JP3914352B2 - 画像複写装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原稿画像中に含まれる閉ループを形成する画像部分の輪郭線を検出して、その輪郭線の内部領域に輪郭線の外部領域と異なる画像処理を施すことができる画像複写装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、原稿画像中に含まれる閉ループを形成する輪郭線部分を検出して、その輪郭線の内部領域に輪郭線の外部領域と異なる画像処理を施すことができる画像複写装置が知られている。例えば、特開平8−289130号公報、あるいは、特開平9−321976号公報には、閉ループを形成する輪郭線を含む原稿画像を読取って画像信号を記憶し、記憶した画像信号を参照して閉ループの輪郭線を検出し、検出した輪郭線に基づいて切換信号を作成すると共に記憶し、原稿の読取り処理に同期して記憶した切換信号を出力し、閉ループを形成する輪郭線の内部領域と外部領域とで異なる画像処理を施すようにした画像複写装置が開示されている。
以下に、原稿画像中から閉ループを形成する輪郭線を検出し、閉ループの内部領域と外部領域とで異なる画像処理を施す場合の動作について概略を説明する。
図12(a)は、閉ループの内部領域を指定する場合のディスプレイのようすを示す図である。
不図示の操作表示ユニットを操作者が操作することにより、編集モードが選択され、原稿の読取り開始が指示されると、システム制御ユニット(不図示)は、この指示を受けてスキャナ制御回路等に指示し、原稿の読取り動作を行なわせる。原稿から読取られた画像信号は、システム制御ユニットにより走査表示ユニット内のタッチパネルディスプレイ227に表示される。
次に、輪郭線301により示された閉ループを選択するために、タッチパネルディスプレイ227に表示された原稿画像を参照しながら希望する閉ループの内側の点302を操作者が指示する。すると、点302の座標位置は、システム制御ユニット経由で画像処理制御回路(不図示)に伝えられる。
【0003】
図12(b)は、図12(a)に指定された点により、ディスプレイ中の閉ループの内部領域の境界を検出するようすを示す図である。
不図示の領域制御回路には、先程の原稿を読取った際の画像信号が第3図(a)に示したように記憶されている。画像処理制御回路は、指定された点302の座標位置を基点として矢印303のような方向に閉ループの輪郭線301との交点(内側境界)を検出する。次いで、画像処理制御回路は、矢印304のように閉ループの輪郭線301の内側境界を追跡する。
図12(c)は、図12(b)においてディスプレイ中の閉ループを追跡した内側境界を示す図である。
この内側境界の軌跡を示す境界線340に応じて、画像信号が閉ループの内側領域310に位置するか、あるいは、画像信号が閉ループの外側領域320に位置するかを示す切換信号データを図12(c)の内側境界に従って領域制御回路内に書込む。ここで、前記閉ループ内部領域および外部領域に対する画像処理モードが操作者により設定されると、その処理モードはシステム制御ユニット経由で画像処理制御回路に伝えられる。画像処理制御回路は、伝えられた処理モードに応じて、画像処理ユニット内の各回路に対する設定等を行なう。尚、ここでは、閉ループの内部領域310を特定の色で塗つぶし、外部領域320はそのまま忠実に再現するモードが選ばれたとする。
図12(d)は、図12(a)〜(c)により指定された閉ループのディスプレイへの出力結果を示す図である。
12(c)の処理が行われた後に、ディスプレイ227には、図12(d)に示す画像が示される。ここで、操作者によりコピー開始が指示されると、システム制御ユニットは、これに応じて各制御回路(不図示)に指示を出力してコピー動作を行わせ、図12(d)に示したように画像を出力する。
ここで、上記の領域制御回路に記憶される画像信号および切換信号データの解像度は、閉ループの輪郭線の追跡時間および切換信号データの作成時間を短縮すると共に、必要となるメモリ容量を削減するため、スキャナユニットおよびプリンタユニットにおける読込みあるいは書込みに用いられた解像度よりも低い解像度が採用される。
【0004】
図13(a)は、図12(a)に示した輪郭線301の一部を拡大して示した図であり、図13(b)は、図13(a)に示した輪郭線301の検出結果を低解像度に変換した図であり、図13(c)は、図13(b)に示した低解像度の輪郭線301に基づいて領域制御回路内に書き込まれる切換信号データを示す図である。
