JP3946539B2 - 電子楽器のキートップスイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ピアノなどの電子楽器の操作パネルに各種スイッチとして設けられる電子楽器のキートップスイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は、電子ピアノの従来のキートップスイッチの一例を示したものであり、このキートップスイッチ50は、例えば音色選択スイッチとして、操作パネル51に設けられている。操作パネル51は、押し出し材などで構成されており、上下方向に貫通する多数のキートップ孔52と、その所定位置に裏面側に突出するとともに、左右方向に延びるリブ53とが設けられている。キートップスイッチ50は、プリント配線板で構成されたスイッチ基板54と、スイッチ基板54上に支持されるとともに、操作パネル51の各キートップ孔52から若干突出した多数のキートップ55と、を備えている。各キートップ55は、合成樹脂の成形品などで構成されていて、リブ53に嵌合した状態でスイッチ基板54に取り付けられた支持部56と、支持部56に支持された本体部57と、によって構成されている。この支持部56が操作パネル51のリブ53に嵌合した状態で、キートップ55が操作パネル51に取り付けられることによって、操作パネル51に対してキートップ55が前後方向の所定位置に位置決めされている。また、キートップ55の左右方向の位置決めに関しては、本体部57の中心がキートップ孔52の中心に位置するように、目視などによってその取り付け位置を決定しながら、支持部56の上面を、両面テープ58で操作パネル51の裏面に貼り付けることによって行われている。
【0003】
また、キートップの左右方向の位置決めに関しては、図示しないが、リブの左右方向の所定位置にその前後方向に突出する一対の位置決め潰し部を設け、これらの位置決め潰し部の間にキートップの支持部を嵌合させることによって行うものも知られている。これらの位置決め潰し部は、そのためにあらかじめ用意した専用のプレス金型によって、リブをプレスすることによって形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、操作パネル51に対するキートップ55の左右方向の位置決めを両面テープ58によって行う場合には、多数のキートップ55ごとに、その取り付け位置を決定しながら、貼り付け作業を行わなければならず、その貼り付け作業が非常に煩雑で、キートップスイッチ50の製造コストが高くなってしまう。また、目視によってキートップ55の取り付け位置を決定するので、取り付け位置を正確に決定できない場合があり、正確に決定したとしてもその位置に正確に貼り付けることが難しく、以上の結果、高い取り付け精度が得られず、品質が安定しにくくなってしまう。
【0005】
一方、キートップの左右方向の位置決めを、操作パネルのリブに設けた位置決め潰し部によって行う場合には、位置決め潰し部をプレスにより高い精度で得ることが技術的に非常に困難であるとともに、上述したプレス金型が必要となり、位置決めだけのためにそのような高価なプレス金型を作製するのは、コスト的に負担が大きく、その結果、キートップスイッチの製造コストも高くなってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、キートップを操作パネルの前後方向および左右方向の所定位置に精度良くかつ容易に位置決めできるとともに、製造コストを削減することができる電子楽器のキートップスイッチを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、操作パネルに設けられる電子楽器のキートップスイッチであって、操作パネルの裏面には、前後方向の所定位置に前後方向の位置決め用のリブが設けられ、左右方向に連続して延びており、左右方向に延びる線と直交する断面が逆L字状の第1係合部と、前後方向に延びる線と直交する断面の先端部が三角形状の第2係合部とを有し、全体としてリブよりも小さな左右方向の長さを有するとともに、第1係合部がリブに係合した状態で操作パネルに取り付けられたキートップと、左右方向の所定位置に左右方向の位置決め用のキートップ位置決め孔を有し、キートップ位置決め孔がキートップの第2係合部に係合した状態で、操作パネルに固定されたスイッチ基板と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この電子楽器のキートップスイッチでは、キートップは、その第1係合部が前後方向の位置決め用のリブに係合した状態で、操作パネルに取り付けられている。この位置決め用のリブは、操作パネルの前後方向の所定位置に設けられているので、そのようなリブに第1係合部を係合させるだけで、操作パネルに対してキートップを、前後方向の所定位置に精度良くかつ容易に位置決めすることができる。また、スイッチ基板は、その左右方向の位置決め用のキートップ位置決め孔にキートップの第2係合部が係合した状態で、操作パネルに固定されている。この位置決め用のキートップ位置決め孔は、スイッチ基板の左右方向の所定位置に設けられているので、そのようなキートップ位置決め孔に第2係合部を係合させるだけで、キートップを、スイッチ基板を介して、操作パネルに対して左右方向の所定位置に精度良くかつ容易に位置決めすることができる。