JP3839120B2 - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリブチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれを成形してなる成形品に関する。さらに詳しくは、本発明は成形時、高い金型への転写性を示し、かつ得られた成形品は非常に良好な外観を示すのみならず、成形品裏面のタップ用ボス等により発生する成形品表面の”ひけ”を著しく改善し、更に機械物性、成形性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物は自動車、建築、電気・電子機器およびその他の諸工業の分野での外装部品に好適に用いられる。特に高剛性にてかつ良好な外観が必要な自動車内外装部品に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、例えばポリアルキレンテレフタレート樹脂等は機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的特性に優れ、かつ、加工性が良好であるがゆえにエンジニアリングプラスチックとして自動車、電気・電子部品等の広汎な用途に使用されている。
かかる結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、単独でも種々の成形品に用いられているが、利用分野によってはその性質、特に機械的性質を改善する目的で、様々な強化剤、添加剤を配合することが行われてきた。そして、高い機械的強度、剛性の要求される分野においては、ガラス繊維、カーボン繊維等に代表される繊維状の強化剤を用いることが周知である。しかしながら、繊維状強化剤を含む結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的強度、剛性等は高いが、大量に添加した場合、得られる成形品の表面外観は無機充填剤(強化剤)が浮き出し、さらに流動性の低下によるフローマーク等が表面に発生し、十分な外観を得ることが困難である。特にポリブチレンテレフタレートの如く、高結晶性ポリマーは成形時の結晶化に伴い、金型への転写性も悪いため、満足する外観を得ることは困難である。更に外観部品等に使用する場合、成形品を固定するために成形品裏面に締め付けネジ用のタップボスがあり、その跡が表面に発生(ひけ)し、外観を損ない、満足する外観を得ることが困難である。
これらの問題を解決する方法として、ポリブチレンテレフタレート樹脂に非結晶ポリマーやタルク・炭酸カルシウム等の微粉末充填剤を添加する方法等が挙げられる。また成形面では樹脂温度を上げ、流動性を向上させる方法、あるいは金型温度を上げ、結晶化速度を遅らせ、転写性を向上させる方法等が一般的に用いられる。しかしながら、非結晶ポリマーを添加する場合、十分な外観を得るためには、大量に添加する必要があり、そのため機械的物性の低下および表面での剥離等の問題を有している。また微粉末の充填剤を添加する方法では十分な良外観を得ることは困難であり、また高い機械的強度、剛性を得るには大量の添加が必要である。また成形面での改良には限界があり、無理に樹脂温度を上げると、樹脂が熱分解し、ガスの発生・金型汚染等を引き起こす。また金型温度を上げることにより成形サイクル時間が長くなり、量産性が低下し、経費増加となる。そのため、高い機械的強度、剛性を有し、良好な外観を有した材料の開発が望まれていた。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題に鑑み、無機充填剤を添加した高強度・剛性を有したポリブチレンテレフタレート樹脂成形品において、表面外観性に優れた組成物を得るため鋭意検討した。その結果、変性ポリブチレンテレフタレート共重合体にポリカーボネート樹脂を併用することにより、多量の無機充填剤を添加しても、得られた成形品表面はひけも目立ちにくく、非常に良好な外観を有し、かつ優れた機械的強度、成形性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は
(A) 5〜40モル%のコモノマーユニットを含有する変性ポリブチレンテレフタレート樹脂90〜60重量%と、
(B) ポリカーボネート樹脂10〜40重量%からなる樹脂成分 100重量部に対し、
(C) ボロンナイトライド、カオリン及びクレーから選ばれた1種または2種以上の結晶核剤0.001〜5重量部、
(D) ガラス繊維とマイカを必須成分とする無機充填剤40〜200重量部及び
(E) 着色成分 0.1〜5重量部
を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物である。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、順次本発明の樹脂材料の構成成分について詳しく説明する。
まず、本発明の樹脂材料の基体樹脂である(A) 5〜40モル%のコモノマーユニットを含有する変性ポリブチレンテレフタレート樹脂とはテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と炭素数4のアルキレングリコールまたはそのエステル形成誘導体を重縮合反応して得られるポリブチレンテレフタレートを主成分とし、これに5〜40モル%(好ましくは10〜35モル%)の他のコモノマーユニットを導入した共重合体である。
かかる(A) の共重合体を構成するための第3成分(コモノマー)としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸の如き公知のジカルボン酸およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体等が挙げられる。またこれらのジカルボン酸化合物はエステル形成可能な誘導体、例えばジメチルエステルの如き低級アルコールエステルの形で重縮合に使用し、コポリマー成分として導入することも可能である。
