JP3839235B2 - 車両用灯具 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、複数のＬＥＤ（発光ダイオード）からなる光源を備えてなる車両用灯具に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、多くの車両用灯具においては、光源として白熱バルブ（のフィラメント）が用いられているが、近年においては、消費電力の低減を図るため、あるいは灯具意匠に斬新性を持たせるため、複数のＬＥＤを光源として用いた車両用灯具も用いられるようになってきている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光源として単に複数のＬＥＤを用いただけでは、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができず、また所要の灯具配光性能を得ることが容易でない、という問題がある。
【０００４】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができるとともに所要の灯具配光性能を容易に得ることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、複数のＬＥＤの前方に所定のレンズ群を配置することにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【０００６】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、
上記光源の前方に、上記各ＬＥＤからの光を平行光にする複数のフレネルレンズが設けられており、
これら複数のフレネルレンズの前方に、複数の拡散レンズ素子からなる拡散レンズが設けられており、
この拡散レンズの前方に、前方側に凸面を有する平凸レンズからなる単一の集光レンズが設けられており、
上記光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズが１つの発光ユニットとして構成されるとともに、この発光ユニットが複数個配置されている、ことを特徴とするものである。
【０００７】
上記「車両用灯具」における光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズ以外の灯具構成部材の具体的構成については特に限定されるものではない。
上記「光源」は、複数のＬＥＤからなるものであれば、各ＬＥＤの発光色や配置等は特に限定されるものではない。
【０００８】
【発明の作用効果】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、複数のＬＥＤからなる光源を備えているが、この光源の前方には各ＬＥＤからの光を平行光にする複数のフレネルレンズが設けられており、その前方には複数の拡散レンズ素子からなる拡散レンズが設けられており、さらにその前方には単一の集光レンズが設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【０００９】
すなわち、各ＬＥＤからの光は、フレネルレンズの透過により一旦すべて平行光にされ、その後、拡散レンズの透過により拡散した後、集光レンズの透過により一度集光してから拡散し、これにより拡散光として灯具前方へ照射されるので、拡散レンズを構成する各拡散レンズ素子および集光レンズの形状を適宜調整することにより、灯具前方照射光の最大拡散角度や光度分布を狙い通りの値に容易に設定することができる。また、拡散レンズの拡散作用により、光源全体を広い発光面積で略均一に光って見えるようにすることができる。
【００１０】
したがって本願発明によれば、複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができるとともに所要の灯具配光性能を容易に得ることができる。
【００１１】
しかも、集光レンズと光源との間には拡散レンズと複数のフレネルレンズとが設けられているので、非点灯時に灯具を前方から観察したとき、集光レンズにより光源が拡大して見えてしまうのを防止することができる。
【００１２】
