JP3880825B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成の技術に関し、詳しくは、複数の感光体と中間転写体を有する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光体上に形成されたトナー像を中間転写ベルト等の中間転写体を介して用紙等の転写材に転写する画像形成装置及び方法が知られている。このような中間転写体を使用する画像形成装置及び方法は、特にカラー画像を形成する装置において広く使用されており、例えば、感光体上に形成されたブラック(Bk)・イエロー(Y)・マゼンタ(M)・シアン(C)の4色のトナー画像を順次中間転写体に一次転写して重ね合わせ、中間転写体上で重ね合わされたBk、Y、M、Cのトナー画像を、中間転写体から転写材へ一括して二次転写した後、定着することによってカラー画像を得ることが出来る。このような中間転写体を使用することにより、感光体から転写材に直接転写する場合と比較して、トナー画像の重ね合わせ時の色ずれや、転写材の特性の違いによる転写不良等の問題点を改善できる等の長所があり、このことが、特にカラー画像を形成する際に中間転写体を使用する大きな理由になっている。
【0003】
また、近年では、高速化に対応するために、複数の感光体を並列に配置し、さらに各感光体毎に現像装置を設けることにより、各感光体上にそれぞれ単色のトナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次転写して紙等の転写材にカラー画像を形成する、いわゆるタンデム方式による画像形成装置及び方法が知られており、また、このタンデム方式と上記の中間転写体を組み合わせた画像形成装置及び方法も用いられている。
【0004】
しかし、このタンデム方式と中間転写体を組み合わせた画像形成装置及び方法は、複数の現像装置を備えた感光体を並列に配置させる必要があることから、より多くのスペースを必要とする。この際、装置の小型化や省コスト化を図るために、感光体を小径化し、感光体間の距離を短くするといった対策が必要となる。
【0005】
一方、感光体から中間転写体に一次転写する際の転写方式としては、バイアスローラ等を感光体の下流側に配置する間接印加方式、弾性ローラ等を中間転写体に挟んで直接感光体に圧接する直接印加方式等が知られている。
このうち、間接印加方式を行うにあたっては、バイアスローラを感光体の下流側に配置し、また他の感光体への影響を極力避けるために、感光体間の距離、スペースを、直接印加方式よりも広く取る必要がある。このため、タンデム方式と中間転写体を組み合わせた画像形成装置及び方法においては、直接印加方式を用いることが一般的である。しかし、直接印加方式の場合、感光体に中間転写体を直接加圧させるため、トナーと感光体あるいは中間転写体との付着力が増大し、又、トナーの凝集性も悪化するため、局所的に強い圧力が加わった部分が生じ、その部分が転写されず一般的に「虫喰い」と呼ばれる転写中抜けや、さらには、感光体あるいは中間転写体等へのフィルミングが生じやすいといった欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術における問題点を解決し、特に複数の感光体と中間転写体を有する画像形成装置及び方法における課題である転写中抜けやフィルミング等の発生が少なく、転写性に優れ、長期にわたり安定した高画質画像を得ることが出来る画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、複数の感光体を有し、さらに、該感光体上に形成されるトナー像を中間転写体上に一次転写し、次いで、中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する中間転写方式の画像形成装置において、該中間転写体が、少なくとも弾性層を有してなり、さらに、該トナー像を形成するトナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、かつ該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であることを特徴とする画像形成装置が提供される。
また本発明によれば、前記中間転写体の弾性層が、エラストマーから構成されることを特徴とする上記に記載の画像形成装置が提供される。
また本発明によれば、前記樹脂負帯電制御剤が、前記スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記電子吸引基を有する芳香族モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれる樹脂負帯電制御剤であることを特徴とする上記のいずれかに記載の画像形成装置が提供される。
【0008】
さらに本発明によれば、複数の感光体を有し、さらに、該感光体上に形成されるトナー像を中間転写体上に一次転写し、次いで、中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する中間転写方式の画像形成方法において、該中間転写体として、少なくとも弾性層を有するものを使用し、さらに、該トナー像を形成するトナーとして、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル及び/又はポリオール樹脂であり、かつ該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であるものを使用することを特徴とする画像形成方法が提供される。
また本発明によれば。前記中間転写体の弾性層が、エラストマーから構成されることを特徴とする上記に記載の画像形成方法が提供される。
また本発明によれば、前記樹脂負帯電制御剤が、前記スルホン酸基含有モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記電子吸引基を有する芳香族モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする上記のいずれかに記載の画像形成方法が提供される。
【0009】
ここで、上記本発明の画像形成装置及び画像形成方法において、前記中間転写体の弾性層についてはウレタンゴムから構成されることが好ましく、また前記樹脂負帯電制御剤については前記電子吸引基を有する芳香族モノマーが、塩素原子又はニトロ基により置換された、フェニルマレイミド置換体又はフェニルイタコンイミド置換体であるものが好ましく、重量平均分子量が5000〜100000のものが好ましく、フローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であるものが好ましく、トナー中の分散粒子径が長径0.05〜1.50μm、短径0.02〜1.00μmであるものが好ましい。
【0010】
本発明者らは、鋭意検討の結果、中間転写体が、少なくとも弾性層を有してなり、さらに、トナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であることにより、特に複数の感光体と中間転写体を有する画像形成装置及び方法においても、転写中抜けやフィルミング等の発生が少なく、転写性に優れ、長期にわたり安定した画像品質を得ることが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
前記のように本発明の画像形成装置及び方法は、複数の感光体を有し、さらに、該感光体上に形成されるトナー像を中間転写体上に一次転写し、次いで、中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する中間転写方式の画像形成装置及び方法において、該中間転写体が、少なくとも弾性層を有してなり、さらに、該トナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であることを特徴とする。
【0012】
ここで、従来中間転写体には比較的硬質なフッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂類が用いられていたが、これに対し、少なくとも弾性層を有する中間転写体を用いることにより、転写時において生じる局所的な凹凸に対し、中間転写体が追随できるため、これにより、転写時においてトナーに局所的な強い圧力がかかるのを緩和させることができ、特に、転写中抜けやフィルミングが生じやすい、弾性ローラを中間転写体に挟んで直接感光体に圧接する直接印加方式を用いた画像形成装置及び方法においても、高い効果を得ることができる。またこのとき特に、トナーの結着樹脂がポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、トナーの負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であることにより、樹脂帯電制御剤の揮発分によるトナーの粘着性、凝集性が低下でき、トナーの帯電の立上りがよく、シャープな帯電分布のトナーが得られ、感光体へ現像され、中間転写体に1次転写されたトナー層が均質となり、部分的な転写不良や、感光体あるいは中間転写体への融着が生じず、転写中抜けやフィルミングに対して高い効果が得られたものと考えられる。
また、この構成にすることにより、転写中抜けに対して余裕度の低い、和紙等の平滑性の悪い転写紙や、OHPやはがき等の厚紙等に対しても転写中抜けのない均一性の優れた転写画像を得ることが出来る。
【0013】
