷毎に設けたオーバラップ切換手段を選択的に切換制御する制御手段を備えたことを特徴とする。重要負荷のなかから特定の重要負荷を選択できれば,最も重要な負荷のみを瞬低等の電力系統の異常状態より最低限保護できる。
【0070】
つぎの発明による分散電源システムは、上記構成において、前記遮断手段の容量は、重要負荷全ての容量より小さいことを特徴とする。なお、この構成をもって、遮断手段の容量を常に重要負荷全ての容量より小さくしなければならないことを意味しない。
【0071】
つぎの発明による分散電源システムは、上記構成において、前記オーバラップ切換手段は、電力系統に接続した開閉器と、自家発系統に接続した開閉器とから構成されていることを特徴とする。オーバラップ切換器は、このように少なくとも2つの開閉器により構成されているので、簡単な構成で実現できる。また、係るオーバラップ切換手段を用いることで、重要負荷側への電力供給が切換時に変動しないようにできる。
【0072】
つぎの発明による分散電源システムは、上記構成において、前記開閉器に接続する電力系統と自家発系統との同期制御を行う同期制御手段を有することを特徴とする。オーバラップ切換器の開閉器に同期制御手段を設けることで、重要負荷ごとに自家発系統から電力系統に接続した電力系統に戻すことができる。
【0073】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記いずれか一つに記載の分散電源システムを設置し、重要負荷のオーバラップ切換手段を電力系統の商用電力供給系統から自家発系統に切り換えて自家発系統から各重要負荷に電力を供給し、遮断手段を介して電力系統と系統連係した状態で運転を行うことを特徴とする。
【0074】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記いずれか一つに記載の分散電源システムの設置手順を有し、自家発電機の発電量に基づいて特定の重要負荷のオーバラップ切換手段を商用系統の商用電力供給系統から自家発系統に切り換える第1切換手順と、自家発電機の発電量の増加に応じて、前記重要負荷とは別の特定の重要負荷のオーバラップ切換手段を電力系統の商用電力供給系統から自家発系統に切り換える第2切換手順とを含み、更にこの第2切換手順を繰り返す手順が含まれる場合があり、遮断手段を介して商用系統と系統連係した状態で運転を行うことを特徴とする。
【0075】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記いずれか一つに記載の分散電源システムの設置手順を有し、前記複数の重要負荷から最重要負荷を抽出する抽出手順と、自家発電機の発電量に基づいて特定の最重要負荷のオーバラップ切換手段を電力系統の商用電力供給系統から自家発系統に切り換える第1切換手順と、自家発電機の発電量の増加に応じて、前記最重要負荷とは別の特定の最重要負荷のオーバラップ切換手段を電力系統の商用電力供給系統から自家発系統に切り換える第2切換手順とを含み、この第2切換手順を繰り返す手順が含まれる場合があり、遮断手段を介して電力系統と系統連係した状態で運転を行うことを特徴とする。
【0076】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、更に、自家発電機の現在出力量と、既に自家発電機により運転している重要負荷の全負荷量と新たに切り換えることになる重要負荷の負荷とを加算した予定負荷量との差が、前記遮断手段の容量に収まるときに、前記第2切換手順を実行することを特徴とする。
【0077】
つぎの発明による分散電源システムの運用方法は、上記構成において、更に、自家発系統から電力系統に戻すとき、各オーバラップ切換手段単位で同期をとるようにすることを特徴とする。つぎの発明による電力安定供給の運用プログラムは、コンピュータに、上記いずれか一つに記載され、且つ前記設置手順以外の各手順を実行させるものである。
【0078】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施の形態の構成要件には、当業者により置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0079】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る分散電源システムを示す構成図である。この分散電源システム100は、電力系統1に接続した中系統2により構成した分散電源拠点A〜Nを有し、この分散電源拠点A〜N内には、複数の需要家3が階層的またはネットワーク的に接続されている。各需要家3は、自己の発電設備である分散電源4と、発電した電気を消費する照明等の負荷5と、当該分散電源4および負荷5を管理制御する需要家コントローラー6とを備えている。また、この分散電源システム100は、分散電源拠点A〜Nの全体を管理制御する分散電源拠点コントローラー7を備えている。分散電源拠点コントローラー7は所定の場所に設置され、当該分散電源拠点Aを構成する需要家3により設立した法人格を有する管理組合により管理する。
【0080】
各需要家コントローラー6および分散電源拠点コントローラー7は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置8を備えた汎用コンピュータおよび所定のプログラムから構成され、インターネット(WWW:World Wide Web)やWAN(Wide Area Network)等のネットワークに接続されている(同図ではインターネット9を示す)。分散電源拠点コントローラー7は、各分散電源拠点A〜Nの電力の融通等に関しての管理制御を行う管理制御プログラムを備えている。また、需要家コントローラー6には、分散電源4および負荷5の運転等を管理制御するプログラムが備えられている。更に、分散電源拠点コントローラー7は、HTML言語で記述した拠点情報を、需要家3に提供するサーバプログラム(HTTPd)を有する。一方、クライアントとなる需要家3の需要家コントローラー6には、分散電源拠点コントローラー7からの情報を解析して表示するブラウザプログラムが備えられている。また、分散電源拠点コントローラー7には、各需要家3に関するデータを蓄積するデータベース10が設けられている。
【0081】
上記分散電源4には、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、マイクロガスタービン、ガスタービン、燃料電池等を用いることができる。需要家3には、ホテル、病院、学校、ごみ処理場、事務所、スーパー、レストラン、ガソリンスタンド、スポーツセンター、大規模工場、小規模工場、大型ビル、鉄道、町内会、一般家庭等を挙げることができる。需要家3の負荷5には、蛍光灯等の照明、エレベーターやポンプ等の動力、コンピュータやプリンター等の事務機器、冷暖房、温水プール、ごみなど化学物質の処理ユニット、MRI等の医療機器、電光掲示板等の大型表示装置などを挙げることができる。
【0082】
図2は、各種の分散電源の発電出力、需要家毎の電力需要、熱需要の関係を示す説明図である。このように、需要家3によって使用する電力量が異なり、その電力量により使用する分散電源4の種類が異なるものとなる。この分散電源拠点A〜Nは、同じような電力使用形態(電力使用量や使用時間帯等)を有する需要家3をグルーピングするのではなく、異なる電力使用形態を有する需要家3同士をグルーピングすることで、分散電源拠点A〜N内における電力の相互補償を機能させることができる。
【0083】
例えば、同図において、複数の一般家庭を一つの分散電源拠点としてグルーピングするのではなく、一般家庭、ビジネスホテルおよびデパートのように電力の使用時間帯や使用量が異なる需要家3同士を一つの分散電源拠点としてグルーピングする。なお、これらの需要家3同士が近隣に位置している必要はないが、町程度の単位では同じ地域に存在していることが望ましい。このように、電力の使用形態が異なる需要家3同士を分散電源拠点A〜Nとしてグルーピングすることで、相互に電力の融通を行い易くできるため、分散電源拠点全体として経済的な運用が可能になる。
【0084】
この分散電源システム100では、需要家3の分散電源4は最も効率の良い定格運転を行うようにし、余剰電力および不足電力を分散電源拠点A内で融通し合い、電力系統1からの電力供給を最低限に抑え、好ましくは電力系統1から略独立した地域を実現させる。電力の融通は分散電源拠点コントローラー7により一括管理制御される。また、分散電源拠点A全体としての余剰電力は、電力会社11に売電する。
【0085】
具体的な、電力の分散電源拠点A内における融通方式について説明する。図3は、分散電源拠点コントローラー7の提供する分散電源運転状況画面20の一例である。この分散電源運転状況画面20は、各需要家コントローラー6の表示装置(図示省略)に表示される。図4は、電力融通方式の概念図である。インターネット9を介して接続されている需要家コントローラー6と分散電源拠点コントローラー7とは相互に通信可能となっており、例えば、需要家3Aの電力が不足した場合、需要家コントローラー6Aから分散電源拠点コントローラー7に対して買電要求21を送信する。これにより、分散電源拠点コントローラー7はこの買電要求21を受け付けて登録し、売電要求22があるまで待機する。次に、電力が余った需要家3B、3Cが、需要家コントローラー6Bから分散電源拠点コントローラー7に対して売電要求22を送信する。分散電源拠点コントローラー7はこの売電要求22を受け付けて登録する。分散電源運転状況画面20の要求表示部23には、各需要家3A〜3Cによる買電要求21および売電要求22がなされている旨が表示される(図中丸印24)。
【0086】
前記買電要求21と売電要求22は分散電源拠点コントローラー7にて登録され、所定の組合せプログラム25に基づいて次のように処理される。図5は、組合せプログラムによる処理工程の一例を示すフローチャートである。
(1)買電要求および売電要求が単数の場合(ステップS2)
買電要求21および売電要求22のいずれもが存在する場合を前提とし(ステップS1)、売電希望の需要家3の提示する売値と、買電希望の需要家3が希望する買値との中間価格で需要者3が電力を購入する。その際、買電希望の需要家3は、売値(この場合は中間価格)をみて買電要求21をキャンセルできる。キャンセルは需要家コントローラー6に予め買値の上限値を入力しておくことで、当該需要家コントローラー6により自動的に行うようにするのが好ましい。
【0087】
(2)買電要求および売電要求の一方が単数の場合(ステップS4)
▲1▼ 買電要求21が単数で売電要求22が複数の場合は(ステップS5)、買電要求21をしている需要家3は、売電要求22をしている需要家3の中から、最も安値の電力を購入できる(ステップS6)。その際、買電要求21をしている需要家3の買値は分散電源運転状況画面20に表示されないので、要求した買値が販売した需要家3に知られることはなく、買電の要求をした需要家3は、実際に要求した買値より安価に電力を購入できる場合がある。
▲2▼ 一方、売電要求22が単数で買電要求21が複数の場合は(ステップS5)、売電要求22をしている需要家3は、買電要求21をしている需要家3の中から、最も高値の需要家3に電力を販売できる(ステップS7)。その際、売電要求22をしている需要家3の売値は分散電源運転状況画面20に表示されないので、要求した売値が販売した需要家3に知られることはなく、売電の要求をした需要家3は、実際に要求した売値より高価に電力を販売できる場合がある。
