JP3833304B2 - 多孔質吸音材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明に属する技術分野】
本発明は、ケイ酸カルシウム水和物を主成分とする多孔質吸音材の製造方法に関し、詳しくは優れた吸音特性を有し、かつ高強度、高耐久性を有する多孔質吸音材を得ることができる多孔質吸音材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内部に連続気泡を有するケイ酸カルシウム水和物系多孔質吸音材およびその製造方法は公知である。その代表的なものとして、特開昭52−37403号公報などで開示している多孔質吸音材およびその製造方法がある。この製造方法は、一般にプレフォーム方式またはミックスフォーム方式と称されるもので、次のような方法である。
【0003】
プレフォーム方式は、気泡を原料スラリーとは別に製造して、それを原料スラリーに添加してそのスラリーを発泡させる方法であり、起泡剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩やノニルフエノールテトラエチレンオキサイドエーテル硫酸エステル等の界面活性剤を使用し、水および空気と撹拌して微細な気泡体を有し、この気泡体をケイ酸質原料、石灰質原料および水を混合して得た原料スラリーと混合・撹拌する。しかる後にそのスラリーを型枠に流し込んでオートクレーブで養生することによって硬化せしめる方法である。
また、ミックスフォーム方式は、原料スラリーに起泡剤である界面活性剤を添加して混合・撹拌することにより原料スラリーを起泡させ、しかる後にそれを型枠に流し込んでオートクレーブで養生して硬化させる方法である。
【0004】
さらに、他の方法として、特開昭52−80325号公報で開示している製造方法がある。この方法は発泡剤として金属アルミニウム粉末を用い、その金属アルミニウム粉末を原料スラリーの中で化学反応させる方法で、ケイ酸質原料、石灰質原料、増粘剤、金属アルミニウム粉末のすべてを同時に水と混合・撹拌して1次原料スラリーと成し、これを型枠に流し込んで発泡を終了させた後に、オートクレーブで養生して硬化させる方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のプレフォーム方式またはミックスフォーム方式によって得られた多孔質吸音材は、吸音材の内部に多数個の連続気泡を有するため、それなりの優れた吸音特性は得られるが、図3に示すように、形成される気泡が均一で小さく、また気泡の形状が眞球に近くて配置がランダムであるため、特に400HZ以上の周波数帯域での吸音特性ではまだ不十分であるという問題点がある。
【0006】
また、特開昭52−80325号公報のように、金属アルミニウム粉末をすべての原料と同時に混合して1次スラリーの中で金属アルミニウム粉末を化学反応および発泡させる方法では、その原因は明確でないが、連続気泡の形成が少なくなり優れた吸音特性を有する多孔質吸音材は得られないという問題点がある。その欠点を補うため金属アルミニウム粉末の添加量を増やしても、隣接する気泡同士が合体し、大きな独立気泡が形成されてしまうのみで、吸音特性を向上させる連続気泡が得られない。
【0007】
一方、ケイ酸カルシウム水和物系多孔質吸音材は、一般に材料の強度が小さいため他の素材との複合化などにおいて、その取扱い上においてその強度向上が望まれる。この強度を向上させるためには気泡以外の固体層を多くする必要があるが、以上のケイ酸カルシウム水和物系多孔質吸音材の製造方法においては、固体層を多くすると必然的に気泡が少なくなって吸音特性の低い多孔質吸音材しか得られず、優れた吸音特性と圧縮強度との両者を満足させ得ることはできないという問題点もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、これらの問題を解決するために鋭意研究した結果、発泡材として金属アルミニウム粉末を用い、連続気泡形成材として界面活性剤を用いることによって、従来の問題点が解決され、優れた吸音特性と圧縮強度の両者を満足させ得るケイ酸カルシウム水和物系多孔質吸音材が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明の第1発明はケイ酸質原料、石灰質原料、発泡剤を水と混合・撹拌してスラリーを得、該スラリーを発泡させ、かつ連続気泡を形成させた後にオートクレーブで養生する多孔質吸音材の製造方法において、前記スラリーに発泡剤として金属アルミニウム粉末を添加するとともに連続気泡形成用として界面活性剤および増粘剤を使用する方法である。