図13(a)に示した輪郭線301aは、図13(b)に示したように低解像度の輪郭線301bに変換されて領域制御回路に記憶される。また、領域制御回路に書込まれる切換信号データも、輪郭線301bに基づいて図13(c)のような粗いデータ350となる。そして、図13(c)のデータに基づいて内部領域の塗りつぶしが施されて、その結果に基づいたカラーコピーが実施されるので、境界部での色の再現性は、意図した編集内容と異なった内容になる。
ここで、例えば、この図13(c)に示した切換信号データに基づいて内部領域310を指定色mにて塗りつぶし、輪郭線301を指定色nにて塗りつぶす画像処理が行なわれるように操作者が指定した場合について考察する。その場合、図13(a)の領域401aは、図13(c)の領域401bの切換信号データに基づいて全て指定色mにて塗つぶしが行われる。従って、原稿の輪郭301a中の位置データ301pは、指定色nにて塗りつぶされた後にさらに指定色mにより塗つぶされるので、この位置の塗りつぶし色は、指定色mでも指定色nでもない色に変色してしまう。逆に、図13(a)の領域402aは、領域制御回路にメモリされた図13(c)の領域402bの切換信号データに基づいて画像処理が行われるため、塗りつぶしは行われずに原稿がそのまま再現される。従って、原稿の輪郭301a中の位置データ301q、301r、301sは、輪郭線301aの指定色nあるいは内部領域310の指定色mの何れの色にも塗りつぶされず塗残しが生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、上述した従来の画像複写装置では、輪郭線の検出あるいは切換信号の作成時間を短縮すると共に、画像信号の記憶あるいは切換信号を作成する際の使用メモリ量を削減するために、実際の原稿読取りあるいは画像記録の解像度よりも低い解像度で、画像信号の記憶あるいは切換信号の作成が行われた。このため、解像度の差によって、原稿における閉ループ輪郭の位置と画像処理における閉ループの内と外の位置とに差が生じて、塗り残しによる隙間や重ね塗りによる変色が発生し、高品質な画像処理が行われないという問題があった。
本発明の目的は、上述したような解像度の差によって画像処理に塗り残しや重ね塗りが発生するという従来の問題を解決するためになされたものであって、高品質な画像処理を行うことができる画像複写装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、請求項1の本発明の画像複写装置は、画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理が施された画像信号に基づいて記録媒体上に画像を記録する記録手段と、前記画像処理手段と記録手段とを用いて実施される画像複写処理についての各種設定を行うと共に該画像複写処理の設定に必要な各種表示を行う操作手段と、画像複写処理の制御を司る制御手段と、を有し、前記画像処理手段が、前記画像信号中から閉ループを形成している画像を検出して該閉ループの輪郭線を前記操作手段に表示すると共に、画像処理が行われる画像信号が前記閉ループの輪郭線であるか輪郭線以外であるかを区別するために前記画像信号に同期して切換信号を出力する切換信号出力手段を備える画像複写装置において、前記画像処理手段には、前記画像信号に基づいて画像部分と非画像部分とを識別する識別信号を生成し、前記切換信号に基づいて前記閉ループの開始点を示す開始点信号および終了点を示す終了点信号を生成し、前記識別信号、開始点信号および終了点信号に基づいて前記切換信号を所定時間だけ遅延させるための遅延タイミングを決定し、該所定の遅延タイミングだけ遅延させた切換信号を出力する遅延手段を有し、前記画像処理手段は、前記遅延手段により遅延された切換信号のタイミングに基づいて前記画像信号に画像処理を施すことを特徴とする。
請求項2の本発明は、請求項1の画像複写装置において、前記切換信号出力手段は、前記画像信号から検出される閉ループ輪郭位置より内側領域を示す切換信号を生成して出力することを特徴とする。
請求項3の本発明は、請求項1の画像複写装置において、前記切換信号出力手段は、前記画像信号から検出される閉ループ輪郭の内部位置より内側領域を示す切換信号を生成して出力することを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示した実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の画像複写装置の機構部の概略構成を示す図であり、図2は、図1の画像複写装置の電装部の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す様に、本実施形態の画像複写装置202の機構部は、原稿を読取るスキャナユニット(読取手段)101と、記録紙に画像を記録するプリンタユニット(記録手段)102と、画像処理を行う画像処理ユニット(画像処理手段)111とから構成される。
