JP3896681B2 - ピッキングフォークリフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はピッキングフォークリフトに係り、詳しくはフォーク及び運転席の双方が独立して昇降可能に構成されるとともに、機台の後部に機能部品室が設けられたピッキングフォークリフトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、フォークの昇降による荷役作業と、昇降可能に構成された運転席とともに運転者が昇降して高い位置にある棚とフォークリフトとの間で荷の移動を行うピッキング作業とが可能なピッキングフォークリフトがある。この種のピッキングフォークリフトとして特開平5−229787号公報に開示されたものは、機台の前部にフォークが設けられ、機台の後部に運転席が設けられている。そして、フォーク及び運転席はそれぞれ対応するマスト装置によって独立して昇降可能に構成されている。このピッキングフォークリフトでは運転席の前側に荷物置き部が設けられている。しかし、運転席の前側には種々の操作レバーや車両の操舵を行うステアリングが設けられているため、広い荷物置き部を確保するのは難しい。
【0003】
そこで、本願出願人は機台に対してフォーク及び運転席の双方が独立して昇降可能に構成されるとともに、前記フォークが機台の前部に設けられ、機台の後部に機能部品室が設けられたピッキングフォークリフトを提案した。このピッキングフォークリフトにおいては、運転席の後部に運転席と一体的に昇降する荷物置き部が設けられている。従って、このピッキングフォークリフトでは荷物置き部の幅を車両の幅一杯に設けることが可能になり、広い荷物置き部を確保することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記機台の後部に機能部品室が設けられたピッキングフォークリフトは、運転席が最下降位置に配置された状態では、運転席の後部に設けられて運転席と一体的に昇降する荷物置き部が、機能部品室の上側と若干の隙間がある状態となる。しかし、運転席が上昇したときは機能部品室の上方に大きな空間ができる。そして、機能部品室の上側が平らなため、運転者以外の作業者が誤って機能部品室の上側に荷物を一時的に載置する虞がある。この状態で運転席が最下降位置まで降下すると、機能部品室の上側に載置された荷物が荷物置き部に押し潰されて破損したり、あるいは荷物置き部が破損する虞がある。
【0005】
本発明の目的は機台の後部に設けられた機能部品室の上側に作業者が誤って荷物を載置するのを防止して、機能部品室の上側に荷物が載置された状態で、運転者が知らずに運転席の下降を開始して機能部品室の上側に載置された荷物が破損するのを防止することができるピッキングフォークリフトを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、機台に対してフォーク及び運転席の双方が独立して昇降可能に構成されるとともに、前記フォークが機台の前部に設けられ、機台の後部に機能部品室が設けられたピッキングフォークリフトであって、前記運転席の後部には運転席と一体的に昇降する荷物置き部を機能部品室と対向するように形成し、前記荷物置き部の下方に、少なくとも前記荷物置き部が上昇された状態において、前記機能部品室の上面に荷物を載置するのを規制する荷物載置規制手段を装備し、該荷物載置規制手段は、前記運転席が最下降位置に配置されたときに前記機能部品室の後部及び側部を覆う開閉扉として機能する
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記荷物載置規制手段は、運転席の後部に立設された支持部に対して回動可能に支持された外側プレートと、該外側プレートに対して上下方向に摺動可能な内側プレートとを備え、外側プレート及び内側プレートにより上下方向にスライド可能な二重構造に形成されている
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記荷物置き部は運転席が最下降位置に配置されたときに、前記機能部品室の上面との間に物を収容するスペースが形成される状態に形成され、前記荷物載置規制手段は運転席が最下降位置に配置されたときに、その上端が前記機能部品室の上面とほぼ同じ高さとなるように前記運転席に支持されている。
【0012】
