JP3865641B2 - 球状無機質粉末およびその用途 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状無機質粉末およびその用途に関する。詳しくは、半導体素子などの電子部品のポッティング材やコーティング材として好適に用いられ、特に狭間隙フリップチップ用アンダーフィル材として間隙浸透性に優れた液状封止材およびそれに充填される球状無機質粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化・軽量化・高性能化は、半導体素子の高集積化、半導体パッケージの多ピン化・薄型化及び回路基板への高密度実装化技術によって実現されてきた。最近では、従来のピン挿入型パッケージに代わって高密度実装が可能なクアッドフラットパッケージ(QFP)、スモールアウトラインパッケージ(SOP)のような表面実装パッケージが主流となり、今後もより一層の小型化・薄型化の要求が高まりつつある。
【0003】
こうしたパッケージ実装技術のなかで、半導体素子(チップ)を直接回路基板に搭載するベアチップ実装技術が、小型・薄型・軽量化、高密度実装化、短納期化、低コスト化などが要求される半導体及び電子機器の実装技術としてクローズアップされている。ベアチップ実装されるチップと基板間の電気的接続方法には、ワイヤーボンディング、フリップチップボンディングなどの方式があり、チップの保護、充填補強等の必要性から、実装されたチップはその大部分が液状封止材によって封止される。
【0004】
上述したフリップチップ実装半導体封止方法の特徴は、ベアチップをフェイスダウンで基板上に半田バンプを介して接続し、30〜50μm程度と非常に狭いチップと基板との間隙に液状封止材を浸透充填することである。この液状封止材には、通常、熱的、機械的、電気的特性を向上させるため、トランスファー成形用固形半導体封止材と同様に球状無機質粉末、特に非晶質球状シリカがフィラーとして充填されている。最近ではチップ、基板、半田バンプと液状封止材との熱膨張率を一致させ、熱応力の緩和を図るために多量の球状無機質粉末を高充填する処方が主流となってきている。
【0005】
しかしながら、このように多量の球状無機質粉末を充填した液状封止材は、充填率の上昇に従って粘度も増加し、チップと基板との間隙に浸透しにくくなり生産性が非常に悪くなるという問題点がある。また、最先端の半導体チップ接続においては、チップと基板との間隙は10〜20μm程度とますます狭くなってきており、このような半導体チップを封止するためには、これまで以上の精密な加工性、すなわち液状封止材中の球状無機質粉末の最大粒径を制御しつつ、低粘度化、狭間隙浸透性を実現することなどが要求されている。このような問題に対応することができる封止材として、最大粒径を数μm以下に制御した球状無機質粉末を高充填し、かつ狭間隙浸透性に優れた液状封止材の開発が切望されている。
【0006】
一般的に、間隙よりも小さい小粒径の球状無機質粉末を揃えて充填した液状封止材は、狭間隙に対応できることは容易に推測できるが、封止材が増粘してしまう問題や、硬化物の弾性率が上昇し応力緩和が図りにくくなる結果、パッケージクラックが発生するなどの問題があり、逆に充填率を下げることを余儀なくされてしまう。一方、大粒径の球状無機質粉末を揃えて充填した液状封止材の場合、粘度を低く抑えることができるが、保存中または間隙浸透中に粗粉末が沈降してしまう問題や、狭間隙に粒子が詰まりやすく封止材の浸入断面積を狭くする結果、狭間隙浸透性に悪影響を及ぼすという問題がある。小粒径と大粒径の球状無機質粉末を併用して樹脂に充填した場合、それぞれの粒径の粉末を単独で充填した場合よりも粘度を低く抑えることができるが、多量充填による粘度上昇、間隙浸透性悪化の問題を解決するにはいまだ十分とは言えなかった。
【0007】
球状無機質粉末の最大粒径の小径化と、高充填に伴う液状封止材の粘度上昇、狭間隙浸透性悪化の問題を解決するものとして、低粘度化特性を示す球状無機質粉末を使用する数多くの封止材が提案されている。しかしながら、従来の液状封止材は、球状無機質粉末を多量充填されていて高い信頼性を有し、かつ最先端半導体チップと基板とのわずかな間隙を封止する狭間隙浸透性を十分兼ね備えているとは言い難い。