しかも、上記光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズは１つの発光ユニットとして構成されており、この発光ユニットが複数個配置されているので、灯具の光量を増大させることができるとともに斬新な灯具意匠を創出することができる。その際、上記発光ユニットを、略同一円周上に所定間隔をおいて複数個設けるようにすれば、灯具全体としての意匠上の統一感を持たせることができる。
【００１３】
この場合において、複数の発光ユニットの前方に、これら各発光ユニットの集光レンズの前方部分に開口部が形成されたドーム状パネルを設けるようにすれば、灯具意匠に斬新性を持たせることができる。
【００１４】
さらにこの場合において、上記ドーム状パネルの各開口部に、該開口部の外周形状を略維持したまま各集光レンズ近傍まで後方へ延びる筒状部を形成し、その内周面に鏡面反射処理を施しておくようにすれば、上記各発光ユニットから斜め方向に出射してその前方の筒状部の内周面に入射した光を該内周面で反射させて灯具側方照射光として利用することが可能となる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【００１６】
図１は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具１０を示す正面図であり、図２および３は、その側断面図および平断面図である。
【００１７】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具１０は、車両の右側前端部に設けられるフロントターンシグナルランプであって、灯具正面視において略正方形の輪郭形状を有するランプボディ１４と素通し状の透光カバー１６とで形成される灯室内に、４つの発光ユニット１２と、これら発光ユニット１２の前方側のドーム状パネル１８とが設けられてなっている。
【００１８】
上記各発光ユニット１２は、前後方向に延びる車両用灯具１０の光軸Ａｘと平行に延びる光軸Ａｘ１を有しており、光軸Ａｘを中心とする同一円周上に９０°間隔で十字に配置されている。そしてこれら各発光ユニット１２は、各々ランプボディ１４に固定されている。
図４は、上記各発光ユニット１２の構成を詳細に示す正面図であり、図５は、そのＶーＶ線断面図である。
【００１９】
これらの図に示すように、各発光ユニット１２は、光源２０と、この光源２０の前方に設けられたフレネルレンズユニット２２と、このフレネルレンズユニット２２の前方に設けられた拡散レンズ２４と、この拡散レンズ２４の前方に設けられた集光レンズ２６とを備えてなっている。
【００２０】
上記光源２０は、プリント基板３０に取り付けられた９個のＬＥＤ２８からなっている。これらＬＥＤ２８は、アンバ色ＬＥＤであって、光軸Ａｘ１を中心にして縦横３個ずつ正方形に配置されいる。上記フレネルレンズユニット２２は、９個のＬＥＤ２８の各々に対応する位置の後面にフレネルレンズ３２が形成されてなり、これら各フレネルレンズ３２により各ＬＥＤ２８からの光を光軸Ａｘ１と平行な平行光にするようになっている。上記拡散レンズ２４は、魚眼レンズ状に形成された複数の拡散レンズ素子２４ｓからなっている。上記集光レンズ２６は、前方側に凸面を有する平凸レンズからなっている。
【００２１】
上記フレネルレンズユニット２２、拡散レンズ２４および集光レンズ２６は、その周方向複数箇所に形成された外周部２２ａ、２４ａおよび２６ａにおいて、スペーサ３４を介してボルト３６およびナット３８によりプリント基板３０に固定されており、これにより１つの発光ユニット１２を構成するようになっている。その際、上記各スペーサ３４は、図５に２点鎖線で示すように、各ＬＥＤ２８からの光がフレネルレンズユニット２２に対して該ＬＥＤ２８の前方に位置するフレネルレンズ３２よりも多少広い範囲に入射するよう、その長さが設定されている。
【００２２】
上記発光ユニット１２は十字配置で４個設けられるが、これら発光ユニット１が光軸Ａｘに近い位置で互いに密接して配置され得るようにするため、各光源２０を構成する９個のＬＥＤ２８により形成される正方形は約１５°傾斜しており、また各プリント基板３０は、隣接するプリント基板３０との干渉を回避するため、その光軸寄りの端面が複雑な凹凸形状に形成されている。
