JP3823269B2 - 木造構造物の耐震構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は木造構造物の耐震構造に関し、特に大地震に対しても十分な強度を有する耐震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、熟練した職人の手による在来工法の木造建造物は木造骨組の出来ばえが素晴らしく、高い強度を示す。しかし、最近は熟練した職人は少なくなり、非常に大きな地震に対しては木造建造物の強度が十分に確保されていないのが実情である。
【0003】
これに対し、筋違や補強金具によって木造建造物を補強する方法が種々提案されている(例えば、特開昭62ー99538号公報、特開昭62ー225638号公報、特開平3ー262852号公報、実開平2ー58506号公報、実開平2ー123502号公報、等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、木質系プレハブ住宅は工場で木材を規格寸法に加工し、現場でそれを組立てるだけであり、寸法は概ね規格化されているので、上記従来の補強方法は比較的採用しやすいが、在来工法による木造家屋では現場の状況や施主の意向等によって木造骨組の寸法は様々に変化するので、上記従来の補強方法ではその変化に応じた現場加工ができず、職人の手による在来工法の木造建造物には採用し難い。
【0005】
この発明は、かかる問題点に鑑み、木質系プレハブ住宅だけでなく、職人の手による在来工法の木造建造物にも容易に採用でき、高い耐震性を確実に確保できるようにした木造構造物の耐震構造を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明に係る木造建造物の耐震構造は、コンクリート基礎上に構築した木造骨組み体を有する木造建造物において、上記木造骨組み体が上記コンクリート基礎上に固定された土台、該土台上に固定されて上下方向に延びる通し柱又は管柱、及び該通し柱又は管柱に固定されて水平方向に延びる胴差又は桁を少なくとも含み、上記コンクリート基礎には上記通し柱又は管柱の側面の下端から所定高さまでの部分と接するコンクリート補強壁面が一体的に形成され、該コンクリート補強壁面には上記通し柱又は管柱の側面と接する箇所に少なくとも1本のアンカーボルトが埋設され、該少なくとも1本のアンカーボルトが上記通し柱又は管柱を挿通してナットに螺締されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の特徴の1つは上述の金具工法の特徴を利用し、コンクリート基礎に補強壁面を設け、補強壁面にアンカーボルトを埋設し、補強壁面に通し柱又は管柱を沿わせてアンカーボルトを挿通してナットに螺合して締結するようにした点にある。
【0008】
これにより、二階建て以上の木造建造物の場合には一階の通し柱、平屋の木造建造物の場合には管柱が補強壁片にアンカーボルトによって強固に固定され、アンカーボルトがいわゆるホールダウン金物としても機能するので、横方向の揺ればかりでなく、上下方向の揺れに対しても許容し得る大きさ以上に揺れることがなくなる結果、木造建造物が大地震によって破損し倒壊するおそれを確実に解消できる。
【0009】
上述のように通し柱又は管柱を上下方向に強固に固定すると、在来工法では胴差又は桁を通し柱又は管柱に固定することが難しい場合がある。他方、最近、通し柱に胴差の取付け金具を取付け、胴差に嵌込み凹部を形成し、クレーンによって胴差を吊り下げて取付け金具に対して上方から落し込み、金具ピンを差し込んで通し柱と胴差とを固定する、いわゆる金具工法が実用化されている。この金具工法では通し柱を上下方向に強固に固定しておいても胴差を通し柱に固定することが可能であり、本発明の耐震構造ではこの金具工法を併用するのが好ましい。
【0010】
補強壁面はコンクリート基礎に一体的に形成すればよく、例えば埋込みボルトによってコンクリート基礎に締結するようにしてもよいが、作業の簡単さを考慮すると、コンクリート基礎の打設時に同時に形成するようにするのがよい。即ち、補強壁面はコンクリートをコンクリート基礎と同じ厚さで連続するように打設して形成されているのが好ましい。この補強壁面には必要に応じて鉄筋を配筋しておくことができる。