スキャナユニット101中においては、原稿103がプラテン104上の所定の位置に置かれ、読み取り時には、ハロゲンランプ105-1,2により照明される。原稿103からの反射光は、第1ミラー106,第2ミラー107,第3ミラー108およびレンズ109を経て3ライン型カラ−ラインイメ−ジセンサであるCCD110に結像され、CCD110により画像信号に光電変換される。ここで、ハロゲンランプ105-1,2および第1ミラー106は、図示しない第1キャリッジに搭載され、また、第2ミラー107および第3ミラー108は、図示しない第2キャリッジに搭載されている。原稿読取り時には、図示しないキャリッジ駆動モ−タから駆動力が伝達され、上記第1および第2キャリッジが2:1の速度比で図1の左側から右側へ移動する。この各キャリッジの移動により、プラテン104上に置かれた原稿103の全面が走査される。
CCD110により光電変換された画像信号は、画像処理ユニット111等において各種処理を施されたのち、プリンタユニット102の図示しないLD(レ−ザ・ダイオ−ド)に入力され、ここでレーザ光に変換される。
プリンタユニット102中においては、上記LDから出射されたレ−ザ光は、ポリゴンミラ−112により反射され、fθレンズ113および第4ミラ−114を経て、反時計方向に回転している感光体ドラム115の表面上に結像するように照射される。ここで、ポリゴンミラ−112は、ポリゴンモ−タ116の回転軸に固着されている。また、ポリゴンモ−タ116は、一定速度で回転してポリゴンミラ−112を回転駆動している。また、上述のレ−ザ光は、ポリゴンミラ−112の回転により感光体ドラム115の回転移動方向と垂直な方向、すなわちドラム軸に沿う方向に走査される。
【0008】
感光体ドラム115の表面は、図示しない高圧発生装置に接続された帯電チャ−ジャ117により、あらかじめ一様な正電位に帯電されている。また、レ−ザ光が感光体ドラム115に照射されると、光導電現象により表面の電荷がドラム本体の機器ア−スに流れて消滅する。ここで、原稿濃度の淡い部分においては、LDを弱く点灯し、原稿濃度の濃い部分においては、LDを強く点灯する。LDから出射したレーザー光は、ポリゴンミラー112により主走査されるとともに感光体ドラム115の回転により副走査されて感光体ドラム115の表面に到達する。その際に、上記のようにLDの点灯が制御されることにより、原稿の濃淡に応じて感光体ドラム115の表面に静電潜像が形成される。
現像ユニット118は、ブラック,シアン,マゼンタおよびイエローの正帯電したトナーをそれぞれ収容する現像部K,C,MおよびYを有しており、何れか1つの現像部が選択されて現像処理が行われる。選択された現像部は、図示しない高圧発生装置により所定の正電位にバイアスされ、前記静電潜像を現像して、原稿画像の濃淡に応じたトナ−像を感光体ドラム115の表面に形成する。
転写ベルト119は、図示しない高圧発生装置により所定の負電位にバイアスされており、感光体ドラム115と同速度で時計方向に回転している。また前記トナー像は、感光体ドラム115と転写ベルト119が接近する間に、バイアスの作用により引き寄せられて転写ベルト119の表面に転写される。
尚、原稿の読取り,静電潜像の形成,トナー像の形成およびトナー像の転写動作は、必要な回数繰り返される。即ち、フルカラー,原稿色および登録色の各モードの場合は4回行われ、それぞれK,C,MおよびYの順で現像部が選択され、形成されたトナー像は位置合わせをした上で、転写ベルト119の表面で重ね合わされる。またブラック,シアン,マゼンタおよびイエローの各モードの場合は1回だけ行われ、それぞれ現像部K,C,MおよびYが選択される。またレッド,グリーンおよびブルーの各モードの場合は2回行われ、それぞれ現像部がMとY,CとYおよびCとMの順で選択され、形成されたトナー像は位置合わせをした上で、転写ベルト119の表面で重ね合わされる。
【0009】
一方、給紙カセット120-1,2にはそれぞれ記録紙121-1,2が収納されており、どちらかの給紙カセットが選択されている。選択されている給紙カセット、例えば、給紙カセット120-1内の記録紙121-1は、給紙コロ122-1の給紙動作により繰り出され、レジストロ−ラ123-1,2に到達する。レジストローラ123-1,2は、最初は停止しており、回転する転写ベルト119上のトナー像の位置に応じて所定のタイミングで回転を開始し、記録紙を送り出す。
