JP3821961B2 - パターン形成方法及び半導体装置の製造方法及び感放射線組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路(LSI)、マイクロマシン、磁気ディスク、光ディスク、液晶等の製造に係わり、活性化学線、特に光、紫外線、遠紫外線(FUV)、真空紫外線(VUV)、極紫外線(EUV)、X線、イオン線または電子線の露光あるいは照射によるレジストのパターン形成方法及び感放射線組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体集積回路、マイクロマシン、磁気ディスク、光ディスク、液晶等の製造には通常、レジストと呼ばれる感光性材料が用いられる。加工したい半導体等の基板の上にレジストを形成し、レジストに光、紫外線、遠紫外線、真空紫外線、極紫外線、X線、イオン線または電子線の露光あるいは照射を行い、レジストに所定の回路パターンの潜像を形成し、現像により未露光部または露光部を除去してレジストパターンを形成する。そしてレジストパターンをエッチングマスクとして下地基板の加工を行うものである。 近年、LSIの固体素子の集積度および動作速度を向上するため、回路パタ−ンの微細化が進んでいる。1μm以下の微細なレジストパターンをエッチングマスクとして下地半導体基板の加工を行う際には、ドライエッチングと呼ばれるガスプラズマ中の反応性イオンやラジカルを利用して下地半導体基板の加工を行っている。このため、レジストに要求される性能において、ドライエッチング耐性も重要な要素になっている。現在これらのレジストパタ−ンの形成には、露光光源を紫外線とする縮小投影露光法が広く用いられている。この方法の解像度は露光波長λに比例し投影光学系のウエハ側の開口数NAに反比例する。解像限界の向上は開口数NAを大きくとることにより行われてきた。しかし、この方法は焦点深度の減少と屈折光学系(レンズ)設計および製造技術の困難から限界に近づきつつある。このため、露光波長(λ)を短くする手段が行われている。例えば水銀ランプのg線(λ=435.8nm)からi線(λ=365nm)、さらにKrFエキシマレ−ザ(λ=248nm)等である。
【0003】
最近、露光波長の短波長化によるさらなる解像度の向上をめざして、ArFエキシマレ−ザ(λ=193nm)を用いたリソグラフィが研究開発されている。しかし従来レジストにおいてドライエッチング耐性が高いベース樹脂として用いられてきたノボラック、ポリビニルフェノールといったフェノール系樹脂は、波長193nmの領域の遠紫外線に対して強い吸収を示すため使用できない。この問題を回避するため、例えばジャーナル フォトポリマー サイエンス アンド テクノロジー 第7巻、3号(1994年)507ページから516ページに開示されているように、波長193nmの領域の遠紫外線に対して比較的透明であるポリメタクリレート系樹脂の側鎖にアダマンチル基やトリシクロデカニル基といった嵩高い環状脂肪族炭化水素からなるエステル基を導入して、ドライエッチング耐性の向上と波長193nmの領域の遠紫外線に対しての透明性の両立を図ったレジストが考案されている。アダマンチル基やトリシクロデカニル基といった嵩高いエステル基は疎水性が強いので、従来から用いられてきたレジスト用アルカリ現像液に可溶となるカルボン酸であるアクリル酸との共重合体にする必要がある。しかしながら、この共重合体はアダマンチル基やトリシクロデカニル基といった嵩高い疎水基と強い親水基であるカルボン酸との溶解性のバランスが悪く、これらの樹脂からなるArF用レジストではアルカリ現像液に対する溶解性が不均一となり易く、微細パターンの形成が困難であった。また、ポリメタクリレート系樹脂を用いているので、アダマンチル基やトリシクロデカニル基といった嵩高いエステル基を含んでいても、ドライエッチング耐性が不十分な問題があった。
【0004】
また、ドライエッチング耐性の向上と波長193nmの領域の遠紫外線に対しての透明性の両立を図った別のレジスト用ポリマーが、例えばジャーナル フォトポリマー サイエンス アンド テクノロジー 第11巻、3号(1998年)465ページから479ページに開示されている。これによると、ドライエッチング耐性の向上と波長193nmの領域の遠紫外線に対しての透明性の両立を図ったレジスト用ポリマーとして、ノルボルネンまたはその誘導体と無水マレイン酸の交互共重合ポリマーが紹介されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノルボルネンまたはその誘導体と無水マレイン酸との共重合体は、無水マレイン酸の2つのカルボニル基が共役しているため、波長193nmの領域の遠紫外線に対する透過率が低下する問題があった。また、上記共重合体は、酸無水物を含むので水やアルコールと反応しやすいため、保存安定性に問題があった。また、無水マレイン酸構造を有する共重合体はポリマー中の酸素含有率が比較的高くなり、ドライエッチング耐性が悪化する問題があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、ArFエキシマレーザの波長193nmを含む遠紫外線領域で透明、かつドライエッチング耐性も高い化学構造を持ちながら、水性アルカリ現像液で解像性能の優れたパターン形成方法を提供することにある。また第2の目的は、そのようなパターン形成方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することである。さらに第3の目的は、そのようなパターン形成方法に用いる感放射線組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の第1の目的は、所定の基板上に感光性組成物からなる塗膜を形成する工程、該塗膜に所定パターン状に活性化学線を照射することで該塗膜中に所望のパターンの潜像を形成する工程、水性アルカリ現像液を用いて該塗膜中に所望のパターンを現像する工程を少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法において、該感光性組成物のベース樹脂成分が、少なくとも環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物の共重合体であり、なおかつ該酸無水物部分の少なくとも一部を還元してラクトン構造にした樹脂であることを特徴とするパターン形成方法により達成される。
