JP3877097B2 - 中通し竿のトップガイド及び中通し竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に釣糸が通過可能な中通し竿と、このような中通し竿の先端に配置されるトップガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
中通し竿においては、釣糸の繰り出し及び巻き取りの際に、竿体の内部に設けられた釣糸通路を釣糸が通過する。釣糸は竿体の先端から外部に延びている。このような中通し竿では、竿体の先端で釣糸の方向が変わるので、竿体先端の角部で釣糸が擦られて切れたり弱くなったりしやすい。
【0003】
そこで、竿体先端に釣糸を保護するためのトップガイドが設けられる。トップガイドには、金属などからなる管体の内面に摩擦係数の小さなセラミックスなどからなる保護リングが装着されている。この保護リングにより釣糸が滑らかに案内され、釣糸が切れたり弱くなるのを防止することができる。
この種のトップガイドでは、内部を釣糸が通過する際に釣糸との接触により釣糸に付着した水分や塵等の異物が内部に溜まりやすい。このことに考慮したトップガイドの具体的技術が、特開平8−132号公報に示されている。この技術では、トップガイドが2つの筒体から構成され、うち1つが竿体先端にねじ結合により着脱自在に装着されている。このように構成されたトップガイドでは、筒体を外して内部を清掃することで内部に溜まった異物を簡単に除去できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来のトップガイドでは、トップガイドの一部の筒体を外して内部を清掃することで異物を除去しているので、清掃の都度、筒体を回して着脱を行わなければならない。この着脱作業を行うと、ねじ結合のねじ部分の緩みが生じやすい。このような緩みが生じると、緩んだ筒体に釣糸の張力が作用したときその筒体が損傷したり外れたりするおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、中通し竿の着脱式のトップガイドにおいて、ねじ結合部分を緩みにくくすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る中通し竿のトップガイドは、中通し竿の竿体先端に配置され内部を釣糸が通過するトップガイドであって、前記竿体先端の外周に嵌合固定され前記竿体と異なる材質の装着筒部と、前記装着筒部の穂先側に配置され前記装着筒部にねじ結合された着脱筒部とを備え、前記装着筒部は金属製であり、前記着脱筒部は、前記装着筒部の穂先側に配置され前記装着筒部にねじ結合された弾性を有する合成樹脂製の第1筒部と、前記第1筒部の穂先側に配置され前記第1筒部にねじ結合された金属製の第2筒部とを有する。
【0007】
このトップガイドでは、釣糸が内部を通過すると接触により内部に異物がたまる。この場合には、着脱筒部をたとえば反時計回りに回して装着筒部から外し、これらの2つの筒部の内部を清掃して異物を除去する。清掃が終わると着脱筒部を時計回りに回して装着筒部に装着する。ここで、装着筒部と着脱筒部のねじ結合部分は一方が硬い金属製であり他方が弾性を有する合成樹脂製であるので、装着時に合成樹脂製のねじ結合部分が弾性により撓んでねじ結合部分が緩みにくくなる。
【0008】
さらに、発明1に係る中通し竿のトップガイドは、装着筒部は金属製であり、着脱筒部は、装着筒部の穂先側に配置され装着筒部にねじ結合された合成樹脂製の第1筒部と、第1筒部の穂先側に配置され第1筒部にねじ結合された金属製の第2筒部としているので、清掃しやすく、また、清掃しやすくするために着脱筒部を2分割構造にしても、着脱筒部と装着筒部とのねじ結合部分に加えて、着脱筒部の第1筒部と第2筒部とのねじ結合部分も、金属と合成樹脂とのねじ結合となるので緩みにくくなる。
【0010】
発明2に係る中通し竿のトップガイドは、発明1に記載のガイドにおいて、装着筒部と第1筒部とのねじ結合部分と、第1筒部と第2筒部とのねじ結合部分とは竿体の軸方向で重畳して配置されている。この場合には、2つのネジ結合部分が軸方向で重畳しているので、装着筒部と第1筒部及び第1筒部と第2筒部とをねじ結合しても全体の強度を高く維持することができる。
【0011】
発明3に係る中通し竿のトップガイドは、発明1又は2に記載のガイドにおいて、着脱筒部の内面に設けられ釣糸を案内する釣糸ガイド部をさらに備える。この場合には、着脱筒部の内面に釣糸ガイド部を設けられているので、釣糸の保護を良好に行える。発明4に係る中通し竿のトップガイドは、発明3に記載のガイドにおいて、釣糸案内部は、第1筒部の先端に装着された環状の第1釣糸案内部と、第2筒部の先端に装着された環状の第2釣糸案内部とを有している。この場合には、第1筒部と第2筒部との双方に釣糸案内部が設けられているので、釣糸の保護をより良好に行える。
