JP3886890B2 - 腋臭防止用化粧料 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は腋臭防止用化粧料に関し、詳しくは、腋臭に優れた防臭・消臭効果を有するとともに、しかもその効果を長時間持続することのできる腋臭防止用化粧料に関する。
【０００２】
【従来の技術】
人に不快感を与える腋臭は、汗が皮脂と混ざり、それが皮膚常在菌により分解されることにより生じるとされている。また、皮脂由来の油性成分が酸化されることにも起因しているとされている。この腋臭を抑えるために、従来の防臭化粧料には、制汗剤や殺菌剤などを配合する試みがなされたり、また、発生した腋臭を抑制するために、香料によるマスキングや物理的吸着による臭気物質の除去などの試みがなされている。さらには、酸化防止剤により皮脂の酸化抑制による防臭・消臭の試みもなされている。しかし、従来の防臭化粧料は、塗布した直後はその効果を発揮するものの、汗によりこれら成分が流れ落ち、防臭・消臭効果が持続して得られないといった問題があった。
【０００３】
この問題を解決するために、塩化アルミニウム等の発汗抑制剤に皮膚吸着性ポリマーおよびアルコール類を含有させた制汗剤組成物や、トリクロロカルバニリド等の殺菌剤または塩化アルミニウム等の制汗剤にカチオン性架橋共重合体とを含有させたデオドラント組成物などが提案されている（特許文献１および特許文献２参照）。しかしながら、夏場などの時期には汗の分泌が多いため、より持続的な防臭・消臭効果を発揮する防臭化粧料が求められている。
【０００４】
一方、塩化リゾチームは、溶菌、抗炎症等の作用を有する酵素であり、この酵素を用いた防臭化粧料に関連する技術として、塩化リゾチーム配合トイレタリー製品や、外陰部および不衛生部位用ウェット紙等が提案されている（特許文献３および特許文献４参照）。しかしながら、特許文献３は、塩化リゾチームの安定性に関する技術であり、また、特許文献４は、衛生用品に関する技術であって、塩化リゾチームを用いることにより防臭・消臭効果を持続させようとするものではない。
【０００５】
【特許文献１】
特開平９−１０４６１２号公報
【特許文献２】
特開２００１−３４２１２４号公報
【特許文献３】
特開平１−２８３２０６号公報
【特許文献４】
特開２０００−１９１５１１号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、腋臭に優れた防臭・消臭効果を有するとともに、その効果を長時間持続することのできる腋臭防止用化粧料を提供することを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、塩化リゾチームと、制汗剤および／または消臭剤を含有することを特徴とする腋臭防止用化粧料、並びに塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサンおよびグルコン酸クロルヘキシジンからなる群より選ばれる殺菌剤の１種以上と、塩化リゾチームとを含有することを特徴とする腋臭防止用化粧料に関する。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明に係る腋臭防止用化粧料には、必須成分として塩化リゾチームおよび体臭防止用薬剤が含有される。かかる構成を有することで、腋臭に優れた防臭・消臭効果を発揮するとともに、その効果を長時間持続することができる。
【０００９】
塩化リゾチームとは、細菌細胞膜の構成成分である多糖類の加水分解酵素であり、溶菌作用、抗炎症作用、止血作用、組織修復作用等の薬理作用を有している。また、塩化リゾチームは、通常、卵白から製造されるが、市販品として入手することもできる。本発明に用いられる塩化リゾチームとしては、特に限定されないが、例えば、市販品として、商品名 塩化リゾチーム（エーザイ株式会社製）等を用いることができる。
【００１０】
塩化リゾチームの配合量は、本発明の効果を発揮すれば特に限定されず、用いる塩化リゾチームの力価にもよるが、化粧料中０．００１〜１０．０重量％とするとよく、０．０１〜３．０重量％とすることが好ましい。この理由は、０．００１重量％未満の配合量では、腋臭の防臭・消臭効果の持続性の効果に劣るために、また、１０．０重量％を超えて配合すると、原料臭や組成物への着色の問題が生じる場合があるために、いずれの場合も好ましくないからである。
【００１１】
本発明で用いられる体臭防止用薬剤とは、腋臭の防臭・消臭効果を有する薬剤を意味し、制汗剤、殺菌剤、消臭剤などを挙げることができる。
【００１２】
制汗剤は、皮膚を収斂することにより汗の発生を抑制する薬剤であり、例えば、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム、アラントインクロロヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛などを例示することができ、クロロヒドロキシアルミニウムを用いるのが好ましい。
【００１３】
殺菌剤は、皮膚常在菌を殺菌・除菌することにより、汗や皮脂の分解を抑制する薬剤であり、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、グルコン酸クロルヘキシジンなどを例示することができ、塩化ベンザルコニウムを用いるのが好ましい。
【００１４】
消臭剤は、臭いを発する物質と反応・吸着したり、臭いをマスクしたりして、臭いを消す効果を有する薬剤であり、例えば、酸化亜鉛などの金属酸化物、アルキルジエタノールアミド、ヒドロキシアパタイト、茶抽出物、香料、酸化防止剤などを例示することができ、酸化亜鉛を用いるのが好ましい。
【００１５】
体臭防止用薬剤は、上記した成分のうち１種を単独で用いても良く、２種以上を混合して用いても良い。また、体臭防止用薬剤の配合量は、その効果が発揮される量を適宜配合すれば良いが、化粧料中０．００１〜５０重量％とするのが好ましく、０．０１〜３０重量％とするのがより好ましい。
【００１６】
本発明にかかる腋臭防止用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記した成分の他に、シリコーン類、低級アルコール類、高級アルコール類、増粘剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、粉体、ビタミン類、動植物エキス、ｐＨ調整剤、着色剤、水、噴射剤等を適宜配合することができる。
【００１７】
本発明の腋臭防止用化粧料は、ローション、エアゾール、スティック、パウダー、ロールオン、クリーム、乳液などの種々の形態に用いることができ、製剤化については、一般に知られている製造方法により製造すればよい。
【００１８】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。尚、配合量は重量％である。
【００１９】
（試料の調製）
表１および表２に記した組成に従い、実施例１〜２および比較例１〜２の各試料を常法により調製し、下記評価に供した。尚、実施例１および比較例１は、デオドラントローションとし、実施例２および比較例２は、プレストパウダーとした。
【００２０】
（試験例：腋臭防止用化粧料の評価）
腋臭が強いと判定された男子被験者５名に、実施例１〜２および比較例１〜２の各腋臭防止用化粧料を被験者の一方の腋下に塗布し、もう一方の腋下は対照として塗布しなかった。塗布前とその直後、４時間後、１２時間後のそれぞれに下記評価基準に従って臭いの判定をし、その平均値を採用した。結果を表１〜２に示す。
＜評価基準＞
臭わない・・・・・・・・０点
かすかに臭う・・・・・・１点
やや臭うが弱い・・・・・２点
はっきりと臭う・・・・・３点
非常に強く臭う・・・・・４点
【００２１】
【表１】