【0008】
ここで上記共重合体の構成成分である環状オレフィン化合物としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12、5.17、12]ドデカ−3−エン、1、5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2、5−ジエン等やビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボキシレート、テトラシクロ[4.4.0.12、5.17、12]ドデカ−3−エン−5−カルボキシレート等の何らかの置換基を有する環状オレフィンが挙げられる。これらの環状オレフィンは、1種類を用いても良いし、2種類以上を共重合して用いても良い。また二重結合を有する環状酸無水物化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。この環状酸無水物化合物に関しても、1種類を用いても良いし、2種類以上を共重合して用いても良い。また本発明で用いる共重合体は、上記の環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物以外に、t−ブチルメタクリレート等の他のモノマーを共重合したものでも良い。
【0009】
上記の環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物の共重合体は、その酸無水物部分の少なくとも一部を還元してラクトン構造にすることにより、酸無水物構造中に2つあるカルボニル基の1つがメチレン基に変化する。その結果、その分の193nmの吸収が低減される。またその分の樹脂中の酸素原子含量が減少するので、ドライエッチング耐性も向上する。また酸無水物構造は、それ自身がアルコールや水に対して反応してエステル化あるいは加水分解を受ける可能性があり、レジスト溶液中では、必ずしも安定とはいえない。これに対して、それをラクトンに還元した構造では、エステル構造であるので酸無水物よりも安定であり、保存安定性の向上が期待できる。上記の共重合体中の酸無水物部分は、基板との接着性を向上させる役割を担っている。ラクトン構造でもそのエステル構造のため、基板との接着性は損なわれない。上記酸無水物構造は、その全部をラクトン構造に変換しても良いし、一部の酸無水物構造を残してもかまわない。
【0010】
本発明のパターン形成方法において、活性化学線を照射することで該塗膜中に所望のパターンの潜像を形成する工程と、水性アルカリ現像液を用いて該塗膜中に所望のパターンを現像する工程との間に、該塗膜を加熱する工程を含んでもよい。この塗膜を加熱する工程は、塗膜のパターン形成の機構として、酸触媒反応を利用する場合に有効である。
【0011】
本発明のパターン形成方法における活性化学線としては、ArFエキシマレーザ光が望ましいが、その他の光、紫外線、遠紫外線、真空紫外線、極紫外線、X線、イオン線または電子線等を用いても良い。
【0012】
本発明のパターン形成方法において、水性アルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液が望ましいが、その他のアルカリ性を示す水溶液を用いても良い。
【0013】
上記第2の目的である半導体装置の製造方法は、 半導体基板上に上記記載のいずれかのパターン形成方法によりレジストパターンを形成し、それをもとに、基板をエッチング加工する工程か、もしくは基板にイオンを打ち込む工程を含むことにより達成される。本発明のパターン形成方法を用いた半導体装置の製造方法を適用してデバイスを作製する際、特にデバイスの性能を主に支配するフィールド酸化層、ゲート層、配線層、コンタクトホール層に適用するのが望ましい。半導体基板上に上記記載のいずれかのパターン形成方法によりレジストパターンを形成し、それをエッチングマスクとして、基板をエッチング際、用いるエッチングガスの種類は適用する層における加工したい基板の種類に応じて選択される。例えば、基板の主成分が二酸化ケイ素である酸化膜ならば、エッチングガスとして4フッ化炭素(CF4)、3フッ化メタン(CHF3)、6フッ化エタン(C2F6)、8フッ化ブテン(C4F8)、3フッ化プロパン(C3F8)等のフッ素系ガスの単体あるいは水素(H2)、アルゴン、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、酸素(O2)等のガスを少なくとも1種類混合して用いて良い。また、基板がゲート層に用いられる多結晶シリコンならば、エッチングガスとして塩素ガス(Cl2)、HBrガスの単体あるいはそれらの混合ガス、もしくは塩素ガスと酸素ガスの混合ガスを用いて良い。また、基板がフィールド酸化層に用いられる窒化シリコン(SiNx)や反射防止膜などにも用いられる窒酸化シリコン(SiOxNy)ならば、エッチングガスとして、2フッ化メタンガス(CH2F2)、4フッ化炭素(CF4)、3フッ化メタン(CHF3)等のフッ素系ガスの単体、あるいは水素(H2)、アルゴン 等のガスを少なくとも1種類混合して用いて良い。
【0014】
また、基板をドライエッチングする際に、種々のプラズマ生成方式のドライエッチング装置を選択して用いることができる。例えば従来からの平行平板型や高密度プラズマ源である電子サイクロン共鳴(ECR)型、イオンエネルギー変調(IEM)型、UHFプラズマ型、誘導結合プラズマ(ICP)型、ヘリコン型、表面波型等のプラズマ源を有する装置があり、各種ドライエッチング装置をエッチングする基板に応じて使い分けるのが望ましい。
【0015】
上記第3の目的を達成するために本発明の感放射線組成物は、少なくとも環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物を含む共重合体の該酸無水物部分の少なくとも一部を還元してラクトン構造にした樹脂、及び活性化学線の照射により酸を発生する化合物を少なくとも含むようにしたものである。
