JP3853531B2 - 帯状練製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、魚肉などの練製品の製造過程において、魚肉すり身などの混練食品を帯状の状態で加熱するための方法に関するものであり、特に蟹肉状に引き裂き容易となるように多数の切れ目の入った魚肉練製品、すなわち蟹風蒲鉾を製造するにあたって、中間製品である薄い帯状の段階の練製品などを製造するために、通電加熱方式(ジュール加熱方式)を適用して帯状の混練食品を連続加熱するための方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
魚肉練製品には、いわゆる板付き蒲鉾など、各種のものがあるが、そのうちでも“蟹風蒲鉾”あるいは“蟹蒲鉾”と通称される魚肉練製品は、蟹肉状に引き裂き容易で、食感が蟹肉に似ており、また食べ易いところから、近年その消費量が増大している。
【0003】
上述のような蟹風蒲鉾の製造方法としては、一般に魚肉すり身に調味料等を添加して調整、混練した後、これを薄い帯状に成形し、得られた帯状のすり身の段階で蒸し機により高温水蒸気により加熱して固化させ、その後、帯状の中間製品を円柱状に巻込んでから、必要に応じて色付け等を行なって裁断し、包装を行なって再度殺菌等のために蒸し機などにより加熱するのが通常である。
【0004】
前述のような蟹風蒲鉾の製造過程において、帯状すり身をその固化のために蒸し機により加熱する工程では、加熱に長時間を要し、また蒸し機自体も長大化せざるを得ず、そのため生産性を阻害すると同時に製造コストの増大を招かざるを得ない問題があった。
【0005】
そこで本発明者等は、蟹風蒲鉾の中間製品である薄い帯状の練製品を製造するために魚肉すり身を加熱する装置として、魚肉すり身自体に通電してその電気抵抗により発熱させる通電加熱方式(ジュール加熱方式)を適用した連続通電加熱装置を、既に特開平7−274907号において提案している。
【0006】
上記提案の連続通電加熱装置は、基本的には図3、図4に示すように、入口側上面案内ローラ1と出口側上面案内ローラ3との間に、複数のローラ状の電極5A〜5Jを水平面内において互いに平行となるように所定間隔を置いて平行に配列し、かつ入口側上面案内ローラ1および出口側上面案内ローラ3の下方にそれぞそれ下側案内ローラ9,11を配設しておき、入口側上面案内ローラ1から、各ローラ状電極5A〜5Jを経て出口側上面案内ローラ3、下側案内ローラ9,11に無端環状の透水性フィルム13を巻掛けて、いずれかのローラもしくはローラ状電極を図示しないモータ等の回転駆動手段により回転駆動させることにより、透水性フィルム13を、前記各ローラ状電極5A〜5Jの上面に接しながら連続的に回巡走行させるように構成したものであり、入口側上面案内ローラ1とローラ状電極5Aとの間の上方には、透水性フィルム13の上面に魚肉すり身を所定の厚みで帯状に連続供給する供給装置15が配設されている。
【0007】
なおここで、透水性フィルム13としては、木綿の布が代表的であるが、そのほかセロハン、紙、布、不織布等のように水分を吸収する性質を有する膜状もしくはシート状のものであれば如何なるものでも良く、通常、親水性フィルム、吸水性フィルム、あるいは保水性フィルム等と称される種々の膜材、シート材を用いることができ、これらを総称して透水性フィルムと称している。また、複合構造の透水性フィルム、例えばセロハンの原料となるビスコースを布もしくは紙等に塗布または含浸させてなるフィルムを用いることもできる。なお透水性フィルムは1枚でも、あるいは2枚以上を重ね合わせて用いても良く、また2枚以上を重ね合わせる場合、異種の透水性フィルムを用いても良い。
【0008】
このような透水性フィルム13、例えば木綿の布からなる透水性フィルム13は、適宜の箇所に配設されたスプレー装置や滴下装置などの湿潤手段19によって水や塩水で湿潤させることにより、導電性が付与される。またローラ状電極5A〜5Jのうち、両端のローラ電極5A,5Jは漏洩電流による危険を防止するために電気的に接地され、その他のローラ状電極5B〜5Iは、相互に隣り合う電極の間で電圧が印加されるように、電源装置17に接続されている。
