JP3906904B2 - スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に係り、とくにスクリーンの下面にワークを重合わせてペースト状物質をワークの表面に塗布するようにしたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子回路装置を組立てる場合には、回路基板上に電子部品を実装することにより行なう。ここで回路基板として絶縁材料から成る基板が用いられる。基板の表面に銅箔が接合されるとともに、エッチングによって所定の配線パターンが形成される。そしてその上に電子部品を実装し、電子部品の電極や端子を回路基板の配線パターンの接続用ランドに半田付けする。
【0003】
上記のような電子部品の電極と回路基板の接続用ランドとの半田付けのために、クリーム半田が用いられる。すなわち配線を施した回路基板の表面の所定の位置に、スクリーン印刷の方法によってクリーム半田を印刷して付着させる。そしてその上に電子部品を位置決めした状態で実装する。そして電子部品が搭載された回路基板をリフロー炉内に静かに導入する。リフロー炉内の熱によってクリーム半田が溶融し、これによって電子部品の電極が回路基板の接続用ランドに半田付けされる。従って電子回路の製造の際に、回路基板上にスクリーン印刷の方法によってクリーム半田を塗布するためのスクリーン印刷装置が必要になる。
【0004】
一般にスクリーン印刷装置は、スクリーンに設けられた孔から成るパターンを通してクリーム半田を基板のランドに印刷する装置であって、次のようなユニットを必要とする。すなわちクリーム半田をスクリーンのパターンに押込むためのスキージユニット、スクリーンの裏側やパターンに残留したクリーム半田を清掃するクリーニングユニット、基板上に設けられたアライメントマークを検出して基板の位置を認識するカメラユニット、印刷がその表面に行なわれる基板を固定してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、およびθ軸方向のそれぞれの位置決めをする位置決めテーブル等から構成される。本願はこのようなクリーム半田印刷機に好適に用いられる改良に関するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなスクリーン印刷装置において、クリーム半田を押しながらスクリーン上を摺動するスキージの側端が開放されていると、スキージの側端を通してクリーム半田が側方に逃げることになる。そこで例えば特許第29270545号公報には、スキージの両端にそれぞれはみ出し防止部材を取付けるようにし、このはみ出し防止部材によってクリーム半田が側方にはみ出すのを防止するようにしている。
【0006】
ところが上記のはみ出し防止部材の少なくとも内側の表面はスクリーンの摺動方向と一致する直線状をなしている。従ってスキージの側方にはみ出したクリーム半田をスキージの両端よりも内側に寄せることができない。とくこの種のスクリーン印刷装置は一対のスキージを有し、ストロークの終端において一方のスキージが上昇するとともに他方のスキージが下降する。従って上昇するときにスキージの端部に付着しているクリーム半田が落下し、スキージの幅の外側にはみ出す可能性があり、このようなクリーム半田をスキージの内側に寄せることができない問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、スキージの外側にはみ出したペースト状物質をスキージの幅の内側へ戻すことができるようにしたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願の主要な発明は、スキージをスクリーン上を摺動させながら前記スクリーン上に供給されたペースト状物質を前記スクリーンの開口を通して前記スクリーンの下側に接して配されているワークの表面に塗布するようにしたスクリーン印刷装置において、
前記スキージの両側にそれぞれ前記ペースト状物質がはみ出すのを防止するはみ出し防止部材を備え、前記はみ出し防止部材はスキージの摺動方向前方側が前記スキージの側端よりも側方に広がるとともに、スキージの摺動方向後方側が前記スキージの側端よりも内側に位置し、
前記はみ出し防止部材の作動部が該はみ出し防止部材を前記スキージのホルダに取付ける基部に弾性変形部を介して一体に連結され、