【0016】
ここで上記共重合体の構成成分である環状オレフィン化合物としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12、5.17、12]ドデカ−3−エン、1、5−シクロオクタジエン、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2、5−ジエン等やビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−カルボキシレート、テトラシクロ[4.4.0.12、5.17、12]ドデカ−3−エン−5−カルボキシレート等の何らかの置換基を有する環状オレフィンが挙げられる。これらの環状オレフィンは、1種類を用いても良いし、2種類以上を共重合して用いても良い。また二重結合を有する環状酸無水物化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。この環状酸無水物化合物に関しても、1種類を用いても良いし、2種類以上を共重合して用いても良い。また本発明で用いる共重合体は、上記の環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物以外に、t−ブチルメタクリレート等の他のモノマーを共重合したものでも良い。
【0017】
上記重合体は、重量平均分子量が1、000から100、000のものが望ましく、2、000から30、000のものがより望ましい。重量平均分子量が、1、000より小さいものは塗膜になりにくく、100、000を超えるものは、現像が均一に進行しにくい。
【0018】
上記共重合体中の酸無水物は、その全部をラクトン構造に変換しても良いし、一部の酸無水物構造を残してもかまわない。ラクトン構造に変換する割合が多い方が、本発明の効果を得やすい。
【0019】
上記の感放射線組成物に含まれる活性化学線の照射により酸を発生する化合物としては、トリフェニルスルホニウムトリフレートなどのオニウム塩、トリフルオロメタンスルホニルオキシナフチルイミドなどのスルホニルオキシイミド、スルホン酸エステル等が挙げられるが、活性化学線、例えばArFエキシマレーザ等の照射により酸を発生するものであれば良い。また活性化学線の照射により酸を発生する化合物を用いる割合としては、上記樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部が望ましい。
【0020】
なお上記の感放射線組成物は、保存安定性、プロセス安定性等を向上させるために、上記の活性化学線の照射により酸を発生する化合物100重量部に対して、0.1から100重量部のジシクロヘキシルアミン等の塩基性化合物、あるいはそれと酸との塩、例えばジシクロヘキシルアンモニウムカンファースルフォネート等を含むことができる。また必要に応じて、基板との接着性向上や溶解特性の向上のために可塑剤として、t−ブチルコール酸のような低分子の化合物を樹脂100重量部に対して1から100重量部含むことができる。
【0021】
本発明の感放射線組成物を、アルカリ現像によりポジ型の感放射線組成物として機能させるためには、酸触媒反応によりアルカリ可溶性が増大する構造を有することが望ましい。そのような構造としては、カルボン酸構造をt−ブチル基や2―メチルアダマンチル基等の3級炭素エステル、テトラヒドロピラニル基や1−エトキシエチル基等のアセタール、3−オキソシクロへキシル基等のβ―オキシケトンからなるエステルで保護したものが挙げられる。これらの構造は、露光により生じた酸の存在下で、加熱されることにより、速やかにアルカリ可溶性基であるカルボン酸を生成する。上記の酸触媒反応によりアルカリ可溶性が増大する構造は、上記の共重合体に含まれても良いし、あるいは別の化合物として添加されていても良い。またそれら両方に含まれていても良い。
【0022】
本発明の感光性組成物では、少なくとも環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物を含む共重合体の該酸無水物部分の少なくとも一部を還元してラクトン構造にした樹脂を用いる。樹脂中の酸無水物構造をラクトン構造に変換することにより、前述したように193nmの吸収が低減され、またその分の樹脂中の酸素原子含量が減少するので、ドライエッチング耐性が向上する。さらにラクトン構造は、エステル構造であるので酸無水物よりもアルコールや水に対して安定であり、保存安定性の向上が期待できる。さらに本発明の感放射線組成物をポジ型として機能させるために、上記のような酸触媒反応によりアルカリ可溶性が増大する構造を用いる場合、カルボン酸構造をテトラヒドロピラニル基や1−エトキシエチル基等のアセタールで保護した構造は、酸無水物構造の存在下では、酸無水物とアセタールが反応するための不安定である。そのような場合、樹脂中の酸無水物をすべてラクトン構造に変換することにより、アセタールのような保護基を安定して用いることができる。
【0023】
本発明の感放射線組成物を、アルカリ現像によりネガ型の感放射線組成物として機能させるためには、酸触媒反応によりアルカリ可溶性が減少する構造を有することが望ましい。そのような構造としてはエポキシ基、1、3、4、6−テトラキス(メトキシメチル)グリコルウリル等が挙げられる。これらの構造は、露光により生じた酸の存在下で、加熱されることにより、速やかに架橋を起こしアルカリ可溶性を減少させる。上記の酸触媒反応によりアルカリ可溶性が減少する構造は、上記の共重合体に含まれても良いし、あるいは別の化合物として添加されていても良い。またそれら両方に含まれていても良い。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。まず実施例に先立ち、本発明で用いた材料の合成例を示す。
【0025】
〈合成例1〉
ノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸t−ブチル−アクリル酸共重合体(1a)及びγ―ラクトン化ポリマー(1b)合成
