JP3865824B2 - 作動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はモータの回転力を直線的な作動力に変換させて利用することができるようにした新規な作動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
所謂電気錠には、錠止機構を電気機械的に制御する電磁アクチュエータが内蔵されており、例えばテンキー装置に入力された暗証番号が正規に登録されたものであるとき、制御回路から発生する解錠信号を受信した電磁アクチュエータは錠止機構を解錠方向に駆動して電気錠を解錠する。
【0003】
上記した電磁アクチュエータとして従来作用され、現在も実用されているものとして、ソレノイドやマイクロモータを挙げることができる。
【0004】
例えば、ソレノイドは、その可動のプランジャにより、デッドボルトが錠箱内に引込むことを邪魔するロッキングレバーを駆動し、また、マイクロモータは、減速機を介してデッドボルトの出し入れをするデッドカムに連結され、デッドボルトを電気機械的に出し入れする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかして、電磁アクチュエータとしてのソレノイドは、構造が簡単でしかもプランジャは直線的に動くので制御機構を簡単にすることはできるが、作動工程の終端において、不必要に過大な作動力が発生するので電磁アクチュエータとしては使用しにくい。
【0006】
同様の理由により、作動行程の終端において騒音が発生することがあり、場合によっては防音機構を増設しなければならない。
【0007】
一方マイクロモータを使用する作動装置は、作動力の大きさについては問題は無いが、減速機を必要とするので必然的に構造が複雑で高価なものになり、加えて、作動終了後マイクロモータへの通電を断ったとしてもロータの慣性により、作動装置が行過ぎることがある。
【0008】
また、例えば電気錠においてデッドボルトの先端がストライク孔に整合しないで扉枠に引っ掛かる、など負荷が増大する場合には、通常、モータの焼損事故が生じる。
【0009】
その為、マイクロモータを使用する作動装置は、ブレーキ機構やクラッチ機構を併設する必要があり、構造がさらに複雑になる。
【0010】
この発明の作動装置は、モータの回転力を直線的な作動力に変換させて利用するものであるに関わらず、全体としての機構を簡単にすること、被動部材に対する作動力を剛的ではなく弾性的に伝えるようにして、他の緩衝機構の付設を不要にすること、並びに、被動部材が故障等により変位不能となった場合でも、通電中のモータの過負荷による焼損を防止できるようにすることを目的として提案されたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の作動装置は、モータの回転出力軸に対し周囲にらせん溝を有する円柱状のばね受け部材を同心的に固設すること;ばね受け部材の近傍に基本端を固定し先端を自由端とした作動ばねを備えること;作動ばねの先端側はばね受け部材の軸線方向に弯曲できるようにしてあること;作動ばねの先端側にはばね受け部材のらせん溝に沿って遊動できる突片及び被動部材を連動させるための作用片を有すること;作動ばねの先端側が、ばね受け部材の回転に伴ってらせん溝に係合する突片を介してばね受け部材の軸線方向に弾性的に弯曲駆動されるものであること;及び、作動ばねは作用片を介して被動部材に直線的な作動力を付与するものであることを構成条件とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基いて、この発明について説明する。
図1〜図6において、符号1は枠板10に固定された電動モータで、正逆の回転が任意にできるようにしてある。
【0013】
モータ1の回転出力軸11に対しては、周囲にらせん溝21を有する円柱状のばね受け部材2が同心的に固設してある。図示例のばね受け部材2は、止めねじ91で出力軸11に固定された別体のものとして示されているが、出力軸11と一体に形成することもできる。
【0014】
なお、前記らせん溝21を有するばね受け部材2として、転造によって製造される通常のねじを採用することができる。
【0015】