【0012】
発明5に係る中通し竿のトップガイドは、発明4に記載のガイドにおいて、第1釣糸案内部の内径は第2釣糸案内部の内径より小さい。この場合には、第1釣糸案内部の内径が小さいので、異物が第1釣糸案内部の前後により溜まりやすくなり、異物の除去を確実に行える。発明6に係る中通し竿のトップガイドは、発明4又は5に記載のガイドにおいて、第1釣糸案内部の内径は竿体の内径より小さい。この場合には、第1釣糸案内部の内径が竿体の内径より小さいので、竿体の先端部で釣糸が竿体に接触しにくくなり、釣糸の保護をより良好に行える。
【0013】
発明7に係る中通し竿のトップガイドは、発明4から6のいずれかに記載のガイドにおいて、各釣糸案内部は硬質セラミック製のリング部材からなっている。この場合には、表面が滑らかで摩擦係数が小さく耐久性に優れた硬質セラミック製のリング部材からなる釣糸案内部により釣糸が案内されるので、釣糸の保護をより良好に行えるとともに、釣糸案内部が損傷しにくくなり、トップガイドの耐久性も向上する。
【0014】
発明8に係る中通し竿は、内部に釣糸が通過可能な竿であって、釣糸が通過する釣糸通路を内部に有する竿体と、竿体の先端に配置された請求項1から7のいずれかに記載のトップガイドとを備えている。この中通し竿では、釣糸がトップガイドの内部を通過すると接触により内部に異物がたまる。この場合には、発明1と同様に着脱筒部をたとえば反時計回りに回して装着筒部から外し、これらの2つの筒部の内部を清掃して異物を除去する。清掃が終わると着脱筒部を時計回りに回して装着筒部に装着する。ここで、装着筒部と着脱筒部のねじ結合部分は一方が硬い金属製であり他方が弾性を有する合成樹脂製であるので、装着時に合成樹脂製のねじ結合部分が弾性により撓んでねじ結合部分が緩みにくくなる。釣糸が釣糸通路とトップガイドとを通過したときに内部に異物が溜まっても着脱筒部を外して両筒部を清掃することで異物を簡単に除去できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に示す本発明の一実施形態による中通し竿10は、中通し竿10を操作するためのグリップ部12と、グリップ部12の穂先側に連結された竿体14と、竿体14の先端に配置された筒状のトップガイド40とを備えている。グリップ部12の穂先側には、釣糸30を巻回するリール20が装着されている。竿体14は筒状をなし内部に釣糸通路15(図2)を有するとともに、竿元側に釣糸30を内部に導入するための糸導入口16を有する。竿体14は、ガラス繊維、炭素繊維等の高強度繊維基材に樹脂を含浸させたプリプレグを先細り棒状のマンドレルに巻回し焼成して得られる先細り筒状の部材である。リール20から引き出された釣糸30は、糸導入口16から竿体14の内部に入り、トップガイド40から外部に引き出される。
【0016】
図2に示すように、トップガイド40は、竿体14の先端の外周に嵌合固定される装着筒部41と、装着筒部41の穂先側に配置され装着筒部41に着脱自在に装着された着脱筒部39とを有している。着脱筒部39は、装着筒部41の穂先側に配置された第1筒部42と、第1筒部42の穂先側に配置された第2筒部43とを有している。着脱筒部39と装着筒部41の外周面は滑らかに連続しており後端部(竿元側)にいくに従い小径となっている。
【0017】
装着筒部41は、たとえばステンレスやチタン合金等の耐食金属製の筒状部材であり、その先端部(穂先側)外周面には、竿体14の外形に沿って第1雄ねじ部41aが形成されている。また、第1雄ねじ部41aから後端部にかけて外周面には、大径の末細りテーパ面41bが形成されている。装着筒部41は、接着などの適宜の固着手段により竿体14に固定されている。しかし、着脱する必要があれば、竿体14に対して着脱自在に嵌合されるようになっていてもよい。
【0018】
第1筒部42は、たとえばガラス繊維を混入した66ナイロン等の弾性を有する合成樹脂製の筒状部材であり、装着筒部41に着脱自在に装着されている。第1筒部42の後端部内周面には第1雄ねじ部41aに螺合する第1雌ねじ部42aが形成されている。また、先端部は第1雌ねじ部42aより小径となっており、そこには、穂先側に突出した第1嵌入段部42bが形成されている。また、第1雌ねじ部42aと第1嵌入段部42bとの間には先細りのテーパ部42cが形成されている。第1筒部42の後端部外周面には第1筒部42を回しやすくするためのローレット状溝部42dが形成されており、先端部には第2雄ねじ部42eが形成されている。この第2雄ねじ部42eは、第1雌ねじ部42aに釣り竿の軸方向で重畳するように形成されている。
