JP3924535B2 - 燃料タンクを車両座席の間に配置した乗用車 - Google Patents

Description

本発明は、駆動装置がフロント範囲内に配置され、駆動軸が駆動装置から車両後輪まで案内され、車両縦方向に延びる燃料タンクが車両の座席の間に配置されている、乗用車に関する。技術的な周辺状況については例えば特許文献１を参照されたし。

乗用車の燃料タンクは通常は車両リヤ範囲内において車両後車軸の前側または上方に横にして配置される。というのは、この組込み場所が安全性およびスペースの点から理想的であることが判ったからである。この組込み場所は今日、液化ガス駆動装置を備えた少数の公知の乗用車、すなわち燃料として液化ガス、例えば水素を使用する乗用車の場合にも選択される。しかし、液化ガスタンクのタンク容積は、２つの給油停止の間において同じ程度の乗用車走行距離を提供するために、普通のガソリンタンクまたはディ−ゼル油タンクの容積よりも大きくすべきである。

上記の特許文献１によって、いわゆる普通のセンタトンネルを高くして、乗用車の燃料タンクを、車両後輪まで案内される駆動軸の上方に配置することが知られている。それによって、例えばキャブリオレ車両の場合に、折畳みトップを収納するための付加的なスペースが車両リヤ範囲内に形成される。しかし、この公知のタンク配置構造は実際には、従来の普通の配置構造よりも大きなタンク容積を生じない。

独国特許出願公開第１９８４１３３１号公報

そこで、請求項１の前提部分に記載した乗用車のタンク容積を更に増大させる構造を提示すべきである（＝本発明の課題）。

この課題の解決策は、駆動軸が実質的に燃料タンクの側方で前側から後側に延びていることを特徴とする。有利な実施形と発展形態は従属請求項の内容である。その際、本発明によるコンセプトは勿論、液化ガスタンクに限定されず、石油から得られる普通の燃料のタンクにも適用可能である。

本発明に従って、前側に位置する駆動装置から乗用車後車軸まで案内される駆動軸が、車両縦方向に向けられたタンクの側方に延設されていると、特に下方に、すなわち道路の方に、大きな寸法の付加的なスペースが得られる。このスペースは燃料タンクを形成するために供される。従って、従来一般的である構造と異なり、駆動軸が車両中央に延設されないで、側方にずらして前側から後側に延びていると、車両座席を従来よりも少しだけ高い位置に配置する必要があるかもしれないがしかし、これは重要ではない。というのは、乗用車の場合、高さ方向において充分なスペースが供されるからである。内燃機関として形成された駆動装置の排気装置を、駆動軸とは反対の燃料タンクの側において縦軸線に関してほぼ対称に前側から後側に延設することができる。

幅方向において供されるスペース、すなわち車両走行方向に対して垂直な車両横方向の平面内で供されるスペースを最良に利用するために、かつその際充分な座席自由度を供するために、燃料タンクの上側部分を、測地学的に更に下方に位置する部分よりも狭く形成することができる。その際、燃料タンクのいわゆる“上側部分”は、車両室内に並べて配置された座席の間にあり、いわゆる“下側部分”は実質的に車両座席の下方に配置することが可能である。それによって、燃料タンクはほぼ洋梨状の横断面を有する。これは特に、燃料タンクが液化ガス、とりわけ液体水素を収容するときに、強度の点できわめて有利である。このようなタンクには数バールの内圧を加えることができるようにする必要がある。

更に、スペース利用に関して並びに駆動装置から車両後車軸へのトルクの伝達に関して有利である、駆動装置と後輪駆動軸の間に設けられた伝動兼変速装置の配置構造を提案する。この特徴および効果と他の特徴および効果は例示的にのみ示す有利な実施の形態の次の説明からも明らかである。詳しく説明していない特徴はすべて本発明にとって重要である。

乗用車の前車軸１が参照符号１によって、そして後車軸が参照符号２によって示してある（図１参照）。乗用車の室内には通常のごとく、並べて配置された２つのフロントシートと、その後側に位置する１つのリヤベンチシートが設けられている。この車両シートは図示していないが、フロントシートまたはリヤベンチシート上に並んで座る２人の車両乗員３が図２に抽象的に示してある。

