JP3843152B2 - 4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンまたは4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法に関し、これらは農薬の活性成分あるいは農薬または医薬の製造用中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】
4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンは、無水トリフルオロ酢酸とエチルビニルエーテルを反応させて得られることがChem.Lett.1976,499. によって知られているが、この反応は10時間〜20時間と長時間を必要とし、かつ高価な無水トリフルオロ酢酸を必要とするため工業的には難点がある。この4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンをアミノ化して前記4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを製造する方法は、Chem.Ber.122(1989)1179. およびTetrahedron Letters (1989),30(45)6173 に記載されている。しかしながら、これらの方法を組み合わせて4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを製造しようとすると、4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを単離する必要があるため反応工程が複雑になり、工業的には不適切であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンあるいは4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンが農薬の活性成分あるいは農薬または医薬の製造用中間体として有用であるため、反応時間が短く簡便な反応工程により、高い収率でこれらの化合物を製造することが求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(i)一般式(I);CF3 COHal…(I)(式中、Halはハロゲン原子である)で表わされるハロゲン化物と一般式(II);
CH2 =CHOR…(II)(式中、Rはアルキル基である)で表わされる化合物とを、塩基の存在下で反応させることを特徴とする一般式(III);CF3 CO−CH=CH−OR…(III)(式中、Rは前述の通りである)で表わされる4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法であり、また、(ii)一般式(I);CF3 COHal…(I)(式中、Halはハロゲン原子である)で表わされるハロゲン化物と一般式(II);CH2 =CHOR…(II)(式中、Rはアルキル基である)で表わされる化合物とを、塩基の存在下で反応させ、一般式(III);CF3 CO−CH=CH−OR…(III)(式中、Rは前述の通りである)で表わされる4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを得、該化合物とアンモニアとを反応させることを特徴とする4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法である。
【0005】
前記一般式(I)中のHalで表わされるハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素またはヨウ素が挙げられるが、塩素が望ましい。
【0006】
前記一般式(II)および(III)中のRで表されるアルキル基としては、直鎖状または分枝状のアルキル基であり、中でも炭素数が2〜4のもの、例えばエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基などが挙げられ、中でもエチル基、プロピル基が望ましく、エチル基がより望ましい。
【0007】
本発明に係る4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンまた4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法を以下に詳述する。
〔第一段階〕4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造
【化1】
〔第二段階〕4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンのアミノ化
【化2】
【0008】
第一段階の反応における一般式(I)のハロゲン化物および一般式(II)の化合物の使用量は一般式(II)の化合物、塩基または溶媒の種類、反応条件などの相違により異なり、一概に規定できないが、通常一般式(II)の化合物1モルに対して1.0〜3.0モル、望ましくは1.05〜1.5モルの割合で一般式(I)のハロゲン化物が使用される。
【0009】
第一段階の反応は一般に塩基の存在下で行われる。具体的に使用される塩基としては、ピリジン、キノリン、ピコリンのような含窒素複素環化合物;トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンのような3級塩基などが挙げられるが、中でもピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンが望ましく、その中でもピリジンが特に望ましい。これら塩基は単独で、あるいは混用して使用することができる。第一段階の反応における塩基の使用量は一般式(II)の化合物または溶媒の種類、反応条件などの相違により異なり、一概に規定できないが、一般式(II)の化合物1モルに対して通常1.0〜3.0当量、望ましくは1.05〜1.5当量の割合の塩基が使用される。
【0010】
