JP3904490B2 - アミド誘導体の製造方法及び中間体 - Google Patents
アミド誘導体の製造方法及び中間体 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウイルス由来のプロテアーゼ阻害作用を有するHIV関連疾患治療薬として有用な式〔XVI〕
【0002】
【化8】
【0003】
〔式中、Meはメチル基、Bu-tはt−ブチル基、Phはフェニル基である〕
で示される化合物の新規製造方法に関するものであり、また、当該化合物〔XVI〕を製造するために有用な各種新規中間体化合物及びその製造方法に関するものである。なお、これら中間体化合物は、上記化合物〔XVI〕の製造に限らず、各種化合物の製造にも使用できる。
【0004】
【従来の技術】
上記HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な化合物〔XVI〕は、国際公開番号WO95/09843号に記載されるように公知である。また、当該化合物〔XVI〕は、従来においてはセリンを出発原料としてこれに増炭反応を施すとともに、立体選択的なカルボニル基の還元反応等を含む非常に多くの工程を経て製造されるものであった。しかし、これら従来の製造方法は高価な原料を必要とするばかりか、反応条件も一定の低温条件を必要とする等、極めて繁雑であるとともに非効率なものであった。従って、従来の合成法を工業的に実施するためには、なお多くの解決しなければならない問題点があった。
【0005】
また、2,2−ジメチル−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オールは、例えば米国特許第4439613号明細書に記載されているが、これはX線造影剤として有用な化合物を製造するための中間体であり、得られる化合物はラセミ体であって、このもの自体を再結晶等の方法でラセミ分割することは甚だ困難であった。また、同文献には本発明のような特定のエナンチオマーを製造することについては、何ら示唆する記載はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点の解決された、HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な上記化合物〔XVI〕を立体選択的に極めて効率よく製造できる製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、当該化合物を製造するために有用な新規中間体化合物及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、(z)−2−ブテン−1,4−ジオールをアセタール化又はケタール化し、更にエポキシ化して得られる3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、キラルなアミンによりエポキシ開環反応を行うことにより、立体特異的に(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体となし、更に諸工程を経ることによって、下記式〔XV〕で表される化合物、つまりHIVプロテアーゼ阻害剤として有用な上記化合物〔XVI〕を含む化合物を、立体選択的に極めて効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は下記(1)〜(15)に示す通りである。
(1)一般式〔V〕
【0009】
【化9】
【0010】
〔式中、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基であるか、或いはR1とR2が隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキル環を形成してもよく、R3は(R)又は(S)の立体配置を有するアラルキルアミン残基又はアミノ酸誘導体残基である〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(2)一般式〔III〕
【0011】
【化10】
【0012】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、一般式〔IV〕
R3−NH2 〔IV〕
〔式中、R3は前記と同じである〕
で示されるキラルなアミンによりエポキシ開環反応を行い、生成した異性体混合物を結晶化処理することを特徴とする、一般式〔V〕
【0013】
【化11】
【0014】
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(3)一般式〔VI〕
【0015】
【化12】
【0016】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(4)一般式〔III〕
【0017】
【化13】
【0018】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、一般式〔IV〕
R3−NH2 〔IV〕
〔式中、R3は前記と同じである〕
で示されるキラルなアミンによりエポキシ開環反応を行い、生成した異性体混合物を結晶化処理することにより、一般式〔V〕
【0019】
【化14】
【0020】
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体を製造した後、この化合物のアミノ基上の置換基を除去して6位を無置換アミノ基とすることを特徴とする、一般式〔VI〕
【0021】
【化15】
【0022】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩の製造方法。
(5)一般式〔X〕
【0023】
【化16】
【0024】
〔式中、R4は置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基であり、R5は水素原子又はアシル基であり、Zは酸素原子と一体となって脱離基として機能する置換基である〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(6)一般式〔IX〕
【0025】
【化17】
【0026】
〔式中、R1、R2、R4及びZは前記と同じである〕
で示される1,3−ジオキセパン誘導体又はその鏡像体を、ルイス酸で処理することによりオキサゾリン環形成を行い、その後必要によりアシル化することを特徴とする、一般式〔X〕
【0027】
【化18】
【0028】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(7)一般式〔VI〕
【0029】
【化19】
【0030】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩を、塩基の存在下に、R4基を有する反応性カルボン酸誘導体〔R4は前記と同じである〕と反応させて、一般式〔VIII〕
【0031】
【化20】
【0032】
〔式中、R1、R2及びR4は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アシルアミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体となし、引き続きスルホニル化剤と反応させた後、ルイス酸処理し、必要によりさらにアシル化することを特徴とする、一般式〔X〕
【0033】
【化21】
【0034】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(8)一般式〔XI〕
【0035】
【化22】
【0036】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(9)一般式〔X〕
【0037】
【化23】
【0038】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体を、塩基で処理することを特徴とする、一般式〔XI〕
【0039】
【化24】
【0040】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(10)一般式〔VI〕
【0041】
【化25】
【0042】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩を、塩基の存在下に、R4基を有する反応性カルボン酸誘導体〔R4は前記と同じである〕と反応させて、一般式〔VIII〕
【0043】
【化26】
【0044】
〔式中、R1、R2及びR4は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アシルアミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体となし、引き続きスルホニル化剤と反応させた後、ルイス酸処理し、必要によりさらにアシル化することにより、一般式〔X〕
【0045】
【化27】
【0046】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体となし、更にこれを塩基で処理することを特徴とする、一般式〔XI〕
【0047】
【化28】
【0048】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(11)一般式〔XIII〕
【0049】
【化29】
【0050】
〔式中、R4は前記と同じであり、R6及びR7は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基であるか、或いはR6とR7が隣接する窒素原子と一緒になって、ヘテロ環(当該ヘテロ環は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基又はアルキル置換カルバモイル基で置換されていてもよい)を形成してもよい〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(12)一般式〔XI〕
【0051】
【化30】
【0052】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体を、一般式〔XII〕
【0053】
【化31】
【0054】
〔式中、R6及びR7は前記と同じである〕
で示されるアミンと反応させることを特徴とする、一般式〔XIII〕
【0055】
【化32】
【0056】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(13)一般式〔X〕
【0057】
【化33】
【0058】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体を塩基で処理して、一般式〔XI〕
【0059】
【化34】
【0060】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体となし、引き続き一般式〔XII〕
【0061】
【化35】
【0062】
〔式中、R6及びR7は前記と同じである〕
で示されるアミンと反応させることを特徴とする、一般式〔XIII〕
【0063】
【化36】
【0064】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(14)一般式〔XIII〕
【0065】
【化37】
【0066】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体を、一般式〔XIV〕
R8−SH 〔XIV〕
〔式中、R8は水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基である〕
で示されるメルカプタンで開環することを特徴とする、一般式〔XV〕
【0067】
【化38】
【0068】
〔式中、R4、R6、R7及びR8は前記と同じである〕
で示されるアミド誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(15)一般式〔XI〕
【0069】
【化39】
【0070】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体を、一般式〔XII〕
【0071】
【化40】
【0072】
〔式中、R6及びR7は前記と同じである〕
で示されるアミンと反応させて、一般式〔XIII〕
【0073】
【化41】
【0074】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体となし、さらにこれを一般式〔XIV〕
R8−SH 〔XIV〕
〔式中、R8は前記と同じである〕
で示されるメルカプタンで開環することを特徴とする、一般式〔XV〕
【0075】
【化42】
【0076】
〔式中、R4、R6、R7及びR8は前記と同じである〕
で示されるアミド誘導体又はその鏡像体の製造方法。
【0077】
【発明の実施の形態】
ここで、「アルキル基」としては、好ましくは炭素数1〜6であり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基等が挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4の「低級アルキル基」であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基である。
【0078】
「置換されていてもよいアルキル基」とは、上記アルキル基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、具体的には、水酸基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アミノ基;ニトロ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜6のモノまたはジアルキルアミノ基;シアノ基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜7のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくは水酸基、ハロゲン原子、アミノ基等である。
なお、アルキル基に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではない。
【0079】
R1とR2が隣接する炭素原子と一緒になって形成する「シクロアルキル環」としては、好ましくは炭素数3〜7のシクロアルキル環であり、具体的には、シクロプロピル環、シクロブチル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環等が挙げられ、より好ましくは炭素数4〜6であり、シクロブチル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環である。
【0080】
「キラルなアミン」としては、アミノ基に隣接した不斉炭素原子を有するようなアミン、即ち(R)又は(S)の立体配置を有するアミンであり、主なものは「アラルキルアミン」と「アミノ酸誘導体」である。
【0081】
「アラルキルアミン」としては、具体的には、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−α−フェニルグリシノール、(S)−α−フェニルグリシノール等が挙げられ、好ましくは(R)−1−フェニルエチルアミンである。
【0082】
「アミノ酸誘導体」としては、アミノ基に隣接した不斉炭素原子を有するようなアミノ酸又はその誘導体であり、具体的には、(R)−セリン、(S)−セリン、(R)−α−フェニルグリシン、(S)−α−フェニルグリシン等のアミノ酸;(R)−セリンメチルエステル、(S)−セリンメチルエステル、(R)−α−フェニルグリシンメチルエステル、(S)−α−フェニルグリシンメチルエステル等のアミノ酸誘導体が挙げられ、好ましくは(R)−α−フェニルグリシンである。
【0083】
なお、「アラルキルアミン残基」、「アミノ酸誘導体残基」とは、上記「アラルキルアミン」、「アミノ酸誘導体」においてアミノ基に結合しているアミノ基以外の部分の基を意味する。
【0084】
「アリール基」としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0085】
「置換されていてもよいアリール基」とは、上記アリール基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいアルキル基」で示した置換基等が挙げられる他、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等の炭素数2〜6のアシルオキシ基等が挙げられる。好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アシルオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基である。
【0086】
なお、アリール基に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体、より好ましくは1〜2置換体である。
【0087】
「アラルキル基」としては、そのアリール部は前述と同様のもの(フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等)が挙げられ、そのアルキル部は前述と同様のもの(炭素数1〜6)が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。好ましくはフェニル基及び炭素数1〜4のアルキル基からなるアラルキル基である。
【0088】
「置換されていてもよいアラルキル基」とは、上記アラルキル基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいアリール基」で示した置換基等が挙げられる他、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基等が挙げられる。好ましくは水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ニトロ基、アシルオキシ基、アミノ基、シアノ基等が挙げられ、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基である。「置換されていてもよいアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、ハロゲン置換ベンジル基、アルキル置換ベンジル基、アルコキシ置換ベンジル基、フェネチル基、ハロゲン置換フェネチル基、アルキル置換フェネチル基、アルコキシ置換フェネチル基、フェニルプロピル基、ハロゲン置換フェニルプロピル基、アルキル置換フェニルプロピル基、アルコキシ置換フェニルプロピル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェネチル基等である。
【0089】
なお、上記アラルキル基におけるアリール上の置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体である。
【0090】
「ヘテロアリール基」としては、具体的には、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、キノキサリニル基等が挙げられ、好ましくはキノリル基、イソキノリル基等である。
【0091】
「置換されていてもよいヘテロアリール基」とは、上記ヘテロアリール基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいアリール基」で示した置換基等が挙げられるが、好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、モノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基であり、より好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、モノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基である。
【0092】
なお、ヘテロアリール基に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体、より好ましくは1〜2置換体である。
