JP3847447B2 - 廃棄物処分場 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、廃棄物処分場、特に浸出水を迅速に排水処理するための構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、産業廃棄物,生活廃棄物を集積するための廃棄物処分場1は図11及び図12に示すように地上2を凹状に掘削,成形し、さらにコンクリート塀3を構築する等により形成している。
【0003】
その底部4には通常、2重シートから成る遮水シート5がほぼ全面に敷設され、この遮水シート5の上には浸出水集排水路6が複数設けられ、この浸出水集排水路6には複数本の分岐浸出水集排水路7が接続される。この分岐浸出水集排水路7のうち、外側に位置する排水路7の先端からはこの排水路7に連通するとともに傾斜面8に沿うガス抜き路9が延長する。
また、遮水シート5の下面側には複数の地下水集排水路10及びこの排水路10に接続された図外の分岐地下水集排水路が設けられる。
【0004】
この廃棄物処分場1の側部には、小形の浸出水貯留部11が設けられる。この浸出水貯留部11には浸出水ガイド管12を介して浸出水集排水路6からの浸出水が貯留された上で、図外のポンプを介して外部に排出され、浄化処理される。また、廃棄物処分場1の側部には、地下水貯留部13が設けられ、この地下水貯留部13には地下水ガイド路14を介して地下水集排水路10からの地下水が貯留された上で、図外のポンプを介して外部に排出され、処理される。
【0005】
上記浸出水集排水路6は図13,14に示すように外周に多数の孔を有する集排水管6aを凹部6bに設置し、その周りを砕石等のフィルター材6cで埋めて構成される。遮水シート5の上には砂,砂利等の保護材15が設けられる。
また、上記地下水集排水路10は外周に多数の孔を有する集排水管10aを凹部10bに設置し、その周りを砕石等のフィルター材10cで埋めて、蓋材10dを被せて構成される。
【0006】
以上の構成において、処分場1には廃棄物1mが収容されるが、その内部に雨水,あるいは廃棄物1mよりしみ出した液状成分による浸出水aが一定の水圧Pを有して滞留され、このような廃棄物よりしみ出したり、雨水が廃棄物を通過することにより汚染物質を含むことになった浸出水aは、底部4方向に移行するが、遮水シート5によりブロックされるので、底部4の地中に漏洩してしみ込むことはない。
この浸出水aは、フィルター材6cを経由して集排水管6aの複数の孔を介して集排水管6aの中に入り込み、集水された後、浸出水ガイド管12を介して浸出水貯留部11に排水して貯留され、その後図外のポンプで排出された後、浄化して処理される。集排水管6aには廃棄物より発生するガスも供給されるが、これは、ガス抜き路9を介して外部に放出される。
【0007】
底部4の地中の地下水bは、フィルター材10cを経由して集排水管10aの複数の孔を介して排水管10aの中に入り込み、集水された後、ガイド管14を介して地下水貯留部13に貯留され、その後図外のポンプで排出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来は浸出水集排水路6,地下水集排水路10等を、凹部6b,10b中で所定長さの排出管6a,10aを継ぎ合せ、これをフィルター材6c,10cで埋めて形成しているのでつぎの欠点を有している。
【0009】
すなわち、廃棄物の自己分解を促進させ、また、浸出水aを漏洩させないためには、浸出水aの速やかな排出と浸出水aを廃棄物層内に長期間貯留させないことが重要であるが、浸出水集排水路6,7による浸出水の集排水においては、浸出水ガイド管12が小径で、しかも浸出水貯留部11が小型であることから、その排水の能力が小さく、このため浸出水が長期間処分場内に滞留する結果、安全な貯留機能と迅速な浄化機能を得る上で、問題を有していた。
【0010】
廃棄物の管理型最終処分場には、廃棄物を適切に貯留する「安全な貯留機能」と、自然界の代謝機能を利用して廃棄物を安定化,無害化する「迅速な浄化機能」が必要である。
廃棄物の安全な貯留と早期安定を実現するためには、浸出水を埋め立て地内に貯留及び滞留させずに、浸出水の漏洩防止,浸出水質の悪化抑制,廃棄物の自然浄化作用の促進を図ることが重要になる。
しかし、従来の処分場では、予測される最大降水時における安全性や水処理設備の規模との関係などから、浸出水を埋め立て地内に一時貯留させる方法が一般的に行われており、処分場に要求される各機能への影響が懸念されていた。
【0011】
特に、浸出水が降水時に処分場内に大きな水圧Pを有して滞留されると、この水圧で遮水シートを破って漏れが生じて、安全な貯留機能が得られず、また、長期に浸出水が滞留されるので、迅速な浄化機能が得られなかった。
【0012】
この発明は、浸出水が処分場内に貯留及び滞留することを防止するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、処分場の底面に浸出水を収容する浸出水収容部が設けられ、浸出水収容部が凹状体と凹状体に被せられる蓋板とを備え、蓋板が通孔を備え、蓋板の上にフィルター層が設けられ、フィルター層及び通孔を経て浸出水収容部に収容された浸出水を処分場の外部に排水する排水手段が設けられ、さらに、フィルター層の上に廃棄された廃棄物の上に散水する散水手段が設けられたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1ないし図4は本発明による廃棄物処分場の一実施の形態を示す図であり、各図において、廃棄物処分場30は地表を掘削することにより、大量の廃棄物を収容することのできる凹状の処分場であり、逆台錐形状となっており、その内周面は傾斜して、段差部31が設けられ、その底面には浸出水収容部32が設けられる。廃棄物処分場30の周りはコンクリート塀30mで囲まれる。