球状無機質粉末の多量充填が可能で、高い信頼性と優れた粘度特性、狭間隙浸透性を有する液状封止材、およびこの性能を充填材側から付与する液状封止材用の球状無機質粉末はいまだ報告されておらず、その開発が切望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、半導体素子などの電子部品のポッティング材やコーティング材として好適に用いられ、特に狭間隙フリップチップ用アンダーフィル材として間隙浸透性に優れた液状封止材およびそれに充填される球状無機質粉末を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような情勢を鑑みてなされたものであり、球状無機質粉末の最大粒径を種々に調整し、樹脂への充填性および狭間隙浸透性に与える影響について検討した結果、液状樹脂中へ球状無機質粉末を高充填する際に、それぞれの最大粒径に対応したある特定の粒度分布を有する球状無機質粉末からなる充填材が、優れた狭間隙浸透性を発現することを突き止め、それを用いた液状封止材は充填率60質量%以上の高充填領域における狭間隙浸透性が大幅に改善され、しかも樹脂の種類、性状を問わず同様の挙動を示すことを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0010】
【発明の属する技術分野】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(請求項1) 最大粒径が6μm以下、少なくとも1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることを特徴とする球状非晶質シリカ粉末。
(請求項2) 最大粒径が6μm以下、少なくとも0.1〜0.7μmおよび1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることを特徴とする球状非晶質シリカ粉末。
(請求項3) BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比(SB/SC)が3.5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の球状非晶質シリカ粉末。
(請求項4) 請求項1〜3記載のいずれかの球状非晶質シリカ粉末を樹脂に含有させてなることを特徴とする液状封止材。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0012】
本発明の球状非晶質シリカ粉末(以下、「球状無機質粉末」ともいう。)は樹脂組成物、特に半導体用液状封止材の充填材として用いると、多量充填が可能かつ低粘度特性、高い狭間隙浸透性の発現が可能となる。すなわち、本発明の球状無機質粉末はその特定性状を有することにより、これを充填した液状封止材は従来の技術では達成できなかった最大粒径に制限がある中での、高充填性、低粘度特性、高い狭間隙浸透性を満足させることができるものである。
【0013】
本発明の球状無機質粉末は、最大粒径が6μm以下、少なくとも1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることが必要である。また、より好ましくは、最大粒径が6μm以下、少なくとも0.1〜0.7μmおよび1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることである。このように設計された球状無機質粉末はこれまでに存在せず、これを高充填した液状封止材の低粘度化特性と狭間隙浸透性を確保する意味で非常に重要な因子である。
【0014】
1〜3μmの領域に含まれる粒子成分は、樹脂への充填時に核となる粒子成分であり、1μm未満だと粘度が上昇、狭間隙浸透性が著しく低下し、逆に3μmを越えると、工業的な分級手段では最大粒径を6μm以下にすることが困難であり、半導体素子等の電子部品と基板との非常に狭い間隙に封止材を十分に浸透させることができない。とくに、1.5〜2.5μmの領域であることが好ましい。
【0015】
更に好ましくは、上述の頻度粒度分布において0.1〜0.7μmの領域にも極大値を有することである。0.1〜0.7μmの極大値に含まれる粒子成分は、1〜3μmの粒度域に極大値を有する粒子成分から構成される粒子の間隙に入り込むことが可能であり、粒子の充填構造をより密にすることができるので、充填性が向上し、結果として液状封止材の粘度を著しく低下させることができる。とくに、核となる粒子成分に対し、0.2倍程度の粒径を持つとより高充填が可能となり、中でも0.3〜0.6μmであることが好ましい。これら2つの極大径を同時に有することで、これまでにない球状無機質粉末の高充填時における低粘度化、高い狭間隙浸透性を達成することができる。
【0016】
また、球状無機質粉末の粒度分布においては、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8であることが必要である。粒度分布がこの範囲を逸脱すると、前述の粒子充填構造のバランスが崩れ、所望の低粘度特性、高い狭間隙浸透性を達成できなくなる。
【0017】
