JP3930581B2 - 水溶性単量体およびその製造方法 - Google Patents

水溶性単量体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素−炭素不飽和二重結合とカルボキシル基とを有し、重金属イオンの捕捉に用いられる重合体を製造するために用いられる水溶性単量体、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、洗剤組成物、分散剤、凝集剤、スケール防止剤、キレート試薬、繊維処理剤、木材パルプの漂白助剤、pH調整剤及び洗浄剤等の用途で種々の有機系キレート剤が使用されている。
有機系キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸塩;ニトリロ三酢酸塩;マレイン酸の単独重合体または共重合体、アクリル酸の単独重合体または共重合体などのカルボン酸系重合体等が挙げられる。エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩は、重金属イオンを効果的に捕捉する能力が比較的高いことで知られている。また、カルボン酸系重合体は、無機粒子に対する優れたキレート作用及び分散作用を示すことが知られており、広範囲にわたり使用されている。
【0003】
他方、特開昭56−61471号公報、米国特許第4172934号明細書、同第4157418号明細書には、不飽和二重結合を形成している炭素原子にアミド結合とアルキレン基またはフェニレン基を介して1個または2個以上のカルボキシル基を導入した単量体が記載されている。これらの単量体は、これらは何れもアクリロイルクロライドあるいはメタクリロイルクロライドとアミノ酸とを反応して得られるアミド化合物である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩は、単位重量当りでみると、多量の金属を捕捉することが出来ず、各種用途分野で要求される無機粒子の分散力も全く不十分である。
前記カルボン酸系重合体は、カルボキシル基が主鎖の炭素原子に直接結合した構造を持つため、カルボキシル基の自由な回転が阻害され、金属イオンの捕捉能力は充分ではない。特に重金属イオンの捕捉能力は不十分である。
【0005】
また、前記アミド化合物は、主鎖から離れた位置にカルボキシル基を有する重合体を生成しうる。しかし、この重合体は、主鎖の近傍に存在するカルボン酸密度(主鎖に直接またはメチレン基を介して結合しているカルボキシル基の密度)が著しく低いため、金属イオンの捕捉能力が低いという問題点を有する。
従って、各種用途分野で有用なキレート剤、即ち、水溶性を備え、無機粒子の分散力に優れ、重金属イオンを捕捉する能力が高く、且つ、単位重量当りの金属イオンの捕捉量が多い化合物が切望されている。
【0006】
本発明の課題は、上記優れた能力を備えた化合物の原料として好適に用いられる、すなわち、単位重量当りの重金属イオンの捕捉量が多い重合体を製造するために好適に用いられる水溶性単量体およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の水溶性単量体は、下記一般式(1):
【0008】
【化3】
Figure 0003930581
【0009】
(式中、RはCOOXを表し、RはHを表し、RはCOO 表し、 、X およびXは互いに独立にH、Na、KまたはNHを表す。但し、RとRは同時にHとはならない。)
で表される化合物である。
【0010】
本発明の水溶性単量体の製造方法は、アスパラギン酸とカルボキシル基の一部もしくは全部が中和されているアスパラギン酸塩とからなる群より選ばれた少なくとも1つの、カルボキシル基を含有するアミン化合物と、無水マレイン酸、無水イタコン酸および無水アコニット酸からなる群より選ばれた少なくとも1つの、環状の酸無水物とを水溶液中で反応させて炭素−炭素不飽和二重結合とカルボキシル基とを有する、下記一般式(2)の水溶性単量体を得る工程を含む、ことを特徴とする。
【化3】
Figure 0003930581
(式中、R 、R およびR は、つぎの3つの組み合わせからなる。すなわち、
がCOOX 、R がH、R がCOOX である組み合わせ、
がH、R がCH COOX 、R がCOOX である組み合わせ、および、
がCOOX 、R がCH COOX 、R がCOOX である組み合わせ、
である。そして、式中、X 、X 、X およびX は互いに独立にH、Na、KまたはNH を表す。)
