JP3824850B2 - 多段プレス成形方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、主に自動車用部材のプレス成形に関し、離型後の弾性回復に起因する成形部材の壁反り等の寸法精度不良を改善するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車車体の大部分は、通常、薄鋼板をプレス成形した多数のプレス成形部材から構成されている。プレス成形後、成形部材は金型から取り出されるが、この離型の際に型に拘束されていた部分が弾性回復現象によって回復するため、成形部材に形状変化が生じる。形状変化が生じると、設計通りの寸法形状が得られないため、複数の部材を組み立てることが困難であったり、組み立て後に部材同士を接合(多くはスポット溶接)する際に接合できないという問題がある。また、仮に接合ができたとしても、部材の形状の狂いが原因で、車体の全体あるいは特定部分の寸法が設計値から外れ、所期のデザインを実現できないという不具合が生じる。このような問題は、近年の軽量化や安全性の観点から自動車車体に使用される薄鋼板の強度が高まっていることや、軽量であるがヤング率が鋼板と比べて著しく低いアルミ板等の材料が使用されるに及んで、ますます大きな問題となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記寸法不良には、壁反り、パンチ肩部の角度変化など種々のものがあるが、自動車用部材の製造時に多く用いられる絞り成形においては、壁反りが大きな問題となっている。前記絞り成形は、ダイと板押さえ部材との間に素材金属板を挟持し、前記ダイ側にパンチを相対移動させて前記ダイの成形穴部に前記素材金属板を前記パンチを介して押し込んで目的形状に成形する方法である。絞り成形を行うと、成形の際に、ダイの板押さえ面からダイの成形穴部の内面に移行するダイ肩部において、素材金属板は先ず曲げ変形を受け、前記肩部を通過後には曲げ戻し変形を受ける。このような変形は曲げ曲げ戻し変形と呼ばれる。
【0004】
図10に示すU形断面部材30を絞り成形した場合、パンチ頂部によって形成された底壁部31の両側に形成された側壁部32,32が曲げ曲げ戻し変形を受け、図11に示すように、側壁部32の外面側(成形穴部の内面側)の表面部は、肩部を通過する際に一旦圧縮され、通過後に引き伸ばされるため、プレス方向に引張応力が残留する。一方、側壁部32の内面側(パンチ外周面側)の表面部は、肩部を通過する際に一旦引き伸ばされ、通過後に圧縮されるため、プレス方向に圧縮応力が残留し、板厚方向において応力差が生じる。前記側壁部32の板厚方向に残留応力差があると、図10に示すように、離型後に曲げ曲げ戻し成形された側壁部32,32反るように変形し、壁反りが生じる。
【0005】
このような問題に対して、従来、成形末期に側壁部に引張応力を作用させ、型になじませながら成形する方法が考案されたが、特殊なプレス装置が必要であり、通常のプレス装置によっては実施困難である。これに対し、通常のプレス装置によって実施可能な方法として、素材金属板を絞り成形により目的形状に近似した形状に第1成形した後、第1成形部材の曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部に引張力を付加する第2成形を行い、これによって側壁部の壁反りを軽減、緩和する多段プレス成形法が試みられている。しかし、多段成形法においては、適正な成形条件の決定指標が明確になっていないため、曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部の反りの発生を防止することができない場合があり、安定的に壁反りを防止するに至っていない。
