JP3898492B2 - シガレットフィルター設計装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルター付きシガレットのフィルターを設計するためのシガレットフィルター設計装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フィルター付きシガレットにおいて、たばこ煙成分の喫煙量をはじめとするシガレット特性は、フィルターに用いられるトウの品種、プラグの長さ、プラグの通気抵抗、プラグ巻取紙の通気度、プラグのカット数、フィルターの長さ、フィルターの通気抵抗、フィルターの円周、チップペーパーの通気度、開孔帯と吸口端の長さ、フィルターベンチレーション割合などの多くの因子の影響を受ける。そのため、これらの因子とシガレット特性との関係が種々検討され、それらの関係を用いてフィルター付きシガレットのフィルター設計が行なわれている。しかし、一つのパラメータを変更すると他のパラメータも影響を受けるため、新規のフィルター付きシガレットのフィルターを設計する際には、目的とする各たばこ煙成分の喫煙量が得られるまで各構成要件について計算を繰り返す必要があり、目的とするフィルターを得るために時間を要した。また、この計算値と実際にフィルター付きシガレットを製造して得られたフィルターの実測値との差が大きかった。
【0003】
このように、従来のフィルター付きシガレットのフィルターの設計においては、目的とするフィルターを得るためにパラメータを変更しながら計算を繰り返す必要があるために時間を要し、また、この計算値と実測値との差が大きいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、種々のパラメータを変更した場合の計算値が容易に得られ、また、計算値と実際に製造した新規フィルターの実測値との差が小さいシガレットフィルター設計装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決すべくなされたもので、請求項1に記載の発明は、フィルター付きシガレットのベースシガレットに関するデータおよび新規シガレットに関する設計データをもとに新規シガレットに関するデータを計算してフィルターを設計するシガレットフィルター設計装置において、前記ベースシガレットのデータを入力する第1の入力手段と、前記ベースシガレットのデータを格納するデータ記憶手段と、前記新規シガレットの設計データを入力する第2の入力手段と、前記入力したベースシガレットのデータまたは前記データ記憶手段から読み出したベースシガレットのデータと、前記新規シガレットの設計データから、該新規シガレットのデータを計算し出力する計算手段と、前記新規シガレットのデータを前記データ記憶手段に格納するデータ格納手段と、を具備してなることを特徴とするシガレットフィルター設計装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシガレットフィルター設計装置において、前記ベースシガレットの各たばこ煙成分を計算し、前記計算した各たばこ煙成分と該ベースシガレットの各たばこ煙成分の実測値をもとに、前記新規シガレットのろ過率およびベンチレーション割合を補正する補正係数を求める補正手段をさらに備え、前記計算手段は前記新規シガレットのデータを出力する際に前記補正係数により補正して出力することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のシガレットフィルター設計装置において、前記ベースシガレットのデータおよび前記新規シガレットの設計データは、それぞれフィルターの特性、ベンチレーションの特性、たばこ巻きの特性およびシガレットの特性を含むことを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシガレットフィルター設計装置において、前記新規シガレットのデータは、該新規シガレットの各たばこ煙成分の発生量、各たばこ煙成分の喫煙量およびベンチレーション割合を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のシガレットフィルター設計装置において、前記ベースシガレットおよび前記新規シガレットの各たばこ煙成分は、粒子物質、タール、ニコチンおよび一酸化炭素を含むことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態によるシガレットフィルター設計装置を説明するが、まず同実施の形態によるシガレットフィルター設計装置を適用できる一般的なフィルター付きシガレットの構造を図2および図3を参照して説明する。