転写チャ−ジャ124は、図示しない負電圧の高圧発生装置に接続されており、転写ベルト119上のトナ−像は、転写チャージャ124の作用により送り出された記録紙に転写される。尚、記録紙にトナー像を転写する時は、転写ベルト119のバイアスを解除して転写を促進している。トナー像が転写された記録紙は、熱定着ユニット125-1,2に送られ、そこでトナ−像が記録紙に固着され、機外に排出される。
尚、トナー像が転写された後の感光体ドラム115は、表面に残留したトナ−がクリ−ニングユニット126により除去され、次の動作に備えられる。また、トナー像が再転写された後の転写ベルト119は、表面に残留したトナ−がクリ−ニングユニット127により除去され、次の動作に備えられる。
【0010】
また、図2に示す様に、本実施形態の画像複写装置202の電装部は、上述したスキャナユニット101,画像処理ユニット111およびプリンタユニット102に加えて、処理モ−ド選択等の入力の検出および表示を行う操作表示ユニット(操作手段)201と、上記各ユニットに内蔵される専用制御回路と通信を行い複写機(画像複写装置)202の全体の動作を制御するシステム制御ユニット(制御手段)203とにより構成される。
また、画像複写装置202は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)接続装置204と接続されており、LAN205に接続されたワークステーション206やパーソナルコンピュータ207等の他の機器と、LAN接続装置204を介して画像信号の入出力を行なう。
スキャナユニット101中においては、上述のCCD110は、入射光を赤緑青に色分解したのち、光電変換して、3種類のアナログ画像信号をA/D変換回路208に出力する。A/D変換回路208は、入力された画像信号をそれぞれデジタル信号に変換するとともに、上述のハロゲンランプ105-1,2による原稿の照明むら、CCD110内部領域の受光素子の感度むらおよび暗電流に対する補正等の処理も行なう。
また、スキャナ制御回路209は、システム制御ユニット203との間において通信を行なうとともに、スキャナユニット101全体を制御している。例えば、前記A/D変換回路208の動作制御、ハロゲンランプ105(-1,2)の点灯制御およびキャリッジ駆動モータ210の回転制御等を行なう。また、原稿サイズセンサ211は、プラテン104に置かれた原稿の大きさを検出するセンサであり、その検出結果をスキャナ制御回路209に出力する。
一方、A/D変換回路208により変換された画像信号は、画像処理ユニット111のγ変換回路212に入力される。γ変換回路212は、LAN接続装置204にも接続されており、A/D変換回路208またはLAN接続装置204から入力される画像信号を濃度等に比例した画像信号に階調変換し、像域分離回路213,領域制御回路(切換信号出力手段)214,遅延回路(遅延手段)230およびフィルタ回路215に出力する。また、γ変換回路212は、A/D変換回路208から入力された画像信号を予め入力された設定により階調変換してLAN接続装置204に出力する場合もある。
【0011】
像域分離回路213は、入力された画像信号に基づいて、処理を行なっている画像部分が文字等の線画か否かということと、白黒画像かカラー画像かということを判定する回路で、その結果を示す判定信号をフィルタ回路215に出力する。
領域制御回路214は、入力された画像信号を記憶したり、画像の部分領域毎に異なる画像処理を施すための切り換え信号を発生する等を行なう回路であり、発生した切り換え信号を遅延回路230に出力する。領域制御回路214は、例えば、図3に示すように、γ変換回路212からの画像信号を2値化する2値化回路601と、2値化した画像信号を記憶するデュアルポートの画像メモリ602と、記憶しているデータを切り換え信号603として出力するデュアルポートの領域メモリ604および画像信号を操作表示ユニット201に送出する送出回路605等から構成される。また、画像メモリ602および領域メモリ604は、後述する画像処理制御回路219からのアクセスが可能である。
