JP3871770B2 - 多重放送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に放送局から到来する多重放送を受信し、この多重放送から音声番組放送の他に、多重データを抽出し、この多重データに基づいて、例えば文字データを画面表示する、例えばFM多重受信装置に代表される多重放送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、このような多重放送としては、例えば欧州等のラジオデータシステム(RDS)放送のように、通常のラジオ放送である音声番組放送を受聴しながら、文字放送をも目視することができる、いわゆる、「見えるラジオ」として広く脚光を浴びている。
【0003】
この多重放送は、ラジオ放送の放送電波に多重データを多重化して、この多重化された多重データを受信装置側で抽出し、この抽出された多重データを文字放送や様々なサービスデータとして取り込ませるようにしたものである。
【0004】
この多重データには、文字放送等の一般放送多重データや、様々なサービスデータが含まれており、例えばサービスデータとしては音声放送の番組を識別する番組識別データ(以下、単にPIコードと称する)や、放送局の周辺地域における同一ネットワーク局の受信周波数を一覧にした代替周波数リスト(以下、単にAFリストと称する)等があげられる。
【0005】
このようなAFリストを利用して行われる多重放送受信装置の機能としては自動追従機能があげられる。
【0006】
この自動追従機能とは、多重放送受信装置側で現在受信中の多重放送電波からAFリストを抽出し、このAFリストをメモリに記憶しておき、現在受信中の多重放送電波の受信レベルが低下すると、このメモリに記憶したAFリストに基づいて同一ネットワーク局の多重放送電波を自動追従し、この受信レベルが良好な同一ネットワーク局の多重放送電波を受信することにより、常に受信レベルの良好な多重放送電波をユーザーに享受するものである。
【0007】
このような多重放送受信装置の自動追従機能としては、大きく分けて、弱電界追従動作と強電界追従動作との2種類に分別することができる。
【0008】
では、ここで弱電界追従動作について図4に基づき説明する。図4は従来の多重放送受信装置における弱電界追従処理の処理動作を示すフローチャートである。
【0009】
この弱電界追従処理とは、現在受信中の放送局の受信レベルが第1の所定レベルまで低下した時点でAFリストに基づく追従動作を開始し、この追従動作にて得られた放送局の受信レベルが第2の所定レベルまで上がった時点で追従動作を停止するものであり、現在受信中の放送局の受信レベルを継続的に検出しながら、良好な受信レベルの放送局に対して周波数追従する処理である。
【0010】
図4に示す弱電界追従処理において、現在受信中の放送局(以下、単に追従元放送局と称する)の受信レベルを検出し(ステップS101)、この追従元放送局に関わるAFリストがメモリ内に保持してあるか否かを判定する(ステップS102)。
【0011】
このメモリ内にAFリストが保持してあるのであれば、追従元放送局の受信レベルが追従電界開始レベル以下であるか否かを判定する(ステップS103)。尚、この追従電界開始レベルとは、予め一定値に設定されており、放送局の受信状態が維持できなくなる直前の受信レベルに相当するものである。
【0012】
ステップS103にて追従元放送局の受信レベルが追従電界開始レベル以下であれば、メモリ内に保持してあるAFリストに基づいてAF局を順次追従動作し(ステップS104)、現在追従動作されている放送局(以下、単に追従先放送局)の受信レベルを検出し(ステップS105)、この追従先放送局が追従元放送局と同一放送内容であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0013】
尚、ここで同一放送内容であるか否かを判別するためには、追従元放送局のPIコードを追従元放送局の多重データ受信時に得て、このPIコードを予めメモリに記憶しておく必要があり、追従元放送局と追従先放送局とのPIコードが同一の場合には同一放送内容として判断することができる。
【0014】
ステップS106にて追従先放送局が追従元放送局と同一放送内容、つまり同一PIコードと判定されたのであれば、この追従先放送局の受信レベルが追従電界停止レベル以上であるか否かを判定する(ステップS107)。尚、追従電界停止レベルとは、予め一定値に設定されており、放送局に対する良好な受信状態を充分に維持することができる受信レベルに相当するものである。
【0015】
ステップS107にて追従先放送局の受信レベルが追従電界停止レベル以上であれば、この追従先放送局に対して周波数追従を実行し(ステップS108)、この弱電界追従処理を終了する。
【0016】
また、ステップS102にてAFリストがメモリ内に保持されていなければ、又はステップS103にて追従元放送局の受信レベルが追従電界開始レベル以下でなければ、この弱電界追従処理を終了する。
【0017】
また、ステップS106にて追従先放送局が同一放送内容でなければ、又はステップS107にて追従先放送局の受信レベルが追従電界停止レベル以上でなければ、ステップS104に移行することにより、さらなる他のAF局に対する追従動作を実行するものである。
【0018】
このように従来の弱電界追従処理によれば、現在受信中の放送局の受信レベルが低下したとしても、ユーザーは現在受信中の放送局と同一放送内容の良好な受信レベルの放送局を常に得ることができる。
【0019】
また、強電界追従動作について図5に基づき説明する。図5は従来の多重放送受信装置における強電界追従処理の処理動作を示すフローチャートである。
【0020】
この強電界追従処理とは、現在受信中の放送局(追従元放送局)の受信レベルに関係なく、AFリストに基づいて全AF局(追従先放送局)に対して順次追従動作を実行し、全追従先放送局の中から最高の受信レベルを有する追従先放送局に対して周波数追従する処理である。尚、この強電界追従処理は、所定時間毎に、断続的に行われる処理である。
【0021】
