JP3931423B2 - シート状物のカレンダ処理用試験方法とその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙、板紙、塗工紙、積層シート、フィルム、不織布等のシート状物を高温ソフトニップカレンダ処理する方法及びその装置に関する発明である。
【0002】
【従来の技術】
森林資源保護、ゴミ問題を含む環境負荷軽減の見地から、紙のリサイクル繊維高配合化及び軽量化が必要とされている。古紙のリサイクルにより新たなパルプの使用量を減らすことができ、木材資源等の保護に繋がるからであり、また軽量化により同じ情報量を伝達するのに必要な木材繊維の重量が減り、同様に廃棄物量も減るからである。
【0003】
ただし、このようなリサイクル繊維高配合化及び軽量化に際しては、一般的に紙の嵩が減り、強度、光学的性質、印刷適性などの品質の劣化も避けられないとされている。従来これらの問題に対しては、プレスやカレンダなどの抄紙機械の改良及び製造条件の検討、薬品添加、填料内添又は外添塗工などにより、改善が試みられてきた。
【0004】
特に、以下に述べる特徴により、欧米では最近の殆どのリサイクル繊維を用いる新設抄紙機には、従来の金属製ロールによる、ハードニップカレンダに替え、金属又はセラミックス等の硬質材料からなる硬質ロールと樹脂被覆弾性ロール(以下樹脂ロールともいう)を備えた高温ソフトニップカレンダが付設されている。
【0005】
▲1▼瞬間的に紙表面を加熱することにより表面だけ可塑化し、かつ樹脂ロールの弾性変形に伴う広いニップ幅で加圧するため、嵩を損なうことなく平滑化できる。
▲2▼ハードニップカレンダの場合は、紙層全体を潰してしまうので、質量が高いところが平滑(高密度)になり、印刷品質低下の原因になる。ソフトニップでは、質量の変動している部分に沿って潰すので印刷品質低下が小さい。
▲3▼上記と同様の理由で、ハードニップカレンダに比較して強度低下が小さい。
【0006】
【発明が解決しようとする問題点】
しかし、これらの知見は、実際の抄紙機及びパイロット装置で得られたものであり、試料としては長大な巻取り紙を用いた場合に限られる。上記のリサイクル繊維は、通常、不特定のパルプ、填料、及び薬品の集合体であり、一般的にはその特性を把握するには、手抄きシートによることが多いので、リサイクル繊維シートの特性に及ぼす高温ソフトニップカレンダ処理の効果については、十分な知見が得られていない。
【0007】
また、リサイクル繊維に限らず、他の原料での手抄きシート、またコート紙研究開発における手塗り試料、フィルムなど、小面積の試料で高温ソフトニップカレンダ処理の効果について知見を得たい場合があるが、上記のような実機あるいはパイロット装置では実験は不可能である。
【0008】
本発明は、上記のような小面積のシート状試料に対しても、高温ソフトニップカレンダ処理を行い、またその処理条件も種々容易に変更できる原理、及びこの原理を用いた装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく弾性接触理論によりカレンダ装置のスケーリング(スケール・ダウン又はスケール・アップ)方法を鋭意検討した結果、従来、ロールとロールの組合せでのみ可能だったソフトニップカレンダ処理が、ロールと平面でも可能であることを見出し、又この原理を用いることにより小面積の試料で高温ソフトニップカレンダ処理の実験が実現できることも分かり、本発明に至った。
【0010】
即ち、高温ソフトニップカレンダ装置のスケーリング方法に当たっては、一般には、ニップ力学理論とニップ内の熱移動を議論により行われている(例えば、Lyons ら、Proceedings of TAPPI Finishing and Converting meeting, p5,1990, TAPPI,USA)。特にニップ力学理論では、数学上無限とみなせる2固体間の接触に関する理論であるHertz によるニップモデル式が最も用いられている。以下に、Hertz によるニップモデル式を説明する。
【0011】
スーパーカレンダのコットンロールのようなソフトロールとチルドカレンダロールのハードロールのような2本のシリンダーの接触におけるニップ幅は次式で計算できる。
【数1】
W=1.6×[ PDE (1−σ2 )/E] 1/2 (1)
【0012】