【0009】
このような装置を用いて蟹風蒲鉾用の帯状の中間製品で代表される帯状練製品を製造するにあたっては、透水性フィルム13を湿潤手段19によって水や塩水により湿潤して導電性を付与しつつ、その透水性フィルム13の一端側において、供給装置15により魚肉すり身21を透水性フィルム13上に所定の厚みで帯状に連続的に供給する。透水性フィルム13上に供給された帯状のすり身21は、透水性フィルム13の走行に伴なって、その透水性フィルム13上に載置されたまま、図3、図4の左方へ連続的に移動する。また同時にローラ状電極5B〜5Iには、相互に隣り合う電極間で電圧が印加され、これによって透水性フィルム13を介して帯状のすり身21に通電され、すり身の有する電気抵抗によりジュール加熱される。すなわち、帯状のすり身21に対して通電加熱がなされる。
【0010】
このような通電加熱装置によれば、透水性フィルム13上に供給された帯状のすり身21がその内部から発熱するため、すり身21を急速に温度上昇させることができ、そのため加熱時間が短時間で済み、またそれに伴なって設備長さも短かくて済むから、高能率化と設備の小型化を図ることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述のような帯状すり身を通電加熱するための連続通電加熱装置では、なお改善すべき次のような課題があることが判明した。
【0012】
すなわち通電加熱時においては、木綿の布等からなる透水性フィルムは水分によって常に湿潤されており、しかも通電加熱中において透水性フィルム上のすり身が殺菌可能な温度まで加熱されても、透水性フィルム自体の温度はさほど高くならないため、透水性フィルム中で雑菌が繁殖しやすく、特に長時間にわたって透水性フィルムを連続使用する場合にはその危険性が高くなる。そしてこのように透水性フィルム中で雑菌が繁殖した場合、透水性フィルム上で通電加熱される帯状のすり身についても、透水性フィルムに接している側の面に雑菌が付着するおそれがある。一方通電加熱後の帯状すり身は、前述のような蒸し機での高温水蒸気により加熱を行なった場合と同様に、円柱状に巻込んでから、色付けや裁断、包装を行なって再度殺菌のための加熱を行なうのが通常であるが、通電加熱後の帯状すり身を円柱状に巻込むにあたっては、透水性フィルムに接していた側の面も内部へ巻込まれてしまう。そのため仮に透水性フィルム中で雑菌が繁殖してその雑菌が帯状すり身の表面に付着していれば、その雑菌は巻込み後の円柱状食品の内部へ入り込んでしまうことになる。もちろん巻込み後においては、包装後に再度蒸し機等によって殺菌のための外部からの加熱を行なうのが通常であるが、円柱状食品の内部に入り込んでいる雑菌は、外部からの加熱によっては充分に殺菌することが困難な場合が多い。ここで、殺菌のための外部からの加熱の温度を高くするかまたは長時間加熱とすれば、内部まで充分に殺菌することは可能ではあるが、得るべき練製品の品質や食感を損なってしまうことを避けるため、むやみに高温、長時間の加熱を行なうことはできず、そのため内部に雑菌が残ってしまう不安を充分に解消することはできなかったのである。
【0013】
もちろん現実には、前述のように加熱殺菌後も内部に雑菌が残ることは極めて稀ではあるが、湿潤された布等の透水性フィルムを使う場合には、その透水性フィルムに雑菌が繁殖しやすく、その雑菌が製品に付着しやすいという印象は拭い去ることができず、これが前述のような連続通電加熱装置の普及に対する阻害要因となっていたのである。
【0014】