【0006】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、通常のプレス装置によって実施することができ、曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部の壁反りを防止することができ、寸法精度の良好な成形部材が得られるプレス成形方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、第2成形において側壁部に引張力を加え、板厚方向の全面を引張応力(同符号)に変化させことによって、第1成形において曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部の板厚方向の異符号の応力差を軽減、解消することによって、前記応力差に起因する壁反りを防止、解消することができるとの判断に基づき、前記第2成形における応力差の解消を可能とする側壁部への引張加工度を定量化すべく鋭意研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の多段プレス成形方法は、第1成形用ダイと第1成形用板押さえ部材との間に素材金属板を挟持し、前記第1成形用ダイの成形穴部に第1成形用パンチを押し込むことにより前記素材金属板を絞り成形し、その後離型する第1成形工程と、第1成形工程により成形された第1成形部材の曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部に引張力を付加する第2成形工程とを有する多段プレス成形方法において、前記第2成形工程は、前記第1成形部材のフランジ部を第2成形用ダイと第2成形用板押さえ部材とによって挟持し、前記フランジ部から前記第2成形用ダイの成形穴部への材料の流入を阻止した状態で前記第2成形用ダイの成形穴部に第2成形用パンチを押し込むことにより前記第1成形部材の側壁部に引張力を付加し、かつ前記第1成形部材の側壁部の平均板厚をt1、第2成形工程後の前記側壁部の平均板厚をt2としたとき、第2成形工程における板厚歪みεt2=(t1−t2)/t1×100(%)を下記εmin 以上とする。
εmin =(−9・rd1+365)・10-5・TS/t
但し、rd1は第1成形工程におけるダイ肩部の半径mm、TSは素材金属板の引張強さMPa、tは素材金属板の板厚mmである。
【0009】
本発明によれば、前記第2成形用ダイへの材料の流入を阻止した状態で前記第2成形用ダイの成形穴部に第2成形用パンチを押し込むことにより前記第1成形部材の側壁部に引張力を付加して、U形断面部材の側壁部の板厚ひずみεt2を、壁反りを確実に防止することができる側壁部の板厚ひずみの下限値を示すε min 以上にするので、第2成形工程後のU形断面部材の側壁部の板厚ひずみεt2を第2成形工程の成形ストロークと第1成形工程の成形ストロークとによって決定することができ、前記板厚ひずみεt2をε min 以上に極めて容易に制御することができる。
また、第2成形工程の際にフランジ部が第2成形用ダイの成形穴部に流入しないようにするには、前記フランジ部の板押さえ圧Pを下記Pmin 以上とすればよい。
Pmin =0.29・TS・(0.02・rd2+0.7)(MPa)
但し、rd2は第2成形におけるダイ肩部の半径mm、TSは素材金属板の引張強さMPaである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図を参照しながら説明する。この実施形態は、図2に示す底壁部21の両側に側壁部22およびフランジ部23が連成されたU形断面部材20を第1成形工程と第2成形工程との2工程によって成形する例を示すが、第1成形工程あるいは第2成形工程はそれぞれ複数の工程から構成するようにしてもよい。なお、第1成形工程、第2成形工程における成形を各々第1成形、第2成形と呼ぶ。
【0011】
図1は、前記U形断面部材20を第1成形および第2成形する際に用いられるプレス成形用金型の基本構造を示しており、成形穴部11が形成されたダイ(上型)1と、前記ダイ1に対して近接離反自在に設けられ、前記成形穴部11と共働して素材鋼板Wを成形するパンチ(下型)2とを備えている。前記パンチ2の外周部には、前記ダイ1の成形穴部11の外周部下面によって構成された板押さえ面12との間で素材鋼板Wを所定の圧力にて押圧する板押さえ部材3が付設されている。図中、rpはパンチ2の肩部の半径、rdはダイ1の肩部の半径、STは成形ストローク、Pは板押さえ圧を示す。以下の説明において、ダイ1、パンチ2、板押さえ部材3については、第1成形用と第2成形用とを区別せず、同符号を付する。一方、パンチ、ダイの肩部半径については、必要に応じて第1成形の場合には添え字「1」を、第2成形の場合には添え字「2」を付記する。例えば、第1成形におけるダイ肩部の半径はrd1、第2成形におけるダイ肩部の半径はrd2と表現される。なお、第1成形工程、第2成形工程において使用するプレス成形用金型は、同一の金型を用いればよいが、別の金型を用いてもよい。