図7に示す強電界追従処理において、現在受信中の放送局(追従元放送局)の受信レベルを検出し(ステップS111)、この追従元放送局の受信レベル及び受信周波数をメモリに記憶し(ステップS112)、この追従元放送局に関わるAFリストがメモリ内に保持してあるか否かを判定する(ステップS113)。
【0022】
このメモリ内にAFリストが保持してあるのであれば、このAFリストに基づいてAF局(追従先放送局)を順次追従動作し(ステップS114)、この追従先放送局の受信レベルを検出し(ステップS115)、この追従先放送局と追従元放送局とが同一放送内容であるか否かを判定する(ステップS116)。
【0023】
この追従先放送局と追従元放送局とが同一放送内容であれば、この追従先放送局の受信レベルがメモリに記憶中の放送局の受信レベルよりも上か否かを判定する(ステップS117)。
【0024】
この追従先放送局の受信レベルがメモリに記憶中の放送局の受信レベルよりも上であれば、この追従先放送局の受信周波数及び受信レベルをメモリに記憶更新し(ステップS118)、AFリストによる全AF局に対する追従動作が終了したか否かを判定する(ステップS119)。
【0025】
AFリストに基づく全AF局に対する追従動作が終了したのであれば、現在メモリに記憶中の追従先放送局の受信周波数に対して周波数追従して(ステップS120)、この強電界追従処理を終了する。
【0026】
ステップS113にてメモリ内にAFリストが保持されていなければ、この強電界追従処理を終了する。
【0027】
また、ステップS116にて追従先放送局と追従元放送局とが同一放送内容でなければ、又はステップS117にて追従先放送局の受信レベルがメモリに記憶中の放送局の受信レベルよりも上でなければ、ステップS119に移行する。
【0028】
また、ステップS119にてAFリストに基づく全AF局に対して追従動作が終了したのでなければ、ステップS114に移行することにより、さらなるAF局に対して追従動作を実行する。
【0029】
従って、このような従来の強電界追従処理によれば、現在受信中の放送局の受信レベルに関係なく、同一放送内容を放送している複数の放送局の内、常に最高の受信レベルの放送局を受信することができる。
【0030】
しかしながら、このような従来の強電界追従処理によれば、現在受信中の放送局の受信レベルが良好であるか否かを問わず、最高の受信レベルを有する同一放送内容の放送局に追従動作を実行しようとすることにより、頻繁に追従動作が行われるため、多重放送受信装置にチューナ部が一つしかない場合にはAFリストに基づく各AF局への追従動作を実行すると、現在受信中の放送局の放送が中断してしまうといった事態が発生する。
【0031】
そこで、このような事態を打開するために、一般文字放送等といった通常の多重放送受信中に追従動作を実行する場合には弱電界追従処理を採用した方が好ましい。
【0032】
また、先頃実用化された多重放送のサービスとして、周辺地域に関わる渋滞情報等の交通情報を運転者に提供する道路交通情報システム(以下、単にVICSと称する)サービスがある。
【0033】
このVICSサービスとは、既存の多重放送を利用して、この多重放送に多重化した多重データにVICSデータを含めることにより、このVICS放送を送信する放送局の周辺地域に関わる渋滞情報等の交通情報を運転者に提供するものである。
【0034】
通常、このようなVICS放送は、主にNHKのFM放送局から放送しており、このようなNHKのFM放送局は、各都道府県毎に1局づつ設置してある。つまり、各都道府県のVICS情報は、個々の都道府県のNHKのFM放送局から得ることができる。
【0035】
例えばNHK東京のFM放送局からは、東京都内のVICS情報を得ることができ、NHK浦和の放送局からは埼玉県内のVICS情報を得ることができる。
【0036】
従って、このようなVICS放送を受信可能とする多重放送受信装置によれば、このVICS放送を受信することにより、このVICS放送を送信する放送局の周辺地域に関わる交通情報を運転者に提供し、ひいては、その地域に関わる交通渋滞を緩和することができる。
【0037】
しかしながら、上記従来の弱電界追従処理を採用した多重放送受信装置で、各放送局のサービスエリアを通過して目的地に向かって走行中にVICS放送に対する追従動作を実行する場合には、次に説明するような弊害が発生する。
【0038】
例えば各NHKのFM放送局のサービスエリアは、必ずしも各都道府県内にあるとは限らず、例えばNHK東京のサービスエリアの場合には、NHK東京の放送局が東京都内にあるとしても、そのサービスエリアは1都3県に跨がっており、必然的に、その放送局の送信出力も強くなっている。
【0039】
そこで、例えば地方(埼玉県)から東京都への走行中にVICS放送に対する追従動作を実行した場合、現在受信中の地方局(例えばNHK浦和)の受信レベルが追従電界開始レベル以下となった時点でNHK東京への追従動作を実行するのものである。
【0040】
しかしながら、車両が東京都内に進入したとしても、NHK浦和の受信レベルが高い為に、その受信レベルが追従電界開始レベル以下になるとは限らず、東京都内にいるにも関わらず、NHK浦和からの埼玉県内の交通情報(VICS情報)を得ることになってしまう。
【0041】
また、東京都から地方(埼玉県)への走行中にVICS放送に対する追従動作を実行した場合、前述したように埼玉県はNHK東京のサービスエリア内にあるので、その送信出力は非常に強い為、NHK浦和の放送局周辺に近付いたとしても、NHK東京からの受信レベルは追従開始レベル以下にならず、埼玉県内にいるにも関わらず、NHK東京からの東京都内の交通情報を得ることになってしまう。
【0042】
