JP3854610B2 - 壁面材用枠体及びそれを用いた補強土壁の施工方法 - Google Patents

壁面材用枠体及びそれを用いた補強土壁の施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、補強土壁の施工に用いる壁面材用枠体及びそれを用いた補強土壁の施工方法に関するものである。
従来より、山間部等の道路脇の斜面には、土砂崩れ等を防ぐため、コンクリート擁壁が形成されている。しかしながら、コンクリート擁壁は、表面にコンクリートが剥き出しになることから、外観上周辺の自然環境にそぐわず不自然な景観となっていた。また、施工する際にトラッククレーン等の大型設備を要し、大掛りで施工性に欠けるという問題があった。
そこで、近年、間伐材等を用いて壁面材を形成し補強土壁を施工するようにしたものが提案されている。
従来の技術としては、例えば、(特許文献1)に「所定法面勾配とほぼ等しい角度をなすように折曲された斜部及び底部からなる支持フレームと、前記支持フレームの斜部が貫通するように長手方向の所定部に開口部を設けた丸太と、を備えた法面成形形枠」が開示されている。
(特許文献2)には、「鉛直または傾斜して立設され積み重ねられた複数本の丸太が転倒することを阻止する前側支え部材と、前記前側支え部材に対して略平行で、かつ、前記前側支え部材との間に前記丸太が挿入可能な間隔を設けて立設された後側支え部材と、前記前側支え部材の下端から前記後側支え部材の下端を通って後方に延設された保持部材と、を備えた木柵用支持具」が開示されている。
特開2001−59222号公報 特開2002−371572号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、支持フレームの斜部を貫通させるための貫通孔を、全ての丸太に穿設しなければならず、壁面部材の加工に工数を要し生産性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、前側支え部材の下端から後側支え部材の下端を通って延設された保持部材を有し、前側支え部材と後側支え部材が、丸太が挿入可能な間隔を設けて保持部材に立設されているので、この間に挿入される丸太は略同一の太さのものしか用いることができないという課題を有していた。このため、所定間隔で立設された前側支え部材と後側支え部材とを備えた木柵支持具を丸太の太さ毎に用意するか、丸太を略同一の太さに加工する必要があるという課題を有していた。
(3)(特許文献1)と(特許文献2)に開示の技術は、法面形成型枠が支持フレームと支持フレームを結合する連結部材とを要し、また木柵支持具の保持部材が前側支え部の下端から後側支え部の下端を通って延設されているので、法面形成型枠や木柵支持具の製造に多大な工数を要するとともに、法面形成型枠や木柵支持具が大型化し重量が増すため、組立てや施工のためにトラッククレーン等の大型設備を要し施工性に欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するためのもので、丸太等の壁面部材を略同一の太さに加工したり壁面部材に貫通孔を形成したりする必要がなく、種々の太さの壁面部材に適応して壁面を形成することができ壁面部材の加工工数を削減することができるとともに、簡単な構成なので壁面部材を配設する枠体の製造工数を大幅に削減することができ生産性に優れ、さらに基盤への載置方向を調整することで種々の太さの壁面部材を強固に固定することができ自在性に優れる壁面材用枠体を提供することを目的とする。
また、本発明は、急な勾配に補強土を形成することができるとともに敷設間隔や転圧層厚に応じて壁面を形成することができ応用性に優れ、さらにトラッククレーン等の大型設備を要さず人力で施工でき施工性に優れる補強土壁の施工方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明の壁面材用枠体及びそれを用いた補強土壁の施工方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の壁面材用枠体は、底部と、前記底部に立設され間に丸太等の壁面部材が横設される前側支持部及び後側支持部と、を備えた壁面材用枠体であって、前記底部が、前記前側支持部の下端から後方へ延設された第1底部と、前記第1底部の所定部から前方に向かって延設され端部に前記後側支持部が立設された第2底部と、を備え、前記前側支持部が前記第1底部の前端部のみに立設され、前記後側支持部が前記第2底部の前端部のみに立設されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)底部が、前側支持部の下端から後方へ延設された第1底部と、第1底部の所定部から前方に向かって延設され端部に後側支持部が立設された第2底部と、を備えているので、前側支持部と後側支持部との間に挿入される丸太等の壁面部材としては種々の太さのものに対応できる。このため、壁面材用枠体を壁面部材の太さ毎に用意したり壁面部材を略同一の太さに加工する必要がなく、また、壁面部材に貫通孔を形成する必要もなく加工工数を削減することができる。
(2)前側支持部の下端から後方へ延設された第1底部と、第1底部の所定部から前方に向かって延設され端部に後側支持部が立設された第2底部とを備えているので、基盤上の載置方向を調整し底部に対する壁面部材の設置角度を調整することで、種々の太さの壁面部材を前側支持部と後側支持部との間で強固に固定することができ自在性に優れる
ここで、底部としては、棒状,管状,板状等に形成された金属製等の部材で形成することができる。なかでも、鉄筋等の金属製の棒材で形成されたものが好適に用いられる。機械的強度に優れるからである。なお、亜鉛メッキや合成樹脂コーティング等の防錆処理を施して鉄筋等の表面を被覆することもできる。これにより、鉄筋等が土中で腐食するのを防止し耐久性を高めることができる。
前側支持部と第1底部、後側支持部と第2底部、第1底部と第2底部は、金属製等の部材を溶接したり、連結部材を用いて複数の部材を連結したり、長く形成した金属製等の部材を所定箇所で折曲して延設し形成することができる。