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者は、上記優れた能力を備えた化合物の原料として好適に用いられる水溶性単量体および製造方法を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、上記一般式(1)で表される特定の構造を有する単量体が、上記能力を備えた化合物、即ち、水溶性を備え、無機粒子の分散力に優れ、重金属イオンを捕捉する能力が高く、且つ、単位重量当りの金属イオンの捕捉量が多い重合体を製造する際の原料として好適に使用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明の水溶性単量体は、上記一般式(1)において:
(i) R1 がCOOX1 であり、R2 がHであり、R3 がCOOX3 である化合物;
(ii) R1 がCOOX1 であり、R2 がHであり、R3 がOHである化合物;
(iii) R1 がCOOX1 であり、R2 がHであり、R3 がCH2 COOX4 である化合物;
(iv) R1 がHであり、R2 がCH2 COOX2 であり、R3 がCOOX3 である化合物;
(v) R1 がHであり、R2 がCH2 COOX2 であり、R3 がOHである化合物;
(vi) R1 がHであり、R2 がCH2 COOX2 であり、R3 がCH2 COOX4 である化合物;
(vii) R1 がCOOX1 であり、R2 がCH2 COOX2 であり、R3 がCOOX3 である化合物;
(viii)R1 がCOOX1 であり、R2 がCH2 COOX2 であり、R3 がOHである化合物;または、
(ix) R1 がCOOX1 であり、R2 がCH2 COOX2 であり、R3 がCH2 COOX4 である化合物;
である。化合物(i) 〜(ix)ではいずれも、X1 、X2 、X3 およびX4 はいずれも、互いに独立に、H、Na、KまたはNH4 であることができる。
【0013】
本発明の水溶性単量体は、各種用途分野で有用なキレート剤の原料、即ち、水溶性を備え、無機粒子の分散力に優れ、重金属イオンを捕捉する能力が高く、かつ、単位重量当たりの金属イオンの捕捉量が多い化合物、重合体を製造するための好適な原料となる。
本発明の、水溶性単量体の製造方法によれば、アミン化合物と環状の酸無水物とを反応させて炭素−炭素不飽和二重結合とカルボキシル基とを有する水溶性単量体が得られる。
【0014】
アミン化合物は、カルボキシル基を含有する第一アミン(以下では、単に「第一アミン」と言うことがある)と、カルボキシル基の一部または全部が中和されている第一アミン塩(以下では、単に「第一アミン塩」と言うことがある)とからなる群から選ばれる少なくとも1つである。第一アミンとしては、特に限定はされないが、たとえば、アスパラギン酸、セリン、グルタミン酸、アラニン、フェニルアラニン等が挙げられる。第一アミン塩としては、これらの第一アミンの有するカルボキシル基の一部または全部が、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、有機アミン類の塩、または、これらの塩の2以上の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である化合物である。第一アミンおよび第一アミン塩は、それぞれ、一種類のみを用いてもよいし、あるいは、二種類以上を併用してもよい。
【0015】
環状の酸無水物は、炭素−炭素不飽和二重結合を有するものであり、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの不飽和ポリカルボン酸の無水物であれば特に限定はされない。環状の酸無水物としては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、1−プロペン1,2ジカルボン酸無水物等が挙げられる。酸無水物は、一種類のみを用いてもよいし、あるいは、二種類以上を併用してもよい。経済的有用性からは、酸無水物は無水マレイン酸が最も好ましい。
【0016】
上記例示化合物のうち、第一アミン塩としては、特にアスパラギン酸ナトリウム塩が好ましく、酸無水物としては、特に無水マレイン酸が好ましい。アスパラギン酸ナトリウム塩と無水マレイン酸とのアミド化反応では、非常に高収率で水溶性単量体が得られ、且つ、得られた水溶性単量体を重合させて得られる重合体の物性も非常に優れている。
【0017】
アミン化合物と、炭素−炭素不飽和二重結合を有する環状の酸無水物との反応は水溶液中で行われる。反応条件は特に限定されないが、酸無水物の加水分解、アミン化合物の不飽和二重結合へのマイケル付加等の副反応を抑制し、得られた水溶性単量体が加水分解するのを抑え、さらには、水溶性単量体を高収率で得るためには、以下に示す条件が好ましい。
【0018】
好ましくは、前記水溶液が塩基性であり、アミン化合物と酸無水物とを前記水溶液中で冷却下に反応させることである。
反応温度は25℃以下が好ましく、10℃以下が最も好ましい。これは、高温であるほど酸無水物の加水分解、アミン化合物の不飽和二重結合へのマイケル付加が速やかに進行するからである。
【0019】
