JP3852770B2 - 軽量気泡コンクリート二次製品の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨材、セメント、補強繊維、顔料のほかに微粒気泡を含む軽量気泡コンクリート二次製品の成形方法に関する。
【0002】
【従来技術】
一般に、コンクリート製の平板や擬石などの軽量な二次製品を作るためには、骨材を軽くする方法と内部に気泡を閉じ込める方法と両者を併用する方法とが知られている。
【0003】
ALC(Auto Claved Light Concrete)は、高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートである。ALCの原料は、珪石、セメント、生石灰が主で、それに発泡性のアルミ粉末と安定剤及び水が加えられる。
それらを混合して鉄筋がセットされた型枠に注入し、半硬化の段階でピアノ線で切断し、オートクレーブと呼ばれる高温高圧蒸気養生釜の中で養生して作られる。そのため、普通のコンクリート中の砂利や砂が、セメントペーストの増量材であるのと異なり、ALCは原料が直接結合し、オートクレーブ養生によって安定した物質になる。なお、従来の気泡コンクリートの中には、常圧で40〜50℃にして蒸気養生することによって得られるものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の気泡コンクリートから二次製品を成形するときは、型に流し込んだ後、生コンクリートを型の隅々に均一に行き渡るようにするため、型を縦方向に振動していた。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−26853号公報(全文)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、常温よりも高い温度に加熱して蒸気養生するためには加熱装置やボイラーなどの大型の装置や大規模な設備を必要とし、このような装置や設備を持たない企業には気泡コンクリートから二次製品を成形することはほとんど不可能であった。
【0007】
また、成形時に型を縦方向に振動させると、生コンクリートは型の隅々まで供給されるが、その反面、気泡同士がくっついてしまったり、気泡が上下に押しやられるため、脱型すると成形体の型との接面部に気泡による窪みが形成され、表面にボツボツとした凹凸が出てしまい見苦しい。したがって、型に添った成形ができないので、マンションのベランダやバルコニーの床や庭に敷き詰める擬石平板など、擬石としての意匠性を重視するような成形体を作るときは、窪みを隠すために、塗料で表面に塗装せざるを得なかった。
【0008】
本発明は上記問題点を解消し、常温常圧でも軽量気泡コンクリートの二次製品を成形することができる成形方法を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係る軽量気泡コンクリートの二次製品の成形方法は 、骨材とセメントと増粘剤と減水剤と補強繊維と顔料と水とを混練りし、微粒気泡を混入した生コンクリートを型に流し込んだ後、型に縦方向の振動を加え、さらに横方向の振動を加えて生コンクリートの型との接面部にある微粒気泡を排除し、その後常温常圧下で養生することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1(a)(b)は本発明に係る軽量気泡コンクリートの二次製品の斜視図及び断面図で、擬石平板を示すもので、上記擬石平板1の成形方法を図2に示すフローチャート図によって説明すると次のとおりである。
【0011】
まず、骨材とセメントと増粘剤と減水剤と補強繊維と顔料に水を混ぜて混練りする。
【0012】
骨材は砂利、砂、軽石、大島火山礫などの天然骨材でも、メサライト、アサノライトなどの人工骨材でもよい。不要なコンクリートブロックやインターロッキングブロック、コンクリート塊などを砕いた再生骨材であってもよい。全体を軽量化するのであれば、軽量の骨材が好ましい。
【0013】
骨材とセメントと水との割合は通常のとおり、容積比7:1:1.5でよい。
【0014】
増粘剤を入れる理由は、セメント、水、骨材を混練りした後に気泡を混入するが、この工程で気泡は非常に軽いため、分離してしまう。また、骨材の単位容積質量に対しセメントの単位容積質量が重く分離を起しやすいからである。
【0015】
さらに、また、後述の型に微粒気泡生コンクリートを流し込む際に必要なスランプを確保しようとすると、水セメント比を大きくしなければならないが、水が多いと強度の値が小さくなってしまう。少ない水で流動性を出すため、減水剤(又は高性能AE減水剤)を入れる。
【0016】
補強繊維は、成形体の曲げ強度、耐衝撃性を上げるためのもので、高強度・高弾性の高分子繊維(ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、ビニロン繊維、炭素繊維等)を入れればよい。
【0017】
顔料は、複数の種類の顔料を適宜配合して、模倣する石の色と同様な色になるように調整すればよい。
【0018】
次に、混練りした生コンクリートにつき単位容積質量試験を行ない、適正な測定値に調整した後、上記生コンクリート中に微粒気泡を投入する。微粒気泡は気泡剤を使用した気泡装置により生成すればよい。微粒気泡の投入により全体の単位容積質量が変わってくるから、再び単位容積質量試験をして単位容積質量を適正に調整する。
【0019】
なお、微粒気泡としては、1m3あたり気泡液10〜100リットル程度の微細な気泡を使用する。
【0020】