【0011】
補強壁面による補強は地震の揺れの方向を考慮すると、木造建造物の四隅、好ましくは各部屋の四隅の通し柱や管柱について行う、即ち複数のうちの少なくとも四隅の通し柱が補強壁面に螺締されているのがよい。
【0012】
上述の耐震構造は木造建造物を新築する場合に適した構造であるが、既設の木造建造物についても高い強度の耐震構造が求められる。本発明の考え方によれば、通し柱の一階部分又は管柱の基部側を補強壁面によって強固に補強して通し柱の揺れを防止又は抑制できれば耐震性能を大幅にアップすることができる。しかし、既設の木造建造物の場合には通し柱又は管柱の基部側を強固に補強することが難しく、胴差や管柱の横揺れも防止できるように、通し柱又は管柱の揺れを防止し又は抑制することが必要である。
【0013】
即ち、本発明に係る木造建造物の耐震構造は、コンクリート基礎上に構築した木造骨組み体を有する既設の木造建造物において、上記木造骨組み体が上記コンクリート基礎上に固定された土台、該土台上に固定されて上下方向に延びる通し柱又は管柱、及び該通し柱又は管柱に固定されて水平方向に延びる胴差又は桁を少なくとも含み、上記コンクリート基礎の通し柱又は管柱の側方の地面には凹所が形成され、該凹所内にはL字状の補強鉄骨が立設されてコンクリートによって固定され、該補強鉄筋は上記通し柱又は管柱の側面に沿わされて少なくとも上記胴差又は桁の高さまで延び、上記補強鉄筋と通し柱又は管柱とが少なくとも1本の締結ボルトとナットとによって締結されていることを特徴とする。
【0014】
補強鉄骨はL字状をなしていればよいが、補強鉄骨の基部側に斜めの補強梁を掛け渡して補強し、補強鉄骨の縦柱部分の揺れを防止するのが好ましい。
【0015】
また、補強鉄筋の強度アップを図る上で、補強鉄筋をコンクリート基礎に埋設されたアンカーボルトに螺締するのがよい。
【0016】
前述のアンカーボルト及び締結ボルトは少なくとも1本設けていればよいが、高い耐震性能を確保する上で、相互に所定の間隔をあけて2本以上設けるのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る木造建造物の耐震構造の好ましい実施形態を示し、これは二階建ての木造住宅に適用した例である。図において、地面上にはコンクリート基礎10が打設され、コンクリート基礎10上には木造骨組み体20が構築され、木造骨組み体20の上に屋根構造体(図示せず)が造作され、木造骨組み体20には壁面が構築されるとともに外装工事及び内装工事が施工されて木造住宅が建築されている。
【0018】
木造骨組み体20は土台21、通し柱22、管柱、胴差23、妻梁、棟束、棟木、小屋梁、軒桁、母屋を継手や仕口等によって木組みして構成されている。なお、土台21はコンクリート基礎10上にアンカーボルトによって固定され、上下方向に延びる通し柱22は土台21に固定され、水平方向に延びる胴差23は通し柱22に前述の金具工法によって固定されている。
【0019】
また、コンクリート基礎10には木造住宅の四隅及び中間に位置する通し柱22と接する箇所にコンクリート補強壁面11がコンクリート基礎10の同じ幅で連続するようにコンクリートを打設して所定高さ、例えばコンクリート基礎10から約2.5mの高さに形成されている。
【0020】
このコンクリート壁面11と通し柱22との間には防湿用の厚手のフェルトが介在され、コンクリート壁面11には複数本、図2では2本のアンカーボルト12が相互に所定の間隔をあけて水平方向に延びて埋設され、アンカーボルト12は通し柱22に挿通されてナットに螺合して締結されている。
【0021】
2本のアンカーボルト12は相互の平行度及び水平度を確保するために、図3に示されるように、コンクリート補強壁面11を打設して形成するための型枠パネル50に挿通して固定しておき、コンクリートの打設硬化後に型枠を外すときに、型枠パネル50からアンカーボルト12を抜くようにするのがよい。
【0022】
また、一階及び二階の各部屋の天井裏には所定径、例えば8mm径の鉄筋を用いてX字状に天井筋違30が配設され、天井筋違30は胴差23のコーナー部分にL型金具31を用いて取付けられている。
【0023】
ここで、コンクリート基礎10に用いる砂は海砂ではなく、川砂を用いるのが好ましい。
【0024】