また、コポリマーを構成するための第3成分として使用されるジヒドロキシ化合物の例を示せば、エチレングリコール、プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシフェニル、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、2,2 −ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジエトキシ化ビスフェノールAの如き比較的低分子量のジヒドロキシ化合物、及びこれらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体等である。
【0005】
本発明では、上記の如く化合物を第三成分として重縮合により生成する、ポリブチレンテレフタレート共重合体は何れも使用することができるが、好ましくは芳香族ジカルボン酸変性またはアルキレングリコール変性ポリブチレンテレフタート共重合体、更に好ましくはイソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレート共重合体またはエチレングリコール変性ポリブチレンテレフタレート共重合体が本発明の効果に顕著である。
また、これらの他に三官能性モノマー、即ちトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等を少量併用した分岐又は架橋構造を有するポリエステルであっても良い。
ここでコモノマーユニットの導入量は5〜40モル%であり、好ましくは10〜35モル%、特に好ましくは10〜25モル%である。導入量が5モル%未満では、結晶性が高いため、金型への転写性が悪く、充分な外観を得ることが困難である。また導入量が40モル%を超えると、強度および熱安定性の低下が大きく、かつ後記する結晶核剤を配合しても充分な結晶化度および結晶化速度が得られず、その結果、成形サイクルの低下、離型性の低下を引き起こし、実用的に使用しえない。
【0006】
また良外観を得るのに、好ましい融解熱および融点を具体的に明示するならば、ポリブチレンテレフタレート共重合体の場合、融解熱は10〜45J/g であり、融点は 150〜220 ℃であり、このような特性を有する樹脂が好ましい。ここで融解熱(ΔHm)は、走査型示差熱量測定装置(DSC)を用い、280 ℃にて1分間溶融保持した試料を10℃/min の速度で30℃まで降温し、再度10℃/min で昇温した時の熱量(ピーク面積)と測定試料の重量から算出される値である。
また本発明では、成形性、特に離型性の向上および成形サイクルの短縮を目的とし、変性ポリブチレンテレフタレート樹脂に少量の未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂を添加したものを(A) 成分として使用しても良い。 未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂の添加量は0〜15重量%が好ましい。添加量が多すぎると外観の低下を引き起こすため好ましくない。
次に本発明では、必須成分として(B) ポリカーボネート樹脂が添加される。
この(B) ポリカーボネート樹脂は、(A) ポリブチレンテレフタレート共重合体に添加配合されることにより、繊維状充填剤及び/又は非繊維状の無機充填剤を加えた組成物の成形品外観を良好にさせる。特に成形収縮の異方性を抑制する効果があるため、又、ポリカーボネート自身の収縮率が小さいことから、成形品の裏面にある締め付け用のタップボス等の成形品表面へのひけ現象を抑制する効果があり、ボス等のある装飾部品での良好な外観を有する目的とした本発明での必須成分である。
かかる目的で用いられるポリカーボネート樹脂は、溶剤法、即ち、塩化メチレン等の溶剤中で公知の酸受容体、分子量調整剤の存在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応又は二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応によって製造することができる。
ここで、好適に使用し得る二価フェノールとしてはビスフェノール類があり、特に2,2 −ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、即ちビスフェノールAが好ましい。また、ビスフェノールAの一部又は全部を他の二価フェノールで置換したものであってもよい。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えばハイドロキノン、4,4 −ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルのような化合物又はビス(3,5 −ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5 −ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのようなハロゲン化ビスフェノール類を挙げることができる。
これら二価フェノールは二価フェノールのホモポリマー又は2種以上のコポリマーであってもよい。更に本発明で用いるポリカーボネート樹脂は多官能性芳香族化合物を二価フェノール及び/又はカーボネート前駆体と反応させた熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネートであってもよい。
本発明に用いるポリカーボネートは特に高流動性のものが好ましい。
又、ポリカーボネート(B) の添加量は、(A) 、(B) 成分の合計中、5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%である。
過少の場合は本発明の目的とする成形品の良好な外観(特にひけ)が劣り、過大の場合は結晶化剤を添加しても、成形サイクルの増加、離型性の悪化等、成形上の問題が生じ好ましくない。
【0007】
変性したポリブチレンテフタレート共重合体を単独に使用しても、ある程度外観は改善されるものの、その効果は充分ではなく、また強度低下および熱安定性の低下が大きく、強化剤の添加効果が減少する。また未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂にポリカーボネート樹脂を添加した場合も外観改良の効果は認められるものの、その効果は充分でなく、大量に無機充填剤を添加した場合、充填剤の表面への浮き出しを抑制することは困難である。
【0008】