温度計、冷却管、窒素導入管をつけた500ml3つ口フラスコに、ノルボルネン18.8g(200mmol)、無水マレイン酸19.6g(200mmol)、アクリル酸2.9g(40mmol)、アクリル酸t−ブチル5.7g(40mmol)、2、2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1.31g(8mmol)、テトラヒドロフラン250gを入れ、窒素を導入しながら70℃で加熱環流して、8時間重合を行った。重合後、n−ヘキサン1000mlへ溶液を注ぎ、ポリマーを析出させ乾燥してノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸t−ブチル−アクリル酸共重合体(1a)を21.1gを得た(収率45%)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン中で、このポリマーのポリスチレン換算の分子量を調べたところ、重量平均分子量が7、800、数平均分子量が4、300であった。
【0026】
500ml3つ口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム0.95g(25mmol)とテトラヒドロフラン30gを入れ、窒素下で0℃に冷却して攪拌しながら、上記のように合成したノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸t−ブチル−アクリル酸共重合体(1a)8.2gをテトラヒドロフラン70gに溶解したものを約1時間かけて滴下した。滴下後、室温で数時間攪拌した後、一晩放置した。
【0027】
この溶液に約3N塩酸水溶液を徐々に加えて、PH1の酸性水溶液とし、室温で一晩攪拌した。酢酸エチル約150mlを加えて抽出を2回行い、得られた有機層を100mlの水で2回洗浄した。洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥後、溶媒を減圧留去して減らして、n−ヘキサン500mlへ注いでポリマーを沈殿させた。白色粉末状のポリマー6.5gが得られ、その構造は、種々の分析法から(1a)の酸無水物の部分が還元されてγ―ラクトン化した構造をもつポリマー(1b)であることがわかった。
【0028】
得られたポリマー(1a)、(1b)100重量部をそれぞれシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.2μmのフィルターで濾過した。それを回転塗布し、100℃で2分間ベークしてポリマー膜を得た。フッ化リチウム基板上に塗布した膜の吸収スペクトルを、真空紫外分光装置(ARC社製)で測定したところ、193nmの吸光度が、膜厚1.0μmで(1a)は0.35であり、(1b)は0.30であることがわかった。
【0029】
〈合成例2〉
5−カルボン酸t−ブチルノルボルネン−無水マレイン酸共重合体(2a)及びγ―ラクトン化ポリマー(2b)、(2c)の合成
温度計、冷却管、窒素導入管をつけた500ml3つ口フラスコに、5−カルボン酸t−ブチルノルボルネン19.4g(100mmol)、無水マレイン酸9.8g(100mmol)、2、2’−アゾビス(イソブチロニトリル)0.65g(4mmol)、テトラヒドロフラン150gを入れ、窒素を導入しながら70℃で加熱環流して、8時間重合を行った。重合後、n−ヘキサン600mlへ溶液を注ぎ、ポリマーを析出させ乾燥して5−カルボン酸t−ブチルノルボルネン−無水マレイン酸共重合体(2a)を24.9gを得た(収率85%)。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン中で、このポリマーのポリスチレン換算の分子量を調べたところ、重量平均分子量が6、400、数平均分子量が4、300であった。
【0030】
500ml3つ口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム0.38g(40mmol)とテトラヒドロフラン30gを入れ、窒素下で0℃に冷却して攪拌しながら、上記のように合成したノ5−カルボン酸t−ブチルノルボルネン−無水マレイン酸共重合体(2a)11.7gをテトラヒドロフラン70gに溶解したものを約1時間かけて滴下した。滴下後、室温で数時間攪拌した後、一晩放置した。
【0031】
この溶液に約3N塩酸水溶液を徐々に加えて、PH1の酸性水溶液とし、室温で一晩攪拌した。酢酸エチル約150mlを加えて抽出を2回行い、得られた有機層を100mlの水で2回洗浄した。洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥後、溶媒を減圧留去して減らして、n−ヘキサン500mlへ注ぎ、沈殿したポリマーを乾燥して白色粉末状のポリマー6.5gを得た。得られたポリマーの構造は、種々の分析法から(2a)の酸無水物の部分が還元されてγ―ラクトン化した構造をもつポリマー(2b)であることがわかった。
【0032】
同様にして上記で用いた水素化ホウ素ナトリウム0.38gの量を減らして、0.19g(20mmol)にして、上記と同様に酸無水物のラクトン化反応を行った。その結果、得られたポリマーは、種々の分析法から(2a)の酸無水物の約45%が還元されてγ―ラクトン化した構造をもつポリマー(2c)であることがわかった。
【0033】
得られたポリマー(2a)、(2b)、(2c)100重量部をそれぞれシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.2μmのフィルターで濾過した。それを回転塗布し、100℃で2分間ベークしてポリマー膜を得た。フッ化リチウム基板上に塗布した膜の吸収スペクトルを、真空紫外分光装置(ARC社製)で測定したところ、193nmの吸光度が、膜厚1.0μmで(2a)は0.38であり、(2b)は0.32、(2c)は0.36であることがわかった。
【0034】
次に、半導体基板へのパターン形成を行う前に、合成例1および合成例2で合成したポリマーのドライエッチング耐性の評価を行った。
【0035】