但し、いずれの場合でも、買電希望の需要家3は実際の売値をみて買電要求21をキャンセルできる。上記同様、キャンセルは需要家コントローラー6に予め買値の上限値を入力しておくことで当該需要家コントローラー6により自動的に行う。
【0088】
(3)買電要求および売電要求が複数の場合(ステップS8)
売値と買値が最も近い需要家3同士を組合せる(ステップS9)。これにより、各需要家3は、希望価格に近い価格で電力を購入販売できるので、需要家3全員が満足できる。なお、この場合も、買電希望の需要家3は実際の売値をみて買電要求21をキャンセルできる。また、キャンセルするか否かの処理は、需要家コントローラー6に予め買値の上限および下限を入力しておくことで、当該需要家コントローラー6により自動的に行う。
次に、上記売値と買値が最も近い需要家3同士の組合せからもれた需要家3が存在する場合(需要家3の希望する買値または売値に近い他の需要家3が存在しない)、上記(1)、(2)の組合せ方式により処理する(ステップS10)。
なお、上記(1)から(3)は需要家3の組合せ方式の一例であるから、これ以外の条件により需要家3の組合せを行うこともできる。
【0089】
(4)分散電源の機能不全
例えば分散電源4が機能不全となった場合、その需要家3は緊急に電力を必要とすることになるから、機能不全となった需要家3から緊急の買電要求21があった場合(ステップS11)、上記(1)から(3)の処理を行うことなく、強制的に他の需要家3の分散電源4から電力の供給を受けるように処理する(ステップS12)。電力供給は、機能不全となった分散電源4が回復するまで行う(ステップS13)。係る場合の電力供給元は、次のようにして決定する。
▲1▼ 予め発電能力が高い分散電源4(ガスタービン、ディーゼルエンジン等)を使用している需要家3を単数または複数登録しておき、その登録の順番に電力供給を行う。
▲2▼ 機能不全となった分散電源4が発電能力の低いものである場合(燃料電池など)、発電能力の高い分散電源4の需要家3を機能不全の分散電源4に係る需要家3のサポート者として登録しておき、供給をうけるようにする。
▲3▼ 機能不全となった分散電源4が発電能力の高いもので、負荷5が大きい場合(ポンプ、エレベーター、ビル空調のコンプレッサー等)、分散電源拠点の全て又は殆どの需要家3から分散して電力供給を受ける。
機能不全は、いずれの分散電源4にも発生し得る問題であるため、機能不全のときの電力供給は無償とするか、または管理組合に需要家3が自己の分散電源4の発電量に応じて資金を保険金としてプールしておき、このプールした資金を充当するなどして処理するのが好ましい。
【0090】
(5)組合せ制限
フローチャートには図示しないが、需要家3によっては電力の売買関係を成立したくない需要家3が存在する場合がある。この場合、一の需要家3が他の需要家3を指定して当該情報を需要家コントローラー6から送信する。分散電源拠点コントローラー7は当該情報を登録しておき、上記組合せプログラム25により一の需要家3が前記指定のあった他の需要家3と組合された場合、当該組合せ処理を無効とする。この無効となった情報は、前記指定を行った一の需要家3にのみ送信されるようにするか、或いは他の需要家3には組合せ自体がなされていない旨の情報を送信する。この組合せ制限の指定には、不当な制限指定を防止するために、理由を付することを義務つけても良い。例えば、次のような理由により組合せ制限を行うことができる。
▲1▼ 指定したい需要家3が法外の価格で電力を販売しようとしている場合。
▲2▼ 指定したい需要家3の分散電源4の信頼性に問題がある場合(メンテナンス不足等に起因するもの)。
▲3▼ 指定したい需要家3との間に、経済的または法的な利害関係がある場合。これにより、各需要家3に適正価格で電力の売買を行うように仕向けることができるし、各需要家3が自己の分散電源4の管理メンテナンスを十分に行うように仕向けることができる。なお、理由の性質としては、主に分散電源システム100の運営に支障をきたすような行為を抑制できること、又は需要家3間に経済的利害関係が存在すること等の理由を挙げることができ、係る範疇に含まれる理由であれば、▲1▼〜▲3▼以外の理由でも認められる。当該理由は、予め分散電源運転状況画面20上に表示される複数の理由から選択し、分散電源拠点コントローラー7に送信するようにするのが好ましい。
【0091】
更に、上記理由に対しては証拠を提出することを義務付けるのが好ましい。また、当該証拠は、分散電源拠点コントローラー7のデータベース10に記憶されている情報とするのが判断の公平性を担保する上で好ましい。証拠は、需要家コントローラー6から分散電源拠点コントローラー7に送信するか或いは分散電源拠点コントローラー7の管理者に郵送しても良い。なお、組合せ制限の実行については、分散電源拠点コントローラー7の自由裁量となる(自動的に判断するか、或いは管理者が判断して設定する)。一方、例えば特定の需要家3が気に入らないから等の不当な理由をもって組合せ制限することは、認められない。
【0092】
また、分散電源運転状況画面20の状況モニター部26には、上記組合せプログラム25により分散電源4を組合せた状態が表示される。具体例として、同図に示すように、需要家G1、G3から需要家G2に電力を供給している状態が表示されている。これらは、需要家コントローラー6の表示装置により閲覧できる。また、画面下方のモニター表27には、各需要家3の電力使用状況が表示される。表示切換ボタン28により電力量をコスト表示に変更できる。なお、上記の組合せ方式は一例であり、これ以外の組合せ方式を用いてもよい。
【0093】
なお、電力の売買料金の清算は、月単位等の一定期間単位でネットワーク上で行う。具体的には、各需要家3の一定期間における売買データがデータベース10に蓄積されており、分散電源拠点コントローラー7は、このデータに基づいて別の需要家3に支払うべき金額、別の需要家3から支払われるべき金額を算出する。各需要家3の銀行口座はインターネット9により相互に接続されており、前記算出結果に基づいて、ネットワーク上で清算を行う。
【0094】
以上のように、この分散電源システム100では、各需要家3の分散電源4を効率の良い定格運転させ、余剰電力を販売し或いは不足電力を購入するようにするので、分散電源拠点全体で効率的な運用が可能となる。このため、経済的、エコロジー的にも有利である。また、各需要家3の有する分散電源4が機能不全となった場合でも、他の需要家3の分散電源4から電力の供給を受けられるので、分散電源システム100全体の信頼性が高まる。これに対して、需要家3が分散電源システム100を構築することなく、自己の分散電源4のみで運転している場合は、負荷5の変動により分散電源4を部分負荷運転することがあるので、エネルギー変換効率が悪化して経済的ではない。また、分散電源4が機能不全に陥る場合のサポート手段がないので信頼性に欠き、或いは予備電源を用意するとなれば、設備増加による経済的負担が増加する。
【0095】
更に、分散電源拠点全体として余剰となった電力は、電力系統1を介して電力会社11に販売できる。また、分散電源拠点A〜N同士の間でも余剰電力の売買が可能である。この場合、電力系統1を介して電力の融通を行うようにするため、一旦電力会社11に余剰電力を販売し、その電力を他の分散電源拠点A〜Nで買い取るようにする。余剰電力の売値は、売買当事者で決定することができる。なお、最終的に電力会社11が余剰電力を買い取るわけではないので、電力会社11と分散電源拠点Aとの間の売買契約は不要である。
【0096】
電力会社11は、余剰電力の分散電源拠点間売買においてその仲介手数料を徴収することもできる。例えば分散電源拠点Aと分散電源拠点Bとの間で電力の販売契約がインターネット9を介して交わされている場合、まず、分散電源拠点Aは、分散電源拠点コントローラー7から電力会社11のコンピュータ12に対して売電量および販売先のデータを送信する。電力会社11は、分散電源拠点Aから受け取った売電量および販売先のデータを蓄積すると共に、この売電量のデータを前記販売先となる他の分散電源拠点Bの分散電源拠点コントローラー7Bにインターネット9を介して送信する。分散電源拠点Bの分散電源拠点コントローラー7Bは、電力会社11のコンピュータ12から売電情報を受け取り、分散電源拠点Aから買い受けた電力を、電力会社11から電力系統1を介して受け取る。電力会社11は、この仲介した電力量に応じて、分散電源拠点Aおよび/または分散電源拠点Bから従量制により仲介手数料を受け取る。なお、電力の売買代金の清算は、分散電源拠点A、Bの管理組合名義の銀行口座からネットワーク経由で行う。なお、分散電源拠点C〜Nまでのいずれの分散電源拠点同士の間でも電力の売買が可能であることはいうまでもない。分散電源拠点B内では、各需要家3が他の分散電源拠点Aから購入した電力を使用することになるが、各需要家3は電力使用量に応じて管理組合に料金を納めればよい。
【0097】
(実施の形態2)
図6は、この発明の実施の形態2に係る分散電源システムを示す構成図である。この分散電源システム200は、分散電源拠点A、B相互に電力の融通を行う点に特徴がある。この分散電源システム200の中系統2を構成する分散電源拠点A、Bの構成は、上記実施の形態1と略同様であるが、更にこの分散電源拠点A,B内に分散電源ステーション201と、蓄電システム202を備えている点が異なる。分散電源拠点Aおよび分散電源拠点Bの2つを例にあげて説明する。分散電源ステーション201は、可搬式の分散電源204を接続すると共に、接続した可搬式の分散電源204の電力を蓄電装置202に蓄電する機能を備えている。可搬式の分散電源204には、分散電源トラック203、分散電源船206等を用いることができる。
【0098】
分散電源拠点Aの電力が不足し、分散電源拠点Bの電力が余っている場合、電力不足情報が分散電源拠点Aの分散電源拠点コントローラー7Aからインターネット9を介して分散電源拠点Bの分散電源拠点コントローラー7Bに送信される。なお、分散電源拠点Aと分散電源拠点Bとの間には、ネットワーク上において電力を融通する売買契約がなされている。分散電源拠点Bの分散電源ステーション7Bには、分散電源であるマイクロガスタービン204を搭載した分散電源トラック203が接続されている(図中点線で示す)。分散電源拠点Bの分散電源拠点コントローラー7Bは、分散電源拠点Aからの不足情報に基づいて、分散電源トラック203による電力供給を停止し、この分散電源トラック203を分散電源ステーション201Bから切り離す。
【0099】
切り離した分散電源トラック203は、分散電源拠点Bから分散電源拠点Aに移動し、分散電源拠点Aの分散電源ステーション201Aに接続される。分散電源拠点Aでは、分散電源トラック203のマイクロガスタービン204から電力の供給を受ける。この電力供給量は分散電源拠点Aの分散電源拠点コントローラー7Aにて記憶されると共に、インターネット9を介して分散電源拠点Bの分散電源拠点コントローラー7Bにより送られる。供給した電力量に応じて、分散電源拠点Bは分散電源拠点Aに対して課金し、分散電源拠点Aは、自己の管理組合の口座から分散電源拠点Bの管理組合の口座にインターネット9を介して振り込む。
【0100】
ここで、分散電源ステーション201の設置場所は、ガソリンスタンドGSとするのが好ましい。ガソリンスタンドGSは地下に燃料を入れるタンク205が設置されており、このタンク205内にマイクロガスタービン204の燃料を溜めておけるからである。また、最近では使用されていないガソリンスタンドGSも存在するので、土地の狭い我が国では分散電源ステーション201として好適である。分散電源トラック203は、このガソリンスタンドGSのタンク205から燃料の補給を受けてマイクロガスタービン204を運転する。