壁面部材としては、コンクリート製や木材製の枕木、合成樹脂製で形成された擬似丸太等の擬似木材、幹から枝を落としたままの形の丸太,長さ方向に半割にした丸太,面を粗く落とし丸身のついた角材の形にした杣角,素材を削り出したり切断して棒状や板状等に加工した製材等の木材、伐採した竹材、厚さが5〜10cm程度,幅が60cm程度,長さが2m程度に形成されたコンクリートパネル、ガードレールのビーム、木製等パネル材、側溝のグレーチング蓋、ベニア合板、平鉄板、波スレート板、キーストンプレート、エキスパンドメタル、溶接金網、溶接鉄筋等を用いることができる。なかでも幹から枝を落としただけの丸太や竹材が好適であり、特に丸太が好適に用いられる。幹から枝を落としたりして所定の長さに形成しただけのものなので加工工数を著しく削減することができ、さらに太さ方向の圧縮強度が高いので割れ難く壁面の耐久性を高めるからである。さらに、間伐材が好適に用いられる。健全な森林育成のために伐採された間伐材を資源として有効に活用することができるからである。
また、丸太等を用いる場合は、縦断勾配に対して縦根元と先の太さの違いを利用する、長さ方向に半割にする等によって、前側支持部と後側支持部との間に積み上げる高さを調整できる。丸太等を積み上げた高さに応じて、前側支持部や後側支持部を所定長さで切断してもよい。
なお、壁面部材として木材や竹材を用いる場合は、防腐処理を行うこともできる。防腐処理方法は、薬剤の加圧注入,浸漬,散塗布、表面焼き等が用いられる。これにより、木材等の耐久性を高め、壁面の耐久性を高めることができる。
前側支持部と後側支持部は、略平行に配設するのが好ましい。前側支持部と後側支持部との間に挿入され横設される木材を積み上げて、隙間の少ない壁面を形成するためである。
前側支持部と後側支持部の高さとしては、略同一か、若しくは後側支持部を少し短めに形成するのが好ましい。後側支持部を少し短めに形成するのは、前側支持部と後側支持部との間に木材等の壁面部材を挿入し易くするためである。但し、高さが著しく異なると、補強土壁を施工する際、前側支持部と後側支持部との間に挿入され横設された木材等が高さの低い側に落下し易くなるため好ましくない。
第1底部に対する前側支持部及び第2底部に対する後側支持部の傾斜角θとしては、45〜90°好ましくは60〜85°が好適に用いられる。傾斜角が60°より小さくなるにつれ後側支持部の背面にまき出された盛土材を転圧する際に、後側支持部が邪魔になって転圧し難いため壁面が前倒れしたり変形し易くなる傾向がみられ、85°より大きくなるにつれ盛土転圧した際に土圧によって前側支持部が屈曲し易くなり壁面が崩壊し易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
第2底部としては、第1底部より短い長さに形成されたものが好適に用いられる。第1底部の端部に立設された前側支持部と第2底部の端部に立設された後側支持部との間に壁面部材を挿入して横設し補強土壁を形成する際に、底部の前後方向を壁面部材に対して略直交させて壁面材用枠体を配設させることができ施工性と安定性を高めることができるからである。第2底部の長さが第1底部の長さと同一に近づくにつれ、壁面部材の太さが太くなるにつれて、底部の前後方向を壁面部材に対して大きく斜交させて壁面材用枠体を配設することになり壁面材用枠体が載置される基盤の左右方向を大きく占有し施工性に欠けるとともに、壁面部材から底部の後端までの距離が短く盛土材に埋設される底部の面積が小さくなり前倒れし易くなるため好ましくない。
第2底部の前端に立設された後側支持部から底部の後端までの距離としては、前側支持部の高さの1〜3倍が好適に用いられる。1倍より短くなると底部の上で締固められた盛土材の重量が小さく前倒れし易くなる傾向がみられ、3倍より長くなるにつれ壁面材用枠体の重量が増すとともに底部が長くなり搬送性や施工性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、後側支持部から底部の後端までの距離は、底部の後端部と接する直線Sを考えた場合に、後側支持部から直線Sに降ろした垂線の長さL1と前側支持部から直線Sに降ろした垂線の長さL2とを加えた長さL1+L2が最も長くなるときの長さL1をいう。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の壁面材用枠体であって、前記底部、前記前側支持部、前記後側支持部が、棒材を折曲して一体に形成された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)底部、前側支持部、後側支持部が、棒材を折曲して一体に形成されているので、軽量化させることができるとともに機械的強度に優れ、さらに棒材を折曲するだけで製造することができるので溶接等による接合作業等を要さず生産性に優れる。
ここで、棒材としては、丸鋼、異形棒鋼等を用いることができる。
底部は、棒材を略V字形、略U字形、略コ字形等に折曲されたものが用いられる。なかでも、略V字形に折曲されたものが好適に用いられる。底部として用いられる棒材の長さを短くすることができるので、軽量化できるからである。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の壁面材用枠体であって、前記前側支持部と前記後側支持部との間隔が、左右方向において前記前側支持部の高さの0.3〜1.5倍形成された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)前側支持部と後側支持部の間隔が所定の範囲で形成されているので、前側支持部と後側支持部の間に挿入される壁面部材を安定に支持できるとともに壁面材用枠体を適当な大きさにして搬送性や施工性を高めることができる。
ここで、左右方向における前側支持部と後側支持部との間隔としては、底部の前後方向と直交する方向における前側支持部と後側支持部との間隔をいう。また、前後方向における前側支持部と後側支持部との間隔としては、底部の前後方向と平行する方向における前側支持部と後側支持部との間隔をいう。
