JP3818640B2 - Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法 - Google Patents

Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3818640B2
JP3818640B2 JP2001349758A JP2001349758A JP3818640B2 JP 3818640 B2 JP3818640 B2 JP 3818640B2 JP 2001349758 A JP2001349758 A JP 2001349758A JP 2001349758 A JP2001349758 A JP 2001349758A JP 3818640 B2 JP3818640 B2 JP 3818640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin plate
magnesium alloy
cavity
molding temperature
preform
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001349758A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003145244A (ja
Inventor
佳樹 平井
拓律 久野
百合子 遠藤
晋吾 藤川
文平 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aida Engineering Ltd
Original Assignee
Aida Engineering Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aida Engineering Ltd filed Critical Aida Engineering Ltd
Priority to JP2001349758A priority Critical patent/JP3818640B2/ja
Publication of JP2003145244A publication Critical patent/JP2003145244A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3818640B2 publication Critical patent/JP3818640B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Forging (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法に関する。
【0002】
【背景の技術】
例えば、携帯機器の筐体(例えば、PCケース,MDケース,カメラケース)等は、軽量高強度で電磁波シールド性に富むマグネシウム合金を用いて製造されている。かかる筐体は、所々にダボやリブを有するものの全面的にはマグネシウム合金製薄板形状(例えば、厚みが1mm以下)である。
【0003】
このマグネシウム合金製薄板の製造(形成)方法には、代表例として、溶融・射出方法(ダイカスト法,チクソモールディング法)と鍛造方法とが知られている。
【0004】
ダイカスト法は、例えばAZ91マグネシウム合金インゴットを溶解しその溶湯を金型に射出して成形する方法であるから、複雑形状を成形し易く、原料費が低い。しかし、薄板の成形が困難であり、溶解したマグネシウム合金(溶湯)の酸化防止のために環境汚染ガス(例えば、SF6等)を使用しなければならない。また、成形時の空気の巻き込みや湯境模様の形成が生じ易く、それらが凝固すると製品の表面に段差,肌荒れ,ピンホールが現れ、後工程(塗装工程)で不良品扱いされる場合が多い。
【0005】
チクソモールディング法は、例えばAZ91マグネシウム合金インゴットを比較的に安価な加工方法(例えば、機械切断方法)によりチップ形状に加工し、この原料(マグネシウム合金チップ)をスクリュウで攪拌しつつ半溶融状態まで加熱して組織を球状化させ、これを金型に射出する方法であるから、ダイカスト法の場合と同様に薄板の成形が困難で、複雑形状を成形し易い。その上、環境汚染ガスは不必要である。しかし、溶融・射出方法であるので、ダイカスト法の場合と同様に、製品の表面に段差,肌荒れ,ピンホールが現れ、後工程(塗装工程)で不良品扱いされる場合が多い。
【0006】
一方、提案(例えば、特開2001−17034,特開2001−162346等)された鍛造方法(プレス加工方法)では、板厚が比較的に厚い展伸材(AZ31マグネシウム合金)を鍛造加工(プレス加工)により薄板化して薄板形状体を製造(成形)する方法である。なお、板金加工方法は、比較的に薄い展伸材(AZ31マグネシウム合金)からマグネシウム合金製薄板を製造(形成)する方法である。
