JP3903775B2 - 竪型撹拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種以上の液体や、液体と固形物等を混合するための竪型撹拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の竪型撹拌装置は、底面および側壁を有する撹拌槽の中央部に回転軸を配置し、この回転軸に羽根を設けたものが知られている。羽根としては、回転軸の軸方向を向く平板状のものや、軸方向に対して斜めに形成されたもの等がある。
【0003】
また、液体と液体や、液体と固形物等の流体の混合性を向上させるために、底面や側壁に邪魔板を設けたものが知られている。
【0004】
しかし、単に邪魔板を設けた場合には、乱流状態を促進することができるものの、流れが淀む部分が生じてしまい、かえって円滑に循環することができず、混合性が低下してしまうという欠点がある。
【0005】
このため、この発明者等は、混合性の向上を図るべく鋭意研究を重ねた結果、流体を軸流羽根で底面側に送り出すとともに、底面に放射状に突部を設けることが効果的であることを見出し、本発明の竪型撹拌装置を開発するに至ったものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に基づいてなされたものであり、混合性の向上を図ることのできる竪型撹拌装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、底面および側壁を有する撹拌槽内における上記底面の近傍位置に、上記撹拌槽内の流体を上記底面に向けて送り出す軸流羽根を設けてなる竪型撹拌装置において、上記底面には、上記軸流羽根によって流体が送り出される位置から上記側壁側に向けて延在する突部を、周方向に間隔をおいて複数設けたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記側壁には、軸方向に延びる第2の突部を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記突部または上記第2の突部は、上記軸流羽根の回転による流れを受ける周方向の一方の面が上記底面または側壁から急激に立ち上がるように形成され、周方向の他方の面が上記底面または側壁に向けて滑らかに下降するように形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3の何れかに記載の発明において、上記複数の突部は、上記軸流羽根によって流体が送り出される位置で互いに連続するように形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4の何れかに記載の発明において、上記軸流羽根の径は、上記側壁における最小の内接円の径の1/√2以下に設定されていることを特徴としている。
【0012】
上記のように構成された請求項1〜5に記載の発明においては、撹拌槽内の流体が軸流羽根の回転によって、底面に向け連続して送り出されることになる。そして、底面に向かった流体は、同底面に当たって四方に広がるように流れてから側壁に当たって上方に流れ、さらに最上位置で内側に移動してから下降して再び軸流羽根によって底面側に送り出されることになる。
【0013】
このため、撹拌槽内の全ての流体を軸流羽根で送り出して循環させることができる。そしてその際、全ての流体は、軸流羽根によって所定のピッチで切断されては送りだれ、再び軸流羽根で切断されることが繰り返されることになる。しかも、軸流羽根で乱流になった流体は、底面、側壁、軸流羽根の上側を流れる間に、互いに急速に混合し合うことになる。したがって、撹拌槽に投入された全ての流体や固形物等を急速にかつ均一に混合することができるので、混合性の向上を図ることができる。
【0014】
また、流体が底面に当たって方向を変えたり、側壁に当たって方向を変えたりすることにより乱流状態が促進されるので、この点からも流体の混合性の向上を図ることができる。さらに、軸流羽根の回転等に起因してこの軸流羽根の上側に渦流が発生することになるので、この点からも流体の混合性の向上を図ることができる。
【0015】