従って、請求項1に記載の発明では、フォークと独立して昇降可能な運転席の後部に運転席と一体的に設けられた荷物置き部と、機能部品室の上面との間には、少なくとも運転席が上昇位置に配置されたときに、荷物を載置可能な空間が存在する。しかし、荷物置き部の下方に装備された荷物載置規制手段により、機能部品室の上面に荷物を載置するのが規制される。
【0013】
また、荷物載置規制手段は、運転席が最下降位置に配置された状態では機能部品室の後部及び側部を覆う開閉扉を兼ねる。そして、運転席とともに荷物置き部が上昇したときは、荷物載置規制手段が荷物置き部とともに上昇し、機能部品室の上面と荷物置き部との間の空間を荷物載置規制手段が囲む状態となる。従って、機能部品室の上面が荷物を載置可能な形状であっても、荷物を載置するのが規制される。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、運転席が最下降位置に配置されたときに、機能部品室の上面と荷物置き部との間に荷物(物)を収容するスペースが設けられる。一方、運転席とともに荷物置き部が上昇したときは、前記と同様にして機能部品室の上面に荷物を載置するのが規制される。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に従って説明する。図1及び図2に示すように、ピッキングフォークリフト1の機台2は2個の前輪3と1個の後輪4とを備えている。機台2の前部に左右一対のマスト5が立設されており、マスト5にはフォーク6及び運転席7がそれぞれ独立して昇降可能に装備されている。機台2の後部には機能部品室8が設けられている。機能部品室8内には後輪4を駆動するためのドライブユニット(図示せず)やバッテリE(図1にのみ図示)等が収容されている。
【0019】
図4に示すように、左右一対のマスト5には、その内側面(対向する面)にそれぞれ内側に向かって開口した溝5aがマスト5の長手方向に沿って形成され、外側面に凸条5bがマスト5の長手方向に沿って形成されている。両マスト5は各マスト5の後端面に固着されたビーム9により相互に連結されている。ビーム9の前側にはフォーク用リフトシリンダ10が、ビーム9の後側には運転席用リフトシリンダ11がそれぞれ前後方向に並んだ状態で配設されている。
【0020】
フォーク6が固定されたリフトブラケット12はその後部に突設された左右一対のアーム13に、前記溝5a内を転動するベアリング14が装備されている。フォーク用リフトシリンダ10のピストンロッドの先端にはチェーンプーリ15が取り付けられている。チェーンプーリ15には、第1端部がリフトブラケット12に連結され、第2端部がビーム9に連結されたチェーン16が巻き掛けられている。そして、フォーク用リフトシリンダ10の作動により、リフトブラケット12がフォーク6とともにマスト5に沿って昇降するようになっている。
【0021】
運転席7の前部には、両マスト5の外側と対応する位置にブラケット17がそれぞれ突設され、各ブラケット17にはマスト5の凸条5bを挟持するそれぞれ上下二組のベアリング18が設けられている。運転席用リフトシリンダ11のピストンロッドの先端には左右一対のチェーンプーリ19が支軸19aを介して支持されている。各チェーンプーリ19には、第1端部が運転席7の前部に連結され、第2端部がビーム9に連結されたチェーン20が巻き掛けられている。そして、運転席用リフトシリンダ11の作動により、運転席7がマスト5に沿って昇降するようになっている。
【0022】
図3に示すように、運転席7の前部には、ステアリング21、運転席昇降レバー22、荷役レバー23及び走行レバー24を備えたインストルメントパネル25が設けられている。各レバー22〜24はそれぞれ独立して操作可能に構成されている。ステアリング21は伸縮自在なロッド26(図1及び図2に図示)を介して機台2に配設された操舵量伝達系統(図示せず)に接続されている。従って、ロッド26が運転席7の昇降に伴って伸縮することにより、運転席7の高さに拘わらず、ステアリング21の操舵量を機台2の操舵量伝達系統に伝達するようになっている。なお、運転席7の左右両側部は、それぞれ運転者が通るのに十分なスペースが確保された乗降口27として開放されており、運転者が左右どちらからでも運転席7に対して乗り降りできる。
【0023】
図1、図2及び図3に示すように、機能部品室8の上側は物を載置可能な形状に形成されている。運転席7の後部には、運転席7と一体的に昇降する荷物置き部28が設けられている。荷物置き部28は運転席7の後部に立設された支持部7aの上端に、水平に延びるように固定されている。荷物置き部28は運転席7が最下降位置(図2に示す位置)に配置されたときに、機能部品室8の上面を構成する上壁8aとの間に物を収容するスペースSが形成される状態に形成されている。