そこで、このような弊害をなくすために多重放送受信装置に強電界追従処理と弱電界追従処理との2通りの自動追従パターンを設定しておき、ユーザー側の入力操作に応じて、これら自動追従パターンを切換設定する、つまり、一般多重放送を受信中に追従動作を実行する場合には弱電界追従処理を、VICS放送を受信中に追従動作を実行する場合には強電界追従処理を切換設定するといった方法が考えられている。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の多重放送受信装置によれば、現在受信中の放送局の受信レベルが追従電界開始レベル以下となると、AFリストに基づいて追従動作を実行することにより、追従電界停止レベル以上の受信レベルを有する追従先放送局に周波数追従を行うものであるが、例えば多重放送受信装置を載置した車両が放送局から遠く離れた地域、つまり、各放送局から得られる受信レベルが低い地域を走行中に追従動作を実行した場合には、AFリストに基づく追従動作にて得られた追従先放送局の受信レベルが追従電界停止レベル以上となって、この追従先放送局に対して周波数追従したとしても、この追従先放送局の受信レベルがすぐに追従電界停止レベル以下となってしまって、再び追従動作を繰り返してしまうといった現象、つまり追従動作のバタつきが発生してしまうといった問題点があった。
【0044】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、受信レベルが低い地域における追従動作のバタつきを確実に防止することができる多重放送受信装置を提供することにある。
【0045】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明における請求項1記載の多重放送受信装置は、放送局から到来する、放送番組及び放送番組に多重化された多重データを含む放送電波を受信する受信手段と、この放送電波から多重データを抽出するデータ抽出手段と、現在受信中の放送電波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、この受信レベル検出手段にて検出された受信レベルが追従開始レベル以下となると、前記多重データにある代替周波数リストに基づいて、現在受信中の放送電波に対応した他の放送電波に対して追従動作を実行させると共に、この追従動作にて得られた放送電波の受信レベルが追従停止レベル以上となると、この放送電波を周波数追従して、現在実行中の追従動作を停止する制御手段とを有する多重放送受信装置であって、前記追従開始レベル以下の放送電波の受信レベルとして、第1受信レベル値から第2受信レベル値までの各受信レベル値に対応して、追従停止レベルとして第1レベル値から第2レベル値までの各停止レベル値を夫々記憶した停止レベル記憶手段と、前記追従開始レベル以下となると、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下であるか否かを判定する第1判定手段とを有し、前記制御手段は、前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下であると判定されると、この第1受信レベル値に対応した第2レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された第2レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする。
【0046】
前記放送電波とは、例えばラジオ放送の放送電波に文字放送データやサービスデータ等の多重データを多重化した、いわゆる「見えるラジオ放送」と呼ばれる放送電波に相当するものである。
【0047】
前記多重データは、例えば一般放送多重データや代替周波数リストを有しており、前記一般放送多重データは一般の文字放送に関わるデータに相当するものであり、前記代替周波数リストは、この代替周波数リストを送信する放送局と同一ネットワーク局の受信周波数をリスト化した周波数リスト、つまりAFリストに相当するものである。
【0048】
前記受信手段は、例えば受信アンテナ、チューナ部及びPLL回路等に相当するものである。
【0049】
前記データ抽出手段は、放送電波に含まれる多重データを抽出するものであり、例えば多重デスクランブル及び多重デコーダ等に相当するものである。尚、このデータ抽出手段にて抽出された多重データはメモリに記憶保持されるものである。
【0050】
前記受信レベル検出手段は、例えばチューナ部に内蔵され、現在受信中の放送電波を直流電圧等のシグナルメータ電圧に変換することにより、現在受信中の放送電波の受信レベルを検出するものである。
【0051】
前記追従開始レベルとは、現在受信中の放送電波の受信状態が維持できなくなる直前の受信レベルであり、現在受信中の放送電波の受信レベルが追従開始レベル以下となると、AFリストに基づく追従動作を開始する追従電界開始レベルに相当するものである。
【0052】
前記追従停止レベルとは、前記AFリストに基づく追従動作にて得られた追従先放送電波に対する良好な受信状態を充分に維持することができる受信レベルであり、この追従先放送電波の受信レベルが追従停止レベル以上となると、前記AFリストに基づく追従動作を終了し、この追従先放送電波に対して周波数追従して、この追従動作を終了する追従電界停止レベルに相当するものである。
【0053】
前記停止レベル記憶手段に記憶された受信レベル値とは、放送電波の受信レベルが追従開始レベル以下となって、AFリストに基づく追従動作を開始する直前の放送電波の受信レベルに相当するものである。尚、この停止レベル記憶手段には第1受信レベル値から第2受信レベル値までの各受信レベル値が記憶されているが、この受信レベル値の第1受信レベル値は、例えば最低受信レベル値に相当し、第2受信レベル値は例えば最高受信レベル値に相当するものである。
【0054】
前記停止レベル記憶手段に記憶された停止レベル値とは、各受信レベル値に対応した追従停止レベルの設定値に相当するものである。尚、この停止レベル記憶手段には第1レベル値から第2レベル値までの各停止レベル値が記憶されているが、この停止レベル値の第1レベル値は、例えば最小レベル値に相当し、第2レベル値は例えば最大レベル値に相当するものである。
【0055】
前記停止レベル記憶手段は、これら受信レベル値と停止レベル値とを夫々対応づけて記憶しており、受信レベル値の第1受信レベル値は停止レベル値の第2レベル値に対応するものである。
【0056】
尚、この追従停止レベルの第2レベル値とは、追従動作直前の放送電波の受信レベルと追従先放送電波の受信レベルとの差を大きくするために設定される追従停止レベルに相当するものである。
【0057】