【0010】
第2発明はケイ酸質原料および石灰質原料を主原料とし連続気泡を有する多孔質吸音材の製造方法において、先ずケイ酸質原料、石灰質原料および増粘剤を水と混合・撹拌して1次スラリーと成し、次いでこの1次スラリーに発泡材として金属アルミニウム粉末を添加するとともに連続気泡形成用として界面活性剤を添加し混合して2次スラリーと成し、しかる後この2次スラリーを型枠に流し込んだ後に発泡させ、これをオートクレーブで養生することによって硬化せしめる方法である。
【0011】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の実施の態様について詳述する。
第1発明において重要なことは、スラリーに発泡剤としての金属アルミニウム粉末と連続気泡形成用としての界面活性剤および増粘剤の3種を添加することである。
【0012】
第2発明は、先ずケイ酸質原料、石灰質原料および増粘剤の3つの原料を水と十分混合して1次スラリーと成す。次にこの1次スラリーに金属アルミニウム粉末と界面活性剤とを添加し混合して2次スラリーと成す。この段階では2次スラリーはまだ実質的な発泡は起こらないようにする。続いて2次スラリーを型枠に流し込む。2次スラリーの実質的な発泡はこの型枠に流し込まれた後に起るようにする。しかる後に半硬化体になったものをピアノ線などで所望の大きさ、形状に切断し、最後にオートクレーブで養生することによって硬化せしめることにより多孔質吸音材とする。
【0013】
この第2発明で重要なことは、金属アルミニウム粉末と界面活性剤の添加タイミング、すなわちケイ酸質原料、石灰質原料および増粘剤の3つの原料を水と混合して1次スラリーと成した後に添加すること、さらに2次スラリーの実質的な発泡は混合程度を調整して型枠に流し込んだ後に起こさせることである。このような方法を採ることによって、図1および図2に示すように連続気泡が一定方向を向いており、かつ気泡も大きい特異な多孔質吸音材が得られ、より優れた吸音特性を有するようになる。
【0014】
なお、1次スラリーに対して界面活性剤と金属アルミニウム粉末を混合する際は、同時でもどちらが先でも良い。しかし、混合中にあまり激しくまた長時間撹拌するとその2次スラリーが起泡したり、反応し過ぎて水平方向に連続気泡ができなくなり、優れた吸音特性や圧縮強度を有する多孔質吸音材が得られなくなる。したがって、界面活性剤と金属アルミニウム粉末の混合は、2次スラリーが起泡しない程度に適度な均一性を有する程度とすることが望ましい。
【0015】
次に各本発明に適用される各原料および添加物について詳述する。
本発明に適用される主原料は、ケイ酸質原料、石灰質原料であり、添加剤としては増粘剤、金属アルミニウム粉末、界面活性剤であり、必要に応じて骨材又は補強材を用いる。
ケイ酸質原料としては、石英、クリストバライトなどの非晶質シリカ鉱物、珪砂、フライアッシュ、スラグ、シリカフュームなどの一種類あるいは二種類以上の混合物が使用される。
【0016】
石灰質原料としては、生石灰、消石灰、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどの一種類あるいは二種類以上の混合物が使用できるが、発泡の安定性、半可塑化までの硬化時間の短縮化を考慮すると、好ましくは、普通、早強、中庸熱などのポルトランドセメントがよい。
これらの主原料の粉末度は、空気透過型粉末測定法(ブレーン法)による値で、2000〜5000cm2 /gが好ましい。
【0017】
なお、ケイ酸質原料および石灰質原料は、水和反応およびオートクレーブ養生による水熱反応によって、CSHゲル、トバモライト、ゾノトライト、フォッシャジャナイトなどのケイ酸カルシウム水和物になり、バインダーの機能を果たす。本発明に使用される主反応生成物は上記ケイ酸カルシウム水和物のうちどれでも良く、かつこれら水和物の2種以上が混在していても良いが、強度・耐久性・耐熱性・生産性などを考慮すれば、好ましくはトバモライトがよい。
【0018】