【0019】
第2筒部43は、たとえばステンレスやチタン合金等の耐食金属製の筒状部材であり、第1筒部42に着脱自在に装着され内径が第1筒部42より大きい。なお、ここでいう第1筒部42及び第2筒部43の内径とは、後述する第1釣糸案内部45及び第2釣糸案内部46の内径D1 及びD2 のことである。第2筒部43の後端部内周面には第2雄ねじ部42eに螺合する第2雌ねじ部43aが形成されている。また、先端部外周面は急激に先拡がりになっており、その先端部には第2嵌入段部43bが形成されている。第2嵌入段部43bの内径は第1嵌入段部42bより大きい。第2雌ねじ部43aと第2嵌入段部43bとの間において第1筒部42より穂先側には、釣糸30に付着した異物等を外部に排出するための4つの異物排出孔43cが周方向に間隔を隔てて形成されている。異物排出孔43cは、第2筒部43の内外周を貫通して形成されている。
【0020】
第1筒部42の先端から内面側の第1嵌入段部42bにかけて、後側の第1釣糸案内部45が嵌め込まれている。第1釣糸案内部45は、サーメットセラミックの成形体からなるリング部材である。第1釣糸案内部45は、第1筒部42の先端を覆っている。第1釣糸案内部45の断面形状は、中心側に向けて滑らかに突出した湾曲形状をなしている。第1釣糸案内部45の内径D1 は、竿体14の内径d0 よりも小さくなっている。
【0021】
第2筒部43の第2嵌入段部43bには、前側の第2釣糸案内部46が嵌め込まれている。第2釣糸案内部46も第1釣糸案内部45と同様の材料からなっている。第2釣糸案内部46の断面形状も、中心側に向けて滑らかに突出した湾曲形状をなしている。第2釣糸案内部46は第2筒部43の先端を覆い、その先端外周が第2筒部43の外周に一致している。第2釣糸案内部46の内径D2 は、竿体14の内径d0 よりも大きくなっている。
【0022】
このようなトップガイド40を有する中通し竿10では、リール20からの釣糸30は、内部の釣糸通路15及びトップガイド40の内部を通過してトップガイド40の先端から導出される。そして、釣糸30の繰り出し時や巻き取り時には、釣糸30は釣糸通路15や第1及び第2釣糸案内部45,46に接触する。ここで、第1釣糸案内部45が最も小径であるので、釣糸30に頻繁に接触しやすい。このため、糸繰り出し時には釣糸30に付着した異物が第1釣糸案内部45により扱かれて第1釣糸案内部45の後側のテーパ部42cに溜まりやすく、糸巻き取り時には釣糸30に付着した異物が第1釣糸案内部45の前側の第2筒部43内に溜まりやすい。
【0023】
このようにして第1釣糸案内部45の前後に異物が溜まった場合には、図3に示すように、第1筒部42及び第2筒部43をそれぞれ取り外せばそれらの内部や竿体14の先端部を簡単に掃除することができ、異物を容易に除去できる。しかも、第2筒部43には異物を排出するための異物排出孔43cが周面に設けられているので、異物が第2筒部43内に溜まりにくい。
【0024】
また、上記実施例では、2つの筒部42,43が着脱自在であるので、とくに、製造時や補修時に第1嵌入段部42bに対して第1釣糸案内部45を簡単に装着できる。
さらに、装着筒部41及び第2筒部43が金属製であり、その間の第1筒部42が弾性を有する合成樹脂製であるので、互いにねじ結合しても金属と弾性を有する合成樹脂との結合により合成樹脂側のねじが弾性により撓みねじの緩みが少なくなる。
【0025】
また、装着筒部41と第1筒部42との締結部及び第2筒部と第2筒部との締結部が軸方向で重畳しているので、トップガイド40全体の強度が強くなる。
〔他の実施形態〕
(a)図4に示すように、金属製又は合成樹脂製の装着筒部41に合成樹脂製又は金属製の1つの筒体で構成された着脱筒部39をねじ結合により着脱自在に装着するようにしてもよい。
【0026】
このトップガイド40aでは、装着筒部41は、竿体14の外周面に先端が突出するように固着されている。装着筒部41の中間部外周面には雄ねじ部41aが形成されている。また、着脱筒部39の後端部内周面には雄ねじ部41aに螺合する雌ねじ部39aが形成されており、外周面において装着筒部41の先端部を臨む位置には異物排出孔39bが形成されている。
【0027】