【0012】
多段プレス成形するには、まず、第1成形した後、曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部の壁反りを矯正するために第2成形を行う。第1成形と第2成形とでは成形条件が異なるが、いずれの成形においても金型の基本動作は同様である。すなわち、まず、第1成形用ダイ1の板押さえ面12と第1成形用板押さえ部材3とによって素材金属板Wを挟持し、前記ダイ1の成形穴部11に第1成形用パンチ2を押し込むことにより前記素材金属板Wを絞り成形し、目的形状に近似した形状の第1成形部材を得る。この第1成形後に離型すると、図10のように、側壁部に壁反りが生じる。次に、第1成形終了時に第1成形用ダイ1と第1成形用板押さえ部材3とによって挟持された第1成形部材のフランジ部を、第2成形用ダイ1の板押さえ面12と第2成形用板押さえ部材3とによって挟持し、前記第2成形用ダイ1の成形穴部11に第2成形用パンチ2を押し込むことにより、前記フランジ部を第2成形用ダイ1の成形穴部11内に流入させつつ、あるいは材料の流入をストップして側壁部に引張力を作用させ、側壁部の壁反りを矯正する。
【0013】
上記金型を用いて、板厚1.2mm、強度レベル440MPa級の鋼板を素材鋼板として、前記U形断面部材20を2段成形し、成形条件と壁反りとの関係について調査した。その結果、壁反り低減量は、第2成形時に発生する側壁部22での板厚ひずみεt2と深い関係があることが見出された。前記第2成形における板厚歪みεt2は下記式によって与えられる値である。
εt2=(t1−t2)/t1×100(%)
但し、第1成形後の側壁部の平均板厚をt1、第2成形後の前記側壁部の平均板厚をt2とする。
【0014】
そこで、第1成形、第2成形における成形条件(ダイ肩部の半径rd、クリアランス、板押さえ圧)および素材条件(板厚、引張強さ、降伏強度)を種々変えて2段成形を行ったところ、U形断面部材20の側壁部22の壁反りは特に第1成形時のダイ肩部半径rd1、素材の板厚t、引張強さTSと強い相関があることが分かった。
【0015】
側壁部22の板厚歪みεt2と壁反りとの関係に及ぼすrd1,鋼板(板厚1.2mm)の引張強さの影響を調べた調査結果の3例を図3〜5に示す。この調査は、第1成形条件をパンチ幅=50mm、rp1=5mm、rd1=5〜15mm、クリアランス=1.6mm、成形ストローク=70mm、板押さえ圧(成形終了時)=20MPaとし、第2成形条件をパンチ幅=50mm、rp2=5mm、rd2=5mm、クリアランス=1.6mm、成形ストローク=71〜75mm、板押さえ圧(成形終了時)=50〜250MPaとして実施された。また、前記壁そりは、左右の側壁部の等価曲率半径ρ(mm)の逆数(mm-1)の平均値によって表した。前記等価曲率半径は、図10に示すように、U形断面部材の底壁部31と側壁部32とのアール止まりP1と、側壁部32とフランジ部33とのアール止まりP2とを結ぶ線分を弦とし、前記線分から側壁部32が最も離間する距離δを弦からの最大離間距離とする弧を備えた円の半径を意味する。
【0016】
図3〜5より、壁反り=0とする板厚歪みεt2の最小値εmin を式化すると下記式のように表現され、板厚歪みεt2を最小値εmin 以上とするように第2成形を行うことで、壁反りを防止することができる。
εmin =(−7.5・rd1+304.2)・10-5・TS
但し、rd1は第1成形におけるダイ肩部の半径mm、TSは素材金属板の引張強さMPaである。
前記図3〜5の結果は、板厚tが1.2mmの場合であるので、440MPa級鋼板を用いてεmin に及ぼす板厚の影響を調べた。調査は、前記と同様にして行ったが、rd1は5mmとした。その結果を図6に示す。
図6より、板厚による影響も大きく、板厚が大きくなるほどεmin が小さくなることが判明した。これより、板厚tの影響を考慮して前記式を再調整すると下記式(1) が得られた。式中のrd1、TSは前記式と同様であり、tは素材金属板の板厚mmである。