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、通電加熱方式を適用して薄い帯状のすり身(混練食品)を連続的に加熱するにあたり、湿潤された透水性フィルムを使用しながらも、通電加熱後の帯状のすり身に雑菌が付着、残留した状態とならないようにすることを基本的な目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前述のような課題を解決するためには、雑菌の繁殖箇所となりやすい湿潤させた透水性フィルムを用いなければ良いと考えられるが、図3、図4に示されるような従来の連続通電加熱装置において単純に透水性フィルム13を省き、帯状のすり身21を直接ローラ状電極5A〜5Kに接触させて、その電極列上を走行させようとした場合、供給装置15によるすり身の連続供給が困難となるばかりでなく、ローラ状電極5A〜5Kの相互間の間隙部分で帯状すり身が垂れ下がってしまって円滑な走行が困難となってしまう。したがって図3、図4に示される従来の装置から単純に透水性フィルム13を省くことは困難である。
【0016】
一方、図3、図4に示される連続通電加熱装置においても、ある程度通電加熱が進んで帯状すり身の温度が40℃以上、望ましくは60℃程度以上に至れば、すり身を隣り合うローラ状電極相互間の間隙から垂れ下がらない程度まで固化させることができる。そこでこの発明では、通電加熱開始の初期においては従来と同様に湿潤された透水性フィルムを用いてすり身を透水性フィルム上で通電加熱させ、ある程度すり身が固化した後期においては、湿潤された透水性フィルムを用いずにローラ状電極によって直接帯状のすり身を走行させつつ通電加熱を行なってすり身に対する加熱殺菌が行なわれるようにし、これにより通電加熱上りの状態ですり身に雑菌が残らないようにした。
【0017】
具体的には、請求項1の発明の帯状練製品の製造方法は、多数の細長い電極を、間隔を置いて相互に平行となるように水平に配列して前段側電極列を構成するとともに、多数のローラ状の電極を間隔を置いて相互に平行となるように水平に配列して後段側電極列を構成し、かつ前段側電極列の後端の電極と後段側電極列の電極とを間隔を置いて平行に配置しておき、湿潤された透水性フィルムを前段側電極列の各電極の上面に接するように電極の配列方向に沿って連続的に走行させるとともに、後段側電極列の各電極を軸中心に回転させ、前記透水性フィルムの走行方向後方側の位置において透水性フィルム上に混練食品を帯状に連続的に供給して、透水性フィルムの走行とともに帯状の混練食品を連続的に走行させ、かつその走行中において前段側電極列の隣り合う電極間に電圧を印加することにより透水性フィルムを介して帯状の混練食品に電流を流してその帯状の混練食品を通電加熱し、続いて透水性フィルム上における前段側電極列の後端の位置から後端側電極列のローラ状電極上に帯状の混練食品を載り移らせて、後段側電極列の各ローラ状電極の回転とともにその後段側電極列上において帯状の混練食品を連続的に走行させ、かつその走行中において後段側電極列の隣り合うローラ状電極間に電圧を印加することにより帯状の混練食品に電流を流してその帯状の混練食品を通電加熱することを特徴とするものである。
【0018】
また請求項2の発明の帯状練製品の製造方法は、請求項1に記載の方法において、前段側電極列の透水性フィルム上で帯状の混練食品を通電加熱するにあたっては、帯状の混練食品を40℃以上の温度に加熱し、後段側電極列のローラ状電極上で帯状の混練食品を通電加熱するにあたっては、帯状の混練食品を75℃以上の温度に加熱することを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明の方法を実施するための装置の一例の概要を示す。なお図1において図3、図4に示される要素と同一の要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0020】