高さ方向に所定の間隔を隔ててほぼ水平に配された2枚の板ばねから成る平行ばね構造の前記はみ出し防止部材の第1の弾性変形部によって前記作動部が前記スクリーンに対して高さ方向に弾性変形可能に支持されるとともに、
前記スキージの摺動方向に所定の間隔を隔てて配されかつそれぞれが前記第1の弾性変形部を構成する一対の平行ばね構造から成る前記はみ出し防止部材の第2の弾性変形部によって前記作動部が前記スキージの摺動方向に弾性変形可能に支持されることを特徴とするスクリーン印刷装置に関するものである。
【0009】
スクリーン印刷方法に関する主要な発明は、スキージをスクリーン上を摺動させながら前記スクリーン上に供給されたペースト状物質を前記スクリーンの開口を通して前記スクリーンの下側に接して配されているワークの表面に塗布するようにしたスクリーン印刷方法において、
前記スキージの両側にそれぞれ前記ペースト状物質がはみ出すのを防止するはみ出し防止部材を取付け、前記はみ出し防止部材はスキージの摺動方向前方側が前記スキージの側端よりも側方に広がるとともに、スキージの摺動方向後方側が前記スキージの側端よりも内側に位置し、
前記はみ出し防止部材の作動部が該はみ出し防止部材を前記スキージのホルダに取付ける基部に弾性変形部を介して一体に連結され、
高さ方向に所定の間隔を隔ててほぼ水平に配された2枚の板ばねから成る平行ばね構造の前記はみ出し防止部材の第1の弾性変形部によって前記作動部が前記スクリーンに対して高さ方向に弾性変形可能に支持されるとともに、
前記スキージの摺動方向に所定の間隔を隔てて配されかつそれぞれが前記第1の弾性変形部を構成する一対の平行ばね構造から成る前記はみ出し防止部材の第2の弾性変形部によって前記作動部が前記スキージの摺動方向に弾性変形可能に支持されることを特徴とするスクリーン印刷方法に関するものである。
【0010】
上記スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関する発明において、前記はみ出し防止部材の前記スクリーンと接する作動部は曲線、直線、または曲線と直線の組合わせによって構成され、全体として前記スクリーンの摺動方向に対して傾斜していてよい。
【0011】
本願に含まれる発明の好ましい態様は、スキージがスクリーン上を摺動してこのスクリーン上に供給されているクリーム半田をスクリーンの開口部を通してスクリーンの裏側に密着する回路基板の所定の位置へ印刷するクリーム半田印刷機において、スキージホルダの両端に設けられ、印刷時にスキージの外側へクリーム半田がはみ出すのを防止するはみ出し防止部材を備え、このはみ出し防止部材の側面はスクリーンと接触する高さにおいて印刷方向のスキージよりも前端側はスキージの側端の位置から前端までの位置を前端側の方がスキージの幅方向に広がるような傾斜した形状とし、スキージよりも後側においてはスキージの側端から後端までの位置を後端部の方がスキージの幅よりも狭くなるような傾斜する形状となるような作動部で構成するようにしたクリーム半田印刷機である。
【0012】
ここで上記はみ出し防止部材の作動部の形状は直線、曲線、あるいは直線と曲線の組合わせで構成してよい。またスキージホルダの両端に設けられるとともに、印刷時にスキージの外側へスクリーム半田のはみ出しを防止する防止部材は、そのスクリーンに接触する作動部がばね性を持ってスクリーンに押付けられるように構成され、しかもばね性を発現する部分が平行ばね構造から成り、このような平行ばね構造を介して作動部が支持されるようにしてよい。またはみ出し防止部材の作動部を支持する平行ばね構造が2個所あり、第1の個所においてはその平行動作方向が上下方向であって作動部をスクリーンへ押付ける方向であり、別の個所は作動部をスキージの摺動方向に弾性的に変化させることを特徴とするクリーム半田印刷機である。
【0013】
以上のような態様によれば、はみ出し防止部材の作動部の少なくとも一部を傾斜構造としたことによって、スキージの幅よりも外側にはみ出したクリーム半田をスキージの外側よりも内側に寄せることができるようになる。またはみ出し防止部材の作動部を平行ばね構造で支持するようにしているために、単純な構造でありながらしかもはみ出し防止部材が上下方向、前後方向、および回転方向に複雑な動きを実現することが可能になる。
【0014】