中間転写体は、従来、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、従来の中間転写体は硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の転写中抜け現象が発生しやすい。また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けた用紙に画像を形成したいという要求がある。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーとの間に空隙が発生しやすく、転写中抜けが発生しやすくなる。ここで、密着性を高めるために転写圧を高めると、トナー層の凝集力を高めることになり、上記したような文字の転写中抜けを発生させることになる。
【0014】
これに対して、本発明に用いられる中間転写体は、弾性層を有するため、従来の中間転写体よりも硬度が低く、転写部でトナー層や平滑性の悪い用紙に対応して変形できる。つまり、局部的な凹凸に追従して変形できるため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の転写中抜け等が無く、また平面性の悪い用紙等に対しても均一性の優れた転写画像を得ることが出来る。
【0015】
ここで、本発明に用いられる中間転写体は、一例として図1に示すように、例えば伸びの少ないフッ素樹脂や、伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層11を作成し、その上に弾性層12を設ける。弾性層12は、例えばウレタンゴムやフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等で構成される。その弾性層12の表面は、例えばフッ素樹脂等をコーティングした平滑性のよいコート層13で被ってなる。
【0016】
具体的に、基層に用いられる材料としては、ポリカーボネート、フッ素樹脂(ETFE、PVDF等)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0017】
また、弾性層に用いられる材料としては、弾性材ゴム、エラストマー等の弾性部材が挙げられ、具体的には、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0018】
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂が発生しやすくなる。又、伸縮量が大きくなることから画像に伸び縮み等が生じやすくなるため、極端に厚すぎることは好ましくない。
また、弾性層の硬度は、10≦HS≦65°(JIS−A)であることが好ましい。中間転写体の層厚によって最適な硬度は異なるものの、硬度が10°(JIS−A)より低いと寸法精度良く成形する事が非常に困難になる。これは成型時に収縮・膨張を受け易い事に起因する。また硬度を下げる場合には基材へオイル成分を含有させる事が一般的な方法であるが、加圧状態で連続作動させるとオイル成分が滲み出して来るという欠点を有している。これにより中間転写体表面に接触する感光体等を汚染し横帯状ムラ等を発生させることがある。又、一般的に離型性向上のためにコート層を設けているが、完全な浸みだし防止効果を与えるためには耐久性等に対して高い品質が求められるため、コート層の材料の選定、特性等の確保が困難になってくる。これに対して硬度が65°(JIS−A)より高いものは硬度が上がった分精度良く成形できるのと、オイル含有量を含まない、または少なく抑えることが可能となるので、感光体等に対する汚染性は低減可能であるが、文字の中抜け等転写性改善の効果が得られなくなり、又、ローラへの張架が困難となる。
【0019】
さらに、上記の弾性層の伸びを抑える方法として、基層にフッ素樹脂等の伸びの少ない材料から構成される樹脂層を作製し、その上に弾性層を形成する方法、及び、基層に伸びの大きなゴム材料に帆布などの伸びを防止する材料で構成された芯体層を作製し、その上に弾性層を形成する方法等があるが、特にこれらの方法に限定されるわけではない。
ここで、芯体層に用いられる伸びを防止する材料としては、例えば、綿、絹などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い、糸状あるいは織布状のものを使用することができる。もちろん、上記材料に限定されるものではない。
ここで、糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。
一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すことも可能である。
【0020】
また、芯体層を設ける製造方法としては、例えば筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
また、必要に応じて、基層又は弾性層に、抵抗を調整する等の目的で、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等を用いることができる。ここで、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0022】
さらに、コート層に用いられる材料としては、特に制限はないが、一般的に、中間転写体表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高める材料が用いられる。
例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上、又は表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、酸化チタン、シリコンカーバイド等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上、又は必要に応じて粒径を変えたものを分散させて使用することができる。
また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素層を形成させ、表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0023】
さらに、中間転写体の製造方法としては、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、表層の薄い膜を形成させるスプレー塗工法、円筒形の型を溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型、外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法等があるがこれらに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することもできる。
【0024】
次に、本発明に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であることを特徴とする。
【0025】
本発明の樹脂帯電制御剤を構成するスルホン酸塩基含有モノマーとしては、脂肪族スルホン酸塩基含有モノマー及び芳香族スルホン酸塩基含有モノマー等が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩基含有モノマーとしては、ビニルスルホン酸、アリルビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリロイルオキシエチルスルホン酸等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。芳香族スルホン酸塩基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、スルホフェニルアクリルアミド、スルホフェニルマレイミド、及びスルホフェニルイタコンイミドなどのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。重金属(ニッケル、銅、亜鉛、水銀、クロムなど)の塩は安全性の面から好ましくない。
【0026】
電子吸引基を有する芳香族モノマーとしては、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ニトロスチレン、シアンスチレン等のスチレン置換体、クロロフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、ニトロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のフェニル(メタ)アクリレート置換体、クロロフェニル(メタ)アクリルアミド、ブロモフェニル(メタ)アクリルアミド、ニトロフェニル(メタ)アクリルアミド等のフェニル(メタ)アクリルアミド置換体、クロロフェニルマレイミド、ジクロロフェニルマレイミド、ニトロフェニルマレイミド、ニトロクロロフェニルマレイミド等のフェニルマレイミド置換体、クロロフェニルイタコンイミド、ジクロロフェニルイタコンイミド、ニトロフェニルイタコンイミド、ニトロクロロフェニルイタコンイミド等のフェニルイタコンイミド置換体、クロロフェニルビニルエーテル、ニトロフェニルビニルエーテルなどのフェニルビニルエーテル置換体が挙げられる。特に、塩素原子またはニトロ基により置換されたフェニルマレイミド置換体及びフェニルイタコンイミド置換体が帯電性や耐フィルミング性の面で好ましい。
【0027】
アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
【0028】