合成例1で合成したポリマー(1a)およびポリマー(1b)をそれぞれ100重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過した後、 これらをそれぞれシリコン基板に回転塗布し、塗布後110℃で2分間加熱処理して、膜厚0.8μmのポリマー(1a)およびポリマー(1b)の薄膜を形成した。次に誘導結合プラズマ(ICP)型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力0.3PaのHBrとCl2(塩素ガス)を用いて、ポリマー(1a)およびポリマー(1b)の薄膜のドライエッチング耐性を評価した。ポリマー(1a)およびポリマー(1b)の薄膜のドライエッチング速度の相対比は、ポリマー(1a)が1.0に対し、ポリマー(1b)が0.8であり、ポリマー(1b)のドライエッチング耐性が優れていることがわかった。
【0036】
次に、合成例2で合成したポリマー(2a)、ポリマー(2b)およびポリマー(2c)をそれぞれ100重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過した後、 これらをそれぞれシリコン基板に回転塗布し、塗布後110℃で2分間加熱処理して、膜厚0.8μmのポリマー(2a)、ポリマー(2b)およびポリマー(2c)の薄膜を形成した。次にイオンエネルギー変調型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力2.7Paの6フッ化エタン(C2F6)ガスを用いて、ポリマー(2a)、ポリマー(2b)およびポリマー(2c)の薄膜のドライエッチング耐性を評価した。ポリマー(2a)、ポリマー(2b)およびポリマー(2c)の薄膜のドライエッチング速度の相対比は、それぞれ、ポリマー(2a)が1.0、ポリマー(2b)が0.8、ポリマー(2c)が0.9であった。
【0037】
〈合成例3〉
ノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(3a)及びγ―ラクトン化ポリマー(3b)及び1−エトキシエチル化ポリマー(3c)の合成
温度計、冷却管、窒素導入管をつけた500ml3つ口フラスコに、ノルボルネン18.8g(200mmol)、無水マレイン酸19.6g(200mmol)、アクリル酸5.8g(80mmol)、2、2’−アゾビス(イソブチロニトリル)1.31g(8mmol)、テトラヒドロフラン250gを入れ、窒素を導入しながら70℃で加熱環流して、8時間重合を行った。重合後、n−ヘキサン1000mlへ溶液を注ぎ、ポリマーを析出させ乾燥してノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(3a)を25.1gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりテトラヒドロフラン中で、このポリマーのポリスチレン換算の分子量を調べたところ、重量平均分子量が8、500、数平均分子量が5、600であった。
【0038】
500ml3つ口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム1.9g(50mmol)とテトラヒドロフラン80gを入れ、窒素下で0℃に冷却して攪拌しながら、上記のように合成したノルボルネン−無水マレイン酸−アクリル酸共重合体(3a)16.1gをテトラヒドロフラン150gに溶解したものを約1時間かけて滴下した。滴下後、室温で数時間攪拌した後、一晩放置した。
【0039】
この溶液に約3N塩酸水溶液を徐々に加えて、PH1の酸性水溶液とし、室温で一晩攪拌した。酢酸エチル約200mlを加えて抽出を2回行い、得られた有機層を100mlの水で2回洗浄した。洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥後、溶媒を減圧留去して減らして、n−ヘキサン800mlへ注いでポリマーを沈殿させた。白色粉末状のポリマー14.0gが得られ、その構造は、種々の分析法から(3a)の酸無水物の部分が還元されてγ―ラクトン化した構造をもつポリマー(3b)であることがわかった。
【0040】
得られたポリマー(3b)10.0g、エチルビニルエーテル4.0gをTHF200mlに溶解し、ピリジニウムp−トルエンスルホネート0.60gを加え室温で数時間撹拌した。反応の進行を赤外吸収スペクトルで確認した後、酢酸エチル300mlを加え、有機層を100ml食塩水で3回洗浄した。洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥後、溶媒を減圧留去して減らして、n−ヘキサン600mlへ注ぎ、沈殿したポリマーを乾燥して、1−エトキシエチル化ポリマー(3c)を8.2gを得た。
【0041】
〈実施例1〉
まず、本発明における具体的な実施例1を記す。合成例1で合成したポリマー(1b)100重量部、酸発生剤トリフェニルスルホニウムトリフレート2重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過し、レジスト溶液とした。
【0042】
図1は、本発明によるパタ−ン形成方法の工程を示す図である。多結晶シリコン1が全面に厚さ0.1μmで被着された半導体基板2上に、膜厚80nmの反射防止膜10を形成した後、上記のレジスト溶液を回転塗布し、塗布後110℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜3を形成した。ArFエキシマレーザを光源とする露光装置(図示ぜず)を用いて所定の回路パタ−ン5を形成したマスク4を介して波長193nmの紫外線6を露光し、レジストの露光部7と未露光部8を形成した(図1((b))。露光量は10mJ/cm2であった。露光後、ホットプレートにより120℃の温度で90秒間熱処理した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行い、水でリンスして、レジストの露光部を除去した。剥離がなく寸法制御性の良い0.15μmの孤立ラインを含むポジ型のレジストパタ−ン9を得た(図1((c))。次に、酸素のドライエッチングで反射防止膜10を加工した後、形成したレジストパタ−ン9をマスクにして下地の多結晶シリコン1をドライエッチング加工した。誘導結合プラズマ(ICP)型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力0.3PaのHBrとCl2(塩素ガス)を用いて行った結果、多結晶シリコン1を良好にエッチングすることができた。次に、ポジ型のパタ−ン9を除去し、寸法制御性の良い0.15μmの孤立ラインを含む多結晶シリコンパターン14を形成した(図1((d))。