【0015】
上記浸出水収容部32は、強度及び遮水性の高いコンクリート構造を基本として構成されるもので、図3,図4に示すように、底板32aの外周に立ち上がり板32bを設けて成る凹状体32cを有し、この凹状体32cに、通孔32dを有する蓋板32eを被せ、底板32aと蓋板32eとの間に補強板32fを立てて、重圧に十分耐え得るように構成される。
【0016】
浸出水収容部32における補強板32fの一端側に対応する開口32gは塞がれ、他端側の複数の開口32gは、図3に示す如く長手状の筒状の集水部32hに接続され、この集水部32hは浸出水ガイド管33を介して排水ホール34の下端側に連結されている。
【0017】
上記蓋板32eの上には、砂利とかグリ石等のフィルター層41が一定の厚みで堆積されており、また、浸出水収容部32よりもさらに下部には、従来の地下水集排水路10が設けられる。
【0018】
35は上記蓋板32eから地表近くまで垂直に立てられるガス抜き管であり、下端は蓋板32eを貫通している。
【0019】
上記排水ホール34は作業者が入って点検を行うための梯子38を有し、その中の底部には排出手段としてのポンプ34aが位置され、このポンプ34aで排水される浸出水はホース等の排出管34bを介して水処理設備36で処理された後に、排出、放流される。
【0020】
90はドーム状となった屋根であり、処分場30を十分に被う程度の広さを有し、支柱90aにより支持されて、雨水uが処分場内に入り込まないようにするもので、この屋根90の内側には散水管90bが縦,横に張られ、この散水管90bのノズル90cより適量の水が吹き出して、廃棄物40上に散水される。
【0021】
コンクリート塀30mの外側には、貯水槽90dが位置され、この貯水槽90d中には、上記水処理設備36とか雨水uとか地下水ポンプ90eからの地下水が収容され、この貯水槽90dの中の水はポンプ90fでバルブ90gを介して上記散水管90bに送り出されて、ノズル90cから散水される。なお、ゴム,合成ゴムより成る遮水シート5aは段差部31が形成された傾斜面に被着され、下端は浸出水収容部32の外周に接続されている。この遮水シート5aは底部は省略されることになるが、浸出水収容部32の下面を被うように設けてもよい。30xは雨水集排水溝である。
【0022】
このような構成において、廃棄物40は処理場30内に層状に堆積されるが、この過程でガス抜き管35が上方に向かって延長され、また、一定の厚みに堆積された所で覆土37が層状に被せられる。このような廃棄物40の堆積と覆土37の堆積の繰り返しにより廃棄物40は収容される。
【0023】
排水ホール34からの自然通気による空気の流れは、浸出水ガイド管33からガス抜き管35を経て上方に通気するので、このとき浸出水収容部32内のガスはガス抜き管35を経て外部に排気されることになる。
【0024】
本実施の形態では、バルブ90gを開いて、貯水槽90dの水をポンプ90fで散水管90bに送り出し、ノズル90cから噴出することにより、適量にコントロールされた水量(廃棄物40を洗い出して不純物を浸出水収容部32に落下させるのに必要な量)の水を廃棄物40に散水することができる。この散水された水は廃棄物40中で浸出水となる。この廃棄物40中の浸出水は、フィルター層41から通孔32dを経て、複数の補強板32f間の通路42に収容された後、開口32gから集水部32hを経て浸出水ガイド管33から排水ホール34の底部に一旦貯留され、ここからポンプ34aにより水処理設備36まで一挙に排水され、水処理設備36で浄化処理されて、放流される。
【0025】
このように、浸出水は、適量にコントロールされた散水によって得られるので、浸出水は廃棄物処分場30内に滞留することがなく、廃棄物40間をぬって一挙に浸出水収容部32内に降下していく。
【0026】
浸出水は、バルブ90gの開口量を調整することにより、適量に設定されているので、廃棄物40内に滞留することがなく、これにより水圧が発生しないので、浸出水の漏れを極力抑えることができる。しかも、浸出水が廃棄物40間をぬって急激に降下することに基づき浸出水による廃棄物の洗い出し効果が期待できる。
【0027】
すなわち次の効果が得られる。
a.散水量が調整されるので、浸出水量を極端に少なく設定できるため、浸出水漏洩のリスクが低減されるとともに、水処理設備の処理能力が低減される。
b.対象廃棄物ごとに最も効果的な散水量と薬剤を設定することで、水を媒体とした廃棄物の浄化作用を安定的に促進させる。また、将来の廃棄物の組成変化にもフレキシブルな対応が可能である。
c.処理水を散水に再利用する循環システムにより、処理水の系外への放流量を抑え、周辺環境への負荷を低減できる。
d.暴風雨等により、多量の雨水が埋め立て地内に侵入するような不測の事態が発生した場合でも、水処理施設が併設されているため安全である。
e.埋め立て中の覆蓋により、埋め立て作業が天候に左右されず、埋め立て作業に伴う粉塵等の周囲への飛散が防止されるとともに、景観性が向上する。
【0028】
実施の形態2.