本発明の樹脂帯電制御剤を構成するモノマーとして、スルホン酸塩基含有モノマーを添加することにより、樹脂帯電制御剤の負帯電付与効果が向上するが、吸湿性のためトナーの環境安定性(温湿度安定性)が低下するので、電子吸引基を有する芳香族モノマー等で共重合体として用いることは一般に知られているが、数千枚程度の使用であればよいが、数万枚以上の長期間使用するには、現像スリーブや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染や感光体フィルミングが発生し、トナーの帯電安定性や高画像品質の維持が十分でなく、生産性も低下するという問題がある。かかる欠点を補うべく、フルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂に対して、スルホン酸塩基含有モノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマー及びアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーの少なくとも3種のモノマーを含有する共重合体を樹脂帯電制御剤として用いることにより、長期に亘り帯電性、環境安定性に優れ、現像スリーブや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染がなく薄層形成の良く、感光体フィルミングを防止し、高画像品質が維持され、生産性の高い電子写真用トナーが得られるのである。
【0029】
これらの効果は以下に記載する理由からであるものと推定される。
すなわち、スルホン酸塩基含有モノマーと電子吸引基を有する芳香族モノマーを併用により、負帯電付与効果が高められ、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーを使用することにより、更に帯電の環境安定性を高めるとともに樹脂硬度が高くなり、粉砕性が良くなるとともに、現像スリーブや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染がなく、感光体フィルミングを防止効果が向上し、更にフルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂と組み合わせることにより、適度な分散性が得られ、帯電分布がシャープな電子写真用トナーが得られる。
【0030】
本発明の樹脂帯電制御剤におけるモノマーの構成比は、スルホン酸塩基含有モノマーが1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。スルホン酸塩基含有モノマーが1重量%未満であると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。また30重量%を越えると帯電の環境安定性が悪化し、高温高湿時帯電量が低く、低温低湿時帯電量が高くなり、トナーの帯電安定性や高画像品質の維持が十分でない。さらに現像スリーブや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染や感光体フィルミングが発生しやすく、混練・粉砕工法でのトナー製造時の生産性も低下するという問題がある。電子吸引基を有する芳香族モノマーが1〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。電子吸引基を有する芳香族モノマーが1重量%未満であると、帯電量が十分でなく、地汚れやトナー飛散が発生しやすい。また80重量%を越えるとトナー中への分散が悪く、トナーの帯電分布が広くなり、地汚れやトナー飛散が発生しやすく、高画像品質の維持が十分でない。アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーが10〜80重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルモノマーが10重量%未満であると、十分な帯電の環境安定性が得られず、また、混練・粉砕工法でのトナー製造時の粉砕性が十分でなく、現像スリーブや層厚規制部材(ブレードやローラ)の汚染や、感光体フィルミングを十分防止できない。80重量%を越えると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。芳香族ビニルモノマーが0〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。芳香族ビニルモノマーが30重量%を越えると、樹脂が固くなり、トナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすい。さらに、トナーの定着性、特にカラートナーの混色時の発色性が不良となる。
【0031】
これらの組合せの樹脂帯電制御剤は、更にフルカラートナー用結着樹脂として発色性、画像強度の点から好適なポリエステル樹脂やポリオール樹脂と組み合わせることにより、適度な分散性が得られ、帯電分布がシャープな電子写真用トナーが得られ、長期の帯電安定性及び高画像品質が得られる。
【0032】
本発明の樹脂帯電制御剤のフローテスターによる見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85〜110℃であることが好ましい。85℃未満であると、トナー中での適度な分散性が得られず、帯電が低下するだけでなく、貯蔵安定性も不良となり固化(凝集)しやすい。混練、粉砕・分級する生産工程から得る方法において、粉砕工程での固着が発生しやすく、生産性を劣化させる。また、110℃を越えるとトナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすい。さらに、トナーの定着性、特にカラートナーの混色時の発色性が不良となる。見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度は、フローテスターを用いて荷重10kg/cm2、オリフィス1mm×1mm、昇温速度5℃/分で粘度測定し、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度を読み取った値である。フローテスターとしては島津製作所CFT−500型を用いることができる。
【0033】
また、本発明の樹脂帯電制御剤の数平均分子量は、5000〜100000であることが好ましい。5000未満であると、トナー中での適度な分散性が得られず、帯電が低下するだけでなく、混練、粉砕・分級する生産工程から得る方法において、粉砕工程での固着が発生しやすく、生産性を劣化させる。また、100000を越えるとトナー中での分散性が低下し、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすく、トナーの定着性、発色性が不良となる。
【0034】
これら樹脂負帯電制御剤の分散粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察した場合に、長径0.05〜1.50μm、短径0.02〜1.00μmが好ましい。長径が1.50μm、短径が1.00μmを越えると、トナーの帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすい。長径が0.05μm、短径が0.02μm未満であると、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。なお、このときのトナーの重量平均径は6.0〜8.0μmである。
【0035】
本発明の樹脂帯電制御剤の添加量は、トナー粒子に対して、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜10重量%がより好ましい。0.1重量%未満の場合は、帯電の立上りや帯電量が十分でなく、画像に影響を及ぼしやすい。20重量%を越える場合は、分散が悪くなり、帯電分布が広くなり、地汚れや機内でのトナー飛散が発生しやすい。また、帯電制御剤として、サリチル酸のクロム錯体又は塩、及びアルキルサリチル酸のクロム錯体又は塩から成る群より選ばれる少なくとも1種を併用してもよい。
【0036】
また、本発明に用いるトナーに使用される結着樹脂としては、ポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、さらに従来公知のものを1種又は2種以上併用でき、例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリブチラール、シリコーン樹脂等を組み合わせて用いることができる。
【0037】
ここで、ポリエステル樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、
▲1▼2価のカルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物のいずれかから選ばれる少なくとも一種、
▲2▼下記一般式(I)で示されるジオール成分
【化1】
(式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のアルキレン基であり、またx、yは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、x+y=2〜16である。)
▲3▼3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物、及び3価以上の多価アルコールのいずれかから選ばれる少なくとも一種
とを反応させてなるポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0038】
ここで、▲1▼の2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル及びジエチルエステル、及び無水フタル酸、無水マレイン酸等があり、特にテレフタル酸、イソフタル酸及びこれらのジメチルエステルが耐ブロッキング性及びコストの点で好ましい。これらの2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物はトナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響する。すなわち、縮合度にもよるが、芳香族系のテレフタル酸、イソフタル酸等を多く用いると耐ブロッキング性は向上するが、定着性が低下する。逆に、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸等を多く用いると定着性は向上するが、耐ブロッキング性が低下する。従って、他のモノマー組成や比率、縮合度に合わせてこれらの2価カルボン酸類が適宜選定され、単独又は組合わせて使用される。