反応pHは、塩基性側である7〜13の範囲が好ましく、8〜13の範囲が最も好ましい。pHの調節は、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)などを水に加えることにより行うことができる。なお、pHの調節は酸無水物を添加する前に行うのが好ましい。pHが7未満である酸性側ではアミノ基がカチオン化されて遊離しておらず、水溶性単量体の収率が著しく低下するおそれがある。また、過剰の塩基が存在すると得られた水溶性単量体が加水分解を受けてアミン化合物と不飽和多価カルボン酸(または塩)に分解され易くなる。この不飽和多価カルボン酸(塩)はアミン化合物と水溶液中で反応しないため、水溶性単量体の収率が著しく低下するおそれがある。
【0020】
より好ましくは、アミン化合物が溶解されたpHが7〜13で25℃以下に冷却された水溶液(アミン化合物が溶解されたpHが7〜13で10℃以下に冷却された水溶液、アミン化合物が溶解されたpHが8〜13で25℃以下に冷却された水溶液、アミン化合物が溶解されたpHが8〜13で10℃以下に冷却された水溶液の順により好ましくなる)中に、攪拌下に、環状の酸無水物を徐々に(好ましくは10分以上に渡って、最も好ましくは30分以上に渡って)、連続的にあるいは断続的に定量的に添加することである。酸無水物を水に加えてからアミン化合物を添加したり、酸無水物をアミン化合物と同時に水に加えたり、あるいは、pH7〜13で25℃以下のアミン化合物水溶液に酸無水物の全量を10分未満で添加したりすると、酸無水物が加水分解を受け易くなって単量体の収率が著しく低下することがあるため好ましくない。
【0021】
反応濃度は特に制限されないが、酸無水物の加水分解を抑え、反応を促進させるために、高濃度である方が良く、アミン化合物と環状の酸無水物の合計量が固形分で30重量%以上が好ましく、40重量%以上が最も好ましい。
アミン化合物と環状の酸無水物の添加比率は任意で良い。
アミン化合物に対して、過剰の酸無水物を添加することで、アミン化合物の転化率を100%あるいはほぼ100%に近い値にすることができる。酸無水物がアミン化合物に対して過剰であるとは、等モルよりも多いことを言う。酸無水物の過剰量は任意とすることができる。酸無水物を過剰に使用した場合、反応混合物は、得られた水溶性単量体と残存する酸無水物とを含む。この酸無水物は、反応混合物から除去してもよいし、反応混合物中に残しておいてもよい。酸無水物を含む反応混合物を重合に用いると、水溶性単量体と酸無水物との共重合体が生成する。
【0022】
また、添加する酸無水物に対して過剰のアミン化合物を予め水に溶解しておくことで、酸無水物の転化率を100%あるいはほぼ100%に近い値にすることができる。アミン化合物が酸無水物に対して過剰であるとは、等モルよりも多いことを言う。アミン化合物の過剰量は任意とすることができる。アミン化合物を過剰に使用した場合、反応混合物は、得られた水溶性単量体と残存するアミン化合物とを含む。このアミン化合物は、反応混合物から除去してもよいし、反応混合物中に残しておいてもよい。いずれにして、酸無水物が全くまたはほとんど残存せず水溶性単量体を含む反応混合物を重合に用いると、水溶性単量体の単独重合体を製造することができる。過剰のアミン化合物は、重合体製造後、透析など従来既知のアミン化合物除去方法により、重合の反応混合物から除くことができる。
【0023】
前記一般式(1)中の置換基X1、X2、X3、またはX4は互いに独立に、H、Na、KまたはNH4 で構成される。たとえば、前記アミン化合物と前記酸無水物とを反応して得られる反応混合物には、置換基X1、X2、X3、およびX4がいずれもHである水溶性単量体が含まれている。該反応混合物に、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニア水溶液などを添加し混合することにより、置換基X1、X2、X3、またはX4が互いに独立に、Na、KまたはNH4 で構成される、部分中和または完全中和された水溶性単量体を容易に得ることが出来る。なお、置換基を変えるための処理法はここに述べた方法に限定されるものではない。
【0024】
上記化合物(i) 〜(ix)を製造するために用いるアミン化合物と環状の酸無水物との組み合わせは次のとおりである。
Figure 0003930581
本発明の水溶性単量体、本発明の方法により得られた水溶性単量体は、いずれも、従来公知のラジカル重合方法で単独重合体または共重合体を生成することができる。共重合体を生成する場合は、該水溶性単量体を2種以上使用したり、あるいは、該水溶性単量体を1種以上と従来公知のモノエチレン性不飽和単量体の1種または2種以上とを使用したりすることができる。生成した単独重合体または共重合体は、該水溶性単量体に由来する単量体単位を含み、主鎖の炭素原子に直接またはメチレン基を介して結合したカルボキシル基を有し、主鎖から離れた位置にもカルボキシル基を有するので、カルボン酸密度が高く、しかも、後者のカルボキシル基が自由に回転しうるものとなっている。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、下記例中、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を示す。
