JP3882901B2 - Al−Mg系アルミニウム合金中空押出形材 - Google Patents
Al−Mg系アルミニウム合金中空押出形材 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポートホールダイス等を用いたホローダイ方式で押出成形が可能なAl−Mg系アルミニウム合金中空押出形材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球の温暖化及びオゾン層の破壊など環境問題の観点から、大気中の炭酸ガス等の増加を抑制するために、自動車の軽量化及び電気自動車の導入などが本格的に検討されている。
この軽量化の一貫として、素材の置換、すなわち従来自動車用構造材に主として使用されてきた鋼板の代わりにアルミニウム合金材の使用が増加している。また、電気自動車においても電池を積載するための重量増加を補償するために車体を軽量化する必要が強く求められている。さらに、長手方向に一定ではあるが自由な断面形状が得られる押出形材は設計の自由度を広げ、最終形状に近い断面形状を得ることで成形性を向上できるなど、アルミニウム合金材の使用が注目され、例えば特開2000−177621号公報には、サスペンションサブフレーム(サスペンションフレーム、エンジンクレイドルともいう)の製造にアルミニウム合金押出形材を用いることが記載されている。
【0003】
ところでAl−Mg系(5000系)アルミニウム合金は硬質であるため、一般にポートホール押出ができないものとされており(例えば、社団法人日本アルミニウム協会が2001年10月15日発行の「アルミニウムハンドブック(第6版)」、表7.2.6(P.71)、表7.3.2(P.74)、表7.3.2(p.74)参照)、これまでAl−Mg系アルミニウム合金の中空材は、もっぱら板をパイプ状に成形して溶接するか、マンドレル方式でパイプ状に押出成形されている。従って、サスペンションサブフレームの素材としてAl−Mg系アルミニウム合金の中空材を用いる場合、溶接パイプ又はマンドレル方式の押出パイプを用いることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、溶接パイプは押出形材のような断面設計の自由度がなく生産性でも劣り、またマンドレル方式の押出パイプは偏肉が生じやすく、かつ薄肉に成形するのが困難であるという問題がある。
一方、Al−Mg系アルミニウム合金をポートホール方式で押出成形する試みも一部になされ、例えば特開平5−7924号公報、特開平7−60340号公報、特開平9−53139号公報では、Al−Mg系アルミニウム合金のポートホール押出が可能であるとしている。しかし、いずれも特殊なダイス構造又は特殊なビレット調整を必要とする点で実用化に耐え得るものではなく、しかも、前2者は単なるアイデアの開示にとどまり、後者には中空押出材の実施例が開示されていない。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、Al−Mg系アルミニウム合金について、ポートホールダイスに代表される溶着部が形成されるタイプのホローダイスを用いた押出成形を可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポートホールダイスを用いたAl−Mg系アルミニウム合金の押出成形について試行錯誤を重ねたところ、押出材の形状、より詳しくは下記式で定義されるF値を適切に設定したものについては、他の系のアルミニウム合金と同様にポートホールダイスを用いた押出が可能であることを見いだした。ここで、断面の全周長とは内外全ての周長の合計を意味し、単位重量とは長さ1m当りの質量を意味する。
F=押出形材の断面の全周長(mm)/単位重量(kg/m)
本発明はこの知見に基づいてなされたもので、Mg:1.5〜5.0%を含有するAl−Mg系アルミニウム合金からなる中空押出形材において、溶着部を有し前記式で定義されるF値が40〜500であることを特徴とする。
この中空押出形材を用いて、例えばバルジ成形等により前記サスペンションサブフレームを成形することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
前記組成のAl−Mg系アルミニウム合金中空押出形材において、F値が40未満であると、押出時の押出圧力が低くなり溶着部の溶着が不十分となる。またF値が500を越すと、ダイスのベアリング面の摩擦抵抗が大きくなり、押し詰まった状態となって押出が難しくなる。さらにはダイスにかかる圧力が大きくなり、ダイスの破損につながる。なお、溶着部が形成されるホローダイストとして、ポートホールダイス、スパイダーダイス、ブリッジダイス等がある。
溶着性と押出性の双方を考慮したとき、F値の好ましい範囲は50〜450、より好ましくは100〜300、さらに200〜300が好ましい。
【0008】
上記Al−Mg系アルミニウム合金は、Mg以外の添加元素として必要に応じて、例えばTi、Mn、Cr、Zr、V、Cuの1種又は2種以上を含み、さらに不可避不純物としてFe、その他の元素を含むことができる。以下、上記Al−Mg系アルミニウム合金中空押出形材における各成分の作用について説明する。
Mg
Mgはアルミニウムのマトリックス中に固溶し、合金強度を向上させる。自動車のフレーム等の構造部材として必要な強度(耐力値σ0.2≧50MPa)を得るためには、Mgは1.5%以上の添加が必要である。しかし、5.0%を越えて添加されると溶着が難しくなり、さらに耐応力腐食割れ性が低下し、かつ固溶量が過剰となって伸びδが低下し、優れた成形性が得られない。従って、Mg含有量は1.5〜5.0%とする。より望ましい範囲は2.0〜4.0%である。