【0043】
〈実施例2〉
実施例1で用いたポリマー(1b)の代わりに、合成例2で合成したポリマー(2b)を100重量部、t−ブチルコール酸10重量部、酸発生剤トリフルオロメタンスルホニルオキシナフチルイミド3重量部、ジシクロヘキシルアミン0.015重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過しレジスト溶液とした。
【0044】
酸化膜が全面に厚さ0.4μmで被着された半導体基板上に、膜厚80nmの反射防止膜を形成した後、上記のレジスト溶液を回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。ArFエキシマレーザを光源とする露光装置を用いて所定の回路パタ−ンを形成したマスクを介して波長193nmの紫外線を露光し、レジストの露光部と未露光部を形成した。露光量は15mJ/cm2であった。露光後、ホットプレートにより120℃の温度で90秒間熱処理した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行い、レジストの未露光部を除去した。剥離がなく寸法制御性の優れた0.15μmのホールパターンを含むポジ型のレジストパタ−ンを得た。次に、酸素のドライエッチングで反射防止膜を加工した後、形成したレジストパタ−ンをマスクにして下地の酸化膜をドライエッチング加工した。イオンエネルギー変調型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力2.7Paの6フッ化エタン(C2F6)ガスを用いて行った結果、多結晶シリコンを良好にエッチングすることができた。次に、ポジ型のパタ−ンを除去し、寸法制御性の優れた0.15μmのホールパターンを含む酸化膜パターンを形成した。
【0045】
〈実施例3〉
合成例2で合成したポリマー(2c)100重量部、酸発生剤トリフルオロメタンスルホニルオキシスクシイミド5重量部、ジシクロヘキシルアンモニウムカンファースルホネート5重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過しレジスト溶液とした。
【0046】
窒化シリコン(SiNx)膜が全面に厚さ0.2μmで被着された半導体基板上に、上記レジストを回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。ArFエキシマレーザを光源とする露光装置を用いて所定の回路パタ−ンを形成したマスクを介して波長193nmの紫外線を露光し、レジストの露光部と未露光部を形成した。露光量は10mJ/cm2であった。露光後、ホットプレートにより120℃の温度で90秒間熱処理した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行い、レジストの露光部を除去した。剥離がなく寸法制御性の優れた0.15μmのラインアンドスペースパターンを含むポジ型のレジストパタ−ンを得た。次に、形成したレジストパタ−ンをマスクにして下地の窒化シリコン1をドライエッチング加工した。イオンエネルギー変調型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力2.7Paの2フッ化メタン(CH2F2)ガスを用いて行った結果、窒化シリコンを良好にエッチングすることができた。次に、ポジ型のパタ−ンを除去し、寸法制御性の優れた0.15μmのラインアンドスペースパターンを含む窒化シリコンパターンを形成した。
【0047】
〈実施例4〉
実施例1で用いたレジストの代わりに、合成例3で合成したポリマー(3c)を100重量部、酸発生剤トリフルオロメタンスルホニルオキシナフチルイミド2重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過し、レジスト溶液とした。
【0048】
実施例1と同様に、酸化膜が全面に厚さ0.4μmで被着された半導体基板上に、膜厚80nmの反射防止膜を形成した後、上記のレジスト溶液を回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。ArFエキシマレーザを光源とする露光装置を用いて所定の回路パタ−ンを形成したマスクを介して波長193nmの紫外線を露光し、レジストの露光部と未露光部を形成した。露光量は10mJ/ cm2であった。露光後、ホットプレートにより120℃の温度で90秒間熱処理した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行い、レジストの未露光部を除去した。剥離がなく寸法制御性の優れた0.15μmのホールパターンを含むポジ型のレジストパタ−ンを得た。レジスト溶液を6℃で1週間保存後、再度同条件下でパタン形成を行ったところ、レジストの劣化は見られず、再現性良く0.15μmのホールパタンが選られた。
【0049】
次に、酸素のドライエッチングで反射防止膜を加工した後、形成したレジストパタ−ンをマスクにして下地の酸化膜をドライエッチング加工した。イオンエネルギー変調型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力2.7Paの6フッ化エタン(C2F6)ガスを用いて行った結果、多結晶シリコンを良好にエッチングすることができた。次に、ポジ型のパタ−ンを除去し、寸法制御性の優れた0.15μmのホールパターンを含む酸化膜パターンを形成した。
【0050】
〈実施例5〉
合成例3で合成したポリマー(3b)100重量部、架橋剤として1、3、4、6−テトラキス(メトキシメチル)グリコルウリル15重量部、酸発生剤トリフルオロメタンスルホニルオキシスクシイミド5重量部をシクロヘキサノン600重量部に溶解し、孔径0.20μmのテフロンフィルターを用いてろ過しレジスト溶液とした。