【0039】
▲2▼の前記一般式(I)で示されるジオール成分の一例としては、ポリオキシプロピレン−(n)−ポリオキシエチレン−(n’)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられるが、特に、2.1≦n≦2.5であるポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2.0≦n≦2.5であるポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。このようなジオール成分は、ガラス転移温度を向上させ、反応を制御し易くするという利点がある。
【0040】
なお、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールを使用することも可能である。
【0041】
▲3▼の3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチルおよびジエチルエステル等が挙げられる。
【0042】
また、▲3▼の3価以上の多価アルコールの一例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0043】
ここで、3価以上の多価単量体の配合割合は、単量体組成物全体の1〜30モル%程度が適当である。1モル%未満の時には、トナーの耐オフセット性が低下し、また、耐久性も悪化しやすい。一方、30モル%より多い時には、トナーの定着性が悪化しやすい。
これらの3価以上の多価単量体のうち、特にベンゼントリカルボン酸、これらの酸の無水物又はエステル等のベンゼントリカルボン酸類が好ましい。すなわち、ベンゼントリカルボン酸類を用いることにより、定着性と耐オフセット性の両立を図ることができる。
【0044】
また、ポリオール樹脂としては、各種のタイプのものが使用できるが、特に、▲1▼’エポキシ樹脂と、▲2▼’2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、▲3▼’エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、▲4▼’エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオール樹脂を用いることが好ましい。
【0045】
ここで、▲1▼’のエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。特に、エポキシ樹脂が安定した定着特性や光沢を得るために数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。さらに低分子量成分が20〜50重量%、高分子量成分が5〜40重量%であることが好ましい。低分子量成分が多すぎたり、分子量が360よりさらに低分子の場合は、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。また、高分子量成分が多すぎたり、分子量10000よりさらに高分子の場合は、光沢が不足したり、さらには定着性の悪化の可能性がある。
【0046】
▲2▼’の化合物としての、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては、以下のものが例示される。即ち、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリン等でグリシジル化して用いてもよい。特に下記一般式(II)式で示されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
【化2】
(式中、Rは−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−又は−CH2−CH2−CH2−基であり、またn、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜6である。)
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40重量%含まれていることが好ましい。ここで量が少ないとカールが増すなどの不具合が生じ、また、n+mが7以上であったり量が多すぎると、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。
【0047】
▲3▼’のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類としては以下のものが例示される。即ち、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0048】
又、▲4▼’のエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノール類としてはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸が例示される。
【0049】
また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなるため、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分が5重量%以下)であることが好ましい。
また、これらの結着樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等のいずれも用いることが出来る。
【0050】
次に、本発明に用いるトナーに使用される着色剤としては、従来公知の染料及び顔料が使用できる。
黄色系着色剤としては、例えば、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
赤色系着色剤としては、例えば、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッド(F5R、FBB)、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パ−マネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が挙げられる。
【0051】
青色系着色剤としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が挙げられる。
黒色系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。
その他の着色剤としては、チタニア、亜鉛華、リトボン、ニグロシン染料、鉄黒等が挙げられる。
これらの着色剤は、単独あるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部である。
【0052】
又、本発明に用いられるトナーには、必要に応じて、離型剤、外添剤等の他の材料を添加することが出来る。
例えば、定着時における定着部材からのトナーの離型性を向上させ、またトナーの定着性を向上させるために、離型剤をトナー中に含有させることも可能である。
ここで、離型剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックス等が挙げられる。
これらの離型剤は、単独あるいは2種類以上組合わせて用いることができるが、特にカルナウバワックスを使用することにより良好な離型性を得ることができる。
又、離型剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常1〜15重量部、好ましくは、2〜10重量部である。1重量部未満ではオフセット防止効果等が不十分であり、15重量部より多いと転写性、耐久性等が低下する。
【0053】
また、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子と各種金属酸化物等の無機粉末等を混合して使用する方法が提案されており、外添剤と呼ばれている。また必要に応じて該無機粉末表面の疎水性、帯電特性等を改質する目的で特定のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、有機酸等で処理する方法、特定の樹脂を被覆する方法なども提案されている。
前記無機粉末としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化錫等が用いられる。
特にシリカや酸化チタン微粒子とジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等の有機珪素化合物とを反応させシリカ微粒子表面のシラノール基を有機基で置換し疎水化したシリカ微粒子が好ましく用いられる。
【0054】
更に、本発明に用いられるトナーは、磁性体を含有させ、磁性トナーとして用いることもできる。
具体的な磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属、あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金およびその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが好ましく、含有量は、結着樹脂100重量部に対して、通常20〜200重量部、好ましくは40〜150重量部である。
