JP3895101B2 - 衝撃音を低減する床構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃音を低減する床構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】
戸建て住宅や集合住宅での床衝撃音の低減方法の一つに、防振ゴムなどの防振材を用い、衝撃を緩衝して音の発生を抑えようとする防振や緩衝といった方法がある。しかしながら、防振材を用いた低減法では、防振材はこれが柔らかければ柔らかいほど衝撃音を効果的に低減できるのであるが、柔らかくすると、振動障害を生じさせたり、床としての安定感を損なわせるなどの問題が起きる。
【0003】
本発明は、このような問題点に鑑み、振動障害を生じさせたり、床としての安定性を損なわせることなく、衝撃音を効果的に低減することができる床の構造を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、複数枚の床版が隣り合わせ状態に並べられてそれらの端部又は中間部が共通の受け材に受けられ、
この受け材が、床梁の延びる方向に向けられ、防振材を介して床梁に支持されていることを特徴とする衝撃音を低減する床構造によって解決される。
【0005】
この床構造では、隣り合わせ状態に並べられる複数枚の床版を共通の受け材で受け、この受け材と床梁との間に防振材を介設し、床版の複数枚分の自重を受け材を介して防振材に作用させて、振動系の固有振動数を低くするようにしているので、衝撃音、特に重量床衝撃音を効果的に低減することができる。特に、床版がALC版などの軽量床版からなる場合には、衝撃音を効果的に低減することができる。
【0006】
しかも、床の自重によって防振材の負担する荷重を大きくし固有振動数を低くする構造であるから、床上への積載による床の変位量も小さく抑えることができ、床としての安定性を損なわせることもない。
【0007】
加えて、固有振動数を低くはしたが、それは防振材に作用する床の自重を大きくすることによってしたものであるから、振動障害を生じさせることもない。
【0008】
受け材が、床梁の延びる方向に間隔をおいて配置された複数の防振材で支持されている場合、特に、防振材間の間隔寸法が、床版の1枚分の寸法よりも大である場合は、固有振動数を効果的に低くすることができて、衝撃音をより効果的に低減できる。
【0009】
受け材が、長手方向の少なくとも3箇所において防振材で支持されている場合は、中間の防振材を挟む一方の側に衝撃が入力された場合に、この防振材を挟むもう一方の側の床版の自重などによって、前記一方の側の床版の振動を抑制することができる。即ち、本来、床梁と一体となって生じる床版の低域振動が、受け材に吸収され、しかも、中間の防振材を挟む両側の荷重が反対の方向に働き合うことなどによって、減衰効果が奏される。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1乃至図3に示す実施形態の床構造において、1は床梁、2は床版、3は受け材、4は防振材である。本実施形態の床構造は、図3に示すように、隣り合わせ状態に並べた複数枚の床版2…をその両端部において床梁1…で支えて床を形成しているもので、床は例えば6畳間の広さのものからなり、その長辺方向には6枚の床版2…が並べられている。図1及び図2に示すように、床梁1はH形鋼からなり、床版2は平面視方形のALC版からなっている。上記の床版2…は、受け材3と防振材4とを介して床梁1に支えられている。
【0012】
受け材3は、T形鋼からなり、床版6枚分を受ける長さ寸法を有し、ウェブ3aを上、フランジ3bを下にし、床梁1の長手方向に向けられ、防振材4を介して床梁1の上に支持されている。防振材4は、防振ゴムなどのゴムないしはゴム状のものなどからなっており、受け材3をその長手方向の両端部と中央部との3点で支持している。即ち、受け材3は、その長手方向において6枚の床版2…を受け、防振材4…による防振支持部間で各3枚の床版2…を受けることになる。
【0013】
この受け材3は、ウェブ3aを挟む一方の側のフランジ部分の上面で、床梁1を挟む一方の側の6枚の床版2…の端部下面を受け、ウェブ3aを挟むもう一方の側のフランジ部分の上面で、床梁1を挟むもう一方の側の6枚の床版2…の端部下面を受けている。なお、受け材3と床版2との間にはペフ5が挟み込まれ、このペフ5は、隣り合う床版2…の不陸を調整すると共に、床版2…を横方向に滑らせやすくし、また、2次加振音の発生を防ぐ。そして、この受け材3のウェブ3aは、床梁1を挟む床版2,2間の隙間に突出させて逃がされている。図2(イ)に示すように、受け材3は、そのフランジ3bの幅寸法が床梁1の上フランジ1aの幅寸法と同等程度に設計されており、また、ウェブ3aの高さ寸法は、受け材3の剛性を高くするため、床版2の上面から上方に突出しない範囲でできるだけ大きく設計されている。
【0014】
因みに、実施形態では、床梁1の断面2次モーメントが1050cm4程度であるのに対し、受け材3の断面2次モーメントは114cm4程度である。即ち、あるピッチで防振材4…で支持される受け材3の弾性変位量が、床梁1に床版2を直置きした場合の床梁1の弾性変位量と同程度になるように設定されている。
【0015】
防振材4の厚さ寸法は、受け材3の弾性撓み量より大きければよく、防振材4…による防振支持部間の寸法が1800mm程度なら、3mm以上、好ましくは5〜8mmの範囲に設定しておけばよい。
【0016】
そして、図2(ロ)に示すように、床版2は、固定金物6を用い、そのフック6aを床梁1の上フランジ1aの下面側に掛け、上下方向に締め付けて、床梁1に固定されており、この固定によって、受け材3も床梁1に固定されている。即ち、受け材3は、防振材4と床梁1との摩擦力、及び、防振材4と受け材3との摩擦力によって、横ズレすることなく床梁1上の定位置に固定される。この固定によってまた、受け材3のウェブ3aが、床版2…のズレ止めとしても機能する。6bは弾性要素であり、固定金物6のフック6aと床梁1の上フランジ1aの下面との間に挟み込まれている。