一方、軸流羽根から送り出される流体は、軸流羽根の回転によって周方向の速度成分を持つことになる。そして、この周方向の速度成分は、流体が側壁側に移動する際の一種の抵抗になり、この結果、流体が軸流羽根、底面、側壁、最上部、軸流羽根の上側、軸流羽根へと高速で循環する際の妨げとなる。これに対して、底面に、軸流羽根によって流体が送り出される位置から側壁に向けて突部を設けることにより、底面における周方向の流れを軸流羽根の下側から側壁方向への放射方向の流れに変換することができるので、上記流れの循環速度を向上させることができる。したがって、混合性がさらに向上するとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明においては、側壁に、軸方向に延びる第2の突部を設けているので、側壁においても軸流羽根の回転に起因する周方向の流れを軸方向の上方への流れに変換することができる。したがって、この点からも、混合性の向上を図ることができるとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明においては、突部または第2の突部における一方の面が底面または側壁から急激に立ち上がっているので、周方向の流れを効率良く制止して放射方向または軸方向の流れに変換することができる。また、突部または第2の突部における他方の面が底面または側壁に滑らかに下降するように形成されているので、突部または第2の突部を乗り越えた流体が他方の面から底面または側壁にかかる部分で淀むのを防止することができる。したがって、突部または第2の突部によって、流体の循環性が低下するのを防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明においては、複数の突部が軸流羽根によって流体が送り出される位置で互いに連続するように形成されているので、軸流羽根から底面に送り出された流体は必ずその送り出された位置の突部から周辺の底面に下りてから側壁側に移動することになる。したがって、底面における軸流羽根の下側において流体が淀んで、循環性が低下してしまうのを防止することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明においては、軸流羽根の径、すなわち軸流羽根の回転円の径が側壁における最小の内接円の径の1/√2以下に設定されているので、上記軸流羽根の回転円の面積が上記内接円の面積の1/2以下になる。すなわち、軸流羽根の回転円の面積は、内接円の面積から軸流羽根の回転円の面積を引いた面積以下となる。このため、軸流羽根に吸い込まれる下降流と、軸流羽根の外側を流れる上昇流とが互いにぶつかり合うことがないので、流れの循環性の向上を図ることができる。したがって、混合性の向上を図ることができるとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0021】
この実施の形態で示す竪型撹拌装置は、図1に示すように、例えば酸性の被処理溶液を水酸化ナトリウム等の処理液で中和してから排出するためなどに使われるのものであり、1m3 の容量の樹脂製の撹拌槽1と、この撹拌槽1の内部に配置された軸流羽根2(図5、6参照)とを備えている。
【0022】
撹拌槽1は、図1〜図3に示すように、底板(底面)11と、この底板11の周縁から上方に筒状に立ち上がる側板(側壁)12と、この側板12の上縁部を閉塞するように設けられた天板13とを備えた構造になっている。
【0023】
底板11は、図4に示すように、角部が面取りされた正方形状のもので形成されているとともに、所定の幅の縁取部11aの内側が正方形状に一段高く形成された壇部11bになっている。壇部11bには、その中央部であって、側板12の軸心(中央部)Cに対応する位置から側板12側に向けて延在し、かつ上方に突出する突部11cが設けられている。
【0024】
各突部11cは、壇部11bの中央部から周方向に4等分する位置に放射状に設けられているとともに、その中央部で互いに連続するように形成されている。
【0025】
側板12は、底板11と同様に角部が面取りされた四角形状の筒状に形成されている。そして、各側面12aには、内方に突出し、かつ軸方向に延びる第2の突部12bが設けられている。各第2の突部12bは、側板12を周方向に4等分する各位置であって、突部11cの放射方向の先端部にほぼ対向する位置に配置されている。
【0026】
天板13は、図1および図3に示すように、その中央部であって、側板12の軸心Cに対応する位置に、後述する回転軸21を挿入するための挿入口13aが設けられており、その挿入口13aの周りの部分が回転軸21を回転駆動するための電動モータ(図示せず)の取付部13bになっている。
【0027】
また、天板13には、酸性等になった被処理溶液を供給するための例えばパイプを挿入するための第2挿入口13cと、中和等を行う処理溶液を供給するための例えばパイプを挿入するための第3挿入口13dとが設けられている。これらの第2挿入口13cと第3挿入口13dは、上記挿入口13aを挟んで周方向に180度離れた位置に設けられている。そして、各挿入口13c、13dの周りの部分が上記各パイプに設けたフランジ(図示せず)の取付部13eになっている。