図1において、入口側上面案内ローラ1と出口側上面案内ローラ3との間には、複数(図示の例では合計22本)のローラ状電極5A〜5Vが同一水平面内で相互に平行となるように所定間隔を置いて配列されている。これらのローラ状電極5A〜5Vおよび入口側上面案内ローラ1、出口側上面案内ローラ3は、図示しないモータ等の回転駆動手段によって同方向へ同じ周速で一斉に回転せしめられるようになっている。さらに入口側上面案内ローラ1の下方には、入口側下面案内ローラ9が配設されており、また中間のローラ状電極(例えば電極5I,5J)の下方には中間下面案内ローラ10が配設されている。そして入口側上面案内ローラ1、その入口側上面案内ローラ1に近い11本のローラ状電極5A〜5K、中間下面案内ローラ10、入口側下面案内ローラ9の全体には、既に述べたような無端環状(帯状)の木綿の布などからなる透水性フィルム13が巻掛けられており、かつこの透水性フィルム13に対しては、スプレー装置や滴下装置などの湿潤手段19が対設されている。
【0021】
ここでローラ状電極5A〜5Vのうち、最も入口側上面案内ローラ1に近いローラ状電極5Aおよび最も出口側上面案内ローラ3に近いローラ状電極5Vはそれぞれ電気的に接地されている。また入口側上面案内ローラ1から2本目〜11本目までのローラ状電極5B〜5Kは、それぞれ隣り合う電極間で電圧が印加されるように、第1電源装置17Aに接続されている。すなわちこれらのローラ状電極5B〜5Kは、交互に第1電源装置17Aの出力端子17Aa,17Abに接続されている。ここで、第1電源装置17Aに接続されたローラ状電極5B〜5Kの全体を、前段側電極列23と称することとする。一方、入口側上面案内ローラ1から12本目〜21本目のローラ状電極5L〜5Uも、それぞれ隣り合う電極間で電圧が印加されるように、第2電源装置17Bに接続されている。すなわちこれらのローラ状電極5L〜5Uは、交互に第2電源装置17Bの出力端子17Ba,17Bbに接続されている。これらのローラ状電極5L〜5Uの全体を、後段側電極列27と称することとする。
【0022】
図1に示される装置を用いてこの発明の方法を実施するにあたっては、湿潤手段19によって透水性フィルム13を水や塩水により湿潤させながら、入口側上面案内ローラ1、各ローラ状電極5A〜5V、出口側上面案内ローラ3を同方向へ同じ周速で回転させる。これによって透水性フィルム13は入口側のローラ状電極5Aおよび前段側電極列23の各ローラ状電極5B〜5Kに接しながら連続的に巡回走行することになる。そして供給装置15によって透水性フィルム13上に混練食品、例えば魚肉すり身21を帯状に5mm程度以下の厚み、望ましくは3mm程度以下の厚みで連続的に供給すれば、透水性フィルム13上に載置された帯状のすり身21は、透水性フィルム13の走行に伴なって連続的に走行し、その間、透水性フィルム13を介して前段側電極列23の各ローラ状電極5B〜5Kに対し間接的に順次接することになる。
【0023】
ここで、前段側電極列23においては、第1電源装置17Aによって各ローラ状電極5B〜5Kの隣り合うものの相互間に電圧が印加されて、透水性フィルム13を介して帯状のすり身21に電流が流れ、通電加熱がなされる。すなわち帯状のすり身21は、透水性フィルム13に載置された状態で連続的に走行しつつ、ローラ状電極5Bに差し掛かってからローラ状電極5Kを通過するまでの間(すなわち前段側電極列23を通過する間)、透水性フィルム13を介してすり身21に対する通電加熱がなされる。この間、すり身21の温度は次第に上昇し、前段側電極列23の出口付近(ローラ状電極5Kの付近)では40℃以上、望ましくは60℃以上の高温に達する。ローラ状電極5Kより先の各ローラ状電極5J〜5Vには透水性フィルム13が巻き掛けられていないが、上述のように40℃以上、望ましくは60℃程度以上に達した状態ではすり身21は電極間で垂れ下がらない程度まで固化しているから、前段側電極列23の終端のローラ状電極5Kの位置で透水性フィルム13上から後端側電極列27の最初のローラ状電極5L上へ帯状のすり身21を円滑に乗り移らせることができ、さらに帯状すり身21は、各ローラ状電極5K〜5Vの相互間の間隙で垂れ下がることなく、順次これらのローラ状電極5K〜5Vの上面に直接接しながら連続走行させることができる。
【0024】