また、図示例のばね受け部材2は、らせん溝21を有する大径の本体部22と小径の取付部23とからなるが、取付部23はこの発明において必須ではない。
【0016】
前記のばね受け部材2の近傍には、これに係着される任意形状の作動ばね3を備える。好ましい作動ばね3は、図5に明示するように、貫通孔35を有する先端側の目玉状の環状部31、環状部31に連続させた基端側の脚片32、環状部31の内側に突出させた突片33及び環状部31の外側に突出させた作用片34からなり、板ばね材を打抜き加工することにより一体ものとして製作するを可とする。
【0017】
前記の作動ばね3は基端を止め片4及び鋲5を介して枠板10その他の不動部材に固定してあり、先端は自由端としてある。そして、このばね3の先端側はばね受け部材2の軸線方向(長さ方向)に弯曲できるようにしてある。言い換えると、ばね3の先端側は図1で左右に振れ動かすことができるようにしてある。
【0018】
更に、作動ばね3の先端側の貫通孔35は、ばね受け部材2の回りに適当な間隙を隔てて嵌め合わせてあり、該作動ばね3の突片33はばね受け部材2のらせん溝21に嵌め込まれ得るようにしてある。
【0019】
作動ばね3は、後述するようにばね受け部材2に駆動されて、図1のストローク(振り幅)の始端位置から図2の中間位置を経て図3のストロークの終端位置の間を弯曲しつつ振り動かされる。
【0020】
作動ばね3の突片33は、ストロークの始端位置及び終端位置においては、ばね受け部材2における基端面24及び先端面25にそれぞれ当接していて、らせん溝21には嵌め合されていない。
【0021】
図1において、モータ1の出力軸11及びばね受け部材2が矢印A方向(同図で右端から見て右回り)に回転すると、ばね受け部材2の基端面24に弾接していた作動ばね3の突片33は、らせん溝21に入り込む。
【0022】
以後ばね受け部材2の更なる回転により、そのらせん溝21で案内されつつ自身の弾性的復元力により矢印B方向に進み、作動ばね3の先端側をばね受け部材2の軸線方向について右方に向け振らせる。
【0023】
そして、図2に示すように、作動ばね3の作用片34が例えばばね受け部材2の中央部に至ると、それに対向する任意の被動部材6に対し直線的な作動力を付与する。
【0024】
この場合、突片33とらせん溝21との間に生じる楔作用により、突片33はその弾力に抗して矢印B方向に駆動される。
【0025】
なお、図示の被動部材6は直線的変位形式のものとして示してあるが、例えば揺動変位形式のものとしてもよい。
【0026】
図2のばね受け部材2が引き続いて矢印A方向に回転し続けると、図3に示すように、作動ばね3の先端側は右方に向け弾性的に弯曲駆動される。従って、被動部材6はその間に作用片34を介して弾性的に押圧され続けることになる。
【0027】
そして、作動ばね3の突片33がストロークの終端、すなわちばね受け部材2の右端(先端)に至ると、突片33はらせん溝21から外れてばね受け部材2の先端面25に弾接することになる。
【0028】
ここで、通常の作動によれば、図示しない制御回路の作動によりモータ1への通電は一旦断たれるが、慣性によりロータ及びばね受け部材2が回動を続けても、突片33はばね受け部材2のらせん溝21から外れる方向にのみ移動するので、作動ばね3は図3の弯曲変形状態に保持されることになり、その後は作動ばね3による被動部材6に対する作動力の付与は断たれることになる。
【0029】
被動部材6が上述した作動の過程で、故障等により変位不能となった場合、この発明の作動装置ではモータ1の焼損が防止されるが、その作用を図4において説明する。
【0030】
モータ1の出力軸11及びばね受け部材2が図1の矢印A方向に回転して、ばね受け部材2のらせん溝21と作動ばね3の突片33との係合により、作動ばね3の先端側が矢印B方向に振り動かされている過程で、被動部材6が例えば図4の位置で変位不能になったとする。
【0031】
すると、作動ばね3の突片33はらせん溝21に沿って案内されつつ右方向に移動する一方で、作動ばね3の作用片34は固定状態にある被動部材6によって停止されるので、作動ばね3はく字状に曲げられることになる。
【0032】
そして、作動ばね3の突片33がばね受け部材2の右端(先端)に至ると、らせん溝21から外れてばね受け部材2の先端面25に弾性的に当接することになる。