図2は1本のフィルター付きシガレットの外観を示す図であり、図3はその断面図である。図2および図3において、100はフィルター、110はフィルターを構成するトウ繊維を巻くプラグ巻取紙、120はフィルター110全体とたばこ巻き210の一部を巻くチップペーパー、130はチップペーパーに設けられた開孔(開孔を帯状に複数設け開孔帯を構成)、140は開孔130から流入する空気である。また、たばこ巻き210はシガレットを構成する本体部、220は燃焼部である。
【0009】
このフィルター付きシガレットは、概略次のようにして製造されている。まず、捲縮を施したトウ繊維を緊張、開繊し、巻紙で巻上げて、均一な円棒状に成形する。このときに用いる巻紙をプラグ巻取紙110と呼び、円棒状物をフィルタープラグと呼ぶ。フィルタープラグを一定長に切断し、たばこ巻き210と接触させた状態で、たばこ巻き210の一部の面とフィルター100の全面の上から巻紙で巻上げ、たばこ巻き210とフィルター100とを接続する。このときに用いる巻紙をチップペーパー120と呼ぶ。
【0010】
このようなフィルター100を設計する際の重要な因子として通気抵抗がある。通気抵抗とは、フィルタープラグ、フィルター、たばこ巻き、シガレットなど、円棒状物の軸方向に17.5ml/secの空気を流したときの円棒状物の両端の差圧であり、コレスタ(CORESTA)推奨法No.41に定められている。シガレットの通気抵抗は、シガレットを人間が喫煙するという観点から、適正な範囲がある。例えば、1400Paを超える通気抵抗では人が吸引することができず、600Paに満たない通気抵抗では吸いごたえがない。
【0011】
そして、フィルタープラグの通気抵抗は、用いるトウの品種と、フィルタープラグに巻上げるときのトウの詰め込み量、フィルタープラグの長さ、円周によって定まる。トウ品種は、単繊維の繊度とトウの総繊度によって表され、単繊維の繊度が細く総繊度が太いものほど通気抵抗が高くなる。同じトウ品種でも、フィルタープラグに巻上げるときのトウの詰め込み量を調整することができ、詰め込み量を多くするほど通気抵抗が高くなる。また、フィルタープラグの長さが長く円周が細いほど通気抵抗が高くなる。フィルタープラグを切断してフィルターにしたときの通気抵抗は、次の関係にある。
(1)式からわかるように、フィルター付きシガレットのフィルター仕様を変更するとフィルターの通気抵抗が変わり、シガレットの通気抵抗が変化する。
【0012】
プラグ巻取紙110には空気を透過するものと透過しないものとがあり、前者を高通気度紙、後者を普通紙と呼ぶ。また、チップペーパー120には、円周方向に例えばミシン目状の孔のあいた開孔130が設けられている場合があり、開孔130を空気140が透過する。プラグ巻取紙110やチップペーパー120が透過する空気量を定量化する指標として通気度があり、コレスタ推奨法No.40では、差圧が1.00kPaのときに、1cm2を流れる空気流量を通気度と定めている。
【0013】
また、シガレットの燃焼されるべき端部以外からシガレット内に流入する空気をベンチレーションと呼ぶ。プラグ巻取紙110に高通気度紙を用い、かつ、開孔130を設けたチップペーパー120を用いた場合、シガレットの吸引時にチップペーパー120の開孔130から空気140がフィルター内に流入する。
コレスタ推奨法No.6では、チップペーパーの開孔から流入する空気(ベンチレーション)の量を定量化するものとして、シガレットの吸口端から空気を17.5ml/secで吸引したとき、チップペーパーの開孔から流入する空気の割合をフィルターベンチレーション割合と定めている。
プラグ巻取紙110、チップペーパー120の通気度が高く、開孔130と吸口端Sの距離L1が短く、開孔130をシールしたフィルター100の通気抵抗が高いほどフィルターベンチレーション割合が高くなる。このフィルターベンチレーション割合を推定する推定式として、例えば後述するBaskevitchの式がある。
【0014】
開孔130を設けると、シガレットの吸引時に、一部の空気はチップペーパー120に施された開孔130から流入し、残りの空気がたばこ巻き210からフィルター100に流れることになる。したがって、シガレットの通気抵抗が変化するが、フィルターベンチレーション割合が高くなるほどシガレットの通気抵抗が低下する。