【0024】
機能部品室8は、床面が機台2の一部により形成され、前記支持部7aと対向する位置に機台2の幅方向に延びる支持壁29が立設されている。支持壁29の上端には、後方に向かって水平に延びるように上壁8aが支持されている。支持部7aには運転席7が最下降位置に配置されたときに機能部品室8の後部及び側部を覆う左右一対の扉30が装備されている。各扉30は運転席7が最下降位置に配置されたときに、その上端が機能部品室8の上壁8aとほぼ同じ高さとなるように形成されている。
【0025】
この実施の形態のピッキングフォークリフト1は運転席7が最上昇位置に配置された状態では、運転席7の底面が機能部品室8の上壁8aより高い位置に配置される。従って、扉30が単純に運転席7と一体に上昇する構成では、運転席7が最上昇位置に配置されたときに、扉30の下端は機能部品室8の上端より上方に配置される。この実施の形態では、扉30は荷物置き部28が上昇された状態において、機能部品室8の上面に荷物を載置するのを規制する荷物載置規制手段を構成する。従って、扉30は運転席7が最上昇位置に配置された状態においても、上壁8a上への荷物の載置を規制するように、機能部品室8の上方を囲む構成となっている。
【0026】
各扉30は金属製(この実施の形態では鉄製)で、上下方向にスライド可能な二重構造に形成されている。図5は機能部品室8の内部を省略した概略平断面図である。図5に示すように、扉30はそれぞれ外側プレート30aと内側プレート30bとを備え、外側プレート30aがその基端において支持部7aに対して回動可能に支持されている。外側プレート30aはヒンジ31(図5にのみ図示)を介して支持部7aに回動可能に支持されている。外側プレート30aにはその両端部に上下方向に延びるように屈曲部32が形成され、内側プレート30bは屈曲部32にガイドされて上下方向に摺動可能に、外側プレート30aに対して支承されている。屈曲部32の下部側には掛止部32aが突設され、内側プレート30bの上端には掛止部32aに係止可能な係止部33(図5に鎖線で図示)が形成されている。そして、内側プレート30bは運転席7が最上昇位置に配置されたときに、係止部33が掛止部32aに掛止されて外側プレート30aに吊下され、その下端が機能部品室8の上壁8aより若干低い位置に配置される長さに形成されている。内側プレート30bは運転席7が最下降位置に配置された状態では、下端が機能部品室8の床面に当接するように形成されている。また、外側プレート30a及び内側プレート30bには、扉30を開放するときに内側プレート30bが外側プレート30aに対して下方へ移動するのを規制する、規制ピン(図示せず)を挿通する孔34が形成されている。
【0027】
次に前記のように構成されたピッキングフォークリフト1の作用を説明する。運転者は運転席7の左右両側に形成された乗降口27の一方から運転席7に乗り込み、インストルメントパネル25に装備されたステアリング21、運転席昇降レバー22、荷役レバー23及び走行レバー24を操作する。走行レバー24の操作に従ってピッキングフォークリフト1が走行する。運転席昇降レバー22の操作に従って運転席用リフトシリンダ11が作動され、運転席7が昇降される。荷役レバー23の操作に従ってフォーク用リフトシリンダ10が作動され、フォーク6が昇降される。
【0028】
ピッキング作業を行う場合、フォーク6及び荷物置き部28の上にピッキング用の荷物を載せて、荷物の積み卸し作業を必要とする所定の高さまで運転席7を昇降させる。そして、所定の位置に運転席7を保持した状態で、運転者が荷物のピッキング作業を行う。
【0029】
図2に示すように、運転席7が最下降位置に配置された状態では、扉30の上端が機能部品室8の上壁8aとほぼ同じ高さに配置され、機能部品室8の上壁8aと荷物置き部28との間に物を収容するスペースSが設けられる。このときのスペースSが主に運転者の作業具や私物等の物を載置する載置部となる。また、この状態では扉30の外側プレート30a及び内側プレート30bに形成された孔34が対向する位置に配置される。そして、扉を開けるときは、孔34に規制ピンを挿通して内側プレート30bのスライドを規制した状態で行う。
【0030】