本発明の組成物の必須構成成分である(C) 結晶核剤としては、有機物、無機物の何れも使用することができる。無機物としては、Zn粉末、Al粉末、グラファイトなどの単体や、ZnO 、MgO 、Al2O3 、TiO2、MnO2、SiO2、Fe3O4 などの金属酸化物、窒化アルミ、窒化硅素、窒化チタン、ボロンナイトライドなどの窒化物、カオリン、クレーを単独又は2種以上混合して使用することができる。
又、有機物としては、シュウ酸カルシウム、シュウ酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、フタル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリアクリル酸塩などの有機塩類、ポリエチレン、ポリプロピレン等の高分子、高分子の架橋物などを単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0009】
好ましくはボロンナイトライド、、カオリン、クレーであり、特に好ましくは、ボロンナイトライドである。
(C) 結晶核剤の使用量は、(A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B) ポリカーボネート樹脂の合計 100重量部あたり 0.001〜5重量部であり、好ましくは 0.002〜3重量部、より好ましくは 0.05 〜2重量部である。 0.001重量部より過小の場合は結晶化速度増大効果が充分ではない。
【0010】
次に本発明で用いられる(D) 無機充填剤は機械的強度、剛性および耐熱性、電気的性質等の性能に優れた成形品を得るために必須とされる成分である。
これには目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の充填剤が用いられるが、高い機械的強度、剛性を得るには、繊維状の充填剤が好ましく使用される。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリ繊維、窒化硼素繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属の繊維状物などの無機質繊維状物があげられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、又はカーボン繊維である。なお、ポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維状物質も使用することができる。
一方、粉粒状充填物として、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドガラスファイバー、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、タルク、硅藻土、ウォラストナイトの如き硅酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムの如き金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムの如き金属の硫酸塩、その他炭化硅素等の各種金属粉末が挙げられる。
又、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔等が挙げられる。これらの中で非繊維状無機充填剤としてはガラスフレーク、マイカ粉、タルク、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバーが好ましい。
これらの充填剤(D) は一種又は二種以上併用することができる。繊維状充填剤、特にガラス繊維と粉粒状及び/又は板状充填剤の併用は特に機械的強度と寸法精度、電気的性質等を兼備する上で好ましい組み合わせである。
特に好ましくはガラス繊維とマイカを併用添加した場合である。
(D) 成分としての充填剤の使用量は、(A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B) ポリカーボネート樹脂との合計100 重量部あたり40〜200 重量部であり、好ましくは60〜150 重量部である。特に好ましくはガラス繊維50〜100 重量部とマイカ10〜50重量部を併用使用した場合である。特に充填剤が70重量部以上添加した場合、本発明の組成物による成形品外観は顕著に効果が現れる。過少の場合はポリブチレンテレフタレート変性品を使用する効果が見えにくく、過大の場合は押出による作業が困難になる。
【0011】
又、これらの充填剤(D) の使用にあたっては、必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。これ等の化合物は予め表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
また、併用される官能性表面処理剤の使用量は、充填剤に対し0〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。
【0012】
又、本発明の組成物に更に(E) 着色成分を添加することにより、得られた成形品はめっき層や塗装層などを必要としない着色された成形品を得ることができる。
ここで使用される(E) 着色成分は、染料や顔料の種類については特に制限はなく、従来ポリブチレンテレフタレート組成物に慣用されているものの中から任意のものを選び用いることができる。その中ではカーボンブラックが特に好ましく、またアゾ系、フタロシアニン系、ペリレン系、キナクリドン系、アントラキノン系などが好ましい。
本発明において、この着色成分の添加量は、(A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B) ポリカーボネート樹脂との合計100 重量部あたり0.1 〜5重量部、好ましくは0.3 〜3重量部使用する。 0.1重量部未満では着色効果が十分に発揮されず、また5重量部を越えると機械的強度の低下、成形時に金型を汚染する等の原因となるため、好ましくない。
【0013】
さらに本発明の組成物には、その目的に応じ所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂等に添加される公知の物質を更に添加併用することができる。
【0014】