また、上記のケイ酸質原料および石灰質原料の一部として、あらかじめ、水和反応が進行して半可塑性になった材料となったものや、あるいは軽量気泡コンクリート(ALC)の製造工程で発生する半可塑性物を解砕しスラリーとしたものを、置換して使用することもできる。これら半可塑性物の解砕スラリーは、金属アルミニウム粉末による発泡を安定させる機能と、セメントの水和反応を促進させる機能がある。しかしながら、この解砕スラリーの置換量は、強度および吸音特性低下防止の面で40%以下、好ましくは20%以下がよい。
【0019】
金属アルミニウム粉末は、その添加量が吸音材の比重に影響し、結果的に吸音率に影響するため、ケイ酸質原料および石灰質原料の総重量の0.07〜0.15%とすることが好ましい。
【0020】
界面活性剤としては、石灰等のアルカリ雰囲気に対してその機能を低下させることのない材料を選定する。例えば、高級アルコール硫酸エステル系、ポリオキシチレンアルキルエーテル系、高級アルコール硫酸ナトリウム系があるが、好ましくは高級アルコール硫酸エステル系がよい。
その界面活性剤の添加量は、使用する界面活性剤の持つ特性によって変化するが、優れた吸音特性、気泡膜の強度面、気泡の連続化、撹拌中の原料の凝集防止などの点から1〜5%の範囲が最も好ましい。
【0021】
なお、同様な原料を用いて製造するALCの製造工程においても、その発泡上下部の比重差を低減し気泡形状を球状にするため、また発泡工程での速度調整のために、種々の界面活性剤が使用されることが知られているが、その添加量は、多くてもケイ酸質原料および石灰質原料の総重量の0.1%である。これに対し、本発明における界面活性剤の望ましい添加量が、1〜5%と非常に多いのは気泡の連続化のメカニズムをより確実に実現するためである(詳細は後述)。
【0022】
増粘剤としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール等が好ましい。その添加量は、気泡と気泡の間の原料粒子や水の移動抵抗を大きくし、気泡の合体を防ぐとともに気泡の連続性を付与するという面で、固形原料の0.2〜0.5重量%の範囲が好ましい。また、増粘剤は界面活性剤の影響で著しく低下するスラリー粘度を調整する働き、及び連続気泡形成のための物質移動の抑制の働きをする。
【0023】
これらの原料以外に、養生中の硬化を調整するため、あるいは水熱反応の促進のために、石膏、アルミナセメント、アルミナ、アルカリ質などを適量混入することが出来る。しかしながら、これらの物資は、多量に使用すると反応を阻害する恐れもあるため、上記ケイ酸質原料および石灰質原料の全重量に対し、石膏では10%以下、アルミナでは20%以下、アルカリ物質は5%以下とするのが好ましい。
【0024】
本発明における水量は公知の水量が適用されるが、混合スラリーの粘度、発泡速度、半可塑化の速度などに影響し、結果的に吸音特性や各種物性に影響するため、ケイ酸質原料および石灰質原料の全原料に対し60〜85%が好ましく、より好ましくは70〜80%である。
【0025】
混合・撹拌方法は、上述した原料、添加剤および水を均一に混合されれば一般的なミキサーが利用できる。また切断は硬化せしめた吸音材のケーキをピアノ線などで所望の大きさ、形状に切断するが、他の方法で切断しても構わない。最後のオートクレーブ養生の条件は、170℃〜200℃でその飽和蒸気圧で3〜8時間の養生が好ましい。
【0026】
本発明において、金属アルミニウム粉末、界面活性剤および増粘剤が吸音材に必要な気泡の連続性を生じる作用は明確ではないが、次のような理由によるものと推測される。
金属アルミニウム粉末は、型枠に流し込んだ後アルカリと反応し水素ガスを発生させる。この水素ガスはスラリーの粘度およびスラリー中に存在する微小粒子がシェルを生成することによって安定した気泡を生成する。同時に、気泡膜に対しては界面活性剤、増粘剤等高分子が気泡を安定にしている。気泡の形成が増加するにしたがって、気泡同士が隣接するようになる。気泡と気泡とにはさまれた壁からは、原料粒子および水が移動し、合体しようとする。しかしながら、界面活性剤および増粘剤の高分子によって強力な気泡膜が気泡−気泡間に形成する。この気泡膜は、本製造工程の半可塑状態での材料の観察から確認ができる。
【0027】