また前記第一段階の反応で溶媒を使用することが望ましいが、▲1▼一般式(II)の化合物を過剰量用いる場合、▲2▼ピリジン、トリエチルアミンのような溶媒を兼ねる塩基を過剰量用いる場合には、必ずしも溶媒を使用しなくてもよい。具体的に使用される溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルム、エチレンジクロライドのようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類などが挙げられるが、中でも芳香族炭化水素が望ましく、その中でもベンゼン、トルエンが特に望ましい。これら溶媒は単独で、あるいは混用して使用することができる。第一段階の反応における溶媒の使用量は、反応条件などの相違によって異なり一概に規定できないが、一般式(II)の化合物1重量部に対して通常1〜35重量部、望ましくは3〜16重量部の割合の溶媒が使用される。
【0011】
第一段階の反応の反応時間は、一般式(II)の化合物、溶媒または塩基の種類などの相違により異なるが、通常1〜12時間、望ましくは2〜6時間である。
【0012】
第一段階の反応の反応温度は、一般式(II)の化合物、溶媒または塩基の種類などの相違により異なり一概に規定できないが、反応温度は通常−20〜+50℃、望ましくは0〜+30℃である。
【0013】
第一段階の反応で発生するハロゲン化水素は反応溶液中で塩基と反応し、塩を形成する。従って第一段階の反応終了後の反応溶液中には、一般式(III)の化合物のほか塩が含まれる。本発明では、この反応溶液から反応生成物である一般式(III) の化合物を、単離してもよいが、単離せずにそのまま連続して第二段階のアミノ化反応に供し、最終生成物である式(IV)の化合物を得ることもできる。いずれの場合でも、最終生成物の収率アップのためには予め、この一般式(III) の化合物を含む溶液から副生する塩を除去する処理を行うのが望ましい。
【0014】
塩を除去する方法としては、▲1▼一般式(III) の化合物を含む反応溶液を濾過し、塩を濾別する方法、▲2▼一般式(III)の化合物を含む反応溶液に水を加え抽出により塩を除去する方法などが挙げられる。▲2▼の抽出時に水のほか、必要に応じて有機溶媒を併用すると一般式(III)の化合物を効率的に有機層側に回収することができる。抽出に併用できる有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテルのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのような酢酸エステル類などが挙げられるが、中でも芳香族炭化水素が望ましく、その中でもベンゼン、トルエンが特に望ましい。抽出により塩を除去した後の一般式(III)の化合物を含む反応溶液は適宜洗浄処理を行った後、水分を乾燥するのが望ましい。乾燥は無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸カルシウム等の乾燥剤を使用して行うのが望ましい。
【0015】
塩が除去された後の一般式 (III)の化合物を含む反応溶液から他の液体成分(溶媒など)を留去すると、一般式 (III)の化合物を単離することができる。
【0016】
なお、第一段階の反応における種々の条件、すなわち一般式(I)ハロゲン化物および一般式(II)の化合物の使用量、塩基の使用の有無およびその使用量、溶媒の使用の有無およびその使用量、反応温度ならびに反応時間各々の設定に際しては、各々の条件毎に示された通常の範囲の数値と望ましい範囲の数値から適宜相互に選択し、組み合わせることができる。
【0017】
第二段階のアミノ化反応は、種々の方法が考えられるが、一般式(III)の化合物を含む反応溶液にアンモニアガスを吹き込んで行うのが望ましい。アンモニアガスの使用量は反応条件などの相違によって異なり一概に規定できないが、一般式(III)の化合物1モルに対して通常1.0〜10モル、望ましくは1.0〜5.0モルの割合のアンモニアガスが使用される。
【0018】
また、前記アミノ化反応では溶媒を使用することが望ましい。その溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのような酢酸エステル類などが挙げられるが、中でも芳香族炭化水素が望ましく、その中でもベンゼン、トルエンが特に望ましい。これら溶媒は単独で、あるいは混用して使用することができる。アミノ化反応における溶媒の使用量は反応条件などの相違によって異なり一概に規定できないが、一般式(III)の化合物1重量部に対して通常1〜35重量部、望ましくは3〜16重量部の割合の溶媒が使用される。なお、第一段階の反応で上記溶媒を既に所定量使用している場合には、前記アミノ化反応においても使用していることになり、新たに溶媒を使用する必要はない。第一段階の反応で溶媒を使用しない場合には、一般式(III)の化合物を含む反応溶液中に適宜上記溶媒を加えてもよい。
【0019】
前記アミノ化反応における反応温度および反応時間はアンモニアガスの使用量などによって異なるので一概に規定できないが、反応温度は通常−10〜+50℃望ましくは0〜30℃であり、反応時間は通常10分〜6時間望ましくは0.5〜2時間である。
【0020】
なお、第二段階のアミノ化反応における種々の条件、すなわち式(III)の化合物およびアンモニアガスの使用量、溶媒の使用の有無およびその使用量、反応温度ならびに反応時間各々の設定に際しては、各々の条件毎に示された通常の範囲の数値と望ましい範囲の数値から適宜相互に選択し、組み合わせることができる。
【0021】
目的物の式(IV)の4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンは、アミノ化反応の終了後、反応生成物について通常の溶媒留去、洗浄、乾燥などの後処理を行うことにより得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に本発明における実施形態のうちいくつかを例示する。
【0023】
(1)一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物とを、塩基の存在下で反応させる4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。
(2)一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物とを、塩基の存在下で反応させて得られる一般式(III);CF3 CO−CH=CH−OR…(III)(式中、Rは前述の通りである)で表わされる4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンとアンモニアとを反応させる4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。
(3)一般式(I)のハロゲン化物がトリフルオロアセチルクロライドである(1)または(2)の方法。