荷物置き部28が運転席7とともに上昇するとき、係止部33が掛止部32aと係止するまでは、図3に示すように、内側プレート30bの下端が機台2と当接する位置に保持され、外側プレート30aだけが運転席7とともに上昇する。そして、係止部33が掛止部32aに係止した後は、外側プレート30aに吊下された状態で内側プレート30bも一体的に上昇する。図1に示すように、運転席7が最上昇位置に配置された状態では内側プレート30bは、その下端が機能部品室8の上壁8aより若干下側に位置する状態に配置される。従って、荷物置き部28が上昇した状態では、機能部品室8の上壁8aと荷物置き部28との間のスペースSは扉30によって囲まれた状態となる。
【0031】
従って、この実施の形態では以下のような効果を得ることができる。
(1) 荷物置き部28と機能部品室8の上面との間には荷物を載置可能な空間(スペースS)が存在するが、荷物置き部28が上昇位置に配置されたときには、荷物置き部28側に装備された荷物載置規制手段により、機能部品室8の上面に荷物を載置するのが規制される。従って、運転席7の上昇中に機能部品室8の上面に荷物を載置するのが規制(防止)され、運転席7が下降したときに、機能部品室8の上面8aに載置された荷物が押し潰されるのが回避される。
【0032】
(2) 荷物置き部28が上昇位置に配置されると、荷物置き部28と機能部品室8の上面との間のスペースSが扉30によって囲まれるため、機能部品室8の上面に他の作業者によって荷物が載置されるのを確実に防止できる。
【0033】
(3) 荷物載置規制手段が機能部品室8の扉30を兼ねるため、荷物載置規制手段を構成する部品数を少なくできる。この実施の形態では内側プレート30bが増えるだけとなる。
【0034】
(4) 扉30は上下方向にスライド可能な二重構造に形成され、内側プレート30bは外側プレート30aが所定高さ以上に上昇するとき外側プレート30aに吊下され、運転席7が最上昇位置に配置されたときにその下端が機能部品室8の上端より低い位置に配置される。従って、運転席7が最上昇位置に配置された状態で、運転席7の底面が機能部品室8の上壁8aより高い位置に配置されても、扉30が確実に荷物置き部28と機能部品室8との間のスペースSを囲んだ状態となる。
【0035】
(5) 運転席7が最下降位置に配置されたときに、機能部品室8の上面と荷物置き部28との間に物を収容可能なスペースSが設けられるため、当該スペースSを運転者の作業具や私物等の物を載置する載置部として利用することができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図6に従って説明する。この実施の形態では機能部品室8及び荷物載置規制手段の構成が前記実施の形態と異なり、その他の構成は同じである。同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。両扉30は二重構成ではなく1枚のプレートで形成され、支持壁29に回動可能に支持されている。即ち、前記実施の形態と異なり扉30は昇降しない。また、扉30は荷物載置規制手段として機能しない。
【0037】
荷物載置規制手段は機能部品室8の上壁8aに回動可能に配設されたプレート35と、荷物置き部28の下部に設けられた巻取り部36と、巻取り部36に巻かれ先端側がプレート35に連結された索としてのワイヤ37とを備えている。プレート35は上壁8aとほぼ同じ形状に形成され、その基端が上壁8aの後端にヒンジ(図示せず)を介して回動可能に連結されている。ヒンジはプレート35を水平位置と、プレート35及び上壁8aのなす角度が数十度となる間で回動可能に構成されている。巻取り部36はワイヤ37をその基端側から自動的に巻き取るように構成されている。ワイヤ37は、運転席7が最下降位置に配置されたときにプレート35をほぼ水平に配置し、運転席7が上昇位置に配置されたときにプレート35をその先端側が上側に向う傾斜状態に配置する長さに形成されている。
【0038】
従って、この実施の形態では運転席7が最下降位置に配置された状態から上昇すると、荷物置き部28の上昇に伴ってプレート35が上側へ回動される。そして、所定の位置まで回動された後は、運転席7の上昇に伴って巻取り部36からワイヤ37が繰り出されてプレート35は所定の傾斜状態に保持される。また、運転席7が所定位置より下方まで下降されると、下降に伴ってプレート35が自重で下方に回動され、運転席7が最下降位置に配置されると、プレート35は水平に配置される。
【0039】
従って、この実施の形態においても、荷物置き部28が上昇位置に配置されたときに、機能部品室8の上面に荷物を載置するのが規制され、運転席7が下降したときに、機能部品室8の上面8aに載置された荷物が押し潰されるのが回避される。また、この実施の形態では運転席7の上昇に伴って上昇させるのが必要な荷物載置規制手段の部品の重量が前記実施の形態に比較して軽くなる。