【0055】
次に、本発明に用いられるトナーの製造例の一例を以下に記載する。
(1)前記した結着樹脂、着色剤、帯電制御剤又は必要に応じて、離型剤、磁性体等をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分に混合する。
(2)バッチ式の2本ロール、バンバリーミキサーや連続式の2軸押出し機、例えば神戸製鋼所社製KTK型2軸押出し機、東芝機械社製TEM型2軸押出し機、KCK社製2軸押出し機、池貝鉄工社製PCM型2軸押出し機、栗本鉄工所社製KEX型2軸押出し機や、連続式の1軸混練機、例えばブッス社製コ・ニーダ等の熱混練機を用いて構成材料を十分に混練する。
(3)混練物を冷却後、ハンマーミル等を用いて粗粉砕し、更にジェット気流を用いた微粉砕機や機械式粉砕機により微粉砕し、旋回気流を用いた分級機やコアンダ効果を用いた分級機により所定の粒度に分級し、母体粒子を得る。
【0056】
又、その他の製造法として、重合法、カプセル法等を用いることも可能である。これらの製造法の概略を以下に記載する。
(重合法)
(1)重合性モノマー、必要に応じて重合開始剤、着色剤等を水性分散媒中で造粒する。
(2)造粒されたモノマー組成物粒子を適当な粒子径に分級する。
(3)上記分級により得た規定内粒径のモノマー組成物粒子を重合させる。
(4)適当な処理をして分散剤を取り除いた後、上記により得た重合生成物をろ過、水洗、乾燥して母体粒子を得る。
【0057】
(カプセル法)
(1)樹脂、必要に応じて着色剤等を混練機等で混練し、溶融状態のトナー芯材を得る。
(2)トナー芯材を水中に入れて強く撹拌し、微粒子状の芯材を作成する。
(3)シェル材溶液中に上記芯材微粒子を入れ、撹拌しながら、貧溶媒を滴下し、芯材表面をシェル材で覆うことによりカプセル化する。
(4)上記により得たカプセルをろ過後、乾燥して母体粒子を得る。
【0058】
ついで、該母体粒子と無機微粉体等の添加剤をヘンシェルミキサー(三井三池社製)、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン社製)、メカノミル(岡田精工社製)等の混合機により十分混合し、必要に応じて、150μm程度以下の目開きの篩を通過させ、凝集物や粗大粒子等の除去を行う。
ここで、本発明に用いられるトナーは、母体粒子と添加剤の混合時における攪拌羽根先端周速が15〜35m/sec.、であることが好ましい。
攪拌羽根先端周速が15m/sec.より低い場合には、十分な混合が行われないため、添加剤が均一に混合されず、遊離した添加剤が、感光体、中間転写体、現像ローラー及びキャリアなどに付着して、感光体や中間転写体のフィルミング等の現像障害の原因となりやすく、又、トナーの帯電不良による地汚れや現像性の低下を引き起こしやすくなる。
逆に、攪拌羽根先端周速が35m/sec.より高い場合には、中間転写体が母体粒子に強く付着し、母体粒子表面に埋め込まれやすくなるため、十分な流動性が得られない。又、混合時の発熱により、トナーが溶融する可能性があり、特に、カラートナーの場合には、低分子量成分の多い低軟化の結着樹脂が使用されることが一般的であるため、その傾向がより顕著である。
【0059】
また、本発明に用いられるトナーの粒径は、重量平均径で4〜9μmであることが好ましく、特に好ましくは、5〜8μmである。
ここで、4μmよりも小粒径の場合には、現像時に地汚れやトナー飛散等が生じたり、流動性を悪化させトナーの補給やクリーニング性等を阻害する場合がある。また、9μmよりも大粒径の場合には、画像中のチリや、解像性の悪化等が問題となる場合があり、特に、カラー画像の場合においては、その影響が大きい。
【0060】
本発明に用いられるトナーは、一成分現像剤及び二成分現像剤の双方に適用可能である。二成分現像剤の場合にはキャリアと混合されて二成分現像剤として使用される。
ここで、キャリアとしては、従来公知のものが使用でき、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、及び、ガラスビーズ等が挙げられ、特に、これらの表面を樹脂等で被覆することが好ましい。
この場合、使用される樹脂としては、ポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フェノール樹脂、ポリビニルアセタール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
又、この樹脂層の形成法としては、従来と同様、キャリアの表面に噴霧法、浸漬法等の手段で樹脂を塗布すればよい。
なお、樹脂の使用量としては、通常キャリア100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。
また、樹脂の膜厚としては、0.02〜2μmであることが好ましく、特に好ましくは0.05〜1μm、更に好ましくは、0.1〜0.6μmであり、膜厚が厚いとキャリア及び現像剤の流動性が低下する傾向にあり、膜厚が薄いと経時での膜削れ等の影響を受けやすい傾向にある。
ここで、これらのキャリアの平均粒径は通常10〜100μm、好ましくは30〜60μmである。
さらに、トナーとキャリアとの混合割合は、一般にキャリア100重量部に対しトナー0.5〜7.0重量部程度が適当である。
【0061】
以下、図面を参照しつつ、本発明の画像形成装置、画像形成方法について説明する。
図2は、この発明の一実施の形態を示すもので、タンデム型中間転写方式の画像形成装置である。
図2中100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。
複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。そして、図2に示すとおり、図示例では3つの支持ローラ14・15・16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
【0062】
そのタンデム画像形成装置20の上には、図2に示すように、さらに露光装置21を設ける。
一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
前記した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、前記したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0063】
さて、このカラー電子写真装置を用いてコピーをとる場合は、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0064】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14・15・16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0065】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0066】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0067】
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
例えば、導電性ゴムローラを用いバイアスを印加する。径φ18で、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムとする。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で10E9Ωcm程度であり、印加電圧はトナーを転写する側(表側)には−800V程度の電圧が印加されている。又、紙裏面側は+200V程度の電圧が印加されている。
【0068】
一般的に中間転写方式は紙粉が感光体にまで移動しづらいため、紙粉転写を考慮する必要が少なくアースになっていても良い。
また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これはシートをより均一帯電させるためDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。
このようにバイアスを印加したレジストローラ49を通過した後の紙表面は、若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写体10からシートへの転写では、レジストローラ49に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わり転写条件を変更する場合がある。
【0069】
さて、前記したタンデム画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、例えば図3に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64などを備えてなる。
ここで、感光体40は、図示例では、アルミニウム等の素管に、感光性を有する有機感光材を塗布し、感光層を形成したドラム状であるが、無端ベルト状であってもよい。
図示省略するが、少なくとも感光体40を設け、画像形成手段18を構成する部分の全部または一部でプロセスカートリッジを形成し、複写機本体100に対して一括して着脱自在としてメンテナンス性を向上するようにしてもよい。
【0070】
画像形成手段18を構成する部分のうち、帯電装置60は、図示例ではローラ状につくり、感光体40に接触して電圧を印加することによりその感光体40の帯電を行う。勿論、非接触のスコロトロンチャージャで帯電を行うことも出来る。
【0071】