【0101】
また、分散電源トラック203の分散電源は、マイクロガスタービン204の他に燃料電池であっても良い。更に、分散電源ステーション201に接続できるのは、分散電源トラック203のみならず船舶であっても良い。分散電源船206の場合、分散電源204をガスタービン、ディーゼルエンジン等の大型発電機と、燃料タンクとを搭載することが可能である。この場合の分散電源ステーション201は、港に設置するのが好ましい。特に、港湾に隣接した工場地帯への送電に有用である。また、通常の船舶はディーゼルエンジンを搭載しているので、停泊中に駆動用のディーゼルエンジンにより発電して電力を供給するようにしても良い。
【0102】
次に、分散電源ステーション201の蓄電システム202は、電力が不足することが予め予想されている場合に有用である。例えば分散電源拠点Aの電力不足が発生する時間より前に分散電源トラック203を分散電源ステーション201Aに接続し、分散電源トラック203のマイクロガスタービン204により発電した電力を蓄電システム202Aに蓄えておく。これにより、分散電源トラック203は、電力が必要な時間に分散電源ステーション201Aに常駐している必要がなくなり、次の分散電源拠点に移動できる。蓄電システム202は、余剰電力をフライホイールの回転エネルギーに変換して貯蔵するフライホイールシステム、余剰電力をナトリウム−硫黄電池に蓄える電池貯蔵システム、超伝導状態の電気回路内に余剰電力を閉じ込める超伝導コイルなどのシステムを用いることができる。この他に当該蓄電システムは分散電源拠点の余剰電力を貯蔵することもできる。余剰電力を貯蔵しておくことで電力供給を殆ど自己の分散電源拠点内でまかなうことができる。蓄電システム202に余剰電力を供給する需要家3は、その電力量を需要家コントローラー(図示省略)で測定し、分散電源拠点コントローラー7に蓄電量のデータを送信する。分散電源拠点コントローラー7は、各需要家3の蓄電量を記憶しておく。
【0103】
分散電源拠点コントローラー7は、蓄電した需要家3がその蓄電量の範囲内で電力を返してもらうことを許可する。また、蓄電した需要家3は、返してもらった電力量が蓄電した電力量より少ない場合、他の需要家3に供給した電力の代金から、残電力量分の対価を払い受けることができる。一方、蓄電した需要家3が自己の蓄電量を超えて電力供給を受けた場合は、その超過電力量の対価を分散電源拠点の管理組合に支払う。また、余剰電力を異なる物質に変換して貯蔵、輸送することもできる。例えば余剰電力により水素207を生成し、この水素207を蓄えておく。水素207から電気への変換は燃料電池を用いて行う(図示省略)。また、水素生成時に生じる酸素やオゾンは、浄水や下水処理などに利用すればよい。また、水素自体を分散電源拠点Bから分散電源拠点Aに搬送し、分散電源拠点Aで燃料電池により発電すれば、実質的に電力の送電が可能になる。
【0104】
以上の分散電源システム200によれば、分散電源拠点A,B同士で電力の融通を行うことができる。また、必要なときに分散電源204を追加できるので、予備の分散電源を設置するか或いは発電量の大きい分散電源を用意しておく必要がない。このため、分散電源システム200を安価に構成できる。また、電力系統に電力を流すことなく、分散電源拠点A,B間で電力の融通ができる。
【0105】
(実施の形態3)
図7は、この発明の実施の形態3に係る分散電源システムを示す構成図である。この分散電源システムは、実施の形態1に係る分散電源システム100と略同様の構成であるが、分散電源拠点コントローラーが複数存在する点に特徴がある。この分散電源システム300では、中系統2を構成する分散電源拠点A内に多数の需要家3が存在し、この需要家3の需要家コントローラー6は、インターネット9を経由して分散電源拠点コントローラー7に接続している。分散電源拠点コントローラー7は、コンピュータ内部にプログラム上の仮想分散電源拠点コントローラー301を構築している。
【0106】
仮想分散電源拠点コントローラー301は、多数の需要家3から所定の需要家3をグルーピングし、このグループを一つの仮想分散電源拠点302として扱う。需要家3には、上記したように、電力使用形態が異なる複数種類の需要家3が存在するが、この需要家3の組合せにより分散電源拠点A内の経済性、信頼性等が変わってくる。例えば、同じような需要家3である大工場同士が分散電源拠点Aを構成しても、使用する電力量がそれぞれ大きく且つ電力使用のピークも同じ時間帯であることが多いので、電力の融通が利きにくく、そのために電力会社から電力を買わなければならない。また、分散電源が機能不全に陥った場合は、他の分散電源により補償できず、システム全体の信頼性に問題が生じる。
【0107】
このため、この分散電源システム300では、多数の需要家3から最適な組合せを需要家3自身が選択し、又は分散電源拠点コントローラー7が自動的に選択してグルーピングを行う。また、分散電源拠点A内の需要家3が当該分散電源システム300に参加するかは自由であるから、その中で当該分散電源システム300に参加要求を出した需要家3のみを対象として、システムを構築する。勿論、参加しても後に脱退することも可能である。図8に、好ましい需要家の組合せ例を挙げる。需要家3に、コンビニエンスストア31、工場32、学校33、病院34、一般家庭35が存在する場合、例えば同図枠36で囲んだ需要家3のように、24時間営業であるが使用電力量の小さいコンビニエンスストア31、昼間比較的早い時間に終了する学校33、朝から夜にかけてまで開いており小さいながら一定の電力を使用している病院34、主に夕方から電力を使用し始める一般家庭35を組合せることで、全体の使用電力量が一日を通して比較的安定する組合せを実現できる。また、一般家庭35の数は、他の需要家3の数に比べて多いので、この一般家庭35の数により全体の調整を行うのも好ましい手段である。
【0108】
また、同じ工場32であっても、例えば同図枠37で囲むような、主に夜間操業を行う工場32aと、夜間は休止している工場32bでは、同じ種類の需要家3であっても組合せやすいものとなる。また、工場32や病院34、学校33などの比較的規模の大きな需要家3の場合、電力の使用状態が異なれば組合せ易いものとなる(例えば枠38で囲む組合せ)。このような組合せを行うため、分散電源拠点コントローラー7は、各需要家3の電力使用状態のデータベース10を有している。
【0109】
図9は、この分散電源システムのグルーピング工程を示すフローチャートである。この分散電源システム300では、第一に、特定の需要家3と需要家3とが連携して、独自の仮想分散電源拠点302を作ることができる。第二に、分散電源拠点コントローラー7が自動的に需要家3を組合せて仮想分散電源拠点302を作ることができる。まず、多数の需要家3から参加要求があると(ステップS1)、分散電源拠点コントローラー7に登録され(ステップS2)、需要家3により任意の参加先が指定されているか否かを判断する(ステップS3)。ここで、任意の参加先とは、他の需要家3、又はグルーピングした後の個々のグループ(仮想分散電源拠点302)を指す。なお、最初のグルーピング時には参加先のグループがないため、需要家3同士の比較となる。需要家3同士の参加先指定の要求がない場合、登録した多数の需要家3を任意にグルーピングする(ステップS4)。一方、参加先の指定がある場合、参加要求の合致している需要家3同士が一つのグループとしてグルーピング化される(ステップS5、S6)。このグルーピングにより分散電源拠点A内に複数の仮想分散電源拠点302が構築される。特に、契約した需要家3同士で一つのグループを形成した場合、この需要家3らのみからなるオリジナルの仮想分散電源拠点302が形成されたことになる。
【0110】
また、分散電源拠点コントローラー7は、グループ毎にグループ内の需要家3の分散電源4および負荷5を管理制御する仮想分散電源拠点コントローラー301を構築する。仮想分散電源拠点コントローラー301は、実際には分散電源拠点コントローラー7をもつハードウエアコンピュータを共有するが、プログラム上でグループ毎に異なる仮想分散電源拠点コントローラー301を構築し提供されたものである。この結果、分散電源拠点コントローラー7内に複数の仮想分散電源拠点コントローラー301が存在し、これらの仮想分散電源拠点コントローラー301はインターネット9を介してグルーピングした需要家コントローラー6にそれぞれ接続された状態となる。特に、契約した需要家3同士のグループは、分散電源拠点コントローラー7内にオーダーメイドの仮想分散電源拠点コントローラー301を所有することになる。
【0111】
続いて、この分散電源拠点コントローラー7に新規の参加要求があるまで、グルーピングしたグループ毎に仮想分散電源拠点302を運用する(ステップS7)。新規の需要家3から参加要求があった場合、上記同様に分散電源拠点コントローラー7に登録を行う。ここで、既に形成されたグループに新規参加要求をする需要家3は、当該グループの情報をインターネット経由で取得しており、具体的には、グループの需要家3のリスト、採算性等の運用状態、安定性等の評価等の情報が分散電源拠点コントローラー7のWebサイトで各需要家3に公開されており、この情報などに基づいて参加するグループの先を指定できる。この指定情報は、分散電源拠点コントローラー7により解読され(ステップS3)、このグループへの参加条件と照合される(ステップS5)。参加条件は、グルーピングされた需要家3同士で決定してもよいし、効率的な運用ができるか否かの基準により分散電源拠点コントローラー7が自動的に決定しても良い。参加条件との照合の結果、参加が許可されるようであれば、その参加先に新規の需要家3をグルーピングする。参加が許可されないようであれば、分散電源拠点コントローラー7が任意のグループに新規の需要家3をグルーピングする。
【0112】
勿論、複数の需要家3が新しいグループ(仮想分散電源拠点302)を作るために、参加要求をしてきた場合は、分散電源拠点コントローラー7により、それら需要家オリジナルの仮想分散電源拠点302および仮想コントローラー301を構築する。これにより、何らかの理由により協力して事業を行うような需要家3同士が自由に組んで仮想分散電源システムを構築し、その効率的運用を図ることができる。なお、その協力関係の解消も需要家3同士で決定すればよい。
【0113】
前記自動的にグルーピングする場合にその基準となるのは、上記したような効率的、安定的な運用ができるか否かであり、そのために参加者および新規参加者は、自己の分散電源4の詳細および平均的な電力使用状態等の情報を分散電源拠点コントローラー7に送信しなければならない。分散電源拠点コントローラー7は、これらの情報をデータベースに蓄積する。具体的な需要家の組合せについては、需要家3により電力使用状態が多様であるので個々に詳細説明できないが、需要家3の分散電源4の詳細および平均的な電力使用状態等の主たる情報を得ることで、好ましい組合せを自動的に決定することは可能である。分散電源拠点コントローラー7に送信すべき需要家3の情報には、例えば次のようなものが挙げられる。
▲1▼ 分散電源4の種類および定格出力、製造年月日、メンテナンス記録、リコール情報、管理者およびその者の保有資格
▲2▼ 負荷5の種類、増設予定
▲3▼ 需要家3の種類、住所、営業内容およびその時間、資本状態、昨年度の電力使用状態
【0114】