【００２３】
図１〜３に示すように、上記ドーム状パネル１８は、前方側へ膨出するドーム部１８Ａと、その周囲に位置するスカート部１８Ｂとからなり、スカート部１８Ｂの外周縁部においてランプボディ１４に固定されている。ドーム部１８Ａにおける各光源２０の前方部分には、灯具正面視において集光レンズ２６よりもやや径の大きい円形の開口部１８ａが形成されており、これら各開口部１８ａには、該開口部１８ａの外周形状を略維持したまま後方へ集光レンズ２６近傍まで延びる筒状部１８ｂが形成されている。そして、ドーム部１８Ａおよびスカート部１８Ｂの表面には鏡面反射処理が施されている。また、各筒状部１８ｂの内周面にも鏡面反射処理が施されている。
上記各発光ユニット１２においては、次のようにして光照射が行われるようになっている。
【００２４】
すなわち、図５に実線で示すように、光源２０を構成する各ＬＥＤ２８からの光は、その前方に位置するフレネルレンズ３２の透過により一旦すべて平行光にされ、その後、拡散レンズ２４の透過により拡散した後、集光レンズ２６の透過により一度集光してから拡散する。そしてこれにより、光軸Ａｘ１を中心として上下および左右方向に所定角度で拡散する拡散照射光として該発光ユニット１２の前方へ照射される。
【００２５】
その際、図５に２点鎖線で示すように、各ＬＥＤ２８からその斜め前方に位置するフレネルレンズ３２へ入射した光は、光軸Ａｘ１に対して大きな角度で該発光ユニット１２の前方へ照射される。
車両用灯具１０としては、各発光ユニット１２から照射される光は、次のようにして行われる。
【００２６】
すなわち、図２に実線で示すとともに図３に２点鎖線で示すように、各発光ユニット１２において各ＬＥＤ２８の前方に位置するフレネルレンズ３２に入射した光により形成される前方照射光は、ドーム状パネル１８の各開口部１８ａをそのまま通過して前方へ照射される。
【００２７】
一方、図３に実線で示すように、各ＬＥＤ２８からその斜め前方に位置するフレネルレンズ３２へ入射した光は、光軸Ａｘ１に対して大きな角度で該発光ユニット１２の前方へ照射されるので、その大半がドーム部１８Ａの筒状部１８ｂへ入射する。この筒状部１８ｂの内周面には鏡面反射処理が施されているので、筒状部１８ｂへ入射した光は、該筒状部１８ｂの内周面で反射して光軸Ａｘに対して大きな角度をなすようにして前方へ照射される。
図６および７は、本実施形態に係る車両用灯具１０が点灯している状態および消灯している状態を示す正面図である。
【００２８】
図６に示すように、点灯時には、ドーム状パネル１８に光軸Ａｘを中心にして十字配置で形成された４つの開口部１８ａを介して、各発光ユニット１２が散点的に光って見える。その際、光源２０は９個のＬＥＤ２８で構成されているが、拡散レンズ２４の拡散作用により、光源２０全体が略均一に光って見える。なお、車両用灯具１０を斜め方向から観察したときには、ドーム状パネル１８の筒状部１８ｂで反射した光も見える。
【００２９】
図７に示すように、消灯時には、ドーム状パネル１８のドーム部１８Ａおよびスカート部１８Ｂがその外部光反射作用により白っぽく光って見え、十字配置で形成された４個の開口部１８ａの奥に位置する集光レンズ２６の表面がやや暗く見える。その際、各集光レンズ２６の表面は、ドーム状パネル１８のドーム部１８Ａと同様、ドーム状に形成されているので、外部光が反射して見えるドームの中に小さい透明のドームが十字配置で４個見えることとなり、これにより灯具として統一感のある意匠が得られる。さらに、ドーム状パネル１８の筒状部１８ｂの表面にも鏡面反射処理が施されているので、４個の集光レンズ２６とその周囲とのコントラストが強調された意匠となる。
【００３０】
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具１０は、複数のＬＥＤ２８からなる光源２０を備えているが、この光源２０の前方には各ＬＥＤ２８からの光を平行光にする複数のフレネルレンズ３２が設けられており、その前方には複数の拡散レンズ素子１４ａからなる拡散レンズ２４が設けられており、さらにその前方には集光レンズ２６が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【００３１】
