JP3831141B2 - アンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアンテナに係り、とくに広帯域の電波を受信することが可能なアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信の発達に伴って、各種のアンテナが用いられるようになっている。従来のアンテナはダイポール等の棒状をなす複数の素子を支持体を介して支持するようにしており、受信する電波の方向や偏波の方向に応じてその姿勢を調整して取付けるようにしている。また移動体用アンテナとしては、棒状をなす伸縮不能あるいは伸縮可能なロッドアンテナが広く用いられている。
【0003】
従来のこのような固定式のアンテナは、電波に対する指向性が極めて高く、電波が受信できるように所定の方向に向けて正しく設置しなければならないという問題がある。また全体的に寸法が大きく、このために設置に大きなスペースを要する欠点がある。また移動体通信用アンテナとして用いられるロッドアンテナは、受信の感度が悪く、場合によっては受信不能な状態を現出する問題があった。
【0004】
そこで本願発明者等は、特願平8−235969号において、指向性が少なく、移動体通信に用いて好適なアンテナを提案している。このアンテナは中心部に立設されたロッドと、このロッドの周囲に円周方向に沿って配列され、外周側に向って凸になるようにほぼ円弧状に湾曲されている複数枚の湾曲板とを組合わせた構造をなすものであって、とくに湾曲板の上端と下端とがそれぞれロッドに対して摺動可能に取付けられている上下の支持リングによって受けられるとともに、上下の支持リング間のロッド上における間隔を移動調整可能にしている。
【0005】
このような構造のアンテナは、ロッドの外周部に円周方向に沿って配列されている円弧状に湾曲された複数枚の湾曲板によって、任意の方向からの電波を効率的に受信することが可能であって、無指向性のアンテナが提供されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記のような構造のアンテナは、湾曲板の上下の部分を支持する支持リング間の間隔を移動調整可能にしているものの、湾曲板の長さは一定の長さであるために、必ずしも広い帯域の電波を効率的に受信することができない。すなわち受信可能な電波の帯域が制限される問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであって、より広い帯域の電波を受信することが可能なアンテナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ほぼ球状をなすとともに互いに寸法が異なる複数の導体を軸線方向に配列して成るアンテナに関するものである。ここで軸線方向に配列されている複数の導体が互いに一体に連結されていてよい。
【0009】
本願の別の発明は、ほぼ球状をなすとともに互いに寸法が異なる複数の導体をセンタホールに串刺し状に取付けて成るアンテナに関するものである。ここですべての導体がセンタポールに電気的に接続されていてよい。あるいはまた導体の一端がセンタポールに接続されるとともに、他端がセンタポールに対して絶縁され、それぞれの導体が互いに別々のアンテナを構成するようにしてよい。
【0010】
本発明の好ましい態様は、互いに大きさが異なる複数の、例えば2個、3個、あるいは4個のほぼ球状をなす導体を複数段に配列して成るアンテナに関するものであって、互いに寸法が異なるほぼ球状の導体を軸線方向に沿って配列し、大きさの異なるそれぞれの球状の導体によって対応する帯域の電波を受信するようにしたものであって、総体として広い帯域の電波の受信を可能にしたものである。
【0011】
ここで複数の導体は互いに一体に連結された構造であってよい。あるいはまた複数の導体がセンタポールに串刺し状に取付けられてよい。このような複数の導体はその大きさが大きいものが下側に、小さいものが上側に配列されることが望ましい。また下端部にはベースを兼用する反射板を配するようにしてよい。
【0012】
このようなアンテナによると、とくに互いに寸法が異なる複数の導体の組合わせによって、より広い帯域の電波を受信することが可能になり、広帯域の受信が可能なアンテナが提供される。また軸線に対して対称な形状をなしているために、指向性を有せず、あらゆる方向からの電波を受信できるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図3は本発明の第1の実施の形態のアンテナを示すものであって、このアンテナは例えばステンレス鋼板から成るベース10を備えている。そしてこのベース10上に、大きさが異なる球状部11、12、13を互いに積重ねるように配列している。これらの球状部11、12、13は球状部11が最も寸法の大きな球体から構成され、球状部12は中間の直径を有する球体であって、球状部13が最も直径の小さな球体になっている。そして球状部13の上部には突部14が連設されている。ここで球状部11、12、13の直径は、一例として125mm、60mm、30mmの値に設定される。また突部14はその直径が10mmの寸法であってよい。