例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の安定剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、可塑剤等を配合することが可能である。特に酸化防止剤は本発明の組成物の熱安定性を向上させるため、有効であり、具体的には、ヒンダードフェノール系、アミン系、リン系、チオエーテル系等の化合物が使用できる。
その中でもヒンダードフェノール系化合物およびリン系化合物の1種または2種以上の併用が効果的である。
特にリン系安定剤の添加は(A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B) ポリカーボネート樹脂のエステル交換を抑制する効果が高く、得られた組成物はより高い熱安定性を示す。
ここで使用する酸化防止剤の添加量は、(A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂と(B) ポリカーボネート樹脂との合計100 重量部あたり0.01〜5重量部であり、好ましくは0.05〜3重量部である。
【0015】
更に又、樹脂成分として本発明の目的を阻害しない範囲で他の熱可塑性樹脂(例えばアクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイドなど)、熱硬化性樹脂(例えばフェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂など)、軟質熱可塑性樹脂(例えばエチレン/エチルアクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエステルエラストマーなど)を添加することもでき、これらの樹脂は、1種のみでなく2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明の組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられる設備と方法により容易に調製される。例えば、各成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機により練込押出してペレットを調製し、しかる後成形する方法、一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し成形後に目的組成の成形品を得る方法、成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法等、何れも使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体としてこれ以外の成分と混合し添加することは、これらの成分の均一配合を行う上で好ましい方法である。
樹脂を金型に充填するための成形法としては、射出成形法、押出圧縮成形法等があるが射出成形法が一般的である。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、以下の例に示した物性評価の測定法は次の通りである。
▲1▼ 引張強度
ASTM D-638(試験片ASTM タイプ型:厚み3mm)に準拠して、測定した。
▲2▼ 曲げ強度・弾性率
ASTM D-790に準じて曲げ弾性率を測定した。
また外観状態および成形性については下記の方法にて測定した。
(1)表面光沢
下記条件にて成形した試験片(70mm×40mm×3mm厚さ)を用いて、JIS K7105 の光沢度測定に準拠して、デジタル変角光沢計(スガ試験機(株)製UGV-40)にて45度−45度反射における光沢度を測定した。
(2)表面外観
表面外観−1
上記成形試験片の表面状態を目視にて、観察し、下記点数をつけた。
1;表面に充填剤の浮きや流動マークがなく、均一な表面を示す
2;表面に充填剤の浮きはないものの、流動マークが見られる
3;表面に多少充填剤の浮きが見られる
4;表面に充填剤の浮きが激しく見られ、流動マークもみられる
表面外観−2
下記成形条件にて、図1に示す形状の試験片(厚み4mmt)を成形し、ひけレベルを目視観察および輪郭形状測定器(小坂研究所製 SE−3C)にてひけ状態を評価し、下記点数をつけた。
1;表面にひけマークが見られず、ひけレベルが5μm 以下である
2;表面に多少ひけが見られ、ひけレベルが5〜10μm である
3;表面にひけが見られ、ひけレベルが10〜20μm である
4;表面に大きくひけが見られ、ひけレベルが20μm 以上である
(3)成形性
上記成形条件にて試験片を作成した場合について、下記点数をつけた。
1;金型からの離型性が良好であり、1回の成形サイクルが30秒以下である
2;金型からの離型性が良好であり、1回の成形サイクルが30秒から50秒以内である
3;1回の成形サイクルが50秒以上かかり、かつ金型からの離型性が多少劣る
4;金型からの離型性が悪く、10回に1回以上、離型不良を起こす
実施例1
(A) ジメチルイソフタレートを12.5モル%共重合することにより変性したポリブチレンテレフタレート共重合体(ΔHm=43J/g, Tm=205 ℃)(A-1) 85重量%に(B) ポリカーボネート樹脂を15重量%添加し、(A)+(B) 100 重量部当たり、ボロンナイトライド(C-1) を 0.5重量部、ガラス繊維(D-1) を 100重量部、カーボンブラック(E-1) を1重量部添加し、各種評価を実施した。
【0018】
実施例2
上記実施例1の(B) ポリカーボネート樹脂の量を30重量%((A)70 重量%)とした以外は、実施例1と同様に評価した。
実施例3
上記実施例1の(D) ガラス繊維(D-1) 80重量部とマイカ(D-2) 20重量部を併用添加した以外は、実施例1と同様に実施した。
比較例1〜3
実施例1に対し、変性ポリブチレンテレフタレート共重合体(A-1) のみを使用した場合を比較例1に、結晶核剤成分を未添加の場合を比較例2に、未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂(A-0) とポリカーボネート樹脂を使用した場合を比較例3にし、その他の添加剤、および添加量は実施例1と同様に実施した。
比較例4〜5