すなわち、各ＬＥＤ２８からの光は、フレネルレンズ３２の透過により一旦すべて平行光にされ、その後、拡散レンズ２４の透過により拡散した後、集光レンズ２６の透過により一度集光してから拡散し、これにより拡散光として灯具前方へ照射されるので、拡散レンズ２４を構成する各拡散レンズ素子２４ｓおよび集光レンズ２６の形状を適宜調整することにより、灯具前方照射光の最大拡散角度や光度分布を狙い通りの値に容易に設定することができる。また、拡散レンズ２４の拡散作用により、光源２８全体を広い発光面積で略均一に光って見えるようにすることができる。
【００３２】
したがって本実施形態によれば、複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができるとともに所要の灯具配光性能を容易に得ることができる。
【００３３】
しかも、集光レンズ２６と光源２０との間に拡散レンズ２４と複数のフレネルレンズ３２とが設けられているので、非点灯時に灯具を前方から観察したとき、集光レンズ２６により光源２０が拡大して見えてしまうのを防止することができる。
【００３４】
また本実施形態においては、光源２０、フレネルレンズユニット２２、拡散レンズ２４および集光レンズ２６が１つの発光ユニット１２として構成されており、この発光ユニット１２が４個配置されているので、灯具の光量を増大させることができるとともに斬新な灯具意匠を創出することができる。その際、これら発光ユニット１２は、光軸Ａｘを中心にして同一円周上に９０°間隔で十字に配置されているので、灯具全体としての意匠上の統一感を持たせることができる。
【００３５】
さらに本実施形態においては、上記４個の発光ユニット１２の前方に、これら各発光ユニット１２の集光レンズ２６の前方部分に開口部１８ａが形成されたドーム状パネル１８が設けられているので、灯具意匠に斬新性を持たせることができる。
【００３６】
しかも、このドーム状パネル１８の各開口部１８ａには、該開口部１８ａの外周形状を略維持したまま各集光レンズ２６近傍まで後方へ延びる筒状部１８ｂが形成されており、該筒状部１８ｂの内周面には鏡面反射処理が施されているので、各発光ユニット１２から斜め方向に出射してその前方の筒状部１８ｂの内周面に入射した光を該内周面で反射させて灯具側方照射光として利用することが可能となる。したがって、灯具を真横に近い斜め前方から観察する者に対しても灯具が点灯していることを認識させることが可能となり、これによりフロントターンシグナルランプとしての灯具機能を十分に発揮させることができる。
【００３７】
上記実施形態においては、車両用灯具１０が、フロントターンシグナルランプである場合について説明したが、他の種類の車両用灯具においても上記実施形態と同様の構成を採用することによりこれと同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【図２】上記車両用灯具を示す側断面図
【図３】上記車両用灯具を示す平断面図
【図４】上記車両用灯具の発光ユニットの構成を詳細に示す正面図
【図５】図４のＶーＶ線断面図
【図６】上記車両用灯具が点灯している状態を示す正面図
【図７】上記車両用灯具が消灯している状態を示す正面図
【符号の説明】
１０ 車両用灯具
１２ 発光ユニット
１４ ランプボディ
１６ 透光カバー
１８ ドーム状パネル
１８Ａ ドーム部
１８Ｂ スカート部
１８ａ 開口部
１８ｂ 筒状部
２０ 光源
２２ フレネルレンズユニット
２２ａ、２４ａ、２６ａ 外周突起部
２４ 拡散レンズ
２４ｓ 拡散レンズ素子
２６ 集光レンズ
２８ ＬＥＤ
３０ プリント基板
３２ フレネルレンズ
３４ スペーサ
３６ ボルト
３８ ナット
Ａｘ、Ａｘ１ 光軸
【発明の属する技術分野】
本願発明は、複数のＬＥＤ（発光ダイオード）からなる光源を備えてなる車両用灯具に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、多くの車両用灯具においては、光源として白熱バルブ（のフィラメント）が用いられているが、近年においては、消費電力の低減を図るため、あるいは灯具意匠に斬新性を持たせるため、複数のＬＥＤを光源として用いた車両用灯具も用いられるようになってきている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、光源として単に複数のＬＥＤを用いただけでは、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができず、また所要の灯具配光性能を得ることが容易でない、という問題がある。