(4)一般式(III)の化合物を単離せずアンモニアと反応させる(2)または(3)の方法。
(5)反応に使用するアンモニアが、アンモニアガスである(2)または(3)の方法。
(6)一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物との反応に溶媒を使用する(1)、(2)または(3)の方法。
(7)一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物との反応において反応温度が、−20〜+50℃である(1)、(2)または(3)の方法。
(8)一般式(III)の化合物とアンモニアとの反応において反応温度が−10〜+50℃である(2)または(3)の方法。
(9)塩基の存在下、一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物との反応により副生する塩を、一般式(III)の化合物を含む反応溶液から除去する(2)または(3)の方法。
(10)塩を水で抽出し除去する(9)の方法。
(11)一般式(III)の化合物を含む反応溶液を濾過し、塩を濾別し除去する(9)の方法。
(12)一般式(I)のハロゲン化物と、一般式(II)の化合物とを塩基の存在下で反応させ、該反応により副生した塩を、有機溶媒を併用し水で抽出除去する(9)の方法。
(13)一般式(I)のハロゲン化物と、一般式(II)の化合物とを塩基の存在下で反応させ、該反応により副生した塩を水で抽出除去した反応溶液を得、この反応溶液にアンモニアガスを吹き込み、一般式(III)の化合物をアミノ化させる式(IV)の4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。
(14)一般式(I)のハロゲン化物と、一般式(II)の化合物とを塩基の存在下、溶媒中で反応させ、該反応により副生した塩を水で抽出除去した反応溶液を得、この反応溶液にアンモニアガスを吹き込み、一般式(III)の化合物をアミノ化させる式(IV)の4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。
(15)一般式(I)のハロゲン化物と、一般式(II)の化合物とを塩基の存在下で反応させ、該反応により副生した塩を水で抽出除去した反応溶液から溶媒を留去し、一般式(III)の化合物を単離した後、該化合物をアミノ化する式(IV)の4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。
(16)一般式(I)のハロゲン化物と、一般式(II)の化合物とを塩基の存在下で反応させ、該反応により副生した塩を、有機溶媒を併用して水で抽出除去する(13)、(14)または(15)の方法。
【0024】
本発明における実施形態としては、前記した第一段階の反応における種々の条件、第二段階のアミノ化反応における種々の条件を適宜組み合わせることが可能である。
【0025】
【実施例】
本発明をより詳しく述べるため、以下に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0026】
実施例1
(1)4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン─2─オンの合成
トルエン150mlに、エチルビニルエーテル20ml(0.21mol)とピリジン18.2g(0.23mol)とを溶解後,+2〜+5℃の温度になるように氷冷した。
この溶液にトリフルオロアセチルクロライド30.5g(0.23mol)を30分かけて吹き込んだ。+2〜+5℃の氷冷下で、さらに2時間半攪拌を続けた後、反応溶液にトルエン100mlと氷水100mlを加えて抽出を行った。
有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。本溶液に4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンが含まれていることを、ガスクロマトグラフィーにより確認した。
【0027】
(2)4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの合成
前記工程で得られたトルエン溶液から無水硫酸マグネシウムを濾別後、溶液を+2〜+5℃に氷冷した。+2〜+5℃の氷冷下、乾燥アンモニアガスを30分間吹き込んだ。吹き込み終了後、反応溶液を室温まで戻しつつ、さらに30分間攪拌した。
反応終了後、溶媒および生成したエタノールを減圧下に留去し、残さを真空蒸留することにより、65℃/2mmHgの沸点を示す目的物24.5g(収率84%)を得た。
【0028】
実施例2
(1)4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン─2─オンの合成
塩化メチレン150mlに、エチルビニルエーテル21ml(0.22mol)とピリジン26.1g(0.33mol)とを溶解した溶液に、トリフルオロアセチルクロライド43.8g(0.33mol)を室温で30分かけて吹き込んだ。さらに室温で2時間半攪拌を続けた後、反応溶液に塩化メチレン100mlと氷水100mlを加えて抽出を行った。
有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。本溶液に4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンが含まれていることを、ガスクロマトグラフィーにより確認した。
【0029】
(2)4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの合成
前記工程で得られた塩化メチレン溶液から無水硫酸マグネシウムを濾別後、溶液を+2〜+5℃に氷冷した。+2〜+5℃の氷冷下、乾燥アンモニアガスを30分間吹き込んだ。吹き込み終了後、反応溶液を室温まで戻しつつ、さらに30分間攪拌した。
反応終了後、溶媒および生成したエタノールを減圧下に留去し、残さを真空蒸留することにより、目的物21.4g(収率70%)を得た。
【0030】
実施例3
ピリジン26.1g(0.33mol)に代えてトリエチルアミン33.4g(0.33mol)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして目的物15.0g(収率49%)を得た。
【0031】
実施例4