金属アルミニウム粉末の発泡剤を使用した泡形成は、前述したプレフォーム方式やミックスフォーム方式による気泡とは異なり、後者の気泡がほぼ真球を呈するのに対し、前者の気泡には方向性がある。すなわち、アルミニウムの反応によってスラリー中で発生した気泡は、その下で起こる発泡によって上に持ち上げられ、この時の流れ抵抗によって水平方向に膨らんだ形状となる。このことによって、気泡−気泡間の接触は水平方向で多くなる。よって、上述の気泡膜は水平方向に形成する。この気泡膜は次第に消失するが、同時に硬化が進行しているため、気泡は合体せずそのままの状態を保持する。気泡膜は、その後のオートクレーブ養生で完全に消失する。
したがって、以上の過程で形成する気泡は、発泡方向に対して垂直な方向に連続性が非常に高く、かつ安定している。
【0028】
気泡の連続化のためには、一般に空隙量を多くするのが常套手段であるが、本発明は、極端な比重低下をさせずに、気泡同士の連続性に方向性を持たせることで、吸音特性並びに圧縮強度の両面に優れた材料を製造することが可能となるのである。
そのためには、上述したように主原料に対して金属アルミニウム粉末、界面活性剤および増粘剤の添加とその添加タイミングが不可欠な要素であり、いずれの要素が欠けても本発明の目的は達成されない。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例について述べる。[実施例1]ケイ酸質原料としてケイ石粉末48重量部、石灰質原料として早強セメント48重量部、石膏4重量部から成る固形分に対してALCの半可塑性物10重量部と水80重量部を加え、さらにこれに増粘剤としてメチルセルロース0.35重量部を添加して混合し2分撹拌して1次スラリーを得た。次にこの1次スラリーに金属アルミニウム粉末0.12重量部と高級アルコール硫酸エステル系界面活性剤2重量部を同時に添加して均一に混合し2次スラリーを得た。続いてこの2次スラリーを型枠に流し込んで徐々に発泡させて半硬化状態のケーキを得た。しかる後に、このケーキをピアノ線で10cm×60cm×60cmの大きさに切断し、次の条件下でオートクレーブで養生し完全に硬化させ、多孔質吸音材を得た。その多孔質吸音材の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した拡大写真を図1および図2に示した。
【0030】
養生温度:180℃ 養生圧力:10気圧 養生時間:4時間
この多孔質吸音材を乾燥させ、さらにφ9cm厚さ7cmに切り出して試験体を作り、JIS A 1406に準拠して垂直入射吸音率を測定した。その結果、表1から明らかなように、中心周波数(HZ)500以上の吸音率がかなり優れていた。さらに、前記吸音材を10cm×10cm×10cmに切り出して試験体を作り、圧縮強度を測定した(試験装置:インストロン社製圧縮試験機)結果、その試験体の圧縮強度は2.0MPa であった。
【0031】
[実施例2]
ケイ酸質原料としてケイ石粉末36重量部、石灰質原料として早強セメント60重量部、界面活性剤として高級アルコール硫酸エステル系界面活性剤3重量部にした以外は実施例1と同じ方法にて多孔質吸音材を製造し、垂直入射吸音率を測定した。その結果、表1に示すように実施例1と同様に中心周波数(HZ)500以上の吸音率が優れていた。また実施例1と同様に圧縮強度を測定したところ、1.8MPa であった。
【0032】
[比較例1]
ケイ酸質原料としてケイ石粉末48重量部、石灰質原料として早強セメント48重量部、石膏4重量部から成る固形分に対してALCの半可塑性物10重量部と水80重量部を加え、さらにこれに増粘剤0.35重量部と金属アルミニウム粉末1.2重量部を添加して混合し2分撹拌して、ある程度発泡が進んでいるスラリーを得た。次にこのスラリーを型枠に流し込んで、更に発泡させて半硬化状態のケーキを得た。しかる後に、実施例1と同様な方法と条件下で多孔質吸音材を得た。
【0033】
この多孔質吸音材を実施例1と同一方法で垂直入射吸音率を測定した結果、表1から明らかなように、すべての中心周波数(HZ)において、吸音率がかなり低かった。この結果から、界面活性剤を添加せずに、しかも型枠に流し込む以前に発泡を起こさせると、優れた吸音率は得られないことが分かる。
【0034】
[比較例2]
起泡剤として高級アルコール硫酸エステル系界面活性剤0.7重量部にした以外は実施例1と同じ方法で多孔質吸音材を製造し、垂直入射吸音率を測定した。その結果、表1から明らかなように、比較例1より若干高くなっているものの、すべての中心周波数(HZ)において実施例1および2よりもまだ低かった。