遅延回路230は、後述するように、γ変換回路212からの画像信号等に応じて、領域制御回路214からの切り換え信号を遅延する回路であり、遅延した切換信号をフィルタ回路215に出力する。フィルタ回路215は、γ変換回路212からの画像信号にエッジ強調や平滑化等の2次元フィルタ処理等を施して出力する回路である。これらの処理は前記判定信号や切り換え信号により制御されており、例えば、判定信号が線画であればエッジ強調のフィルタ処理を行い、非線画であれば平滑化のフィルタ処理を行なう。また、フィルタ回路215は、切り換え信号により、判定信号に拘らずエッジ強調や平滑化のフィルタ処理を行うこともある。
【0012】
色補正回路216は、フィルタ回路215からの画像信号を、上述のごとく選択される現像部に対応させたトナーの記録量に基づいて変換する処理である色補正処理を行なう。この処理は、前記判定信号や切り換え信号により制御されており、例えば、切り換え信号に応じてフルカラーモードやブラックモードに適したトナー記録量に変換したり、フルカラーモードにおいて判定信号が線画且つ白黒画像であれば、UCR率を100%に、非線画またはカラー画像であれば、UCR率を70%にする変換を行うこともある。また、切り換え信号に応じて一定の画像信号値や判定信号値を出力する塗つぶし処理、特定の色を消す色消去処理、特定な色を別な色にする色変換処理を行なうこともある。色補正回路216からは、トナー記録量に変換された1種類の画像信号,判定信号および切り換え信号が出力され、変倍回路217に入力される。変倍回路217は、色補正回路216からの3種類の信号を主走査方向に拡大/縮小する変倍処理を行う回路である。尚、原稿を副走査方向に拡大/縮小する変倍処理は、上述のキャリッジ駆動モータ210の回転制御により行なっている。
階調処理回路218は、温湿度等の変化により変動するプリンタユニット102の記録特性(画像信号対トナー記録量特性)を補正するγ補正処理や、主走査方向の1または数画素と副走査方向の1または数画素とを1単位とし、解像度または階調性を重視した階調表現をする階調処理等を行なう。このγ補正処理および階調処理は、前記判定信号や切り換え信号により制御されており、例えば、判定信号が線画であれば解像度を重視した階調処理を、非線画であれば階調性を重視した階調処理を行なう。また、階調処理の種類により上述の記録特性が変化するため、階調処理に連動して異なるγ補正処理を行なう。更に、切り換え信号により、判定信号に拘らず所定の階調処理またはγ補正処理を行なうこともある。尚、階調処理回路218はLAN接続装置204にも接続されており、前記処理が施された画像信号またはLAN接続装置204から入力される画像信号を出力する。また、設定によって階調処理回路218は、前記処理が施された画像信号をLAN接続装置204に出力することもある。
画像処理制御回路219は、システム制御ユニット203との間で通信を行なうとともに、システム制御ユニット203からの要求に応じて、上述したγ変換回路212,像域分離回路213,領域制御回路214,遅延回路230,フィルタ回路215,色補正回路216,変倍回路217および階調処理回路218の設定等を行ない、画像処理ユニット111全体を制御している。一方、階調処理回路218から出力された画像信号は、プリンタユニット102のLD制御回路220に入力される。LD制御回路220は、入力された画像信号に応じてパルス幅変調やパワー変調等を行なってLD221を駆動し、これによってLD221の点灯強度を調節している。
【0013】
またプリンタ制御回路222は、システム制御ユニット203と通信を行なうとともに、プリンタユニット102全体を制御している。例えば、LD制御回路220を制御してLD221を強制消灯したり、ポリゴンモータ116,感光体ドラムを回転駆動するモータ223および転写ベルトを回転駆動するモータ224等の回転制御、現像ユニット118の現像器K,C,MおよびYの選択制御、高圧電源225の各負荷(例えば帯電チャージャ,現像器,転写ベルト,転写チャージャ等)毎の出力制御、熱定着ユニット125(-1,2)の温度制御等を行なう。尚、プリンタユニット102は、上述の給紙カセット120-1,2の各々毎に、収納された記録紙の大きさを検出する紙サイズセンサ226を有しており、その検出結果はプリンタ制御回路222に出力されている。
操作表示ユニット201は、各種モードの選択肢や設定状態等や読取った原稿画像等を表示する表示部と表示部の押下位置を検出する検出部が一体となったTPD(タッチ・パネル・ディスプレイ)227、コピー枚数やコピー開始等を入力するためのキーボード228および操作表示制御回路229等から構成されている。操作表示制御回路229は、TPD227に各モードの選択肢等を表示してキー入力等を促したり、TPD227およびキーボード228からの入力を検出して、TPD227に設定された状態を表示するとともに、システム制御ユニット203と通信を行なって入力結果を送信する等を行っている。また、読取った原稿等の画像信号は、上述した領域制御回路214経由して送られ、TPD227に記憶される。