従ってスキージの外側へクリーム半田がはみ出すのを防止でき、はみ出したクリーム半田をスキージの内側へ戻すことによって、作業者の処理の手間を省くことが可能になるばかりでなく、クリーム半田の酸化の進行を減少させ、クリーム半田の品質の維持を図ることが可能になる。またはみ出し防止部材を合成樹脂によって一体成形することにより、シンプルな構造を実現することが可能になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下本願の発明の一実施の形態を図面によって説明する。図1および図2はこのスクリーン印刷装置の正面図および側面図を示しており、図3および図4はこのようなスクリーン印刷装置のワークの位置決め機構の正面図および側面図を示している。これらの図によってスクリーン印刷装置の概要を説明する。
【0016】
このスクリーン印刷装置は図1および図2に示すように、背面側に直立する支持ベース10を備えている。そしてこの支持ベース10上にはその下側の前面に横方向に延びる上下に所定の間隔を隔てた案内レール11、12を有しており、これらの案内レール11、12によってキャリッジ13を移動自在に支持している。キャリッジ13はカメラユニット14を支持しており、このカメラユニット14によって画像認識カメラ15が支持されるようになっている。なおこの画像認識カメラ15は後述する基板の画像認識を行なうためのものである。
【0017】
上記一対の案内レール11、12によってさらに別のキャリッジ18が支持されるようになっている。キャリッジ18にはクリーニングユニット19が支持されている。クリーニングユニット19は図3に示すようにクリーニングテープ20によって後述するスクリーンの下面をクリーニングするためのものである。そしてクリーニングテープ20がこのクリーニングユニット19の繰出しローラ21から繰出され、クリーニングを終ったクリーニングテープ20が巻取りローラ22によって巻採られるようになっている。
【0018】
上記カメラユニット14およびクリーニングユニット19の移動範囲の上側にスクリーン25が配設される。スクリーン25は枠体26によってその4辺が固定された状態で張設されている。そして枠体26が取付けフレーム27によってこの印刷装置の所定の位置に固定される。
【0019】
スクリーン25上には一対のスキージ31、32が配設される。スキージ31、32はそれぞれ支持体33、34に支持されるとともに、支持体33、34がそれぞれエアシリンダ35、36によって支持されるようになっている。
【0020】
上記支持ベース10の表面側であってその上側の部分には横方向に延びる一対の案内レール37、38が配列されており、これらの案内レール37、38によってキャリッジ39が移動可能に支持されている。そしてこのようなキャリッジ39によって上記スキージ31、32が横方向に移動されるようになっている。
【0021】
次に上記スクリーン25の下側においてワークを構成する基板を位置決めするための位置決め装置について説明する。図3および図4に示すようにこの装置はベース43を備え、ベース43上に4本のZ軸ガイド44が直立して設けられている。そしてZ軸ガイド44によって下側のZ軸テーブル45がZ軸方向、すなわち垂直方向に移動可能に支持されている。Z軸テーブル45はベース43の下側に取付けられているエアシリンダ46のロッド47によって押上げられるようになっており、Z軸ガイド44によって昇降自在に移動されるようになっている。そしてZ軸ガイド44に設けられているストッパ48によって上方の移動位置が規制される。
【0022】
Z軸テーブル45上にはY軸テーブル51が搭載され、このY軸テーブル51の上にX軸テーブル52が搭載されている。そしてX軸テーブル52の上にθ軸テーブル53が搭載されている。そしてθ軸テーブル53上に取付け板54が取付けられている。
【0023】
上記取付け板54上には4本のZ軸ガイド55が上方に延びるように配設されており、これらのガイド55によってZ軸テーブル56が昇降自在に支持されている。そして図示を省略したモータとZ軸テーブル56のボールねじ58とが連動されており、これによってZ軸テーブル56の昇降動作が行なわれるようになっている。そしてZ軸テーブル56上には基板取付け治具60が取付けられており、この基板取付け治具60によって基板61の吸着保持を行なうようにしている。これによってスクリーン25の下側に基板61の位置決めユニット50が配置されることになる。
【0024】
次に上記取付け板54に設けられている基板61の保持のための機構について図4により説明すると、取付け板54上にはその両側にそれぞれ支持体65、66が設けられている。そして左側の支持体65にはその上端に固定ガイド67が固定されている。これに対して右側の支持体66の上端にはベース68を介して移動ガイド69が取付けられている。また支持体65、66によってコンベアベルト70が支持されている。