【0093】
「ヘテロアリールアルキル基」としては、そのヘテロアリール部は前述と同様のものが挙げられ、そのアルキル部は前述と同様のもの(炭素数1〜6)が挙げられる。具体的には、2−チエニルメチル基、3−フリルメチル基、4−ピリジルメチル基、2−キノリルメチル基、3−イソキノリルメチル基等が挙げられ、好ましくは2−キノリルメチル基等である。
【0094】
「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基」とは、上記ヘテロアリールアルキル基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいヘテロアリール基」で示した置換基と同じもの等が挙げられる。
【0095】
なお、上記ヘテロアリールアルキル基におけるヘテロアリール上の置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体である。
【0096】
「アシル基」としては、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等の飽和脂肪族系アシル基(好ましくは炭素数1〜18);アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基等の不飽和脂肪族系アシル基(好ましくは炭素数3〜18);ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基等の芳香族系アシル基;フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等の複素環系アシル基;グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基等のヒドロキシ酸又はアルコキシ酸のアシル基等が挙げられる。好ましくは飽和脂肪族系アシル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基である。
【0097】
R6とR7が隣接する窒素原子と一緒になって形成する「ヘテロ環」としては、1つ以上の窒素原子を有する飽和又は不飽和のヘテロアリール基等が挙げられ、具体的には、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ヒドロピリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、オキサジニル基、モルホリノ基、アゼピニル基、ヒドロアゼピニル基、インドリル基、ヒドロインドリル基、イソインドリル基、ヒドロイソインドリル基、ヒドロキノリル基、ヒドロイソキノリル基等が挙げられる。好ましくは下式
【0098】
【化43】
【0099】
〔式中、点線は二重結合でも単結合でもよいことを示す〕
で表される基等であり、より好ましくは下式
【0100】
【化44】
【0101】
で表される基である。
【0102】
当該ヘテロ環は、ハロゲン原子;アルキル基(炭素数1〜6);アルケニル基(炭素数2〜6);アルコキシ基(炭素数1〜6);アミノ基;アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6);カルボキサミド基;アルキル置換カルバモイル基(アルキル部の炭素数1〜6)で置換されていてもよい。
【0103】
なお、ヘテロ環に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体、より好ましくは1〜2置換体である。
【0104】
ヘテロ環の置換基としての「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
ヘテロ環の置換基としての「アルキル基」としては、前述と同様の炭素数1〜6のものが挙げられる。
【0105】
ヘテロ環の置換基としての「アルケニル基」としては、好ましくは炭素数2〜6であり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、具体的には、ビニル基、アリル基、クロチル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられ、より好ましくは炭素数2〜4であり、ビニル基、アリル基、クロチル基である。
【0106】
ヘテロ環の置換基としての「アルコキシ基」としては、好ましくは炭素数1〜6であり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜4であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜2であり、メトキシ基、エトキシ基である。
【0107】
ヘテロ環の置換基としての「アルコキシカルボニル基」としては、好ましくは炭素数2〜6であり、上記アルコキシ基のうち炭素数1〜5のものにカルボニル基がついたもの等が挙げられる。
【0108】
ヘテロ環の置換基としての「アルキル置換カルバモイル基」としては、そのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6であり、具体的には、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−t−ブチルカルバモイル基、N−ペンチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基等が挙げられ、好ましくはN−t−ブチルカルバモイル基である。
【0109】
「酸素原子と一体となって脱離基として機能する置換基(Z基)」としては、具体的には、酸素原子と一体となった基(脱離基:OZ基)として、トシルオキシ基(p−トルエンスルホニルオキシ基)、ブロシルオキシ基(p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基)、メシルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基)、ベンゼンスルホニルオキシ基、カンファースルホニルオキシ基、トリフィルオキシ基(トリフルオロメタンスルホニルオキシ基)等のスルホン酸誘導体等が挙げられ、好ましくはメシルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基)である。
【0110】
「R4基を有する反応性カルボン酸誘導体」としては、R4基を有するカルボン酸(R4COOH)の酸ハロゲン化物(例えば、R4COCl、R4COBr等)、酸無水物(例えば、(R4CO)2O等)、混合酸無水物(例えば、R4COOCOt-Bu、R4COOCOOEt等)等が挙げられる。好ましくは酸ハロゲン化物であり、より好ましくはR4COClである。
【0111】
「ルイス酸」としては、具体的には、塩化チタン、塩化スズ、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化マグネシウム、アルコキシチタン、臭化ホウ素、塩化ホウ素、フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チオニル、オキシ塩化リン、三塩化リン、塩化トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等が挙げられ、好ましくは塩化チオニル、塩化スズ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体であり、より好ましくは三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体である。
【0112】
「塩」としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
なお、本発明においては、各化合物の各種異性体等も包含される。
【0114】
次に、(z)−2−ブテン−1,4−ジオールを出発原料とした、化合物〔XV〕の製造方法、つまり最終目的化合物である前記HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な化合物〔XVI〕を含む化合物の製造方法について詳しく述べる。
【0115】
【化45】
【0116】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZは前記と同じであり、Xはハロゲン原子、アルコキシカルボニルオキシ基、アシルオキシ基又は−OCOR4(R4は前記と同じ)である〕
なお、ハロゲン原子としては、前述と同様のものが挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜6であり、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜6であり、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられる。
【0117】
工程(1):ジオール水酸基の保護
この反応自体は公知であり、(z)−2−ブテン−1,4−ジオール〔I〕に対し、無溶媒もしくは適当な溶媒中で、酸等の適当な触媒あるいは脱水剤の存在下、アセタール化剤もしくはケタール化剤を反応させることにより、水酸基の保護を行い、化合物〔II〕を得るものである。
【0118】
「アセタール化剤」、「ケタール化剤」としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のカルボニル化合物;ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジメチルアセタール、2,2−ジメトキシプロパン、シクロヘキサノンジメチルアセタール等のgem-ジアルコキシ化合物;もしくはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−メトキシプロペン、2−エトキシプロペン、1−メトキシシクロヘキセン等のビニルエーテル化合物等が挙げられ、好ましくはgem-ジアルコキシ化合物であり、より好ましくは2,2−ジメトキシプロパンである。
【0119】
触媒は、アセタール化剤又はケタール化剤の種類により適宜選択されるが、適当な触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸等が挙げられ、好ましくは有機酸であり、より好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
【0120】
脱水剤としては、五酸化リン、モレキュラーシーブス、五塩化リン等が挙げられ、好ましくはモレキュラーシーブスである。
【0121】
溶媒は、アセタール化剤又はケタール化剤の種類により適宜選択されるが、適当な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒等が挙げられ、好ましくは炭化水素系溶媒であるが、より好ましくは無溶媒である。
【0122】
反応(還流)温度は0〜200℃が適当であり、好ましくは80〜160℃である。
なお、化合物〔II〕は単離することなく、直接次工程に用いることができる。
【0123】
工程(2):酸化剤によるエポキシ化
本工程は、化合物〔II〕に対し、無溶媒もしくは適当な溶媒中、酸化剤によりエポキシ化を行い、化合物〔III〕を得るものである。なお、工程(1)と同様、この反応自体は公知である(米国特許第4439613号明細書参照)。
【0124】
「酸化剤」としては、例えば、過酸化水素、オキソン(商品名)等の無機酸化剤;メタクロロ過安息香酸、過酢酸、t−ブチルハイドロペルオキシド等の有機酸化剤等が挙げられ、好ましくは無機酸化剤であり、より好ましくは過酸化水素である。なお、この場合、反応を円滑に進行させるために、水酸化ナトリウムを用いるか、又は水酸化ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムを共存させることが望ましい。
【0125】
溶媒は酸化剤の種類により適宜選択されるが、適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ギ酸、酢酸、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒であり、より好ましくはメタノールとアセトニトリルと水からなる混合溶媒である。
【0126】
反応温度は酸化条件によって適宜選択されるが、0〜150℃が適当であり、好ましくは50〜100℃である。反応時間は3〜8時間が好ましい。
なお、化合物〔III〕は単離することなく、直接次工程に用いることができる。
【0127】
工程(3):キラルなアミンによるエポキシ開環反応
本工程は、適当な溶媒中或いは無溶媒で、化合物〔III〕のエポキシ環を、R3−NH2〔式中、R3は前記と同じである〕で示されるキラルなアミン〔IV〕で開環し、生成した異性体混合物を結晶化(例えば再結晶等)することにより、光学的に純粋な化合物〔V〕又はその鏡像体を得るものである。
【0128】
「キラルなアミン」としては、具体的には前述したとおり(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−α−フェニルグリシノール、(S)−α−フェニルグリシノール等に代表される「アラルキルアミン」;(R)−セリン、(S)−セリン、(R)−α−フェニルグリシン、(S)−α−フェニルグリシン等の「アミノ酸」;(R)−セリンメチルエステル、(S)−セリンメチルエステル、(R)−α−フェニルグリシンメチルエステル、(S)−α−フェニルグリシンメチルエステル等の「アミノ酸誘導体」等が挙げられ、好ましくはキラルなアラルキルアミンであり、より好ましくはキラルな1−フェニルエチルアミンである。
なお、キラルなアミンを適宜選択することにより、化合物〔V〕か、化合物〔V〕の鏡像体かを得ることができる。
【0129】
反応に用いる適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールである。
【0130】
反応温度は0〜150℃が適当であり、好ましくは50〜100℃である。反応時間は20〜30時間が好ましい。
【0131】
結晶化に用いる適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくは炭化水素系溶媒、又は炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒であり、より好ましくはヘキサンもしくはヘプタンとイソプロピルアルコールからなる混合溶媒である。
【0132】
工程(4):キラル素子の除去
本工程は、工程(3)で得られた化合物〔V〕又はその鏡像体を、適当な条件下、キラル素子(R3)を除去することにより、キラルな化合物〔VI〕又はその鏡像体を得るものである。
【0133】
除去条件はキラル素子の種類によって適宜選択されるが、例えばR3が1−フェニルエチル基である場合、適当な溶媒中、水酸化パラジウム等の適当な触媒存在下、水素源存在下で接触還元することによりキラル素子は除去される。
【0134】
この場合、適当な触媒としては、例えばパラジウム系触媒(水酸化パラジウム−炭素、パラジウム−炭素、パラジウム−アルミナ等)、白金系触媒(酸化白金等)、ロジウム系触媒(ロジウム−アルミナ等)、ルテニウム系触媒(ルテニウム−アルミナ等)等が挙げられ、好ましくはパラジウム系触媒であり、より好ましくは水酸化パラジウム−炭素である。
【0135】
水素源としては、例えば、水素ガス、ギ酸アンモニウム、ギ酸、シクロヘキサジエン等が挙げられ、好ましくは水素ガスである。
【0136】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ギ酸、酢酸、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒、極性溶媒、アルコール系溶媒と極性溶媒の混合溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールと酢酸と水の混合溶媒である。
【0137】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは20〜60℃である。反応時間は5〜20時間が好ましい。
【0138】
工程(5):アミノ基のアシル化
本工程は、R4基を有する反応性カルボン酸誘導体からなるアシル化剤〔VII〕により、適当な塩基の存在下、適当な溶媒中、化合物〔VI〕又はその鏡像体のアミノ基をアシル化して化合物〔VIII〕又はその鏡像体を得るものである。
【0139】
アシル化剤〔VII〕としてのR4基を有する反応性カルボン酸誘導体におけるR4としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル等の置換されていてもよいアルキル基;フェニル、4−トリル、3−トリル、2−トリル、3−アセトキシ−2−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等の置換されていてもよいアリール基;2−チエニル、3−チエニル、2−フリル、3−フリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等の置換されていてもよいヘテロアリール基;ベンジル、フェネチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等の置換されていてもよいアラルキル基;2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、2−フリルメチル、3−フリルメチル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル等の置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基等が挙げられ、好ましくは3−アセトキシ−2−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−2−メチルフェニルである。
【0140】
R4基を有する反応性カルボン酸誘導体は、所望の最終物の置換様式によって適宜選択でき、上記のようなR4基を有するカルボン酸(R4COOH)の酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水物等が用いられる。
【0141】
R4基を有するカルボン酸(R4COOH)の酸ハロゲン化物としては、例えば、R4COCl、R4COBr等が挙げられる。酸無水物としては、例えば、(R4CO)2O等が挙げられる。混合酸無水物としては、例えば、R4COOCOt-Bu、R4COOCOOEt等が挙げられる。
【0142】
適当な塩基としては、例えば、ピリジン、ルチジン、ピコリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン)等の有機塩基;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、より好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
【0143】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはハロゲン系溶媒と水からなるショッテンバウマンの不均一溶媒であり、より好ましくはジクロロメタンと水からなる溶媒である。
【0144】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは10〜40℃である。反応時間は1〜5時間が好ましい。
なお、化合物〔VIII〕は単離することなく、抽出後の溶液として直接次工程に用いることができる。
【0145】
工程(6):水酸基のスルホニル化
本工程は、酸素原子と一体となって脱離基として機能する置換基Zを導入する工程であり、化合物〔VIII〕又はその鏡像体の水酸基を、適当な塩基の存在下、適当な溶媒中、適当なスルホニル化剤によりスルホニル化し、化合物〔IX〕又はその鏡像体に導くものである。
【0146】
適当なスルホニル化剤としては、例えば、メタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、トルエンスルホニルクロライド、カンファースルホニルクロライド等のスルホニルクロライド;メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物等が挙げられ、好ましくはスルホニルクロライドであり、より好ましくはメタンスルホニルクロライドである。