【0033】
この状態でモータ1が継続しても回転しても、ばね受け部材2は作動ばね3に対し突片33において摺接状態となるものの空転を続けるので、モータ1に対し過大な負荷が与えられることなく、モータ1の焼損が防止される。
【0034】
正常の運転において、図3の状態でモータ1の出力軸11が矢印Dで示すように左回りに逆回転すると、ばね受け部材2の先端面25に当接している作動ばね3の突片33はらせん溝21に入り込みそのらせん溝21に案内されつつ矢印E方向に進み、作動ばね3の先端側をばね受け部材2の軸線方向について左方向に向け振らせる。
【0035】
そして、作動ばね3及び被動部材6は図1で示す原位置に複動し、制御回路の作動によりモータ1への通電が断たれる。
【0036】
なお、本発明を実施するにあたっては、図示の実施例に限定されることなく、種々に変形して実施することができる。
【0037】
例えば、図示の実施例における作動ばね3のストロークの始端を図1に示し、終端を図3に示すものとしたが、これは始端を図2に示すように作動ばね3が外力を受けない自然状態に対応させてもよい。
【0038】
この場合には、勿論、ばね受け部材2の軸線方向の寸法を小さくし、作動ばねの突片33とばね受け部材の基端面24とをばね受け部材2の軸線方向においてほぼ整合させるようにする(図示せず)。
【0039】
また、作動ばねの作用片34に関し被動部材6と反対側にもう1個の被動部材を設ければ、この作動装置は、1つの作用片により2つの被動部材を切換えて駆動する所謂フリップフロップ型の作動装置となる。
【0040】
【発明の効果】
以上に説明したこの発明の作動装置は、モータの回転力を直線的な作動力に変換するについて、モータに対しらせん溝を有するばね受け部材とらせん溝に係合案内される突片及び被動部材用の作用片を有する作動ばねとを組み付けるだけで、後続の被動部材に作動力を与えることができ、かつ、作動ばね自体が機能部材としての作動ばねの案内装置を兼ねていることと相俟って、全体としての機構は極めて簡単なものとなる。
【0041】
また、被動部材に対して付与される作動力は作動ばねを介して弾性的に伝達されるので、他の緩衝機構やクラッチ類の付設を要しない。
【0042】
更にまた、被動部材が故障等により変位可能となった場合でも、作動ばねの突片にはらせん溝を有するばね受け部材の端面において摺動し、固定状態となった被動部材によってモータに対し過大な負荷を与えることがなくなり、モータの焼損事故を全く無くすことができる。
【0043】
加えて、本発明装置の主要構成部材である作動ばね及びばね受け部材は、夫々大量生産に適する打ち抜き加工及び転造加工によって製造することができるから、極めて安価に本発明装置を製造することができる、等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の作動装置の実施例における作動前の状態を示す正面図。
【図2】その作動の中間の状態を示す正面図。
【図3】その作動後の状態を示す正面図。
【図4】被動部材が変位不動となった状態におけるその正面図。
【図5】図2のV−V線による横断側面図。
【図6】この発明の作動装置から取り外したばね受け部材の拡大正面図。
【符号の説明】
1 モータ
11 回転出力軸
2 ばね受け部材
21 らせん溝
3 作動ばね
33 突片
34 作用片
6 被動部材
Claims (1)
- モータの回転出力軸に対し周囲にらせん溝を有する円柱状のばね受け部材を同心的に固設すること;ばね受け部材の近傍に基本端を固定し先端を自由端とした作動ばねを備えること;作動ばねの先端側はばね受け部材の軸線方向に弯曲できるようにしてあること;作動ばねの先端側にはばね受け部材のらせん溝に沿って遊動できる突片及び被動部材を連動させるための作用片を有すること;作動ばねの先端側が、ばね受け部材の回転に伴ってらせん溝に係合する突片を介してばね受け部材の軸線方向に弾性的に弯曲駆動されるものであること;及び、作動ばねは作用片を介して被動部材に直線的な作動力を付与するものであることを構成条件とする作動装置。
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