【0007】
これら鍛造方法(プレス加工方法)は、原料を溶融(あるいは半溶融)しないので空気巻き込み等がなく、表面状態が良好で、製品歩留まりが高いという利点を有する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、素材を圧延・加熱して製造されるプレス加工用の展伸材(AZ31マグネシウム合金)は、素材のロール圧延回数およびロール毎の加熱回数が多いので、素材コストが非常に高くなる。例えば、現在では溶融・射出方法で使用する素材(インゴットやチップ)コストの10倍以上になる。
【0009】
また、展伸材(AZ31マグネシウム合金)は、鋳物材(AZ91マグネシウム合金)に比較して耐食性が劣る欠点がある。しかし、AZ91マグネシウム合金製の板材(展伸材)は、経済(コスト)的事由からして展伸材(AZ31マグネシウム合金)のように流通されていない。
【0010】
なお、AZ91マグネシウム合金およびAZ31マグネシウム合金は、ASTM規格に準拠したものである。
【0011】
本発明の目的は、素材コストが安価で環境汚染ガスを使わずして表面状態が良好かつ耐食性の優れた薄板形状体を製造することができるAZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マグネシウム合金を用いて製造される携帯機器の筐体(例えば、PCケース)等は、その殆どが、薄板形状(例えば、板厚が1mm以下)であること、AZ91マグネシウム合金である素材(インゴットやチップ)コストはロール圧延を要する展伸材(AZ31マグネシウム合金)に比較して大幅に安価であること、展伸材としてでなければ耐食性の優れたAZ91マグネシウム合金が流通していること、等に着目し、環境汚染ガスを使用しない大気中でのプレス加工法(鍛造方法)に基き幾多の試験研究を経て創生したもので、キャビティ内に充填した素材(チップ)を限定された選択加熱加圧条件下で圧下・拡散させつつ薄板形状体を製造する方法に関するものである。
【0013】
すなわち、請求項1の発明は、多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することで一体に予備成形された予備成形体を金型のキャビティ内に装填し、横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下にキャビティ内に装填された予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を製造する、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法である。
【0014】
かかる発明では、予め、素材コストが安価な多数のAZ91マグネシウム合金チップを例えばプレス機械を用いて一体に予備成形(圧粉)された予備成形体を、金型のキャビティ内に装填する。この予備成形体は、AZ91マグネシウム合金チップ間に空間が残らない状態(乃至多少残存する状態)に一体化成形すればよいから、つまり自然状態(非加熱状態)下で加圧(圧粉)することにより成形することができるので、一段とコスト低減を図れる。
【0015】
そして、キャビティ内に装填された予備成形体を、選択加熱加圧条件の下に加圧しつつ拡散させて、薄板形状体を製造する。ここに、選択加熱加圧条件とは、横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である。ここで、成形温度とは、ワーク(予備成形体…圧粉体)自体の加圧直前温度である。なお、絶対的圧力を規定しても意味がない。圧力は成形時の予備成形体の温度によって変化するので、そのような加圧運転は至難である。
【0016】
したがって、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法でもよいから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体を能率よく製造することができる。製品歩留まりも高い。
【0017】
また、請求項2の発明は、金型のキャビティを平面的に縮小した状態に保持し、縮小状態のキャビティ内に充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することにより予備成形体を成形し、その後に当該金型のキャビティを平面的に拡大した状態に切替えて保持し、横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下に成形済予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を製造する、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法である。