なお、分散電源拠点コントローラー7による自動組合せは、経済的で安定性のある組合せを決定し、それらの需要家3をグルーピング化することが目的であるから、実施の形態1のように単純に全ての需要家3をまとめてグループ化する場合と比べて、システムの最適運用にそぐわない需要家3を分散電源システム300に参加させられない状態が生じ得る。その一方で、分散電源4と負荷5が通常考えられる性能を有していれば、分散電源システム300に参加することに何ら支障はない。即ち、システム300に参加する資格がない需要家3は何らかの原因を有していると考えられ、その原因として挙げられるのは、a.分散電源のメンテナンス不足により出力低下が容易に予測できる場合、b.燃料購入資金不足により分散電源が明らかに機能不全に陥る場合、c.分散電源の寿命が既に過ぎている場合、d.分散電源が設計上の欠陥を有する場合、e.負荷が分散電源に対して大きすぎる場合、f.負荷が増大する予定があるにもかかわらず、分散電源はそのままである場合等と考えられる。
【0115】
図10は、分散電源システムへの参加許可までの過程を示すフローチャートである。分散電源システム300への参加にあたり、参加者である需要家3は、上記自己の需要家情報を分散電源拠点コントローラー7に送信しなければならない(ステップS1)。分散電源拠点コントローラー7では、需要家情報に基づき当該需要家3に分散電源システム300への参加資格があるか否かを判断する(ステップS2)。判断基準は、上記事由a〜fに該当するか否かであり、前記需要家情報を当該事由a〜fと照合し、該当事由が存在しない場合に参加資格を有すると判断し、該当事由がある場合に参加資格がないと判断する。参加資格がないと判断した需要家3には、一旦分散電源システム300への参加を拒否する旨を通知し(ステップS3)、分散電源拠点コントローラー7から改善案を送信する(ステップS4)。例えば分散電源拠点コントローラー7は、問題となっている該当事由を指摘し、具体的な改善方法を需要家コントローラー6にインターネット9経由で送信し、提示する。なお、参加資格があると判断された場合は、参加が許可される(ステップS8)。
【0116】
参加拒否された需要家3は、改善策を実施してその旨を需要家コントローラー6から分散電源拠点コントローラー7に需要家情報と共に送信する(ステップS5,S6)。そして、分散電源拠点コントローラー7により当該需要家が前記事由a〜fに該当しなくなったと判断した場合(ステップS7)、分散電源システム300への新たな参加資格を得ることができる(ステップS8)。また、参加資格が得られるまで改善を実施し、再送を繰り返すことができる。なお、上記グルーピングにより構築した仮想分散電源拠点302および仮想分散電源拠点コントローラー301は、上記実施の形態1に示した分散電源拠点Aおよび分散電源拠点コントローラー7と同様の機能を有し、上記同様の方式によりシステムの管理運用がなされる。
【0117】
以上、この実施の形態3に係る分散電源システム300では、需要家3同士でオリジナルの仮想分散電源拠点302および仮想分散電源拠点コントローラー301を構築し、独自に管理できる。また、その他の需要家3は自動的にグルーピングされる。これにより、分散電源システム300が経済的、安定的に運用されるようになる。
【0118】
(実施の形態4)
図11は、この発明の実施の形態4に係る分散電源システムを示す構成図である。この分散電源システム400は、複数の分散電源拠点A、B同士で電力の融通を行うものであり、その手段としてマイクロ波送電を行う点に特徴がある。電力系統1に接続されている中系統2である分散電源拠点A、Bは、上記実施の形態1と同様の構成であり、更に蓄電システム401およびマイクロ波の送受信システム402を設けている。特に、電力系統1同士が電線ケーブルで繋がっていない場合でも、分散電源拠点A,B同士で電力の融通を行うことができる。
【0119】
中系統2の一部にはフライホイールシステム等の蓄電システム401が設けられ、この蓄電システム401には板状の半導体を集積して形成したマイクロ波の送電用アンテナ403と、マイクロ波を受電する受電用アンテナ404とが設けられている。マイクロ波送電のための中継手段としては、人工衛星405を用いる。人工衛星405には、同じくマイクロ波を受電する受電用アンテナ406と、マイクロ波の送電用アンテナ207とが取り付けられている。
【0120】
分散電源拠点Bの蓄電システム401Bに蓄積された余剰電力は、マイクロ波mに変換されて送電用アンテナ403から人工衛星405に向けて送信され、当該人工衛星405の受電用アンテナ406により受電され、そのまま送電用アンテナ407から地上に送電される。この送電されたマイクロ波mは、分散電源拠点Aの受電用アンテナ404により受電され、マイクロ波mから電力に変換される。この電力は分散電源拠点Aの蓄電システム401Aに一旦蓄電される。
【0121】
上記構成によれば、異なる分散電源拠点A,Bの間での電力の融通が可能になる。特に、電力系統1がケーブルで接続されていない状態で分散電源拠点A,Bの間で送電を行うことができるので、離島と離島との間で電力の融通を行う場合や、異なる電力会社の電力系統に構築した分散電源拠点の間で電力の融通を行う場合等に有用である。また、人工衛星を用いて送電を行う場合は、分散電源拠点AまたはBが外国に存在する場合でも電力の融通が可能になる。このため、電力料金の安い国の分散電源拠点Bの余剰電力を電力料金の高い国の分散電源拠点Aに送電することができる。また、人工衛星405を使用する以外にも、中間に位置する灯台に受電用アンテナおよび送電用アンテナを取り付けるようにして、マイクロ波の中継を行うようにしても良い。また、直接に分散電源拠点Aの送電用アンテナ403からマイクロ波mを送電し、これを分散電源拠点Bの受電用アンテナ404で受電することにより又はこの逆により、分散電源拠点A,B間で電力の融通をしても良い。
【0122】
(実施の形態5)
図12は、この発明の実施の形態5に係る分散電源システムを示す構成図である。この分散電源システム500は、各分散電源拠点内において分散電源4同士の電力融通を行う場合の構造であり、各分散電源4には、2つの開閉器502,503により構成したオーバラップ切換器501が設けられている。このオーバラップ切換器501の開閉器502は、電力系統1の中系統2に接続されており、他方の開閉器503は、各分散電源4同士を相互に接続した分散電源系統504に接続されている。なお、需要家3A〜3Cを例に挙げて説明する。
【0123】
電力系統1から電力供給を受ける場合、各オーバラップ切換器501の開閉器502を閉じ、開閉器503を開にする。次に、分散電源拠点A内において分散電源4同士で電力融通を行う場合は、各オーバラップ切換器501の開閉器503を閉じて両方の開閉器502,503が閉じた状態とし、続いて開閉器502を開にする。これにより、分散電源4の負荷に対して無停電で電力を供給できる。また、特定負荷のオーバラップ切換器501の開閉器503を分散電源系統504に接続してもよい。例えば、オーバラップ切換器501Bとオーバラップ切換器501Cとの開閉器502B,502Cを開、開閉器503B,503Cを閉として分散電源系統504に接続し、オーバラップ切換器501Aの開閉器503Aを閉、開閉器502Aを開として中系統2に接続し、負荷4Aは、電力系統1および分散電源から電力の供給を受け、その他の負荷4B,4Cは、分散電源4相互の電力融通により電力を得る。
【0124】
このようにすれば、各需要家3A〜3Cは電力融通を自由に選択できる。また、オーバラップ切換器501を用いることで、電力融通に伴う停電が発生しない。
【0125】
図13は、この発明の実施の形態5の分散電源システムの変形例を示す構成図である。この分散電源システム550は、上記分散電源システム500と略同一構成であるが、需要家3Cの分散電源4Cをコモンの電源として用いる点が異なる。即ち、需要家3A,3Bにはオーバラップ切換器501A,501Bが設けられており、需要家3Cにはオーバラップ切換器が設けられておらず、その分散電源は分散電源系統504に接続されている。電力系統1から電力供給を受ける場合、各オーバラップ切換器501の開閉器502を閉じ、開閉器503を開にする。次に、分散電源拠点A内において分散電源4同士で電力融通を行う場合は、各オーバラップ切換器501の開閉器503を閉じて両方の開閉器502,503が閉じた状態とし、続いて開閉器502を開にする。これにより、分散電源4の負荷に対して無停電で電力を供給できる。
【0126】
また、上記同様に負荷5Bを分散電源系統504に接続し、負荷Aを中系統2に接続することもできる。その場合は、オーバラップ切換器501Aの開閉器502Aを閉じ、開閉器503Aを開とし、オーバラップ切換器501Bの開閉器502Bを開とし、開閉器503Bを閉じるようにすればよい。係る構成は、配線構造が簡単で済むというメリットがあり、特に分散電源4Cの容量が分散電源4A,4Bの容量に比べて大きいときに有効である。
【0127】
(実施の形態6)
図14は、この発明の実施の形態6に係る分散電源システムを示す構成図である。この安定化電力供給システム600は、上記実施の形態1〜4に記載の分散電源拠点内において電力供給の安定化を図るものである。この安定化電力供給システム600は、商用系統(電力系統)と自家発系統とを系統連係して負荷に電力供給を行う構成であり、具体的には電力会社から電力供給される買電母線61と、自家発系統の分散電源62から電力供給される自家発母線63とを有し、買電母線61と自家発母線63との間には、瞬低対策用の高速限流遮断装置64及び連系用遮断器70が設けられている。買電母線61には、瞬低(停電も含まれる)の許される単数または複数の一般負荷65が接続されている。一方、自家発母線63には、瞬低が許されない複数の重要負荷66が接続されている。重要負荷66としては、パーソナルコンピュータ、電磁開閉器、半導体製造装置等を挙げることができる。一般負荷5としては、事務所内の電灯、冷暖房等を挙げることができる。重要負荷66と一般負荷65との分類は、技術的に瞬低が許されないもの、経済的に瞬低が好ましくないものを基準として行われる。
【0128】
更に、買電母線61から別系統の商用電力供給配線67が引き出され(第1系統A)、分岐した後にそれぞれの重要負荷66に連係されている。上記実施の形態1〜4の中系統は、この実施の形態では、買電母線61、自家発母線63および商用電力供給配線67を含む。自家発母線63(第2系統B)と第1系統Aの連係地点には、それぞれオーバラップ切換器68が設けられている。オーバラップ切換器68は、第1系統Aと第2系統Bの併用期間を経て、第1系統Aから第2系統Bへの切換、又は第2系統Bから第1系統Aへの切換を行う機能を有する。前記高速限流遮断装置64は、サイリスタ、ダイオードによる整流形混合ブリッジにリアクトルを組み合わせた構造であり、例えば日新電機株式会社のCSパック(商標)等を用いることができる。制御装置9は、汎用PLC(Programmable Logic Controller)または汎用コンピュータと所定のソフトウエア等から構成され、高速限流遮断装置64、オーバラップ切換器68、分散電源62の制御を行う。分散電源62としては、ガスタービン、マイクロガスタービン、ディーゼルエンジン、燃料電池等の単数または複数の組み合わせを挙げることができる。
【0129】
また、各分散電源62は、分散電源系統504により相互に接続されている。また、分散電源62には、2つの開閉器502,503により構成したオーバラップ切換器501が設けられている。このオーバラップ切換器501の開閉器502は、電力系統1の商用電力供給配線67に接続されており、他方の開閉器503は、分散電源系統504に接続されている。なお、このオーバラップ切換器501と分散電源系統504との作用および効果は、実施の形態5にて記載したものと同様である。
【0130】