【0025】
上記支持体65、66にはそれぞれ側方に延びるようにアーム73、74が設けられ、これらのアーム73、74に支持部材75、76を介して押え爪77、78が設けられている。これらの押え爪77、78が後述するように、この位置決め装置の上へ導入された基板61の幅方向の両側を上から押えるようになっている。
【0026】
上記支持体65、66によって支持されているコンベアベルト70の上流側と下流側とにはそれぞれ図3に示すように搬入コンベア81と排出コンベア82とが配設され、これらの搬入コンベア81とコンベアベルト70とによって基板61を位置決めユニット50の基板取付け治具60上に導入し、印刷を終った後に排出コンベア82によって排出するようにしている。
【0027】
次にスクリーン25上を摺動してクリーム半田の印刷を行なうスキージ31、32の支持構造について説明する。図5〜図7に示すようにスキージ31は支持体33に連結用ブラケット106およびスキージホルダ107を介して取付けられるようになっている。そしてスキージホルダ107に取付けられたスキージ31を反対側から押え板108によって押えるようにしている。
【0028】
上記支持体33の下端側であって幅方向の両側にはそれぞれ小さな係止用切欠き111が形成されている。また支持体33の下端側にはその幅方向のほぼ中央部に凹部112が形成されている。さらにこの凹部112の両側に位置するように支持体33の下端側であってその前面側には一対の雌ねじ孔113が形成されている。
【0029】
これに対して連結用ブラケット106はその上面に挿入穴116を備えるとともに、この挿入穴116の両側にそれぞれフックレバー117が配されている。フックレバー117はその先端部に爪118を備え、これらの爪118が上記支持体33の係止用切欠き111に係止される構造になっている。
【0030】
さらに連結用ブラケット106はその正面側に一対の切欠き119を有しており、これらの切欠き119を挿通する本締め用ねじ120が上記支持体33の雌ねじ孔113に螺着されるようになっており、これによって連結用ブラケット106が支持体33の下端に連結された状態で固定されるようになっている。
【0031】
スキージホルダ107はその長さ方向の中間位置、すなわちスキージ31の幅方向の中間部分と対応する位置に上方に突出する突部123を備え、この突部123に挿通孔124が形成されている。そしてこの挿通孔124に対応して連結用ブラケット106には挿通孔125が形成されている。これらの挿通孔124、125を挿通するようにピン126が組込まれる。そしてピン126と連結用ブラケット106の挿通孔125との間にはボールベアリング127が介装されるようになっている。このような回動機構によってスキージホルダ107に取付けられるスキージ31のイコライズ機構が達成される。なお上記スキージホルダ107の長さ方向の両端にはそれぞれ合成樹脂製のはみ出し防止部材130が固定される。
【0032】
スキージ31の両端に配されるはみ出し防止部材130はジュラコン樹脂、ポリアセタール樹脂等の合成樹脂成形体によって一体に成形されたものであって、図8〜図13に示すようにこのはみ出し防止部材130をスキージホルダ107に取付けるためのL字状基部131を備えている。このL字状基部131の側端には取付け孔132が形成され、この取付け孔132内を挿通する取付け用ねじ133(図6参照)によってスキージホルダ107に取付けられるようになっている。またL字状基部131に対してその前後にはそれぞれ平行ばね部134が設けられている。
【0033】
平行ばね部134は上下の平板状をなす板ばね状部分をそれぞれ水平にかつ上下方向に所定の間隔で配するようにしたものである。そして上記平行ばね部134の前端側が保持部135になっており、この保持部135の下端側に作動部136が一体に連設されている。作動部136はその中間位置が直線状をなす直線状部137から構成されるとともに、この直線状部137に対してスキージ31の摺動方向前方側が前端側拡大部138になっており、これに対して作動部136に対してスキージ31の後側が後端側縮小部139になっている。
【0034】