本発明で重要なことは、球状無機質粉末の最大粒径を6μm以下と規定したなかで、さらに頻度粒度分布の変動係数を40〜130%としたことである。最大粒径が6μmを越えると半導体チップと基板との狭間隙に粒子が詰まりやすく封止材の浸入断面積を狭くする結果、浸透性に悪影響を及ぼすという問題があり、狭間隙アンダーフィルパッケージ用途へは適用でき難くなる。最大粒径6μm以下の制約があるなかで、頻度粒度分布の変動係数を40〜130%とすることによって、球状無機質粉末を充填した際の液状封止材の粘度の上昇を最小限に抑えることができ、狭間隙浸透性も著しく向上できるため、成形性を損なうことなく高充填を達成することができる。
【0018】
さらに、本発明の球状無機質粉末においては、BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比(SB/SC)が3.5以下、特に2.5以下であることが好ましい。この比が大きいということはレーザー回折法などの粒度分布測定機では検出できないような超微粒子を多く含有することを意味する。このような超微粒子は球状無機質粉末の高充填時に液状封止材を増粘させ、間隙浸透性を著しく損なわせてしまう。
【0019】
本発明の球状無機質粉末の粒度分布は、レーザー回折光散乱法による粒度測定に基づく値であり、粒度分布測定機としては、例えば「モデルLS−230」(ベックマンコールター社製)にて測定することができる。測定に際しては、溶媒には水を用い、前処理として、1分間、ホモジナイザーを用いて200Wの出力をかけて分散処理させた。また、PIDS(Polarization Intensity Differential Scattering)濃度を45〜55%になるように調製した。なお、水の屈折率には1.33を用い、粉末の屈折率については粉末の材質の屈折率を考慮した。たとえば、非晶質シリカについては屈折率を1.50として測定した。なお、測定した粒度分布は、粒子径チャンネルがlog(μm)=0.04の幅になるよう変換して種々の解析を行った。
【0020】
本発明でいう最大粒径とは、球状無機質粉末の累積粒度分布において、累積値100%粒子径のことであり、極大径とは、頻度粒度分布において、極大値を示す粒子径のことである。また、モード径とは、極大径のうち、最も高い頻度値を示す最頻径のことであり、メジアン径とは球状無機質粉末の累積粒度分布において、累積値50%粒子径のことである。
【0021】
本発明でいう頻度粒度分布の変動係数については、上記粒度分布測定機によって自動計算(算術計算)が可能である。この測定機の原理は、式、CV=SD×100/XA、に基づいている。式中、CV(%)は変動係数、SDは粒度分布の標準偏差(μm)、XAは平均径(μm)である。なお、平均径は、式、XA=(ΣXC×nC)ΣnC、で求められる。式中、nCは各粒径における粒子の割合(%)、XCは各粒子の大きさ(μm)である。
【0022】
また、比表面積SBはBET法に基づく値であり、比表面積測定機としては、「モデル4−SORB U2」(湯浅アイオニクス社製)を用いて測定することができる。理論比表面積SCについては上記粒度分布測定機によって自動計算が可能である。この測定機の原理は、式、SC=6/(ρ・D)、に基づいている。式中、Dは面積平均粒子径(μm)、ρは球状無機質粉末の密度(g/cm3)である。たとえば、粉末が非晶質シリカであれば2.21である。
【0023】
なお、Dは、式、D=Σ(ni・ai・di)/Σ(ni・ai)、で求められる。これは、一つの粉末の集団において、粒子径の小さい順からd1、d2、・・・di、・・dkの粒子径を持つ粒子が、それぞれn1、n2、・・・ni、・・nk個あり、また、粒子1個当たりの表面積をそれぞれa1、a2、・・・ai、・・akとした場合、DはD=(n1・a1・d1+n2・a2・d2+・・・+ni・ai・di+・・・+nk・ak・dk)/(n1・a1・+n2・a2+・・・+ni・ai+・・・+nk・ak)で求められることになる。
【0024】
本発明の球状無機質粉末においては、更に50nm未満の粒子を実質的に含有しないことが好ましい。上述したように超微粒子は球状無機質粉末の高充填時に液状封止材を増粘させ、間隙浸透性を著しく損なってしまう。とくに、50nm未満の粒子はその傾向が著しく、本発明の球状無機質粉末においては、このような超微粒子を実質的に含有しないことが好ましい。
【0025】
ここで50nm未満の粒子を実質的に含有しないこととは、電子顕微鏡により倍率50,000倍で撮影した任意の写真100枚中の50nm未満の粒子個数を数え、写真1枚あたりの平均値として換算した値が50個未満程度であることを意味する。50nm未満の粒子はより少ない方が好ましいが、平均粒子数50個以上となると、本発明の効果が急激に失われるということはなく、この程度の個数ならば間違いなく発明の効果が発現されるという値である。