εmin =(−9・rd1+365)・10-5・TS/t ……(1)
【0017】
本発明では壁反り=0とする側壁部の板厚ひずみの下限値εmin についてのみ式化を行ったが、ある程度の壁反りを許す場合には、前記式(1) に若干の補正を加えればよく、その場合には、εmin がより小さい値となる。また、板厚ひずみの上限値εmax については、成形部材の強度や剛性に悪い影響を与えない適宜の値とすればよいが、通常、20%程度であれば問題ない。
【0018】
次に、実プレス生産で板厚ひずみεt2を簡単に管理しながら成形する手法について説明する。
側壁部に引張力を付加する第2成形において、フランジ部からダイの成形穴部への材料流入をストップさせれば、下記(2) 式の関係が成り立ち、プレスの成形ストロークSTを適宜設定することで、板厚ひずみεt2を簡単に制御することができる。なお、第2成形を複数工程で行う場合は、式(2) 中のεt2、εl2は全工程における合計値を意味する。
εt2≒εl2≒(ST2−ST1)/ST1×l00(%)……(2)
εl2:第2成形工程における側壁部の伸び歪み%
ST2:第2成形工程における成形ストロークmm
ST1:第1成形工程における成形ストロークmm
【0019】
次に、第2成形工程において、フランジ部からダイ成形穴部への材料流入をストップさせる効果的な方法について説明する。大きな設備変更を行うことなく、フランジ部から側壁部への材料流入をストップさせるには、板押さえ部材とダイとに挟持されたフランジ部の摺動抵抗を大きくすればよい。その手法として、例えば次の方法を取ることができる。
▲1▼板押さえ圧を上げる。
▲2▼フランジ部の表面にドロービード(凹凸部)を設ける。
▲3▼金型、素材金属板の表面粗度を調整し、摩擦係数を上昇させる。
▲4▼防錆油あるいは潤滑材について摩擦係数を高くするものを選定する。
【0020】
上記手法の内で、最も簡単かつ安定して材料流入阻止効果が得られるのは▲1▼である。このため、本発明では、フランジ部から側壁部への材料流入をストップさせるのに必要な板押さえ圧の下限値Pmin について調査した。この調査においては、第1成形終了後、第1成形部材のフランジ部側のアール止まりにケガキ線を入れておき、第2成形終了後にこのケガキ線が側壁部に流入しているかどうかを調べることによって、流入の有無を判断した。また、使用した金型の表面粗さRaは、標準の仕上加工レベルに相当する1.6μm 以下とした。
【0021】
この調査によって、板押さえ部材によって挟持されたフランジ部から側壁部(ダイ成形穴部)への材料流入を止め得る板押さえ圧には、素材条件(引張強度、降伏強度)、成形条件(ダイ肩部の半径、クリアランス)が影響を及ぼすことが分かった。特に、素材の材料強度(TS)、第2成形工程におけるダイ肩部の半径(rd2)が大きな影響を及ぼすことがわかった。
【0022】
フランジ部から側壁部への材料の流入を止め得る板押さえ圧(BHF)に及ぼす素材の材料強度(MPa)およびダイ肩部の半径rd2(mm)の影響を調べた調査結果の2例を図7および図8に示す。この調査は、パンチ幅=50mm、rp1=5mm、rd1=5mm、クリアランス=1.6mm、成形ストローク=70mm、板押さえ圧(成形終了時)=20MPaとして第1成形したU形断面第1成形部材を用いて、第2成形条件としてパンチ幅=50mm、rp2=5mm、rd2=5〜15mm、クリアランス=1.6mm、成形ストローク=75mm、板押さえ圧(成形終了時)=50〜250MPaとして第2成形し、第2成形の際に材料の流入の有無を調べることによって実施された。
【0023】
図7および図8より、材料流入をストップさせる板押さえ圧の最小値Pmin を式化すると下記式(3) のように表現され、板押さえ圧PをPmin 以上とするように第2成形を行うことで、材料の流入を確実に阻止することができる。従って、第2成形の成形ストロークを前記のように管理することで、壁反りを簡単容易に防止することができる。
Pmin =0.29・TS・(0.02rd2+0.7)(MPa)……(3)
rdi:2工程目以降のi工程でのダイ肩Rmm
TS:打料の引張強度MPa
【0024】