次にこのような構成に係るスクリーン印刷装置の動作を説明する。まずこの印刷装置の動作の全体の概要を説明すると、図3に示すコンベアベルト70上に基板61が存在しない場合に、位置決めユニット50のY軸テーブル51とX軸テーブル52とが作動し、この位置決めユニット50の上側の部分が搬入コンベア81側に移動する。そして搬入コンベア81およびコンベアベルト70を作動させて基板61をコンベアベルト70上に導入し、所定の位置で停止させるとともに、コンベア70も停止する。図3は基板61がこの位置で停止した状態が示されている。
【0035】
次に上側のZ軸テーブル56が図外のモータおよびボールねじ58によって上昇され、基板61をコンベア70から持上げる。そしてこの後に基板61の固定と反りの修正とが行なわれる。基板61の反りを修正して基板61を位置決めユニット50の基板取付け治具60に固定した後に、図1に示すカメラユニット14がキャリッジ13によって案内レール11、12に沿って移動され、画像認識カメラ15が基板61の上方に移動し、基板61上のアライメントマークの認識を行なう。
【0036】
このような画像認識カメラ15による基板61のアライメントマークの検出に連動して、制御ユニットによってX軸テーブル52、Y軸テーブル51、θ軸テーブル53を駆動して基板61の位置ずれを修正する。そしてこの後にエアシリンダ46を作動させ、位置決めユニット50の全体を上昇させてスクリーン25の下面に基板61を接触させる位置まで上方に移動させる。
【0037】
そしてこのような状態でスキージ31、32がスクリーン25上を摺動してクリーム半田62の印刷を行なう(図14参照)。一連の印刷作業が終了した後に、ボールねじ58によって上側のZ軸テーブル56を下方に移動させ、これによって基板61をスクリーン25から版離れさせる。そしてこの後に下側のZ軸テーブル45をエアシリンダ46によって降下させる。次に基板取付け治具60による基板61の吸着固定を解除する。そしてこの後にX軸テーブル52とY軸テーブル51とを駆動し、この位置決めユニット50を排出コンベア82側へ移動させ、コンベアベルト70と排出コンベア82とをともに移動させて基板61を排出コンベア82によって排出する。
【0038】
このようにしてクリーム半田62を回路基板61の表面に印刷するスクリーン印刷機において、スキージ31は図5〜図7に示すようにスキージホルダ107に取付けられている。スキージホルダ107はスクリーン25にスキージ31が密着できるように図5および図6に示す揺動機構を介して駆動部に取付けられている。図14はこのようなスキージ31によって回路基板61の表面にクリーム半田62を印刷によって塗布する状態を原理的に示したものである。
【0039】
ここでとくにスキージホルダ107の両端にははみ出し防止部材130が取付けられ、スキージ31の両端に位置している。しかもこのはみ出し防止部材130はその作動部136が図15に示すように、傾斜する前端側拡大部138、直線状部137、および傾斜する後端側縮小部139から構成されている。このような形状において、とくにはみ出し防止部材130の作動部136の前端側の幅はスキージ31の幅よりも広くなっており、作動部136の後端はスキージ31よりもその幅が狭くなっている。このような構成によって、印刷時やスキージ31が上昇する際におけるクリーム半田のスクリーン25上への落下によって、スキージ31の幅よりも外側にはみ出したクリーム半田62をスキージ31の幅の内側へ寄せることが可能になる。なおここでとくに傾斜をなす前端側拡大部138および後端側縮小部139は曲線や直線と曲線の組合わせであってもよい。
【0040】
上記はみ出し防止部材130の平行ばね部134はL字状基部131を介してスキージホルダ107の両端に取付け用ねじ133を介して取付けられる。この構造によってはみ出し防止部材130は、とくに平行ばね部134の弾性を有した状態で作動部136がスクリーン25に平行に押付けられるシンプルな構造を実現している。
【0041】
しかもはみ出し防止部材130はそのL字状基部131に対してその前端と後端とにそれぞれ平行ばね部134を備え、これら一対の平行ばね部134がさらに別の平行ばね部を構成している。すなわち第1の平行ばね部134によって作動部136が図9、図12および図13において矢印141で示すように上下方向に移動可能に支持される。また前後の一対の平行ばね部134によって作動部136は図8、図12および図13において矢印142で示すようにスキージ31の摺動方向に移動可能に支持される。従ってこれら2方向の運動を組合わせた回転方向の僅かな動きも可能になり、これによって作動部136のスクリーン25に対する押付け性能が向上するようになっている。なおはみ出し防止部材130の作動部136のスクリーン25に対する押付け力は、平行ばね部134とは別にばね材を使うことによって調整することもできる。
