JP3942646B2 - 射出成形機を用いた圧縮成形方法及びその装置 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機を用いて圧縮成形する方法及びそのための装置に関するもので、特に、あらかじめ設定された金型タッチ位置から自動的に型締めが開始されるようにされている射出成形機により圧縮成形を行う方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機においては、固定型と可動型とを型閉じし、型締めした後、成形材料の射出が行われる。その型締め時には、固定型と可動型との間に極めて強い力が加えられる。そのために、それらの間に異物が挟まると、その金型が破損することがある。そこで、固定型と可動型とが接触する位置(金型タッチ位置)をあらかじめ設定しておき、型閉じ工程中、その金型タッチ位置に達したことが確認されてから、最終型締め工程に入るようにされている。
その金型タッチ位置は、例えば特開昭62−21517号公報に示されているように、加えられる型締め力から金型タッチ位置におけるトグル式型締め装置のクロスヘッド位置を算出したり、特開昭63−116821号公報に示されているように、可動盤を微力で移動させ、その移動速度がゼロとなるときの位置を検出したりすることによって、あらかじめ求められる。そして、その金型タッチ位置が射出成形機の制御装置に設定される。実際の成形時には、その金型タッチ位置の検出が自動的に行われ、型閉じ工程中、金型タッチ位置に達しないときにはアラームが作動して射出成形機が停止するようにされている。
【0003】
ところで、成形材料の種類や製品の形状などによっては射出成形しにくい場合がある。そのような場合には、圧縮成形法が採用されることが多い。圧縮成形法は、金型を開いた状態でそのキャビティ内に成形材料を入れ、型締めして加圧するというものである。
そのような圧縮成形を行う場合、従来は、専用の圧縮成形機を用いるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、圧縮成形機は単純なものが多く、射出成形機ほど自動化が進んでいない。そのために、量産性に欠けるという問題がある。
射出成形機を用いて圧縮成形することができればよいのであるが、従来の射出成形機では、上述のようにあらかじめ設定されている金型タッチ位置に達しないと型締め工程に進むことができないようにされているので、そのような使い方をすることができない。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、射出成形機を用いて圧縮成形を行うことができるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明による圧縮成形方法では、圧縮成形しようとするときには、射出成形機にあらかじめ設定されている金型タッチ位置より所定量手前の、オペレータにより設定された型閉じ位置を圧縮成形するときの金型タッチ位置とみなして、射出成形機の型閉じ工程中、その設定型閉じ位置に達したとき、射出を行うとともに、その位置から型締めを開始させるようにしている。
また、本発明による射出成形機を用いた圧縮成形装置は、通常の射出成形機に、射出成形と圧縮成形とを切り換える切換手段と、あらかじめ設定されている金型タッチ位置より所定量手前の型閉じ位置を設定する型閉じ位置設定器と、を付加するとともに、前記射出成形機の制御装置に、前記切換手段により圧縮成形に切り換えられたときには、前記型閉じ位置設定器に設定された型閉じ位置をそのときの金型タッチ位置とみなすとともに、その型閉じ位置で射出信号を出力する制御機能を付加したことを特徴としている。
【0007】
【作用】
このように、圧縮成形時には、射出成形機に設定されている金型タッチ位置より所定量手前の設定型閉じ位置をそのときの金型タッチ位置とみなすことにより、型閉じ工程時、金型が少し開いた位置で、金型タッチ位置に達したものとみなされることになる。したがって、その位置で金型のキャビティ内に成形材料を射出し、その位置から型締めを開始させるようにすれば、その材料は、その後の型締め工程において加圧又は加熱加圧される。すなわち、圧縮成形される。
そして、そのような設定型閉じ位置を金型タッチ位置とみなすように射出成形機に設定することにより、金型タッチ位置に達したことが確認されてから最終型締め工程に進むようにされている射出成形機によっても、その位置から自動的に型締めを開始させることができる。こうして、射出成形機による圧縮成形が可能となる。その場合、金型間に異物が挟まっても型締めが行われることになるが、圧縮成形時には射出成形時よりも型締め力は小さくされ、また、金型間に成形材料がはみ出すので、金型の損傷などという問題は少ない。