【0014】
次に、本実施形態の複写機における遅延回路230について説明する。
図4に、遅延回路230の構成例を示した図である。
図4において、γ変換回路212から入力された画像信号R,G,Bは、画像部分識別回路501に入力される。画像部分識別回路501は、該当する画素が画像部分か非画像部分かを識別して、識別信号502を出力する回路であリ、例えば、図5に示すように、画像信号R,G,Bの値がそれぞれ所定の閾値TH(レジスタ704に格納される)以下であることをコンパレータ701〜703により判定し、原稿の地肌部分と見なすことができる場合には、非画像部分(H出力)とし、それ以外は画像部分(L出力)とすることにより実現することができる。
一方、領域制御回路214から入力された切り換え信号503は、閉ループ領域検出回路504に入力される。閉ループ領域検出回路504は、領域指示方法として閉ループが選ばれた領域(以下閉ループ領域と呼ぶ)に当たるか否かを切り換え信号503の値によって判定し、閉ループ領域信号505を出力する回路である。閉ループ領域検出回路504は、例えば、図6に示すように、切り換え信号503の値に応じて閉ループ領域に当たるか(H)否か(L)を記憶したレジスタ705の出力信号を、切り換え信号503によりセレクタ706にて選択することで実現される。
また、開始/終了点検出回路506は、非閉ループ領域から閉ループ領域へ変化した閉ループ開始点、および、閉ループ領域から次に非閉ループ領域へと変化する閉ループ終了点を主走査方向に検出し、開始点信号507および終了点信号508を出力する回路である。開始/終了点検出回路506は、例えば、図7に示すように、フリップフロップ707,708,709に入力する閉ループ領域信号505を画素クロックCLKにより遅延して、該当画素および前後の画素の値を評価することにより実現することができる。
遅延制御回路509は切り換え信号503の遅延量を、上述した識別信号502,開始点信号507および終了点信号508に応じて制御し、出力する回路である。即ち、遅延制御回路509は、閉ループの開始点の位置と画像部分から非画像部分となる変化点の位置、あるいは閉ループ終了点の位置と非画像部分から画像部分となる変化点の位置とのずれに応じて、切り換え信号503の遅延量を変え、画像信号と切り換え信号のずれを補正する回路である。これにより、上述した原稿の輪郭の塗つぶしや原稿の輪郭周辺の塗残しを防止することができる。
【0015】
遅延制御回路509は、例えば図8に示すような回路で実現することができる。
図8において、開始点信号507および終了点信号508は、画素クロックCLKで動作するシフトレジスタ712および713に入力されており、これによりそれぞれ5画素分の開始点信号(S0〜S4)および終了点信号(E0〜E4)が得られる。尚、ここで、5画素分としているのは、本遅延制御回路が、注目画素に対して前後2画素までの補正を考慮しているためである。
識別信号502も同様なシフトレジスタ711に入力されており、これにより注目画素およびその前後の3画素分の識別信号(B1〜B3)が得られる。
一方、切り換え信号503は、多ビット構成の同様なシフトレジスタ710に入力されており、これにより注目画素とその前後2画素の切換信号(A0〜A4)が得られる。また、この切換信号(A0〜A4)は、遅延量決定回路510により制御されているセレクタ714に入力されている。
図8中の遅延量決定回路510は、開始点信号(S0〜S4),終了点信号(E0〜E4)および識別信号(B1〜B3)に基づいて、切り換え信号(A0〜A4)の選択を決定する回路であり、図9に示すように論理動作を行っており、選択信号Qnを出力する。
図9においては、注目画素が画像部分から非画像部分となる変化点(B3=L,B2=B1=H)にある場合は、開始点信号(S0〜S4)のみが評価される。例えば、“S2=H”であれば、画像信号と切り換え信号との間のずれは無いので“2”が出力され、“S3=H,S2=L”であれば、切り換え信号が1画素分だけ進んでいるので“3”が出力される。これにより、それぞれ注目画素の切り換え信号(A2),1画素前の切り換え信号(A3)がセレクタによって選択される。また、“S4=S3=S2=S1=S0=L”の場合は、制御の必要が無いので、前画素の結果(Qn-1)が保持される。