現像装置61は、一成分現像剤を使用してもよいが、図示例では、磁性キャリアcと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ65に二成分現像剤を供給付着させる攪拌部66と、その現像スリーブ65に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体40に転移する現像部67とで構成し、その現像部67より攪拌部66を低い位置とする。
攪拌部66には、平行な2本のスクリュ68を設ける。2本のスクリュ68の間は、両端部を除いて仕切り板69で仕切る(図6参照)。また、現像ケース70にトナー濃度センサ71を取り付ける。
一方、現像部67には、現像ケース70の開口を通して感光体40と対向して現像スリーブ65を設けるとともに、その現像スリーブ65内にマグネット72を固定して設ける。また、その現像スリーブ65に先端を接近してドクタブレード73を設ける。図示例では、ドクタブレード73と現像スリーブ65間の最接近部における間隔は、500μmに設定してある。
【0072】
そして、二成分現像剤を2本のスクリュ68で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給する。現像スリーブ65に供給された現像剤は、マグネット72により汲み上げて保持され、現像スリーブ65上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ65の回転とともに、ドクタブレード73によって適正な量に穂切りされる。切り落とされた現像剤は、攪拌部66に戻される。
他方、現像スリーブ65上の現像剤のうちトナーは、現像スリーブ65に印加する現像バイアス電圧により感光体40に転移してその感光体40上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ65上に残った現像剤は、マグネット72の磁力がないところで現像スリーブ65から離れて攪拌部66に戻る。この繰り返しにより、攪拌部66内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ71で検知して攪拌部66にトナーが補給される。
ちなみに、図示例では、感光体40の線速を200mm/s、現像スリーブ65の線速を240mm/sとしている。感光体40の直径を50mm、現像スリーブ65の直径を18mmとして、現像行程が行われる。現像スリーブ65上のトナーの帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲が好適である。感光体40と現像スリーブ65の間隙である現像ギャップGPは、従来と同様に0.8mmから0.4mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。
感光体40の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。また、感光体40の帯電(露光前)電位V0を−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行われるものである。
【0073】
次に、1次転写装置62は、ローラ状とし、中間転写体10を挟んで感光体40に押し当てて設ける。別に、ローラ状に限らず、導電性のブラシ形状、非接触のコロナチャージャなどであってもよい。
感光体クリーニング装置63は、先端を感光体40に押し当てて、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード75を備える。クリーニング性を高めるために外周を感光体40に接触ブラシを併用する。本説明図3では外周を感光体40に接触導電性のファーブラシ76を矢印方向に回転自在に備える。また、ファーブラシ76にバイアスを印加する金属製電界ローラ77を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ77にスクレーパ78の先端を押し当てる。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ79を設ける。
そして、感光体40に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ76で、感光体40上の残留トナーを除去する。ファーブラシ76に付着したトナーは、ファーブラシ76に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ77に取り除かれる。電界ローラ77に付着されたトナーは、スクレーパ78でクリーニングされる。感光体クリーニング装置63で回収したトナーは、回収スクリュ79で感光体クリーニング装置63の片側に寄せ、詳しくは後述するトナーリサイクル装置80で現像装置61へと戻して再利用する。
【0074】
除電装置64は、例えばランプであり、光を照射して感光体40の表面電位を初期化する。
そして、感光体40の回転とともに、まず帯電装置60で感光体40の表面を一様に帯電し、次いでスキャナ300の読取り内容に応じて上述した露光装置21からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体40上に静電潜像を形成する。その後、現像装置61によりトナーが付着され静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写装置62で中間転写体10上に転写する。画像転写後の感光体40の表面は、感光体クリーニング装置63で残留トナーを除去して清掃し、除電装置64で除電して再度の画像形成に備える。
【0075】
図4は、図1に示す画像形成装置のカラー複写機の要部拡大図である。図4においては、タンデム画像形成装置20の各画像形成手段18、その画像形成手段18の各感光体40、各現像装置61、各感光体クリーニング装置63、および各画像形成手段18の感光体40にそれぞれ対向して設ける各1次転写装置62の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBKを、イエローの場合はYを、マゼンタの場合はMを、シアンの場合はCを付して示す。
なお、図4中符号74は、図2および図3では図示省略するが、各1次転写装置62間において、中間転写体10の基層11側に接触して設ける導電性ローラである。この導電性ローラ74は、転写時に各1次転写装置62により印加するバイアスが、中抵抗の基層11を介して隣接する各画像形成手段18に流れ込むことを阻止するものである。
【0076】
次に、図5および図6には、トナーリサイクル装置80を示す。図5に示すとおり、感光体クリーニング装置63の回収スクリュ79には、一端に、ピン81を有するローラ部82を設ける。そして、そのローラ部82に、トナーリサイクル装置80のベルト状回収トナー搬送部材83の一側を掛け、その回収トナー搬送部材83の長孔84にピン81を入れる。回収トナー搬送部材83の外周には一定間隔置きに羽根85を設けてなり、その他側は、回転軸86のローラ部87に掛ける。
回収トナー搬送部材83は、回転軸86とともに、図6に示す搬送路ケース88内に入れる。搬送路ケース88は、カートリッジケース89と一体につくり、その現像装置61側の端部に、現像装置61の前述した2本のスクリュ68の1本を入れてなる。
そして、外部から駆動力を伝達して回収スクリュ79を回転するとともに、回収トナー搬送部材83を回転搬送し、感光体クリーニング装置63で回収したトナーを搬送路ケース88内を通して現像装置61へと搬送し、スクリュ68の回転で現像装置61内に入れる。その後、前記したとおり、2本のスクリュ68ですでに現像装置61内にある現像剤とともに攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ65に供給してドクタブレード73により穂切りして後、感光体40に転移してその感光体40上の潜像を現像する。
【0077】
現像スリーブ65は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状を持ち、内部には複数のマグネット72を配設している。マグネット72は、固定されているために現像剤が所定の場所を通過するときに磁力を作用させられるようになっている。図示例では、現像スリーブ65の直径をφ18とし、表面はサンドブラストまたは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行いRZが10〜30μmの範囲に入るように形成されている。
マグネット72は、例えば、ドクタブレード73の箇所から現像スリーブ65の回転方向にN1、S1、N2、S2、S3の5磁極を有する。
現像剤は、マグネット72により磁気ブラシを形成され、現像スリーブ65上に担持される。現像スリーブ65は、現像剤の磁気ブラシを形成した、マグネット72のS1側の領域に、感光体40に対向して配設されている。
【0078】
ところで、図示例では、図4に示すように、クリーニング装置17に、クリーニング部材として2つのファーブラシ90・91を設ける。ファーブラシ90・91は、φ20mm、アクリルカーボン、6.25D/F、10万本/inch2、E+7Ωのものを使用し、中間転写体10に対して接触してカウンタ方向に回転するように設ける。そして、それぞれのファーブラシ90・91には、不図示の電源から各々異なる極性のバイアスを印加する。
そのようなファーブラシ90・91には、それぞれ金属ローラ92・93を接触して順または逆方向に回転するように設ける。そして、この例では、中間転写体10の回転方向上流側の金属ローラ92に電源94から(−)電圧を印加し、下流側の金属ローラ93に電源95から(+)電圧を印加する。それらの金属ローラ92・93には、それぞれブレード96・97の先端を押し当てる。