【0026】
電子顕微鏡写真の撮影は、電界放射型走査電子顕微鏡、例えば「FE−SEM、モデルJSM−6301F」(日本電子社製)を用い、加速電圧15kV、照射電流3×10-11Aの条件で行う。撮影の前処理として、真空蒸着装置、例えば「モデルJEE−4X」(日本電子社製)で球状無機質粉末に2秒間炭素を蒸着した後、さらに金−パラジウムを60秒間蒸着させる。
【0027】
本発明の球状無機質粉末における「球状」の程度としては、平均球形度が0.85以上であることが好ましい。一般に、球状無機質粉末の平均球形度を上げれば液状封止材中での転がり抵抗が少なくなり、粘度が低下、間隙浸透性が向上する傾向にあるが、特に粉末の平均球形度を0.90以上とすることで、本発明の効果をより高めることができる。
【0028】
平均球形度は実体顕微鏡、例えば「モデルSMZ−10型」(ニコン社製)、走査型電子顕微鏡等にて撮影した粒子像を画像解析装置、例えば(日本アビオニクス社製など)に取り込み、次のようにして測定することができる。すなわち、写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定する。周囲長(PM)に対応する真円の面積を(B)とすると、その粒子の真円度はA/Bとして表示できる。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円を想定すると、PM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、個々の粒子の球形度は、球形度=A/B=A×4π/(PM)2として算出することができる。このようにして得られた任意の粒子200個の球形度を求めその平均値を平均球形度とした。
【0029】
なお、上記以外の球形度の測定法としては、粒子像分析装置、例えば「モデルFPIA−1000」(シスメックス社製)などにて定量的に自動計測された個々の粒子の円形度から、式、球形度=(円形度)2により換算して求めることもできる。
【0030】
本発明における球状無機質粉末は、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、カルシア等の無機質粉末であり、それらの粉末を単独で用いても二種類以上混合したものでもかまわない。とくに、半導体チップと液状封止材との熱膨張率を近づけるという点、半田耐熱性、耐湿性、金型の低摩耗性という観点において、結晶質シリカを高温で溶融する方法ないしは合成法で製造された非晶質シリカが最適である。またその非晶質率は、粉末X線回折装置、例えば「モデルMiniFlex」(RIGAKU社製)を用い、CuKα線の2θが26°〜27.5°の範囲において試料のX線回折分析を行い、特定回折ピークの強度比から測定することができる。すなわち、結晶質シリカは、26.7°に主ピークが存在するが、非晶質シリカでは、ピークは存在しない。非晶質シリカと結晶質シリカが混在していると、それらの割合に応じた結晶質シリカの26.7°のピーク高さが得られるので、結晶質シリカ標準試料のX線強度に対する試料のX線強度の比から、結晶質シリカ混在比(試料のX線回折強度/結晶質シリカのX線回折強度)を算出し、式、非晶質率(%)=(1−結晶質シリカ混在比)×100から非晶質率を求めることができる。
【0031】
本発明の球状無機質粉末は、イオン性不純物として抽出水中のNaイオン濃度とClイオン濃度とがそれぞれ1ppm以下、放射性不純物としてU、Th濃度がそれぞれ1ppb以下であることが好ましい。イオン性不純物が多い場合には半導体チップの信頼性、耐湿性に悪影響を与える恐れがある。また、放射性不純物が多い場合は、α線によるソフトエラーの原因になることが知られており、特に半導体メモリーの封止用として使用する場合には注意が必要である。
【0032】
つぎに、本発明の液状封止材について説明する。この液状封止材は本発明の球状無機質粉末を樹脂に含有させてなるものである。液状封止材中の球状無機質粉末の割合は10〜80質量%であることが好ましい。
【0033】
本発明の液状封止材は、液状エポキシ樹脂、硬化剤、上述の球状無機質粉末を必須成分として含有する。
【0034】