図１には、両前輪１ａ，１ｂと両後輪２ａ，２ｂが示してある。これらの車輪は車両フロント範囲内に配置された車両駆動装置４によって駆動される（駆動可能である）。そのために、駆動装置４の側方に配置された伝動兼変速変速装置５から出発して、駆動軸６が車両縦方向（この車両縦方向は車両中心縦軸線７に対して平行である）に前側から後側に向けて、差動装置を一体化した中間歯車装置８まで延びている。この中間歯車装置から車輪駆動軸１２ａまたは１２ｂが通常のごとく後輪２ａまたは２ｂまで延びている。

周知の技術水準と異なり、後車軸２まで案内される駆動軸６は車両中心に延設されていないで、車両中心縦軸線７から側方に少なからぬ寸法だけずれた位置にある。これによって、（駆動装置４に燃料を供給するための）燃料タンク９を、ほぼ通常のごとく設けられた（車体のフロアパネル１０によって形成された）センタトンネル１１内に配置するために充分なスペースが生じる（図２参照）。図１に示すように、この燃料タンク９は駆動装置４の後側から後車軸２の範囲内の中間歯車装置８まで車両縦方向に延びている。

図２から明らかなように、駆動軸６は燃料タンク９の側方だけでなく、燃料タンク９の下側部分の近くを延びている。反対側（右側）には、駆動装置４の（図示していない）排気装置を、車両中心縦軸線７に関して駆動軸６と対称に前側から後側に延設することができる。図２から更に明らかなように、燃料タンク９はほぼ洋梨状の横断面を有する。この横断面は狭い上側部分と広い下側部分を有する。

図１から明らかなように、直列型またはＶ型の往復ピストン式内燃機関として形成された駆動装置４は乗用車のエンジン室内に次のように配置されている。すなわち、軸線４ａによって示した駆動装置４の出力軸が車両縦軸線に対して平行に延び、しかも車両中心縦軸線７とほぼ一致するように配置されている。伝動兼変速装置５が駆動装置４の側方に配置されている場合、後車軸駆動軸６が図示のように、中央に配置された燃料タンク９の隣に中心からずれて延びていると、中間伝動装置および軸偏向装置を最小化するためにきわめて有利である。この配置構造は更に、駆動軸６とは反対の伝動兼変速装置５の側に、差動装置を統合した中間歯車装置８′を配置することにより、乗用車の前輪２ａ，２ｂをきわめて簡単に付加的に駆動することを可能にする。

燃料タンク９とその隣に設けられた後車軸駆動軸６を上記のように配置したことにより、そのほかは普通である乗用車に、従来の構造と比べて大幅に増大したタンク容積が供される。これは提案した燃料タンク９の形状からも生じる。この燃料タンクまたはその横断面は更に、強度の点でもきわめて有利である。更に、タンク９の安定性を高めるために、タンク内室に（図示していない）隔壁を（走行方向に対して垂直な平面内に横にして）設けることができ、特許請求の範囲の内容を逸脱することなく、特に構造的な多数の細部を図示した実施の形態と異なるように形成することができる。

本発明による乗用車の下部構造を示す平面図である。 図１のＡ−Ａ線に沿った断面図である。

Claims (5)

1. 駆動装置（４）がフロント範囲内に配置され、駆動軸（６）が駆動装置から車両後輪（２ａ，２ｂ）まで案内され、車両縦方向に延びる燃料タンク（９）が車両の座席の間に配置されている、乗用車において、駆動軸（６）が実質的に燃料タンク（９）の側方で前側から後側に延びていることを特徴とする乗用車。
2. 内燃機関として形成された駆動装置（４）の排気装置が、駆動軸（６）とは反対の燃料タンク（９）の側において前側から後側に延びていることを特徴とする、請求項１記載の乗用車。
3. 燃料タンク（９）の上側部分が、測地学的に更に下側に位置するその部分よりも狭く形成されていることを特徴とする、請求項１または２記載の乗用車。
4. 燃料タンク（９）がほぼ洋梨状の横断面を有し、液化ガス、特に液体水素を収容するように形成されていることを特徴とする、請求項３記載の乗用車。
5. 車両駆動装置（４）の出力軸（４ａ）が車両縦方向に延び、駆動装置（４）と後輪（２ａ，２ｂ）用駆動軸（６）の間に設けられた伝動兼変速装置（５）が駆動装置（４）の側方に配置されていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか一つに記載の乗用車。
   

Images