【0028】
さらに、図1および図3において、13fは撹拌槽1内で中和等の処理をされた溶液を排水するための例えばパイプを挿入するための第4挿入口であり、第4挿入口14fの周りの部分がパイプに設けたフランジ(図示せず)の取付部13gになっている。さらに、13hは、透明板によって閉塞してなる覗き窓である。
【0029】
上述した回転軸21は、図5および図6に示すように、側板12の軸心Cを通って突部11cの近傍位置まで延在している。そして、軸流羽根2は、回転軸21の下端部の周面に設けられている。この軸流羽根2は、回転軸21の周方向に4等分する位置に4枚の羽根を有するもので構成されており、撹拌槽1内の流体を底板11に向けて送り出すようになっている。また、図5に示すように、軸流羽根2の径dは、側板12における最小の内接円の径Dの1/√2(すなわち、1/1.4142…)以下に設定されている。なお、この実施形態における最小の内接円の径Dは、周方向に4等分する位置に配置された各第2の突部12bに接する円の径となっている。
【0030】
また、上記突部11cは、図5および図6中の矢印で示す軸流羽根2の回転による流れを受ける周方向の一方の面11dが壇部11bの上面(底面)11fから急激に立ち上がるように形成され、周方向の他方の面11eが壇部11bの上面11fに向けて滑らかに下降するように形成されている。すなわち、図6に示すように、一方の面11dの上面11fに対する角度θ1は80〜90度に設定されており、他方の面11eの上面11fに対する角度θ2は65度以下、好ましくは45〜65度に設定されている。
【0031】
そして、上記第2の突部12bについても、図5に示すように、軸流羽根2の回転による流れを受ける周方向の一方の面12cが側板12の側面12aから急激に立ち上がるように形成され、周方向の他方の面12dが側板12の側面12aに向けて滑らかに下降するように形成されている。すなわち、一方の面12cの側面12aに対する角度θ1は80〜90度に設定されており、他方の面12dの側面12aに対する角度θ2は65度以下、好ましくは45〜65度に設定されている。
【0032】
上記のように角度θ1を80〜90度に設定したのは、80度未満になると、周方向に流れる流体が一方の面11d、12cを乗り越えやすくなるからであり、90度を超えると突部11cや第2の突部12bを底板11や側板12に一体的に加工することが困難になるなどの他の問題が発生するからである。また、角度θ2を好ましくは45〜65度に設定したのは、65度以下であれば、流体が他方の面11e、12dから上面11fや側面12aに滑らかに移動し、その境の部分で流体が淀むことがないからであり、45度未満になると、上面11fや側板12における突部11cや第2の突部12bの幅が広くなりすぎて、加工スペースを確保するのが困難になったり、加工自体が困難になったりするなどの他の問題が発生するからである。
【0033】
上記のように構成された竪型撹拌装置においては、撹拌槽1内の流体が軸流羽根2の回転によって、底板11に向け連続して送り出されることになる。そして、底板11に向かった流体は、同底板11に当たって四方に広がるように流れてから側板12に当たって上方に流れ、さらに最上位置で軸心C側に移動してから下降して再び軸流羽根2によって底板11側に送り出されることになる。
【0034】
このため、撹拌槽1内の全ての流体を軸流羽根2で送り出して循環させることができる。そしてその際、全ての流体は、軸流羽根2によって所定のピッチで切断されては送りだれ、再び軸流羽根2で切断される操作が繰り返されることになる。しかも、軸流羽根2で乱流になった流体は、底板11、側板12、軸心Cに沿う部分を流れる間に、互いに急速に混合し合うことになる。したがって、撹拌槽1内に投入された全ての流体を急速にかつ均一に混合することができるので、混合性の向上を図ることができる。
【0035】
また、流体が底板11の突部11cや壇部11b等に当たって方向を変えたり、側板12の側面12aや第2の突部12b等に当たって方向を変えたりすることにより乱流状態が促進されるので、この点からも流体の混合性の向上を図ることができる。さらに、軸流羽根2の回転等に起因してこの軸流羽根2の上側に軸心Cを中心とする渦流が発生することになるので、この点からも流体の混合性の向上を図ることができる。
【0036】