【0051】
多結晶シリコンが全面に厚さ0.1μmで被着された半導体基板上に、膜厚80nmの反射防止膜を形成した後、上記のレジスト溶液を回転塗布し、塗布後120℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。ArFエキシマレーザを光源とする露光装置を用いて所定の回路パタ−ンを形成したマスクを介して波長193nmの紫外線を露光量は10mJ/cm2で照射した。露光後、ホットプレートにより115℃の温度で90秒間熱処理した後、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液にて現像を行い、水でリンスして、レジストの露光部を除去した。剥離がなく寸法制御性の良い0.20μmの孤立ラインを含むネガ型のレジストパタ−ンを得た。次に、酸素のドライエッチングで反射防止膜を加工した後、形成したレジストパタ−ンをマスクにして下地の多結晶シリコンをドライエッチング加工した。誘導結合プラズマ(ICP)型ドライエッチング装置を利用し、反応ガスに圧力0.3PaのHBrとCl2(塩素ガス)を用いて行った結果、多結晶シリコンを良好にエッチングすることができた。次に、ネガ型のパタ−ンを除去し、寸法制御性の良い0.20μmの孤立ラインを含む多結晶シリコンパターンを形成した。
【0052】
〈実施例6〉
酸化膜が全面に厚さ0.4μmで被着された半導体基板上に、実施例1で用いたレジスト溶液を回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。これを加速電圧50kVの電子線描画装置を用いて、ラインアンドスペースパターンの露光を行った。露光後ベークを90℃で2分間行った後、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.38重量%)で90秒間現像を行い、続けて60秒間純水でリンスした。その結果、露光量15μC/ cm2で、剥離がなく寸法制御性の良いポジ型の0.15μmラインアンドスペースパターンが得られた。
【0053】
〈実施例7〉
酸化膜が全面に厚さ0.4μmで被着された半導体基板上に、実施例1で用いたレジスト溶液を回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.1μmのレジスト膜を形成した。これを、Mo/Si多層膜を反射部に、Crパターンを非反射部とした反射型マスクを介して、ガスジェットXeターゲットにレーザ光を照射しEUV(中心波長13nm)を発生させるレーザプラズマ光源が装備された縮小率1/4のEUV露光装置を用いて、ラインアンドスペースパターンの露光を行った。露光後ベークを90℃で2分間行った後、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.38重量%)で30秒間現像を行い、続けて60秒間純水でリンスした。その結果、露光量10mJ/cm2で、剥離がなく寸法制御性の良いポジ型の0.15μmラインアンドスペースパターンが得られた。
【0054】
〈実施例8〉
酸化膜が全面に厚さ0.4μmで被着された半導体基板上に、実施例1で用いたレジスト溶液を回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成した。これを、SiCメンブレンとTaGexNyを吸収体とする透過型マスクを介して、シンクロトロン放射光(SR)を光源とする1/1の等倍X線露光装置(中心波長は0.7nm)を用いて、ラインアンドスペースパターンの露光を行った。露光後ベークを90℃で2分間行った後、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.38重量%)で60秒間現像を行い、続けて60秒間純水でリンスした。その結果、露光量80mJ/cm2で、剥離がなく寸法制御性の良いポジ型の0.15μmラインアンドスペースパターンが得られた。
【0055】
〈実施例9〉
酸化膜が全面に厚さ0.2μmで被着された半導体基板上に、実施例1で用いたレジスト溶液を回転塗布し、塗布後100℃で2分間加熱処理して、膜厚0.05μmのレジスト膜を形成した。これを、フッ素(F2)エキシマレーザを光源とする露光装置を用いて、所定のパターンを具備しているマスクを介して波長157nm近傍の紫外線を露光し、ラインアンドスペースパターンの露光を行った。露光後ベークを90℃で2分間行った後、23℃のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(2.38重量%)で30秒間現像を行い、続けて60秒間純水でリンスした。その結果、露光量10mJ/cm2で、剥離がなく寸法制御性の良いポジ型の0.15μmラインアンドスペースパターンが得られた。
【0056】
〈実施例10〉
図2に本発明を用いて、製作したMOS(金属−酸化物−半導体)型トランジスタの断面図を示す。同MOSトランジスタは、ゲート電極28に印加する電圧により、ソース電極26及びドレイン電極27間に流れるドレイン電流を制御する構造となっている。ここでこのような構造を作る工程は、十数工程からなり、フィールド酸化膜形成工程、ゲート層形成工程、配線層形成工程が含まれる。フィールド酸化膜形成工程には、窒化シリコン膜上でレジストパターンを形成する工程が含まれる。このフィールド酸化膜形成を実施例5の様にして、本発明の感放射線組成物を用いたレジストパターンを形成した。さらに公知の方法に従い、ドライエッチングにて窒化シリコン膜のパターンを形成した。このあと公知の方法に従い、フィールド酸化膜22を形成した。 また、ゲート形成の工程では、窒化シリコン膜をエッチング後、ゲートを酸化し、多結晶シリコンを形成した後、この基板に、実施例3に示した材料、方法により、0.15 μmラインのレジストパターンの形成を行った。実施例3と同様に、寸法精度良く、矩形のパターンが形成され、このレジストパターンをマスクとして、公知の方法で多結晶シリコンのエッチングを行いゲート電極28を形成した。