【0040】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図7に従って説明する。この実施の形態では荷物載置規制手段が、荷物置き部28と機能部品室8の上壁8aとの間にその前部を除く周縁に沿って所定間隔で配設された伸縮可能なロッド38により構成されている。ロッド38は第1端部が荷物置き部28下面に固定され、第2の端部が機能部品室8の上壁8aに固定されている。そして、ロッド38は荷物置き部28の昇降に伴って伸縮する。従って、荷物置き部28と機能部品室8の上壁8aとの間のスペースSは、常にロッド38に囲まれた状態に保持され、上壁8aに荷物が載置されるのが規制される。
【0041】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態を図8に従って説明する。この実施の形態では荷物載置規制手段が荷物置き部28の昇降と無関係に載置台28側に設けられている点が前記各実施の形態と異なっている。荷物載置規制手段は機能部品室8の上面が荷物の載置が困難な凸状に形成されている。この実施の形態では上壁8aは頂部が半球状となったほぼ四角錐状に形成されている。頂部の高さは運転席7が最下降位置に配置された状態における荷物置き部28と上壁8aとの間隔より若干小さく形成されている。
【0042】
従って、この実施の形態では荷物置き部28が上昇位置に配置されて、機能部品室8の上壁8aとの間に大きなスペースが存在する状態でも、機能部品室8の上壁8aに荷物を載置するのが規制される。また、上壁8aの形状を変更するだけで簡単に荷物載置規制手段を形成でき、荷物載置規制手段の製造が簡単になる。凸状の形状は角錐状に限らず、ドーム状や円弧面状等の他の形状でもよい。また、前部側から後部側に向かって下降傾斜する形状であってもよい。
【0043】
なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 第1の実施の形態において、運転席7が最下降位置に配置された際に、荷物置き部28と機能部品室8との間に物を載置可能なスペースSを設けない構成としてもよい。
【0044】
○ 第1の実施の形態のように、荷物載置規制手段が機能部品室8の扉30を兼用する構成において、運転席7の最大上昇量が機能部品室8の高さより低い場合は、各扉30を二重構造にせずに1枚のプレートで構成してもよい。
【0045】
○ 機能部品室8の両側部及び後部を扉30で覆う構成に代えて、カバープレートで覆う構成としてもよい。この場合、機能部品室8内の点検作業やバッテリEの交換作業の際は、カバープレートを取り外す。
【0046】
○ 第2の実施の形態において、荷物載置規制手段を構成するプレート35に代えて、格子状の部材や金網を使用してもよい。
○ 荷物載置規制手段として公知の巻取り式のブラインドと同様に構成された巻取り式カーテンを、荷物置き部28と機能部品室8の上壁8aとの間にその前部を除く周縁に沿って配設する。巻取り式カーテンは巻取り部を荷物置き部28及び上壁8aの一方に固定し、巻取り部に自動的に巻き取りられるシートを他方に固定する。この場合、荷物置き部28と機能部品室8との間のスペースSがシートによって囲まれるため、荷物が上壁8a上に載置されるのが規制される。巻取り式カーテンのシートの先端を荷物置き部28又は上壁8aに、フック等の掛止部材を介して取り外し可能に固定してもよい。
【0047】
○ 荷物載置規制手段として巻取り式カーテンに代えて、プリーツ加工が施された布又はシートの両端をプリーツが水平となる状態で、機能部品室8の上壁8a及び荷物置き部28に固定してもよい。
【0048】
○ 荷物載置規制手段としてじゃばら(ベローズ)を機能部品室8の上壁8aと荷物置き部28との間に設けてもよい。
○ 荷物載置規制手段としてじゃばらを使用する場合、運転席7が最下降位置に配置された状態で荷物置き部28と機能部品室8の上壁8aとの間に物を載置可能なスペースSが形成され、かつじゃばらの上端部を固定する枠を上壁8aとほぼ同じ高さとなるように支持部7aから突設する。この場合も、第1の実施の形態と同様に機能部品室8の上壁8aを、運転者の作業具や私物等の物を載置する載置部として利用することができる。
【0049】
前記各実施の形態から把握できる技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。