ここで、Wはニップ幅、Pは線圧、Eはソフトロールの弾性率、σはソフトロールのポアソン比である。DE は相当直径(平面と接触するシリンダーの等価相当径)と呼ばれ、下記の(2)式により決定される。
【数2】
DE =DS ・DH /(DS +DH ) (2)
【0013】
ここで、DS 、DH はそれぞれ樹脂ロール(ソフトロール)と熱ロール(ハードロール)の直径である。
【0014】
最大ニップ圧(ニップの中央部)は次式により計算される。
【数3】
PMAX =2.51×[PE/DE (1−σ2 )] 1/2
=2.51×[PEE /DE ] 1/2 (3)
ここで、EE は等価相当弾性率を示す。
【0015】
実機スケールの処理条件を、パイロット装置のような小スケールにスケールダウンするためには、これらのスケール間の通過時間とニップ圧を一定値にする必要がある。Hertz 式を更に展開し整理すると、次式に示す比例関係が得られ、パラメータを一定にするために必要となるウエブ速度と線圧を正確に算出することができる。
【0016】
【数4】
P1 /P2 =(DE1/DE2)×(EE2/EE1)
V1 /V2 =(DE1/DE2)×(EE2/EE1) (4)
P1 /P2 =V1 /V2
ここで、下付きの数字1、2は2つのスケールを表しており、例えばV1 およびV2 は、2つのスケールでのウエブ速度を示す。
【0017】
(4)式は、パイロット装置のロールの等価相当径が実機より小さい場合は、ウエブ速度と線圧も比例して小さくしなければならないことを示しており、スケールダウンにより、ウエブ速度と線圧は実機に合わせられるが、上記モデル式に入っていない他のパラメータ、例えばロールからのウエブの剥離角やウエブへの熱伝導速度は実機と異なる。
【0018】
従って、パイロット装置の等価相当径が実機と大きく異なる場合は、同じ原紙で実験を行っても結果が異なる場合が多い。即ち、パイロット装置においてもロールの等価相当径は可能な限り実機のロール径に近づけることが望ましい。
【0019】
本発明に係わる方法は、ロールの一方の半径を無限大、すなわち平面とすることによって、これと同じ直径のロールを一対(2本)用いる通常の場合よりロールの等価相当径が大きくなることを特徴としている。
【0020】
すなわち、一対のロールを用いる場合で、簡単のため樹脂ロールと熱ロールの直径が等しいとし、その直径をDとすると、この場合の等価相当径は(2)式より、
【数5】
DE =DS ・DH /(DS +DH )=D/2
一方、樹脂ロールを平面とし、熱ロールのみ前記の一対ロールと同じ直径を用いると(2)式を変形して、
【数6】
よって、一方のロールを平面に置換えることにより一対ロールの場合の等価相当径の2倍の相当径になることが分かる。このことは、元来実機は一対ロールであるので、一方を平面とすることによって、本発明におけるロール径が実機のロール径の1/2であっても完全に実機条件を再現できることを示すものである。
【0021】
以下、本発明による装置を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のカレンダ装置である。図において、1はシート状の試料、2は搬送板で、平坦な板状をなしている。3は合成樹脂等の弾性体からなる弾性板であり、試料1は、この弾性板3上に固定されて処理される。
【0022】
弾性板3の材質は、カレンダ処理する対象物が、紙、フィルム等の場合は、紙、フィルム等の高温ソフトニップカレンダ装置の樹脂ロールに用いられるものと同じ材料特性のものを用いる。具体的に、ショア硬度が、60〜99shore−Dの範囲、又は引張り弾性率が0.3〜11Paの範囲のいずれかの範囲に属する合成樹脂等からなるものであるか、或いは上記両方の範囲に属する合成樹脂等からなるものである。
【0023】
4及び5のロールは対になっており、4は、ロール表面の曲面部分が、金属又はセラミックスのごとき硬質の材料からなる表面平滑なロールであり、具体的には、硬質クロムメッキした肉厚の鋼板で、その表面を鏡面仕上げしたものを挙げることができる。5は硬質回転ロールであり、ロール表面の曲面部分が、例えば肉厚の鋼板からなり、上部から400kg/cm程度の線圧で加圧しても変形しない構造のものである。
【0024】