【0147】
適当な塩基としては、例えば、ピリジン、ルチジン、ピコリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはピリジン、トリエチルアミンであり、より好ましくはトリエチルアミンである。
【0148】
適当な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはハロゲン系溶媒であり、より好ましくはジクロロメタンである。
【0149】
反応温度は−10〜30℃が適当であり、好ましくは0〜20℃である。反応時間は1〜10時間が好ましい。
なお、化合物〔IX〕は単離することなく、抽出後の溶液として直接次工程に用いることができる。
【0150】
工程(7):オキサゾリン環の形成
本工程は、化合物〔IX〕又はその鏡像体を適当な溶媒中、適当なルイス酸で処理することにより、1,3−ジオキセパン環の脱保護とオキサゾリン環形成を同時に行って、R5が水素原子である化合物〔X〕又はその鏡像体を得るものである。また、本反応終了後、同一反応容器内で適当なアシル化剤で処理して水酸基をアシル化することにより、より安定な化合物(R5がアシル基である化合物〔X〕又はその鏡像体)とすることができる。
【0151】
ルイス酸としては、前述したように、例えば、塩化チタン、塩化スズ、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化マグネシウム、アルコキシチタン、臭化ホウ素、塩化ホウ素、フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チオニル、オキシ塩化リン、三塩化リン、塩化トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等が挙げられ、好ましくは塩化チオニル、塩化スズ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体であり、より好ましくは三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体である。
【0152】
適当な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはハロゲン系溶媒であり、より好ましくはジクロロメタンである。
【0153】
適当なアシル化剤としては、例えば、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、塩化ピバロイル等の酸ハロゲン化物;無水酢酸、無水ベンゾイル、無水ピバロイル等の酸無水物等が挙げられ、好ましくは酸無水物であり、より好ましくは無水酢酸である。
【0154】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは10〜40℃である。反応時間は1〜50時間が好ましい。
【0155】
反応の停止は、適当な塩基の水溶液を加えることにより行う。適当な塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基;N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン等の有機塩基等が挙げられ、用いるルイス酸の種類によって適宜選択される。例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を用いた場合には、好ましくはN−メチルモルホリンが用いられる。
なお、化合物〔X〕は単離することなく、濃縮残渣として直接次工程に用いることができる。
【0156】
工程(8):エポキシ化
本工程は、化合物〔X〕又はその鏡像体を、適当な溶媒中、適当な塩基で処理して化合物〔XI〕又はその鏡像体に導くものである。
適当な塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、より好ましくは水酸化カリウム又は炭酸カリウムである。
【0157】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒と水からなる混合溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールもしくはメタノールと水からなる混合溶媒である。
【0158】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは0〜60℃である。反応時間は1〜10時間が好ましい。
なお、化合物〔XI〕は単離することなく、反応溶液中の中間化合物として取り扱うことが可能であり、いわゆるワンポット反応として次工程に進むことができる。
【0159】
工程(9):アミンによるエポキシ開環反応
本工程は、化合物〔XI〕又はその鏡像体を適当な溶媒中、アミン〔XII〕と反応させてエポキシ環を開環させて、化合物〔XIII〕又はその鏡像体を得る反応である。
【0160】
「アミン」としては、窒素上に少なくとも一つの水素原子を有するアミンであればいかなるものでも用いることができる。例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アニリン、アニシジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルアニリン、ピロリジン、ピペリジン、デカヒドロイソキノリン、(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド等が挙げられる。
【0161】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒と水からなる混合溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールもしくはメタノールと水からなる混合溶媒である。
【0162】
反応温度は、0〜100℃が適当であり、好ましくは20〜70℃である。反応時間は1〜10時間が好ましい。
なお、化合物〔XIII〕は、前工程(8)の原料である化合物〔X〕と、化合物〔XII〕と適当な塩基を反応させることにより、一挙に得ることができる。
【0163】
適当な塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、より好ましくは炭酸カリウムである。
【0164】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒と水からなる混合溶媒であり、より好ましくはメタノールと水からなる混合溶媒である。
【0165】
反応温度は、0〜100℃が適当であり、好ましくは20〜70℃である。
【0166】
工程(10):チオールによるオキサゾリンの開環反応
本工程は、化合物〔XIII〕又はその鏡像体を適当な溶媒中、塩基の存在下、チオール類〔XIV〕と反応させ、オキサゾリンの開環とチオ化を同時に行うことにより、化合物〔XV〕又はその鏡像体を得るものである。
【0167】
「チオール類」としては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、s−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン等のアラルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンチオール等のアリールメルカプタン類等が挙げられ、好ましくはアリールメルカプタン類であり、より好ましくはチオフェノールである。
【0168】
塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン又は炭酸水素カリウムである。
【0169】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒;メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくは極性溶媒又はケトン系溶媒であり、より好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド又はメチルイソブチルケトンである。
【0170】
反応温度は0〜150℃が適当であり、好ましくは80〜130℃である。反応時間は1〜30時間が好ましい。
【0171】
なお、上記化合物〔XV〕および各種中間体化合物の鏡像体は、工程(3)により得られた化合物〔V〕の鏡像体を用いて上記と同様の反応を行うこと等により得ることができる。
【0172】
上記のようにして合成される化合物〔XV〕および各種中間体化合物およびその鏡像体は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、抽出、クロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の手段を適宜施すことにより、任意の純度のものとして採取することができる。
【0173】
また、上記化合物〔XV〕および各種中間体化合物およびその各種異性体の塩は、公知の方法により製造することができる。
【0174】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に述べるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例をフローで示せば下記の通りである。
【0175】
【化46】
【0176】
〔式中、Phはフェニル基、Acはアセチル基、Meはメチル基、Bu-tはt−ブチル基である〕
参考例1:3−アセトキシ−2−メチル安息香酸 3−ニトロ−2−メチル安息香酸(90.5g,0.500mol)を1.0mol/リットル水酸化ナトリウム水溶液(500ml)に溶解し、10%パラジウム−炭素(4.5g)を加え、混合液を水素雰囲気下(2〜3atm)、40℃にて9時間撹拌した。触媒を濾別した後、氷冷下で濃硫酸(94.0ml)を加えた。この混合物に亜硝酸ナトリウム水溶液(35.0g,0.500mol/150ml)を6℃以下にて撹拌しながら1時間かけて加え、滴下終了後さらに65℃で1.5時間加温した。内部温度は、1時間後には57℃に上昇した。反応混合液を室温まで冷却した後、飽和食塩水(300ml)を加え、酢酸エチル(700ml)で抽出した。有機層を飽和食塩水(200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を溜去することにより3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸を淡褐色固体として得た。
【0177】
この物質をピリジン(500ml)に溶解し、無水酢酸(100ml)を室温にて加えて、室温で3.5時間撹拌した。次にエタノール(100ml)を10℃以下に保って反応溶液に加え、室温にてさらに1時間撹拌した後、混液を濃縮し、褐色油状物を得た。これを酢酸エチル(800ml)に溶解し、1N塩酸(500ml)及び飽和食塩水(300ml)で順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム及び活性炭(4.00g)を加え、30分間撹拌し、不溶物を濾別後、濾液を濃縮乾固した。本物質に混存する酢酸を、トルエン(400ml)で共沸除去した後、残渣をトルエン(450ml)にて洗浄することにより、3−アセトキシ−2−メチル安息香酸(70.1g,収率72%)を無色結晶として得た。
【0178】
融点 146-148℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.95(dd,1H,J=1.5,7.3Hz),7.30(t,1H,J=7.7Hz),7.24(dd,1H,J=1.5,8.1Hz),2.46(s,3H),2.36(s,3H)
IR(KBr):2984,2816,1766,1687,1460,1311,1279,1211,1039,930,766,752 cm-1
元素分析(C10H10O4): 理論値:C,61.85;H,5.19. 測定値:C,61.91;H,4.94.
【0179】
実施例1:化合物〔2〕の製造(工程1)
(z)−2−ブテン−1,4−ジオール(化合物〔1〕;211.4g,2.4mol)及び2,2−ジメトキシプロパン(590.2ml,4.8mol)の混合物に、p−トルエンスルホン酸・1水和物(30mg)を加えた。得られた溶液を常圧下で蒸留することにより、無色透明液状の2,2−ジメチル−4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン(化合物〔2〕;245g,収率80%)を得た。
【0180】
沸点 140-145℃/760mmHg
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:5.67(diffused s,2H),4.26(diffused s,4H),1.44(s,6H)
【0181】
実施例2:化合物〔3〕の製造(工程2)
2,2−ジメチル−4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン(化合物〔2〕;94.0g,0.734mol)、メタノール(220ml)及びアセトニトリル(116ml,2.20mol)を混合し、60℃に加温した。本液に30%の過酸化水素水(208ml,1.84mol)を60〜70℃にて1.5時間かけて滴下した。この時、同時に1M水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、反応系内がpH9.1〜9.6となるよう調製した。過酸化水素水の滴下終了後、更に1M水酸化ナトリウム水溶液の滴下を継続し、pH9.1〜9.6、50〜70℃を保ち、1.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、飽和食塩水(220ml)にて希釈し、クロロホルムにて抽出(180ml×1、90ml×2)した。有機層を合わせ、亜硫酸水素ナトリウム水溶液(300ml,15g)にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を溜去後、残渣を蒸留し、無色透明液状の4,4−ジメチル−3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン(化合物〔3〕;86.7g,収率82%)を得た。
沸点 70-74℃/17mmHg
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:4.08-3.97(m,4H),3.22-3.18(m,2H),1.37(s,3H),1.32(s,3H)
【0182】
実施例3:化合物〔5〕の製造(工程3)
上記によって得られた4,4−ジメチル−3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン(化合物〔3〕;142g,0.988mol)及び(R)−1−フェニルエチルアミン(化合物〔4〕;120g,0.988mol)をイソプロピルアルコール(400ml)に溶解し、この混合液を24時間加熱還流後、366gになるまで濃縮した。残渣にヘキサン(400ml)を加え、5℃にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、ヘキサンにて洗浄後、乾燥することにより無色結晶の(5R,6S)−2,2−ジメチル−6−〔(R)−1−フェニルエチルアミノ〕−1,3−ジオキセパン−5−オール(化合物〔5〕;94.0g,収率36%)を得た。
【0183】
融点 108-108.5℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.33-7.22(m,5H),3.95(q,1H,J=6.5Hz),3.75(dd,1H,J=1.8,12.1Hz),3.74(dd,1H,J=2.0,12.5Hz),3.52(dd,1H,J=5.5,12.5Hz),3.48(ddd,1H,J=0.5,5.9,12.1Hz),3.37(dt,1H,J=1.4,5.6Hz),2.44(br s,1H),2.34(dt,1H,J=1.7,5.5Hz),1.34(d,3H,J=6.5Hz),1.34(s,3H),1.31(s,3H)
IR(KBr):3406,2590,1452,1374,1219,1072,1052,841,758,696cm-1
〔α〕D 25: +91.0°(c1.00,MeOH)
元素分析(C15H23NO3): 理論値:C,67.90;H,8.74;N,5.28. 測定値:C,67.90;H,9.01;N,5.31.
【0184】
実施例4:化合物〔6〕の製造(工程4)
20%水酸化パラジウム−炭素(50%ウェットタイプ,9.20g)をイソプロピルアルコール(550ml)に懸濁し、(5R,6S)−2,2−ジメチル−6−〔(R)−1−フェニルエチルアミノ〕−1,3−ジオキセパン−5−オール(化合物〔5〕;92.0g,37.7mmol)及び酢酸(20.8ml,37.7mmol)を加えた。混合液を室温、水素雰囲気下(3.0atm)にて8時間撹拌した。その後、触媒をセライト濾過により取り除き、濾液を105gになるまで濃縮した。残渣にヘキサン(400ml)を加え、得られた懸濁液を撹拌することにより、薄片結晶が析出した。結晶を濾取し、乾燥することにより無色結晶の(5R,6S)−6−アミノ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−5−オール 酢酸塩(化合物〔6〕;76.6g,収率100%)を得た。
【0185】
融点 133-134℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:3.84(dd,1H,J=2.5,12.7Hz),3.74(dd,1H,J=2.5,12.5Hz),3.67-3.53(m,3H),2.98(dt,J=2.4,6.5Hz),1.91(s,3H),1.33(s,6H)
IR(KBr):3178,2993,1617,1561,1525,1409,1385,1223,1087,1031,846 cm-1
〔α〕D 25: +29.6°(c1.05,MeOH)
元素分析(C9H19NO5): 理論値:C,48.86;H,8.66;N,6.33. 測定値:C,48.98;H,8.70;N,6.36.
【0186】
実施例5:化合物〔8〕の製造(工程5)
炭酸水素ナトリウム(42.0g,0.500mol)を水(350ml)に懸濁させて、これに(5R,6S)−6−アミノ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−5−オール 酢酸塩(化合物〔6〕;44.3g,0.200mol)を加え、引き続いて上記3−アセトキシ−2−メチル安息香酸より公知の方法によって容易に得られる3−アセトキシ−2−メチルベンゾイル クロライド(43.0g,0.200mol)の酢酸エチル(650ml)溶液を室温にて加えた。混合物を室温で12時間撹拌後、飽和食塩水(200ml)を加えた。有機層を分離後、飽和食塩水(300ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を溜去することにより、無色固体の(5R,6S)−N−(2,2−ジメチル−5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔8〕;76.0g,収率113%)を得た。
【0187】
融点 93-94℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.28-7.22(m,2H),7.10(m,1H),6.39(d,1H,J=7.9Hz),4.15-4.07(m,2H),3.83-3.78(m,2H),3.63(ddd,1H,J=1.5,3.8,12.7Hz),3.55(ddd,1H,J=1.1,3.4,12.7Hz),2.98(br s,1H),2.34(s,3H),2.24(s,3H),1.37(s,3H),1.33(s,3H)
IR(KBr):3305,2947,1760,1638,1534,1374,1218,1177,1054,844 cm-1
〔α〕D 25: +35.2°(c1.34,MeOH)
元素分析(C17H23NO6): 理論値:C,60.52;H,6.87;N,4.15. 測定値:C,60.88;H,6.92;N,4.02.