一方、軸流羽根2から送り出された流体は、軸流羽根2の回転によって周方向の速度成分を持つことになる。そして、この周方向の速度成分は、流体が側板12側に移動する際の一種の抵抗になり、この結果、流体が軸流羽根2から、底板11、側板12、最上部、軸心Cに沿う部分を通って再び軸流羽根2へと高速で循環する際の妨げとなる。しかし、底板11の中央部から側板12に向けて突部11cを設けることにより、底板11における周方向の流れを中央部から側板12側への放射方向の流れに変換することができるので、上記流れの循環速度を向上させることができる。したがって、混合性がさらに向上するとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0037】
また、側板12に、軸方向に延びる第2の突部12bを設けているので、側板12においても、軸流羽根2の回転に起因する周方向の流れを軸方向の上方への流れに変換することができる。したがって、この点からも、混合性の向上を図ることができるとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0038】
さらに、突部11cまたは第2の突部12bにおける一方の面11d、12cが上面11fや側面12aから急激に立ち上がっているので、軸流羽根2の回転による周方向の流れを効率良く制止して放射方向または軸方向の流れに変換することができる。また、突部11cまたは第2の突部12bにおける他方の面11e、12dが上面11fまたは側面12aに向かって滑らかに下降するような角度に形成されているので、突部11cまたは第2の突部12bを乗り越えた流体が他方の面11e、12dから上面11fまたは側面12aにかかる部分で淀むのを防止することができる。したがって、突部11cや第2の突部12bによって流体の循環性が低下するのを防止することができる。
【0039】
また、4つの突部11cが中央部で互いに連続しているので、軸流羽根2から底板11に送り出された流体は必ずその中央部の突部11cから周辺の壇部11bの上面11fに下りてから側板12側に移動することになる。したがって、底板11の中央部において流体が淀んで、循環性が低下するのを防止することができる。
【0040】
さらに、軸流羽根2の径dが側板12における最小の内接円の径Dの1/√2以下に設定されているので、軸流羽根2の回転円の面積が上記内接円の面積の1/2に以下になる。すなわち、軸流羽根2の回転円の面積は、内接円の面積から軸流羽根2の回転円の面積を引いた面積以下となる。このため、軸流羽根2に吸い込まれる下降流と、軸流羽根2の外側を流れる上昇流とが互いにぶつかり合うことがないので、流れの循環性の向上を図ることができる。したがって、混合性の向上を図ることができるとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0041】
なお、側板12の内側の断面積と同等の面積を有する円の径を有効内接円の径とすれば、軸流羽根2の径dを、有効内接円の径の1/√2にしてもよい。そして、さらに正確には、軸流羽根2の回転部分の面積(軸流羽根2の回転円の面積から回転軸21の断面積を引いた面積)を、上記有効内接円の面積から軸流羽根2の回転円の面積を引いた面積以下に設定することが好ましい。すんわち、上記有効内接円の径をE、回転軸21の径をeとすれば、
π(d2 −e2 )/4≦πE2 /4−π(d2 −e2 )/4
とすることが好ましい。
【0042】
また、上記実施の形態においては、軸流羽根2、回転軸21等を軸心Cと同軸となる位置に設置した例を示したが、これらの軸流羽根2、回転軸21等は、軸心Cから横方向にずらした位置に設置してもよい。ただし、その場合、突部11cは、軸流羽根2によって流体が送り出される位置、例えば軸流羽根2の軸心部に対応する位置から側板12側に向けて延在するように形成することが好ましいとともに、その軸流羽根2の軸心部で互いに連続するように形成することが好ましい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、撹拌槽内の全ての流体を軸流羽根で送り出して循環させることができる。そしてその際、全ての流体を軸流羽根によって繰り返し切断するような操作を行うことができる。しかも、軸流羽根で乱流になった流体は、底面、側壁、軸流羽根の上側を流れる間に、互いに急速に混合し合うことになる。したがって、撹拌槽に投入された全ての流体や固形物等を急速にかつ均一に混合することができるので、混合性の向上を図ることができる。
【0044】
また、流体が底面に当たって方向を変えたり、側壁に当たって方向を変えたりすることにより乱流状態が促進されるので、この点からも流体の混合性の向上を図ることができる。さらに、軸流羽根の回転等に起因してこの軸流羽根の上側に渦流が発生することになるので、この点からも流体の混合性の向上を図ることができる。
【0045】