硬質ロール4は、例えば、カレンダ処理する対象物が、紙、不織布、フィルム等の場合、ロール表面温度を、常温から、少なくとも摂氏250までの温度範囲で任意の温度に設定し、かつその温度を保持できるよう、加熱装置を内蔵しているか、又は外部の熱供給源から熱供給を受けられる構造になっている。硬質ロール4の表面温度は、上記範囲の任意の温度に設定し、保持できるよう、自動制御装置により制御されていることが望ましい。
【0025】
また、加熱したロールの表面温度を必要に応じて下げることのできるよう、加熱装置とともに冷却装置も設けておくことが望ましい。連続して多数の試料をカレンダ処理する場合、硬質ロール4は、大きな熱容量を必要とするから、硬質ロール4の加熱には、通常、熱源として、加熱した油を外部加熱装置から導入する方式が採用されることが多い。
【0026】
硬質ロール4の表面温度が、設定した温度範囲を越えたり、逆に下がったりした場合、硬質ロール4の熱容量が大きい場合、冷却装置がないと、それを元の温度に戻すのに時間かかるから、結果的に温度コントロールの精度がよくないことになる。また、硬質ロール4の表面温度をいろいろに変えて、実験を行う場合、冷却装置がないと、所定の温度になるまでに時間がかかり、能率が悪いからである。勿論、硬質ロール4の表面温度制御方法は、上記方法に限らず、公知のどのような方法でもよい。
【0027】
硬質ロール4の直下には、硬質の回転ロール5が硬質ロール4と平行に設置されており、硬質ロール4と等しい周速で硬質ロール4と逆方向に回転可能となっている。また、両ロールの間隔を調整できるよう、ロール間隔調整装置が設けられている。
【0028】
試験に付される試料1は、搬送板2上に固着された弾性板3上に固定され、搬送板2、弾性板3とともに、加熱された硬質ロール4と硬質回転ロール5との間を通過させることにより、熱圧されて、カレンダ処理が施される。試料1は、専用の治具、又は粘着テープ等により、弾性板3の表面に固定されている。固定形態は、必ずしも試料1の全面を固定するは必要なく、例えば、給紙側始端部のみでもよい。要するに、試料1が、搬送板2、弾性板3とともに、加熱された硬質ロール4と硬質回転ロール5との間(以下、ロール間加圧部という)を通過する間に、試料1が弾性板3との間でスリップしない固定形態であればよい。
【0029】
高温ソフトニップカレンダ処理においては、ロール間加圧部において、様々な加熱条件および加圧条件を設定することができる加圧装置が必要である。加圧装置は、硬質ロール4又は硬質回転ロール5のいずれか一方、或いは両方のロールの位置を移動させ、互いに平行を保ちつつその間隔を調整することにより、加圧力を設定するものであるから、上述のロール間隔調整装置を兼ねることができる。
【0030】
図中、6は加圧装置の一例である。加圧装置は、例えば、実機と同様、油圧又は空気圧シリンダー等により、硬質ロール4又は硬質回転ロール5の軸を上下移動させ、硬質回転ロール5との間隔を調整する。加圧装置には、圧力表示装置が付属しており、これにより加圧力を知り、ロール間加圧部における線圧を設定できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明は、大型の実機に代えて、上記に述べた小型の装置より、小面積のシート状試料を様々な処理条件で高温ソフトニップカレンダ処理の試験を行おうとするものである。
【0032】
本発明による装置は、実施例に示すように、樹脂ロールは不要で、硬質ロール4の径は、実機の半分以下であるが、通紙速度は、装置が小型である割には早い速度である。従って、試料1と弾性板3を固定した搬送板2を、直接、硬質ロール4と硬質回転ロール5との間に通すと、先端部が硬質ロール4又は硬質回転ロール5に接触した瞬間に、スリップしたり、瞬間的にロールの回転速度が低下し、処理速度が落ちる恐れがある。
【0033】
従って、そのため、例えば、図2の如く、ロール間加圧部の入り口手前に、硬質ロール4又はその直下の硬質回転ロール5と等しい周速で回転する加速ロール9を設け、試料を加速ロール9により加速してから、硬質ロール4と硬質回転ロール5との間に通すことが望ましい。加速装置は、図2のようなロールでなくとも、送り速度が硬質ロール4又は硬質回転ロール5とほぼ等速のベルトコンベヤ等の他の搬送手段でもよい。但し、搬送板2上の試料1に接触する搬送手段であると、カレンダ処理の効果に影響を及ぼすので、試料1に接触しない搬送手段を選定することが望ましい。例えば、上下2本の送りロールの間に挟んで加速する場合、上側のロールは、搬送板2上であって試料1が固定されていない両脇部分のみに接触するよう、ロールの縦断面の中央部を凹ませた形状にする等の工夫を要する。