そして、中間転写体10の矢示方向への回転とともに、はじめ上流側のファーブラシ90を用いて例えば(−)のバイアスを印加して中間転写体10表面のクリーニングを行う。仮に、金属ローラ92に−700V印加すると、ファーブラシ90は−400Vとなり、中間転写体10上の(+)トナーをファーブラシ90側に転移する。除去したトナーをさらに電位差によりファーブラシ90から金属ローラ92に転移し、ブレード96により掻き落とす。
【0079】
さて、ファーブラシ90で中間転写体10上のトナーを除去するが、中間転写体10上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ90に印加される(−)のバイアスにより、(−)に帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。
しかし、次いで下流側のファーブラシ91を用いて今度は(+)のバイアスを印加してクリーニングを行うことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ91から金属ローラ93に転移し、ブレード97により掻き落とす。
ブレード96・97で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収される。これらのトナーは、トナーリサイクル装置を用いて現像装置61に戻すようにしてもよい。さて、ファーブラシ91でクリーニングされた後は、ほとんどのトナーが除去されるが、中間転写体10上にはまだ少しのトナーが残っている。それらの中間転写体10上に残ったトナーは、上述したようにファーブラシ91に印加される(+)のバイアスにより、(+)に帯電される。(+)に帯電されたトナーは、1次転写位置で印加される転写電界により感光体40側に転写され、感光体クリーニング装置63で回収することができる。
【0080】
ここで、画像を形成する色の順番は、限定されるものではなく、画像形成装置の持つ狙いや特性によって異なってくる。
【0081】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の部は重量部を表わす。
【0082】
<中間転写体の製造例1>
PVDF100重量部に対してカーボンブラック18重量部、分散剤3重量部、トルエン400重量部を均一に分散させた分散液に円筒形の型を浸し、10mm/sec.で静かに引き上げ室温にて乾燥させ75μmのPVDFの均一な膜を形成した。さらに、75μmの膜が形成された円筒形の型を繰り返し上記条件で溶液に浸し、10mm/sec.で静かに引き上げ室温にて乾燥させ150μmのPVDFの均一な膜を形成した。
これに、ポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、カーボンブラック20重量部、分散剤3重量部、MEK500重量部を均一に分散させた分散液に上記の150μmのPVDFが形成されている円筒形の型を浸し、30mm/sec.で引き上げを行い自然乾燥を行った。乾燥後、上記の操作を繰り返し行い、150μmのウレタンポリマー層を形成させた。さらに、ポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、PTFE微粉末粉体50重量部、分散剤4重量部、MEK500重量部を均一分散させた分散液に上記の150μmのウレタンプレポリマーが形成されている円筒形の型を浸し、30mm/sec.で引き上げを行い自然乾燥を行った。乾燥後、上記の操作を繰り返し行い、5μmのPTFEが均一に分散されたウレタンポリマーの表層を形成させた。
さらに、室温で乾燥後、130℃、2時間の架橋を行い、樹脂層;150μm、弾性層;150μm、表層;5μmの3層構成の製造例1の中間転写体(a)を得た。
【0083】
<中間転写体の製造例2>
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体に、カーボンブラックを分散し、溶融混練、押し出し成型にて作製したシームレスベルトに、ポリフッ化ビリニデンをスプレー塗布して、中間転写体(b)を得た。
【0084】
<帯電制御樹脂の合成例>
合成例1
3,4−ジクロロフェニルマレイミド350部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチルを500部、スチレンを50部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分1.1wt%、重量平均分子量25000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が96℃の帯電制御樹脂Aを得た。
【0085】
合成例2
m−ニトロフェニルマレイミド600部及びパーフルオロオクタンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸2−エチルヘキシルを250部、スチレンを30部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分3.6wt%、重量平均分子量5300、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が85℃の帯電制御樹脂Bを得た。
【0086】
合成例3
3,4−ジクロロフェニルマレイミド500部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸150部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチルを350部、α−メチルスチレンを250部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分0.5wt%、重量平均分子量98000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が110℃帯電制御樹脂Cを得た。
【0087】
合成例4
3,4−ジクロロフェニルマレイミド400部及びパーフルオロオクタンスルホン酸200部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチルを300部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分1.7wt%、重量平均分子量50000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が105℃の帯電制御樹脂Dを得た。
【0088】
合成例5
3,4−ジクロロフェニルマレイミド400部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸100部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチルを500部、スチレンを100部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分4.8wt%、重量平均分子量30000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が101℃帯電制御樹脂Eを得た。
【0089】
合成例6
3,4−ジクロロフェニルマレイミド400部及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸200部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として8時間共重合した。次いでアクリル酸n−ブチルを200部、スチレンを400部加え、溶解した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分0.6wt%、重量平均分子量115000、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が110℃帯電制御樹脂Fを得た。
【0090】
合成例7
3,4−ジクロロフェニルマレイミド450部及びパーフルオロオクタンスルホン酸150部をジメチルホルムアルデヒド(DMF)中沸点下、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として3時間共重合した。次いでアクリル酸メチルを500部加え、ジターシャリーブチルパーオキサイドを開始剤として4時間グラフト重合した後、DMFを減圧乾燥機により留去し、揮発分5.1wt%、重量平均分子量2800、見掛け粘度が104P(104P=104g/cm・s)となる温度が80℃の帯電制御樹脂Gを得た。
【0091】
<トナーの製造例>
結着樹脂
ポリエステル樹脂 100部
(ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テレフタル酸、フマル酸から合成されたポリエステル樹脂、Tg:62℃、軟化点:106℃)
着色剤
イエロートナー用顔料(ジスアゾイエロー顔料:
C.I.Pigment Yellow 17) 7.0部
マゼンタトナー用顔料(キナクリドン系マゼンタ顔料:
C.I.Pigment Red 122) 7.0部
シアントナー用顔料(銅フタロシアニンブルー顔料:
C.I.Pigment Blue 15:3) 3.5部
ブラックトナー用顔料(カーボンブラック:
C.I.Pigment Black 7) 6.0部
帯電制御剤
帯電制御樹脂A〜G 3部
上記材料を、色毎にヘンシェルミキサーにて混合したのち、100℃に加熱した2軸混練機にて溶融混練した。混練物を水冷後、カッターミルで粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機で粉砕後、風力分級装置を用いて各色の母体粒子を得た。