図5に示すように、廃棄物処分場30の周りがコンクリート塀30mで囲まれるような場合には、排水ホール34の下部から排水手段としての傾斜トンネル51を壁部50の外部まで延長させて、水処理設備36に浸出水を導くようにしてもよい。
これによれば、ポンプ34aを不要にできる。なお、水処理設備36からの水はポンプ36fで貯水槽90dまで排出される。
【0029】
実施の形態3.
また、図6に示すように、廃棄物処分場30の大きさが、比較的小形の場合には、1個の通路42を有する浸出水収容部32を設けても良い。
【0030】
実施の形態4.
また、浸出水収容部32の内部には、図7,図8に示すように側部に孔70aを有する塩化ビニール等より成る樹脂管70を収容するようにしてもよい。
これによれば、上からの圧力に対して浸出水収容部32の耐久性が増すとともに、浸出水については樹脂管70内に収容されるので、収容力が低減することがない。この場合、補強板32f,蓋板32eは除去してもよい。
【0031】
実施の形態5.
なお、上記樹脂管70に代えて図9に示すように樹脂管の端部の切れ端等の不要となった中空体70mを、図10に示すように浸出水収容部32内にランダムな並びで投入して設置したものであっても、実施の形態4と同様に耐久性が大きい浸出水収容部32が得られる。この場合も、補強板32fは省略してもよい。
【0032】
なお、本発明においては散水の量は適量にコントロールされているので、処分場底部の浸出水の貯留機能は大きなものを用いる必要がなく、例えば、処分場底部の構造は従来の構造であってもよい。
【0033】
また、屋根90は固定式のものに限定されず、スライド式のものあるいはテントを張ってこれを蛇腹構造として、レールの上をスライドして開閉するようにしてもよい。
【0034】
【発明の効果】
請求項1によれば、処分場の底面に浸出水を収容する浸出水収容部が設けられ、浸出水収容部が凹状体と凹状体に被せられる蓋板とを備え、蓋板が通孔を備え、蓋板の上にフィルター層が設けられ、フィルター層及び通孔を経て浸出水収容部に収容された浸出水を処分場の外部に排水する排水手段が設けられ、さらに、フィルター層の上に廃棄された廃棄物の上に散水する散水手段が設けられたので、廃棄物処分場の上を屋根で被った状態で適量の水を廃棄物に散水して浸出水を得るようにしたので、浸出水が多量に処分場内に滞留せず、これにより浸出水による大きな水圧が発生しないので、浸出水の漏れを防止できて安全な貯留機能が得られ、しかも、浸出水が処分場の底部まで迅速に降下するので、廃棄物の洗い出し効果が期待でき、迅速な浄化機能が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施の形態を示す要部断面図である。
【図2】 この発明の一実施の形態を示す断面図である。
【図3】 この発明の一実施の形態を示す要部斜視図である。
【図4】 この発明の一実施の形態を示す要部斜視図である。
【図5】 この発明の他の実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】 この発明の他の実施の形態を示す断面図である。
【図7】 この発明の他の実施の形態を示す要部断面図である。
【図8】 この発明の他の実施の形態を示す要部斜視図である。
【図9】 この発明の他の実施の形態を示す要部斜視図である。
【図10】 この発明の他の実施の形態を示す要部斜視図である。
【図11】 従来の廃棄物処理場の一例を示す断面図である。
【図12】 従来の廃棄物処理場の一例を示す平面図である。
【図13】 従来の廃棄物処理場の一例を示す要部断面図である。
【図14】 従来の廃棄物処理場の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
30 廃棄物処分場、32 浸出水収容部、90 屋根、90a 支柱、90b 散水管、90c ノズル、90d 貯水槽、90e 地下水ポンプ、90f
ポンプ、90g バルブ。
Claims (1)
- 廃棄物を収容する廃棄物処分場において、処分場の底面に浸出水を収容する浸出水収容部が設けられ、浸出水収容部が凹状体と凹状体に被せられる蓋板とを備え、蓋板が通孔を備え、蓋板の上にフィルター層が設けられ、フィルター層及び通孔を経て浸出水収容部に収容された浸出水を処分場の外部に排水する排水手段が設けられ、さらに、フィルター層の上に廃棄された廃棄物の上に散水する散水手段が設けられたことを特徴とする廃棄物処分場。
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