【0034】
また、硬質ロール4と硬質回転ロール5のロール間加圧部の出口後方においては、試料1を固定した搬送板2が急速で飛び出してくるから、搬送板2の制動措置を設けておくことが望ましい。制動装置の一例を示せば、図2に示すような、減速ロール10又は、衝撃吸収装置11等を挙げることができる。例えば、減速ロール10の場合、先に述べた加速ロール9と同様に、ロールの縦断面の中央部を凹ませた形状とし、搬送板2上の試料1に接触せずに搬送板2の両脇のみに接触して、搬送板2を制動できるようにすることが望ましい。そして、ロール表面は、ゴムのような摩擦係数の大きな材質のもので被覆し、ロールの軸受け部に制動機能を持たせたものを挙げることができる。制動装置の他の形態としては、ロール間加圧部の出口後方のガイド板を、先に行くほどバネ等により徐々に狭くし、搬送板2の側面の摩擦抵抗により制動する方法も挙げられる。
【0035】
硬質ロール4及び硬質回転ロール5は、少なくともいずれか一方が回転駆動装置に連結されており、駆動回転する。駆動回転するロールが一方のみの場合、試料面と弾性板3との間、或いは硬質回転ロール5と搬送板2との間等でスリップする恐れがあるから、両ロールとも駆動回転することが望ましい。スリップの心配がなければ、硬質ロール4又は硬質回転ロール5のいずれか一方を自由回転とし、回転駆動装置と連結させなくてもよい。
【0036】
紙、フィルム等にカレンダ処理を行う場合、加圧力、硬質ロール4の表面温度に加えて、試料1の走行速度も、カレンダ処理の効果に影響を与えるから、硬質ロール4又は硬質回転ロール5の周速を一定値に設定する装置も必要である。この装置は、回転駆動装置と連結している硬質ロール4又は硬質回転ロール5の周速を測定する装置と、その測定値を回転駆動装置の変速機、又は原動機等の駆動源に伝え、硬質ロール4又は硬質回転ロール5の周速を設定した速度に調整する装置で、速度制御が必要な機械にごく普通に用いられているものでもよいし、硬質ロール4又は硬質回転ロール5に周速計を取り付け、周速計により周速を知り、作業者が手動で変速機を調整し、設定した周速に合わせてもよい。
【0037】
処理対象物が、紙、不織布又はフィルム等の場合、硬質ロール4の表面温度は、常温から少なくとも摂氏250度の範囲まで設定できるものがよい。紙、不織布、フィルムのカレンダー処理の場合、通常、実機では、硬質ロール4を摂氏60度から摂氏250度の範囲で過熱して範囲で用いるからである。
【0038】
同じく、処理対象物が、紙、不織布又はフィルムの場合、弾性板3の材質は、通常、ショア硬度が60〜99Shore−Dの範囲内のものを用いるか、或いは、引っ張り弾性係数0.3〜11GPaの範囲内のものが通常用いられる。これ以上硬度が低いものを用いると、実機の場合、加熱したロールとの接触により樹脂ロール寿命が短くなるので、通常は用いられない。また、上記以上に硬度の高いものは、ソフトニップカレンダー処理の効果が低いので、通常は用いられない。
【0039】
本発明の装置は、加熱温度、線圧、弾性板3の硬度等につき、様々な条件を設定して、カレンダー処理試験を行うことも目的としているから、実機で用いられている上記温度範囲や弾性板3の硬度に拘る必要はない。少なくとも、最小限実機で実施されている範囲と同じ条件は設定できるようにしておく必要がある。
【0040】
よって、加熱温度、弾性板3の硬度と同様に、線圧も実機で用いられる最高値400kg/cmよりも大きな線圧を設定でき、硬質ロール4又は硬質回転ロール5の周速も、20m/分から少なくとも2000m/分程度までは設定できる構造にすることが望ましい。
【0041】
弾性板3の厚みは、試料が硬質ロール4と回転ロール5との間を通過するときに、厚み方向に収縮するとともに、水平方向に伸びる。従って、弾性板3の厚みが薄すぎると必要な線圧をかけたときに、搬送板2との固着が解けてしまったり、解圧後、直ちに元の厚みに復元できない恐れがあるので、十分な厚みが必要である。
【0042】
弾性板3は、搬送板2に固着又は固定しておくことが望ましいが、必要な線圧をかけたときに、両者の間でスリップしなければ、必ずしも固着又は固定しておく必要はなく、単に搬送板2の上に、弾性板3を載せるだけでもよい。