得られた4色の母体粒子100重量部と外添剤として、疎水性シリカ(ワッカー社HDK H2000)1.0重量部、疎水性シリカ(日本アエロジル社 アエロジル RX−50)1.0重量部、疎水性酸化チタン(テイカ社 MT−150AI)0.5重量部をヘンシェルミキサーにて、攪拌羽根先端周速が20m/sec.になるように設定して、300秒間混合を行い、その後、さらに目開き100μmの篩により風篩を行い、重量平均径が6.3〜6.8μmの製造例1〜7の各色のトナーT1〜T7を得た。
【0092】
ここで、トナーの粒度分布は種々の方法で測定可能であるが、本例においてはコールターマルチサイザーを用いて行なった。即ち、測定装置としてはコールターマルチサイザーIIe型(ベックマン・コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機社製)及びパーソナルコンピューターを接続し、電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製した。
測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加え、超音波分散器で約1〜3分の分散処理を行った。さらに、別のビーカーに電解水溶液100〜200mlを入れ、その中に前記サンプル分散液を所定の濃度になるように加え、前記コールターマルチサイザーIIe型によりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用い、50,000個の粒子の平均を測定することにより行った。
【0093】
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた、旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。
さらに、得られたキャリアを電気炉で250℃で2時間焼成を行い、膜厚が0.5μmの製造例のキャリアを得た。
【0094】
<現像剤の製造例>
上記製造例1〜7のトナー(T1〜T7)各5部と、上記製造例のキャリア95部をターブラーミキサーで混合し、トナー濃度が5重量%の現像剤を得た。
【0095】
<トナー中の帯電制御樹脂の分散粒子径の観察>
樹脂負帯電制御剤の分散粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いオスミウム染色法で観察した結果、トナー(T1〜T5)は長径0.07〜1.43μm、短径0.03〜0.95μmであったが、トナー(T6)は、長径が2.0〜4.5μm、短径が1.5μmを越え、トナー(T7)は、長径が0.05以下μm、短径が0.02μm以下であった。
【0096】
[実施例及び比較例]
上記の各中間転写体、トナー及び現像剤を、図2に示すような画像形成装置を有する複写機にセットし、常温/常湿の環境下において、50,000枚の連続複写を行い、以下の各種評価を行い、以下の基準により、5段階でランク付けを行った。このときの結果を表1に示した。
【0097】
(評価基準)
◎:非常に良好なレベル
○:良好なレベル
□:一般的なレベル
△:実用上は問題のないレベル
×:実用上問題があるレベル
(耐久性)
耐久性の評価は、経時の現像剤の帯電量を測定し、50,000枚連続複写後における帯電量の初期の帯電量に対する低下の程度により評価した。
ここで、初期に対して帯電量が低下しているほど、耐久性が低下していることを示す。
(転写中抜け)
転写中抜けの評価は、初期と50,000枚連続複写後に、1ドットの細線を出力した時の画像を200倍レンズを搭載したマイクロスコープVH−5910(キーエンス社製)にて観察し、その視野中における1ドットの細線の転写中抜けの程度を目視にて評価した。
(フィルミング)
フィルミングの評価は、50,000枚連続複写後に、感光体及び中間転写体等のフィルミングの程度を目視にて評価した。
【0098】
【表1】
【0099】
【発明の効果】
本発明によれば、特に複数の感光体と中間転写体を有する画像形成装置及び画像形成方法における課題である転写中抜けやフィルミング等の発生が少なく、転写性に優れ、長期にわたり安定した画像品質を得ることが出来る画像形成装置及び方法が提供される。
また、連続使用における帯電の低下が少ないため、画像濃度の変動、低現像性、地汚れ、現像器内のトナー飛散などの問題がなく、発色性、色再現性の良い画像が得られる。このように長期の耐久性があるため、現像ユニット、感光体ユニット、転写ユニットなどの長寿命化が達成でき、使用後発生するリサイクル物、廃棄物が従来より少なく、ユーザーのそれらの作像ユニット交換の手間を少なくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の中間転写体の模式断面図。
【図2】本発明の画像形成装置の例であるタンデム型中間転写方式の画像形成装置。
【図3】図2の画像形成装置の画像成形手段の一部拡大図。
【図4】図2の画像形成装置の要部拡大図。
【図5】トナーリサイクル装置の分解図。
【図6】トナーリサイクル装置。
【符号の説明】
<図1について>
10:中間転写体
11:基層
12:弾性層
13:コート層
<図2〜6について>
100:複写装置本体
200:給紙テーブル
300:スキャナ
400:原稿自動搬送装置
10:中間転写体
14〜16:支持ローラ
17:中間転写体クリーニング装置
18:画像形成手段
20:タンデム画像形成装置
21:露光装置
22:2次転写装置
23:ローラ
24:2次転写ベルト
25:定着装置
26:定着ベルト
27:加圧ローラ
28:反転装置
30:原稿台
32:コンタクトガラス
33:第1走行体
34:第2走行体
35:結像レンズ
36:読み取りセンサ
40:感光体
42:給紙ローラ
43:ペーパーバンク
44:給紙カセット
45:分離ローラ
46:給紙路
47:搬送ローラ
48:給紙路
49:レジストローラ
50:給紙ローラ
51:手差しトレイ
52:分離ローラ
53:手差し給紙路
55:切換爪
56:排出ローラ
57:排紙トレイ
60:帯電装置
61:現像装置
62:1次転写装置
63:感光体クリーニング
64:除電装置
65:現像スリープ
66:攪拌部
67:現像部
68:スクリュ
69:仕切り板
70:現像ケース
71:トナー濃度センサ
72:マグネット
73:ドクタブレード
74:導電性ローラ
75:クリーニングブレード
76:ファーブラシ
77:金属製電界ローラ
78:スクレーパ
79:回収スクリュ
80:トナーリサイクル装置
81:ピン
82:ローラ部
83:ベルト状回収トナー搬送部材
84:長孔
85:羽根
86:回転軸
87:ローラ部
88:搬送路ケース
89:カートリッジケース
90、91:ファーブラシ
92、93:金属ローラ
94、95:電源
96、97:ブレード
Claims (6)
- 複数の感光体を有し、さらに、該感光体上に形成されるトナー像を中間転写体上に一次転写し、次いで、中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する中間転写方式の画像形成装置において、該中間転写体が、少なくとも弾性層を有してなり、さらに、該トナー像を形成するトナーが、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル樹脂及び/又はポリオール樹脂であり、かつ該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 前記中間転写体の弾性層が、エラストマーから構成されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記樹脂負帯電制御剤が、前記スルホン酸塩基含有モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記電子吸引基を有する芳香族モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれる樹脂負帯電制御剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 複数の感光体を有し、さらに、該感光体上に形成されるトナー像を中間転写体上に一次転写し、次いで、中間転写体上のトナー像を転写材上に二次転写する中間転写方式の画像形成方法において、該中間転写体として、少なくとも弾性層を有するものを使用し、さらに、該トナー像を形成するトナーとして、少なくとも結着樹脂、着色剤及び負帯電制御剤からなり、該結着樹脂がポリエステル及び/又はポリオール樹脂であり、かつ該負帯電制御剤が、スルホン酸塩基含有モノマー、電子吸引基を有する芳香族モノマー、並びに、アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマー、及び/又は芳香族ビニルモノマーを構成単位とする樹脂負帯電制御剤であり、該樹脂負帯電制御剤の揮発分が5重量%以下であるものを使用することを特徴とする画像形成方法。
- 前記中間転写体の弾性層が、エラストマーから構成されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂負帯電制御剤が、前記スルホン酸塩基含有モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜30重量%、前記電子吸引基を有する芳香族モノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して1〜80重量%、前記アクリル酸エステルモノマー及び/又はメタクリル酸エステルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して10〜80重量%、芳香族ビニルモノマーの繰り返し単位が樹脂負帯電制御剤重量に対して0〜30重量%の割合で含まれることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成方法。
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