【0188】
実施例6:化合物〔9〕の製造(工程6)
(5R,6S)−N−(2,2−ジメチル−5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔8〕;44.3g,0.200mol)をジクロロメタン(800ml)に溶解し、トリエチルアミン(36.2ml,0.260mol)及びメタンスルホニルクロライド(18.6ml,0.240mol)を氷冷下加え、室温にて1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(600ml)を氷冷下加えた後、有機層を分離し、有機層を10%クエン酸水溶液(500ml)及び飽和食塩水(500ml)にて順次洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧溜去した後、残渣にトルエン(700ml)を加えることにより、結晶を析出させた。これを減圧濾取、乾燥することにより、無色結晶状の(5R,6S)−N−(5−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔9〕;75.9g,収率91%)を得た。
【0189】
融点 127-128℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.30-7.25(m,2H),7.13(m,1H),6.50(d,1H,J=7.3Hz),4.65(m,1H),4.22-4.18(m,2H),3.96(ddd,1H,J=1.3,3.1,14.1Hz),3.88(dd,1H,J=1.2,14.0Hz),3.60(ddd,1H,J=1.2,3.6,12.9Hz),3.24(s,3H),2.35(s,3H),2.25(s,3H),1.39(s,3H),1.34(s,3H)
IR(KBr):3348,2941,1763,1654,1639,1540,1340,1207,1174,1085,939,825 cm-1
〔α〕D 25: +73.9°(c1.22,CHCl3)
元素分析(C18H25NO8S): 理論値:C,52.04;H,6.07;N,3.37. 測定値:C,52.20;H,6.12;N,3.42.
【0190】
実施例7:化合物〔10〕の製造(工程7)
(5R,6S)−N−(5−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔9〕;34.2g,82.3mmol)をジクロロメタン(340ml)に溶解し、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(30.4ml,247mmol)を室温にて5分間かけて撹拌しながら加え、室温のままで40時間撹拌を続けた。トリエチルアミン(34.5ml,247mmol)を15℃以下で加え、溶媒を減圧下、容量が1/5になるまで溜去した。残渣を酢酸エチル(340ml)にて希釈し、10%食塩水(340ml)、クエン酸(17g)を含んだ10%食塩水(340ml)、飽和食塩水(340ml)にて順次洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥した後、溶液を36gになるまで濃縮し、(2R)−2−メタンスルホニルオキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)エタノール(化合物〔10〕)の粗生成物を得た。
【0191】
実施例8:化合物〔11〕の製造(工程8)
化合物〔10〕の粗生成物をイソプロピルアルコール(340ml)にて懸濁し、アイスバスにて冷却した。この懸濁液に水酸化カリウム(14.6g,260mmol/68ml)水溶液を10℃以下にて加え、5℃にて2.5時間撹拌することにより、淡黄色の(2S)−2−((4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)オキシラン(化合物〔11〕)を含む懸濁液を得た。
【0192】
実施例9:化合物〔13〕の製造(工程9)
実施例8で得た混液に10℃以下にて酢酸(14.0ml,245mmol)を加えて酸性とし、更に炭酸水素カリウム(25.0g,250mmol)及び(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔12〕;13.7g,57.6mmol)を順次加えた。混合物を45℃にて6時間撹拌することにより、淡黄色の懸濁液を得た。これを1/5になるまで濃縮した後、水(340ml)を加え、懸濁液を室温にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、水(200ml)、酢酸ブチル(340ml)にて順次洗浄した。減圧下60℃にて乾燥させることにより、無色結晶の(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;17.3g,収率46%:化合物〔9〕より)を得た。
【0193】
融点 240℃
1H−NMR(D6−DMSO,300MHz)δ:9.48(br.s,1H),7.36(s,1H),7.08(dd,1H,J=1.5,7.7Hz),7.02(t,1H,J=7.7Hz),6.89(dd,1H,J=1.4,7.7Hz),4.74(d,1H,J=5.4Hz),4.46(m,1H),4.28(dd,1H,J=8.1,9.9Hz),4.15(t,1H,J=8.1Hz),3.75(m,1H),2.91(br.d,1H,J=10.3Hz),2.58(dd,1H,J=2.6,11.0Hz),2.36(dd,1H,J=8.8,12.8Hz),2.28(s,3H),2.12-2.03(m,2H),1.99-1.81(m,2H),1.60-1.54(m,2H),1.56-1.48(m,3H),1.32-1.19(m,5H),1.24(s,9H)
IR(KBr):3238,2928,1645,1624,1578,1560,1460,1362,1279,1128,1048 cm-1
〔α〕D 25: -47.3°(c1.02,DMF)
元素分析(C26H39N3O4): 理論値:C,68.24;H,8.59;N,9.18. 測定値:C,68.30;H,8.83;N,9.06.
【0194】
実施例10:化合物〔15〕の製造(工程10)
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;16.9g,37.0mmol)をピリジン(170ml)に懸濁し、室温にてチオフェノール(15.2ml,148mmol)を加えた。混合液を80℃にて13時間撹拌した後、室温まで冷却し、活性炭(1.70g)を加えた。混合液を室温にて30分間撹拌し、不要物をセライトにて除去した。濾液を濃縮し、残存しているピリジンを、2−ブタノン(150ml)と共に共沸除去した。残渣に2−ブタノン(200ml)を加え、混合液を撹拌しながら2時間還流させた(この操作中、無色結晶が析出してきた)。その後、混合液を−15℃にて40時間放置し、析出した結晶を濾取し、2−ブタノン:トルエン(1:1)溶液(150ml)にて洗浄し、50℃にて真空乾燥することにより、無色結晶の(3S,4aS,8aS)−2−〔(2R,3R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイルアミノ)−4−フェニルチオブチル〕デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔15〕;14.4g,収率69%)を得た。
【0195】
実施例11:化合物〔10'〕の製造(工程7')
(5R,6S)−N−(5−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔9〕;786g,1.89mol)をジクロロメタン(6.29リットル)に溶解し、これに三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(698ml,5.68mol)を加え、室温で23時間撹拌した。その後、反応混合物を11℃に冷却し、無水酢酸(268ml,2.84mol)を加えて同温で2時間撹拌した。反応混合物を2.0kgまで減圧濃縮し、得られた残渣にトルエン(3.8リットル)を加えて懸濁液とし、この懸濁液にN,N−ジメチルエタノールアミン(571ml,5.68mol)を20℃以下で40分間かけて加えた。この混合液にさらにトルエン(1.5リットル)と水(4.8リットル)を加えて室温で1時間撹拌した後、有機層を分離した。有機層を10%クエン酸水溶液(5.00リットル)と2%炭酸カリウム水溶液(5.00リットル)で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮することにより、(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタン(化合物〔10'〕;1.04kg)を暗赤色の油状物質として得た。
【0196】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.68(d,1H,J=7.7Hz),7.26(t,1H,J=7.9Hz),7.14(d,1H,J=8.0Hz),5.02(dt,1H,J=7.7,3.7Hz),4.66(ddd,1H,J=3.6,8.1,9.5Hz),4.53(dd,1H,J=3.3,12.4Hz),4.47-4.38(m,3H),3.11(s,3H),2.40(s,3H),2.34(s,3H),2.10(2,3H)
【0197】
実施例12:化合物〔13〕の製造(工程8')
実施例11で得られた未精製の(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタン(化合物〔10'〕;1.04kg,1.89mol)をイソプロピルアルコール(4.8リットル)に懸濁し、これに18℃以下で45分間かけて水酸化カリウム水溶液(531g/1.6リットル,9.46mol)を滴下し、10℃で1時間撹拌した。酢酸(325ml,5.68mol)を10℃以下で加えて中和した後、炭酸水素カリウム(568g,5.68mol)と(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔12〕;361g,1.51mol)を順次加えた。この混合物を40℃で6時間撹拌した後、析出した結晶を濾取し、再び水(5.5リットル)中に懸濁し、30分間撹拌した。結晶を再び濾取し、水(2.5リットル)と酢酸ブチル(4.00リットル)で洗浄し、減圧下60℃にて乾燥することにより、(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;443g,収率51%:化合物〔9〕より)を無色結晶として得た。
【0198】
実施例13:化合物〔15〕の製造(工程10')
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;410.5g,0.897mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.47リットル)に懸濁し、トリエチルアミン(1.00リットル,7.18mol)とチオフェノール(368ml,3.59mol)を加えて75℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(7.5リットル)に30分間かけて滴下した。生成した結晶を濾取し、再びトルエン(7.00リットル)に懸濁し、30分間撹拌した。結晶を再び濾取し、減圧下60℃で34時間乾燥した。この粗結晶をメチルエチルケトン(10.0リットル)に懸濁し、加熱還流することにより溶液とし、室温で16時間放置することにより再結晶を行った。結晶を濾取し、メチルエチルケトン(1.00リットル)で洗浄した後、減圧下60℃で6時間乾燥することにより、(3S,4aS,8aS)−2−〔(2R,3R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイルアミノ)−4−フェニルチオブチル〕デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔15〕;330.1g,収率65%)を無色結晶として得た。
【0199】
実施例14:化合物〔13〕の製造(工程8')
実施例11で得られた(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタンの粗生成物(化合物〔10'〕;1.98kg,3.30mol)をメタノール(6.50リットル)と水(6.50リットル)からなる混合溶媒に懸濁し、これに(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔12〕;642g,2.62mol)と炭酸カリウム(1.36kg,9.81mol)を順次加えた。この混合物を50℃で5.5時間撹拌した後、水(6.50リットル)を加えて室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この粗結晶を再び水(6.50リットル)に懸濁し、撹拌洗浄後、濾取した。得られた結晶を再度メチルイソブチルケトン(10.0リットル)に懸濁して共沸脱水を行った後、室温まで冷却し、結晶を濾取することにより、(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;902g,1.97mol,収率60%:化合物〔6〕より)を無色結晶として得た。
【0200】
実施例15:化合物〔15〕の製造(工程10')
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;701g,1.53mol)をメチルイソブチルケトン(7.00リットル)に懸濁し、チオフェノール(314ml,3.06mol)と炭酸水素カリウム(76.6g,0.765mol)を加えて、窒素気流下、12時間加熱還流した。反応終了後、トルエン(7.00リットル)を加えることにより析出した結晶を濾取し、トルエンで洗浄した。この粗結晶をアセトンと水(1:1)の混合溶媒中で加熱洗浄することにより、(3S,4aS,8aS)−2−〔(2R,3R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイルアミノ)−4−フェニルチオブチル〕デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔15〕;695g,1.22mol,収率80%)を無色結晶として得た。
【0201】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、従来の方法に比べて極めて簡便な方法であり、しかも収率よく効果的に、化合物〔XV〕、つまりHIVプロテアーゼ阻害作用を有する化合物〔XVI〕を含む化合物を製造することが可能である。また、本発明に係わる新規中間体は、上記化合物〔XVI〕のみならず、X線造影剤として有用な化合物(例えば米国特許第4439613号明細書中に記載のX線造影剤用化合物)等を製造するための中間体として極めて有益である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウイルス由来のプロテアーゼ阻害作用を有するHIV関連疾患治療薬として有用な式〔XVI〕
【0002】
【化8】
【0003】
〔式中、Meはメチル基、Bu-tはt−ブチル基、Phはフェニル基である〕
で示される化合物の新規製造方法に関するものであり、また、当該化合物〔XVI〕を製造するために有用な各種新規中間体化合物及びその製造方法に関するものである。なお、これら中間体化合物は、上記化合物〔XVI〕の製造に限らず、各種化合物の製造にも使用できる。
【0004】
【従来の技術】
上記HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な化合物〔XVI〕は、国際公開番号WO95/09843号に記載されるように公知である。また、当該化合物〔XVI〕は、従来においてはセリンを出発原料としてこれに増炭反応を施すとともに、立体選択的なカルボニル基の還元反応等を含む非常に多くの工程を経て製造されるものであった。しかし、これら従来の製造方法は高価な原料を必要とするばかりか、反応条件も一定の低温条件を必要とする等、極めて繁雑であるとともに非効率なものであった。従って、従来の合成法を工業的に実施するためには、なお多くの解決しなければならない問題点があった。
【0005】
また、2,2−ジメチル−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オールは、例えば米国特許第4439613号明細書に記載されているが、これはX線造影剤として有用な化合物を製造するための中間体であり、得られる化合物はラセミ体であって、このもの自体を再結晶等の方法でラセミ分割することは甚だ困難であった。また、同文献には本発明のような特定のエナンチオマーを製造することについては、何ら示唆する記載はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点の解決された、HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な上記化合物〔XVI〕を立体選択的に極めて効率よく製造できる製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、当該化合物を製造するために有用な新規中間体化合物及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、(z)−2−ブテン−1,4−ジオールをアセタール化又はケタール化し、更にエポキシ化して得られる3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、キラルなアミンによりエポキシ開環反応を行うことにより、立体特異的に(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体となし、更に諸工程を経ることによって、下記式〔XV〕で表される化合物、つまりHIVプロテアーゼ阻害剤として有用な上記化合物〔XVI〕を含む化合物を、立体選択的に極めて効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は下記(1)〜(15)に示す通りである。
(1)一般式〔V〕
【0009】
【化9】
【0010】
〔式中、R1及びR2は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、アルキル基又はアリール基であるか、或いはR1とR2が隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキル環を形成してもよく、R3は(R)又は(S)の立体配置を有するアラルキルアミン残基又はアミノ酸誘導体残基である〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(2)一般式〔III〕
【0011】
【化10】
【0012】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、一般式〔IV〕
R3−NH2 〔IV〕
〔式中、R3は前記と同じである〕