【0042】
スキージ31は図5〜図7に示すようにスキージホルダ107に固定される。そしてスキージホルダ107は連結用ブラケット106に連結される。そして連結用ブラケット106と支持体33との着脱は、スキージ31の交換の際に容易に外せるようにフックレバー117を介して連結している。また両側のはみ出し防止部材130は平行ばね部134によってその作動部136がL字状基部131に一体に連結される構造になっている。このように作動部136と平行ばね部134とを備えるはみ出し防止部材130を図8〜図13に示すようにプラスチックによって一体的に成形して製作することによって、大幅な部品点数の削減が図られる。
【0043】
このようなはみ出し防止部材130をスキージ31の両側に配することによって、スキージ31の幅よりも外側にはみ出したクリーム半田62をスキージ31の外側よりも内側に寄せることができる。またはみ出し防止部材130が前後に一対ずつの平行ばね部134を設ける構造にしているために、作動部136の上下方向、前後方向、および回転方向の複雑な動きが実現できるようになっている。これによってスキージ31の幅の外側へはみ出したクリーム半田62をスキージ31の内側へ戻すことによって、作業者の処理の手間を省き、酸化の進行を減少させ、クリーム半田62の品質の維持を図ることが可能になる。
【0044】
【発明の効果】
本願の主要な発明は、スキージをスクリーン上を摺動させながらスクリーン上に供給されたペースト状物質をスクリーンの開口を通してスクリーンの下側に接して配されているワークの表面に塗布するようにしたスクリーン印刷装置において、スキージの両側にそれぞれペースト状物質がはみ出すのを防止するはみ出し防止部材を備え、はみ出し防止部材はスキージの摺動方向前方側がスキージの側端よりも側方に広がるとともに、スキージの摺動方向後方側がスキージの側端よりも内側に位置し、はみ出し防止部材の作動部が該はみ出し防止部材をスキージのホルダに取付ける基部に弾性変形部を介して一体に連結され、高さ方向に所定の間隔を隔ててほぼ水平に配された2枚の板ばねから成る平行ばね構造のはみ出し防止部材の第1の弾性変形部によって作動部がスクリーンに対して高さ方向に弾性変形可能に支持されるとともに、スキージの摺動方向に所定の間隔を隔てて配されかつそれぞれが第1の弾性変形部を構成する一対の平行ばね構造から成るはみ出し防止部材の第2の弾性変形部によって作動部がスキージの摺動方向に弾性変形可能に支持されるようにしたものである。
【0045】
従ってこのようなスクリーン印刷装置によれば、スキージの側端にはみ出したペースト状物質をはみ出し防止部材によってスクリーンの幅の内側へ引戻すことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリーン印刷装置の全体の構成を示す正面図である。
【図2】同スクリーン印刷装置の側面図である。
【図3】基板の位置決めユニットの構造を示す正面図である。
【図4】同位置決めユニットの側面図である。
【図5】スキージの支持構造を示す分解斜視図である。
【図6】同支持構造の正面図である。
【図7】同支持構造の一部を破断した側面図である。
【図8】はみ出し防止部材の平面図である。
【図9】同はみ出し防止部材の正面図である。
【図10】同はみ出し防止部材の底面図である。
【図11】同はみ出し防止部材の側面図である。
【図12】同はみ出し防止部材の斜視図である。
【図13】同はみ出し防止部材の反対側から見た斜視図である。
【図14】クリーム半田の印刷を原理的に示す要部縦断面図である。
【図15】はみ出し防止部材の作動部の機能を示す要部平面図である。
【図16】はみ出し防止部材の機能を示す要部側面図である。
【符号の説明】