【０００４】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができるとともに所要の灯具配光性能を容易に得ることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、複数のＬＥＤの前方に所定のレンズ群を配置することにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【０００６】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、
上記光源の前方に、上記各ＬＥＤからの光を平行光にする複数のフレネルレンズが設けられており、
これら複数のフレネルレンズの前方に、複数の拡散レンズ素子からなる拡散レンズが設けられており、
この拡散レンズの前方に、前方側に凸面を有する平凸レンズからなる単一の集光レンズが設けられており、
上記光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズが１つの発光ユニットとして構成されるとともに、この発光ユニットが複数個配置されている、ことを特徴とするものである。
【０００７】
上記「車両用灯具」における光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズ以外の灯具構成部材の具体的構成については特に限定されるものではない。
上記「光源」は、複数のＬＥＤからなるものであれば、各ＬＥＤの発光色や配置等は特に限定されるものではない。
【０００８】
【発明の作用効果】
上記構成に示すように、本願発明に係る車両用灯具は、複数のＬＥＤからなる光源を備えているが、この光源の前方には各ＬＥＤからの光を平行光にする複数のフレネルレンズが設けられており、その前方には複数の拡散レンズ素子からなる拡散レンズが設けられており、さらにその前方には単一の集光レンズが設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【０００９】
すなわち、各ＬＥＤからの光は、フレネルレンズの透過により一旦すべて平行光にされ、その後、拡散レンズの透過により拡散した後、集光レンズの透過により一度集光してから拡散し、これにより拡散光として灯具前方へ照射されるので、拡散レンズを構成する各拡散レンズ素子および集光レンズの形状を適宜調整することにより、灯具前方照射光の最大拡散角度や光度分布を狙い通りの値に容易に設定することができる。また、拡散レンズの拡散作用により、光源全体を広い発光面積で略均一に光って見えるようにすることができる。
【００１０】
したがって本願発明によれば、複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができるとともに所要の灯具配光性能を容易に得ることができる。
【００１１】
しかも、集光レンズと光源との間には拡散レンズと複数のフレネルレンズとが設けられているので、非点灯時に灯具を前方から観察したとき、集光レンズにより光源が拡大して見えてしまうのを防止することができる。
【００１２】
しかも、上記光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズは１つの発光ユニットとして構成されており、この発光ユニットが複数個配置されているので、灯具の光量を増大させることができるとともに斬新な灯具意匠を創出することができる。その際、上記発光ユニットを、略同一円周上に所定間隔をおいて複数個設けるようにすれば、灯具全体としての意匠上の統一感を持たせることができる。
【００１３】
この場合において、複数の発光ユニットの前方に、これら各発光ユニットの集光レンズの前方部分に開口部が形成されたドーム状パネルを設けるようにすれば、灯具意匠に斬新性を持たせることができる。