同様に、注目画素が非画像部分から画像部分となる変化点(B3=B2=H,B1=L)にある場合は、終了点信号(E0〜E4)のみが評価される。例えば、“E3=E2=L,E1=H”であれば、切り換え信号が1画素遅れているので“1”を出力し、これにより1画素後の切り換え信号(A1)がセレクタによって選択される。
尚、画像部分/非画像部分の変化点と認められない場合(B3=B1=L,B3=B1=H)は、前画素の結果(Qn-1)が保持される。
【0016】
以上のように、遅延制御回路509によれば、閉ループの開始点の位置と画像部分から非画像部分となる変化点の位置、あるいは閉ループ終了点の位置と非画像部分から画像部分となる変化点の位置とのずれに応じて、切り換え信号503の遅延量を変え、画像信号と切り換え信号のずれを補正することができるので、上述した原稿の輪郭の塗つぶしや原稿の輪郭周辺の塗残し等を防止することができる。また、この補正は塗つぶし以外に、色消去・色変換等の他の処理においても有効である。
また、上記においては、注目画素の前後の画素に関して、閉ループ開始点/終了点と画像部分/非画像部分の変化点の位置のずれを評価したが、これらの位置関係を予め固定化しても良い。この場合には、例えば、上述した図3の領域制御回路の例において、2値化回路601と画像メモリ602との間に、注目画素とその8隣接画素のOR処理等を行なう膨張回路606を追加して、図10のような構成とする。これによって、画像メモリ602には、実際の輪郭よりも太った閉ループ画像が記憶されるので、上述したような閉ループ輪郭の追跡を行なうと、実際の閉ループ輪郭よりも内側に位置する切り換え信号データが生成される。また、このような膨張回路を追加しなくとも、実際の閉ループ輪郭検出位置よりも内側に切換信号データを書込むようにソフトウェアで処理しても良い。
この場合には、位置関係が、(1)画像部分から非画像部分となる変化点、(2)閉ループ開始点、(3)閉ループ終了点、(4)非画像部分から画像部分となる変化点、の順に固定され、位置関係の固定化が実現される。
また、このように位置関係を固定化すると、図9における開始点信号(S3〜S4)および終了点信号(E0〜E1)に関係する処理が不要となり遅延回路の構成が簡素化されるので、より安価に遅延回路を実現することができる。
【0017】
一方、上述した図3の領域制御回路の例において、2値化回路601と画像メモリ602との間に、注目画素とその8隣接画素のAND処理等を行なう細線化回路607を追加して、図11のような構成にしても良い。これによって、画像メモリ602には、実際の輪郭よりも細くなった閉ループ画像が記憶されるので、上述したような閉ループ輪郭の追跡を行なうと、実際の閉ループ輪郭内部領域に位置する切り換え信号データが生成される。また、このような細線化回路を追加しなくとも、実際の閉ループ輪郭検出位置よりも輪郭内部領域側に切換信号データを書込むようにソフトウェアで処理しても良い。
この場合には、位置関係が、(1)閉ループ開始点、(2)画像部分から非画像部分となる変化点、(3)非画像部分から画像部分となる変化点、(4)閉ループ終了点、の順に固定され、位置関係の固定化が実現される。
また、このように位置関係を固定化すると、図9における開始点信号(S0〜S1)および終了点信号(E3〜E4)に関係する処理が不要となり、遅延回路の構成を簡素化することができるので、より安価に遅延回路をできる。
なお、以上では領域制御回路214に記憶される画像信号および切換信号データの解像度が、スキャナユニット101およびプリンタユニット102における読込みおよび書込み解像度よりも低い場合について説明した。しかし、例えば、原稿の載置位置が途中でずれる可能性がある場合や、スキャナユニット101における読取りの位置精度が悪い場合には、解像度が同じであっても、上述した塗つぶしや塗残しが生じる。本発明は、このような原稿の載置位置が途中でずれる可能性がある画像複写装置、あるいは、スキャナユニット101における読取りの位置精度が悪い画像複写装置にも適用することができる。
【0018】
【発明の効果】
前記のように請求項1の本発明では、制御手段が、閉ループの開始点の位置と画像部分から非画像部分となる変化点の位置、あるいは閉ループ終了点の位置と非画像部分から画像部分となる変化点の位置とのずれに応じて切り換え信号の遅延量を変えるので、画像信号と切り換え信号のずれを補正することができ、これにより原稿の輪郭の塗つぶしや原稿の輪郭周辺の塗残し等が防止されるので、高品質な処理が行われる画像複写装置を実現できる。