【0043】
搬送板2は、硬質ロール4と硬質回転ロール5との間を通した時に、曲げられたり、圧縮により厚み減り等の歪みが生じないような材質のものでなければならない。例えば、厚い硬質プラスチック製の平板のごとく、剛性が高く、弾性板3に比べて圧縮弾性係数が格段に大きな硬質材料を挙げることができる。
【0044】
硬質回転ロール5も同様に、曲面部分の表面が肉厚な金属製シリンダーのごとき、加圧しても歪みが生じないような硬質材料からなるものでなければならない。また、硬質回転ロール5の表面と搬送板2裏面との間でスリップしないよう、硬質回転ロール5の表面又は搬送板2裏面のいずれか一方或いは両方に細かい網目溝を設けておく等のスリップ対策を施しておくことが好ましい。
【0045】
本発明の方法及びその発明を実施するための装置は、主としてソフトニップカレンダ処理の試験に用いるが、処理対象が紙のごとく長尺でなく、短尺で平板状のものの場合は、当然試験だけではなく、実際の生産工程におけるソフトニップカレンダ処理にも用いることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、実験室レベルの小規模スケールで実機スケールの高温ソフトニップカレンダ処理の再現が可能であり、又試料の形態及び大きさが任意なので、従来不可能であった手抄きシート、手塗り試料等、小紙片での実験が極めて容易に実施できる。
【0047】
本発明により、高温ソフトニップカレンダ処理に及ぼす種々の原料や薬品の効果が広範囲に検討されれば、例えば、嵩高の紙、すなわち厚さ当たりの質量が小さい紙の開発が可能となり、結果として森林資源・環境保護に貢献するところが極めて大きい。
【0048】
また、本発明においては、ロール間に試料を通すのではなく、平面状の搬送板2にシートを固定してロールによって加熱、加圧できるので、如何なる形状及び大きさのシート状の紙片でもカレンダ処理が可能である。すなわち、本発明によれば、手抄きシート、またコート紙研究開発における手塗り試料、フィルムなど、小面積の試料で高温ソフトニップカレンダ処理の効果について知見を得ることが可能である。
【0049】
カレンダ処理の試験においては、弾性体である樹脂の材質、硬度、厚さ、層構成等を様々に変えて試験が行なわれ、その試験により得られた結果が実機の改良に応用されているが、従来方法では、弾性体である樹脂を変える場合、その都度、樹脂をロールに被覆しなければならないため、上記試験を行うのが容易でない。
【0050】
本発明においては、搬送板2に固定し、又は載せる弾性板3を極めて容易に交換できるので、カレンダ処理における弾性板3の材質、硬度、厚さ、層構成等の影響を検討する試験も極めて容易に実施できる。
【0051】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例に従って具体的に説明する。
【0052】
図2は、本発明の装置を示す図面であり、基台7に回転駆動装置(図示せず)と連結した硬質ロール4と、その直下に曲面部分が肉厚の金属シリンダーからなる自由回転する硬質回転ロール5が設けられている。硬質ロール4と硬質回転ロール5との間の間隔を調整し、且つ加圧力を設定できるよう、硬質ロール4の軸は、油圧シリンダー軸に連結されている。
【0053】
硬質回転ロール5の前方、即ち、試料を投入する側には、硬質回転ロール5又は硬質ロール4と等しい周速で回転する加速ロール9が設けられており、処理された試料の出口側には、制動機能を備えた減速ロール10が設けられてる。また、基台7の上面には、加速ロール9、硬質回転ロール5及び減速ロール10のいずれの頂点よりも低い摺動面が設けられ、該摺動面両脇には摺動面よりも高いガイド板が設けられている。さらに、基7の台最後部には、衝撃吸収装置11として、発泡ウレタンからなる緩衝板11が取り付けられている。
【0054】
試料1及び弾性板3を固定する搬送板2は、その先端を加速ロール9上に投入され、加速されて、加熱された硬質ロール4と自由回転する硬質回転ロール5との間を通過するときに、熱圧締され、その後、減速ロール10により、制動・減速されて、緩衝板11に衝突し、停止する。摺動面及び、ガイド板は、試料を真っ直ぐに走行させるためのものである。
【0055】