【0009】
Ti
Tiは鋳造時における結晶粒を微細化することにより合金強度を向上させるため、添加することが望ましい。この効果を発揮させるには、Ti添加量は0.005%以上とすることが必要である。また、0.005%より少ないと、結晶粒が粗大化して伸びが低下し、優れた成形性が得られない。一方、Ti添加量が0.2%を超えると前記効果が飽和し、さらに、粗大な金属間化合物が晶出して所定の合金強度及び伸びが得られなくなる。従って、Tiの含有量は0.005〜0.2%とし、より望ましくは0.01〜0.1%、さらに望ましくは0.01〜0.05%とする。
【0010】
Mn、Cr、Zr、V
これらの元素は製造工程における組織制御、すなわち金属間化合物として晶出及び析出して結晶粒の粗大化を防止し、Mg添加量の多い場合に発生する応力腐食割れを改善するために、必要に応じて1種又は2種以上が添加される。それぞれ、0.05%、0.05%、0.05%、0.01%以下ではその効果がなく、1.5%、0.5%、0.3%、0.2%を超えると前記効果が飽和するとともに、粗大な金属間化合物が析出して伸びが低下し、成形性を劣化させる。また、Crは0.5%を越えると押出性を低下させる。
Cu
Cuは強度を向上させるので、0.5%を上限として必要に応じて添加する。
【0011】
不可避不純物
不可避不純物のうちFeはアルミニウム地金に最も多く含まれる不純物であり、0.7%を超えて合金中に存在すると鋳造時に粗大な金属間化合物を晶出し、合金の機械的性質を損なう。従って、Feの含有量は0.7%以下に規制する。また、アルミニウム合金を鋳造する際には地金、添加元素の中間合金、化合物等様々な経路より不純物が混入する。混入する元素は様々であるが、Fe以外の不純物のうちSiは0.5%以下、Znは0.25%以下、その他の不純物は単体で0.05%以下、総量で0.15%以下であれば合金の特性にほとんど影響を及ぼさない。従って、これらの不純物は上記の数値以下とする。なお、不純物のうちBについてはTiの添加に伴い合金中にTi含有量の1/5程度の量で混入するが、より望ましい範囲は0.02%以下、さらに0.01%以下が望ましい。
【0012】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に合金記号A〜Eとして示すAl−Mg系アルミニウム合金のφ200mmのビレットに対し、550℃×5hrのソーキングを施し、押出温度500℃とし、ポートホールダイスを用い、力量2000トンの直接押出プレスにて種々の中空断面形状に押出成形した(試験No.1〜12)。その断面形状は、No.4〜8と10〜12がいずれも口形断面(4、7〜8、11〜12は同一断面形状)であり、No.1〜3及びNo.9が図1に示すような異形断面である。各押出形材の全周長、単位重量及びF値を表2に示す。
各押出形材について押出性及び溶着性を下記要領で評価した。これらの評価を表2にあわせて示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
押出性;押出速度をm/分で評価した。
溶着性;図2に模式的に示すように、各押出形材の中空部(2以上の中空部を有するときは大きい方の中空部)を端面から円錐形の治具にはめ込み、中空部の内周長が30%増になるまで押し広げた。溶着性の評価は、破断なし又は溶着部以外から破断したものを◎、溶着部より破断したが破断面が全面延性破面であるものを○、溶着部より破断するが脆性破面の割合が10%未満のものを△、溶着部より破断し脆性破面の割合が10%以上のものを×とした。
【0016】
表1に示すように、Mg含有量及びF値が本発明の規定範囲内に入るNo.1〜8の押出形材は押出性及び溶着性が優れ又は実施に耐えるレベルである。しかし、F値が本発明の規定より小さいNo.9は溶着性が劣り、F値が本発明の規定より大きいNo.10とMg含有量が本発明の規定より多いNo.11は押し出しができず、Mg含有量が本発明の規定より少ないNo.12は耐力が小さい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、押出形材のF値を40〜500の範囲内に設定し、かつAl−Mg系アルミニウム合金の組成を所定範囲内に規定することにより、従来ポートホールダイスを用いた押出成形ができないとされていたAl−Mg系(5000系)アルミニウム合金でも中空押出形材を製造することができる。この中空押出成形は、先に述べた自動車のサスペンションサブフレームのほか、自動車や鉄道車両、船舶又は建築部材のフレーム等の構造材料として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で成形した押出形材の断面形状を示す図である。
【図2】 実施例の溶着性の試験方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 押出形材
2 治具
Claims (2)
- Mg:1.5〜5.0%(質量%、以下同じ)を含有するAl−Mg系アルミニウム合金からなり、溶着部を有し下記式で定義されるF値が40〜500であることを特徴とするAl−Mg系アルミニウム合金中空押出形材。
F=押出形材の断面の全周長(mm)/単位重量(kg/m) - 請求項1に記載されたAl−Mg系アルミニウム合金中空押出形材を用いたサスペンションサブフレーム。
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