前側支持部と後側支持部との間隔が、左右方向において前側支持部の高さの0.5倍より小さくなるにつれ補強土壁を形成する際に安定性が低下し側方に倒れ易くなる傾向がみられ、1.2倍より大きくなるにつれ底部の左右方向における幅が大きくなり搬送性や施工性が低下する傾向がみられる。特に、0.3倍より小さくなるか、1.5倍より大きくなると、これらの傾向が著しくなるので、いずれも好ましくない。
前側支持部と後側支持部との間隔が、前後方向において壁面部材の太さの0.5倍より小さくなるか1.2倍より大きくなるにつれ、補強土壁を形成する際に底部の前後方向を壁面部材に対して大きく斜交させて壁面材用枠体を配設することになり、載置される基盤の左右方向を大きく占有し施工性が低下する傾向がみられたり、基盤に複数載置された壁面材用枠体の底部の後端部が互いに干渉し合い底部が浮き上がったりする傾向がみられる。特に、間隔が前後方向において壁面部材の太さの1.5倍より大きくなると、これらの傾向が著しくなるため好ましくない。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の壁面材用枠体であって、前記前側支持部と前記後側支持部に掛架される掛架部材を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)前側支持部と後側支持部に掛架される掛架部材を備えているので、前側支持部と後側支持部との間隔が広がるのを掛架部材で拘束して防止することができ、壁面部材を前側支持部と後側支持部との間に安定に保持することができる。
ここで、掛架部材としては、両端に前側支持部と後側支持部の各々を係止するフック等の係止部、両端に前側支持部と後側支持部の各々の先端が嵌挿される凹部、両端に前側支持部と後側支持部の各々が挿通される孔部等が形成された板材、棒材、線条体等が用いられる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の壁面材用枠体であって、前記前側支持部の先端に冠着される冠着部材を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)前側支持部の先端に冠着される冠着部材を備えているので、特に補強土壁の天端に配設された場合に、前側支持部の先端が剥き出しにならず安全性に優れる。
ここで、冠着部材としては、ゴム製、合成樹脂製、金属製、木製等で形成され、少なくとも前側支持部の先端に冠着されるものが用いられる。前側支持部は補強土壁の表面に剥き出しになるからである。
本発明の請求項6に記載の補強土壁の施工方法は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載の壁面材用枠体の少なくとも2体を左右方向に所定間隔をあけて基盤に載置固定する枠体載置工程と、面状補強材を前記壁面材用枠体の底部の上面及び前記後側支持部の背面に敷設するとともに巻き返し部を設けて配設する面状補強材配設工程と、前記壁面材用枠体の前側支持部と後側支持部との間に丸太等の壁面部材を挿入して前記壁面材用枠体間に橋設し壁面を形成する壁面形成工程と、前記面状補強材の上面及び前記壁面の背面に盛土材をまき出し敷均し締固めを行う盛土材締固め工程と、前記面状補強材の前記巻き返し部で前記盛土材を覆うように巻き込む面状補強材巻き込み工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)敷設された面状補強材で盛土材を巻き込むので、盛土材と面状補強材との間に発生する摩擦力等によって両者を一体化させることができ急な勾配に補強土を形成することができる。
(2)設定した層厚毎に壁面部材が横設された壁面材用枠体の背面で面状補強材を巻き返して壁面を構築していくので、敷設間隔や転圧層厚に応じて壁面を形成することができ応用性に優れる。
(3)複数の壁面材用枠体で壁面部材を支持して壁面を形成するので、各々の壁面用枠体や壁面部材の重量が小さいため、組立てや施工のためにトラッククレーン等の大型設備を要さず人力で施工でき施工性に優れる。
(4)面状補強材を壁面材用枠体の背面で巻き返して壁面を構築していくので、面状補強材が補強土の表面に露出し難く直射日光が当り難いため、紫外線によって面状補強材が劣化し難く耐久性を高めることができる。
(5)壁面材用枠体に横設された壁面部材の隙間や木材等の壁面部材が腐食した部分等に植生させることも可能な補強土を形成することができる。
ここで、壁面材用枠体としては、第1底部や第2底部の長さが互いに鏡像の関係にあるもの、第1底部や第2底部の長さが同一のもの等を、施工する土壁の状況に応じて適宜選択して用いることができる。
壁面部材としては、1m程度の短いものから4m程度の長いものまで種々の長さのものを用いることができる。長さが4m程度の長い壁面部材を用いれば、道路の法面等を安定して構築することができる。この場合は、3〜4体の壁面材用枠体を用いて壁面部材を支持するのが好ましい。また、長さが1m程度の短い壁面部材を用いれば、道路の曲面に沿わせた土壁を形成することができる。
面状補強材としては、織布,不織布,編物で形成されたシート状体、略直交する2方向の部材を交点で結合又は一体化した網状体や格子状体等が用いられる。なかでも、高分子材料等で透水性のある編物,不織布,編物等に形成されたシート状のジオテキスタイル、ジオテキスタイル関連製品、ジオテキスタイル等を組み合せて複合一体化したジオコンポジット等が用いられ、例えば、縦糸と横糸とを用いて織った織物(ジオウォーブン)、長繊維や短繊維等を製織せずに機械的方法や化学的方法等によって結合した不織布(ジオノンウォーブン)、連続した糸や繊維等によって網目で構成した編物(ジオニット)、規則的な格子構造からなるシート状のジオグリッド、網目構造をもつシート状のジオネット、高分子材料で形成された透水性のあるシート状又は帯状のジオテキスタイル関連製品、ジオテキスタイル,ジオグリッド,ジオネット等を組み合せて複合一体化したシート状体等のジオコンポジット等が用いられる。
なお、盛土材の内部に、排水材として不織布等のジオテキスタイル等を敷設して、完成後の盛土の浸透水排除を行って補強土壁の耐久性を保つこともできる。高含水比の盛土材を用いる場合に、特に効果がある。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の補強土壁の施工方法であって、前記盛土材締固め工程において、前記壁面に接してガラス発泡体をまき出し敷均する構成を有している。