ここで、後端側電極列27においては、第2電源装置17Bによって各ローラ状電極5L〜5Uの隣り合うものの相互間に電圧が印加されて、そのローラ状電極5L〜5Uに接する帯状のすり身21に直接的に電流が流れ、通電加熱がなされる。すなわち帯状のすり身21は、ローラ状電極5Lに差し掛ってからローラ状電極5Vを通過するまでの間、透水性フィルム13を介さずに直接通電加熱がなされる。このような後段側電極列27による通電加熱では、帯状のすり身の温度はさらに上昇して、75℃以上の温度、すなわち雑菌が充分に殺菌される程度の温度まで加熱され、その後最終的にローラ状電極5V、出口側上面案内ローラ3を経て系外へ排出されることになる。
【0025】
以上のように帯状のすり身21は、前段側電極列23上においては透水性フィルム13上で通電加熱され、そのすり身21がある程度固化した後に後段側電極列27に載り移ってその後段側電極列27の各ローラ状電極5L〜5Uに直接接しながら通電加熱されることになる。ここで、後段側電極列27上で帯状すり身21が通電加熱される際にはもはやその帯状すり身21は透水性フィルム13に接触しないから、仮に前段側電極列23における湿潤された透水性フィルム13内において雑菌が繁殖していて、その雑菌が帯状すり身21に付着したとしても、後段側電極列27上で通電加熱される際にすり身21自体に付着している雑菌を充分に殺菌することができるから、最終的に通電加熱が終了した段階の帯状すり身21には雑菌が残らないことになる。
【0026】
以上のところにおいて、透水性フィルム13を介しての前段側電極列23による通電加熱は、要は前段側電極列23から後段側電極列27に載り移る際および後段側電極列27内において隣り合うローラ状電極の相互間の間隙から帯状すり身21が垂れ下がってローラ状電極に直接接しながらの帯状すり身21の連続走行が困難となってしまわない程度にすり身が固化されるまで行なえば良い。そのためには前述のように通常はすり身21の平均温度が40℃以上、望ましくは60℃以上となるまで前段側電極列23により通電加熱を行えば良い。もちろん前段側電極列23において加熱殺菌が行なわれる程度の高温、すなわち75℃程度以上の高温にまで加熱してしまうことも許容される。
【0027】
一方後段側電極列27による通電加熱は、要は帯状すり身21に対して充分な加熱殺菌が行なわれる程度まで加熱すれば良く、既に述べたように75℃程度以上の温度になるまで通電加熱を行なえば良い。なお前段側電極列23において既に75℃程度以上の高温に加熱している場合には、後段側電極列27においてはその高温を保持する程度の通電加熱を行なえば良い。
【0028】
なお図1の例においては、1台の連続通電加熱装置を用いて、その1台の装置内における前段側のローラ状電極に透水性フィルム13を巻掛けて、前段側電極列23を構成し、かつ後段側のローラ状電極には透水性フィルム13を巻掛けずに後段側電極列27を構成しているが、場合によっては2台以上の連続通電加熱装置を用いても良い。その場合の例を図2に示す。
【0029】
図2において、第1段目の連続通電加熱装置30は図3、図4に示した従来の連続通電加熱装置とほぼ同様に構成されており、第2段目の連続通電加熱装置32は、図3、図4に示した従来の連続通電加熱装置から透水性フィルム13を省いた構成とされている。なお第1段目の連続通電加熱装置30の下流側(左側)端部が第2段目の連続通電加熱装置32の上流側(右側)端部の上方に位置している。そして魚肉すり身21を帯状に供給するための供給装置15は、第1段目の連続通電加熱装置30の右端近傍の上方に設けられている。また第1段目の連続通電加熱装置30におけるローラ状電極5A〜5Mのうち、ローラ状電極5B〜5Lは隣り合うものの相互間で電圧が加えられるように第1電源装置17Aに接続されており、前端および後端のローラ状電極5A,5Mは接地されている。一方第2段目の連続通電加熱装置32におけるローラ状電極5A´〜5M´のうち、ローラ状電極5B´〜5L´は隣り合うものの相互間で電圧が加えられるように第2電源装置17Bに接続されており、前端および後端のローラ状電極5A´,5M´は接地されている。このような構成においては、第1段目の連続通電加熱装置30におけるローラ状電極5B〜5Lが図1の実施例における前段側電極列23に相当し、第2段目の連続通電加熱装置32におけるローラ状電極5B´〜5L´が図1の実施例における後段側電極列27に相当する。