また、請求項2または請求項3の本発明では、前記切換信号出力手段は、前記画像信号から検出される閉ループ輪郭位置より内側領域を示す切換信号を生成して出力する、または前記画像信号から検出される閉ループ輪郭の内部位置より内側領域を示す切換信号を生成して出力することで、その切換信号の順序が所定の順序に固定されるので、制御手段の構成が簡素化され、より安価な画像複写装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の画像複写装置の機構部の概略構成を示す図である。
【図2】図1の画像複写装置の電装部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】領域制御回路の構成例を示したブロック図である。
【図4】遅延回路の構成例を示したブロック図である。
【図5】画像部分識別回路の構成例を示したブロック図である。
【図6】閉ループ領域検出回路の構成例を示したブロック図である。
【図7】開始/終了点検出回路の構成例を示したブロック図である。
【図8】遅延制御回路の構成例を示したブロック図である。
【図9】遅延量決定回路の論理動作を示す図表である。
【図10】領域制御回路の構成例を示したブロック図である。
【図11】領域制御回路の構成例を示したブロック図である。
【図12】(a)〜(d)は、閉ループの内部領域を指定して出力する場合の動作を示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、図12の閉ループを拡大して示した図である。
【符号の説明】
101・・・スキャナユニット(読取手段)、102・・・プリンタユニット(記録手段)、105・・・ハロゲンランプ、110・・・CCD、111・・・画像処理ユニット(現像処理手段)、116・・・ポリゴンモータ、118・・・現像ユニット、125・・・熱転写ユニット、201・・・操作表示ユニット(操作手段)、202・・・複写機(画像複写装置)、203・・・システム制御ユニット(制御手段)、204・・・LAN接続装置、205・・・LAN、206・・・ワークステーション、207・・・パーソナルコンピュータ、208・・・AD変換回路、209・・・スキャナ制御回路、210・・・キャリッジ駆動モータ、211・・・原稿サイズセンサ、212・・・γ変換回路、213・・・像域分離回路、214・・・領域制御回路(切換信号出力手段)、215・・・フィルタ回路、216・・・色補正回路、217・・・変倍回路、218・・・階調処理回路、219・・・画像処理制御回路、220・・・LD制御回路、221・・・LD、222・・・プリンタ制御回路、223・・・感光体ドラム駆動用モータ、224・・・転写ベルト駆動用モータ、225・・・高圧電源、226・・・紙サイズセンサ、227・・・タッチパネルディスプレイ(TPD)、228・・・キーボード、229・・・操作表示制御回路、230・・・遅延回路(遅延手段)
Claims (3)
- 画像信号に対して所定の画像処理を施す画像処理手段と、前記画像処理が施された画像信号に基づいて記録媒体上に画像を記録する記録手段と、前記画像処理手段と記録手段とを用いて実施される画像複写処理についての各種設定を行うと共に該画像複写処理の設定に必要な各種表示を行う操作手段と、画像複写処理の制御を司る制御手段と、を有し、
前記画像処理手段が、前記画像信号中から閉ループを形成している画像を検出して該閉ループの輪郭線を前記操作手段に表示すると共に、画像処理が行われる画像信号が前記閉ループの輪郭線であるか輪郭線以外であるかを区別するために前記画像信号に同期して切換信号を出力する切換信号出力手段を備える画像複写装置において、
前記画像処理手段には、前記画像信号に基づいて画像部分と非画像部分とを識別する識別信号を生成し、前記切換信号に基づいて前記閉ループの開始点を示す開始点信号および終了点を示す終了点信号を生成し、前記識別信号、開始点信号および終了点信号に基づいて前記切換信号を所定時間だけ遅延させるための遅延タイミングを決定し、該所定の遅延タイミングだけ遅延させた切換信号を出力する遅延手段を有し、
前記画像処理手段は、前記遅延手段により遅延された切換信号のタイミングに基づいて前記画像信号に画像処理を施すことを特徴とする画像複写装置。 - 前記切換信号出力手段は、前記画像信号から検出される閉ループ輪郭位置より内側領域を示す切換信号を生成して出力することを特徴とする請求項1に記載の画像複写装置。
- 前記切換信号出力手段は、前記画像信号から検出される閉ループ輪郭の内部位置より内側領域を示す切換信号を生成して出力することを特徴とする請求項1に記載の画像複写装置。
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