【0014】
球状部11、12、13および突部14は図3に示すように、互いに連続した構造をなしており、円周方向の180°ずつをそれぞれ導電性の金属によって製造し、その接合面をろうづけ等の方法によって接合した中空の構造をなしている。そして下端側の部分がベース10の中央部に絶縁材料から成るインシュレータ16を介して取付けられるようになっており、これによってアンテナが組立てられるようになっている。
【0015】
このようなアンテナは、下側の大きな球状部11によって比較的波長の大きな電波を受信し、中央の球状部12によって中間の波長の電波を受信し、小さな直径の球状部13によってより波長の短い電波を受信するようにしている。従ってこれら3つの球状部11、12、13を備えるアンテナは、比較的広い帯域の電波の受信を行なうことが可能になる。なお受信した電波は球状部11の下端に接続される信号ケーブルを介して取出される。また図1および図2から明らかなように、ベース10の軸線に対して対称な形状をなしているために、このアンテナは指向性を有せず、あらゆる方向からの電波を受信することが可能であって、軸線を中心とする回転位置にこだわることなく任意の回転角度で取付けを行なうことが可能になる。すなわち取付けの調整が非常に容易になる。
【0016】
次に別の実施の形態を図4によって説明する。この実施の形態は中心部にセンタポール20を立設して設けるようにしたものであって、このセンタポール20の下端をインシュレータ21を介してベース10の中心部に固定するようにしている。そしてセンタポール20上に3つの球状部11、12、13を串刺し状に取付けるようにしている。ここで最も直径が大きな球状部11を1番下側に、中間の球状部12を中間位置に、そして最も小さな球状部13を上端に配するようにしている。さらにセンタポール20の上端には小球25を取付けるようにしており、合計4個の球状部11、12、13、25によって電波の受信を行なうようにしている。なおここで信号ケーブルはセンタポール20の下端部に接続されることになる。
【0017】
このような構造のアンテナにおいて球状部11、12、13、25の直径はそれぞれ例えば125mm、60mm、30mm、10mmの値に設定される。そしてこのアンテナにおいても、球状部11、12、13、25の組合わせによって、広い帯域の電波を受信することが可能になるとともに、その対称な形状によって、無指向性のアンテナを構成することになる。
【0018】
図5はさらに別の実施の形態を示している。この実施の形態は球状部11、12をセンタポール20上に串刺し状に取付けるようにしており、最も小さな球状部13を省略するようにしている。
【0019】
すなわちこの種のアンテナは、要求される帯域に応じて、球状部11、12、13の寸法やその組合わせの個数を任意に変更することが可能であって、これによって目的に応じて最も合理的であってかつコンパクトな構造および寸法とすることが可能になる。とくに球状部13をなくすことによって、部品点数が少なくなり、コストの低減が図られる。
【0020】
図6に示す構成は、図5に示す実施の形態において、センタポール20の上端に小球25を取付けるようにしたものである。すなわち大きな球状部11と、小さな球状部12とをセンタポール20上に串刺し状に取付けるとともに、このセンタポール20の上端に小球25を取付けるようにした構造を採用している。
【0021】
このような構造は、図5に示す実施の形態にさらに小球25を上端に付加しただけで、しかもより広帯域の、とくに波長の短い領域の電波の受信を可能にするものである。
【0022】
図7に示す構成は、ベース10上に立設されているセンタポール20に比較的大きな球状部11を串刺し状に取付けるとともに、このセンタポール20の上端に小球25を取付けた構成になっている。ここで球状部11が比較的波長の長い電波を受信し、センタポール20の上端の小球25が比較的波長の短い電波を受信することになる。従ってこれら2つの球状部11、25の組合わせによって、シンプルな構成でしかも広い帯域の電波の受信が可能になる。
【0023】
次に別の実施の形態を図8によって説明する。この実施の形態は、ベース10上に中空のセンタポール20を配するようにし、このようなセンタポール20上に互いに直径の異なる3つの球状部11、12、13を串刺し状に配列したものである。ここで球状部11、12、13の上端はそれぞれセンタポール20に電気的に接続されるものの、これらの球状部11、12、13の下端側は絶縁リング31、32、33を介してセンタポール20から絶縁されている。なお絶縁リング31がセンタポール20のインシュレータと兼用されている。そして球状部11、12、13の下端側の部分をリード線34、35、36と接続するとともに、これらのリード線34、35、36を切換えスイッチ37に接続するようにしている。