この構成により、請求項6で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ガラス発泡体の内部摩擦角は大きいので流動性が低く、壁面に対する押出圧力が小さいため補強土壁の壁面を崩壊し難くすることができる。
(2)ガラス発泡体層を有するので、排水性に優れる。
ここで、ガラス発泡体としては、粒径が70mm以下に破砕されたのものが用いられる。粒径が70mmより大きくなると、ガラス発泡体の粒間の間隙が大きくなり盛土材が入り込み易くなる傾向がみられるため好ましくない。
なお、敷均されたガラス発泡体の上にジオテキスタイル等の排水材を敷設すると、ガラス発泡体は含水比が小さいので、壁面から浸透水の排除がより活発に行われるため、含水比の高い盛土材を用いても、耐久性に優れた補強土壁を施工することができる。
以上のように、本発明の壁面材用枠体及びそれを用いた補強土壁の施工方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)底部が、前側支持部の下端から後方へ延設された第1底部と、第1底部の所定部から前方に向かって延設され端部に後側支持部が立設された第2底部と、を備えているので、前側支持部と後側支持部との間に挿入される丸太等の壁面部材としては種々の太さのものに適応できる。このため、壁面材用枠体を壁面部材の太さ毎に用意したり、壁面部材を略同一の太さに加工する必要がなく、また、壁面部材に貫通孔を形成する必要もなく加工工数を削減することができ生産性に著しく優れた壁面材用枠体を提供することができる。
(2)前側支持部の下端から後方へ延設された第1底部と、第1底部の所定部から前方に向かって延設され端部に後側支持部が立設された第2底部とを備えているので、基盤上の載置方向を調整し底部に対する壁面部材の設置角度を調整することで、種々の太さの壁面部材を前側支持部と後側支持部との間で強固に固定することができ自在性に優れた壁面材用枠体を提供することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)底部、前側支持部、後側支持部が、棒材を折曲して一体に形成されているので、軽量化させることができるとともに機械的強度に優れ、さらに棒材を折曲するだけで製造することができるので溶接等による接合作業等を要さず生産性に優れた壁面材用枠体を提供することができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)前側支持部と後側支持部の間隔が所定の範囲で形成されているので、前側支持部と後側支持部の間に挿入される壁面部材を安定に支持できるとともに適当な大きさに形成して搬送性や施工性を高めた壁面材用枠体を提供することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)前側支持部と後側支持部に掛架される掛架部材を備えているので、前側支持部と後側支持部との間隔が広がるのを掛架部材で拘束して防止することができ、壁面部材を前側支持部と後側支持部との間に安定に保持することができ安定性に優れた壁面材用枠体を提供することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)前側支持部の先端に冠着される冠着部材を備えているので、特に補強土壁の天端に配設された場合に、前側支持部の先端が剥き出しにならず安全性に優れた壁面材用枠体を提供することができる。
請求項6に記載の発明によれば、
(1)敷設された面状補強材で盛土材を巻き込むので、盛土材と面状補強材との間に発生する摩擦力等によって両者を一体化させることができ急な勾配に補強土を形成することができる補強土壁の施工方法を提供することができる。
(2)設定した層厚毎に壁面部材が横設された壁面材用枠体の背面で面状補強材を巻き返して壁面を構築していくので、敷設間隔や転圧層厚に応じて壁面を形成することができ応用性に優れた補強土壁の施工方法を提供することができる。
(3)複数の壁面材用枠体で壁面部材を支持して壁面を形成するので、各々の壁面材用枠体や壁面部材が軽量なため、壁面材の組立てや施工のためにトラッククレーン等の大型設備を要さず人力で施工でき施工性に優れた補強土壁の施工方法を提供することができる。
(4)面状補強材を壁面材用枠体の背面で巻き返して壁面を構築していくので、面状補強材が補強土の表面に露出し難く直射日光が当り難いため、紫外線によって面状補強材が劣化し難く耐久性に優れた補強土壁の施工方法を提供することができる。
(5)壁面材用枠体に横設された壁面部材の隙間や木材等の壁面部材が腐食した部分等に植生させることも可能な補強土を形成することができる補強土壁の施工方法を提供することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加え、
(1)ガラス発泡体の内部摩擦角は大きいので流動性が低く、壁面に対する押出圧力が小さいため壁面が崩壊し難い補強土壁の施工方法を提供することができる。
(2)ガラス発泡体層と壁面部材により排水性に優れ、壁面の耐久性に優れた補強土壁の施工方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における壁面材用枠体の斜視図であり、図2(a)は実施の形態1における壁面材用枠体の平面図であり、図2(b)は実施の形態1における壁面用材用枠体の側面図である。
図中、1は実施の形態1における壁面材用枠体、2は鉄筋等の棒材を略V字形に折曲して形成した底部、3は底部2に立設された前側支持部、4は前側支持部3の下端から後方へ延設された底部2の第1底部、5は第1底部4の後端で折曲され第1底部4の後端から前方に向かって延設された底部2の第2底部、6は第2底部5の前端部に立設された後側支持部である。