また、分散電源62は複数記載されているが、オーバラップ切換器501および分散電源系統504による接続により実質的に一つの分散電源として扱うことが可能である。下記説明では、オーバラップ切換器501を切り換えて、分散電源62同士の間で電力融通を行いながら運用している場合を前提とする。
【0131】
図15は、オーバラップ切換器68の構造を示す構成図である。このオーバラップ切換器68は、2つの開閉器81,82を組み合わせた構造であり、一方の開閉器81が第1系統Aに接続され、他方の開閉器82が第2系統Bに接続され、更に両方の開閉器81,82の一端は重要負荷66に接続されている。また、各オーバラップ切換器68には、第1系統Aと第2系統Bとの同期制御を行う同期制御器83が設置されている。これは、自家発系統から商用系統に重要負荷を個別に切り換えるときに必要となる(詳しくは後述する)。
【0132】
次に、この安定化電源供給システム100の動作を説明する。図16は、安定化電源供給システムの動作を示すフローチャートである。分散電源62の運転がされていないか或いは定格運転に達していない初期運転の場合(ステップS1)、オーバラップ切換器68は第1系統Aと重要負荷66を接続するように切り換えられており、買電母線61から第1系統Aを介して重要負荷66に電力の供給がなされている。また、分散電源62の電力は、自家発母線63から高速限流遮断装置64及び連系用遮断器70を介して買電母線61との同期運転に入る条件を整える。
【0133】
次に、分散電源62が定常運転に達し、第1系統との同期運転に達した後(ステップS2)、オーバラップ切換器68を第1系統Aから第2系統Bに切り換える。この手順は、まず第1系統Aと重要負荷66とが一方の開閉器81により接続している状態で、更に第2系統Bと重要負荷66とを他方の開閉器82により接続し、一旦、第1系統Aと第2系統Bの両方を接続する(ステップS3)。このとき、買電母線61と自家発母線63とは、高速限流遮断装置64及び高速遮断器70により系統連係されており、既に同期が採られている。続いて、開閉器81を開いて第1系統Aを切り離し、第2系統Bのみの接続を行う(ステップS4)。このオーバラップ切り換えにより重要負荷66に対する無停電の切換を行うことができる。
【0134】
第2系統Bに切り換えた状態で通常運転となり(ステップS5)、各重要負荷66は電力潮流制御により分散電源62による自家発系統の下に入り、第1系統Aから分断される。これにより、重要負荷66は自家発系統のみによって運転されることになり、商用系のいずれかで落雷事故等に起因した瞬低が発生しても、当初から分散電源62による電力供給を受けており、高速限流遮断装置64による限流および高速遮断が行われることから、当該瞬低は重要負荷66に殆ど影響を与えない。なお、重要負荷66の切換は、分散電源62の運転状況を監視している制御装置69からの指令に基づいて行う。
【0135】
また、第2系統Bから第1系統Aに切り換える場合も、第2系統Bおよび第1系統Aの両方を一旦接続してから第2系統Bを切り離す。このような逆の切換が行われる場合としては、例えば分散電源62のメンテナンス作業や追設、交換等を挙げることができる。ここで、分散電源62の能力は、重要負荷66の容量の全部を合算したものとなるが、瞬低時における自家発系の負荷変動が殆どないこと、オーバラップ切換器68は最重要である負荷に取り付けられているので必要負荷容量は比較的正確に決まっていること、から必要とされる最低容量の発電量を有していれば足りる。このため、分散電源62の性能を適正に抑えて設備コストを低減できる。また、負荷変動への適応性が低い、ディーゼルエンジン等を分散電源62として用いることができる。
【0136】
勿論、通常運転の状態で、分散電源62の余剰電力は高速限流遮断装置64(高速限流遮断スイッチはONの状態)を介して系統連係された商用系の電力会社に売電できる。また、この安定化電力供給システム600では、第1系統Aと第2系統Bの接続点にオーバラップ切換器68を設置することで、既設の負荷を重要負荷66として扱うことができる。即ち、この安定化電力供給システム600では、第1系統は当初から設けられている場合があり、この第1系統Aが直に第2系統Bに連係している地点にオーバラップ切換器68を設ければ済むので、設備的にも簡易に重要負荷66を追加できる。この重要負荷66は、既設の負荷にオーバラップ切換器68を取り付けて重要負荷66として扱うようにしても、新設の負荷をオーバラップ切換器68と共に設置して重要負荷66として扱うようにしても良い。
【0137】
また、この安定化電力供給システム600では、高速限流遮断装置64の容量を小さく抑えることができる。その理由は次の通りである。図17は、商用系から自家発系統への切換の一例を示すフローチャートである。まず、商用電力が当初150kW、自家発電力が0kWとし、重要負荷66a〜66cの負荷がそれぞれ50kWであるとする。また、高速限流遮断装置64の容量は100kWとする。この状態から分散電源62の出力を100kWに上げると(ステップS1)、商用電力は50kWで足り、このとき、オーバラップ切換器68が商用系に接続されていることから、高速限流遮断装置64には100kWの電力潮流が起こる。
【0138】
次に、重要負荷66aを商用系から自家発系に切り換えるにあたり、その重要負荷66aのオーバラップ切換器68の開閉器81,82を両方閉じた状態では、商用系および自家発系内の電力の流れは系統インピーダンスにより決定される。続いて、オーバラップ切換器68の開閉器81を開けて重要負荷66aを分散電源62に接続すると(ステップS2)、分散電源62の電力50kWは第2系統Bを介して重要負荷66aに供給される。また、この状態で分散電源62の出力には50kWの余裕があるので、高速限流遮断装置64には自家発系から商用系に50kWの電力潮流が起こる。また、このときの商用系の電力は、当該50kWをもともとの50kWに加えた100kWとなる。
【0139】
次に、重要負荷66bを商用系から自家発系に切り換えるにあたり、その重要負荷66bのオーバラップ切換器68の開閉器81,82を両方閉じ、続いて開閉器81を開けて重要負荷66bを分散電源62に接続すると(ステップS3)、分散電源62の電力50kWは第2系統Bを介して重要負荷66aに供給される。この状態では分散電源62の出力100kWは、重要負荷66a,66bで消費されるので、高速限流遮断装置64には電力潮流が起こらない。また、このときの商用系の電力は、もともとの50kWのみとなる。
【0140】
ここで、分散電源62の出力を上げることなく、重要負荷66cを商用系から自家発系に切り換えると仮定すると、オーバラップ切換器68により重要負荷66cを自家発系に接続した場合、高速限流遮断装置64には、商用系から自家発系に50kWの電力潮流が起こる。この電力量であれば、高速限流遮断装置64の容量が100kWであるから問題ないが、例えば重要負荷66cの負荷が150kWであれば高速限流遮断装置64の容量を越えた電力潮流を引き起こすことになり、その容量分の高速限流遮断装置64を用意しなければならなくなる。このため、高速限流遮断装置64が大型化し、コスト増加を招くことになる。
【0141】
この発明では、重要負荷66cを切り換えるとき、分散電源62の出力を150kWに上げておき(ステップS4)、その状態で重要負荷66cのオーバラップ切換器68を商用系から自家発系に切り換える(ステップS5)。この状態では、切換前に高速限流遮断装置64にて自家発系から商用系への50kWの電力潮流が起こり、切換後に電力潮流が0kWになる。仮に、上例のように重要負荷66cの負荷が150kWであっても、分散電源62の出力を150kW〜250kWに上げてから重要負荷66cのオーバラップ切換器68を切り換えれば、高速限流遮断装置64における電力潮流は0kW〜100kWに収められる。
【0142】
即ち、上記切換方法を実施することで、分散電源62の出力(少なくとも全ての重要負荷66を運転するときの電力量)に対応する容量を持った高速限流遮断装置64を用意する必要がなく、小さい容量の高速限流遮断装置64を用いることができる。なお、上記説明では、重要負荷66a〜66cを例に挙げたが、重要負荷66の数だけ上記同様の工程を繰り返し、全ての重要負荷66を商用系統の第1系統Aから自家発系統の第2系統Bに切り換える。
【0143】
なお、以上のオーバラップ切換器68の動作は、分散電源62の運転状況(出力など)を監視している制御装置69からの指令に基づいて行う。また、複数の重要負荷66を自家発系統に順次切り換える場合、その切り換える重要負荷66の順番は、制御装置69の記憶部に記憶されているプログラムに沿って決定される。例えば予め重要負荷66の切り換え順序を固定していても良いし、分散電源62の発電量に応じて切り換えられるものから順番に切り換えるようにしても良い。
【0144】
また、上例では、図17のフローチャートに示したように、重要負荷66の負荷や分散電源62の出力制御を具体例を挙げて説明したが、これを一般化すると、図18に示すフローチャートのようになる。即ち、分散電源62の出力を所定値まで上げ(ステップS1)、特定の重要負荷66のオーバラップ切換を行うことで、高速限流遮断装置64に容量より大きい電力潮流が発生するか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、前記制御装置69は、既に自家発系に切り換えられている重要負荷66(例えば重要負荷66a,66b)の現在全負荷と、新たに切り換えようとする重要負荷66(例えば重要負荷66c)の負荷とを加算した予定負荷量と、分散電源62の現在出力量とを比較し、前記重要負荷66の予定負荷量と分散電源62の現在出力量との差が高速限流遮断装置64の容量を越えた場合、容量より大きい電力潮流が発生すると判断する。容量より大きい電力潮流が生じると判断した場合、これが容量以下になるように分散電源62の出力を上げるように潮流制御する(ステップS1〜S2)。
【0145】
一方、発生する電力潮流が高速限流遮断装置64の容量以下であると判断した場合、前記新たに切り換えようとしている重要負荷66の切換を行う(ステップS3)。即ち、分散電源62の現在出力量が上がり、予定負荷量との差が高速限流遮断装置64の容量内に収まれば、制御装置69は、オーバラップ切換器68により当該重要負荷66を商用系から自家発系に切り換える。そして、このステップS1〜S3の手順を全ての重要負荷66を商用系から自家発系に切り換え終わるまで行う(ステップS4)。なお、前記判断基準値は、予定負荷量と現在出力量との差が高速限流遮断装置64の容量を越えた場合としたが、所定の余裕を持って判断するようにしても良い。例えば高速限流遮断装置64の容量の90%を越えないように設定しても良いし、当該容量の110%を越えないように設定しても良い。
【0146】
このような切換手順を実施すれば、高速限流遮断装置64の容量を小さく抑えることができる。具体的には、全重要負荷66の全負荷量より小さい容量の高速限流遮断装置64を用いることができる(これに比べ、図4の条件で重要負荷66a〜66cを一度に切り換えるとすれば、高速限流遮断装置64の容量は150kW必要である)。また、高速限流遮断装置64は、全ての重要負荷66のうち最大負荷となる重要負荷66の負荷よりも大きな容量を持っていればよい。即ち、重要負荷66を一つずつ切り換えるとすれば、現在出力量と予定負荷量との差が高速限流遮断装置64の容量内に収まればよいのだから、最大負荷となる重要負荷の負荷より高速限流遮断装置64の容量が大きければよいことになる。
【0147】