【0024】
すなわちこの実施の形態は、センタポール20上の3つの球状部11、12、13が互いに独立のアンテナを構成するようにしており、切換えスイッチ37の切換えによってその内の何れかの球状部11、12、13を選択的に使用するようにしている。なおここでリード線34、35、36をそれぞれ対応する受信回路に接続するようにしてもよい。
【0025】
このような構成によれば、3つの球状部11、12、13がそれぞれ別々のアンテナを構成することになり、これによってそれぞれの球状部11、12、13から成るアンテナがその寸法に応じた帯域の電波を受信することになる。しかもここでも、ベース10の中心軸線に対して対称な形状をなしているために、無指向性のアンテナになる。
【0026】
以上本発明を図示の実施の形態につき説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本発明の技術的思想に基いて各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態においては、球状部11、12、13および小球25が何れも球状をなしているが、これらの球状部11、12、13、25の形状を、楕円球等のほぼ球状をなす他の形状に変更することも可能である。またアンテナを構成する各種の素材についても、とくに上記実施の形態によって限定されることなく、その目的に応じて各種の材料を選択して使用可能である。
【0027】
【発明の効果】
請求項1の発明は、ほぼ球状をなすとともに互いに寸法が異なる複数の導体を軸線方向に配列して成るアンテナに関するものである。従ってこのように軸線方向に配列されている寸法が異なるほぼ球状をなす複数の導体によって、より広い帯域の受信が可能になる。
【0028】
請求項2の発明は、軸線方向に配列されている複数の導体が互いに一体に連結されたものである。従って部品点数が少なくなるとともに、構造が簡潔になり、低コストで広帯域型のアンテナを提供することが可能になる。
【0029】
請求項3の発明は、ほぼ球状をなすとともに互いに寸法が異なる複数の導体をセンタホールに串刺し状に取付けたものである。従ってこのような構成によれば、センタポール上に串刺し状に取付けた寸法の異なる導体によって、より広い帯域の電波を受信することが可能になる。
【0030】
請求項4の発明は、すべての導体がセンタポールに電気的に接続されているものである。このような構成によれば、複数の導体によって単一のアンテナが構成される。
【0031】
請求項5の発明は、導体の一端がセンタポールに接続されるとともに、他端がセンタポールに対して絶縁されるようにしたものである。従ってセンタポール上の複数の導体がそれぞれ別々のアンテナを構成するようになり、それぞれのアンテナが互いに波長の異なる電波を受信するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のアンテナの縦断面図である。
【図2】同平面図である。
【図3】同分解斜視図である。
【図4】第2の実施の形態のアンテナの縦断面図である。
【図5】第3の実施の形態のアンテナの縦断面図である。
【図6】第4の実施の形態のアンテナの縦断面図である。
【図7】第5の実施の形態のアンテナの縦断面図である。
【図8】第6の実施の形態のアンテナの縦断面図である。
【符号の説明】
10 ベース
11、12、13 球状部
14 突部
16 インシュレータ
20 センタポール
21 インシュレータ
25 小球
31、32、33 絶縁リング
34、35、36 リード線
37 切換えスイッチ
Claims (2)
- 下端に給電点を設けたセンタポールと、
ほぼ球状をなすとともに互いに寸法が異なる複数の導体とからなり、
前記センタポールを軸として前記複数の導体を串刺し状に配列し、前記複数の導体のすべてを前記センタポールを介して電気的に接続した
ことを特徴とするアンテナ。 - センタポールと、
ほぼ球状をなすとともに互いに寸法が異なる複数の導体とからなり、
前記センタポールを軸として前記複数の導体を串刺し状に配列し、
前記複数の導体のそれぞれの下方に絶縁リングを装着し、前記絶縁リングにより前記導体の下方と前記センタポールとをそれぞれ電気的に隔離し、
前記複数の導体のそれぞれの上端を前記センタポールに電気的に接続し、
前記複数の導体のそれぞれの下端に給電点を設けた
ことを特徴とするアンテナ。
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