ここで、実施の形態1においては、底部2,前側支持部3,後側支持部6が一本の鉄筋等の棒材を折曲して一体に形成されている。また、前側支持部3の高さHが後側支持部6の高さと略同一に形成され、また、前側支持部3が後側支持部6と略平行に形成されている。また、第1底部4に対する前側支持部3の傾斜角θが90°に形成されている。また、第1底部4の長さが第2底部5の長さよりも長めに形成されており、前側支持部3と後側支持部6との前後方向における間隔W1が、前側支持部3と後側支持部6との間に挿入される後述する壁面部材の太さの0.5〜1.2倍に形成されている。また、前側支持部3と後側支持部6との左右方向における間隔W2が、前側支持部3の高さHの0.3〜1.5倍に形成されている。また、後側支持部6が立設された第2底部5の前端から底部2の後端までの距離L1が、前側支持部3の高さHの1〜3倍に形成されている。
なお、第1底部4と第2底部5との夾角αを有する壁面材用枠体1の前側支持部3と後側支持部6との左右方向における間隔W2としては、底部2の後端部と接する直線を考え、後側支持部6から該直線に降ろした垂線の長さL1と前側支持部3から該直線に降ろした垂線の長さL2とを加えた長さL1+L2が最も長くなるときの直線Sを求め、直線Sと平行な方向における前側支持部3と後側支持部6との間隔をいう。また、前側支持部3と後側支持部6との前後方向における間隔W1としては、直線Sと直交する方向における前側支持部3と後側支持部6との間隔をいう。また、後側支持部6が立設された第2底部5の前端から底部2の後端までの距離L1としては、後側支持部6から直線Sに降ろした垂線の長さをいう。
以上のように構成された本発明の実施の形態1における壁面材用枠体を用いた補強土壁の施工方法について、以下図面を参照しながら説明する。
図3は補強土壁の施工方法を示す模式図であり、図4は基盤に載置された壁面材用枠体の前側支持部と後側支持部との間に丸太等の壁面部材を横設した状態を示す平面図であり、図5は壁面材用枠体の後側支持部と敷設された面状補強材とを連結した状態を示す模式図である。なお、ここでは、壁面材用枠体1として、第1底部4や第2底部5の長さが互いに鏡像の状態に配置した2体を用いた場合について説明する。
図3、図4において、10は平らに整地され補強土壁を形成する基盤、11は所定間隔をあけて基盤10に載置された壁面材用枠体1の底部2の後端(折曲部)を係止し基盤10に打ち込まれた杭等のアンカー、12は壁面材用枠体1の前側支持部3と後側支持部6との間に挿入され横設された丸太等の壁面部材、13は基盤10、壁面材用枠体1の底部2の上部及び壁面材用枠体1の後側支持部6の背部に敷設されたジオテキスタイル等の面状補強材、13aは地中に埋設される面状補強材13の埋設端部、13bは巻き返して地中に埋設される面状補強材13の巻き返し部、14は基盤10及び基盤10に載置された底部2の上部に敷設された面状補強材13の上面に所定量まき出され仮置きされた盛土材、14aは所定量の盛土材14がブルドーザ等で所定の土層厚に敷きならされタイヤローラ,振動ローラ,タンパ等で締固め転圧された第1盛土層、14bは第1盛土層14aの上面かつ後側支持部6の背部に後側支持部6の高さと略同一の土層厚で締固め転圧された第2盛土層、14cは第2盛土層14bの上面から第1盛土層14aの上面に巻き戻された面状補強材13の巻き返し部13bの上に所定量の盛土材が第2盛土層14bの土層厚と略同一の厚さで敷きならされ締固め転圧された第3盛土層、15は巻き返し部13bの端部側の所定箇所を第1盛土層14aに固定する杭等のアンカーである。なお、後述する連結部材や圧接部材は図示していない。
図5において、20は金属製等でコイル状に形成され面状補強材13を刺衝し、かつ後側支持部6に巻回された連結部材、21は金属製や合成樹脂製等で棒状等に形成され連結部材20の内側に後側支持部6に沿って挿設され後側支持部6に面状補強材13及び連結部材20を圧接して連結部材20を後側支持部6に固設する圧接部材である。
補強土壁の施工方法について、以下、(1)枠体載置工程、(2)面状補強材敷設工程、(3)壁面形成工程、(4)盛土材締固め工程、(5)面状補強材巻き込み工程の順に説明する。
(1)枠体載置工程
まず、壁面材用枠体1の2体を左右方向に所定間隔をあけて基盤10に載置する。次いで、壁面材用枠体1の前側支持部3と後側支持部6の間に丸太等の壁面部材12を少なくとも1本挿入して挟持し壁面材用枠体1,1間に橋設しながら(図3(a)及び図4参照)、壁面部材12の太さに応じて、壁面部材12に対する壁面材用枠体1の設置位置を調整する。即ち、壁面部材12が細い場合は図4(a)に示すように、壁面材用枠体1を壁面部材12に対して略直交させて基盤10に載置しアンカー11で固定する。壁面部材12が太い場合は図4(b)に示すように、壁面材用枠体1を壁面部材12に対して斜交させて基盤10に載置しアンカー11で固定する。このように壁面部材12を挟んで設置角度を調整することで、壁面部材12の太さに関わらず種々の壁面部材12を用いて壁面材を形成することができる。なお、各前側支持部3を壁面部材12の端部側に配設することが望ましい。壁面部材12の両端側が前側支持部3で支持されるので、安定性を高めることができ前倒れが起こり難くなるからである。
(2)面状補強材敷設工程
続いて、面状補強材13を壁面材用枠体1の底部2の上面、後側支持部6の背面に接するように敷設する。この際、埋設端部13aを設計限界すべり面の外側まで延設し、他端の巻き返し部13bを巻き返し代として確保して壁面材用枠体1の後側支持部6の前側に延ばして配設する(図3(b)参照)。次に、壁面材用枠体1の底部2の上に敷設された面状補強材13の上面に所定量の盛土材14を仮置きする(図3(c)参照)。盛土材14を面状補強材13の上面に仮置きすることで、壁面材用枠体1が施工中に前倒れを起こすのを防止することができる。
次いで、図5に示すように、後側支持部6に接する面状補強材13を連結部材20で刺衝した後、圧接部材21を連結部材20の内側に挿設して、面状補強材13を後側支持部6に固定する。
(3)壁面形成工程
続いて、壁面材用枠体1の前側支持部3と後側支持部6との間に壁面部材12を挿入し横設し、前側支持部3及び後側支持部6の上端まで複数本積み上げて壁面を形成する(図3(d)参照)。