前記第1判定手段は、現在受信中の放送電波の受信レベルが第1受信レベル値以下であるか否か、つまり多重放送受信装置の位置(以下、単に自車位置と称する)が放送局から遠く離れた地域、言い換えれば、自車位置が受信レベルの低い地域にあるか否かを判定するものであり、例えばシステムCPUに相当するものである。
【0058】
従って、本発明における請求項1記載の多重放送受信装置によれば、前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下であると判定されると、自車位置が受信レベルの低い地域にあると判断して、前記停止レベル記憶手段から第1受信レベル値に対応した第2レベル値を読み出し、この読み出された第2レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、受信レベルの低い地域で低受信レベルの放送電波同士の追従動作を実行したとしても、追従元放送電波と追従先放送電波との受信レベル差が大きくなって、追従動作のバタつきを確実に防止することができる。
【0059】
しかしながら、このような請求項1記載の多重放送受信装置によれば、例えば自車位置が放送局に隣接して各放送局の受信エリアがクロスしている地域、つまり、放送電波の受信レベルが高い地域で追従動作を実行した場合には、追従元放送局の放送電波と追従先放送局の放送電波との受信レベル差が充分にでないために、例えば追従先放送局の放送電波の受信レベルの方が良好であったとしても、この追従先放送局の放送電波に周波数追従しにくいといった事態が考えられる。
【0060】
仮に、このように、追従元放送局よりも追従先放送局の受信レベルの方が良好であったとしても、この追従先放送局の放送電波に周波数追従することができない場合には、現在の自車位置である地域に関わる交通情報、つまりVICS方法を受信することをができない。
【0061】
そこで、このような事態を打開するために、本発明における請求項2記載の多重放送受信装置は、上記請求項1記載の多重放送受信装置の構成に加えて、前記追従開始レベル以下となると、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上であるか否かを判定する第2判定手段を有し、前記制御手段は、前記第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上であると判定されると、この第2受信レベル値に対応した第1レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された第1レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする。
【0062】
前記停止レベル記憶手段において受信レベル値の第2受信レベル値は、停止レベル値の第1レベル値に対応するものである。
【0063】
尚、この追従停止レベルの第1レベル値とは、追従動作直前の放送電波の受信レベルと追従先放送電波の受信レベルとの差を微小にするために設定される追従停止レベルに相当するものである。
【0064】
前記第2判定手段は、現在受信中の放送電波の受信レベルが第2受信レベル値以上であるか否か、つまり自車位置が各放送局に隣接した地域、言い換えれば、自車位置が受信レベルの高い地域にあるか否かを判定するものであり、例えばシステムCPUに相当するものである。
【0065】
従って、本発明における請求項2記載の多重放送受信装置によれば、上記請求項1記載の多重放送受信装置の効果に加えて、第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上であると判定されると、自車位置が受信レベルの高い地域にあると判断して、前記停止レベル記憶手段から第2受信レベル値に対応した第1レベル値を読み出し、この読み出された第1レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、受信レベルの高い地域で高受信レベルの放送電波同士の追従動作を実行したとしても、追従元放送電波と追従先放送電波との受信レベル差が微小となって、追従先放送電波の受信レベルが良好の場合には、この追従先放送電波に対して周波数追従することができ、ひいては、現在走行中の地域におけるVICS放送を確実に受信することができる。
【0066】
また、本発明における請求項3記載の多重放送受信装置は、上記請求項2記載の多重放送受信装置の構成に加えて、前記制御手段は、前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下でないと判定され、さらに前記第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上でないと判定されると、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値に対応した停止レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする。
【0067】
前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下でないと判定され、さらに前記第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上でないと判定されるということは、自車位置が、通常の受信レベルが得られる地域にあると判断されるものである。
【0068】
従って、本発明における請求項3記載の多重放送受信装置によれば、上記請求項2記載の多重放送受信装置の効果に加えて、前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下でないと判定され、さらに前記第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上でないと判定されると、自車位置が通常の受信レベルが得られる地域にあると判断して、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値に対応した停止レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、追従動作のバタつきを防止しながら、確実に周波数追従することができる。
【0069】