第2釣糸案内部46は着脱筒部39の先端に装着されているが、第1釣糸案内部45は、着脱筒部39ではなく装着筒部41の先端に装着されている。さらに竿体14の内周面の釣糸通路15に螺旋状に突出した釣糸案内凸部15aが形成されている。
このような構成のトップガイド40aでも、着脱筒部39と装着筒部41とが合成樹脂と金属という異なる材質が使用されているので、ねじ結合部分が緩みにくくなる。
【0028】
(b)中通し竿10の構造は、図示した実施例のほか、通常の中通し竿と同様の構造を適宜に組み合わせて構成することができる。リール20やグリップ部12、糸導入口16などの構造も、通常の中通し竿と同様の構造が採用できる。
(c)トップガイド40の装着筒部41、第1筒部42及び第2筒部43の材料は、前記実施例に限定されるものではなく、装着筒部41及び第2筒部43を合成樹脂製にし、第1筒部42を金属製にしてもよい。また、合成樹脂及び金属の材質も前記実施形態に限定されず、種々の金属や合成樹脂を使用できる。
【0029】
(d)第1及び第2釣糸案内部45、46の材料は、前述したサーメットセラミックのように、摩擦係数が小さく耐久性に優れた材料が好ましい。サーメットセラミック以外のセラミックや金属、合成樹脂も使用できる。また、各釣糸案内部45,46をそれぞれの筒部42,43又は41,39に一体で形成してもよい。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係るトップガイド及び中通し竿では、装着筒部と着脱筒部のねじ結合部分は一方が硬い金属製であり他方が弾性を有する合成樹脂製であるので、装着時に合成樹脂製のねじ結合部分が弾性により撓んでねじ結合部分が緩みにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による中通し竿全体の側面図。
【図2】トップガイドの拡大断面側面図。
【図3】その分解時の拡大断面図。
【図4】他の実施形態の図2に相当する図。
【符号の説明】
10 中通し竿
14 竿体
15 釣糸通路
39 着脱筒部
40,40a トップガイド
41 装着筒部
41a 第1雄ねじ部
42 第1筒部
42a 第1雌ねじ部
42e 第2雄ねじ部
43 第2筒部
43a 第2雌ねじ部
45 第1釣糸案内部
46 第2釣糸案内部
Claims (8)
- 中通し竿の竿体先端に配置され内部を釣糸が通過するトップガイドであって、
前記竿体先端の外周に嵌合固定され前記竿体と異なる材質の装着筒部と、
前記装着筒部の穂先側に配置され前記装着筒部にねじ結合された着脱筒部とを備え、
前記装着筒部は金属製であり、
前記着脱筒部は、前記装着筒部の穂先側に配置され前記装着筒部にねじ結合された弾性を有する合成樹脂製の第1筒部と、前記第1筒部の穂先側に配置され前記第1筒部にねじ結合された金属製の第2筒部とを有する、中通し竿のトップガイド。 - 前記装着筒部と第1筒部とのねじ結合部分と、前記第1筒部と第2筒部とのねじ結合部分とは竿体の軸方向で重畳して配置されている、請求項1に記載の中通し竿のトップガイド。
- 前記着脱筒部の内面に設けられ前記釣糸を案内する釣糸ガイド部をさらに備える、請求項1又は2に記載の中通し竿のトップガイド。
- 前記釣糸ガイド部は、前記第1筒部の先端に装着された環状の第1釣糸案内部と、前記第2筒部の先端に装着された環状の第2釣糸案内部とを有している、請求項3に記載の中通し竿のトップガイド。
- 前記第1釣糸案内部の内径は前記第2釣糸案内部の内径より小さい、請求項4に記載の中通し竿のトップガイド。
- 前記第1釣糸案内部の内径は前記竿体の内径より小さい、請求項4又は5に記載の中通し竿のトップガイド。
- 前記各釣糸案内部は硬質セラミック製のリング部材からなる、請求項4から6のいずれかに記載の中通し竿のトップガイド。
- 内部に釣糸が通過可能な中通し竿であって、釣糸が通過する釣糸通路を内部に有する竿体と、前記竿体の先端に配置された請求項1から7のいずれかに記載のトップガイドと、を備えた中通し竿。
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JP26435597A JP3877097B2 (ja) | 1997-09-29 | 1997-09-29 | 中通し竿のトップガイド及び中通し竿 |
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- 1997-09-29 JP JP26435597A patent/JP3877097B2/ja not_active Expired - Lifetime
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