エポキシ樹脂としては、一分子中にエポキシ基を二個以上有するエポキシ樹脂であればいかなるものでも使用可能である。その具体例をあげれば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール類とアルデヒド類のノボラック樹脂をエポキシ化したもの、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSなどのグリシジルエーテル、フタル酸やダイマー酸などの多塩基酸とエポクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエステル酸エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、アルキル変性多官能エポキシ樹脂、β−ナフトールノボラック型エオキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、2,7−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビスヒドロキシビフェニル型エポキシ樹脂、更には難燃性を付与するために臭素などのハロゲンを導入したエポキシ樹脂等である。この中でも常温で液状のエポキシ樹脂が好適に用いられるが、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられ、これらを単独または2種類以上を混合して使用することができる。
【0035】
エポキシ樹脂の硬化剤については、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、クロロフェノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール等の群から選ばれた1種又は2種以上の混合物をホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド又はパラキシレンとともに酸化触媒下で反応させて得られるノボラック型樹脂、ポリパラヒドロキシスチレン樹脂、ビスフェノールAやビスフェノールS等のビスフェノール化合物、ピロガロールやフロログルシノール等の3官能フェノール類、無水マレイン酸、無水フタル酸や無水ピロメリット酸等の酸無水物、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン等を挙げることができる。
【0036】
本発明の液状封止材には、次の成分を必要に応じて配合することができる。すなわち、低応力化剤として、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、アクリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ブロックコポリマーや飽和型エラストマー等のゴム状物質、各種熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂状物質、更にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂の一部又は全部をアミノシリコーン、エポキシシリコーン、アルコキシシリコーンなどで変性した樹脂など、シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン等の疎水性シラン化合物やメルカプトシランなど、表面処理剤として、Zrキレート、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤など、難燃助剤として、Sb2O3、Sb2O4、Sb2O5など、難燃剤として、ハロゲン化エポキシ樹脂やリン化合物など、着色剤として、カーボンブラック、酸化鉄、染料、顔料などである。
【0037】
本発明の液状封止材には、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させるために硬化促進剤を配合することができる。その硬化促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7,トリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等がある。
【0038】
本発明の液状封止材は、上記各材料の所定量を撹拌、溶解、混合、分散させることにより製造することができる。これらの混合物の混合、撹拌、分散等の装置は特に限定されないが、撹拌、加熱装置を備えたライカイ機、3本ロール、ボールミル、プラネタリーミキサー等を用いることができる。またこれらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0039】
本発明の液状封止材を用いて、半導体チップを封止する成形法、成形条件は公知の成形法が採用されるが、特にアンダーフィル材としては、チップと基板との間隙に液状封止材を浸透させて封止する際の温度は60〜120℃であることが好ましく、更に好ましくは70〜100℃である。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例、比較例をあげて更に具体的に説明する。
【0041】
実施例1〜5 比較例1〜10