−実施例1−
温度計、pH計及び攪拌機を備えた容量100ミリリットルの四つ口フラスコに、DL−アスパラギン酸33.2部、水酸化ナトリウム48%水溶液41.7部、イオン交換水13.6部を投入した。次に、フラスコの内容物を10℃以下に保持したまま攪拌しながら、無水マレイン酸24.5部を60分間に渡って定量的な滴下により添加した。その際、反応水溶液中のpHが9以上に保持されるように、適宜、水酸化ナトリウム48%水溶液を添加した。無水マレイン酸の添加終了後、さらに10℃以下に保持したまま、30分間攪拌を続けた。反応終了後、イオン交換水14.7部を加えた後、水酸化ナトリウム48%水溶液でpHを11.5に調整した。その結果、褐色透明の水溶液を得た。その後、該水溶液から水を除去することにより、粉末状の白色の固体物質を得た。
【0026】
以上の様にして得られた固体物質について、IR測定、 1H−NMR測定により、物質の同定を行った。その結果は下記の通りである。
IR(KBr法):1700cm-1 (s)(CONHR)
1H−NMR(溶媒D2 O):
δ2.2〜2.6ppm(m,2H,CH2
δ4.2〜4.4ppm(m,1H,NH−C
δ5.7〜5.8ppm(d,1H,CH=)
δ6.2〜6.3ppm(d,1H,CH=)
IR測定からアミド結合(CONHR)の存在が確認された。また、 1H−NMRスペクトルの解析により、実施例1で得られた上記生成物は、下記構造式:
【0027】
【化4】
Figure 0003930581
【0028】
で表される化合物であることが確認できた。
−実施例2−
温度計、pH計及び攪拌機を備えた容量100ミリリットルの四つ口フラスコに、DL−セリン10.5部、水酸化ナトリウム48%水溶液8.3部、イオン交換水6.6部を投入した。次に、フラスコの内容物を10℃以下に保持したまま攪拌しながら、無水マレイン酸19.6部を60分間に渡って定量的な滴下により添加した。その際、反応水溶液中のpHが9以上に保持されるように、適宜、水酸化ナトリウム48%水溶液を添加した。無水マレイン酸の添加終了後、さらに10℃以下に保持したまま、30分間攪拌を続けた。反応終了後、イオン交換水11.4部を加えた後、水酸化ナトリウム48%水溶液でpHを12.5に調整した。その結果、無色透明の水溶液を得た。その後、該水溶液から水を除去することにより、粉末状の白色の固体物質を得た。
【0029】
以上の様にして得られた固体物質について、IR測定、 1H−NMR測定により、物質の同定を行った。その結果は下記の通りである。
IR(KBr法):1700cm-1 (s)(CONHR)
1H−NMR(溶媒D2 O):
δ3.6〜3.8ppm(m,2H,C 2 −OH)
δ4.0ppm(m,1H,NH−C
δ5.8〜5.9ppm(d,1H,CH=)
δ6.2〜6.3ppm(d,1H,CH=)
IR測定からアミド結合(CONHR)の存在が確認された。また、 1H−NMRスペクトルの解析により、実施例2で得られた上記生成物は、下記構造式:
【0030】
【化5】
Figure 0003930581
【0031】
で表される化合物であることが確認できた。
−実施例3−
温度計、pH計及び攪拌機を備えた容量100ミリリットルの四つ口フラスコに、L−グルタミン酸14.7部、水酸化ナトリウム48%水溶液16.7部、イオン交換水16.4部を投入した。次に、フラスコの内容物を10℃以下に保持したまま攪拌しながら、無水マレイン酸0.5部を60分間に渡って定量的な滴下により添加した。その際、反応水溶液中のpHが9以上に保持されるように、適宜、水酸化ナトリウム48%水溶液を添加した。無水マレイン酸の添加終了後、さらに10℃以下に保持したまま、30分間攪拌を続けた。反応終了後、水酸化ナトリウム48%水溶液でpHを9.5に調整した。その結果、無色透明の水溶液を得た。その後、該水溶液から水を除去することにより、粉末状の白色の固体物質を得た。
【0032】
以上の様にして得られた固体物質について、IR測定、 1H−NMR測定により、物質の同定を行った。その結果は下記の通りである。
IR(KBr法):1700cm-1 (s)(CONHR)
1H−NMR(溶媒D2 O):
δ1.6〜2.6ppm(m,4H,CH2 −CH2
δ3.7〜4.0ppm(m,1H,NH−C
δ5.8〜5.9ppm(d,1H,CH=)
δ6.2〜6.3ppm(d,1H,CH=)