通し柱22は2.5mの補強壁面11に2本のアンカーボルト12によって縫い付け、両者の間にフェルトを介在させているので、南側の開口を大きくでき、日当たりのよい住宅ができる。
【0025】
壁面は竹下地に、荒壁として3年練り置きの土を用い、外側は柱面まて塗り込め、土壁の上に防水性のある外壁材(商品名:タイベック)を貼って雨水の侵入を止める。荒壁のため、柱に貫が通って筋違にもなる。また、湿気の高い日本の風土に合わせ、和室は土壁とし、洋室は杉板、檜板、桐板を貼る。現在、合板や壁紙に使用されている接着剤や塗装に起因する化学物質は使用しないのが好ましい。
【0026】
一階天井及び二階天井に天井筋違30を設け、しかもL型金具31が胴差23のコーナー部分を相互に直角に固定するので、住宅の捩じれが発生せず、これによっても耐震性能を大幅にアップできる。
【0027】
一階床下板は相決り加工した杉板を用い、又二階板は杉板の3枚貼りで、縦横貼り合板に相決り加工したものを用いるのがよい。野地板は杉板挽きの相決り加工したものを用いるのがよい。
【0028】
胴差23及び妻梁には大断面集成材を用い、前述の金具工法によって通し柱22に固定するのがよい。
【0029】
本件発明者らの研究によれば上述の工法によって造った木造住宅は横揺れの地震ばかりでなく、縦揺れの地震に対しても極めて強く、半永久的な耐久性が期待できることが分かった。
【0030】
図5は第2の実施形態を示し、これは既設の木造住宅に適用した例である。図において、通し柱22の近傍の地面には凹所40が掘削され、凹所40内にはL字状の補強鉄骨43が立設され、コンクリート基礎10に埋設された2本のアンカーボルト45に螺合締結され、又補強鉄骨43の基部側はコンクリート41の打設によって固定されている。この補強鉄骨43にはめっきを施したステンレス鋼が用いられ、基部側には補強梁44が斜めに固定されている。
【0031】
補強鉄骨43は通し柱22の側面に沿わされ、胴差23の横揺れを阻止し得るように胴差23の高さまで延び、補強鉄筋43と通し柱22とは3本の締結ボルト42とナットとによって締結されている。従って、補強鉄骨43がいわゆるホールダウン金物として機能し、横揺れの地震ばかりでなく、縦揺れの地震に対しても強さを発揮する。なお、図中、26は木材製の筋違である。
【0032】
このように通し柱22の一階部分を補強鉄骨43に沿わせて固定することによって一階部分の強度を高め、第一の実施形態の場合と同様に、横揺れの地震及び縦揺れの地震に対する強度をアップして既設住宅の耐震性能を大幅に向上させることができることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る木造建造物の耐震構造の好ましい実施形態を示す概略平面図である。
【図2】 上記実施形態を示す要部側面図である。
【図3】 図2の一部拡大図である。
【図4】 上記実施形態における天井筋違を示す一部平面図である。
【図5】 第2の実施形態を示す要部側面図である。
【符号の説明】
10 コンクリート基礎
11 補強壁面
12 アンカーボルト
20 木造骨組み体
21 土台
23 胴差
30 天井筋違
40 凹所
42 締結ボルト
43 補強鉄筋
Claims (3)
- コンクリート基礎上に構築した木造骨組み体を有する木造建造物において、
上記木造骨組み体が上記コンクリート基礎上に固定された土台、該土台上に固定されて上下方向に延びる通し柱又は管柱、及び該通し柱又は管柱に固定されて水平方向に延びる胴差又は桁を少なくとも含み、
上記コンクリート基礎には上記通し柱又は管柱の側面の下端から所定高さまでの部分と接するコンクリート補強壁面が一体的に形成され、該コンクリート補強壁面には上記通し柱又は管柱の側面と接する箇所に少なくとも1本のアンカーボルトが埋設され、該少なくとも1本のアンカーボルトが上記通し柱又は管柱を挿通してナットに螺締されていることを特徴とする木造建造物の補強構造。 - 上記コンクリート補強壁面が上記コンクリート基礎に連続するように打設されている請求項1記載の木造建造物の補強構造。
- 複数のうちの少なくとも四隅の上記通し柱又は管柱が上記コンクリート補強壁面に螺締されている請求項1又は2記載の木造建造物の補強構造。
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