以上の結果、従来のキートップスイッチと異なり、キートップの左右方向の位置決めのために、両面テープの貼り付け作業や、位置決め潰し部を設けるためのリブの潰し作業を行う必要がなくなることにより、操作パネルへのキートップの取り付け作業を簡素化でき、それによりキートップスイッチの製造コストを削減することができる。また、リブは左右方向に連続して延びており、キートップは、全体としてリブよりも小さな左右方向の長さを有している。さらに、第1係合部の左右方向に延びる線と直交する断面は、逆L字状になっており、第2係合部の前後方向に延びる線と直交する断面の先端部は、三角形状になっている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明を適用した電子ピアノのキートップスイッチを示している。このキートップスイッチ1は、操作パネル2に例えば音色選択スイッチとして配置されており、その操作によって音色が選択されるとともに、その選択状態を表示するものである。キートップスイッチ1は、スイッチ基板3と、操作パネル2に取り付けられた多数のキートップ4(図1には1つのみ図示)と、各キートップ4を照明するためのLED5と、を備えている。
【0010】
操作パネル2は、アルミニウムの押し出し材で構成され、所定の断面形状に形成されている。図2に示すように、操作パネル2の所定位置には、上下方向に貫通する多数の開口部2a(1つのみ図示)が左右方向に並ぶように形成されており、各開口部2aにキートップ4の本体部8が、若干の隙間をもって嵌合し、操作パネル2の上方に若干突出している。操作パネル2の開口部2aよりも後側(同図の右側)の所定位置には、各キートップ4を前後方向に位置決めするためのリブ2bが設けられている。このリブ2bは、左右方向に連続して延び、裏面側に突出するとともに、所定のテーパを有しており、先端側に向かうほどその幅が狭まるように形成されている。また、リブ2bのすぐ後側には、左右方向に互いに平行に延びるねじ取り付け部2c、2cが、裏面側に突出した状態で設けられている。さらに、操作パネル2の開口部2aよりも前側には、左右方向に延びる基板支持部2dが、裏面側に突出した状態で設けられており、この基板支持部2dには、後方に開放する凹部2eが形成されている。
【0011】
スイッチ基板3は、プリント配線板で構成されており、その表面には、キートップ4に対応する位置にタクトスイッチ6が設けられている。そして、キートップ4が押し操作されるのに伴い、タクトスイッチ6がON状態になることによって、キートップ4がON状態になり、そのON信号が制御装置(図示せず)に出力されることによって、そのキートップ4に対応する音色または機能が選択される。また、タクトスイッチ6よりも後側の所定位置には、各キートップ4を左右方向に位置決めするための多数のキートップ位置決め孔3a(係合部)が形成されている(図3参照)。さらに、このキートップ位置決め孔3aよりも後側には、複数の取り付け孔3bが、左右方向に間隔を隔てて形成されている。スイッチ基板3の上面には、キートップ4の本体部8の下方の位置に、前記LED5が取り付けられている。LED5は、制御装置に接続されており、この制御装置の制御により、押し操作されたキートップ4に対応するものが点灯することによって音色または機能の選択状態を表示する。
【0012】
図4〜図6に示すように、各キートップ4は、操作パネル2の開口部2aに嵌合する本体部8と、本体部8をスイッチ基板3上に支持する支持部9と、を備えている。
【0013】
本体部8は、キートップ4の操作の際に押される上側の円柱状の操作部8aと、LED5を覆う下側の筒状のカバー部8bと、によって構成されている。この操作部8aは、半透明または透明の合成樹脂、例えばアクリルで構成され、キートップ4の他の部分は、半透明の合成樹脂、例えばABSで構成されており、キートップ4は、例えば2色成形によって形成されている。また、操作部8aの前端部には、スイッチ基板3のタクトスイッチ6に対向するように、下方に突出するアクチュエータ部8cが設けられている。このアクチュエータ部8cが、キートップ4の押し操作に伴い、タクトスイッチ6を押圧することによって作動させる。支持部9は、本体部8に左右一対のヒンジ11、11を介して連結されている。キートップ4は、これらのヒンジ11、11の弾性により、押し操作後、指を離すと、もとの位置に復帰する。また、支持部9は、その背面から突出する断面逆L字状の係合部9a(第1係合部)を有しており、この係合部9aの鉛直部9bは、支持部9とほぼ平行に上下方向に延びている。また、支持部9の下面には、その左右方向の中心に位置決め突起部9c(第2係合部)が設けられている。この位置決め突起部9cの左右方向の幅は、前述したキートップ位置決め孔3aにぴったり係合するような所定の大きさに設定されている。
【0014】
さらに、支持部9の上端部には、支持部9をスイッチ基板3側に付勢する左右一対の弾性アーム部10、10が設けられている。各弾性アーム部10は、支持部9の前面からほぼ水平に延びる比較的薄い水平部10aと、水平部10aの先端から上方に延びるパネル当接部10bとから、断面L字状に形成されている。キートップ4の操作パネル2への取り付け前においては、パネル当接部10bの上端が支持部9の上端よりも上方に位置するようになっている。
【0015】