なお、シガレットの種類によっては、開孔を設けていないものもあり、これを無開孔と称する。
【0015】
次に、たばこ煙の成分としては、例えば、TPM(粒子物質)、タール、ニコチン、CO(一酸化炭素)などがある。フィルター付きシガレットを喫煙したとき、たばこ巻き210で発生するたばこ煙成分の量を発生量と呼ぶ。たばこ煙成分の発生量は、喫煙の際、たばこ巻き210の燃焼部220に流入する空気の量の影響を受ける。すなわち、フィルター付きシガレットの吸口端Sから一定量の空気を吸引しても、燃焼部以外からシガレットに流入する空気量が異なると、燃焼部220に流入する空気量が異なり、たばこ煙成分の発生量が異なる。
【0016】
したがって、フィルター100にフィルターベンチレーションを導入した場合、無開孔の場合に比べてたばこ煙成分の発生量が変化する。無開孔の場合と比較したたばこ煙成分の発生量の変化の程度は、フィルターベンチレーション割合によって異なり、フィルターベンチレーション割合が高いほど発生量の変化の程度が大きい。例えば、タールの場合はフィルターベンチレーション割合が高いほどタールの発生量が少なくなる。この関係を表した式として、例えば後述のBrowneらの検討による式がある。
【0017】
また、フィルター付きシガレットを喫煙したとき、たばこ巻き210で発生するたばこ煙成分は、フィルター100である程度、ろ過捕捉されて、残りがフィルター100の吸口端Sから流出することになる。吸口端Sから流出するたばこ煙成分の量を喫煙量と呼び、たばこ煙成分の発生量に対してフィルター100でろ過捕捉される量の割合をろ過率と呼ぶ。このろ過率は、フィルター100に用いるトウの品種、フィルター100の通気抵抗、フィルター100の長さ等によって異なり、単繊維の繊度が細くフィルター100の通気抵抗が高くフィルター100の長さが長いほどろ過率が高くなり、たばこ煙成分の喫煙量は少なくなる。ろ過率を推定する推定式として、例えば後述のKeithの式がある。
【0018】
次に、本発明の実施の形態によるシガレットフィルター設計装置を図1を参照して説明する。図1において、10はベースシガレットに関するデータ、11はベースシガレットに関するデータを入力する入力部、12は新規に設計するシガレットに関する設計データ、13は新規シガレットに関する設計データを入力する入力部である。14は入力部11から入力され、またはデータ記憶装置15から読み出されたベースシガレットのデータと入力部13から入力された新規シガレットの設計データ12をもとに、新規シガレットのフィルターのろ化率や各たばこ煙成分の発生量などを計算し、さらに補正部16で求めた補正データで補正する計算部である。また、15はベースシガレットのデータや計算結果である新規シガレットのデータを格納するデータ記憶装置であり、補正部16は計算部14で計算した結果を出力する前に計算結果を補正するための補正データを計算する。17は計算部14で計算した結果を出力する出力部、18は出力された新規シガレットのデータである。
【0019】
ベースシガレットのデータ10および新規シガレットの設計データ12は、それぞれ、次のようなデータで構成される。すなわち、
▲1▼フィルターの特性(トウの品種、プラグの長さ、プラグの通気抵抗、プラグのカット数、フィルターの長さ、フィルターの通気抵抗、フィルターの円周)、
▲2▼ベンチレーションの特性(プラグ巻取紙の通気度、チップペーパーの通気度、開孔帯と吸口端の長さ、フィルターベンチレーション割合)、
▲3▼たばこ巻きの特性(たばこ巻きの通気抵抗)、
▲4▼シガレットの特性(シガレットの通気抵抗、たばこ煙成分(TPM、タール、ニコチン)の発生量、たばこ煙成分(TPM、タール、ニコチン、CO)の喫煙量)
である。
【0020】
次に、計算部14で行う新規シガレットのデータの計算について説明する。新規フィルターの設計は、次のようにして行なうことができる。例えば、新規フィルター設計のもとになるベースシガレット、すなわちフィルター仕様を変更する前のシガレットのフィルターベンチレーション割合が不明である場合は、フィルターベンチレーション割合の推定式(例えば後述のBaskevitchの式)を用いてフィルター仕様を変更する前のフィルターベンチレーション割合を推定する。また、たばこ煙成分の発生量が不明である場合には、たばこ煙成分のフィルターでのろ過率の推定式(例えば後述のKeithの式)とたばこ煙成分の喫煙量とを用いて、たばこ煙成分の発生量を推定する。そして、これらの推定値をもとにしてフィルター仕様を変更する設計を行なう。