【0018】
かかる発明では、金型のキャビティを平面的に縮小した状態に保持する。そして、この縮小状態に保持されたキャビティ内に多数のAZ91マグネシウム合金チップを充填する。ここで、充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することにより、AZ91マグネシウム合金チップ間に空気が多少残存する状態[または、チップ間に空間が残らない状態(真密度)]の予備成形体を成形する。
【0019】
その後に、当該金型のキャビティを平面的に拡大した状態に切替えて保持する。例えば、金型を構成するアッパーダイの平面的な一部でロアーダイの平面的な一部を押し下げて、それ以前の容積よりもキャビティ容積を拡大させる。かくして、予備成形体を、請求項1の発明の場合と同様な選択加熱加圧条件下で拡散させつつ予備成形体の平面形状よりも平面形状が拡大された薄板形状体を製造することができる。
【0020】
したがって、請求項1の発明の場合と同様な作用効果を奏することができることに加え、さらに同一の金型内で予備成形体をも成形できるから実施化が一段と楽でかつ予備成形体の入手コストおよび薄板形状体の製造コストを一段と低減させることができる。装置の小型化も図れる。
【0021】
また、請求項3の発明は、金型のキャビティ高さを一定とした段差無状態に保持し、段差無状態のキャビティ内に多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することで一体に予備成形された予備成形体を装填し、横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下にキャビティ内の予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を成形し、この成形中または成形後に、キャビティの選択部分の高さを当該選択部分を除く非選択部分の高さよりも大きくした段差有状態に切替え保持し、成形された薄板形状体の一部を非選択部分から選択部分へ圧流動させて選択部分形状に相当する形状の突起部を有する薄板形状体を製造する、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法である。
【0022】
かかる発明では、金型のキャビティ高さを一定とした段差無状態に保持する。この段差無状態のキャビティ内に、多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することで一体に予備成形(圧粉)された予備成形体を装填する。そして、予備成形体を、請求項1の発明の場合と同様な選択加熱加圧条件下で拡散させつつ予備成形体の平面形状よりも平面形状が拡大されかつ板厚が一定の薄板形状体を製造することができる。
【0023】
この成形中(または、成形後)に、キャビティの選択部分の高さを当該選択部分を除く非選択部分の高さに比較して大きくした段差有状態に切替え保持する。例えば、金型を構成するアッパーダイに設けた凹部(選択部分)が現れるように切替える。そして、薄板形状体を加圧すると、先に成形された板厚が一定である薄板形状体の一部(非選択部分)が選択部分へ圧流動される。かくして、板厚が一定である薄板形状体の選択部分に当該選択部分形状に相当する形状の突起部(例えば、リブ,ダボ等)を一体に成形することができる。
【0024】
したがって、請求項1の発明の場合と同様な作用効果を奏することができることに加え、さらに同一の金型内で予備成形体をも成形できるから実施化が一段と楽でかつ予備成形体の入手コストおよび薄板形状体の製造コストを一段と低減させることができる。装置の小型化も図れる。しかも、同一の金型内で一体的なリブ,ダボ等を有する薄板形状体を安定かつ確実に成形できるとともに、一段と強度の高い筐体等を製作するに大きく貢献することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