上記εmin 、Pmin は、図2に示したU形断面部材に対する限界値であるが、U形断面部材は長さ方向両端において側壁部が拘束されていないため、側壁部には反りが最も生じやすい形態をしている。実際の自動車用部材には、このような両端解放形状のみに限らず、後述の実施例のように、両端における側壁部が連成され、互いに拘束された形状のものもある。両端で側壁部同士が連成されたものは、両端解放形状のものより壁反りが生じにくく、前記εmin 、Pmin を満足すれば、より良好な壁反り防止効果を得ることができる。
【0025】
また、上記実施形態では、第2成形は側壁部への引張力の付与の観点から説明したが、例えば穴開けなどの他の加工を同時に行うようにしてもよい。また、多段成形には、壁反りの矯正を目的とする第2成形以外の他の成形工程、例えばフランジ部のせん断加工を目的とする成形工程を設けるようにしてもよい。また、本発明を実施するためのプレス装置には特に制限はなく、油圧プレスやメカニカルプレス、更には対向液圧プレス等のどのような形式のプレスでも使用可能である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定的に解釈されるものではない。
【0026】
【実施例】
高強度薄鋼板(板厚1.0mm、引張強さ590MPa)を素材鋼板とし、基本構成が図1と同様の金型を用いて図9に示す自動車用センターピラーモデル部材を第1成形工程、第2成形工程の2工程によってプレス成形した。この際、第1成形工程、第2成形工程とも同一の金型を使用した。第1成形工程における板押さえ圧P1は50MPaとした。また、第1成形工程における成形ストロークST1、第2成形工程における板押さえ圧P2および成形ストロークST2を表1に示す。表1には工具(金型)の表面平均粗さ(Ra)、第2成形工程における材料のダイ成形穴部への流入有無の観察結果をも示した。第2成形後、壁反りを測定した。壁反りは、中央部断面A−A(図の上端から約370mm位置)におけるU形断面における側壁部の等価曲率半径の逆数(両側壁部の平均値)によって示した。また、第2成形前後の側壁部の平均板厚から板厚歪みεt2を計算した。これらの結果を表1に併せて示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1中の試料No. 1〜4は、第2成形の板押さえ圧P2を100MPaとし、第2成形での成形ストローク差ΔST=(ST2−STl)を1〜4mmに順次大きくしたものである。前記式(1) により、εmin を計算すと1.88%であり、これ以上のεt2を有するNo. 3,4では予測通り壁反りが完全に防止されている。
εmin =(−9・rd1+365)・10-5・TS/t
=(−9・5+365)・10-5・590/1.0
=1.88(%)
【0029】
前記No. 1〜4では、フランジ部から側壁部への材料流入があるため、第2成形の成形ストロークST2を適正に設定し難い面がある。そこで、第2成形において、フランジ部から側壁部への材料流入をストップするために必要な板押さえ圧の下限値Pmin を前記式(3) により計算したところ、137MPaであった。
Pmin =0.29・TS・(0.02rd2+0.7)
=0.29・590・(0.02・5+0.7)
=137(MPa)
次に、材料流入をストップできたと仮定した場合に、εmin =1.88(%)を満足する第2成形の成形ストローク差ΔST(ST1=39mmの場合)を式(2) より求めると、0.73mmであった。
そこで、No. 5ではΔST=0.5mm(比較例)とし、No. 6ではΔST=1mm(発明例)として第2成形を実施した。その結果、No. 5では若干壁反りが残ったのに対し、発明例のNo. 6では壁反りは生じなかった。
【0030】