さらに、底面に、軸流羽根によって流体が送り出される位置から側壁に向けて突部を設けることにより、底面における周方向の流れを軸流羽根の下側から側壁方向への放射方向の流れに変換することができるので、撹拌槽内の流れの循環速度を向上させることができる。したがって、混合性がさらに向上するとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0046】
請求項2に記載の発明によれば、側壁に、軸方向に延びる第2の突部を設けているので、側壁においても軸流羽根の回転に起因する周方向の流れを軸方向の上方への流れに変換することができる。したがって、この点からも、混合性の向上を図ることができるとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【0047】
請求項3に記載の発明によれば、突部または第2の突部における一方の面が底面または側壁から急激に立ち上がっているので、周方向の流れを効率良く制止して放射方向または軸方向の流れに変換することができる。また、突部または第2の突部における他方の面が底面または側壁に滑らかに下降するように形成されているので、突部または第2の突部を乗り越えた流体が他方の面から底面または側壁にかかる部分で淀むのを防止することができる。したがって、突部または第2の突部によって、流体の循環性が低下するのを防止することができる。
【0048】
請求項4に記載の発明によれば、複数の突部が軸流羽根によって流体が送り出される位置で互いに連続しているので、軸流羽根から底面に送り出された流体は必ずその送り出された位置の突部から周辺の底面に下りてから側壁側に移動することになる。したがって、底面における軸流羽根の下側において流体が淀んで、循環性が低下してしまうのを防止することができる。
【0049】
請求項5に記載の発明によれば、軸流羽根の径、すなわち軸流羽根の回転円の径が側壁における最小の内接円の径の1/√2以下に設定されているので、上記軸流羽根の回転円の面積が上記内接円の面積の1/2以下になる。すなわち、軸流羽根の回転円の面積は、内接円の面積から軸流羽根の回転円の面積を引いた面積以下となる。このため、軸流羽根に吸い込まれる下降流と、軸流羽根の外側を流れる上昇流とが互いにぶつかり合うことがないので、流れの循環性の向上を図ることができる。したがって、混合性の向上を図ることができるとともに、混合に要するエネルギ消費量の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態として示した竪型撹拌装置の外観斜視図である。
【図2】同竪型撹拌装置の正面図である。
【図3】同竪型撹拌装置の平面図である。
【図4】同竪型撹拌装置の底板を示す断面図である。
【図5】同竪型撹拌装置の底板および軸流羽根を示す断面図である。
【図6】同竪型撹拌装置の底板、軸流羽根および回転軸を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 撹拌槽
2 軸流羽根
11 底板(底面)
11c 突部
11d 一方の面
11e 他方の面
12 側板(側壁)
12b 第2の突部
12c 一方の面
12d 他方の面
C 軸心(中央部)
d 軸流羽根の径
D 最小の内接円の径
Claims (5)
- 底面および側壁を有する撹拌槽内における上記底面の近傍位置に、上記撹拌槽内の流体を上記底面に向けて送り出す軸流羽根を設けてなる竪型撹拌装置において、
上記底面には、上記軸流羽根によって流体が送り出される位置から上記側壁側に向けて延在する突部を、周方向に間隔をおいて複数設けたことを特徴とする竪型撹拌装置。 - 上記側壁には、軸方向に延びる第2の突部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の竪型撹拌装置。
- 上記突部または上記第2の突部は、上記軸流羽根の回転による流れを受ける周方向の一方の面が上記底面または側壁から急激に立ち上がるように形成され、周方向の他方の面が上記底面または側壁に向けて滑らかに下降するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の竪型撹拌装置。
- 上記複数の突部は、上記軸流羽根によって流体が送り出される位置で互いに連続するように形成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の竪型撹拌装置。
- 上記軸流羽根の径は、上記側壁における最小の内接円の径の1/√2以下に設定されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の竪型撹拌装置。
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