以上のように構成されたキートップスイッチ1は、次のようにして組み立てられる。まず、各キートップ4の支持部9の係合部9aを操作パネル2のリブ2bに係合させた状態で、キートップ4の本体部8を操作パネル2の対応する開口部2aにそれぞれはめ込む。このように、リブ2bへの係合部9aの係合によって、キートップ4を操作パネル2の前後方向の所定位置に精度良くかつ容易に位置決めできるとともに、開口部2aへの本体部8のはめ込みによって、キートップ4の左右方向の概略の位置決めがなされる。次に、スイッチ基板3を、その前端部を操作パネル2の凹部2eに差し込むとともに、各キートップ4の位置決め突起部9cを、対応するスイッチ基板3のキートップ位置決め孔3aに係合させる。その状態で、治具(図示せず)を用いて、操作パネル2に対してスイッチ基板3を左右方向の所定位置に位置決めし、ネジ12を取り付け孔3bを介して、操作パネル2のねじ取り付け部2c、2c間にねじ込み、スイッチ基板3を固定する。これにより、多数のキートップ4を一度に左右方向の所定位置に精度良くかつ容易に位置決めすることができる。したがって、従来のキートップスイッチと異なり、キートップの左右方向の位置決めのための、両面テープの貼り付け作業や、位置決め潰し部を設けるためのリブの潰し作業を省略することにより、操作パネル2へのキートップ4の取り付け作業を簡素化でき、それによりキートップスイッチ1の製造コストを削減することができる。
【0016】
また、キートップスイッチ1を組み立てる際に、弾性アーム部10のパネル当接部10bが操作パネル2に当接することにより、その反力によって、水平部10aがたわみ、支持部9をスイッチ基板3側に付勢する。したがって、この付勢により、キートップ4は、その取り付け後において、常にスイッチ基板3に押圧された状態になる。同様に、キートップスイッチ1を組み立てる際に、支持部9の係合部9aが操作パネル2のテーパ状のリブ2bにより押し広げられることによって、支持部9には、リブ2bから抜け出ようとする力が作用する。したがって、この作用により、キートップ4は、その取り付け後において、常にスイッチ基板3に押圧された状態になる。以上のように、キートップ4の支持部9が、弾性アーム部10からの付勢力と、リブ2bからの押圧力が作用した状態で、スイッチ基板3に当接するので、キートップ4は、操作パネル2にしっかりと取り付けられる。その結果、スピーカ(図示せず)から発生する音の振動によってキートップ4が操作パネル2に対して振動することがなくなるので、両者間のビリ付き、およびそれによる雑音の発生を防ぐことができる。
【0017】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、説明した実施形態では、リブ2bは、テーパ状に形成されているが、この形状は任意であり、例えばこれをまっすぐな形状にしてもよい。また、キートップ4の左右方向の位置決めを、スイッチ基板3のキートップ位置決め孔3aにキートップ4の位置決め突起部9cを係合させることによって行っているが、これらを凹凸逆にしてもよく、すなわちスイッチ基板3の所定位置に凸部を設け、この凸部に係合する凹部をキートップ4に設けてもよい。さらに、操作パネル2が押し出し材で構成されている関係上、リブ2bは、左右方向に連続しているが、これをキートップ4の取り付け部位にのみ設けてもよい。それに加えて、実施形態では、本発明を電子ピアノに適用しているが、これを、その他の電子楽器、例えば電子オルガンなどに適用してもよい。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電子楽器のキートップスイッチによれば、キートップを前後方向および左右方向の所定位置に精度良くかつ容易に位置決めできるとともに、製造コストを削減することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による電子楽器のキートップスイッチおよび操作パネルの部分正面図である。
【図2】操作パネルの部分正面図である。
【図3】図1の部分底面図である。
【図4】キートップの平面図である。
【図5】キートップの側面図である。
【図6】キートップの正面図である。
【図7】従来の電子楽器のキートップスイッチおよび操作パネルの部分正面図である。
【符号の説明】
1 キートップスイッチ
2 操作パネル
2b リブ
3 スイッチ基板
3a キートップ位置決め孔(係合部)
4 キートップ
9a 係合部(第1係合部)
9c 位置決め突起部(第2係合部)
Claims (1)
- 操作パネルに設けられる電子楽器のキートップスイッチであって、
前記操作パネルの裏面には、前後方向の所定位置に前後方向の位置決め用のリブが設けられ、左右方向に連続して延びており、
左右方向に延びる線と直交する断面が逆L字状の第1係合部と、前後方向に延びる線と直交する断面の先端部が三角形状の第2係合部とを有し、全体として前記リブよりも小さな左右方向の長さを有するとともに、前記第1係合部が前記リブに係合した状態で前記操作パネルに取り付けられたキートップと、
左右方向の所定位置に左右方向の位置決め用のキートップ位置決め孔を有し、当該キートップ位置決め孔が前記キートップの前記第2係合部に係合した状態で、前記操作パネルに固定されたスイッチ基板と、
を備えることを特徴とする電子楽器のキートップスイッチ。
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2002
- 2002-02-21 JP JP2002045376A patent/JP3946539B2/ja not_active Expired - Lifetime
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