(4)盛土材締固め工程
続いて、所定の土層厚で盛土材をまき出し敷均し転圧し締固める。本実施の形態においては、積み上げられた壁面部材12の高さの略半分の高さの位置まで第1盛土層14aを形成し、次に、第1盛土層14aの前側部に積み上げられた壁面部材12の高さと略同じ高さまで盛土し敷均し転圧して締固め断面台形状の第2盛土層14bを形成する(図3(e)参照)。
(5)面状補強材巻き込み工程
続いて、第2盛土層14bを巻き込むように面状補強材13の巻き返し部13bを第2盛土層14bの背面位置の第1盛土層14aまで巻き返す(図3(f)参照)。次に、巻き返し部13bの端部側の所定箇所を杭等のアンカー15で第1盛土層14aに固定する。続いて、所定量の盛土材を面状補強材13の巻き返し部13b及び第1盛土層14aの上にまき出し敷均し転圧して締固め、第2盛土層14bの厚さと略同一の厚さに形成された第3盛土層14cを形成する(図3(g)参照)。これにより、盛土材を巻き込んで巻き返された面状補強材13を上方に引っ張り上げるような緊張力を面状補強材13に与えることができるので、斜面に対し外側から押圧するような拘束力を与え補強土を形成することができる。
以後、図3(h)に示すように、この1サイクルの工程を繰り返していくことにより、所定の勾配で所定高さの補強土壁を形成することができる。
以上のように、本発明の実施の形態1における壁面材用枠体は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)底部2が、前側支持部3の下端から後方へ延設された第1底部4と、第1底部4の所定部から前方に向かって延設され端部に後側支持部6が立設された第2底部5と、を備えているので、前側支持部3と後側支持部6との間に挿入される丸太等の壁面部材12として種々の太さのものに対応できる。このため、壁面材用枠体1を壁面部材12の太さ毎に用意したり、所定の長さに伐採した木材等の壁面部材12を略同一の太さに加工する必要がなく、また、貫通孔を形成する必要もなく壁面部材12の加工工数を削減することができる。
(2)前側支持部3の下端から後方へ延設された第1底部4と、第1底部4の所定部から前方に向かって延設され端部に後側支持部6が立設された第2底部5とを備えているので、基盤10への載置方向を調整し底部2に対する壁面部材12の設置角度を調整することで、種々の太さの壁面部材12を前側支持部3と後側支持部6との間で強固に固定することができ自在性に優れる。
(3)底部2、前側支持部3、後側支持部6が、棒材を折曲して一体に形成されているので、軽量化させることができるとともに機械的強度に優れ、さらに棒材を折曲するだけで製造することができるので溶接等による接合作業等を要さず生産性に優れる。
(4)棒材が略V字形に折曲され底部2が形成されているので、底部2に用いる棒材の長さを短くすることができ軽量化することができる。
(5)前側支持部3と後側支持部6の間隔が所定の範囲で形成されており、2以上の壁面材用枠体1を一組として基盤10上に配設するので、各前側支持部3と後側支持部6の間に挿入される壁面部材12を4点以上の支持点で安定に支持できるとともに壁面材用枠体1を適当な大きさにして搬送性や施工性を高めることができる。
(6)2以上の壁面材用枠体1の各前側支持部3と後側支持部6が略平行に底部2に立設されているので、前側支持部3と後側支持部6との間に挿入され横設される壁面部材12を複数本積み上げて隙間の少ない壁面を形成することができる。
(7)前側支持部3と後側支持部6の高さが略同一に形成されているので、補強土壁を施工する際、前側支持部3と後側支持部6との間に挿入され横設された壁面部材12が、高さの低い側に落下することなく壁面を形成し施工性に優れる。
(8)第2底部5が第1底部4より短い長さに形成されているので、第1底部4の端部に立設された前側支持部3と第2底部5の端部に立設された後側支持部6との間に壁面部材12を挿入して横設し補強土壁を形成する際に、底部2の前後方向を壁面部材12に対して略直交させて壁面材用枠体1を配設させることができ(図4(a)参照)、施工性と安定性を高めることができる。
(9)第2底部5の前端から後端までの距離L1が、前側支持部3の高さの1〜3倍に形成されているので、底部2の上で転圧された盛土材14の重量が大きく前倒れし難く安定性に優れ、また搬送性や施工性に優れる。
また、本発明の実施の形態1における壁面材用枠体を用いた補強土壁の施工方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)敷設された面状補強材13で盛土材14を巻き込むので、盛土材14と面状補強材13との間に発生する摩擦力等によって両者を一体化させることができ急な勾配に補強土を形成することができ、さらに補強土の壁面に壁面部材12として丸太等の木材が配設されると外観上周辺の自然環境に適合し自然な景観を形成することができる。
(2)設定した層厚毎に壁面部材12が横設された壁面材用枠体1の背面で面状補強材13を巻き返して壁面を構築していくので、敷設間隔や転圧層厚に応じて壁面を形成することができ応用性に優れる。
(3)2体以上の壁面材用枠体1で壁面部材12を支持して壁面を形成するので、各々の壁面材用枠体1や壁面部材12の重量を軽くできるため、組立てや施工のためにトラッククレーン等の大型設備を要さず人力で施工でき施工性に優れる。
(4)面状補強材13を壁面材用枠体1の背面で巻き返して壁面を構築していくので、面状補強材13が補強土の表面に露出し難く直射日光が当り難いため、紫外線によって面状補強材13が劣化し難く耐久性を高めることができる。
(5)連結部材20と圧接部材21とを用いて後側支持部6に接する面状補強材13を後側支持部6に固定するので、面状補強材13が後側支持部6にしっかりと拘束され面状補強材13と後側支持部6との間に隙間が生じるのを防止し、盛土材14として含水比の高い粘性土等を用いた場合でも、粘性土等が土圧によって圧縮されて変形し面状補強材が前方に丸みを帯びてはらむ現象が生じ難く、壁面部材12が前方に押し出され壁面が崩壊し易くなるのを防止することができる。