つまり、本発明の多重放送受信装置によれば、追従停止レベルを一定値とせずに、追従元放送局の放送電波の受信レベルに応じて、その地域の受信状態に対応した追従停止レベルを可変設定するようにしたので、自車位置が低受信レベル地域にあって低受信レベル放送電波同士の追従動作を実行したとしても、追従動作のバタつきを確実に防止することができると共に、自車位置が高受信レベル地域にあって高受信レベル放送電波同士の追従動作を実行したとしても、受信レベルの良好な放送電波への周波数追従をスムーズに行うことができる。
【0070】
また、本発明における請求項4記載の多重放送受信装置は、放送局から到来する、放送番組及び放送番組に多重化された多重データを含む放送電波を受信する受信手段と、この放送電波から多重データを抽出するデータ抽出手段と、現在受信中の放送電波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、この受信レベル検出手段にて検出された受信レベルが追従開始レベル以下となると、前記多重データにある代替周波数リストに基づいて、現在受信中の放送電波に対応した他の放送電波に対して追従動作を実行させると共に、この追従動作にて得られた放送電波の受信レベル値が追従停止レベル以上となると、この放送電波を周波数追従して、現在実行中の追従動作を停止する制御手段とを有する多重放送受信装置であって、前記追従開始レベル以下の放送電波の受信レベルの各受信レベル値に対応づけた追従停止レベルの各停止レベル値を夫々記憶した記憶手段を有し、前記制御手段は、現在受信中の放送電波の受信レベルが追従開始レベル以下となると、この追従開始レベルに関わる放送電波の受信レベルの受信レベル値を前記受信レベル検出手段から検出し、この受信レベル値に対応した停止レベル値を前記記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする。
【0071】
尚、上記請求項1記載の多重放送受信装置の構成と重複するものには、その説明を省略する。
【0072】
前記記憶手段は、前記追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベルの各受信レベル値に対応づけた追従停止レベルの各停止レベル値が夫々記憶してある。
【0073】
従って、本発明における請求項4記載の多重放送受信装置によれば、現在受信中の放送電波の受信レベルが追従開始レベル以下になると、この追従開始レベルに関わる放送電波の受信レベルの受信レベル値を前記受信レベル検出手段から検出し、この受信レベル値に対応した停止レベル値を前記記憶手段から読み出し、この停止レベル値を追従停止レベルとして設定する、つまり、前記追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベルの受信レベル値に対応づけて追従停止レベルの停止レベル値を可変設定するようにしたので、低受信レベル地域における放送電波同士の追従動作のバタつきを防止すると共に、高受信レベル地域における放送電波同士の追従動作を円滑に行うことができる。
【0074】
また、本発明における請求項5記載の多重放送受信装置は、上記請求項1、2、3又は4記載の多重放送受信装置の構成に加えて、前記多重データは、この多重データを含む放送電波を送信する放送局の周辺地域に関わる交通情報を有することを特徴とする。
【0075】
前記交通情報とは、いわゆるVICS情報に相当するものである。
【0076】
従って、本発明における請求項5記載の多重放送受信装置によれば、上記請求項1、2、3又は4記載の多重放送受信装置の効果に加えて、自車位置の周辺地域における交通情報を円滑に得ることができ、ひいては、この周辺地域における交通渋滞を緩和することができる。
【0077】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明における多重放送受信装置の実施の形態を示すFM多重受信装置について説明する。図1は本発明の実施の形態に示すFM多重受信装置内部の概略構成を示すブロック図である。
【0078】
図1においてFM多重受信装置10は、図示せぬFM放送局から到来する、音声放送番組と、この音声放送番組に多重化され、一般放送多重データ、代替周波数リスト(AFリスト)及び特殊多重データ等を含む多重データとを有する多重放送電波を受信する二つの受信アンテナ11と、これら受信アンテナ11からの放送信号を分配するアンテナ分配部12と、PLL回路13から出力される電圧に基づいて放送局の放送電波と同調して放送信号を得ると共に、この放送信号から音声放送番組の音声信号を得るチューナ部14と、このチューナ部14から得られた放送信号をデスクランブルして多重データを得る多重デスクランブル15と、この多重デスクランブル15から得られた多重データをデコードする多重デコーダ16と、この多重データを記憶するデータ用SRAM17と、文字や記号等のデータを記憶したフォント用ROM18と、様々なデータを画面表示するLCD表示部19と、様々な指令を入力するキー部20と、様々な警報等を通知する報知音を音声出力するブザー部21と、様々な警報等を通知するために点灯表示するインジケータ表示部(LED)22と、これらLCD表示部19、キー部20、ブザー部21及びインジケータ表示部22を制御する表示用CPU23と、これらシステム全体を制御するシステムCPU24とを有している。
【0079】
前記FM多重受信装置10は、前記多重デコーダ16にてデコードされた現在受信中の放送局のAFリストを記憶する保持メモリ25と、現在受信中の放送局の受信周波数及び受信レベルを記憶する受信メモリ26と、後述する追従電界開始レベル以下に関わる受信レベルの各受信レベル値及び、これら各受信レベル値に対応した追従停止レベルの各停止レベル値を夫々記憶した停止レベルメモリ27とを有している。
【0080】
また、前記チューナ部14は、現在受信中の放送信号から得られるシグナルメータ電圧に基づいて現在受信中の放送局の受信レベルを検出する受信レベル検出部を有している。
【0081】
前記多重データには、例えば一般文字放送に関わる一般放送多重データと、同一ネットワーク局の受信周波数をリスト化したAFリストと、同一の音声放送番組を放送局であることを示すPIコードと、特殊多重データとしての交通情報であるVICSデータとが含まれている。