本AZ91マグネシウム合金製薄板形状体70の製造方法は、図1〜図4に示す如く、多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を加圧することで一体に予備成形された予備成形体60を金型10のキャビティ21(22)内に装填し、横軸の成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸の圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域AVH内であって、しかも第1交点Q1(成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である。)と第2交点Q2(成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である。)とを結ぶ直線分LLよりも上側に所在する拡散領域AK内において選択された成形温度T(K)と圧下率Eとの組合せ状態である選択加熱加圧条件の下にキャビティ21(24)内に装填された予備成形体60を加圧しつつ拡散させて薄板形状体70を製造する方法である。
【0027】
ここで、圧下率Εとは、予備成形体60の真密度を基準として定義される。すなわち、多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を加圧することでチップ55間に空気を含まない状態で一体成形された予備成形体60の初期長さ(高さ)をL0とし、選択加熱加圧条件下で拡散成形した後の長さ(高さ)をL1とした場合において、E(%)=[(L0−L1)/L0]×100である。
【0028】
なお、AZ91マグネシウム合金チップ55間に空気が多少残存する状態の予備成形体60から薄板形状体70を製造する際は、本来的な圧下に先立ちAZ91マグネシウム合金チップ55間に空気が残らない状態(真密度)とするために必要な押し下げを必要とするが、この場合の押し下げは、真密度が達成される以前の押し下げ運動であるから本来的な圧下率には関係がない。
【0029】
このAZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法を実施するために好適な薄板形状体70の製造装置は、図3,図4に示す如く、圧粉用プレス機械1Aと拡散用プレス機械1Kとから形成されている。なお、製造された図1に示す薄板形状体70の評価結果を図5,図6に示す。
【0030】
圧粉用プレス機械1Aは、図3に示す如く、金型10(下ダイセット11に固着されたダイ15)と、パンチ31と、金型10(15)内のノックアウト部材36とを含み、ノックアウト部材36の上面とパンチ31の下面との間の空間(キャビティ21…予備成形部22)内に充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップ55をパンチ31の下降運動を利用して加圧しつつ予備成形体(圧粉体)60を成形可能に形成されている。キャビティ21(予備成形部22)は、閉じた系である。
【0031】
すなわち、圧粉用プレス機械1Aは、キャビティ21内に充填された所定重量のAZ91マグネシウム合金チップ55をパンチ31を挿入(下降)させて加圧(圧粉)しつつ所定形状の予備成形体60を成形する予備成形工程を実施することができる。
【0032】
この際のパンチ圧力は、常温では約200MPa以上とした。チップの温度上昇に伴い圧力が低下することからすれば、この工程は加熱成形するようにしてもよい。但し、チップ温度が一定温度(この実施形態では、実測の結果として、804K)以上になると大気中で燃焼し始めるので、予備成形(圧粉)温度範囲は常温〜自然発火直前温度(803K)とする。
【0033】
なお、予備成形体(圧粉体)60は、次の工程に搬送可能な程度[一体(一塊)として取扱える程度]にチップが圧粉係合されていればよい。つまり、予備成形体(圧粉体)60は、必ずしもAZ91マグネシウム合金チップ55間に空気が残らない状態(真密度)とする必要はなく、AZ91マグネシウム合金チップ55間に空気が多少残存する状態であってもよい。
【0034】
ただし、予備成形体60から薄板形状体70を製造する際は、本来的な圧下に先立ちAZ91マグネシウム合金チップ55間に空気が残らない状態(真密度)とするために必要な上記した押し下げ運動(加圧)を必要とする。
【0035】
予備成形後に、パンチ31が上昇しかつノックアウト部材36が上昇して予備成形体60を金型10(15)から外部(上方)に突出し(ノックアウト)することができる。ノックアウト部材36の上昇動作は、下ダイセット11(11I)に嵌装されたノックアウトピン37の上昇動作に同期して成される。ノックアウトピン37の上昇動作は、その小径部を被嵌する下ダイセット11Iの下方に配設されたノックアウト機構(図示省略)のプレス運転に伴うスライド動作と位相を遅らせたノックアウト動作に同調する。ノックアウト機構は、プレス機械の駆動軸からの動力、エアシリンダ等を駆動源として働く。
【0036】
なお、この第1の実施形態では、予備成形工程前に図1に示すチップ生成工程およびミキシング工程を実施可能に形成してある。
【0037】