天然珪石を粉砕、その粉砕物をLPGと酸素との燃焼により形成される高温火炎中に供給し、溶融・球状化処理を行って、球状非晶質シリカ粉末を得た。火炎形成条件、原料粒度、原料供給量、分級条件、混合条件などを調整して表1および表2に示す15種の粉体A〜Oを製造した。具体的には、最大粒径の調整は原料粒度の調整と球状化処理後の粉体の多段篩分け操作、分級操作によって行った。モード径とメジアン径との比、変動係数の調整は、上記操作で得られた数種類の粉末の混合量を調整することにより行った。たとえば、変動係数を小さくするためには、ある粒径の揃った粒子成分に他の粒子成分を少量混合し、一方、変動係数を大きくするためには、さまざまな粒径の粒子成分を適量混合した。比表面積の調整は種々の粒径、比表面積を有する超微粉を添加することにより行い、球形度の制御は火炎形成条件、原料供給量を調整することにより行った。なお、これらの球状シリカ粉末の非晶質率はいずれも99%以上、平均球形度は0.90以上であった。
【0042】
これらの粉末の粒度分布を測定し、0.1〜0.7μmの領域付近および1〜3μmの領域付近における極大径をそれぞれP1、P2として示した。また、モード径とメジアン径との比を(Dmode/Dmedian)として示した。さらには、BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比を(SB/SC)として示した。
【0043】
得られた球状非晶質シリカ粉末A〜Oの液状封止材用の充填材としての特性を評価するため、球状非晶質シリカ粉末60%(質量%、以下同じ)に対し、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(エポキシ当量169、エピコート807;ジャパンエポキシレジン社製)を17.5%、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A−187;日本ユニカ社製)を0.5%、硬化剤としてメチルテトラヒドロ無水フタル酸(酸無水物当量168、MH700;新日本理化社製)を16%、硬化促進剤として1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU;サンアプロ社製)を6%配合し、自転−公転式のプラネタリーミキサー(あわとり練太郎AR−360M;シンキー社製)を用いて、自転2000rpm、公転600rpmの条件で10分間混合した後、真空脱泡することにより液状封止材を得た。得られた材料の粘度特性と間隙浸透性を次に示す方法に従って評価した。それらの結果を表1(実施例)、表2(比較例)に示す。
【0044】
粘度評価
得られた液状封止材の粘度は、E型粘度計(TVE−30H;トキメック社製)にて、3°R14のコーンローターを使用し、35℃においてローター回転数2.5rpmで測定した。
【0045】
間隙浸透性評価
得られた液状封止材の間隙浸透性は、20μmのギャップを形成した二枚重ねの平滑なガラス板をホットプレート上に載せ、80℃に加熱し上記ガラス板の間隙に浸透させた。5分間で浸透した距離を計測し、間隙浸透性を評価した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
表1、表2から明らかなように、本発明の球状無機質粉末の充填されてなる液状封止材は、球状無機質粉末の充填率が高くても狭間隙浸透性が高いレベルにあることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、球状無機質粉末の充填率が高くても、半導体などの電子部品のポッティング材やコーティング材として好適に用いられ、特に狭間隙フリップチップ用アンダーフィル材として間隙浸透性に優れた液状封止材および球状無機質粉末が提供される。
Claims (4)
- 最大粒径が6μm以下、少なくとも1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることを特徴とする球状非晶質シリカ粉末。
- 最大粒径が6μm以下、少なくとも0.1〜0.7μmおよび1〜3μmの粒度域に極大径を示す頻度粒度分布を有し、モード径とメジアン径との比(Dmode/Dmedian)が0.9〜1.8、かつ頻度粒度分布の変動係数が40〜130%であることを特徴とする球状非晶質シリカ粉末。
- BET法により測定した比表面積SBと粒度分布により計算した理論比表面積SCとの比(SB/SC)が3.5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の球状非晶質シリカ粉末。
- 請求項1〜3記載のいずれかの球状非晶質シリカ粉末を樹脂に含有させてなることを特徴とする液状封止材。
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