また、この実施の形態の安定化電力供給システム600では、制御装置69により重要負荷66のオーバラップ切換器68を選択的に切り換えることができるので、このオーバラップ切換器68を有する負荷のうち、特定の負荷のみを重要負荷66として扱うこともできる。即ち、通常の複数の重要負荷66を更に最重要負荷(例えば66a,66b)と単なる重要負荷(例えば66c、66d)とに予め又は適宜分類し、オーバラップ切換器68の切り換え制御を行うようにする。
【0148】
例えばメンテナンス等に起因して分散電源62の発電量が期間的に異なる場合に有用である。複数の分散電源62のうち、いずれかをメンテナンス等の理由により運転中止とする場合、全ての重要負荷66をまかなうことが困難になる。そこで、現在供給される電力量の範囲で特定の重要負荷66a,66bのみに優先して電力を供給すれば、最重要負荷66a,66bの瞬低を確実に防止できる。図19は、最重要負荷への電力供給手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御装置は、全分散電源62の発電量を検出する(ステップS1)。
【0149】
次に、この全発電量により全ての重要負荷66の電力をまかない得るか否かを判断し(ステップS2)、まかない得る場合はそのまま全てのオーバラップ切換器68を自家発系統に切り換えて全ての重要負荷66に電力を供給する(ステップS3)。一方、全ての重要負荷66をまかない得ない場合、制御装置69の記憶部に記憶している手順に従い、複数の重要負荷66から最重要負荷66a,66bを抽出する(ステップS4)。この抽出手順では、予め決められた負荷を選択するか、或いはその時点で優先されるべき負荷を自動的に選択する。
【0150】
次に、制御装置69は抽出した最重要負荷66a,66bのオーバラップ切換器68a,68bを切り換えて自家発系統から電力供給を受けるようにする(ステップS5)。一方、抽出されなかった負荷66c,66dは、第1系統Aから電力供給を受けることになるため、商用系統の瞬低の影響を受ける結果になる。そして、制御装置69は、分散電源62の発電量の変動を監視し(ステップS6)、発電量に変動が生じた場合、例えばメンテナンスを終了した分散電源62を投入した場合、再び全発電量を検出し(ステップS1)、上記ステップS2〜S6の処理を行う。以上のようにすれば、自家発電量が不足している場合でも、最重要となる負荷に瞬低の影響が及ぶことがない。
【0151】
図2に示した同期制御装置83は、第1系統Aと第2系統Bとの間に設置される。この同期制御装置83は、例えば故障やメンテナンス等に起因して分散電源62の出力が低下した場合、全重要負荷66が過負荷状態になるため、任意の何れか(最重要負荷66でないものが好ましい)の重要負荷66を自家発系から商用系に戻す必要がある。このとき、高速限流遮断装置64がメンテナンス等の理由により開状態であると、同期した状態で電力の供給が受けられないので、前記同期制御装置83は、自家発系と商用系との同期をとり、特定の重要負荷66を自家発系から商用系に戻す。
【0152】
具体的には、同期制御装置66が各オーバラップ切換器68に設けられており、第1系統Aと第2系統Bとの同期制御を行う。分散電源62の出力が低下した場合、この出力低下を制御装置69が監視しており、当該制御装置69からの命令により特定の重要負荷66(例えば最重要負荷)の同期制御装置83を作動させ、第1系統Aおよび第2系統Bの同期制御を行う。同期がとれた状態でオーバラップ切換器68により第2系統Bから第1系統Aへの切換を行う。これにより、過負荷分を商用電力で運用できる。また、各オーバラップ切換器68にそれぞれ同期制御装置83を設けることで、重要負荷66のそれぞれが(実際、複数同時に切り換えるときは、少なくとも1箇所で)、第1系統と第2系統との同期を取り、商用系への早急な切換を行うことができる。なお、同期制御装置83を有する重要負荷は、全ての重要負荷でなくても良い。例えば瞬低や停電がどうしても許容できない重要負荷のみに設けても良い。
【0153】
また、同期制御装置は、開閉器81,82に取り付けていなくても、各オーバラップ切換器68ごとに同期をとることができれば、設置位置はこれに限定されない。また、所定の重要負荷66をグループ化し、このグループ内の重要負荷のオーバラップ切換器68に共通の同期制御装置を設けるようにしても良い。このようにすれば、当該グループ内の重要負荷を自家発系から商用系に早急に戻すことができる。
【0154】
なお、上記実施の形態では、高速限流遮断装置64を用いて説明したが、この高速限流遮断装置64は通常の遮断器で代替できる。遮断器を採用すれば、システム全体のコストを低減できる。一方、高速限流遮断装置64を用いれば、瞬低対策を万全に行うことができる。また、高速限流遮断装置64は容量あたりのコストが高いため、この発明のように高速限流遮断装置64の容量を小さくできれば、顕著なコスト削減が可能になる。なお、いずれの場合でも、オーバラップ切換器68を用いることで無停電の切換が可能になる。
【0155】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の分散電源システムでは、電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した分散電源拠点と、分散電源拠点に含まれ、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う需要家コントローラーと、需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続され、需要家コントローラーの情報に基づいて分散電源拠点内の需要家間における電力融通に関する管理制御を該分散電源拠点全体で一括で行う分散電源拠点コントローラーとを備えたので、分散電源によるエネルギー供給の経済性、信頼性を高めることができる。
【0156】
また、この発明の分散電源システムでは、電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した複数の分散電源拠点と、各分散電源拠点は、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う複数の需要家コントローラーと、前記複数の需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続され、需要家コントローラーの情報に基づいて当該一つの分散電源拠点内の需要家間における電力融通に関する管理制御を該分散電源拠点全体で一括で行う分散電源拠点コントローラーとを備えたので、各分散電源拠点において独立に分散電源によるエネルギー供給の経済性、信頼性を向上できる。
【0157】
また、この発明の分散電源システムでは、複数の需要家のうち、一の需要家の需要家コントローラーが、買電要求を分散電源拠点コントローラーに送信し、前記複数の需要家のうち、他の需要家の需要家コントローラーが、売電要求を分散電源拠点コントローラーに送信し、分散電源拠点コントローラーは、買電要求と売電要求を所定の組合せ処理に基づき組合せて、前記一の需要家から他の需要家に電力を売買するように制御するので、電力売買をスムーズに行うと共に、分散電源の経済性、信頼性を向上できる。
【0158】
また、この発明の分散電源システムでは、組合せ処理として、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、要求される買値および売値に基づいて、単数の需要家に最も利益をもたらす組合せを行うので、当該単数の需要家は最も経済的に分散電源の運用を行うことができる。
【0159】
また、この発明の分散電源システムでは、組合せ処理として、買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、要求される買値および売値のうちから最も近い買値と売値とを要求する需要家同士を組合せるので、組合せに係る需要家がもっとも満足を得ることができる。
【0160】
また、この発明の分散電源システムでは、買電要求する需要家コントローラーは、売電要求する需要家コントローラーからの売値情報に基づいて、買電要求をキャンセルするので、不本意に電力を購入するのを防止できる。
【0161】
また、この発明の分散電源システムでは、分散電源拠点内のいずれかの需要家の分散電源が機能不全となった場合、前記分散電源拠点コントローラーは、この需要家に対して他の需要家の分散電源から所定条件のもとに電力を供給するように制御するので、分散電源が機能不全に陥っても負荷運転を継続できるので、分散電源の信頼性が向上する。
【0162】
また、この発明の分散電源システムでは、組合せ処理において、一の需要家の需要家コントローラーは、組合せを制限する他の需要家を指定してその情報を分散電源拠点コントローラーに送信し、分散電源拠点コントローラーは、前記一の需要家と指定に係る他の需要家との組合せを行わないようにするので、不本意な相手との電力売買関係が築かれるのを防止できる。
【0163】
また、この発明の分散電源システムでは、複数の分散電源拠点の分散電源拠点コントローラー同士は、実質的に分散電源拠点間で電力系統を介して電力の売買を行い、電力会社の料金徴収手段は、前記分散電源拠点間の電力売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座から徴収するので、需要家のみならず電力会社も利益を上げることができる。
【0164】
また、この発明の分散電源システムでは、複数の分散電源拠点は、中系統に接続され且つ車両や船舶等の移動手段に搭載した分散電源を接続する分散電源ステーションをそれぞれ有するので、システムのイニシャルコストを低く抑え且つ必要な場合に発電量を増加できる。
【0165】
また、この発明の分散電源システムでは、移動手段は車両であり、前記分散電源ステーションは、地下にタンクを有するガソリンスタンドを利用しており、このタンクに分散電源の燃料を貯蔵しているので、分散電源の置き場問題を解決し、分散電源ステーションに好適である。
【0166】
また、この発明の分散電源システムでは、分散電源ステーションは、接続した前記移動手段に搭載した分散電源から供給された電力を貯蔵する蓄電手段を備えたので、分散電源を搭載した移動手段を拘束することなく、当該分散電源から電力の供給を受けることができる。
【0167】
また、この発明の分散電源システムでは、蓄電手段は、分散電源拠点内の余剰電力を貯蔵し得るので、分散電源拠点内における電力供給の信頼性を高めることができる。
【0168】
また、この発明の分散電源システムでは、電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した分散電源拠点と、分散電源拠点に含まれ、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う需要家コントローラーと、前記分散電源拠点内で、前記複数の需要家のうち特定の需要家を所定の条件に基づいてグルーピングして構成した仮想分散電源拠点と、当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続されると共に当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーとを備えたので、専用の分散電源拠点コントローラーにより管理制御され、効率的な運用を行うことができる。
【0169】
また、この発明の分散電源システムでは、グルーピングした仮想分散電源拠点は、予め仮想分散電源拠点を作ることを約した特定の需要家らにより構成されているので、特定の需要家のみにより当該仮想分散電源拠点の運用を行うことができる。
【0170】