実施例2に対し、(C) 結晶核剤を未添加の場合を比較例4に、また未変性のポリブチレンテレフタレートを使用した場合を比較例5にした以外は実施例2と同様に試験し、評価した。
比較例6
実施例3に対し、未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合を比較例6に示す。
実施例5〜6
実施例1の各成分の添加量を変更した以外は実施例1と同様に試験し評価した。
実施例7〜8
表1に示す如く、下記した変性ポリブチレンテレフタレート共重合体を使用し、実施例1と同様に試験し評価した。
実施例9〜13
表2に示す如く、結晶核剤(C) および無機充填剤(D) および着色成分(E) を変更した以外は実施例1と同様に試験し評価した。
実施例14
実施例1の(A) 変性ポリブチレンテレフタレート共重合体(A-1) 60重量%に未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂(A-0) 10重量%を添加したポリブチレンテレフタレート成分70重量%に、(B) ポリカーボネート樹脂を30重量%添加し、 (A)[(A-1)+ (A-0)]+(B) 100重量部当たり、ボロンナイトライド(C-1) を 0.5重量部、ガラス繊維(D-1) を 100重量部、カーボンブラック(E-1) を1重量部添加し、各種評価を実施した。
【0019】
比較例7〜11
実施例3に対し、(B) ポリカーボネート樹脂を未添加の場合を比較例7に示す。また実施例4に対し、未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合を比較例8に、実施例6に対し、(B) ポリカーボネート樹脂を未添加の場合を比較例9に、実施例7、8に対し、(C) 結晶核剤を未添加にした場合を比較例10、11に示す。
比較例12〜16
実施例9〜13に対し、未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂を使用した場合、あるいはポリカーボネートを未添加にした場合を比較例12〜16に示す。
比較例17
実施例14において、変性ポリブチレンテレフタレート共重合体(A-1) 40重量%に未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂(A-0) 30重量%を添加したポリブチレンテレフタレート成分70重量%を用いた以外は同様にして、各種評価を実施した。
評価結果を表1〜4に示す。
【0020】
実施例および比較例に使用した変性ポリブチレンテレフタレート共重合体は下記に示す通りである。
ポリブチレンテレフタレート共重合体の種類
(A-2) ジメチルイソフタレートを30モル%共重合することにより変性したポリブチレンテレフタレート共重合体(ΔHm=32J/g 、Tm=171 ℃)
(A-3) エチレングリコールを17.5モル%共重合することにより変性したポリブチレンテレフタレート共重合体(ΔHm=35J/g 、Tm=205 ℃)
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は特定組成の共重合ポリブチレンテレフタレートにポリカーボネート樹脂をブレンドし、更に特定の結晶核剤および無機充填剤を添加することにより、高い機械強度、剛性を有し、良好な成形性を有しながら、かつひけの改善効果が高く、非常に優れた成形品外観を示す。この組成物によって得られる成形品は特に高強度かつ良好な外観が要望される自動車・電機および建材等の外装部品に応用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実施例において表面外観の評価に用いた試験片の形状を示す図で、(a) は上面図、(b) は側面図である。
Claims (8)
- (A) 5〜40モル%のコモノマーユニットを含有する変性ポリブチレンテレフタレート樹脂90〜60重量%と、
(B) ポリカーボネート樹脂10〜40重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、
(C) ボロンナイトライド、カオリン及びクレーから選ばれた1種または2種以上の結晶核剤0.001〜5重量部、
(D) ガラス繊維とマイカを必須成分とする無機充填剤40〜200重量部及び
(E) 着色成分0.1〜5重量部
を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。 - (A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂の融解熱が10〜45 J/gである請求項1記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (A) 変性ポリブチレンテレフタレート樹脂のコモノマーユニットがイソフタル酸残基および/またはアルキレングリコール残基である請求項1又は2記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (A) 成分が未変性のポリブチレンテレフタレート樹脂を0〜15重量%含むものである請求項1〜3の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (D) 無機充填剤の配合量が60〜150重量部である請求項1〜4の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (D) 無機充填剤としてガラス繊維 50 〜 100 重量部とマイカ 10 〜 50 重量部を併用する請求項5記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- (E) 着色成分がカーボンブラックまたは着色染顔料である請求項1〜6の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
- 請求項1〜7の何れか1項記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形してなる、ドアミラーまたはインナーミラー用のステー、アウターハンドルおよびワイパー部品より選ばれる自動車装飾部品である成形品。
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