【0008】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図は本発明による圧縮成形方法を実施する射出成形機を用いた圧縮成形装置の一実施例を示すもので、図1及び図2はその型開き状態、型閉じ状態をそれぞれ示す切り欠き側面図である。
これらの図から明らかなように、この圧縮成形装置は射出成形機1によって構成されている。射出成形機1は、固定型2が取り付けられる固定盤3と可動型4が取り付けられる可動盤5とを備えている。それら固定盤3と可動盤5とは互いに対向するように配置されており、固定盤3は射出成形機1のベッド6上に固定されている。そして、その固定盤3の背面側に、固定型2と可動型4とによって形成される金型キャビティ内に成形材料を射出する射出ユニット7が設けられている。また、ベッド6上には、可動盤5に対して固定盤3とは反対側にエンドハウジング8が設置されている。そのエンドハウジング8と固定盤3とは、一端が固定盤3に固定された4本の平行なタイバー9,9,…を介して互いに連結されている。可動盤5は、それらのタイバー9,9,…により摺動自在に支持されている。こうして、可動盤5は、固定盤3に対して接近あるいは離間する方向に移動し得るようにされている。
エンドハウジング8は、車輪等を介してベッド6上に可動支持されている。そのエンドハウジング8側のタイバー9の端部にはねじが形成されており、そのねじに、エンドハウジング8に対して軸線方向には移動不能に支持されたタイバーナット10が噛み合わされている。そのタイバーナット10は、図示されていない駆動装置によって回転駆動されるようになっている。こうして、タイバーナット10を回転させることにより、エンドハウジング8と固定盤3との間の距離を調整することができるようにされている。
【0009】
エンドハウジング8と可動盤5との間には、可動盤5を移動させるトグル式型締め装置11が設けられている。その型締め装置11は、エンドハウジング8に支持されてタイバー9の軸線方向に移動されるクロスヘッド12と、そのクロスヘッド12により作動されるトグルリンク機構13とを有している。
クロスヘッド12は、エンドハウジング8を貫通するねじ軸14の先端に固定されている。そのねじ軸14は、エンドハウジング8に対して回転は可能であるが軸線方向の移動は不能に取り付けられたボールナット15に噛み合わされている。そのボールナット15にはプーリ16が固着されており、そのプーリ16が、ブラケット17を介してエンドハウジング8に取り付けられている型締めモータ18により、ベルト19を介して回転駆動されるようになっている。
また、トグルリンク機構13は、ピン20を介して互いに回動自在に連結される長リンク21、短リンク22、及びクロスリンク23によって構成されている。その長リンク21の他端は可動盤5にピン連結され、短リンク22の他端はエンドハウジング8のアーム8aにピン連結されている。また、クロスリンク23の他端はクロスヘッド12にピン連結されている。
こうして、モータ18を作動させてボールナット15を正転あるいは逆転させたときには、ねじ軸14の先端のクロスヘッド12がエンドハウジング8に対して進退し、トグルリンク機構13が伸縮して、可動盤5が固定盤3に接近あるいは固定盤3から離間する方向に移動するようにされている。そして、それによって型閉じ、型締め、及び型開きが行われるようになっている。
モータ18には、その回転数に応じたパルス信号を発生するパルスエンコーダ24が取り付けられている。
【0010】
型締め装置11のモータ18は、制御装置25から出力される指令信号により、ドライバアンプ26を介して駆動されるようになっている。その制御装置25は射出成形機1のプロセス制御を行うもので、各種のデータを記憶する記憶部27と、その記憶データやセンサ類から入力される検出値などに基づいて必要な演算を行う演算部28とを備えている。パルスエンコーダ24の出力信号はその演算部28に導入されるようになっている。
演算部28においては、それらの入力データに基づいて必要な演算が行われ、型締め信号発生部29や射出信号発生部30などの各信号発生部を作動させる信号が出力される。モータ18の制御信号は、その型締め信号発生部29から出力されるようになっている。また、射出信号発生部30から出力される射出信号によって射出ユニット7が制御されるようになっている。
【0011】