なお、実施の形態1の壁面材用枠体を用いた補強土壁の施工方法では、積み上げられた壁面部材12の高さの略半分の厚さの第1盛土層14aの上に断面台形状に形成された第2盛土層14bを形成する場合について説明したが、第2盛土層を形成せずに、第1盛土層14aを積み上げられた壁面部材12の高さと略同一の厚さに形成し、第1盛土層14aを面状補強材13で巻き込むようにする場合もある。なお、この場合は、次段の面状補強材を敷設した際に、先に巻き込んだ巻き返し部13bを次段の面状補強材とともに第1盛土層14aにアンカーで固定するのが好ましい。巻き込まれた面状補強材による盛土層の拘束力が低下するのを、面状補強材間を連結することによって防止するためである。
また、連結部材20と圧接部材21とを用いて面状補強材13を後側支持部6に固定する場合について説明したが、礫混り土等の土圧で変形し難い盛土材を用いた場合には、連結部材20等を用いて面状補強材13を後側支持部6に固定しなくてもよい。面状補強材に巻き込まれた盛土層が変形し難いからである。
図6は本発明の実施の形態1における壁面材用枠体を用いた補強土壁の施工方法の変形例の面状補強材巻き込み工程を終えた状態を示す模式図である。
図6(a)において、22は後側支持部6の背面の面状補強材13の上に所定の厚さでまき出し転圧され締固められたガラス発泡体等の軽量盛土材、23は第1盛土層14a内に略水平方向に敷設された不織布等のジオテキスタイルからなる排水材、24は排水材23を埋設するように軽量盛土材22の上部に壁面部材12と略同じ高さまで盛土し転圧して締固められたガラス発泡体等の軽量盛土材である。
図6(b)において、25は後側支持部6の背面の第1盛土層14a内に所定の厚さでまき出し転圧され締固められ上面に排水材23が敷設されたガラス発泡体等の軽量盛土材である。
なお、本実施の形態においては、ガラス発泡体等の軽量盛土材22,24,25は、粒径が150mm以下程度のものが用いられる。
本実施の形態においては、盛土材14をまき出し転圧し締固めて第1盛土層14aを形成する際に、後側支持部6の直ぐ背面に、軽量盛土材22,25をまき出し転圧する。次いで、軽量盛土材22,25に接するように排水材23を略水平に敷設した後、図6(a)に示すように、後側支持部6の直ぐ背面に軽量盛土材24を、その背部に盛土材14をまき出し敷均し転圧するか、図6(b)に示すように、排水材23の上に盛土材14をまき出し敷均し転圧し、第1盛土層14aを形成する。これを実施の形態1で説明したように繰り返すことにより、補強土壁を施工することができる。
以上のような補強土壁の施工方法によれば、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)排水材23が敷設されているので、完成後の盛土の浸透水排除を行って耐久性に優れた補強土壁を施工することができる。
(2)壁面部材12の背面に含水比の小さなガラス発泡体等の軽量盛土材22,23,25が敷設されているので、浸透水の排除がより活発に行われるため、含水比の高い盛土材を用いても、耐久性に優れた補強土壁を施工することができる。
(3)軽量盛土材22,24,25としてガラス発泡体を用いると、ガラス発泡体の内部摩擦角は約45°と大きいので流動性が低く、壁面部材12に対する押出圧力が小さいため補強土壁の壁面を崩壊し難くすることができる。
(実施の形態2)
図7は実施の形態2における壁面材用枠体の斜視図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
26は金属製や合成樹脂製等で形成され前側支持部3と後側支持部6に掛架された板状の掛架部材、27は掛架部材26の両端に形成され前側支持部3と後側支持部6の各々が挿通された孔部である。
以上のように、実施の形態2における壁面材用枠体は構成されているので、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)掛架部材26を備えているので、前側支持部3と後側支持部6との間隔が広がるのを拘束して防止することができ、壁面部材12を前側支持部3と後側支持部6との間に安定に保持することができる。
(実施の形態3)
図8は実施の形態3における壁面材用枠体の斜視図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図8(a)において、28はゴム製、合成樹脂製、金属製、木製等で形成され前側支持部3の先端に冠着された冠着部材、29は冠着部材28の後方に延設され壁面部材12を上側から押止する押止部である。
図8(b)において、30はゴム製、合成樹脂製、金属製等で形成され前側支持部3の先端と後側支持部6の先端に冠着されるとともに前側支持部3と後側支持部6に掛架された冠着部材である。
以上のように、実施の形態3における壁面材用枠体は構成されているので、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)前側支持部3の先端に冠着された冠着部材28を備えているので、特に補強土壁の天端に配設された場合に、前側支持部3の先端が剥き出しにならず安全性に優れる。
(2)冠着部材28の後方に延設され壁面部材12を上側から押止する押止部29を備えているので、壁面部材12が前側支持部3と後側支持部6の間から落下するのを防止することができる。
(3)前側支持部3の先端と後側支持部6の先端に冠着されるとともに前側支持部3と後側支持部6に掛架された冠着部材30を備えているので、前側支持部3の先端が剥き出しになるのを防止できるとともに、壁面部材12が前側支持部3と後側支持部6の間から落下するのを防止することができ、さらに前側支持部3と後側支持部6との間隔が広がるのを拘束して防止することができ、壁面部材12を前側支持部3と後側支持部6との間に安定に保持することができる。
(実施の形態4)
図9(a)は本発明の実施の形態4における壁面材用枠体の斜視図であり、図9(b)は実施の形態4の変形例における壁面材用枠体の斜視図であり、図9(c)は実施の形態4の他の変形例における壁面材用枠体の斜視図である。なお、実施の形態1と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図9(a)において、1aは実施の形態4における壁面材用枠体、2aは棒材を略U字形に折曲して形成した壁面材用枠体1aの底部である。壁面材用枠体1aの折曲された底部2aの曲率が小さいので、棒材を折曲加工する際に加える力が小さく加工を容易にする場合に適している。