【0021】
ろ過率の推定式としては、例えば次のKeithの式が知られている。
log(1−E/100)=A・Lf+B・ΔP・C^4+D・Lf/δ…(2)
ただし、
E:ろ過率
Lf:フィルターの長さ
ΔP:フィルターの通気抵抗
C:フィルターの円周
δ:単繊維の繊度
A,B,D:定数
この(2)式から、ろ過率を推定し、推定したろ過率とたばこ煙成分の発生量とから、たばこ煙成分の喫煙量を見積もることができる。
【0022】
また、フィルターベンチレーションとたばこ煙成分の発生量との関係は、例えばBrowneらによって検討されている。この検討によれば、たばこ煙成分の発生量とシガレットの燃焼部に流入する空気量との関係が次式で表されている。
M=M0−a×D …(3)
ただし、
M:あるフィルターベンチレーション割合のときのたばこ煙成分の発生量
M0:フィルターベンチレーションがないときのたばこ煙成分の発生量
D:フィルターベンチレーション割合
a:定数
この(3)式から、あるフィルターベンチレーション割合の時のたばこ煙成分の発生量をもとにして、フィルターベンチレーションを変更した時のたばこ煙成分の発生量を見積もることができる。
【0023】
このフィルターベンチレーションの調整は、主としてプラグ巻取紙110とチップペーパー120の通気度の調整により行なわれる。フィルター仕様からフィルターベンチレーション割合を推定する検討が従来より行なわれている。フィルターベンチレーション割合の推定式として、例えば次のBaskevitchの式が知られている。
Vf(%)=A/(K(1/Tipping+5/PPW)+A) …(4)
A=CigFE−FilE×L1/Lf …(5)
ただし、
Vf(%):フィルターベンチレーション割合
Tipping:チップペーパーの通気度
PPW:プラグ巻取紙の通気度
CigFE:開孔をシールしたフィルターを付けたシガレットの通気抵抗
FilE:開孔をシールしたフィルターの通気抵抗
L1:開孔帯と吸口端の距離
Lf:フィルターの長さ
K:定数
【0024】
この(4)式、(5)式からフィルターベンチレーション割合を推定し、推定したフィルターベンチレーション割合とBrowneらの検討結果((3)式)からたばこ煙成分の発生量を推定し、さらにKeithのろ過率の推定式((2)式)からたばこ煙成分の喫煙量を推定することができる。
【0025】
このように、フィルター仕様を変更することによって、フィルターベンチレーション割合の変更によるたばこ煙成分の発生量の増減と、フィルターでのろ過率の変更とにより、たばこ煙成分の喫煙量を調整することができる。
【0026】
次に、補正部16で行う補正について説明する。フィルター仕様を変更する前のシガレットにおいて、(2)式によって推定したたばこ煙成分のフィルターでのろ過率と実測のろ過率とに差がある場合、または(4)式と(5)式を用いて推定したフィルターベンチレーション割合と実測のフィルターベンチレーション割合とに差がある場合には、これらの推定式をそのまま用いてフィルター仕様を変更する設計を行なうと有効な設計ができない。
【0027】
そこで、フィルター仕様を変更する前のシガレットにおいて、(2)式を用いたたばこ煙成分の推定ろ過率または(4)式と(5)式を用いた推定フィルターベンチレーション割合と、実測のろ過率または実測のフィルターベンチレーション割合との関係から、フィルター仕様変更後の推定ろ過率または推定フィルターベンチレーション割合を補正する。補正の方法は、例えば、フィルター仕様変更前の実測値と推定値との比率を求め、この比率を(2)式、(4)式、(5)式で計算した推定値に掛けて、その結果を補正した推定値として用いる。
【0028】
すなわち、この補正方法を用いたろ過率Eの補正は次の手順で行う。
▲1▼ベースシガレットの各たばこ煙成分の実際の発生量と各たばこ煙成分の喫煙量を測定し、各たばこ煙成分のろ過率の実測値(実測E)を求める。
▲2▼ベースシガレットのフィルター特性値からベースシガレットの各たばこ煙成分の推定ろ過率(推定E)を計算する。
▲3▼実測Eと推定Eから、ろ過率補正係数を求める。
▲4▼新規シガレットの各たばこ煙成分の喫煙量を計算する際に、新規シガレットのフィルター特性値から計算した推定Eに、ろ過率補正係数を掛けたものをろ過率として用いる。
【0029】