この後の工程は詳細を省くが、ソース、ドレインの薄い酸化膜をエッチングし、次いで多結晶シリコンゲートとソース、ドレインにヒ素を拡散し、多結晶シリコンゲートとソース、ドレイン領域に酸化膜を形成する。ゲート、ソース、ドレインへのタングステン配線のためのコンタクトホールを開口し、タングステン蒸着と配線パターン25の形成を行い、さらに保護膜を形成し、ボンディングのためのパッドを開口した。ここで、配線工程に含まれるコンタクトホール30の形成には実施例5に示した材料、方法により、レジストパターンの形成を行った。また、公知の方法によりドライエッチングを行った。このようにして図2のようなMOS型トランジスタが形成される。本発明を用いて形成したゲート電極の多結晶シリコンのパタ−ンの線幅制御性は良好なので、信頼性の高いドレイン電流−ドレイン電圧特性が得られる。ここではMOS型トランジスタについて、特にフィールド酸化膜の形成、ゲート層の形成および配線層の形成方法を記述したが、本発明はこれに限らないのは言うまでもなく、他の半導体素子の製造方法、工程に適用できる。
【0057】
本発明の感放射線組成物及びそれを用いたパターン形成方法を適用した半導体装置の製造方法を用いて作製したデバイスは、良好なパターン線幅制御性を有するパターン形成工程を通して作製される。ゲート層のパターン線幅制御は特にデバイス特性を左右する。ゲート層のパターン形成に上記パターン形成方法を用いると、良好な特性を有するデバイスが歩留まりが高く得られる。またコンタクトホール層および配線層のパターン形成には、良好なパターン線幅制御性を有するレジストパターンの形成が必要になる。配線層のパターン形成に、上記パターン形成方法を用いると、良好なパターン線幅制御性を有するレジストパターンの形成が容易に達成できるので、配線層の金属原子が移動する現象などによる導通断線を防止でき、導通断線のない良好な特性を有するデバイスが歩留まりが高く得られる。
【0058】
【発明の効果】
本発明の第1の効果は、ArFエキシマレーザの波長193nmを含む遠紫外線領域で透明、かつドライエッチング耐性も高い化学構造を持ちながら、水性アルカリ現像液で解像性能の優れたパターン形成方法を提供することが可能となったので、良好なパターン線幅制御性を有するパターン形成工程が容易に達成できる。
【0059】
本発明の第2の効果は、良好なパターン線幅制御性を有するパターン形成方法を用いた半導体装置の製造方法を提供することが可能となったので、ArFエキシマレーザリソグラフィの実用化、コスト削減、および、信頼性の向上により一層の多大な効果がある。また本発明の半導体装置の製造方法により形成したレジストパタ−ンの線幅制御性も良好なので、それを用いて製造したデバイスは、高い歩留まりで信頼性の高い特性を有する。
【0060】
本発明の第3の効果は、 ArFエキシマレーザの波長193nmを含む遠紫外線領域で透明、かつドライエッチング耐性も高い化学構造を持ちながら、水性アルカリ現像液で解像性能の優れたパターン形成方法に用いる感放射線組成物を提供することが可能となったので 、ArFエキシマレーザリソグラフィの実用化、歩留まり向上、コスト削減、および、信頼性の向上により一層の多大な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるパタ−ン形成方法の工程を示す図。
【図2】本発明を用いて形成したMOSトランジスタの断面図。
【符号の説明】
1…多結晶シリコン、2…半導体基板、3…ベ−スレジスト、4…マスク、5…回路パタ−ン、6…193nmの紫外線、7…ベ−スレジストの露光部、8…未露光部、9…レジストパタ−ン、10…反射防止膜、21…半導体基板、22…フィールド酸化膜、23…不純物拡散層、24…ゲート酸化膜、25…配線パターン、26…ソース電極、27…ドレイン電極、28…ゲート電極、29…酸化膜、30…コンタクトホール。
Claims (6)
- 少なくとも環状オレフィン化合物及び二重結合を有する環状酸無水物化合物を共重合し、該酸無水物部分の少なくとも一部を還元してラクトン構造にし、酸触媒反応によりアルカリ可溶性が変化する構造を有する樹脂を得る工程、該樹脂をベース樹脂として活性化学線の照射により酸を発生する化合物を加えて感光性樹脂組成物を調整する工程、所定の基板上に感光性組成物からなる塗膜を形成する工程、該塗膜に所定パターン状に活性化学線を照射することで該塗膜中に所望のパターンの潜像を形成する工程、及び水性アルカリ現像液を用いて該塗膜中に所望のパターンを現像する工程を少なくとも含むことを特徴とするパターン形成方法。
- 請求項1に記載のパターン形成方法において、活性化学線を照射することで該塗膜中に所望のパターンの潜像を形成する工程と、水性アルカリ現像液を用いて該塗膜中に所望のパターンを現像する工程との間に、該塗膜を加熱する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
- 請求項1または2のいずれかに記載のパターン形成方法において、上記活性化学線が、ArFエキシマレーザ光であることを特徴とするパターン形成方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載のパターン形成方法において、上記水性アルカリ現像液はテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド水溶液であることを特徴とするパターン形成方法。
- 請求項1から4のいずれかに記載のパターン形成方法により、半導体基板上にレジストパターンを形成する工程、前記レジストパターンをもとに、前記半導体基板をエッチング加工する工程、もしくはイオンを打ち込む工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 少なくとも環状オレフィン化合物及び無水マレイン酸または無水イタコン酸を共重合し、該酸無水物部分の少なくとも一部を還元してラクトン構造にし、酸触媒反応によりアルカリ可溶性が変化する構造を有する樹脂、及び活性化学線の照射により酸を発生する化合物を少なくとも含むことを特徴とする感放射線組成物。
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