図9(b)において、1bは実施の形態4の変形例における壁面材用枠体、2bは棒材を略コ字形に折曲して形成した壁面材用枠体1bの底部である。棒材を略コ字形に折曲して底部2bを形成するので、底部2bを堅牢にする場合に適している。
図9(c)において、1cは実施の形態4の他の変形例における壁面材用枠体、2cは複数本の金属製の棒材等を溶接して形成した壁面材用枠体1cの底部、3aは第1底部4の前端に第1底部4に対して45〜90°の傾斜角で立設された前側支持部、6aは第2底部5の前端に第2底部5に対して45〜90°の傾斜角で前側支持部6aと略平行して立設された後側支持部、7は両端が第1底部4,第2底部5の各々の所定部に溶着され第1底部4と第2底部5とを連結する底部連結部であり、第2底部5は底部連結部7が溶接された第1底部4の所定部から底部連結部7を介して前方に向かって延設されている。複数本の金属製の棒材等を溶接して底部2cを形成するので、端材等を有効活用する場合に適している。
なお、壁面材用枠体1cは、底部連結部7として棒材等を用いた場合について説明したが、板材等を用いる場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
本発明は、補強土壁の施工に用いる壁面材用枠体に関し、丸太等の壁面部材を略同一の太さに加工したり壁面部材に貫通孔を形成したりする必要がなく、種々の太さの壁面部材に適応して壁面を形成することができ壁面部材の加工工数を削減することができるとともに、簡単な構成なので壁面部材を配設する枠体の製造工数を大幅に削減することができ生産性に優れ、さらに基盤上の載置方向を調整することで種々の太さの壁面部材を強固に固定することができ自在性に優れる壁面材用枠体を提供することができる。
また、本発明は、壁面材用枠体を用いた補強土壁の施工方法に関し、急な勾配に補強土を形成することができるとともに敷設間隔や転圧層厚に応じて壁面を形成することができ応用性に優れ、さらにトラッククレーン等の大型設備を要さず人力で施工でき施工性に優れる補強土壁の施工方法を提供することができる。
実施の形態1における壁面材用枠体の斜視図 (a)実施の形態1における壁面材用枠体の平面図 (b)実施の形態1における壁面用材用枠体の側面図 補強土壁の施工方法を示す模式図 基盤に載置された壁面材用枠体の前側支持部と後側支持部との間に壁面部材を横設した状態を示す平面図 壁面材用枠体の後側支持部と敷設された面状補強材とを連結した状態を示す模式図 実施の形態1における壁面材用枠体を用いた補強土壁の施工方法の変形例の面状補強材巻き込み工程を終えた状態を示す模式図 実施の形態2における壁面材用枠体の斜視図 実施の形態3における壁面材用枠体の斜視図 (a)実施の形態4における壁面材用枠体の斜視図 (b)実施の形態4の変形例における壁面材用枠体の斜視図 (c)実施の形態4の他の変形例における壁面材用枠体の斜視図
符号の説明
1,1a,1b,1c 壁面材用枠体
2,2a,2b,2c 底部
3,3a 前側支持部
4 第1底部
5 第2底部
6,6a 後側支持部
7 底部連結部
10 基盤
11 アンカー
12 壁面部材
13 面状補強材
13a 埋設端部
13b 巻き返し部
14 盛土材
14a 第1盛土層
14b 第2盛土層
14c 第3盛土層
15 アンカー
20 連結部材
21 圧接部材
22,24,25 軽量盛土材
23 排水材
26 掛架部材
27 孔部
28,30 冠着部材
29 押止部

Claims (7)

  1. 底部と、前記底部に立設され間に丸太等の壁面部材が横設される前側支持部及び後側支持部と、を備えた壁面材用枠体であって、
    前記底部が、前記前側支持部の下端から後方へ延設された第1底部と、前記第1底部の所定部から前方に向かって延設され端部に前記後側支持部が立設された第2底部と、を備え
    前記前側支持部が前記第1底部の前端部のみに立設され、前記後側支持部が前記第2底部の前端部のみに立設されていることを特徴とする壁面材用枠体。
  2. 前記底部、前記前側支持部、前記後側支持部が、棒材を折曲して一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の壁面材用枠体。
  3. 前記前側支持部と前記後側支持部との間隔が、左右方向において前記前側支持部の高さの0.3〜1.5倍形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の壁面材用枠体。
  4. 前記前側支持部と前記後側支持部に掛架される掛架部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の壁面材用枠体。
  5. 前記前側支持部の先端に冠着される冠着部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の壁面材用枠体。
  6. 請求項1乃至5の内いずれか1に記載の壁面材用枠体の少なくとも2体を左右方向に所定間隔をあけて基盤に載置固定する枠体載置工程と、面状補強材を前記壁面材用枠体の底部の上面及び前記後側支持部の背面に敷設するとともに巻き返し部を設けて配設する面状補強材配設工程と、前記壁面材用枠体の前側支持部と後側支持部との間に丸太等の壁面部材を挿入して前記壁面材用枠体間に橋設し壁面を形成する壁面形成工程と、前記面状補強材の上面及び前記壁面の背面に盛土材をまき出し敷均し締固めを行う盛土材締固め工程と、前記面状補強材の前記巻き返し部で前記盛土材を覆うように巻き込む面状補強材巻き込み工程と、を備えていることを特徴とする補強土壁の施工方法。
  7. 前記盛土材締固め工程において、前記壁面に接してガラス発泡体をまき出し敷均することを特徴とする請求項6に記載の補強土壁の施工方法。
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