さらに、フランジ部から側壁部への材料流入を止める方法として、上記の板押さえ圧の高圧化以外に、No. 7として工具表面粗度をRa3μm と粗くした金型を用いて第2成形を行った。その結果、板押さえ圧をNo. 1〜4と同レベルの100MPaに減少させても、材料流入を止めることができ、壁反り=0を実現することができた。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、前記第2成形用ダイへの材料の流入を阻止した状態で前記第2成形用ダイの成形穴部に第2成形用パンチを押し込むことにより前記第1成形部材の側壁部に引張力を付加して、U形断面部材の側壁部の板厚ひずみεt2を、壁反りを確実に防止することができる側壁部の板厚ひずみの下限値を示すε min 以上にするので、第2成形工程後のU形断面部材の側壁部の板厚ひずみεt2を第2成形工程の成形ストロークと第1成形工程の成形ストロークとによって決定することができ、前記板厚ひずみεt2をε min 以上に極めて容易に制御することができる。このため、プレス成形部材の曲げ曲げ戻し変形を受ける側壁部の壁反りを容易かつ確実に防止することができ、更にはパンチ底部のたわみやパンチ肩部の角度変化等の改善効果が期待でき、高強度鋼板やアルミ板等を安定かつ精度良く成形することができる。このため、成形不良に基づく組み立て不良や、複数の成形部材の接合不良を防止することができ、生産性の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の多段(2段)成形に用いたプレス成形用金型の要部断面図である。
【図2】実施形態における成形対象を示すU形断面部材の斜視図である。
【図3】第1成形用ダイの肩部半径rd1=5mmの場合の壁反りに及ぼす側壁部板厚歪みεt2および素材鋼板強度の影響を示すグラフである。
【図4】第1成形用ダイの肩部半径rd1=10mmの場合の壁反りに及ぼす側壁部板厚歪みεt2および素材鋼板強度の影響を示すグラフである。
【図5】第1成形用ダイの肩部半径rd1=15mmの場合の壁反りに及ぼす側壁部板厚歪みεt2および素材鋼板強度の影響を示すグラフである。
【図6】壁反りを防止することができる側壁部板厚歪みの最小値εmin と板厚tとの関係を示すグラフである。
【図7】第2成形用ダイの肩部半径rd2=5mmの場合の板押さえ圧に及ぼす素材鋼板強度の影響を示すグラフである。
【図8】第2成形用ダイの肩部半径rd2=15mmの場合の板押さえ圧に及ぼす素材鋼板強度の影響を示すグラフである。
【図9】実施例における成形部材(自動車用センターピラーモデル)の平面図および側面図である。
【図10】絞り成形されたU形断面部材の離型後の壁反り状態を示す外観説明図である。
【図11】曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部における残留応力状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ダイ
2 パンチ
3 板押さえ部材
11 成形穴部
12 板押さえ面
22 32 側壁部
Claims (2)
- 第1成形用ダイと第1成形用板押さえ部材との間に素材金属板を挟持し、前記第1成形用ダイの成形穴部に第1成形用パンチを押し込むことにより前記素材金属板を絞り成形し、その後離型する第1成形工程と、第1成形工程により成形された第1成形部材の曲げ曲げ戻し変形を受けた側壁部に引張力を付加する第2成形工程とを有する多段プレス成形方法において、
前記第2成形工程は、前記第1成形部材のフランジ部を第2成形用ダイと第2成形用板押さえ部材とによって挟持し、前記フランジ部から前記第2成形用ダイの成形穴部への材料の流入を阻止した状態で前記第2成形用ダイの成形穴部に第2成形用パンチを押し込むことにより前記第1成形部材の側壁部に引張力を付加し、かつ前記第1成形部材の側壁部の平均板厚をt1、第2成形工程後の前記側壁部の平均板厚をt2としたとき、第2成形工程における板厚歪みεt2=(t1−t2)/t1×100(%)を下記εmin 以上とする、多段プレス成形方法。
εmin =(−9・rd1+365)・10-5・TS/t
但し、rd1は第1成形工程におけるダイ肩部の半径mm
TSは素材金属板の引張強さMPa
tは素材金属板の板厚mm - 前記フランジ部の板押さえ圧Pを下記P min 以上とする請求項1に記載した多段プレス成形方法。
P min =0.29・TS・(0.02・rd2+0.7)(MPa)
但し、rd2は第2成形におけるダイ肩部の半径 mm
TSは素材金属板の引張強さMPa
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