チップ生成工程は、AZ91マグネシウム合金インゴット50から多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を生成する。詳しくは、機械的手法(例えば、チョッパー装置を運転する。)によりAZ91マグネシウム合金インゴット50を切断することで長さが2〜5mmの範囲内でかつ横断面積が0.25mm2〜1mm2の範囲内(あるいは、厚さが0.5mm〜1mm)のAZ91マグネシウム合金チップ55を生成する。
【0038】
また、チップ生成工程の実施によって生成されたAZ91マグネシウム合金チップ55をキャビティ21(22)内へ充填する以前にミキシングするミキシング工程(攪拌供給工程)が実施可能である。
【0039】
このミキシング工程は、同一AZ91マグネシウム合金インゴット50の各部位の組成バラツキ(あるいは、異なるAZ91マグネシウム合金インゴット50間での組成バラツキ)つまり成分偏析を解消してその均一化を図るとともに、金型(キャビティ)内に所定の重量だけ間欠供給するものである。
【0040】
この実施形態では、ホッパー,落下用チューブ,フィーダーテーブル等を含み、かつプレス運転(加圧サイクル)と同期してチョッパー装置から排出されるAZ91マグネシウム合金チップ55を受けて攪拌可能かつ一定量ずつ開いたキャビティ21(22)内に供給可能な攪拌供給装置を用いる。
【0041】
さて、拡散用プレス機械1Kは、図4に示される。この図4の中心線Cの左側は閉じた系を構成した場合で、その右側は開いた系を構成した場合の例示である。つまり、予備成形工程におけるキャビティ21(予備成形部22)は必ず閉じた系でなければならないが、この拡散工程では閉じた系に限らずキャビティ21(拡散成形部24)は開いた系でもよいわけである。
【0042】
中心線Cの左側に示す閉じた系では、金型10(ダイ15)は断熱板46を介して下ダイセット11(ノックアウトピン37の小径部を被嵌する部分が11Iである。)に固定されている。なお、ダイ15にはヒーター45が埋設されている。
【0043】
断熱板46の下方側にヒーター45が埋設されたパンチ31と、断熱板46の上方側にヒーター45が埋設されたノックアウト部材36とは、上下に対向し両者間の空間がキャビティ21(拡散成形部24)を構成する。
【0044】
図4で、予備成形体60は2点鎖線で示され、薄板形状体70は実線で示されている。
【0045】
図2おいて、横軸は成形温度T(K)で論理的には予備成形体60の温度であるが、この実施形態では、予備成形体60を予め673Kに加熱されたキャビティ21(22)内に装填し、予備成形体(圧粉体)60の温度が553Kに加熱された後に、予め673Kに加熱されたパンチ31で所定の圧下率まで押圧(加圧)する。
【0046】
ここに、薄板形状体成形(拡散)工程の実施に際する選択加熱加圧条件は、選択された成形温度(K)と圧下率Eである。なお、この実施形態では、成形温度をケルビン温度T(K)で表わしているが、セルシウス温度t(℃)等としてもよい。
【0047】
拡散(薄板形状体成形)工程を実施するための選択加熱加圧条件は、図2の横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体60の真密度を基準とした圧下率Eが50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域AVH内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率Eが50%である第1交点Q1と成形温度が623Kでかつ圧下率Eが70%である第2交点Q2とを結ぶ直線分LLよりも上側に所在する拡散領域AK内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である。
【0048】
なお、拡散領域AK内であれば、所定の圧下率Eとなるまでの間に成形温度の変化があっても、許される。
因みに、選択加熱加圧条件との関係において、AZ91マグネシウム合金チップ55製の予備成形体60では、成形温度が803Kを越えると大気中で燃焼(自然発火)してしまう。この意味において、AZ91マグネシウム合金に限定したこの明細書(発明)でいう「803K」は、バラツキを考慮すれば実質的には、「自然発火直前温度」としてもよいと理解される。
【0049】
一方、成形温度が623K未満では圧下率の大小に拘わらず未拡散部分が生じる。また、圧下率が80%を越えると成形温度の高低に拘わらず周面割れが生じ、圧下率が50%未満では成形温度の高低に拘わらず未拡散部分が生じてしまう。
【0050】