【0017】
施工は、床梁1の上に防振材4と受け材3とを設置したのち、床版2…を置いていき、固定金物6で床版2を床梁1に固定すればよい。防振材4と受け材3の施工は、床梁1の上に防振材4…を所定のピッチで設置し、その上に受け材3を載せるというようにしてもよいし、受け材3のフランジ3bの下面に予め防振材4を所定のピッチで取り付けておき、その受け材3を防振材4…を下にして床梁1に載せるというようにしてもよい。受け材3には、孔などをあけ、クレーン吊りできるようにしておくとよい。7は仕上げ下地としての捨貼り面材である。
【0018】
上記の床構造では、複数枚の床版2…を共通の受け材3…で受け、この受け材3と床梁1との間に防振材4…を介設し、複数枚の床版2…の自重を受け材3を介して防振材4…に作用させる構成としており、しかも、床梁1の延びる方向に床版2の3枚分の寸法程度の間隔をおいて受け材3を両端、中央の3点で防振支持する構成としているので、振動系の固有振動数を低くして、衝撃音、特に重量床衝撃音を効果的に低減することができる。
【0019】
しかも、床版2…の自重によって固有振動数を低くする構造としているから、床上への積載による床の変位量も小さく抑えることができ、床としての安定性を損なわせることもないし、振動障害を生じさせることもない。
【0020】
加えて、受け材3が、長手方向の両端及び中央の3点で防振材4…により支持されているので、中央の防振材4を挟む一方の側に衝撃が入力された場合に、その衝撃による振動を、もう一方の側の床版の自重などによって抑制することができる。つまり、本来、床梁と一体となって生じる床版の低域振動が受け材に吸収され、しかも、中間の防振材を挟む両側の荷重が反対の方向に働き合うことによって、減衰効果が奏される。この場合の減衰要素は、固定金物6や、受け材3の有する弾性、防振材4などである。
【0021】
また、上記の床構造によれば、床梁の振動特性に関係なく振動特性を設定できるし、コスト的に有利に所期の目的を達成することができるし、複雑なプランへの対応も容易に行うことができるし、地震時の横揺れなどに対しても安全であるし、床版2から床梁1までの間にいくつもの弾性要素があるので固体音の伝達を防ぐことができる等、種々の効果が発揮される。
【0022】
因みに、加振点を図4に示すような位置にして床衝撃音レベルを測定し平均したところ、図5(イ)に示すような結果が得られた。この結果により、本発明の床構造を採用することで、重量床衝撃音の性能評価が決められる63Hz帯域において効果量はおよそ5dBとなり、1ランクの改善効果を得ることができるのを確認した。更に、加振点ごとの特性を考慮すると、従来とは異なり、床版のスパン中央ほど効果が大きいことを確認した。また、1/3オクターブバンドで見ると、図5(ロ)に示すように、これまで困難とされていた50Hz(1/3オクターブバンド)で改善量は5〜8dBにも達し、80Hzのレベルは天井によって低減されるため天井との組合せでは更なる優位性が発揮される。
【0023】
図6(イ)は、外壁際における構造を示すもので、外壁パネル8との取り合い関係上の理由から、受け材3として山形鋼を用いた場合のものである。なお、カーテンウォール形式などの場合には、T形鋼のままでもよい。
【0024】
図6(ロ)は、床版2の下面を床梁1の上面よりも下方に落とし込む形式の床構造を示しており、この場合の受け材3は、左右の受け用アングル材3c,3cを金物3dでハット状につなぎ、防振材4は、金物3dと床梁1の上フランジ1a上面との間に介設するようにすればよい。
【0025】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、上記の実施形態では、床版がALC版からなる場合を示しているが、これに限らず、鉄骨建物であるか、木造建物であるか、パネル式建物であるかを問わず、各種の床版からなっていてよいことは言うまでもない。また、受け材は、床版を受けるに必要充分な剛性を備えたものを用いる必要があるので、一般的には、床版をその端部で支える構造とするのがよいが、必ずしも、端部である必要はなく、受け材に、必要な剛性をもたせながら、床版を、その端部間の中間部において受けさせる構成とするようにしてもよい。また、防振材として各種のものが用いられてよい。
【0026】
【発明の効果】
本発明の床構造は、以上のとおりのものであるから、振動障害を生じさせたり、床としての安定性を損なわせることなく、衝撃音を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の床構造を示す分解斜視図である。
【図2】図(イ)は同側面図で図3(ロ)のI−I線矢視図、図(ロ)は図(イ)のII−II線断面矢視図である。
【図3】図(イ)は床梁の平面図、図(ロ)は床版を設置した状態に平面図である。
【図4】効果確認試験での加振点位置を示す床平面図である。
【図5】図(イ)(ロ)はそれぞれ、測定結果を示すグラフ図である。
【図6】図(イ)(ロ)はそれぞれ、他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1…床梁
2…ALC版(床版)
3…共通の受け材
4…防振材
Claims (2)
- ALC版からなる複数枚の床版が隣り合わせ状態に並べられてそれらの端部又は中間部が共通の受け材に受けられ、
この受け材が、床梁の延びる方向に向けられ、該方向に床版1枚分の寸法よりも大の間隔寸法をおいて配置された複数の防振材を介して床梁に支持されていることを特徴とする衝撃音を低減する床構造。 - 前記受け材が、長手方向の少なくとも3箇所において防振材で支持されている請求項1に記載の衝撃音を低減する床構造。
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