【００１４】
さらにこの場合において、上記ドーム状パネルの各開口部に、該開口部の外周形状を略維持したまま各集光レンズ近傍まで後方へ延びる筒状部を形成し、その内周面に鏡面反射処理を施しておくようにすれば、上記各発光ユニットから斜め方向に出射してその前方の筒状部の内周面に入射した光を該内周面で反射させて灯具側方照射光として利用することが可能となる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【００１６】
図１は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具１０を示す正面図であり、図２および３は、その側断面図および平断面図である。
【００１７】
これらの図に示すように、本実施形態に係る車両用灯具１０は、車両の右側前端部に設けられるフロントターンシグナルランプであって、灯具正面視において略正方形の輪郭形状を有するランプボディ１４と素通し状の透光カバー１６とで形成される灯室内に、４つの発光ユニット１２と、これら発光ユニット１２の前方側のドーム状パネル１８とが設けられてなっている。
【００１８】
上記各発光ユニット１２は、前後方向に延びる車両用灯具１０の光軸Ａｘと平行に延びる光軸Ａｘ１を有しており、光軸Ａｘを中心とする同一円周上に９０°間隔で十字に配置されている。そしてこれら各発光ユニット１２は、各々ランプボディ１４に固定されている。
図４は、上記各発光ユニット１２の構成を詳細に示す正面図であり、図５は、そのＶーＶ線断面図である。
【００１９】
これらの図に示すように、各発光ユニット１２は、光源２０と、この光源２０の前方に設けられたフレネルレンズユニット２２と、このフレネルレンズユニット２２の前方に設けられた拡散レンズ２４と、この拡散レンズ２４の前方に設けられた集光レンズ２６とを備えてなっている。
【００２０】
上記光源２０は、プリント基板３０に取り付けられた９個のＬＥＤ２８からなっている。これらＬＥＤ２８は、アンバ色ＬＥＤであって、光軸Ａｘ１を中心にして縦横３個ずつ正方形に配置されいる。上記フレネルレンズユニット２２は、９個のＬＥＤ２８の各々に対応する位置の後面にフレネルレンズ３２が形成されてなり、これら各フレネルレンズ３２により各ＬＥＤ２８からの光を光軸Ａｘ１と平行な平行光にするようになっている。上記拡散レンズ２４は、魚眼レンズ状に形成された複数の拡散レンズ素子２４ｓからなっている。上記集光レンズ２６は、前方側に凸面を有する平凸レンズからなっている。
【００２１】
上記フレネルレンズユニット２２、拡散レンズ２４および集光レンズ２６は、その周方向複数箇所に形成された外周部２２ａ、２４ａおよび２６ａにおいて、スペーサ３４を介してボルト３６およびナット３８によりプリント基板３０に固定されており、これにより１つの発光ユニット１２を構成するようになっている。その際、上記各スペーサ３４は、図５に２点鎖線で示すように、各ＬＥＤ２８からの光がフレネルレンズユニット２２に対して該ＬＥＤ２８の前方に位置するフレネルレンズ３２よりも多少広い範囲に入射するよう、その長さが設定されている。
【００２２】
上記発光ユニット１２は十字配置で４個設けられるが、これら発光ユニット１が光軸Ａｘに近い位置で互いに密接して配置され得るようにするため、各光源２０を構成する９個のＬＥＤ２８により形成される正方形は約１５°傾斜しており、また各プリント基板３０は、隣接するプリント基板３０との干渉を回避するため、その光軸寄りの端面が複雑な凹凸形状に形成されている。
【００２３】
図１〜３に示すように、上記ドーム状パネル１８は、前方側へ膨出するドーム部１８Ａと、その周囲に位置するスカート部１８Ｂとからなり、スカート部１８Ｂの外周縁部においてランプボディ１４に固定されている。ドーム部１８Ａにおける各光源２０の前方部分には、灯具正面視において集光レンズ２６よりもやや径の大きい円形の開口部１８ａが形成されており、これら各開口部１８ａには、該開口部１８ａの外周形状を略維持したまま後方へ集光レンズ２６近傍まで延びる筒状部１８ｂが形成されている。そして、ドーム部１８Ａおよびスカート部１８Ｂの表面には鏡面反射処理が施されている。また、各筒状部１８ｂの内周面にも鏡面反射処理が施されている。