【0030】
図2に示されるような構成においては、すり身が第1段目の連続通電加熱装置30における透水性フィルム13上に帯状に供給されて、その透水性フィルム13とともに連続走行するすり身21は、先ず第1段目の通電加熱装置30内のローラ状電極5B〜5L(前段側電極列23)の位置において通電加熱されて、40℃以上、望ましくは60℃以上の温度となり、ローラ状電極間で垂れ下がらない程度に固化される。さらに帯状すり身21は第1段目の連続通電加熱装置30の左端から、第2段目の連続通電加熱装置32のローラ状電極5A´上に移し替えられる。そして第2段目の連続通電加熱装置32内で各ローラ状電極5B´〜5L´の上面に直接接しながら連続走行し、その間通電加熱がなされて、75℃以上の高温で加熱殺菌が行なわれる。
【0031】
なお以上の各実施例では、後段側電極列27の電極のみならず前段側電極列23の電極としてもローラ状のものを用いているが、前段側電極列23においては、透水性フィルム13の巡回走行のための駆動力をローラ状電極から与えない場合、すなわちローラ状電極を回転駆動させない場合には、ローラ状電極に代えて、長板状の電極を用い、その長板状電極を固定しておいても良い。
【0032】
さらに、前述の各実施例では、前段側電極列23に対する給電に第1電源装置17Aを用い、後段側電極列27に対する給電に第2電源装置17Bを用いているが、前段側電極列23に対する給電電圧と後段側電極列27に対する給電電圧とを同じにする場合には、第1電源装置17Aと第2電源装置17Bとして共通のものを用いても良い。また、共通の電源装置を用いた場合でも、出力側に中間タップを有する電源装置を用いれば、前段側電極列23に対する給電電圧と後段側電極列27に対する給電電圧を異ならしめることができる。
【0033】
ここで、前段側電極列23に対する給電電圧と後段側電極列27に対する給電電圧とを異ならしめる場合、前段側電極列による通電加熱では相対的に高い電圧で加熱を行ない、後段側電極列27による通電加熱においては相対的に低い電圧で加熱を行なうことが望ましい。このように前段側電極列23による通電加熱における電圧を相対的に高電圧、後段側電極列27による通電加熱における電圧を相対的に低電圧とすれば、前段の通電加熱では、より急速にすり身を加熱して短時間で40℃以上、望ましくは60℃以上の温度に到達させ、これにより加熱時間の短時間化による設備長さの短縮と生産性の向上を図ることができ、一方後段の通電加熱では相対的に低電圧で通電加熱を行なうことにより、すり身内部での温度のばらつきを最小限に抑えることができる。したがって75℃程度以上の高温まで到達させるにあたって、設備長さの長大化を招いたり生産性の向上を阻害したりすることなく、最終的なすり身内部の温度ばらつきを最小限に抑えることができる。
【0034】
なおこの発明の方法は、蟹風蒲鉾用の帯状の中間製品を製造する場合に限らず、要は薄い帯状の練製品を製造する場合には全て適用可能である。また使用する食品材料としても、魚肉すり身のみならず、要は粘性を有する混練食品であって加熱によりある程度以上固化し得るものであれば全て適用可能である。
【0035】
【実施例】
図1に示す連続通電加熱装置を用いて次のようにこの発明を実施した。すり身としては魚肉を主成分とし、水分含有量が85%で、初期温度が10℃のものを用いた。一方透水性フィルムとしては木綿の布からなるものを用い、その透水性フィルム13を6m/minの速度で連続走行させつつ、その上に厚み1.5mm、幅150mmで前述のすり身を連続供給しながら、前段側電極列23では周波数20kHzの高周波を用いて電極間電圧200Vで20秒間通電加熱し、続いて後段側電極列27において20kHzの高周波を用いて電極間電圧150Vで10秒間通電加熱した。