さらに、この圧縮成形装置には、オペレータによって操作される切換スイッチ31と型閉じ位置設定器32とが設けられている。切換スイッチ31は、射出成形機1の動作を射出成形あるいは圧縮成形のいずれかに切り換える切換手段を構成するもので、圧縮成形が選ばれたときに制御装置25の演算部28に信号が送られるようになっている。また、型閉じ位置設定器32は、圧縮成形時に型締めを開始する固定型2と可動型4との間の距離を設定するもので、その設定データ信号も制御装置25の演算部28に導入されるようになっている。そのデータ信号は、切換スイッチ31からの信号が入力されていないときには無視される。制御装置25には、圧縮成形に切り換えられたときに、型閉じ位置設定器32に設定された型閉じ位置をそのときの金型タッチ位置とみなすとともに、その型閉じ位置で射出信号を出力する制御機能が付加されている。
【0012】
次に、このように構成された圧縮成形装置の作用について説明する。
エンドハウジング8の位置は、使用する金型、すなわち固定盤3に取り付ける固定型2及び可動盤5に取り付ける可動型4の厚さと、要求される型締め力の大きさとによって定められる。そこで、使用する金型が決定されたときには、タイバーナット10を回転させ、エンドハウジング8をその位置に移動させる。そして、従来と同様にして金型タッチ位置を求める。その金型タッチ位置は、クロスヘッド12の位置として制御装置25の記憶部27に記憶される。
この圧縮成形装置を用いて射出成形するときには、切換スイッチ31を射出成形側にセットする。そのときには、切換スイッチ31からの信号が制御装置25の演算部28に入力されないので、制御装置25は通常の射出成形機と同様に動作する。すなわち、成形準備が整うと、型締め信号発生部29から型締め装置11のモータ18を正転させる信号が出力される。モータ18が正転すると、クロスヘッド12がエンドハウジング8から離れる方向に移動するので、トグルリンク機構13が伸長し、可動盤5が固定盤3に向けて移動する。こうして、型閉じ工程が開始される。
その型閉じ工程において、移動するクロスヘッド12の位置はパルスエンコーダ24により監視される。可動型4が固定型2に接触する位置にまで達すると、クロスヘッド12の位置が記憶部27に記憶されている金型タッチ位置と一致するので、演算部28においてそれが判別される。そして、そのときには、型締め信号発生部29からモータ18を低速大出力で駆動する型締め信号が出力される。それによって、トグルリンク機構13の長リンク21と短リンク22とがほぼ直線状となるまでタイバー9が伸ばされ、金型に所定の型締め力が加えられる。
このようにして型締めが完了すると、次いで射出信号発生部30から射出信号が出力される。そして、それによって射出ユニット7が駆動され、成形材料の射出が行われる。成形が完了すると、型締め信号発生部29からモータ18を逆転させる信号が出力され、型開きが行われる。
また、型閉じ工程において、所定の時間が経過しても金型タッチ位置に達しないときは、可動型4と固定型2との間に異物が挟まるなどの異常事態が発生したと考えられるので、アラームが作動され、射出成形機1が停止される。
このようにして、この射出成形機1を用いた圧縮成形装置は通常の射出成形機と同様に動作する。
【0013】
一方、この圧縮成形装置を用いて圧縮成形するときには、まず、型閉じ位置設定器32に、圧縮成形のために必要とされる成形材料充填時の金型間隔、すなわち、図2に示されているように、固定型2と可動型4とが金型キャビティ内に充填された成形材料が流出することのない程度に閉じ、しかも、可動型4を固定型2に向けてさらに移動させることができる程度に少し開いた状態となるような固定型2と可動型4との間の距離を設定する。そして、切換スイッチ31を圧縮成形側に切り換える。すると、制御装置25の演算部28に切換スイッチ31からの信号が入力されるので、その演算部28において、記憶部27に記憶されている金型タッチ位置と設定された金型間隔とから、その金型間隔となるときのクロスヘッド12の位置が算出される。そして、そのクロスヘッド位置が圧縮成形時の型閉じ位置として設定され、その設定型閉じ位置が射出成形のために設定されている金型タッチ位置とみなされる。
この状態で、射出成形時と同様に型閉じ工程を開始させる。すると、クロスヘッド12が設定型閉じ位置に達したとき、演算部28においてそれが検出される。そのときには、図2に示されているように、可動型4は固定型2に接触する前の位置にある。すなわち、クロスヘッド12は金型タッチ位置より手前に位置している。そして、トグルリンク機構13はやや折れ曲がっている。圧縮成形時には、このとき演算部28から射出信号発生部30を作動させる信号が出力される。したがって、射出ユニット7が作動し、加熱された成形材料が金型キャビティ内に射出される。そして、その射出と同時に、あるいは射出の完了時に、型締め信号発生部29から型締め信号が出力される。それによって、モータ18が低速で駆動され、その位置から型締めが開始される。その結果、可動型4が固定型2に向けてさらに移動し、金型キャビティ内の成形材料が加圧される。こうして、圧縮成形が行われる。