また、セルロース系増粘剤とポリプロピレン系補強繊維とポリカルボン酸エーテル系又は高縮合トリアジン系化合物の減水剤を使用した場合、その使用量としては、セメント重量比で、増粘剤は0.1〜0.4%、補強繊維は0.1〜5.0%、減水剤は0.5〜3.5%程度にすればよい。
【0021】
次に、図3(a)に示されるように、振動台2の上に型3を置く。型3はゴム製で、内面には模倣しようとする天然石の表面模様が型3取りされている。型3はゴム製に限定されるものではなく、鉄製の型等でもよいことはもちろんである。型3の内面には剥離剤を塗布しておく。
【0022】
型3の内部に微粒気泡5入り生コンクリート4を流し込む。
【0023】
その後、振動台2を作動させてまず型3に縦方向(上下方向)の振動を加える。これにより生コンクリート4は型3の隅々まで供給される。なお、縦方向の振動は、生コンクリート4を型3の隅々まで行き渡らせるものであるが、同時に内部の微粒気泡を抜いてしまう効果もある。したがって、縦方向の振動は最小限に抑えるのがよい。
【0024】
次に、振動台2によって型3に横方向の振動を加える。横方向の振動によって、微粒気泡5は上に抜けることがなく、また生コンクリートの型3との接面部の微粒気泡は潰されて接面部から排除されて内部に入り込み、代わって接面部には図4に示されるようにセメントペーストの薄い表層6ができる。なお、横方向の振動によっても生コンクリート4は型3全体に流れてなじむようになる。
【0025】
型3に対する横方向の振動の態様としては、図3(a)に示される水平振動のほか、同図(b)に示されるシーソー振動であってもよい。また、型3は振幅の両端でストッパに当たって止まるように動くようにしてもよく、あるいは速度が振幅の両端付近で漸減して止まるように動くようにしてもよい。
【0026】
型3を横方向に振動させた後、常温常圧下の自然状態で所定の時間だけ養生させ、生コンクリートが十分に硬化した後、擬石成形体を取り出せばよい。
【0027】
取り出された擬石平板1は、図1(a)(b)に示されるような天然石を模倣した成形体となり、骨材とセメントと補強繊維と顔料と微粒気泡とを含むものである。
【0028】
上述のようにして得られた微粒気泡コンクリートの物性としては、単位容積質量が500〜2000Kg/m3、圧縮強度は50〜200Kg/m2であった。
【0029】
また、上記成形体の表面の気泡の大きさは、実測値で0.1〜1.0mm、断面の気泡の大きさは0.1mm〜0.4mm程度であった。
【0030】
以上のように、上記成形体1には微粒気泡5が内部に混入されているので、全体の単位容積質量が小さくなる。したがって、製品の輸送コストが軽減するほか、成形体を敷設したり設置したりする場合の労力が小さくて済むから、作業者の作業効率が向上する。しかも、微粒気泡による保水機能があるので、打ち水効果によって輻射熱やヒートアイランド現象を緩和することができる。
【0031】
しかも、上記成形体1には顔料が含まれているので、成形後に塗装処理をする必要がない。
【0032】
また、上記成形方法によれば、常温常圧下で養生させ、蒸気養生をする必要もないので、大型3の装置も大規模な施設も必要ない。
【0033】
さらに、成形時には型3を横方向に振動させることによって、成形体1の表面は、気泡による窪みのない滑らかなものとなるから、型3に忠実な形状を有する成形体が得られるほか、予め生コンクリートの中に顔料を入れてあるので、成形後に塗装処理をする必要がない。したがって、低コストであっても意匠性の高い成形体が得られるから、屋上庭園、マンションバルコニーに設置された庭園のほか、ガーデニングや景観材として利用することができる。
【0034】
軽量骨材のみによる軽量化の場合、目標とする単位容積質量にするためには軽量骨材の種類を変えることによって行なわなければならないが、本発明法によれば、微粒気泡の混入度合いによって単位容積質量を調整することができるので、骨材の種類を限定する必要がない。
【0035】
同様に、単位容積質量と強度とは密接な関係があり、単位容積質量が小さいと強度も下がる。微粒気泡を入れることにより、目標とする強度を保ちつつ可能な限り単位容積質量を小さくするように微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)(b)はそれぞれ本発明に係る軽量気泡コンクリートの二次製品の斜視図及び断面図
【図2】 上記二次製品の成形方法を示すフローチャート図
【図3】 型3内の二次製品の断面の状態を示す断面図
【図4】 (a)(b)はそれぞれ型に対する横振動の態様を示す断面図
【符号の説明】
3 型
4 生コンクリート
5 微粒気泡
Claims (1)
- 骨材とセメントと増粘剤と減水剤と補強繊維と顔料と水とを混練りし、微粒気泡を混入した生コンクリートを型に流し込んだ後、型に縦方向の振動を加え、さらに横方向の振動を加えて生コンクリートの型との接面部にある微粒気泡を排除し、その後常温常圧下で養生することを特徴とする軽量気泡コンクリート二次製品の成形方法。
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JP2002334199A JP3852770B2 (ja) | 2002-11-18 | 2002-11-18 | 軽量気泡コンクリート二次製品の成形方法 |
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- 2002-11-18 JP JP2002334199A patent/JP3852770B2/ja not_active Expired - Fee Related
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