上記各発光ユニット１２においては、次のようにして光照射が行われるようになっている。
【００２４】
すなわち、図５に実線で示すように、光源２０を構成する各ＬＥＤ２８からの光は、その前方に位置するフレネルレンズ３２の透過により一旦すべて平行光にされ、その後、拡散レンズ２４の透過により拡散した後、集光レンズ２６の透過により一度集光してから拡散する。そしてこれにより、光軸Ａｘ１を中心として上下および左右方向に所定角度で拡散する拡散照射光として該発光ユニット１２の前方へ照射される。
【００２５】
その際、図５に２点鎖線で示すように、各ＬＥＤ２８からその斜め前方に位置するフレネルレンズ３２へ入射した光は、光軸Ａｘ１に対して大きな角度で該発光ユニット１２の前方へ照射される。
車両用灯具１０としては、各発光ユニット１２から照射される光は、次のようにして行われる。
【００２６】
すなわち、図２に実線で示すとともに図３に２点鎖線で示すように、各発光ユニット１２において各ＬＥＤ２８の前方に位置するフレネルレンズ３２に入射した光により形成される前方照射光は、ドーム状パネル１８の各開口部１８ａをそのまま通過して前方へ照射される。
【００２７】
一方、図３に実線で示すように、各ＬＥＤ２８からその斜め前方に位置するフレネルレンズ３２へ入射した光は、光軸Ａｘ１に対して大きな角度で該発光ユニット１２の前方へ照射されるので、その大半がドーム部１８Ａの筒状部１８ｂへ入射する。この筒状部１８ｂの内周面には鏡面反射処理が施されているので、筒状部１８ｂへ入射した光は、該筒状部１８ｂの内周面で反射して光軸Ａｘに対して大きな角度をなすようにして前方へ照射される。
図６および７は、本実施形態に係る車両用灯具１０が点灯している状態および消灯している状態を示す正面図である。
【００２８】
図６に示すように、点灯時には、ドーム状パネル１８に光軸Ａｘを中心にして十字配置で形成された４つの開口部１８ａを介して、各発光ユニット１２が散点的に光って見える。その際、光源２０は９個のＬＥＤ２８で構成されているが、拡散レンズ２４の拡散作用により、光源２０全体が略均一に光って見える。なお、車両用灯具１０を斜め方向から観察したときには、ドーム状パネル１８の筒状部１８ｂで反射した光も見える。
【００２９】
図７に示すように、消灯時には、ドーム状パネル１８のドーム部１８Ａおよびスカート部１８Ｂがその外部光反射作用により白っぽく光って見え、十字配置で形成された４個の開口部１８ａの奥に位置する集光レンズ２６の表面がやや暗く見える。その際、各集光レンズ２６の表面は、ドーム状パネル１８のドーム部１８Ａと同様、ドーム状に形成されているので、外部光が反射して見えるドームの中に小さい透明のドームが十字配置で４個見えることとなり、これにより灯具として統一感のある意匠が得られる。さらに、ドーム状パネル１８の筒状部１８ｂの表面にも鏡面反射処理が施されているので、４個の集光レンズ２６とその周囲とのコントラストが強調された意匠となる。
【００３０】
以上詳述したように、本実施形態に係る車両用灯具１０は、複数のＬＥＤ２８からなる光源２０を備えているが、この光源２０の前方には各ＬＥＤ２８からの光を平行光にする複数のフレネルレンズ３２が設けられており、その前方には複数の拡散レンズ素子１４ａからなる拡散レンズ２４が設けられており、さらにその前方には集光レンズ２６が設けられているので、次のような作用効果を得ることができる。
【００３１】
すなわち、各ＬＥＤ２８からの光は、フレネルレンズ３２の透過により一旦すべて平行光にされ、その後、拡散レンズ２４の透過により拡散した後、集光レンズ２６の透過により一度集光してから拡散し、これにより拡散光として灯具前方へ照射されるので、拡散レンズ２４を構成する各拡散レンズ素子２４ｓおよび集光レンズ２６の形状を適宜調整することにより、灯具前方照射光の最大拡散角度や光度分布を狙い通りの値に容易に設定することができる。また、拡散レンズ２４の拡散作用により、光源２８全体を広い発光面積で略均一に光って見えるようにすることができる。
【００３２】
したがって本実施形態によれば、複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、点灯時に光源を単一の光源らしく見えるようにすることができるとともに所要の灯具配光性能を容易に得ることができる。