成形が終了すると、射出成形時と同様に型開きが行われる。そして、次の成形サイクルに入る。
このようにして、この圧縮成形装置により、圧縮成形が自動的に行われるようになる。
【0014】
圧縮成形後、射出成形を行うときには、切換スイッチ31を射出成形側に切り換えればよい。すると、切換スイッチ31から制御装置25の演算部28に送られていた信号が停止されるので、パルスエンコーダ24によって検出されるクロスヘッド12の位置は記憶部27に記憶されている元の金型タッチ位置と比較される。したがって、金型タッチ位置に達したことが確認されて始めて型締めが行われるようになる。
【0015】
なお、上記実施例においては、射出成形機1がトグル式型締め装置11を有するものとして説明したが、本発明はそれに限られるものではなく、直圧式型締め装置を備えた射出成形機にも適用することができる。
また、クロスヘッド12の位置によって金型タッチ位置や設定型閉じ位置を判別するものとしているが、それを可動盤5の位置に代えることもできる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、射出成形機により圧縮成形しようとするときには、その射出成形機に設定されている金型タッチ位置より手前の設定型閉じ位置をそのときの金型タッチ位置とみなすようにしているので、型閉じ工程中、金型が少し開いた位置に達したときに金型タッチ位置に達したものとみなされることになる。したがって、その位置から型締めを開始させることができ、射出成形機を用いて圧縮成形することが可能となる。そして、それにより、圧縮成形の自動化を図ることが可能となる。
また、射出成形を行うときには、金型タッチ位置とみなされた設定型閉じ位置が元の金型タッチ位置に戻されるので、射出成形時の型締めによる金型の損傷も確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による圧縮成形方法を実施する射出成形機を用いた圧縮成形装置を、その制御ブロックとともに示す型開き状態の切り欠き側面図である。
【図2】 その圧縮成形装置の圧縮成形時における型閉じ状態を示す切り欠き側面図である。
【符号の説明】
1 射出成形機
2 固定型(金型)
4 可動型(金型)
7 射出ユニット
11 トグル式型締め装置
12 クロスヘッド
18 型締めモータ
24 パルスエンコーダ
25 制御装置
31 切換スイッチ(切換手段)
32 型閉じ位置設定器
Claims (2)
- 射出成形時には、型閉じ工程中、あらかじめ設定されている金型タッチ位置に達したとき型締めを開始し、その型締めの終了後、射出を行うようにされている射出成形機を用いた圧縮成形方法であって;
圧縮成形しようとするときには、前記金型タッチ位置より所定量手前の、オペレータにより設定された型閉じ位置を圧縮成形するときの金型タッチ位置とみなして、
射出成形機の型閉じ工程中、前記設定型閉じ位置に達したとき、射出を行うとともに、その位置から型締めを開始させることを特徴とする、
射出成形機を用いた圧縮成形方法。 - 射出成形時には、型閉じ工程中、あらかじめ設定されている金型タッチ位置に達したとき型締めを開始し、その型締めの終了後、射出を行うようにされている射出成形機に、
射出成形と圧縮成形とを切り換える切換手段と、
前記金型タッチ位置より所定量手前の型閉じ位置を設定する型閉じ位置設定器と、
が付加されるとともに、
前記射出成形機の制御装置に、
前記切換手段により圧縮成形に切り換えられたときには、前記型閉じ位置設定器に設定された型閉じ位置をそのときの金型タッチ位置とみなすとともに、その型閉じ位置で射出信号を出力する制御機能が付加されていることを特徴とする、射出成形機を用いた圧縮成形装置。
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JP34091193A JP3942646B2 (ja) | 1993-12-10 | 1993-12-10 | 射出成形機を用いた圧縮成形方法及びその装置 |
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JPH07156277A JPH07156277A (ja) | 1995-06-20 |
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