また、この発明の分散電源システムでは、グルーピング時に前記仮想分散電源拠点コントローラーは、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家の情報に基づき、参加可否判断を行うので、分散電源システムの効率的な運用が特定の需要家により妨げられ難くなり、当該分散電源システムの信頼性が向上する。
【0171】
また、この発明の分散電源システムでは、グルーピング時に前記仮想分散電源拠点コントローラーは、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家が存在する場合に、当該需要家がシステムの最適運用に支障をきたすおそれがあるとき、この需要家の需要家コントローラーに対して参加拒否通知を行うので、問題のある需要家の参加を防止してシステムの運用を効率的に行うと共に、当該需要家に状態の改善を促すことができる。
【0172】
また、この発明の分散電源システムでは、仮想分散電源拠点コントローラーは、参加拒否通知を行った後、需要家の需要家コントローラーから改善通知を仮想分散電源拠点コントローラーに送信することで、当該需要家の参加を許可するので、システムの効率的運用を促し、分散電源の経済性、信頼性を高められる。
【0173】
また、この発明の分散電源システムでは、複数の分散電源拠点は、分散電源拠点相互間でマイクロ波による送受電を行う送受電システムを有しているので、ケーブルで接続されていない或いは遠隔地の分散電源拠点の間で電力の融通を行うこができる。
【0174】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、前記複数の需要家のうち一の需要家の需要家コントローラーからネットワーク経由で分散電源拠点コントローラーに対して買電要求を出す手順と、他の需要家の需要家コントローラーからネットワーク経由で分散電源拠点コントローラーに対して売電要求を出す手順と、分散電源拠点コントローラーにより、買電要求を出した需要家と売電要を出した需要家とを所定の組合せ処理に基づいて組合せ、これら需要家の間で電力の売買を行わせる手順とを含むので、需要家の間で電力売買をスムーズに行うことができる。
【0175】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、要求される買値および売値に基づいて、単数の需要家に最も利益をもたらす組合せを行う手順を含むので、需要家に最大の利益となる電力売買を行うことができる。
【0176】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、要求される買値および売値のうちから最も近い買値と売値とを要求する需要家同士を組合せる手順を含むので、全ての需要家が満足できる電力売買を行うことができる。
【0177】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、買電要求する需要家コントローラーは、売電要求する需要家コントローラーからの売値情報に基づいて、買電要求をキャンセルする手順を含むので、不本意に電力を購入すること、需要家が法外な価格を要求することを防止ことができ、分散電源拠点全体の運用の適正化を図ることができる。
【0178】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、分散電源拠点内のいずれかの需要家の分散電源が機能不全となった場合、この需要家に対して他の需要家の分散電源から所定条件のもとに電力を供給する手順を含むので、分散電源による電力供給の信頼性を向上できる。
【0179】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、組合せ処理において、一の需要家により、前記組合せを制限する他の需要家を指定する手順と、前記一の需要家と指定に係る他の需要家との組合せを行わないようにする手順とを含むので、これにより、不本意な相手との電力売買関係が築かれることはない。
【0180】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御し、更に、このような分散電源拠点が前記電力系統に複数接続され、当該分散電源拠点間で電力の融通をするにあたり、前記分散電源拠点間で電力系統を介してネットワーク上で電力の売買を行う手順と、分散電源拠点間の電力売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座からネットワークを介して徴収する手順とを含むので、分散電源拠点および電力会社の双方が利益を享受できる。
【0181】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御し、更に、このような分散電源拠点が前記電力系統に複数接続され、当該分散電源拠点間で電力の融通をするにあたり、各分散電源拠点に設けた分散電源ステーションに移動手段に搭載した分散電源を接続することで当該分散電源から電力の供給を受けるようにしたので、分散電源システムのイニシャルコストを低く抑え且つ分散電源拠点の立場では必要な場合に発電量を増加できる。
【0182】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、前記複数の需要家のうち特定の需要家を所定条件に基づいてグルーピングして仮想分散電源拠点を構築する手順と、当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーを構築する手順とを含むので、専用の分散電源拠点コントローラーにより管理制御され、効率的な運用を行うことができる。
【0183】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、予め仮想分散電源拠点を作ることを約した特定の需要家らをグルーピングして仮想分散電源拠点を構築する手順と、当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーを構築する手順とを含むので、特定の需要家のみにより当該仮想分散電源拠点の運用を行うことができる。
【0184】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、グルーピング時に、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家の情報に基づき、参加可否判断を行う手順を含むので、分散電源システムの効率低下を防止して、適正な運用を行うことができる。
【0185】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、グルーピング時に、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家が存在する場合であって、当該需要家がシステムの最適運用にそぐわないとき、この需要家の参加拒否を行う手順を含むので、問題のある需要家の参加を防止してシステムの運用を効率的に行うと共に、当該需要家に状態の改善を促すことができる。
【0186】
また、この発明の分散電源システムの運用方法では、参加拒否を行った後、需要家から改善策の実施通知に基づき、当該需要家の参加を許可する手順を含むので、システムの効率的運用を促し、分散電源の経済性、信頼性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る分散電源システムを示す構成図である。
【図2】各種の分散電源の発電出力、需要家毎の電力需要、熱需要の関係を示す説明図である。
【図3】分散電源拠点コントローラーの提供する分散電源運転状況画面の一例である。
【図4】電力融通方式の概念図である。
【図5】組合せプログラムによる処理工程の一例を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態2に係る分散電源システムを示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る分散電源システムを示す構成図である。
【図8】好ましい需要家の組合せ例を示す説明図である。
【図9】この分散電源システムのグルーピング工程を示すフローチャートである。
【図10】分散電源システムへの参加許可までの過程を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態4に係る分散電源システムを示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る分散電源システムを示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係る分散電源システムの変形例を示す構成図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係る安定化電力供給システムを示す構成図である。
【図15】オーバラップ切換器の構造を示す構成図である。
【図16】安定化電源供給システムの動作を示すフローチャートである。
【図17】商用系から自家発系統への切換の一例を示すフローチャートである。
【図18】商用系から自家発系統への切換手順を示すフローチャートである。
【図19】最重要負荷への電力供給手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
100 分散電源システム
A〜N 分散電源拠点
1 電力系統
2 中系統
3 需要家
4 分散電源
5 負荷
6 需要家コントローラー
7 分散電源拠点コントローラー
9 インターネット
10 データベース
201 分散電源ステーション
202 蓄電システム
203 分散電源トラック
204 分散電源
206 分散電源船

Claims (35)

  1. 電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した分散電源拠点と、
    分散電源拠点に含まれ、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う需要家コントローラーと、
    需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続され、需要家コントローラーの情報に基づいて分散電源拠点内の需要家間における電力融通に関する管理制御を該分散電源拠点全体で一括で行う分散電源拠点コントローラーと、
    を備えたことを特徴とする分散電源システム。
  2. 電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した複数の分散電源拠点と、
    各分散電源拠点は、
    当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う複数の需要家コントローラーと、
    前記複数の需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続され、需要家コントローラーの情報に基づいて当該一つの分散電源拠点内の需要家間における電力融通に関する管理制御を該分散電源拠点全体で一括で行う分散電源拠点コントローラーと、
    を備えていることを特徴とする分散電源システム。
  3. 前記複数の需要家のうち、一の需要家の需要家コントローラーが、買電要求を分散電源拠点コントローラーに送信し、
    前記複数の需要家のうち、他の需要家の需要家コントローラーが、売電要求を分散電源拠点コントローラーに送信し、