この結果から、界面活性剤の添加量も重要であることが分かる。
【0035】
[比較例3]
使用原料およびその配合比については実施例1と全く同じであるが、界面活性剤の添加を他の原料(ケイ酸質原料、石灰質原料、石膏4重量部、ALCの半可塑性物、水、増粘剤)の混合・撹拌と同時に行って多孔質吸音材を製造した。その吸音材の垂直入射吸音率を実施例1と同一方法で測定した結果、表1から明らかなように、比較例2よりもやや高い程度で、実施例1および2よりも低かった。 この結果から、界面活性剤と金属アルミニウム粉末の両者を添加しても、その添加のタイミングが本発明と異なると優れた吸音率は得られないことが分かる。
【0036】
[比較例4]
ケイ酸質原料としてケイ石粉末65重量部、石灰質原料として早強セメント35重量部からなる固形分に対して、水60重量部と高級アルコール硫酸エステル系界面活性剤1.5重量部および増粘剤としてメチルセルロース0.35重量部をミキサーに入れ2分間攪拌して起泡させ、次いでケイ石粉末65重量部、早強セメント35重量部を添加してさらに攪拌し、ミックスフォーム方式により製造した。その吸音材の垂直入射吸音率を実施例1と同一方法で測定した結果、表1から明らかなように、500から2000HZにおいて実施例1および2よりも低かった。
さらに、実施例1と同様に圧縮強度を測定したところ1.0MPaとなり、実施例1および2よりも低い結果となった。この結果から、界面活性剤によるミックスフォーム方式による製造では、吸音率および材料強度とも不十分であった。
【0037】
表 1
垂直入射吸音率
中心周波数 実施例1 実施例2 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
250 0.49 0.48 0.24 0.33 0.37 0.54
500 0.79 0.76 0.20 0.36 0.38 0.51
1000 0.72 0.74 0.21 0.35 0.41 0.60
2000 0.76 0.75 0.23 0.34 0.46 0.65
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、特に中位以上の中心周波数(HZ)において優れた吸音特性を有し、かつ同時に圧縮強度などの材料強度においても優れている多孔質吸音材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって得られた多孔質吸音材の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真(倍率:8倍)。
【図2】図1の写真の拡大写真(倍率:27倍)。
【図3】従来の製造方法によって得られた多孔質吸音材の断面を走査型電子顕微鏡で撮影した写真(倍率:27倍)。
Claims (4)
- ケイ酸質原料および石灰質原料を主原料とし連続気泡を有する多孔質吸音材の製造方法において、
先ずケイ酸質原料、石灰質原料および増粘剤を水と混合・撹拌して1次スラリーと成し、
次いでこの1次スラリーに発泡材として金属アルミニウム粉末を添加するとともに連続気泡形成用として界面活性剤を添加し混合して2次スラリーと成し、
しかる後この2次スラリーを型枠に流し込んだ後に、これをオートクレーブで養生することによって硬化せしめることを特徴とする多孔質吸音材の製造方法。 - 請求項1に記載の多孔質吸音材の製造方法であって、
1次スラリーに対して界面活性剤と金属アルミニウム粉末を添加し混合して2次スラリーと成す際には、2次スラリーが起泡しない程度に混合することを特徴とする多孔質吸音材の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の多孔質吸音材の製造方法であって、
連続気泡形成用として界面活性剤を1〜5%添加することを特徴とする多孔質吸音材の製造方法。 - 請求項1から請求項3のうちいずれかに記載の多孔質吸音材の製造方法であって、
ケイ酸質原料および石灰質原料の合計量の40%以下を、軽量気泡コンクリートの製造工程で発生する半可塑性物を解砕したスラリーによって置換した主原料を使用することを特徴とする多孔質吸音材の製造方法。
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