【００２２】
【表２】

【００２３】
表１および表２の結果から、本発明の腋臭防止用化粧料は優れた防臭効果を有するとともに、その効果も長時間持続することが分かる。
【００２４】
以下、本発明にかかる腋臭防止用化粧料の処方例を示す。尚、配合量は重量％である。
【００２５】

【００２６】

【００２７】

【００２８】

【００２９】

【００３０】

【００３１】

【００３２】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明にかかる腋臭防止用化粧料は、塩化リゾチームと体臭防止用薬剤を含有するものであるから、腋臭に対して優れた防臭・消臭効果を有するとともに、しかもその効果を長時間持続することのできる防臭化粧料を提供することができる。

Claims (4)

1. 塩化リゾチームと、制汗剤および／または消臭剤を含有することを特徴とする腋臭防止用化粧料。
2. 前記制汗剤が、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム、アラントインクロロヒドロキシアルミニウムおよびパラフェノールスルホン酸亜鉛からなる群より選ばれる１種以上であることを特徴とする請求項１に記載の腋臭防止用化粧料。
3. 前記消臭剤が、酸化亜鉛、アルキルジエタノールアミド、ヒドロキシアパタイト、茶抽出物、香料および酸化防止剤からなる群より選ばれる１種以上であることを特徴とする請求項１に記載の腋臭防止用化粧料。
4. 塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサンおよびグルコン酸クロルヘキシジンからなる群より選ばれる殺菌剤の１種以上と、塩化リゾチームとを含有することを特徴とする腋臭防止用化粧料。