図5に、常温で圧粉成形した予備成形体60を素材温度623K,683K,753Kで圧下した後に常温で曲げ試験を行い、限界曲げ値[曲げ半径Rと板厚tとの比(R/t)が15以下]と圧下率Eとの関係を示した。
【0051】
かかる第1の実施形態では、図1に示すように、入手したAZ91マグネシウム合金インゴット50をチョッパー装置に掛けて、AZ91マグネシウム合金チップ55を生成する。
【0052】
生成されたAZ91マグネシウム合金チップ55は、攪拌供給装置の攪拌作用により成分偏析が解消され、図3に示す圧粉用プレス機械1Aの開放(パンチ31が上方に位置している。)された金型10(ダイ15)のキャビティ21(予備成形部22)内に所定の重量だけ供給される。
【0053】
かくして、プレス運転つまりパンチ31を200MPa以上の圧力で押込んで、キャビティ21(22)内に充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を圧下して、閉じた系を構成するキャビティ21(予備成形部22)の形状と同じ形状の予備成形体60を予備成形(圧粉)する。図3に示す状態である。
【0054】
この予備成形工程は、AZ91マグネシウム合金チップ55間に空間が残らない状態(乃至多少残存する状態)に一体(一塊)化成形すればよいから、自然状態(非加熱状態)下の加圧(圧粉)でよいわけである。
【0055】
予備成形工程の終了後に、図3において、パンチ31が上昇すると、ノックアウト機構(ノックアウトピン37)が働きノックアウト部材36が上昇する。これにより、予備成形体60をダイ15(予備成形部22)から突出させることができる。
【0056】
この段階で、図4に示す拡散用プレス機械1Kでは、ヒーター45が起動され、キャビティ21(拡散成形部24)内の温度が673Kに加熱されている。成形された予備成形体60は、このキャビティ21(拡散成形部24)内に2点鎖線で示すような状態で装填される。
【0057】
そして、キャビティ21(拡散成形部24)内の予備成形体60が553Kに加熱(温度上昇)された後に、ヒーター45の起動により予め673Kに加熱されていたパンチ31を下降させる。すなわち、キャビティ21(拡散成形部24)内に装填された予備成形体60を、選択加熱加圧条件の下に加圧しつつ拡散させて、図1に実線で示した薄板形状体70を製造する。
【0058】
ここでは、成形温度が803Kを越えないので、AZ91マグネシウム合金チップ製の予備成形体60が大気中で燃焼(自然発火)してしまうことはない。また、成形温度が623K未満ではないので、未拡散部分が生じない。さらに、圧下率は80%を越えないので、成形温度T(K)の高低に拘わらず周面割れが生じない。しかも、圧下率Eが50%未満でないから、成形温度の高低に拘わらず未拡散部分が生じない。
【0059】
したがって、鋳造用として流通しているAZ91マグネシウム合金インゴット50を素材とするので、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法で成形することができるから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体70を能率よく製造することができる。製品歩留まりも高い。
【0060】
本発明によるAZ91マグネシウム合金チップ55の拡散効果程度を、従来例の比較において図6を参照して説明する。
【0061】
具体的には、検体(薄板形状体70)を、室温(363K)において曲げて、割れが生じない曲げ可能範囲[室温限界曲げ値(曲げ半径R/板厚t)]で判定した。なお、割れの発生有無は、集音マイクと周波数分析器を用いた波形の変化として捉え、曲げによる破壊音発生時が表層破壊発生時であるとして判定した。
【0062】
図6において、第1番目のAZ91Dマグネシウム合金チップ55の選択加熱加圧条件(図2のA1を参照)は、“成形温度Tが623Kでかつ圧下率Eが75%”で、薄板形状体70の室温限界曲げ値(R/t)は“6”である。その他の格別な熱処理はしていない。
【0063】
第2番目のAZ91Dマグネシウム合金チップ55の選択加熱加圧条件(図2のA2を参照)は、“成形温度Tが753Kでかつ圧下率Eが73.5%”で、薄板形状体70の室温限界曲げ値(R/t)は“3”である。格別な熱処理はしていない。
【0064】
これにより、成形温度T(K)が高い程に曲げ(展伸)特性が良好になる傾向であることがわかる。そして、第2番目の結果は、第4番目のAZ31Bマグネシウム合金板材(展伸材)をロール圧延しかつ焼きなましを施した薄板形状体70の室温限界曲げ値(R/t)である“3.5”の場合と同等で遜色がないと理解される。
【0065】
なお、第3番目のAZ91Dマグネシウム合金インゴット(鋳物材)を鋳造した場合の薄板形状体でかつ熱処理無しの室温限界曲げ値(R/t)は明記できない。割れ発生により曲げ加工ができないからである。