【００３３】
しかも、集光レンズ２６と光源２０との間に拡散レンズ２４と複数のフレネルレンズ３２とが設けられているので、非点灯時に灯具を前方から観察したとき、集光レンズ２６により光源２０が拡大して見えてしまうのを防止することができる。
【００３４】
また本実施形態においては、光源２０、フレネルレンズユニット２２、拡散レンズ２４および集光レンズ２６が１つの発光ユニット１２として構成されており、この発光ユニット１２が４個配置されているので、灯具の光量を増大させることができるとともに斬新な灯具意匠を創出することができる。その際、これら発光ユニット１２は、光軸Ａｘを中心にして同一円周上に９０°間隔で十字に配置されているので、灯具全体としての意匠上の統一感を持たせることができる。
【００３５】
さらに本実施形態においては、上記４個の発光ユニット１２の前方に、これら各発光ユニット１２の集光レンズ２６の前方部分に開口部１８ａが形成されたドーム状パネル１８が設けられているので、灯具意匠に斬新性を持たせることができる。
【００３６】
しかも、このドーム状パネル１８の各開口部１８ａには、該開口部１８ａの外周形状を略維持したまま各集光レンズ２６近傍まで後方へ延びる筒状部１８ｂが形成されており、該筒状部１８ｂの内周面には鏡面反射処理が施されているので、各発光ユニット１２から斜め方向に出射してその前方の筒状部１８ｂの内周面に入射した光を該内周面で反射させて灯具側方照射光として利用することが可能となる。したがって、灯具を真横に近い斜め前方から観察する者に対しても灯具が点灯していることを認識させることが可能となり、これによりフロントターンシグナルランプとしての灯具機能を十分に発揮させることができる。
【００３７】
上記実施形態においては、車両用灯具１０が、フロントターンシグナルランプである場合について説明したが、他の種類の車両用灯具においても上記実施形態と同様の構成を採用することによりこれと同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
【図２】上記車両用灯具を示す側断面図
【図３】上記車両用灯具を示す平断面図
【図４】上記車両用灯具の発光ユニットの構成を詳細に示す正面図
【図５】図４のＶーＶ線断面図
【図６】上記車両用灯具が点灯している状態を示す正面図
【図７】上記車両用灯具が消灯している状態を示す正面図
【符号の説明】
１０ 車両用灯具
１２ 発光ユニット
１４ ランプボディ
１６ 透光カバー
１８ ドーム状パネル
１８Ａ ドーム部
１８Ｂ スカート部
１８ａ 開口部
１８ｂ 筒状部
２０ 光源
２２ フレネルレンズユニット
２２ａ、２４ａ、２６ａ 外周突起部
２４ 拡散レンズ
２４ｓ 拡散レンズ素子
２６ 集光レンズ
２８ ＬＥＤ
３０ プリント基板
３２ フレネルレンズ
３４ スペーサ
３６ ボルト
３８ ナット
Ａｘ、Ａｘ１ 光軸
Claims (4)
- 複数のＬＥＤからなる光源を備えてなる車両用灯具において、
上記光源の前方に、上記各ＬＥＤからの光を平行光にする複数のフレネルレンズが設けられており、
これら複数のフレネルレンズの前方に、複数の拡散レンズ素子からなる拡散レンズが設けられており、
この拡散レンズの前方に、前方側に凸面を有する平凸レンズからなる単一の集光レンズが設けられており、
上記光源、複数のフレネルレンズ、拡散レンズおよび集光レンズが１つの発光ユニットとして構成されるとともに、この発光ユニットが複数個配置されている、ことを特徴とする車両用灯具。 - 上記発光ユニットが、略同一円周上に所定間隔をおいて複数個設けられてなる、ことを特徴とする請求項１記載の車両用灯具。
- 上記複数の発光ユニットの前方に、これら各発光ユニットの集光レンズの前方部分に開口部が形成されたドーム状パネルが設けられている、ことを特徴とする請求項２記載の車両用灯具。
- 上記ドーム状パネルにおける上記各開口部に、該開口部の外周形状を略維持したまま上記各集光レンズ近傍まで後方へ延びる筒状部が形成されており、
これら各筒状部の内周面に鏡面反射処理が施されている、ことを特徴とする請求項３記載の車両用灯具。
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