で示されるキラルなアミンによりエポキシ開環反応を行い、生成した異性体混合物を結晶化処理することを特徴とする、一般式〔V〕
【0013】
【化11】
【0014】
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(3)一般式〔VI〕
【0015】
【化12】
【0016】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(4)一般式〔III〕
【0017】
【化13】
【0018】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、一般式〔IV〕
R3−NH2 〔IV〕
〔式中、R3は前記と同じである〕
で示されるキラルなアミンによりエポキシ開環反応を行い、生成した異性体混合物を結晶化処理することにより、一般式〔V〕
【0019】
【化14】
【0020】
〔式中、R1、R2及びR3は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体を製造した後、この化合物のアミノ基上の置換基を除去して6位を無置換アミノ基とすることを特徴とする、一般式〔VI〕
【0021】
【化15】
【0022】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩の製造方法。
(5)一般式〔X〕
【0023】
【化16】
【0024】
〔式中、R4は置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基、置換されていてもよいアラルキル基又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基であり、R5は水素原子又はアシル基であり、Zは酸素原子と一体となって脱離基として機能する置換基である〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(6)一般式〔IX〕
【0025】
【化17】
【0026】
〔式中、R1、R2、R4及びZは前記と同じである〕
で示される1,3−ジオキセパン誘導体又はその鏡像体を、ルイス酸で処理することによりオキサゾリン環形成を行い、その後必要によりアシル化することを特徴とする、一般式〔X〕
【0027】
【化18】
【0028】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(7)一般式〔VI〕
【0029】
【化19】
【0030】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩を、塩基の存在下に、R4基を有する反応性カルボン酸誘導体〔R4は前記と同じである〕と反応させて、一般式〔VIII〕
【0031】
【化20】
【0032】
〔式中、R1、R2及びR4は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アシルアミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体となし、引き続きスルホニル化剤と反応させた後、ルイス酸処理し、必要によりさらにアシル化することを特徴とする、一般式〔X〕
【0033】
【化21】
【0034】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(8)一般式〔XI〕
【0035】
【化22】
【0036】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(9)一般式〔X〕
【0037】
【化23】
【0038】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体を、塩基で処理することを特徴とする、一般式〔XI〕
【0039】
【化24】
【0040】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(10)一般式〔VI〕
【0041】
【化25】
【0042】
〔式中、R1及びR2は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩を、塩基の存在下に、R4基を有する反応性カルボン酸誘導体〔R4は前記と同じである〕と反応させて、一般式〔VIII〕
【0043】
【化26】
【0044】
〔式中、R1、R2及びR4は前記と同じである〕
で示される(5R,6S)−6−アシルアミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体となし、引き続きスルホニル化剤と反応させた後、ルイス酸処理し、必要によりさらにアシル化することにより、一般式〔X〕
【0045】
【化27】
【0046】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体となし、更にこれを塩基で処理することを特徴とする、一般式〔XI〕
【0047】
【化28】
【0048】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(11)一般式〔XIII〕
【0049】
【化29】
【0050】
〔式中、R4は前記と同じであり、R6及びR7は同一又は異なっていてもよく、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基であるか、或いはR6とR7が隣接する窒素原子と一緒になって、ヘテロ環(当該ヘテロ環は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、カルボキサミド基又はアルキル置換カルバモイル基で置換されていてもよい)を形成してもよい〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体又はその塩。
(12)一般式〔XI〕
【0051】
【化30】
【0052】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体を、一般式〔XII〕
【0053】
【化31】
【0054】
〔式中、R6及びR7は前記と同じである〕
で示されるアミンと反応させることを特徴とする、一般式〔XIII〕
【0055】
【化32】
【0056】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(13)一般式〔X〕
【0057】
【化33】
【0058】
〔式中、R4、R5及びZは前記と同じである〕
で示されるオキサゾリン誘導体又はその鏡像体を塩基で処理して、一般式〔XI〕
【0059】
【化34】
【0060】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体となし、引き続き一般式〔XII〕
【0061】
【化35】
【0062】
〔式中、R6及びR7は前記と同じである〕
で示されるアミンと反応させることを特徴とする、一般式〔XIII〕
【0063】
【化36】
【0064】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(14)一般式〔XIII〕
【0065】
【化37】
【0066】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体を、一般式〔XIV〕
R8−SH 〔XIV〕
〔式中、R8は水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいアラルキル基である〕
で示されるメルカプタンで開環することを特徴とする、一般式〔XV〕
【0067】
【化38】
【0068】
〔式中、R4、R6、R7及びR8は前記と同じである〕
で示されるアミド誘導体又はその鏡像体の製造方法。
(15)一般式〔XI〕
【0069】
【化39】
【0070】
〔式中、R4は前記と同じである〕
で示される(オキサゾリン−4−イル)オキシラン誘導体又はその鏡像体を、一般式〔XII〕
【0071】
【化40】
【0072】
〔式中、R6及びR7は前記と同じである〕
で示されるアミンと反応させて、一般式〔XIII〕
【0073】
【化41】
【0074】
〔式中、R4、R6及びR7は前記と同じである〕
で示される4−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)オキサゾリン誘導体又はその鏡像体となし、さらにこれを一般式〔XIV〕
R8−SH 〔XIV〕
〔式中、R8は前記と同じである〕
で示されるメルカプタンで開環することを特徴とする、一般式〔XV〕
【0075】
【化42】
【0076】
〔式中、R4、R6、R7及びR8は前記と同じである〕
で示されるアミド誘導体又はその鏡像体の製造方法。
【0077】
【発明の実施の形態】
ここで、「アルキル基」としては、好ましくは炭素数1〜6であり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基等が挙げられる。より好ましくは炭素数1〜4の「低級アルキル基」であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基である。
【0078】
「置換されていてもよいアルキル基」とは、上記アルキル基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、具体的には、水酸基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アミノ基;ニトロ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜6のモノまたはジアルキルアミノ基;シアノ基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜7のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基等の炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。好ましくは水酸基、ハロゲン原子、アミノ基等である。
なお、アルキル基に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではない。
【0079】
R1とR2が隣接する炭素原子と一緒になって形成する「シクロアルキル環」としては、好ましくは炭素数3〜7のシクロアルキル環であり、具体的には、シクロプロピル環、シクロブチル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環等が挙げられ、より好ましくは炭素数4〜6であり、シクロブチル環、シクロペンチル環、シクロヘキシル環である。
【0080】
「キラルなアミン」としては、アミノ基に隣接した不斉炭素原子を有するようなアミン、即ち(R)又は(S)の立体配置を有するアミンであり、主なものは「アラルキルアミン」と「アミノ酸誘導体」である。
【0081】
「アラルキルアミン」としては、具体的には、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−α−フェニルグリシノール、(S)−α−フェニルグリシノール等が挙げられ、好ましくは(R)−1−フェニルエチルアミンである。
【0082】
「アミノ酸誘導体」としては、アミノ基に隣接した不斉炭素原子を有するようなアミノ酸又はその誘導体であり、具体的には、(R)−セリン、(S)−セリン、(R)−α−フェニルグリシン、(S)−α−フェニルグリシン等のアミノ酸;(R)−セリンメチルエステル、(S)−セリンメチルエステル、(R)−α−フェニルグリシンメチルエステル、(S)−α−フェニルグリシンメチルエステル等のアミノ酸誘導体が挙げられ、好ましくは(R)−α−フェニルグリシンである。
【0083】
なお、「アラルキルアミン残基」、「アミノ酸誘導体残基」とは、上記「アラルキルアミン」、「アミノ酸誘導体」においてアミノ基に結合しているアミノ基以外の部分の基を意味する。
【0084】
「アリール基」としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
【0085】
「置換されていてもよいアリール基」とは、上記アリール基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいアルキル基」で示した置換基等が挙げられる他、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基等の炭素数2〜6のアシルオキシ基等が挙げられる。好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アシルオキシ基であり、より好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基である。
【0086】
なお、アリール基に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体、より好ましくは1〜2置換体である。
【0087】
「アラルキル基」としては、そのアリール部は前述と同様のもの(フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等)が挙げられ、そのアルキル部は前述と同様のもの(炭素数1〜6)が挙げられ、具体的には、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。好ましくはフェニル基及び炭素数1〜4のアルキル基からなるアラルキル基である。
【0088】
「置換されていてもよいアラルキル基」とは、上記アラルキル基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいアリール基」で示した置換基等が挙げられる他、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基等の炭素数1〜6のハロアルキル基等が挙げられる。好ましくは水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ニトロ基、アシルオキシ基、アミノ基、シアノ基等が挙げられ、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基である。「置換されていてもよいアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、ハロゲン置換ベンジル基、アルキル置換ベンジル基、アルコキシ置換ベンジル基、フェネチル基、ハロゲン置換フェネチル基、アルキル置換フェネチル基、アルコキシ置換フェネチル基、フェニルプロピル基、ハロゲン置換フェニルプロピル基、アルキル置換フェニルプロピル基、アルコキシ置換フェニルプロピル基等が挙げられ、好ましくはベンジル基、フェネチル基等である。
【0089】
なお、上記アラルキル基におけるアリール上の置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体である。
【0090】
「ヘテロアリール基」としては、具体的には、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、キノキサリニル基等が挙げられ、好ましくはキノリル基、イソキノリル基等である。
【0091】
「置換されていてもよいヘテロアリール基」とは、上記ヘテロアリール基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいアリール基」で示した置換基等が挙げられるが、好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、モノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基であり、より好ましくはアルキル基、水酸基、ハロゲン原子、モノまたはジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基である。
【0092】
なお、ヘテロアリール基に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体、より好ましくは1〜2置換体である。
【0093】
「ヘテロアリールアルキル基」としては、そのヘテロアリール部は前述と同様のものが挙げられ、そのアルキル部は前述と同様のもの(炭素数1〜6)が挙げられる。具体的には、2−チエニルメチル基、3−フリルメチル基、4−ピリジルメチル基、2−キノリルメチル基、3−イソキノリルメチル基等が挙げられ、好ましくは2−キノリルメチル基等である。
【0094】
「置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基」とは、上記ヘテロアリールアルキル基が反応に影響のない1以上の置換基で置換されていてもよいものである。置換基としては、前記「置換されていてもよいヘテロアリール基」で示した置換基と同じもの等が挙げられる。
【0095】
なお、上記ヘテロアリールアルキル基におけるヘテロアリール上の置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体である。
【0096】
「アシル基」としては、具体的には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等の飽和脂肪族系アシル基(好ましくは炭素数1〜18);アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基等の不飽和脂肪族系アシル基(好ましくは炭素数3〜18);ベンゾイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基等の芳香族系アシル基;フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等の複素環系アシル基;グリコロイル基、ラクトイル基、グリセロイル基、トロポイル基、ベンジロイル基、サリチロイル基、アニソイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、ピペロニロイル基、プロトカテクオイル基、ガロイル基等のヒドロキシ酸又はアルコキシ酸のアシル基等が挙げられる。好ましくは飽和脂肪族系アシル基であり、より好ましくはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基である。
【0097】
R6とR7が隣接する窒素原子と一緒になって形成する「ヘテロ環」としては、1つ以上の窒素原子を有する飽和又は不飽和のヘテロアリール基等が挙げられ、具体的には、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ヒドロピリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、オキサジニル基、モルホリノ基、アゼピニル基、ヒドロアゼピニル基、インドリル基、ヒドロインドリル基、イソインドリル基、ヒドロイソインドリル基、ヒドロキノリル基、ヒドロイソキノリル基等が挙げられる。好ましくは下式
【0098】
【化43】
【0099】
〔式中、点線は二重結合でも単結合でもよいことを示す〕
で表される基等であり、より好ましくは下式