ピリジン26.1g(0.33mol)に代えてN,N−ジメチルアニリン40.0g(0.33mol)を使用したこと以外は、実施例2と同様にして目的物19.3g(収率63%)を得た。
【0032】
実施例5
(1)4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン─2─オンの合成
二塩化エチレン150mlに、エチルビニルエーテル21ml(0.22mol)とピリジン26.1g(0.33mol)とを溶解し15〜20℃の温度になるように氷冷した。
この溶液にトリフルオロアセチルクロライド43.8g(0.33mol)を15〜20℃の温度で30分かけて吹き込んだ。吹き込み終了後、反応溶液を室温まで戻しつつ、さらに2時間半攪拌を続けた後、反応溶液に二塩化エチレン100mlと氷水100mlを加えて抽出を行った。
有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。本溶液に4−エトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンが含まれていることを、ガスクロマトグラフィーにより確認した。
【0033】
(2)4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの合成
前記工程で得られた二塩化エチレン溶液から無水硫酸マグネシウムを濾別後、溶液を+2〜+5℃に氷冷した。+2〜+5℃の氷冷下、乾燥アンモニアガスを30分間吹き込んだ。吹き込み終了後、反応溶液を室温まで戻しつつさらに30分間攪拌した。
反応終了後、溶媒および生成したエタノールを減圧下に留去し、残さを真空蒸留することにより、目的物22.0g(収率72%)を得た。
【0034】
実施例6
(1)4−ブトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン─2─オンの合成
トルエン150mlに、n−ブチルビニルエーテル28ml(0.22mol)とピリジン26.1g(0.33mol)とを溶解し10〜15℃の温度になるように氷冷した。
この溶液にトリフルオロアセチルクロライド43.8g(0.33mol)を15〜20℃の温度で30分かけて吹き込んだ。吹き込み終了後、反応溶液を室温まで戻しつつ、さらに2時間半攪拌を続けた後、反応溶液にトルエン100mlと氷水100mlを加えて抽出を行った。
有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。本溶液に4−ブトキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンが含まれていることを、ガスクロマトグラフィーにより確認した。
【0035】
(2)4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの合成
前記工程で得られたトルエン溶液から無水硫酸マグネシウムを濾別後、溶液を+2〜+5℃に氷冷した。+2〜+5℃の氷冷下、乾燥アンモニアガスを30分間吹き込んだ。吹き込み終了後、反応溶液を室温まで戻しつつさらに30分間攪拌した。
反応終了後、溶媒および生成したn−ブタノールを減圧下に留去し、残さを真空蒸留することにより、目的物18.7g(収率61%)を得た。
【0036】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、一般式(I)の化合物と一般式(II)の化合物とを、塩基の存在下で反応させることにより一般式(III)の化合物、4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを短時間のうちに、高収率で製造することができる。また、上記製法で得られる該化合物とアンモニアとを反応させることにより4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを簡便な反応工程により、高い収率で製造することができる。
Claims (8)
- 一般式(I);CF3 COHal…(I)(式中、Halはハロゲン原子である)で表わされるハロゲン化物と一般式(II);
CH2 =CHOR…(II)(式中、Rはアルキル基である)で表わされる化合物とを、塩基の存在下で反応させることを特徴とする一般式(III);CF3 CO−CH=CH−OR…(III)(式中、Rは前述の通りである)で表わされる4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。 - 一般式(I);CF3 COHal…(I)(式中、Halはハロゲン原子である)で表わされるハロゲン化物と一般式(II);
CH2 =CHOR…(II)(式中、Rはアルキル基である)で表わされる化合物とを、塩基の存在下で反応させ、一般式(III);CF3 CO−CH=CH−OR…(III)(式中、Rは前述の通りである)で表わされる4−アルコキシ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを得、該化合物とアンモニアとを反応させることを特徴とする4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンの製造方法。 - 一般式(I)のハロゲン化物がトリフルオロアセチルクロライドである請求項1または2に記載の方法。
- 一般式(III)の化合物を単離せずアンモニアと反応させることを特徴とする請求項2または3に記載の方法。
- 反応に使用するアンモニアが、アンモニアガスである請求項2、3または4に記載の方法。
- 一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物との反応に溶媒を使用する、請求項1、2、3、4または5に記載の方法。
- 一般式(I)のハロゲン化物と一般式(II)の化合物との反応において反応温度が、−20〜+50℃である請求項1、2、3、4または5に記載の方法。
- 一般式(III)の化合物とアンモニアとの反応において反応温度が−10〜+50℃である請求項2、3、4または5に記載の方法。
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-
1996
- 1996-08-07 JP JP22601796A patent/JP3843152B2/ja not_active Expired - Lifetime
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