【0066】
なお、第1番目および第2番目の選択加熱加圧条件は、実測した図5に示す圧下率Eと室温限界曲げ値(R/t)の関係を参照して、決定したものである。つまり、薄板形状体成形(拡散)工程の実施に際しては、この関係を利用して要求される品質(曲げ特性等)を満たす条件を選択すべきである。
【0067】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、図7,図8に示す如く、多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を自然状態(非加熱状態)下で加圧することで一体(チップ55間に空気を含まない状態)の予備成形体60を得る予備成形工程と、予備成形体60を選択加熱加圧条件下で圧下しつつ薄板形状体70を成形する拡散(本)成形工程とを、同一の金型10(キャビティ21…23,25)内で連続的に実施可能に形成したものである。
【0068】
すなわち、図7の中心線Cの左側に示すように金型10のキャビティ21を平面的に縮小した状態(縮小状態…予備・拡散成形部23)に保持し、縮小状態のキャビティ21(予備・拡散成形部23)内に充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を加圧することにより予備成形体60を成形し、その後に図7の中心線Cの右側に示すように金型10のキャビティ21を平面的に拡大した状態(拡大状態…拡散形成部25)に切替えて保持し、第1の実施形態の場合と同様な選択加熱加圧条件下で図8の中心線Cの左側に示すように成形済予備成形体60を加圧・拡散させて薄板形状体70を製造する方法である。
【0069】
これを実施するために好適な圧粉・拡散用プレス機械1AKは、機能的には、第1の実施形態(図3,図4)での圧粉用プレス機械1Aと拡散用プレス機械1Kとを一体的に組合せた場合と同様に構築されている。
【0070】
図7において、上ダイセット11Uにはアッパーダイ15Uが取付けられている。このアッパーダイ15Uは、上下動する上ダイセット11Uに固定される固定型アッパーダイ15URと、シリンダ12,ピストン16(ピン13)およびバネ16Sにより中心線Cの左側に示す位置と右側に示す位置との間を上下往復移動可能な可動型アッパーダイ15UVとから形成されている。
【0071】
下ダイセット11Lにはロアーダイ15Lが取付けられている。このロアーダイ15Lは、静止状態の下ダイセット11Lに固定される固定型ロアーダイ15LRと、下ダイセット11Lの一部11L1と固定型ロアーダイ15LRとの間でバネ15Sにより中心線Cの左側に示す位置とその右側に示す位置との間を上下往復移動可能な可動型ロアーダイ15LVとから形成されている。
【0072】
なお、ヒーター45および断熱板46は、図4の場合と同じ表現としている。但し、この第2の実施形態の場合は、804Kより下の温度で行う予備成形(圧粉)工程と選択加熱(加圧)条件下での薄板形状体(拡散)成形工程とを行うので、各ダイ15U(15UR,15UV)、15L(15LR,15LV)には、断熱板支持板47がそれぞれに設けられている。
【0073】
ここに、図7の中心線Cの左側に示したように上ダイセット11Uが上方位置にありかつ可動型アッパーダイ15UVが固定型アッパーダイ15URと同じ位置にあるとともに、下ダイセット11Lの可動型ロアーダイ15LVが固定型ロアーダイ15LRの位置よりも上方の位置にある場合には、固定型アッパーダイ15URの一部分と両側の可動型ロアーダイ15LV,15LVと固定型ロアーダイ15LRとが閉じた系(キャビティ21)を確立する。
【0074】
この段階で、金型10のキャビティ21は平面的に縮小した状態に保持される。つまり、予備成形部(縮小状態部)23を確立することができると理解される。
【0075】
一方、図7の中心線Cの右側に示したように上ダイセット11Uが上方位置にありかつ可動型アッパーダイ15UVが固定型アッパーダイ15URの位置よりも下方の位置にあるとともに、下ダイセット11Lの可動型ロアーダイ15LVが固定型ロアーダイ15LRと同じ位置にある場合には、固定型アッパーダイ15URと両側の可動型アッパーダイ15UV,15UVと固定型ロアーダイ15LRおよび可動型ロアーダイ15LVの一部分とが閉じた系(キャビティ21)を確立する。
【0076】
この段階で、金型10のキャビティ21は平面的に拡大した状態に切替えて保持される。つまり、拡散成形部(拡大状態部)25を確立することができる。
【0077】