また、フィルターベンチレーション割合(Vf)の補正は、次の手順で行う。▲1▼ベースシガレットの実際のフィルターベンチレーション割合(実測Vf)を測定する。
▲2▼ベースシガレットのフィルターの特性、ベンチレーションの特性、たばこ巻きの通気抵抗またはシガレットの通気抵抗からベースシガレットの推定フィルターベンチレーション割合(推定Vf)を計算する。
▲3▼実測Vfと推定Vfからフィルターベンチレーション補正係数を求める。
▲4▼新規シガレットのフィルター特性値、刻みPDまたはシガレットPDから計算した推定Vfにフィルターベンチレーション補正係数を掛けたものをフィルターベンチレーション割合として、新規シガレットの各たばこ煙成分の発生量および喫煙量を計算する。
【0030】
次に、本発明の実施の形態の動作について図1を参照して説明する。まず、ベースシガレット(フィルターベンチレーションなし)をもとに、新規シガレットのフィルターを設計する場合には、次の手順で設計する。
▲1▼ベースシガレットのデータとしてフィルター特性値(トウ品種、プラグ長、カット数、フィルタープラグ円周、プラグPD)を入力部11から入力する。
▲2▼ベースシガレットのデータとして各たばこ煙成分の実際の喫煙量(TPM、タール、ニコチン、CO)を入力部11から入力する。
▲3▼ベースシガレットのフィルター特性値からベースシガレットの各たばこ煙成分(TPM、タール、ニコチン)の推定ろ過率を計算部14で計算する。
▲4▼ベースシガレットの各たばこ煙成分の推定ろ過率とベースシガレットの実際の喫煙量から、ベースシガレットのたばこ巻きからの各たばこ煙成分(TPM、タール、ニコチン)の発生量を計算部14で計算する。
▲5▼新規シガレットの設計データとして新規フィルターの設計データを入力部13から入力する。
▲6▼ベースシガレットのたばこ巻きからの各たばこ煙成分の発生量、各たばこ煙成分の推定ろ過率、新規シガレットのフィルターの設計データから、新規シガレットの各たばこ煙成分の発生量、各たばこ煙成分の喫煙量およびフィルターベンチレーション割合を計算部14で計算する。この計算の際には、補正部16で求めたろ過率およびフィルターベンチレーション割合の補正係数を用いて補正・計算する。
▲7▼計算して得られた新規シガレットのデータをデータ記憶装置15に記憶するとともに、出力17から出力する。
【0031】
次に、ベースシガレット(フィルターベンチレーションあり、ベースシガレットの推定フィルターベンチレーション割合(推定Vf)が不明)をもとに新規シガレットのフィルターを設計する場合には、次の手順で設計する。
▲1▼ベースシガレットのデータとしてフィルター特性値(トウ品種、プラグ長、カット数、フィルタープラグ円周、プラグPD、プラグ巻き取り紙通気度、ベンチレーション位置、チップペーパー通気度)、刻みPDまたはシガレットPDを入力部11から入力する。
▲2▼ベースシガレットのデータとして各たばこ煙成分の実際の喫煙量(TPM、タール、ニコチン、CO)を入力部11から入力する。
▲3▼ベースシガレットのフィルター特性値、刻みPDまたはシガレットPDからベースシガレットの推定Vfを計算部14で計算する。
▲4▼ベースシガレットのフィルター特性値からベースシガレットの各たばこ煙成分(TPM、タール、ニコチン)の推定ろ過率を計算部14で計算する。
▲5▼ベースシガレットの各たばこ煙成分の推定ろ過率とベースシガレットの実際の喫煙量から、ベースシガレットのたばこ巻きからの各たばこ煙成分(TPM、タール、ニコチン)の発生量(フィルターベンチレーションあり)を計算部14で計算する。
▲6▼ベースシガレットの各たばこ煙成分の発生量(フィルターベンチレーションあり)と推定Vfから、ベースシガレットの各たばこ煙成分の発生量(フィルターベンチレーションなし)を計算部14で計算する。
▲7▼新規シガレットの設計データとしてフィルターの設計データを入力部13から入力する。
▲8▼ベースシガレットのたばこ巻き210からの各たばこ煙成分の発生量(フィルターベンチレーションなし)および推定ろ過率と、新規シガレットのフィルターの設計データから、新規シガレットの各たばこ煙成分の発生量、各たばこ煙成分の喫煙量およびフィルターベンチレーション割合を計算部14で計算する。この計算の際には、補正部16で求めたろ過率およびフィルターベンチレーション割合の補正係数を用いて補正・計算する。
▲9▼計算して得られた新規シガレットのデータをデータ記憶装置15に記憶するとともに、出力部17から出力する。
【0032】