【0100】
【化44】
【0101】
で表される基である。
【0102】
当該ヘテロ環は、ハロゲン原子;アルキル基(炭素数1〜6);アルケニル基(炭素数2〜6);アルコキシ基(炭素数1〜6);アミノ基;アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6);カルボキサミド基;アルキル置換カルバモイル基(アルキル部の炭素数1〜6)で置換されていてもよい。
【0103】
なお、ヘテロ環に対する置換基の置換位置及び数については、特に制限されるものではないが、好ましくは1〜3置換体、より好ましくは1〜2置換体である。
【0104】
ヘテロ環の置換基としての「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
ヘテロ環の置換基としての「アルキル基」としては、前述と同様の炭素数1〜6のものが挙げられる。
【0105】
ヘテロ環の置換基としての「アルケニル基」としては、好ましくは炭素数2〜6であり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、具体的には、ビニル基、アリル基、クロチル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられ、より好ましくは炭素数2〜4であり、ビニル基、アリル基、クロチル基である。
【0106】
ヘテロ環の置換基としての「アルコキシ基」としては、好ましくは炭素数1〜6であり、直鎖状でも分枝鎖状でもよく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜4であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基であり、さらに好ましくは炭素数1〜2であり、メトキシ基、エトキシ基である。
【0107】
ヘテロ環の置換基としての「アルコキシカルボニル基」としては、好ましくは炭素数2〜6であり、上記アルコキシ基のうち炭素数1〜5のものにカルボニル基がついたもの等が挙げられる。
【0108】
ヘテロ環の置換基としての「アルキル置換カルバモイル基」としては、そのアルキル部は好ましくは炭素数1〜6であり、具体的には、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−t−ブチルカルバモイル基、N−ペンチルカルバモイル基、N−ヘキシルカルバモイル基等が挙げられ、好ましくはN−t−ブチルカルバモイル基である。
【0109】
「酸素原子と一体となって脱離基として機能する置換基(Z基)」としては、具体的には、酸素原子と一体となった基(脱離基:OZ基)として、トシルオキシ基(p−トルエンスルホニルオキシ基)、ブロシルオキシ基(p−ブロモベンゼンスルホニルオキシ基)、メシルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基)、ベンゼンスルホニルオキシ基、カンファースルホニルオキシ基、トリフィルオキシ基(トリフルオロメタンスルホニルオキシ基)等のスルホン酸誘導体等が挙げられ、好ましくはメシルオキシ基(メタンスルホニルオキシ基)である。
【0110】
「R4基を有する反応性カルボン酸誘導体」としては、R4基を有するカルボン酸(R4COOH)の酸ハロゲン化物(例えば、R4COCl、R4COBr等)、酸無水物(例えば、(R4CO)2O等)、混合酸無水物(例えば、R4COOCOt-Bu、R4COOCOOEt等)等が挙げられる。好ましくは酸ハロゲン化物であり、より好ましくはR4COClである。
【0111】
「ルイス酸」としては、具体的には、塩化チタン、塩化スズ、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化マグネシウム、アルコキシチタン、臭化ホウ素、塩化ホウ素、フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チオニル、オキシ塩化リン、三塩化リン、塩化トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等が挙げられ、好ましくは塩化チオニル、塩化スズ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体であり、より好ましくは三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体である。
【0112】
「塩」としては、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機アミン塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;蟻酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
なお、本発明においては、各化合物の各種異性体等も包含される。
【0114】
次に、(z)−2−ブテン−1,4−ジオールを出発原料とした、化合物〔XV〕の製造方法、つまり最終目的化合物である前記HIVプロテアーゼ阻害剤として有用な化合物〔XVI〕を含む化合物の製造方法について詳しく述べる。
【0115】
【化45】
【0116】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8及びZは前記と同じであり、Xはハロゲン原子、アルコキシカルボニルオキシ基、アシルオキシ基又は−OCOR4(R4は前記と同じ)である〕
なお、ハロゲン原子としては、前述と同様のものが挙げられる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜6であり、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、プロポキシカルボニルオキシ基、ブトキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。また、アシルオキシ基としては、好ましくは炭素数2〜6であり、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、バレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基等が挙げられる。
【0117】
工程(1):ジオール水酸基の保護
この反応自体は公知であり、(z)−2−ブテン−1,4−ジオール〔I〕に対し、無溶媒もしくは適当な溶媒中で、酸等の適当な触媒あるいは脱水剤の存在下、アセタール化剤もしくはケタール化剤を反応させることにより、水酸基の保護を行い、化合物〔II〕を得るものである。
【0118】
「アセタール化剤」、「ケタール化剤」としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のカルボニル化合物;ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシアセトアルデヒド、ベンズアルデヒドジメチルアセタール、2,2−ジメトキシプロパン、シクロヘキサノンジメチルアセタール等のgem-ジアルコキシ化合物;もしくはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−メトキシプロペン、2−エトキシプロペン、1−メトキシシクロヘキセン等のビニルエーテル化合物等が挙げられ、好ましくはgem-ジアルコキシ化合物であり、より好ましくは2,2−ジメトキシプロパンである。
【0119】
触媒は、アセタール化剤又はケタール化剤の種類により適宜選択されるが、適当な触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸等が挙げられ、好ましくは有機酸であり、より好ましくはp−トルエンスルホン酸である。
【0120】
脱水剤としては、五酸化リン、モレキュラーシーブス、五塩化リン等が挙げられ、好ましくはモレキュラーシーブスである。
【0121】
溶媒は、アセタール化剤又はケタール化剤の種類により適宜選択されるが、適当な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒等が挙げられ、好ましくは炭化水素系溶媒であるが、より好ましくは無溶媒である。
【0122】
反応(還流)温度は0〜200℃が適当であり、好ましくは80〜160℃である。
なお、化合物〔II〕は単離することなく、直接次工程に用いることができる。
【0123】
工程(2):酸化剤によるエポキシ化
本工程は、化合物〔II〕に対し、無溶媒もしくは適当な溶媒中、酸化剤によりエポキシ化を行い、化合物〔III〕を得るものである。なお、工程(1)と同様、この反応自体は公知である(米国特許第4439613号明細書参照)。
【0124】
「酸化剤」としては、例えば、過酸化水素、オキソン(商品名)等の無機酸化剤;メタクロロ過安息香酸、過酢酸、t−ブチルハイドロペルオキシド等の有機酸化剤等が挙げられ、好ましくは無機酸化剤であり、より好ましくは過酸化水素である。なお、この場合、反応を円滑に進行させるために、水酸化ナトリウムを用いるか、又は水酸化ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムを共存させることが望ましい。
【0125】
溶媒は酸化剤の種類により適宜選択されるが、適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ギ酸、酢酸、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒であり、より好ましくはメタノールとアセトニトリルと水からなる混合溶媒である。
【0126】
反応温度は酸化条件によって適宜選択されるが、0〜150℃が適当であり、好ましくは50〜100℃である。反応時間は3〜8時間が好ましい。
なお、化合物〔III〕は単離することなく、直接次工程に用いることができる。
【0127】
工程(3):キラルなアミンによるエポキシ開環反応
本工程は、適当な溶媒中或いは無溶媒で、化合物〔III〕のエポキシ環を、R3−NH2〔式中、R3は前記と同じである〕で示されるキラルなアミン〔IV〕で開環し、生成した異性体混合物を結晶化(例えば再結晶等)することにより、光学的に純粋な化合物〔V〕又はその鏡像体を得るものである。
【0128】
「キラルなアミン」としては、具体的には前述したとおり(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(S)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(R)−α−フェニルグリシノール、(S)−α−フェニルグリシノール等に代表される「アラルキルアミン」;(R)−セリン、(S)−セリン、(R)−α−フェニルグリシン、(S)−α−フェニルグリシン等の「アミノ酸」;(R)−セリンメチルエステル、(S)−セリンメチルエステル、(R)−α−フェニルグリシンメチルエステル、(S)−α−フェニルグリシンメチルエステル等の「アミノ酸誘導体」等が挙げられ、好ましくはキラルなアラルキルアミンであり、より好ましくはキラルな1−フェニルエチルアミンである。
なお、キラルなアミンを適宜選択することにより、化合物〔V〕か、化合物〔V〕の鏡像体かを得ることができる。
【0129】
反応に用いる適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールである。
【0130】
反応温度は0〜150℃が適当であり、好ましくは50〜100℃である。反応時間は20〜30時間が好ましい。
【0131】
結晶化に用いる適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくは炭化水素系溶媒、又は炭化水素系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒であり、より好ましくはヘキサンもしくはヘプタンとイソプロピルアルコールからなる混合溶媒である。
【0132】
工程(4):キラル素子の除去
本工程は、工程(3)で得られた化合物〔V〕又はその鏡像体を、適当な条件下、キラル素子(R3)を除去することにより、キラルな化合物〔VI〕又はその鏡像体を得るものである。
【0133】
除去条件はキラル素子の種類によって適宜選択されるが、例えばR3が1−フェニルエチル基である場合、適当な溶媒中、水酸化パラジウム等の適当な触媒存在下、水素源存在下で接触還元することによりキラル素子は除去される。
【0134】
この場合、適当な触媒としては、例えばパラジウム系触媒(水酸化パラジウム−炭素、パラジウム−炭素、パラジウム−アルミナ等)、白金系触媒(酸化白金等)、ロジウム系触媒(ロジウム−アルミナ等)、ルテニウム系触媒(ルテニウム−アルミナ等)等が挙げられ、好ましくはパラジウム系触媒であり、より好ましくは水酸化パラジウム−炭素である。
【0135】
水素源としては、例えば、水素ガス、ギ酸アンモニウム、ギ酸、シクロヘキサジエン等が挙げられ、好ましくは水素ガスである。
【0136】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ギ酸、酢酸、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒、極性溶媒、アルコール系溶媒と極性溶媒の混合溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールと酢酸と水の混合溶媒である。
【0137】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは20〜60℃である。反応時間は5〜20時間が好ましい。
【0138】
工程(5):アミノ基のアシル化
本工程は、R4基を有する反応性カルボン酸誘導体からなるアシル化剤〔VII〕により、適当な塩基の存在下、適当な溶媒中、化合物〔VI〕又はその鏡像体のアミノ基をアシル化して化合物〔VIII〕又はその鏡像体を得るものである。
【0139】
アシル化剤〔VII〕としてのR4基を有する反応性カルボン酸誘導体におけるR4としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、s−ブチル、t−ブチル等の置換されていてもよいアルキル基;フェニル、4−トリル、3−トリル、2−トリル、3−アセトキシ−2−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等の置換されていてもよいアリール基;2−チエニル、3−チエニル、2−フリル、3−フリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等の置換されていてもよいヘテロアリール基;ベンジル、フェネチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等の置換されていてもよいアラルキル基;2−チエニルメチル、3−チエニルメチル、2−フリルメチル、3−フリルメチル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル等の置換されていてもよいヘテロアリールアルキル基等が挙げられ、好ましくは3−アセトキシ−2−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−2−メチルフェニルである。
【0140】
R4基を有する反応性カルボン酸誘導体は、所望の最終物の置換様式によって適宜選択でき、上記のようなR4基を有するカルボン酸(R4COOH)の酸ハロゲン化物、酸無水物、混合酸無水物等が用いられる。
【0141】
R4基を有するカルボン酸(R4COOH)の酸ハロゲン化物としては、例えば、R4COCl、R4COBr等が挙げられる。酸無水物としては、例えば、(R4CO)2O等が挙げられる。混合酸無水物としては、例えば、R4COOCOt-Bu、R4COOCOOEt等が挙げられる。
【0142】
適当な塩基としては、例えば、ピリジン、ルチジン、ピコリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン)、DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン)等の有機塩基;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、より好ましくは炭酸水素ナトリウムである。
【0143】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはハロゲン系溶媒と水からなるショッテンバウマンの不均一溶媒であり、より好ましくはジクロロメタンと水からなる溶媒である。
【0144】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは10〜40℃である。反応時間は1〜5時間が好ましい。
なお、化合物〔VIII〕は単離することなく、抽出後の溶液として直接次工程に用いることができる。
【0145】
工程(6):水酸基のスルホニル化
本工程は、酸素原子と一体となって脱離基として機能する置換基Zを導入する工程であり、化合物〔VIII〕又はその鏡像体の水酸基を、適当な塩基の存在下、適当な溶媒中、適当なスルホニル化剤によりスルホニル化し、化合物〔IX〕又はその鏡像体に導くものである。
【0146】
適当なスルホニル化剤としては、例えば、メタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、トルエンスルホニルクロライド、カンファースルホニルクロライド等のスルホニルクロライド;メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のスルホン酸無水物等が挙げられ、好ましくはスルホニルクロライドであり、より好ましくはメタンスルホニルクロライドである。
【0147】
適当な塩基としては、例えば、ピリジン、ルチジン、ピコリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはピリジン、トリエチルアミンであり、より好ましくはトリエチルアミンである。
【0148】
適当な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはハロゲン系溶媒であり、より好ましくはジクロロメタンである。
【0149】
反応温度は−10〜30℃が適当であり、好ましくは0〜20℃である。反応時間は1〜10時間が好ましい。
なお、化合物〔IX〕は単離することなく、抽出後の溶液として直接次工程に用いることができる。
【0150】
工程(7):オキサゾリン環の形成
本工程は、化合物〔IX〕又はその鏡像体を適当な溶媒中、適当なルイス酸で処理することにより、1,3−ジオキセパン環の脱保護とオキサゾリン環形成を同時に行って、R5が水素原子である化合物〔X〕又はその鏡像体を得るものである。また、本反応終了後、同一反応容器内で適当なアシル化剤で処理して水酸基をアシル化することにより、より安定な化合物(R5がアシル基である化合物〔X〕又はその鏡像体)とすることができる。
【0151】