【0082】
前記VICSデータとは、このVICSデータを送信する放送局の周辺地域に関わる渋滞情報等の交通情報である。
【0083】
前記LCD表示部19は、FM多重放送の一般文字放送を受信中の場合に、一般文字放送を画面表示するものであり、FM多重放送のVICS放送を受信中の場合に、この放送局の周辺地域に関わる交通情報を画面表示するものである。
【0084】
また、システムCPU24は、前記保持メモリ25に記憶中のAFリストに基づいてPLL回路13やチューナ部14等を電圧制御することにより自動追従動作を実行するものである。
【0085】
前記停止レベルメモリ27は、この自動追従動作に関わる追従電界停止レベルの停止レベル値が記憶してあり、放送電波の受信レベルの各受信レベル値に対応した追従電界停止レベルの各停止レベル値を、図3に示すようにパターン化して記憶してある。
【0086】
尚、本発明における請求項に記載の受信手段は前記受信アンテナ11、PLL回路13及びチューナ部14に相当し、前記データ抽出手段は前記多重デスクランブル15及び多重デコーダ16に相当し、前記受信レベル検出手段は前記チューナ部14に相当し、前記制御手段、第1判定手段及び第2判定手段はシステムCPU24に相当し、前記停止レベル記憶手段及び記憶手段は停止レベルメモリ27に相当するものである。
【0087】
では、次に本実施の形態に示すFM多重受信装置10の動作について説明する。図2は本実施の形態に示すFM多重受信装置10の停止レベル可変設定処理におけるシステムCPU24の処理動作を示すフローチャートである。
【0088】
この停止レベル可変設定処理とは、自動追従動作開始に際して、現在受信中の放送局の放送電波から得られる受信レベル、つまり現在自車位置である地域の受信状況に応じて追従電界停止レベルを可変設定するものである。
【0089】
図2においてシステムCPU24は、現在受信中の放送局(追従元放送局)の受信レベルを検出し、この放送局の受信周波数及び受信レベルを受信メモリ26に記憶し(ステップS11)、この追従元放送局の受信レベルが追従電界開始レベル以下であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0090】
この追従元放送局の受信レベルが追従電界開始レベル以下であれば、この追従元放送局の受信レベルが第1受信レベル値である最低受信レベル値以下であるか否かを判定する(ステップS13)。尚、このステップS13の判断処理は、自車位置が追従元放送局から遠く離れている地域であるか否か、言い換えれば、低受信レベル地域であるか否かを判別する処理である。
【0091】
ステップS13にて追従元放送局の受信レベルが最低受信レベル値以下であれば、自車位置が低受信レベル地域にあると判断して、図3に示すように前記停止レベルメモリ27から最低受信レベル値に対応した追従電界停止レベルの停止レベル値として第2レベル値である最大レベル値を読み出し、この最大レベル値を追従電界停止レベルとして設定する(ステップS14)。尚、追従電界停止レベルを最大レベル値に設定すると、追従元放送局と、周波数追従を行う際の追従先放送局との受信レベル差が大きくなる、つまり周波数追従がしにくくなる。
【0092】
ステップS14にて追従電界停止レベルとして最大レベル値を設定されると、この追従元放送局のAFリストを保持メモリ25から読み出し(ステップS15)、このAFリストに基づいて追従先放送局があるか否かを判定する(ステップS16)。
【0093】
このAFリストに基づいて追従先放送局があれば、この追従先放送局に対して追従動作を実行し(ステップS17)、この追従先放送局の受信レベルを検出し(ステップS18)、この追従先放送局の受信レベルが設定中の追従電界停止レベル以上であるか否かを判定する(ステップS19)。
【0094】
この追従先放送局の受信レベルが追従電界停止レベル以上であれば、この追従先放送局の受信周波数に周波数追従し(ステップS20)、この停止レベル可変設定処理の処理動作を終了する。
【0095】
また、ステップS13にて追従元放送局の受信レベルが最低受信レベル値以下でなければ、追従元放送局の受信レベルが第2受信レベル値である最高受信レベル値以上であるか否かを判定する(ステップS21)。尚、このステップS21の判断処理は、自車位置が追従元放送局に隣接している地域であるか否か、言い換えれば、高受信レベル地域であるか否かを判別する処理である。
【0096】
ステップS21にて追従元放送局の受信レベルが最高受信レベル値以上であれば、自車位置が高受信レベル地域にあると判断して、図3に示すように前記停止レベルメモリ27から最高受信レベル値に対応した追従電界停止レベルの停止レベル値として第1レベル値である最小レベル値を読み出し、この最小レベル値を追従電界停止レベルとして設定し(ステップS22)、ステップS15に移行する。尚、ステップS22にて追従電界停止レベルを最小レベル値に設定すると、追従元放送局と、周波数追従を行う際の追従先放送局との受信レベル差は微小となる、つまり周波数追従がしやすくなる。
【0097】
また、ステップS21にて追従元放送局の受信レベル値が最高受信レベル値以上でなければ、自車位置が通常の受信レベル地域にあると判断し、図3に示すように追従元放送局の受信レベル値に対応した追従電界停止レベルの停止レベル値を読み出し、この停止レベルを追従電界停止レベルとして設定し(ステップS23)、ステップS15に移行する。
【0098】
また、ステップS12にて追従元放送局の受信レベルが受信電界開始レベル以下でなければ、又はステップS16にて追従先放送局の候補がなければ、この停止レベル可変設定処理の処理動作を終了する。
【0099】
また、ステップS19にて追従元放送局の受信レベルが設定中の追従電界停止レベル以上でなければ、ステップS16に移行する。
【0100】
