JP3929201B2 - カルシウムアルミネートゲルの合成方法及びアニオン捕集剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルシウムアルミネートゲルの合成方法及びカルシウムアルミネートゲルを有効成分とするアニオン捕集剤に関するものでる。
【0002】
【従来の技術】
カルシウムアルミネートゲルは、カルシウムアルミネート系水硬性物質の水和反応において生成すると言われているが、カルシウムアルミネートゲルの工業的な合成や利用は、これまでに行われていなかった。
一方、アニオン捕集剤として有用な無機化合物として、ハイドロタルサイト類が実用化されている(宮田繁雄,セッコウと石灰,No.187,pp.333〜339,1983、特公昭48-8394号公報、及び特開昭61-115089号公報等)。ハイドロタルサイトは、無機化合物としては高価な材料であり、これに代わる安価な材料の開発が待たれているのが実状である。又、ハイドロタルサイトと類似の化合物として、化学式3CaO・Al2O3・CaX・nH2O(但し、式中のXは1価又は2価のアニオンであり、nは整数)で示されるハイドロカルマイト類が知られている。そして、前記Xの内容が硝酸イオンや亜硝酸イオンのハイドロカルマイト類が、コンクリート中の鉄筋の防錆を目的に、アニオン、特に塩素イオン捕集剤として提案されている(特開平4-154648号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カルシウムアルミネートゲルを安定して合成することは困難であった。又、従来のアニオン捕集剤は、イオン交換反応によってアニオンを捕集するものであり、目的とするアニオンは捕集できるが、それと交換して、他のアニオンを系外へ放出するため、例えば、浄水処理等には利用できないという課題があった。本発明者らは、このような状況を鑑み鋭意検討した結果、特定のカルシウムアルミネートゲルの合成方法及びアニオン捕集剤により、前記課題を解消できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムと、アルミン酸アルカリ金属塩と、糖類、有機酸又はこれらの塩、アミン類、アミノ酸、尿素、及びヘキサメチレンテトラミンのうちの一種又は二種以上の有機化合物とを水の存在下で反応させることを特徴とするカルシウムアルミネートゲルの合成方法であり、該合成方法で合成したカルシウムアルミネートゲルを有効成分とするアニオン捕集剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
本発明のカルシウムアルミネートゲル(以下、CAGという)とは、CaO、Al2O3及びH2Oを主成分とする、非晶質の物質を総称するものである。非晶質とは、例えば、粉末X線回折法により明瞭な回折線を得ることのできない物質である。
【0007】
本発明のCAGの合成方法は、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムとアルミン酸アルカリ金属塩と有機化合物とを水中で反応させるものである。本発明では、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムが使用可能であるが、得られるCAGの品質が安定することから、又、安全性の面から、水酸化カルシウムを使用することが好ましい。反応温度は、特に限定されるものではないが、温度が高いと結晶質のカルシウムアルミネート水和物が生成し易く、通常、20℃以下が好ましく、5〜15℃がより好ましい。未反応物の残存量を低減するためには、熟成することが好ましい。
【0008】
本発明のCAGは、特に限定されるものではないが、CaO/Al2O3モル比(以下、C/Aモル比という)が0.5〜6.0の範囲にあるものが好ましく、C/Aモル比が1.0〜3.0の範囲にあるものがより好ましい。C/Aモル比が前記範囲外では十分なアニオン捕集能が得られない場合がある。
【0009】
本発明のアルミン酸アルカリ金属塩(以下、アルミン酸塩という)とは、化学式Al2O3・mR2O(Rはアルカリ金属、mは通常、0.5〜2程度)で示されるものであり、特に限定されるものではなく、その具体例としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム及びアルミン酸リチウム等が挙げられ、本発明ではこれらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。又、アルミン酸塩は、10モル以下の範囲で結晶水を有するものがあり、本発明では何れも使用可能である。
【0010】
本発明では、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムとアルミン酸塩をC/Aモル比が0.5〜6.0の範囲になるように配合することが好ましい。又、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムとアルミン酸塩は、各々1リットルの水に0.1モル〜6モルの範囲で配合することが好ましい。0.1モル未満ではCAGの合成量が少なくなり、工業的に有益でなく、6モルを超えるような高濃度では、反応液の粘性が極めて強くなり、混合・撹拌が困難となる場合がある。