(1) 記荷物載置規制手段は前記荷物置き部と前記機能部品室の上面との間に、その周縁に沿って設けられたじゃばらにより構成されている。この場合、荷物置き部と機能部品室との間のスペースは、常にじゃばらに囲まれた状態に保持され、機能部品室の上に荷物が載置されるのが規制される。
【0050】
(2) 記扉は上下方向にスライド可能な二重構造に形成された外側プレートと内側プレートとを備え、外側プレートが運転席の後部に立設された支持部に対して回動可能に支持され、内側プレートは外側プレートが所定高さ以上に上昇するとき外側プレートに吊下され、運転席が最上昇位置に配置されたときにその下端が機能部品室の上端より低い位置に配置される長さに形成されている。この場合、運転席が最上昇位置に配置された状態で、運転席の底面が機能部品室の上端より高い位置に配置されても、扉が確実に荷物置き部と機能部品室との間のスペースを囲んだ状態となり、機能部品室の上に荷物が載置されるのが規制される。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項に記載の発明によれば、機台の後部に設けられた機能部品室の上側に、運転席が上昇位置に配置された際に他の者が荷物を載置するのを規制(防止)することができる。従って、機能部品室の上側に荷物が載置された状態で、運転者が知らずに運転席の下降を開始して機能部品室の上側に載置された荷物が破損するのを防止することができる。
【0052】
また、荷物載置規制手段が機能部品室の開閉扉を兼ねるため、荷物載置規制手段を構成する部品数が少なくなる。
請求項3に記載の発明によれば、運転席が最下降位置に配置されたときに、機能部品室の上面と荷物置き部との間に物を収容可能なスペースが設けられるため、当該スペースを運転者の作業具や私物等の物を載置する載置部として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態のピッキングフォークリフトの概略側面図。
【図2】 同じく運転席が最下降位置に配置された状態の概略側面図。
【図3】 荷物載置規制手段と機能部品室の関係を示す概略斜視図。
【図4】 ピッキングフォークリフトの概略部分平面図。
【図5】 扉の構造を示す機能部品室の内部を省略した概略平断面図。
【図6】 第2の実施の形態の荷物載置規制手段を示す概略斜視図。
【図7】 第3の実施の形態の荷物載置規制手段を示す概略斜視図。
【図8】 第4の実施の形態の荷物載置規制手段を示す概略斜視図。
【符号の説明】
1…ピッキングフォークリフト、2…機台、6…フォーク、7…運転席、7a…支持部、8…機能部品室、8a…上壁、28…荷物置き部、30…荷物載置規制手段を構成する扉、35…同じくプレート、38…同じくロッド。

Claims (3)

  1. 機台に対してフォーク及び運転席の双方が独立して昇降可能に構成されるとともに、前記フォークが機台の前部に設けられ、機台の後部に機能部品室が設けられたピッキングフォークリフトであって、
    前記運転席の後部には運転席と一体的に昇降する荷物置き部を機能部品室と対向するように形成し、前記荷物置き部の下方に、少なくとも前記荷物置き部が上昇された状態において、前記機能部品室の上面に荷物を載置するのを規制する荷物載置規制手段を装備し、該荷物載置規制手段は、前記運転席が最下降位置に配置されたときに前記機能部品室の後部及び側部を覆う開閉扉として機能するピッキングフォークリフト。
  2. 前記荷物載置規制手段は、運転席の後部に立設された支持部に対して回動可能に支持された外側プレートと、該外側プレートに対して上下方向に摺動可能な内側プレートとを備え、外側プレート及び内側プレートにより上下方向にスライド可能な二重構造に形成されている請求項1に記載のピッキングフォークリフト。
  3. 前記荷物置き部は運転席が最下降位置に配置されたときに、前記機能部品室の上面との間に物を収容するスペースが形成される状態に形成され、前記荷物載置規制手段は運転席が最下降位置に配置されたときに、その上端が前記機能部品室の上面とほぼ同じ高さとなるように前記運転席に支持されている請求項1又は請求項2に記載のピッキングフォークリフト。
JP06308298A 1998-03-13 1998-03-13 ピッキングフォークリフト Expired - Fee Related JP3896681B2 (ja)

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