本実施の形態によれば、追従電界開始レベル以下に関わる放送局の受信レベルが最低受信レベル値以下であると判定されると、自車位置が受信レベルの低い地域にあると判断して、停止レベルメモリ27から最低受信レベル値に対応した最大レベル値を読み出し、この読み出された最大レベル値を追従電界停止レベルとして設定するようにしたので、受信レベルの低い地域で低受信レベル放送局同士の追従動作を実行したとしても、追従元放送局と追従先放送局との受信レベル差が大きくなって、追従動作のバタつきを確実に防止することができる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、追従電界開始レベル以下に関わる放送局の受信レベルが最高受信レベル値以上であると判定されると、自車位置が受信レベルの高い地域にあると判断して、停止レベルメモリ27から最高受信レベル値に対応した最小レベル値を読み出し、この読み出された最小レベル値を追従電界停止レベルとして設定するようにしたので、受信レベルの高い地域で高受信レベル放送局同士の追従動作を実行したとしても、追従元放送電波と追従先放送電波との受信レベル差が微小となって、追従先放送電波の受信レベルが良好の場合には、この追従先放送電波に対して周波数追従することができ、ひいては、現在走行中の地域におけるVICS放送を確実に受信することができる。
【0102】
また、本実施の形態によれば、追従電界開始レベル以下に関わる放送局の受信レベルが最低受信レベル値以下でなく、しかも最高受信レベル値以上でないと判定されると、自車位置が通常の受信レベルが得られる地域にあると判断して、この追従電界開始レベル以下に関わる放送局の受信レベルに対応した停止レベル値を停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、追従動作のバタつきを防止しながら、確実に周波数追従することができる。
【0103】
つまり、本実施の形態によれば、追従停止レベルを一定値とせずに、追従元放送局の受信レベル応じて、その地域の受信状態に対応した追従停止レベルを可変設定するようにしたので、自車位置が低受信レベル地域にあって低受信レベル放送局同士の追従動作を実行したとしても追従動作のバタつきを確実に防止すると共に、自車位置が高受信レベル地域にあって高受信レベル放送局同士の追従動作を実行したとしても、受信レベルの良好な放送局への周波数追従をスムーズに行うことができる。尚、上記実施の形態においては多重放送受信装置としてFM多重受信装置10に適用して説明したが、例えば欧州等で使用されるRDS放送受信装置に適用しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0104】
【発明の効果】
上記のように構成された本発明における請求項1記載の多重放送受信装置によれば、第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下であると判定されると、自車位置が受信レベルの低い地域にあると判断して、停止レベル記憶手段から第1受信レベル値に対応した第2レベル値を読み出し、この読み出された第2レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、受信レベルの低い地域で低受信レベルの放送電波同士の追従動作を実行したとしても、追従元放送電波と追従先放送電波との受信レベル差が大きくなって、追従動作のバタつきを確実に防止することができる。
【0105】
また、本発明における請求項2記載の多重放送受信装置によれば、第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上であると判定されると、自車位置が受信レベルの高い地域にあると判断して、停止レベル記憶手段から第2受信レベル値に対応した第1レベル値を読み出し、この読み出された第1レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、受信レベルの高い地域で高受信レベルの放送電波同士の追従動作を実行したとしても、追従元放送電波と追従先放送電波との受信レベル差が微小となって、追従先放送電波の受信レベルが良好の場合には、この追従先放送電波に対して周波数追従することができ、ひいては、現在走行中の地域におけるVICS放送を確実に受信することができる。
【0106】
また、本発明における請求項3記載の多重放送受信装置によれば、第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下でないと判定され、さらに第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上でないと判定されると、自車位置が通常の受信レベルが得られる地域にあると判断して、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値に対応した停止レベル値を停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定するようにしたので、追従動作のバタつきを防止しながら、確実に周波数追従することができる。
【0107】
つまり、本発明の多重放送受信装置によれば、追従停止レベルを一定値とせずに、追従元放送局の放送電波の受信レベルに応じて、その地域の受信状態に対応した追従停止レベルを可変設定するようにしたので、自車位置が低受信レベル地域にあって低受信レベル放送電波同士の追従動作を実行したとしても、追従動作のバタつきを確実に防止することができると共に、自車位置が高受信レベル地域にあって高受信レベル放送電波同士の追従動作を実行したとしても、受信レベルの良好な放送電波への周波数追従をスムーズに行うことができる。
【0108】
また、本発明における請求項4記載の多重放送受信装置によれば、現在受信中の放送電波の受信レベルが追従開始レベル以下になると、この追従開始レベルに関わる放送電波の受信レベルの受信レベル値を受信レベル検出手段から検出し、この受信レベル値に対応した停止レベル値を記憶手段から読み出し、この停止レベル値を追従停止レベルとして設定する、つまり、追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベルの受信レベル値に対応づけて追従停止レベルの停止レベル値を可変設定するようにしたので、低受信レベル地域における放送電波同士の追従動作のバタつきを防止すると共に、高受信レベル地域における放送電波同士の追従動作を円滑に行うことができる。