10‥‥支持ベース、11、12‥‥案内レール、13‥‥キャリッジ、14‥‥カメラユニット、15‥‥画像認識カメラ、18‥‥キャリッジ、19‥‥クリーニングユニット、20‥‥クリーニングテープ、21‥‥繰出しローラ、22‥‥巻取りローラ、25‥‥スクリーン、26‥‥枠体、27‥‥取付けフレーム、31、32‥‥スキージ、33、34‥‥支持体、35、36‥‥エアシリンダ、37、38‥‥案内レール、39‥‥キャリッジ、43‥‥ベース、44‥‥Z軸ガイド、45‥‥Z軸テーブル、46‥‥エアシリンダ、47‥‥ロッド、48‥‥ストッパ、50‥‥位置決めユニット、51‥‥Y軸テーブル、52‥‥X軸テーブル、53‥‥θ軸テーブル、54‥‥取付け板、55‥‥Z軸ガイド、56‥‥Z軸テーブル、58‥‥ボールねじ、60‥‥基板取付け治具、61‥‥回路基板、62‥‥クリーム半田、65、66‥‥支持体、67‥‥固定ガイド、68‥‥ベース、69‥‥移動ガイド、70‥‥コンベアベルト、73、74‥‥アーム、75、76‥‥支持部材、77、78‥‥押え爪、81‥‥搬入コンベア、82‥‥搬出コンベア、106‥‥連結用ブラケット、107‥‥スキージホルダ、108‥‥押え板、111‥‥係止用切欠き、112‥‥凹部、113‥‥雌ねじ孔、116‥‥挿入穴、117‥‥フックレバー、118‥‥爪、119‥‥切欠き、120‥‥本締め用ねじ、123‥‥突部、124、125‥‥挿通孔、126‥‥ピン、127‥‥ボールベアリング、130‥‥はみ出し防止部材、131‥‥L字状基部、132‥‥取付け孔、133‥‥取付け用ねじ、134‥‥平行ばね部、135‥‥保持部、136‥‥作動部、137‥‥直線状部、138‥‥前端側拡大部、139‥‥後端側縮小部、141‥‥上下方向(矢印)、142‥‥前後方向(矢印)
Claims (4)
- スキージをスクリーン上を摺動させながら前記スクリーン上に供給されたペースト状物質を前記スクリーンの開口を通して前記スクリーンの下側に接して配されているワークの表面に塗布するようにしたスクリーン印刷装置において、
前記スキージの両側にそれぞれ前記ペースト状物質がはみ出すのを防止するはみ出し防止部材を備え、前記はみ出し防止部材はスキージの摺動方向前方側が前記スキージの側端よりも側方に広がるとともに、スキージの摺動方向後方側が前記スキージの側端よりも内側に位置し、
前記はみ出し防止部材の作動部が該はみ出し防止部材を前記スキージのホルダに取付ける基部に弾性変形部を介して一体に連結され、
高さ方向に所定の間隔を隔ててほぼ水平に配された2枚の板ばねから成る平行ばね構造の前記はみ出し防止部材の第1の弾性変形部によって前記作動部が前記スクリーンに対して高さ方向に弾性変形可能に支持されるとともに、
前記スキージの摺動方向に所定の間隔を隔てて配されかつそれぞれが前記第1の弾性変形部を構成する一対の平行ばね構造から成る前記はみ出し防止部材の第2の弾性変形部によって前記作動部が前記スキージの摺動方向に弾性変形可能に支持されることを特徴とするスクリーン印刷装置。 - 前記はみ出し防止部材の前記スクリーンと接する作動部は曲線、直線、または曲線と直線の組合わせによって構成され、全体として前記スクリーンの摺動方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
- スキージをスクリーン上を摺動させながら前記スクリーン上に供給されたペースト状物質を前記スクリーンの開口を通して前記スクリーンの下側に接して配されているワークの表面に塗布するようにしたスクリーン印刷方法において、
前記スキージの両側にそれぞれ前記ペースト状物質がはみ出すのを防止するはみ出し防止部材を取付け、前記はみ出し防止部材はスキージの摺動方向前方側が前記スキージの側端よりも側方に広がるとともに、スキージの摺動方向後方側が前記スキージの側端よりも内側に位置し、
前記はみ出し防止部材の作動部が該はみ出し防止部材を前記スキージのホルダに取付ける基部に弾性変形部を介して一体に連結され、
高さ方向に所定の間隔を隔ててほぼ水平に配された2枚の板ばねから成る平行ばね構造の前記はみ出し防止部材の第1の弾性変形部によって前記作動部が前記スクリーンに対して高さ方向に弾性変形可能に支持されるとともに、
前記スキージの摺動方向に所定の間隔を隔てて配されかつそれぞれが前記第1の弾性変形部を構成する一対の平行ばね構造から成る前記はみ出し防止部材の第2の弾性変形部によって前記作動部が前記スキージの摺動方向に弾性変形可能に支持されることを特徴とするスクリーン印刷方法。 - 前記はみ出し防止部材の前記スクリーンと接する作動部は曲線、直線、または曲線と直線の組合わせによって構成され、全体として前記スクリーンの摺動方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載のスクリーン印刷方法。
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