    分散電源拠点コントローラーは、買電要求と売電要求を所定の組合せ処理に基づき組合せて、前記一の需要家から他の需要家に電力を売買するように制御する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の分散電源システム。
  4. 前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、要求される買値および売値に基づいて、単数の需要家に最も利益をもたらす組合せを行うことを特徴とする請求項3に記載の分散電源システム。
  5. 前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、要求される買値および売値のうちから最も近い買値と売値とを要求する需要家同士を組合せることを特徴とする請求項3に記載の分散電源システム。
  6. 買電要求する需要家コントローラーは、売電要求する需要家コントローラーからの売値情報に基づいて、買電要求をキャンセルすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の分散電源システム。
  7. 前記分散電源拠点内のいずれかの需要家の分散電源が機能不全となった場合、前記分散電源拠点コントローラーは、この需要家に対して他の需要家の分散電源から所定条件のもとに電力を供給するように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の分散電源システム。
  8. 前記組合せ処理において、一の需要家の需要家コントローラーは、組合せを制限する他の需要家を指定してその情報を分散電源拠点コントローラーに送信し、分散電源拠点コントローラーは、前記一の需要家と指定に係る他の需要家との組合せを行わないようにすることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の分散電源システム。
  9. 前記複数の分散電源拠点の分散電源拠点コントローラー同士は、実質的に分散電源拠点間で電力系統を介して電力の売買を行い、電力会社の料金徴収手段は、前記分散電源拠点間の電力売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座から徴収することを特徴とする請求項2に記載の分散電源システム。
  10. 前記複数の分散電源拠点は、中系統に接続され且つ車両や船舶等の移動手段に搭載した分散電源を接続する分散電源ステーションをそれぞれ有することを特徴とする請求項2〜9のいずれか一つに記載の分散電源システム。
  11. 前記移動手段は車両であり、前記分散電源ステーションは、地下にタンクを有するガソリンスタンドを利用しており、このタンクに分散電源の燃料を貯蔵していることを特徴とする請求項10に記載の分散電源システム。
  12. 更に、前記分散電源ステーションは、接続した前記移動手段に搭載した分散電源から供給された電力を貯蔵する蓄電手段を備えたことを特徴とする請求項10または11に記載の分散電源システム。
  13. 前記蓄電手段は、分散電源拠点内の余剰電力を貯蔵し得ることを特徴とする請求項12に記載の分散電源システム。
  14. 電力系統に対して中系統を構成すると共に、複数の需要家の分散電源および負荷を当該中系統内で接続した分散電源拠点と、
    分散電源拠点に含まれ、当該分散電源拠点内の分散電源および負荷の管理制御を行う需要家コントローラーと、
    前記分散電源拠点内で、前記複数の需要家のうち特定の需要家を所定の条件に基づいてグルーピングして構成した仮想分散電源拠点と、
    当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、需要家コントローラーと通信ネットワークにより接続されると共に当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーと、
    を備えたことを特徴とする分散電源システム。
  15. 前記グルーピングした仮想分散電源拠点は、予め仮想分散電源拠点を作ることを約した特定の需要家らにより構成されていることを特徴とする請求項14に記載の分散電源システム。
  16. 前記グルーピング時に前記仮想分散電源拠点コントローラーは、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家の情報に基づき、参加可否判断を行うことを特徴とする請求項14に記載の分散電源システム。
  17. 前記グルーピング時に前記仮想分散電源拠点コントローラーは、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家が存在する場合に、当該需要家がシステムの最適運用に支障をきたすおそれがあるとき、この需要家の需要家コントローラーに対して参加拒否通知を行うことを特徴とする請求項14に記載の分散電源システム。
  18. 更に、前記仮想分散電源拠点コントローラーは、参加拒否通知を行った後、需要家の需要家コントローラーから改善通知を仮想分散電源拠点コントローラーに送信することで、当該需要家の参加を許可することを特徴とする請求項17に記載の分散電源システム。
  19. 前記複数の分散電源拠点は、分散電源拠点相互間でマイクロ波による送受電を行う送受電システムを有していることを特徴とする請求項2に記載の分散電源システム。
  20. 更に、前記複数の分散電源を接続する分散電源系統と、前記中系統および前記分散電源系統との切り換えを行うオーバラップ切換手段とを有することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一つに記載の分散電源システム。
  21. 分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、
    前記複数の需要家のうち一の需要家の需要家コントローラーからネットワーク経由で分散電源拠点コントローラーに対して買電要求を出す手順と、
    他の需要家の需要家コントローラーからネットワーク経由で分散電源拠点コントローラーに対して売電要求を出す手順と、
    分散電源拠点コントローラーにより、買電要求を出した需要家と売電要を出した需要家とを所定の組合せ処理に基づいて組合せ、これら需要家の間で電力の売買を行わせる手順と、
    を含むことを特徴とする分散電源システムの運用方法。
  22. 前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との一方が単数である場合、要求される買値および売値に基づいて、単数の需要家に最も利益をもたらす組合せを行う手順を含むことを特徴とする請求項21に記載の分散電源システムの運用方法。
  23. 前記組合せ処理は、買電要求の需要家と売電要求の需要家との両方が複数である場合、要求される買値および売値のうちから最も近い買値と売値とを要求する需要家同士を組合せる手順を含むことを特徴とする請求項21に記載の分散電源システムの運用方法。
  24. 買電要求する需要家コントローラーは、売電要求する需要家コントローラーからの売値情報に基づいて、買電要求をキャンセルする手順を含むことを特徴とする請求項21〜23のいずれか一つに記載の分散電源システムの運用方法。
  25. 前記分散電源拠点内のいずれかの需要家の分散電源が機能不全となった場合、この需要家に対して他の需要家の分散電源から所定条件のもとに電力を供給する手順を含むことを特徴とする請求項21に記載の分散電源システムの運用方法。
  26. 前記組合せ処理において、
    一の需要家により、前記組合せを制限する他の需要家を指定する手順と、
    前記一の需要家と指定に係る他の需要家との組合せを行わないようにする手順と、
    を含むことを特徴とする請求項21〜24のいずれか一つに記載の分散電源システムの運用方法。
  27. 分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御し、
    更に、このような分散電源拠点が前記電力系統に複数接続され、当該分散電源拠点間で電力の融通をするにあたり、
    前記分散電源拠点間で電力系統を介してネットワーク上で電力の売買を行う手順と、
    分散電源拠点間の電力売買の仲介手数料を一方または両方の分散電源拠点の口座からネットワークを介して徴収する手順と、
    を含むことを特徴とする分散電源システムの運用方法。
  28. 分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御し、
    更に、このような分散電源拠点が前記電力系統に複数接続され、当該分散電源拠点間で電力の融通をするにあたり、
    各分散電源拠点に設けた分散電源ステーションに移動手段に搭載した分散電源を接続することで当該分散電源から電力の供給を受けるようにしたことを特徴とする分散電源システムの運用方法。
  29. 分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、
    前記複数の需要家のうち特定の需要家を所定条件に基づいてグルーピングして仮想分散電源拠点を構築する手順と、
    当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーを構築する手順と、
    を含むことを特徴とする分散電源システムの運用方法。
  30. 分散電源と負荷をそれぞれ有する複数の需要家が電力系統に対して中系統を構成する分散電源拠点内で接続され、この分散電源拠点内の需要家コントローラーを分散電源拠点コントローラーにより該分散電源拠点全体で一括で管理制御するにあたり、
    予め仮想分散電源拠点を作ることを約した特定の需要家らをグルーピングして仮想分散電源拠点を構築する手順と、
    当該仮想分散電源拠点に対応して構築され、当該仮想分散電源拠点全体の管理制御を一括で行う仮想分散電源拠点コントローラーを構築する手順と、
    を含むことを特徴とする分散電源システムの運用方法。
  31. 前記グルーピング時に、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家の情報に基づき、参加可否判断を行う手順を含むことを特徴とする請求項29に記載の分散電源システムの運用方法。
  32. 前記グルーピング時に、仮想分散電源拠点に参加しようとする需要家が存在する場合であって、当該需要家がシステムの最適運用にそぐわないとき、この需要家の参加拒否を行う手順を含むことを特徴とする請求項29に記載の分散電源システムの運用方法。
  33. 更に、参加拒否を行った後、需要家から改善策の実施通知に基づき、当該需要家の参加を許可する手順を含むことを特徴とする請求項32に記載の分散電源システムの運用方法。
  34. コンピュータに、上記請求項21〜33のいずれか一つに記載の各手順を実行させるための分散電源システムの運用プログラム。
  35. 前記分散電源拠点内において、前記中系統内の電力系統に一般負荷を接続し、分散電源を有する自家発系統に複数の重要負荷を接続すると共に前記電力系統と自家発系統を系統連係し、
    この系統連係回路に遮断手段を設け、
    前記商用系統から複数の重要負荷に商用電力を供給する商用電力供給系統を設けると共に、
    この商用電力供給系統と重要負荷に繋がる複数の自家発系統との接続点にそれぞれオーバラップ切換手段を備えたことを特徴とする請求項1〜20のいずれか一つに記載の分散電源システム。
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