ルイス酸としては、前述したように、例えば、塩化チタン、塩化スズ、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化マグネシウム、アルコキシチタン、臭化ホウ素、塩化ホウ素、フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化チオニル、オキシ塩化リン、三塩化リン、塩化トリメチルシリル、ヨウ化トリメチルシリル、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等が挙げられ、好ましくは塩化チオニル、塩化スズ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体であり、より好ましくは三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体である。
【0152】
適当な溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはハロゲン系溶媒であり、より好ましくはジクロロメタンである。
【0153】
適当なアシル化剤としては、例えば、塩化アセチル、塩化ベンゾイル、塩化ピバロイル等の酸ハロゲン化物;無水酢酸、無水ベンゾイル、無水ピバロイル等の酸無水物等が挙げられ、好ましくは酸無水物であり、より好ましくは無水酢酸である。
【0154】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは10〜40℃である。反応時間は1〜50時間が好ましい。
【0155】
反応の停止は、適当な塩基の水溶液を加えることにより行う。適当な塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基;N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルモルホリン等の有機塩基等が挙げられ、用いるルイス酸の種類によって適宜選択される。例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を用いた場合には、好ましくはN−メチルモルホリンが用いられる。
なお、化合物〔X〕は単離することなく、濃縮残渣として直接次工程に用いることができる。
【0156】
工程(8):エポキシ化
本工程は、化合物〔X〕又はその鏡像体を、適当な溶媒中、適当な塩基で処理して化合物〔XI〕又はその鏡像体に導くものである。
適当な塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、より好ましくは水酸化カリウム又は炭酸カリウムである。
【0157】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒と水からなる混合溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールもしくはメタノールと水からなる混合溶媒である。
【0158】
反応温度は0〜100℃が適当であり、好ましくは0〜60℃である。反応時間は1〜10時間が好ましい。
なお、化合物〔XI〕は単離することなく、反応溶液中の中間化合物として取り扱うことが可能であり、いわゆるワンポット反応として次工程に進むことができる。
【0159】
工程(9):アミンによるエポキシ開環反応
本工程は、化合物〔XI〕又はその鏡像体を適当な溶媒中、アミン〔XII〕と反応させてエポキシ環を開環させて、化合物〔XIII〕又はその鏡像体を得る反応である。
【0160】
「アミン」としては、窒素上に少なくとも一つの水素原子を有するアミンであればいかなるものでも用いることができる。例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アニリン、アニシジン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルアニリン、ピロリジン、ピペリジン、デカヒドロイソキノリン、(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド等が挙げられる。
【0161】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒と水からなる混合溶媒であり、より好ましくはイソプロピルアルコールもしくはメタノールと水からなる混合溶媒である。
【0162】
反応温度は、0〜100℃が適当であり、好ましくは20〜70℃である。反応時間は1〜10時間が好ましい。
なお、化合物〔XIII〕は、前工程(8)の原料である化合物〔X〕と、化合物〔XII〕と適当な塩基を反応させることにより、一挙に得ることができる。
【0163】
適当な塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくは無機塩基であり、より好ましくは炭酸カリウムである。
【0164】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン、水等の極性溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒と水からなる混合溶媒であり、より好ましくはメタノールと水からなる混合溶媒である。
【0165】
反応温度は、0〜100℃が適当であり、好ましくは20〜70℃である。
【0166】
工程(10):チオールによるオキサゾリンの開環反応
本工程は、化合物〔XIII〕又はその鏡像体を適当な溶媒中、塩基の存在下、チオール類〔XIV〕と反応させ、オキサゾリンの開環とチオ化を同時に行うことにより、化合物〔XV〕又はその鏡像体を得るものである。
【0167】
「チオール類」としては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、s−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;ベンジルメルカプタン等のアラルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンチオール等のアリールメルカプタン類等が挙げられ、好ましくはアリールメルカプタン類であり、より好ましくはチオフェノールである。
【0168】
塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム等の無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ルチジン、DBU、DBN等の有機塩基等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミン又は炭酸水素カリウムである。
【0169】
適当な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジグリム等のエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の極性溶媒;メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;或いはこれらの混合溶媒等が挙げられ、好ましくは極性溶媒又はケトン系溶媒であり、より好ましくはN,N−ジメチルホルムアミド又はメチルイソブチルケトンである。
【0170】
反応温度は0〜150℃が適当であり、好ましくは80〜130℃である。反応時間は1〜30時間が好ましい。
【0171】
なお、上記化合物〔XV〕および各種中間体化合物の鏡像体は、工程(3)により得られた化合物〔V〕の鏡像体を用いて上記と同様の反応を行うこと等により得ることができる。
【0172】
上記のようにして合成される化合物〔XV〕および各種中間体化合物およびその鏡像体は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、抽出、クロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の手段を適宜施すことにより、任意の純度のものとして採取することができる。
【0173】
また、上記化合物〔XV〕および各種中間体化合物およびその各種異性体の塩は、公知の方法により製造することができる。
【0174】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に述べるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、実施例をフローで示せば下記の通りである。
【0175】
【化46】
【0176】
〔式中、Phはフェニル基、Acはアセチル基、Meはメチル基、Bu-tはt−ブチル基である〕
参考例1:3−アセトキシ−2−メチル安息香酸 3−ニトロ−2−メチル安息香酸(90.5g,0.500mol)を1.0mol/リットル水酸化ナトリウム水溶液(500ml)に溶解し、10%パラジウム−炭素(4.5g)を加え、混合液を水素雰囲気下(2〜3atm)、40℃にて9時間撹拌した。触媒を濾別した後、氷冷下で濃硫酸(94.0ml)を加えた。この混合物に亜硝酸ナトリウム水溶液(35.0g,0.500mol/150ml)を6℃以下にて撹拌しながら1時間かけて加え、滴下終了後さらに65℃で1.5時間加温した。内部温度は、1時間後には57℃に上昇した。反応混合液を室温まで冷却した後、飽和食塩水(300ml)を加え、酢酸エチル(700ml)で抽出した。有機層を飽和食塩水(200ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を溜去することにより3−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸を淡褐色固体として得た。
【0177】
この物質をピリジン(500ml)に溶解し、無水酢酸(100ml)を室温にて加えて、室温で3.5時間撹拌した。次にエタノール(100ml)を10℃以下に保って反応溶液に加え、室温にてさらに1時間撹拌した後、混液を濃縮し、褐色油状物を得た。これを酢酸エチル(800ml)に溶解し、1N塩酸(500ml)及び飽和食塩水(300ml)で順次洗浄した。有機層に硫酸マグネシウム及び活性炭(4.00g)を加え、30分間撹拌し、不溶物を濾別後、濾液を濃縮乾固した。本物質に混存する酢酸を、トルエン(400ml)で共沸除去した後、残渣をトルエン(450ml)にて洗浄することにより、3−アセトキシ−2−メチル安息香酸(70.1g,収率72%)を無色結晶として得た。
【0178】
融点 146-148℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.95(dd,1H,J=1.5,7.3Hz),7.30(t,1H,J=7.7Hz),7.24(dd,1H,J=1.5,8.1Hz),2.46(s,3H),2.36(s,3H)
IR(KBr):2984,2816,1766,1687,1460,1311,1279,1211,1039,930,766,752 cm-1
元素分析(C10H10O4): 理論値:C,61.85;H,5.19. 測定値:C,61.91;H,4.94.
【0179】
実施例1:化合物〔2〕の製造(工程1)
(z)−2−ブテン−1,4−ジオール(化合物〔1〕;211.4g,2.4mol)及び2,2−ジメトキシプロパン(590.2ml,4.8mol)の混合物に、p−トルエンスルホン酸・1水和物(30mg)を加えた。得られた溶液を常圧下で蒸留することにより、無色透明液状の2,2−ジメチル−4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン(化合物〔2〕;245g,収率80%)を得た。
【0180】
沸点 140-145℃/760mmHg
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:5.67(diffused s,2H),4.26(diffused s,4H),1.44(s,6H)
【0181】
実施例2:化合物〔3〕の製造(工程2)
2,2−ジメチル−4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン(化合物〔2〕;94.0g,0.734mol)、メタノール(220ml)及びアセトニトリル(116ml,2.20mol)を混合し、60℃に加温した。本液に30%の過酸化水素水(208ml,1.84mol)を60〜70℃にて1.5時間かけて滴下した。この時、同時に1M水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、反応系内がpH9.1〜9.6となるよう調製した。過酸化水素水の滴下終了後、更に1M水酸化ナトリウム水溶液の滴下を継続し、pH9.1〜9.6、50〜70℃を保ち、1.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、飽和食塩水(220ml)にて希釈し、クロロホルムにて抽出(180ml×1、90ml×2)した。有機層を合わせ、亜硫酸水素ナトリウム水溶液(300ml,15g)にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を溜去後、残渣を蒸留し、無色透明液状の4,4−ジメチル−3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン(化合物〔3〕;86.7g,収率82%)を得た。
沸点 70-74℃/17mmHg
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:4.08-3.97(m,4H),3.22-3.18(m,2H),1.37(s,3H),1.32(s,3H)
【0182】
実施例3:化合物〔5〕の製造(工程3)
上記によって得られた4,4−ジメチル−3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン(化合物〔3〕;142g,0.988mol)及び(R)−1−フェニルエチルアミン(化合物〔4〕;120g,0.988mol)をイソプロピルアルコール(400ml)に溶解し、この混合液を24時間加熱還流後、366gになるまで濃縮した。残渣にヘキサン(400ml)を加え、5℃にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、ヘキサンにて洗浄後、乾燥することにより無色結晶の(5R,6S)−2,2−ジメチル−6−〔(R)−1−フェニルエチルアミノ〕−1,3−ジオキセパン−5−オール(化合物〔5〕;94.0g,収率36%)を得た。
【0183】
融点 108-108.5℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.33-7.22(m,5H),3.95(q,1H,J=6.5Hz),3.75(dd,1H,J=1.8,12.1Hz),3.74(dd,1H,J=2.0,12.5Hz),3.52(dd,1H,J=5.5,12.5Hz),3.48(ddd,1H,J=0.5,5.9,12.1Hz),3.37(dt,1H,J=1.4,5.6Hz),2.44(br s,1H),2.34(dt,1H,J=1.7,5.5Hz),1.34(d,3H,J=6.5Hz),1.34(s,3H),1.31(s,3H)
IR(KBr):3406,2590,1452,1374,1219,1072,1052,841,758,696cm-1
〔α〕D 25: +91.0°(c1.00,MeOH)
元素分析(C15H23NO3): 理論値:C,67.90;H,8.74;N,5.28. 測定値:C,67.90;H,9.01;N,5.31.
【0184】
実施例4:化合物〔6〕の製造(工程4)
20%水酸化パラジウム−炭素(50%ウェットタイプ,9.20g)をイソプロピルアルコール(550ml)に懸濁し、(5R,6S)−2,2−ジメチル−6−〔(R)−1−フェニルエチルアミノ〕−1,3−ジオキセパン−5−オール(化合物〔5〕;92.0g,37.7mmol)及び酢酸(20.8ml,37.7mmol)を加えた。混合液を室温、水素雰囲気下(3.0atm)にて8時間撹拌した。その後、触媒をセライト濾過により取り除き、濾液を105gになるまで濃縮した。残渣にヘキサン(400ml)を加え、得られた懸濁液を撹拌することにより、薄片結晶が析出した。結晶を濾取し、乾燥することにより無色結晶の(5R,6S)−6−アミノ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−5−オール 酢酸塩(化合物〔6〕;76.6g,収率100%)を得た。
【0185】
融点 133-134℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:3.84(dd,1H,J=2.5,12.7Hz),3.74(dd,1H,J=2.5,12.5Hz),3.67-3.53(m,3H),2.98(dt,J=2.4,6.5Hz),1.91(s,3H),1.33(s,6H)
IR(KBr):3178,2993,1617,1561,1525,1409,1385,1223,1087,1031,846 cm-1
〔α〕D 25: +29.6°(c1.05,MeOH)
元素分析(C9H19NO5): 理論値:C,48.86;H,8.66;N,6.33. 測定値:C,48.98;H,8.70;N,6.36.
【0186】
実施例5:化合物〔8〕の製造(工程5)
炭酸水素ナトリウム(42.0g,0.500mol)を水(350ml)に懸濁させて、これに(5R,6S)−6−アミノ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−5−オール 酢酸塩(化合物〔6〕;44.3g,0.200mol)を加え、引き続いて上記3−アセトキシ−2−メチル安息香酸より公知の方法によって容易に得られる3−アセトキシ−2−メチルベンゾイル クロライド(43.0g,0.200mol)の酢酸エチル(650ml)溶液を室温にて加えた。混合物を室温で12時間撹拌後、飽和食塩水(200ml)を加えた。有機層を分離後、飽和食塩水(300ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を溜去することにより、無色固体の(5R,6S)−N−(2,2−ジメチル−5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔8〕;76.0g,収率113%)を得た。
【0187】
融点 93-94℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.28-7.22(m,2H),7.10(m,1H),6.39(d,1H,J=7.9Hz),4.15-4.07(m,2H),3.83-3.78(m,2H),3.63(ddd,1H,J=1.5,3.8,12.7Hz),3.55(ddd,1H,J=1.1,3.4,12.7Hz),2.98(br s,1H),2.34(s,3H),2.24(s,3H),1.37(s,3H),1.33(s,3H)
IR(KBr):3305,2947,1760,1638,1534,1374,1218,1177,1054,844 cm-1
〔α〕D 25: +35.2°(c1.34,MeOH)
元素分析(C17H23NO6): 理論値:C,60.52;H,6.87;N,4.15. 測定値:C,60.88;H,6.92;N,4.02.