弾性板は、エラグラスZE−91(製造者:金陽社)で、その材質は、ポリエステル樹脂であり、実機の樹脂ロール表面の弾性体としてごく普通に使用されているものと同質のものである。
【0056】
硬質ロール4の表面の曲面部分の材質は、硬質クロームメッキ鋼板を鏡面仕上げしたものであり、ロール径その他は、表1記載のとおりである。
【0057】
以下に、本発明に係る上記装置を用いて、紙シートを高温ソフトニップカレンダ処理した実施例を示す。試料は、NBKP15%、DIP85%を原料とし、ベルベII型ツインワイヤ抄紙機によって坪量43g/m2 の新聞用紙原紙を抄造したものである。
【0058】
また、試料について、従来法であるパイロット・ソフトニップカレンダ装置、実機のソフトニップカレンダ装置を用いて、高温ソフトニップカレンダ処理した例を参考例として示す。ロール径、硬質ロール4の表面温度、線圧等の処理条件は、表1記載のとおりである。
【0059】
図3に、上記種々のニップ圧でそれぞれの実験により得られた試料の厚さとプリントサーフ粗さの関係を示す。
【0060】
図3における、試料の各特性値は、下記の測定方法により得られた値を用いた。
(1) 紙の厚さ;JIS P8118の方法による。
(2) プリントサーフ粗さ;ISO8791の方法による。
【0061】
図3において、本発明に基づく装置及び実機のソフトニップカレンダ装置によるカレンダ処理効果はほぼ一致し、実機のソフトカレンダ装置による高温ソフトニップカレンダ処理を再現していると考えられる。一方、従来法である小径のパイロット・ソフトニップカレンダ装置ではニップ圧が高い場合、すなわちプリントサーフ粗さが低い場合には、紙厚が実機ソフトニップカレンダより低くなっており、実機のソフトニップカレンダ装置による高温ソフトニップカレンダ処理を完全に再現しているとは言えない。
【0062】
また、図3においては、同じ原紙に澱粉を片面塗布量として0.5g/m2 だけ手塗り塗布し、本発明に基づく装置にて高温ソフトニップカレンダ処理を行った結果も図示してあるが、このような実験も本発明に基づく装置のみで実施できることである。
【0063】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置を示す説明図である
【図2】本発明の装置の示す説明図である
【図3】実施例と参考例の処理方法による結果を比較したグラフである
【符号の説明】
1 試料
2 搬送板
3 弾性板
4 硬質ロール
5 硬質回転ロール
6 加圧装置
7 基台
8 ガイド板
9 加速ロール
10 減速ロール
11 衝撃吸収装置
Claims (3)
- 1.試料(1)を平板状の弾性板(3)に固定し、前記弾性板(3)を剛性のある硬質材料からなる平板状の搬送板(2)上に固着若しくは固定し、又は前記搬送板(2)上に載せ、
2.上記搬送板(2)を、加熱された硬質材料からなる硬質ロール(4)と硬質材料からなる硬質回転ロール(5)との間を、試料(1)を上記加熱した硬質ロール(4)に接触させつつ且つ上記2ロール間で加圧しながら通過させることを特徴とする紙、不織布、フイルム等のシート状物のソフトニップカレンダ処理用試験方法。 - 1.硬質材料からなる硬質ロール(4)と、硬質材料からなる硬質回転ロール(5)とを設置した基台(7)と、シート状物を固定する平板状の弾性板(3)と該弾性板(3)を載せて搬送する剛性のある硬質材料からなる平板状の搬送板(2)とからなり、
2.上記硬質ロール(4)に、内部又は外部から加熱し、ロール表面温度を常温から少なくとも摂氏250度までの任意の温度に設定・保持できる温度制御装置が付属され、
3.上記硬質ロール(4)と硬質回転ロール(5)との間に少なくともゼロから400kg/cmまでの線圧を加えることのできる加圧装置が付属され、
4.硬質回転ロール(5)が、20m/分から少なくとも2000m/分までの周速で駆動回転するか、或いは硬質ロール(4)と硬質回転ロール(5)が、互いに逆方向に上記周速で等速駆動回転することを特徴とする紙、不織布、フイルム等のシート状物のソフトニップカレンダ処理用試験装置。 - 弾性板(3)が、ショア硬度60〜99shore−Dの範囲の弾性板であるか、又は、引張り弾性率0.3〜11GPaの範囲の弾性板であることを特徴とする請求項2に記載のソフトニップカレンダ処理用試験装置。
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