【0036】
ここで、前段側電極列23による通電加熱では、すり身の平均温度は65℃に到達した。続いて後段側電極列27による通電加熱では、最終的に平均85℃に達した。
【0037】
このような実施例においては、前段側電極列23の出口付近では、帯状すり身は電極間で垂れ下がらない程度に固化しており、そのため前段側電極列23の透水性フィルム13上から後段側電極列27上に帯状すり身を円滑に載り移らせることができ、また後段側電極列27内において帯状すり身を円滑に連続走行させることができた。また、得られた帯状練製品における下面側の雑菌存在状況を調べたところ、実質的に無視できる程度の菌数であることが確認された。
【0038】
以上のようにこの発明の実施例によれば、加熱上りの練製品に残る雑菌数を著しく少なくすることができた。
【0039】
【発明の効果】
この発明の帯状練製品の製造方法によれば、加熱上りの状態で、湿潤された透水性フィルム中で繁殖した雑菌が製品に付着残留することを有効に防止することができ、したがって食品衛生上極めて安全な練製品を得ることができる。また特に蟹風蒲鉾を製造するためにこの発明の製造方法によって得られた帯状練製品を円柱状に巻込んだ場合でも、内部に雑菌が入り込んでしまうことを有効に防止できるため、裁断、包装後に改めて殺菌のための外部からの加熱を行なった場合でも、内部に雑菌が残ってしまうような事態の発生を有効に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施している状況の一例を示す略解的な側面図である。
【図2】この発明の方法を実施している状況の他の例を示す略解的な側面図である。
【図3】従来の通電加熱による帯状練製品の製造方法を実施している状況を示す略解的な側面図である。
【図4】従来の通電加熱による帯状練製品の製造方法を実施している状況を示す略解的な平面図である。
【符号の説明】
5A〜5V,5A´〜5M´ ローラ状電極
13 透水性フィルム
15 供給装置
17 電源装置
17A 第1電源装置
17B 第2電源装置
19 湿潤手段
21 すり身
23 前段側電極列
27 後段側電極列
Claims (2)
- 多数の細長い電極を、間隔を置いて相互に平行となるように水平に配列して前段側電極列を構成するとともに、多数のローラ状の電極を間隔を置いて相互に平行となるように水平に配列して後段側電極列を構成し、かつ前段側電極列の後端の電極と後段側電極列の電極とを間隔を置いて平行に配置しておき、湿潤された透水性フィルムを前段側電極列の各電極の上面に接するように電極の配列方向に沿って連続的に走行させるとともに、後段側電極列の各電極を軸中心に回転させ、前記透水性フィルムの走行方向後方側の位置において透水性フィルム上に混練食品を帯状に連続的に供給して、透水性フィルムの走行とともに帯状の混練食品を連続的に走行させ、かつその走行中において前段側電極列の隣り合う電極間に電圧を印加することにより透水性フィルムを介して帯状の混練食品に電流を流してその帯状の混練食品を通電加熱し、続いて透水性フィルム上における前段側電極列の後端の位置から後端側電極列のローラ状電極上に帯状の混練食品を載り移らせて、後段側電極列の各ローラ状電極の回転とともにその後段側電極列上において帯状の混練食品を連続的に走行させ、かつその走行中において後段側電極列の隣り合うローラ状電極間に電圧を印加することにより帯状の混練食品に電流を流してその帯状の混練食品を通電加熱することを特徴とする、帯状練製品の製造方法。
- 請求項1に記載の方法において、
前段側電極列の透水性フィルム上で帯状の混練食品を通電加熱するにあたっては、帯状の混練食品を40℃以上の温度に加熱し、後段側電極列のローラ状電極上で帯状の混練食品を通電加熱するにあたっては、帯状の混練食品を75℃以上の温度に加熱することを特徴とする、帯状練製品の製造方法。
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