【0188】
実施例6:化合物〔9〕の製造(工程6)
(5R,6S)−N−(2,2−ジメチル−5−ヒドロキシ−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔8〕;44.3g,0.200mol)をジクロロメタン(800ml)に溶解し、トリエチルアミン(36.2ml,0.260mol)及びメタンスルホニルクロライド(18.6ml,0.240mol)を氷冷下加え、室温にて1時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液(600ml)を氷冷下加えた後、有機層を分離し、有機層を10%クエン酸水溶液(500ml)及び飽和食塩水(500ml)にて順次洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。溶媒を減圧溜去した後、残渣にトルエン(700ml)を加えることにより、結晶を析出させた。これを減圧濾取、乾燥することにより、無色結晶状の(5R,6S)−N−(5−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔9〕;75.9g,収率91%)を得た。
【0189】
融点 127-128℃
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.30-7.25(m,2H),7.13(m,1H),6.50(d,1H,J=7.3Hz),4.65(m,1H),4.22-4.18(m,2H),3.96(ddd,1H,J=1.3,3.1,14.1Hz),3.88(dd,1H,J=1.2,14.0Hz),3.60(ddd,1H,J=1.2,3.6,12.9Hz),3.24(s,3H),2.35(s,3H),2.25(s,3H),1.39(s,3H),1.34(s,3H)
IR(KBr):3348,2941,1763,1654,1639,1540,1340,1207,1174,1085,939,825 cm-1
〔α〕D 25: +73.9°(c1.22,CHCl3)
元素分析(C18H25NO8S): 理論値:C,52.04;H,6.07;N,3.37. 測定値:C,52.20;H,6.12;N,3.42.
【0190】
実施例7:化合物〔10〕の製造(工程7)
(5R,6S)−N−(5−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔9〕;34.2g,82.3mmol)をジクロロメタン(340ml)に溶解し、三フッ化ホウ素−ジエチルエーテル錯体(30.4ml,247mmol)を室温にて5分間かけて撹拌しながら加え、室温のままで40時間撹拌を続けた。トリエチルアミン(34.5ml,247mmol)を15℃以下で加え、溶媒を減圧下、容量が1/5になるまで溜去した。残渣を酢酸エチル(340ml)にて希釈し、10%食塩水(340ml)、クエン酸(17g)を含んだ10%食塩水(340ml)、飽和食塩水(340ml)にて順次洗浄した。硫酸マグネシウムにて乾燥した後、溶液を36gになるまで濃縮し、(2R)−2−メタンスルホニルオキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)エタノール(化合物〔10〕)の粗生成物を得た。
【0191】
実施例8:化合物〔11〕の製造(工程8)
化合物〔10〕の粗生成物をイソプロピルアルコール(340ml)にて懸濁し、アイスバスにて冷却した。この懸濁液に水酸化カリウム(14.6g,260mmol/68ml)水溶液を10℃以下にて加え、5℃にて2.5時間撹拌することにより、淡黄色の(2S)−2−((4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)オキシラン(化合物〔11〕)を含む懸濁液を得た。
【0192】
実施例9:化合物〔13〕の製造(工程9)
実施例8で得た混液に10℃以下にて酢酸(14.0ml,245mmol)を加えて酸性とし、更に炭酸水素カリウム(25.0g,250mmol)及び(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔12〕;13.7g,57.6mmol)を順次加えた。混合物を45℃にて6時間撹拌することにより、淡黄色の懸濁液を得た。これを1/5になるまで濃縮した後、水(340ml)を加え、懸濁液を室温にて1時間撹拌した。析出した結晶を濾取し、水(200ml)、酢酸ブチル(340ml)にて順次洗浄した。減圧下60℃にて乾燥させることにより、無色結晶の(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;17.3g,収率46%:化合物〔9〕より)を得た。
【0193】
融点 240℃
1H−NMR(D6−DMSO,300MHz)δ:9.48(br.s,1H),7.36(s,1H),7.08(dd,1H,J=1.5,7.7Hz),7.02(t,1H,J=7.7Hz),6.89(dd,1H,J=1.4,7.7Hz),4.74(d,1H,J=5.4Hz),4.46(m,1H),4.28(dd,1H,J=8.1,9.9Hz),4.15(t,1H,J=8.1Hz),3.75(m,1H),2.91(br.d,1H,J=10.3Hz),2.58(dd,1H,J=2.6,11.0Hz),2.36(dd,1H,J=8.8,12.8Hz),2.28(s,3H),2.12-2.03(m,2H),1.99-1.81(m,2H),1.60-1.54(m,2H),1.56-1.48(m,3H),1.32-1.19(m,5H),1.24(s,9H)
IR(KBr):3238,2928,1645,1624,1578,1560,1460,1362,1279,1128,1048 cm-1
〔α〕D 25: -47.3°(c1.02,DMF)
元素分析(C26H39N3O4): 理論値:C,68.24;H,8.59;N,9.18. 測定値:C,68.30;H,8.83;N,9.06.
【0194】
実施例10:化合物〔15〕の製造(工程10)
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;16.9g,37.0mmol)をピリジン(170ml)に懸濁し、室温にてチオフェノール(15.2ml,148mmol)を加えた。混合液を80℃にて13時間撹拌した後、室温まで冷却し、活性炭(1.70g)を加えた。混合液を室温にて30分間撹拌し、不要物をセライトにて除去した。濾液を濃縮し、残存しているピリジンを、2−ブタノン(150ml)と共に共沸除去した。残渣に2−ブタノン(200ml)を加え、混合液を撹拌しながら2時間還流させた(この操作中、無色結晶が析出してきた)。その後、混合液を−15℃にて40時間放置し、析出した結晶を濾取し、2−ブタノン:トルエン(1:1)溶液(150ml)にて洗浄し、50℃にて真空乾燥することにより、無色結晶の(3S,4aS,8aS)−2−〔(2R,3R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイルアミノ)−4−フェニルチオブチル〕デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔15〕;14.4g,収率69%)を得た。
【0195】
実施例11:化合物〔10'〕の製造(工程7')
(5R,6S)−N−(5−メタンスルホニルオキシ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキセパン−6−イル)−3−アセトキシ−2−メチルベンズアミド(化合物〔9〕;786g,1.89mol)をジクロロメタン(6.29リットル)に溶解し、これに三フッ化ホウ素ジエチルエーテル(698ml,5.68mol)を加え、室温で23時間撹拌した。その後、反応混合物を11℃に冷却し、無水酢酸(268ml,2.84mol)を加えて同温で2時間撹拌した。反応混合物を2.0kgまで減圧濃縮し、得られた残渣にトルエン(3.8リットル)を加えて懸濁液とし、この懸濁液にN,N−ジメチルエタノールアミン(571ml,5.68mol)を20℃以下で40分間かけて加えた。この混合液にさらにトルエン(1.5リットル)と水(4.8リットル)を加えて室温で1時間撹拌した後、有機層を分離した。有機層を10%クエン酸水溶液(5.00リットル)と2%炭酸カリウム水溶液(5.00リットル)で順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮することにより、(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタン(化合物〔10'〕;1.04kg)を暗赤色の油状物質として得た。
【0196】
1H−NMR(CDCl3,300MHz)δ:7.68(d,1H,J=7.7Hz),7.26(t,1H,J=7.9Hz),7.14(d,1H,J=8.0Hz),5.02(dt,1H,J=7.7,3.7Hz),4.66(ddd,1H,J=3.6,8.1,9.5Hz),4.53(dd,1H,J=3.3,12.4Hz),4.47-4.38(m,3H),3.11(s,3H),2.40(s,3H),2.34(s,3H),2.10(2,3H)
【0197】
実施例12:化合物〔13〕の製造(工程8')
実施例11で得られた未精製の(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタン(化合物〔10'〕;1.04kg,1.89mol)をイソプロピルアルコール(4.8リットル)に懸濁し、これに18℃以下で45分間かけて水酸化カリウム水溶液(531g/1.6リットル,9.46mol)を滴下し、10℃で1時間撹拌した。酢酸(325ml,5.68mol)を10℃以下で加えて中和した後、炭酸水素カリウム(568g,5.68mol)と(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔12〕;361g,1.51mol)を順次加えた。この混合物を40℃で6時間撹拌した後、析出した結晶を濾取し、再び水(5.5リットル)中に懸濁し、30分間撹拌した。結晶を再び濾取し、水(2.5リットル)と酢酸ブチル(4.00リットル)で洗浄し、減圧下60℃にて乾燥することにより、(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;443g,収率51%:化合物〔9〕より)を無色結晶として得た。
【0198】
実施例13:化合物〔15〕の製造(工程10')
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;410.5g,0.897mol)をN,N−ジメチルホルムアミド(2.47リットル)に懸濁し、トリエチルアミン(1.00リットル,7.18mol)とチオフェノール(368ml,3.59mol)を加えて75℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応混合物を水(7.5リットル)に30分間かけて滴下した。生成した結晶を濾取し、再びトルエン(7.00リットル)に懸濁し、30分間撹拌した。結晶を再び濾取し、減圧下60℃で34時間乾燥した。この粗結晶をメチルエチルケトン(10.0リットル)に懸濁し、加熱還流することにより溶液とし、室温で16時間放置することにより再結晶を行った。結晶を濾取し、メチルエチルケトン(1.00リットル)で洗浄した後、減圧下60℃で6時間乾燥することにより、(3S,4aS,8aS)−2−〔(2R,3R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイルアミノ)−4−フェニルチオブチル〕デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔15〕;330.1g,収率65%)を無色結晶として得た。
【0199】
実施例14:化合物〔13〕の製造(工程8')
実施例11で得られた(2R)−1−アセトキシ−2−((4S)−2−(3−アセトキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル)−2−メタンスルホニルオキシエタンの粗生成物(化合物〔10'〕;1.98kg,3.30mol)をメタノール(6.50リットル)と水(6.50リットル)からなる混合溶媒に懸濁し、これに(3S,4aS,8aS)−デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔12〕;642g,2.62mol)と炭酸カリウム(1.36kg,9.81mol)を順次加えた。この混合物を50℃で5.5時間撹拌した後、水(6.50リットル)を加えて室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この粗結晶を再び水(6.50リットル)に懸濁し、撹拌洗浄後、濾取した。得られた結晶を再度メチルイソブチルケトン(10.0リットル)に懸濁して共沸脱水を行った後、室温まで冷却し、結晶を濾取することにより、(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;902g,1.97mol,収率60%:化合物〔6〕より)を無色結晶として得た。
【0200】
実施例15:化合物〔15〕の製造(工程10')
(3S,4aS,8aS)−2−{(2R)−2−〔(4S)−2−(3−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−イル〕−2−ヒドロキシエチル}デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔13〕;701g,1.53mol)をメチルイソブチルケトン(7.00リットル)に懸濁し、チオフェノール(314ml,3.06mol)と炭酸水素カリウム(76.6g,0.765mol)を加えて、窒素気流下、12時間加熱還流した。反応終了後、トルエン(7.00リットル)を加えることにより析出した結晶を濾取し、トルエンで洗浄した。この粗結晶をアセトンと水(1:1)の混合溶媒中で加熱洗浄することにより、(3S,4aS,8aS)−2−〔(2R,3R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシ−2−メチルベンゾイルアミノ)−4−フェニルチオブチル〕デカヒドロイソキノリン−3−カルボン酸 t−ブチルアミド(化合物〔15〕;695g,1.22mol,収率80%)を無色結晶として得た。
【0201】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、従来の方法に比べて極めて簡便な方法であり、しかも収率よく効果的に、化合物〔XV〕、つまりHIVプロテアーゼ阻害作用を有する化合物〔XVI〕を含む化合物を製造することが可能である。また、本発明に係わる新規中間体は、上記化合物〔XVI〕のみならず、X線造影剤として有用な化合物(例えば米国特許第4439613号明細書中に記載のX線造影剤用化合物)等を製造するための中間体として極めて有益である。
Claims (4)
- 一般式〔III〕
で示される3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、一般式〔IV〕
R3−NH2 〔IV〕
〔式中、R3は(R)又は(S)の立体配置を有するアラルキルアミン残基、又はアミノ基に隣接した不斉炭素原子を有するアミノ酸若しくはそのメチルエステル残基である〕
で示されるキラルなアミンによりエポキシ開環反応を行い、生成した異性体混合物を結晶化処理することを特徴とする、一般式〔V〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体の製造方法。 - 一般式〔III〕
で示される3,5,8−トリオキサビシクロ〔5.1.0〕オクタン誘導体を、一般式〔IV〕
R3−NH2 〔IV〕
〔式中、R3は(R)又は(S)の立体配置を有するアラルキルアミン残基、又はアミノ基に隣接した不斉炭素原子を有するアミノ酸若しくはそのメチルエステル残基である〕
で示されるキラルなアミンによりエポキシ開環反応を行い、生成した異性体混合物を結晶化処理することにより、一般式〔V〕
で示される(5R,6S)−6−置換アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体を製造した後、この化合物のアミノ基上の置換基を除去して6位を無置換アミノ基とすることを特徴とする、一般式〔VI〕
で示される(5R,6S)−6−アミノ−1,3−ジオキセパン−5−オール誘導体又はその鏡像体又はその塩の製造方法。
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