【0011】
前記の方法により、CAGを合成する際、副生物として水酸化アルミニウムが生成し、又、未反応物として水酸化カルシウムが残存する場合があるが、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲、具体的にはこれらの総量が50重量%以下であれば特に問題とはならない。
【0012】
本発明では、酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムとアルミン酸塩の他に有機化合物を使用する。有機化合物を使用しない場合は、CAGは得られない。
【0013】
本発明の有機化合物とは、特に限定されるものではないが、その具体例としては、しょ糖、ブドウ糖及び麦芽糖等の糖類、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸及びサリチル酸等の有機酸又はこれらの塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアミン類、グリシン等のアミノ酸、尿素、並びにヘキサメチレンテトラミン等が挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能であるが、比較的安価な糖類又は有機酸若しくはその塩を使用することが好ましい。
【0014】
有機化合物の溶液濃度は、特に限定されるものではないが、通常、10重量%以下の範囲が好ましく、1〜5重量%がより好ましい。10重量%を超えて使用しても更なる効果の向上が期待できない。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0016】
実施例1
酸化カルシウム、水酸化カルシウム及びアルミン酸塩Aを表1に示すような割合で各々1リットルの水に配合し、これらと有機化合物−イの3重量%水溶液1リットルを混合し、10℃で反応させてゲル状沈殿物を得た。この反応液を撹拌しながら7日間熟成した後、吸引濾過によって固液分離し、固相を純水で充分に洗浄した後、アセトンにより余剰水を除去して40℃で乾燥した。得られた生成物について、非晶質であることを粉末X線回折法により同定し、C/Aモル比を化学分析により測定した。その結果を表1に示す。
<使用材料>
酸化カルシウム:試薬1級
水酸化カルシウム:試薬1級
アルミン酸塩A:試薬1級アルミン酸ナトリウム
有機化合物−イ:試薬1級しょ糖
水:純水
【0017】
【表1】
【0018】
本発明のCAGは、何れも非晶質である。
【0019】
実施例2
水酸化カルシウム及び有機化合物−イを使用し、アルミン酸塩の種類を変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
<使用材料>
アルミン酸塩A:試薬1級アルミン酸ナトリウム
アルミン酸塩B:試薬1級アルミン酸カリウム
アルミン酸塩C:試薬1級アルミン酸リチウム
【0020】
【表2】
【0021】
本発明のCAGは、何れも非晶質であることを示している。
【0022】
実施例3
水酸化カルシウム及びアルミン酸塩Aを使用し、有機化合物の種類と水溶液濃度を表3に示すように変えたこと以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表3に示す。
<使用材料>
有機化合物−イ:試薬1級しょ糖
有機化合物−ロ:試薬1級クエン酸
有機化合物−ハ:試薬1級乳酸
有機化合物−ニ:試薬1級グルコン酸ナトリウム
有機化合物−ホ:試薬1級トリエタノールアミン
【0023】
【表3】
【0024】
有機化合物を配合していない比較例(実験No.3-1,3-2)では、生成物は結晶質であり、有機化合物を配合した本発明のCAGは、非晶質であることを示している。
【0025】
実施例4
実験No.1-6のCAGを使用し、CAG1gを表4に示す0.1モル/リットルの各種電解質溶液100ミリリットル中に浸漬し、3時間マグネチックスターラーで撹拌した。その後、濾過して固液分離し、固相の同定を粉末X線回折法により、液相の分析を滴定により行った。その結果を表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
本発明のCAGは、何れも顕著なアニオン捕集能を示している。
【0028】
【発明の効果】
本発明により、カルシウムアルミネートゲルを安定して合成することが可能となる。更に、カルシウムアルミネートゲルを有効成分とするアニオン捕集剤は、他のアニオンを系外へ放出することがなく、浄水処理等広範に使用することができる。
Claims (2)
- 酸化カルシウム及び/又は水酸化カルシウムと、アルミン酸アルカリ金属塩と、糖類、有機酸又はこれらの塩、アミン類、アミノ酸、尿素、及びヘキサメチレンテトラミンのうちの一種又は二種以上の有機化合物とを水中下で反応させることを特徴とするカルシウムアルミネートゲルの合成方法。
- 請求項1に記載の合成方法で合成したカルシウムアルミネートゲルを有効成分とするアニオン捕集剤。
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