IR測定からアミド結合(CONHR)の存在が確認された。また、 1H−NMRスペクトルの解析により、実施例3で得られた上記生成物は、下記構造式:
【0033】
【化6】
Figure 0003930581
【0034】
で表される化合物であることが確認できた。
−実施例4−
温度計、pH計及び攪拌機を備えた容量100ミリリットルの四つ口フラスコに、DL−アスパラギン酸13.3部、アンモニア29%水溶液11.7部、イオン交換水4.9部を投入した。次に、フラスコの内容物を10℃以下に保持したまま攪拌しながら、無水マレイン酸9.8部を60分間に渡って定量的な滴下により添加した。その際、反応水溶液中のpHが9以上に保持されるように、適宜、アンモニア29%水溶液を添加した。無水マレイン酸の添加終了後、さらに10℃以下に保持したまま、30分間攪拌を続けた。反応終了後、アンモニア29%水溶液でpHを10.5に調整した。その結果、褐色透明の水溶液を得た。その後、該水溶液から水を除去することにより、粉末状の白色の固体物質を得た。
【0035】
以上の様にして得られた固体物質について、IR測定、 1H−NMR測定により、物質の同定を行った。その結果は下記の通りである。
IR(KBr法):1700cm-1 (s)(CONHR)
1H−NMR(溶媒D2 O):
δ2.2〜2.9ppm(m,2H,CH2
δ4.2〜4.3ppm(m,1H,NH−C
δ5.7〜5.8ppm(d,1H,CH=)
δ6.2〜6.3ppm(d,1H,CH=)
IR測定からアミド結合(CONHR)の存在が確認された。また、 1H−NMRスペクトルの解析により、実施例4で得られた上記生成物は、下記構造式:
【0036】
【化7】
Figure 0003930581
【0037】
で表される化合物であることが確認できた。
上記実施例1〜4で得られた化合物は、構造式から明らかなとおり、ラジカル重合により、各構造式で示される単量体に由来する単量体単位を有する重合体を生成しうるものである。この重合体は、該単量体単位を有するので、水溶性を持ち、重金属イオンを捕捉する能力が高く、単位重量当たりの金属イオン捕捉量が多い。
【0038】
【発明の効果】
本発明の水溶性単量体は、前記一般式(1)で表されるので、主鎖の近傍にも主鎖から離れたところにもカルボキシル基を持ちカルボン酸が高密度で存在する重合体を製造するための単量体として好適に用いることができる。即ち、該水溶性単量体を重合させることにより、水溶性を備え、従来のキレート剤と比較して、無機粒子の分散力に優れ、重金属イオンを捕捉する能力が高く、且つ、単位重量当りの金属イオンの捕捉量が多い重合体を製造することが出来る。該重合体は、例えば、洗剤組成物、無機顔料分散剤、繊維処理剤、水処理剤及び木材パルプの漂白助剤等に好適に用いることができる。
【0039】
本発明の方法では、前記アミン化合物と前記環状の酸無水物とを水溶液中で反応させるので、炭素−炭素不飽和二重結合にアミン化合物が付加しにくく、イミド化反応も起こりにくいため、上記一般式(1)で表される水溶性単量体を容易に得ることが出来る。

Claims (4)

  1. 記一般式(1):
    Figure 0003930581
    (式中、RはCOOXを表し、RはHを表し、RはCOO 表し、 、X およびXは互いに独立にH、Na、KまたはNHを表す。但し、RとRは同時にHとはならない。)
    で表される、
    ことを特徴とする、水溶性単量体。
  2. 重金属イオンの捕捉に用いられる重合体を製造するために用いられる、請求項1に記載の水溶性単量体。
  3. アスパラギン酸とカルボキシル基の一部もしくは全部が中和されているアスパラギン酸塩とからなる群より選ばれた少なくとも1つの、カルボキシル基を含有するアミン化合物と、無水マレイン酸、無水イタコン酸および無水アコニット酸からなる群より選ばれた少なくとも1つの、環状の酸無水物とを水溶液中で反応させて炭素−炭素不飽和二重結合とカルボキシル基とを有する、下記一般式(2)の水溶性単量体を得る工程を含む、水溶性単量体の製造方法。
    Figure 0003930581
    (式中、R 、R およびR は、つぎの3つの組み合わせからなる。すなわち、
    がCOOX 、R がH、R がCOOX である組み合わせ、
    がH、R がCH COOX 、R がCOOX である組み合わせ、および、
    がCOOX 、R がCH COOX 、R がCOOX である組み合わせ、
    である。そして、式中、X 、X 、X およびX は互いに独立にH、Na、KまたはNH を表す。)
  4. 前記アスパラギン酸化合物が、アスパラギン酸のカルボキシル基の一部または全部がナトリウムで中和されたアスパラギン酸ナトリウム塩であり、前記無水酸が無水マレイン酸である、請求項3に記載の水溶性単量体の製造方法。
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