また、ベースシガレットのデータ10を入力する代わりに、データ記憶装置15から既存のシガレットのデータを読み出して使用することも可能である。その場合には、データ記憶装置15から目的とする品種、喫煙量等の検索を行い、目的とする設計データに最も近いデータをもとに、上記と同様の手順で新規シガレットのフィルターの設計を行う。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、ベースシガレットのデータと、新規シガレットの設計データから、新規シガレットのデータを計算し出力するようにしたので、新規シガレットの設計データ(パラメータ)を変更した場合において、変更後のシガレットデータを容易に得ることができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、ベースシガレットの各たばこ煙成分を計算し、計算した各たばこ煙成分と該ベースシガレットの各たばこ煙成分の実測値をもとに、新規シガレットのろ過率およびベンチレーション割合を補正する補正係数を求める補正手段を備え、新規シガレットのデータを出力する際に補正係数により補正して出力するようにしたので、計算値と実測値との差が小さいシガレットフィルター設計装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態によるシガレットフィルター設計装置を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態によるシガレットフィルター設計装置を適用して設計できる一般的なフィルター付きシガレットの外観を示す図である。
【図3】 図2のフィルター付きシガレットの断面を示す図である。
【符号の説明】
10…ベースシガレットのデータ、11,13…入力部、12…新規シガレットの設計データ、14…計算部、15…データ記憶装置、16…補正部、17…出力部、18…新規シガレットのデータ、100…フィルター、110…プラグ巻取紙、120…チップペーパー、130…開孔、210…たばこ巻き、220…燃焼部
Claims (4)
- フィルター付きシガレットのベースシガレットに関するデータおよび新規シガレットに関する設計データをもとに新規シガレットに関するデータを計算してフィルターを設計するシガレットフィルター設計装置において、
前記ベースシガレットのデータを入力する第1の入力手段と、
前記ベースシガレットのデータを格納するデータ記憶手段と、
前記新規シガレットの設計データを入力する第2の入力手段と、
前記新規シガレットの設計データから、ろ過率及びフィルターベンチレーション割合を含む該新規シガレットのデータを計算し出力する計算手段と、
前記新規シガレットのデータを前記データ記憶手段に格納するデータ格納手段と、
前記入力したベースシガレットのデータまたは前記データ記憶手段から読み出したベースシガレットのデータから、前記ベースシガレットのろ過率又はフィルターベンチレーション割合のうち少なくとも一方についての推定値を計算するとともに、該少なくとも一方についての実測値を取得し、さらに、計算により得られる推定値と取得した実測値との比率を求める手段と、
を具備し、
前記計算手段は、前記新規シガレットのデータに含まれるろ過率及びフィルターベンチレーション割合を出力する際に前記比率により補正して出力することを特徴とするシガレットフィルター設計装置。 - 前記ベースシガレットのデータおよび前記新規シガレットの設計データは、それぞれフィルターの特性、ベンチレーションの特性、たばこ巻きの特性およびシガレットの特性を含むことを特徴とする請求項1に記載のシガレットフィルター設計装置。
- 前記新規シガレットのデータは、該新規シガレットの各たばこ煙成分の発生量、各たばこ煙成分の喫煙量およびフィルターベンチレーション割合を含むことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載のシガレットフィルター設計装置。
- 前記ベースシガレットのろ過率の実測値は、前記ベースシガレットの各たばこ煙成分の発生量及び喫煙量の実測値をもとに求められ、
前記ベースシガレットの各たばこ煙成分は、粒子物質、タール、ニコチンおよび一酸化炭素を含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシガレットフィルター設計装置。
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