【0109】
また、本発明における請求項5記載の多重放送受信装置によれば、自車位置の周辺地域における交通情報を円滑に得ることができ、ひいては、この周辺地域における交通渋滞を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における本実施の形態に示すFM多重受信装置内部の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の停止レベル可変設定処理におけるシステムCPUの処理動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施の形態における追従停止レベルの停止レベル値と受信レベルの受信レベル値との関係をパターン化した説明図である。
【図4】従来技術の多重放送受信装置における弱電界追従処理の処理動作を示すフローチャートである。
【図5】従来技術の多重放送受信装置における強電界追従処理の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 FM多重受信装置(多重放送受信装置)
11 受信アンテナ(受信手段)
13 PLL回路(受信手段)
14 チューナ部(受信手段、受信レベル検出手段)
15 多重デスクランブル(データ抽出手段)
16 多重デコーダ(データ抽出手段)
24 システムCPU(制御手段、第1判定手段、第2判定手段)
27 停止レベルメモリ(停止レベル記憶手段、記憶手段)
Claims (5)
- 放送局から到来する、放送番組及び放送番組に多重化された多重データを含む放送電波を受信する受信手段と、この放送電波から多重データを抽出するデータ抽出手段と、現在受信中の放送電波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、この受信レベル検出手段にて検出された受信レベルが追従開始レベル以下となると、前記多重データにある代替周波数リストに基づいて、現在受信中の放送電波に対応した他の放送電波に対して追従動作を実行させると共に、この追従動作にて得られた放送電波の受信レベルが追従停止レベル以上となると、この放送電波を周波数追従して、現在実行中の追従動作を停止する制御手段とを有する多重放送受信装置であって、
前記追従開始レベル以下の放送電波の受信レベルとして、第1受信レベル値から第2受信レベル値までの各受信レベル値に対応して、追従停止レベルとして第1レベル値から第2レベル値までの各停止レベル値を夫々記憶した停止レベル記憶手段と、
前記追従開始レベル以下となると、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下であるか否かを判定する第1判定手段とを有し、
前記制御手段は、前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下であると判定されると、この第1受信レベル値に対応した第2レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された第2レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする多重放送受信装置。 - 前記追従開始レベル以下となると、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上であるか否かを判定する第2判定手段を有し、
前記制御手段は、前記第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上であると判定されると、この第2受信レベル値に対応した第1レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された第1レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする請求項1記載の多重放送受信装置。 - 前記制御手段は、前記第1判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第1受信レベル値以下でないと判定され、さらに前記第2判定手段にて追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値が第2受信レベル値以上でないと判定されると、この追従開始レベル以下に関わる放送電波の受信レベル値に対応した停止レベル値を前記停止レベル記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする請求項2記載の多重放送受信装置。
- 放送局から到来する、放送番組及び放送番組に多重化された多重データを含む放送電波を受信する受信手段と、この放送電波から多重データを抽出するデータ抽出手段と、現在受信中の放送電波の受信レベルを検出する受信レベル検出手段と、この受信レベル検出手段にて検出された受信レベルが追従開始レベル以下となると、前記多重データにある代替周波数リストに基づいて、現在受信中の放送電波に対応した他の放送電波に対して追従動作を実行させると共に、この追従動作にて得られた放送電波の受信レベル値が追従停止レベル以上となると、この放送電波を周波数追従して、現在実行中の追従動作を停止する制御手段とを有する多重放送受信装置であって、
前記追従開始レベル以下の放送電波の受信レベルの各受信レベル値に対応づけた追従停止レベルの各停止レベル値を夫々記憶した記憶手段を有し、
前記制御手段は、現在受信中の放送電波の受信レベルが追従開始レベル以下となると、この追従開始レベルに関わる放送電波の受信レベルの受信レベル値を前記受信レベル検出手段から検出し、この受信レベル値に対応した停止レベル値を前記記憶手段から読み出し、この読み出された停止レベル値を追従停止レベルとして設定することを特徴とする多重放送受信装置。 - 前記多重データは、この多重データを含む放送電波を送信する放送局の周辺地域に関わる交通情報を有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の多重放送受信装置。
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