図8の中心線Cの左側に、図7の中心線Cの右側に示した状態からシリンダ12に圧搾空気(AIR)を供給して上ダイセット11U(15UR,15UV)を下降させかつ可動型ロアーダイ15LVをバネ15Sの付勢力に抗して押し下げて予備成形体60を圧下しつつ拡散工程を実施した後の薄板形状体70が製造された状態を示す。
【0078】
図8の中心線Cの右側に、ノックアウト工程を示す。すなわち、薄板形状体70の製造後にシリンダ12から圧搾空気(AIR)を排気すると、可動型アッパーダイ15UVがバネ16Sの付勢力でピストン16とともにアッパーダイ15Uの下面側位置に戻る。
【0079】
その後に、アッパーダイ15Uがプレス運転により上昇すると、可動型ロアーダイ15LVがバネ15Sの付勢力で急上昇する。つまり、可動型ロアーダイ15LVとバネ15Sとが、第1の実施形態におけるノックアウト装置(ノックアウト機構,ノックアウトピン37,ノックアウト部材36)の場合と同様に作用する。したがって、薄板形状体70を金型10(11L)から突出させることができる。
【0080】
かかる第2の実施形態では、金型10のキャビティ21を平面的に縮小した状態(23)に保持する。そして、この縮小状態に保持されたキャビティ21(23)内に多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を充填する。
【0081】
そして、充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップ55をこの実施形態の場合には常温状態(非加熱状態)の下に加圧することにより、図7の中心線Cの左側に示すようにAZ91マグネシウム合金チップ55間に空気が多少残存する状態[または、チップ間に空間が残らない状態(真密度)]の予備成形体60を成形する。
【0082】
その後に、図7の中心線Cの右側に示すように金型10のキャビティ21を平面的に拡大した状態(25)に切替えて保持する。つまり、金型10を構成するアッパーダイ15Uの平面的な一部(15UV)でロアーダイ15Lの平面的な一部(15LV)を押し下げて、それ以前の容積(23)よりもキャビティ容積(25)を拡大させる。
【0083】
かくして、図8の中心線Cの左側に示したように、予備成形体60を、第1の実施形態の場合と同様な選択加熱加圧条件下で拡散させつつ、予備成形体60の平面形状よりも平面形状が拡大された薄板形状体70を製造することができる。
【0084】
薄板形状体70は、図8の中心線Cの右側に示したように、その後にノックアウトされる。引続き、金型10内にAZ91マグネシウム合金チップ55を充填し、その後に図7の中心線Cの左側に示した状態に進む。
【0085】
したがって、この第2の実施形態によれば、第1の実施形態の場合と同様に、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法で製造できるから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体70を能率よく製造することができる。
【0086】
さらに同一の金型10内で予備成形体60をも成形できるから実施化が一段と楽でかつ予備成形体60の入手コストおよび薄板形状体70の製造コストを一段と低減させることができる。装置の小型化も図れる。
【0087】
なお、第1の実施形態の場合と同様に、予備成形(圧粉)工程前に、図1に示すチップ生成工程およびミキシング工程を実施可能に形成してもよい。
【0088】
(第3の実施形態)
この第3の実施形態は、図9,図10に示す如く、同一の金型10(キャビティ21)内でこれに装填された予備成形体60から薄板形状体70を成形する拡散(本)成形工程と、この拡散(本)成形工程の終了後に部分的な突起部71を成形する突起部成形工程と、を連続的に実施可能に形成したものである。
【0089】
なお、AZ91マグネシウム合金チップ55を加圧することにより予備成形体60を成形する予備成形工程も第2の実施形態の場合と同様に同一の金型10内で拡散(本)成形工程の前で実施可能に形成してある。
【0090】
すなわち、図9の中心線Cの左側に示すように金型10のキャビティ21を平面的に縮小した状態(23)に保持し、縮小状態のキャビティ21(23)内に充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を加圧することにより予備成形体60を成形し、その後に図9の中心線Cの右側に示すように金型10のキャビティ21を平面的に拡大した状態(25)に切替えて保持し、第1(第2)の実施形態の場合と同様な選択加熱加圧条件の下に図10の中心線Cの左側に示すように成形済予備成形体60を加圧しつつ拡散させて薄板形状体70を成形し、この成形中(または、成形後でもよい。)に、キャビティ21(25)の選択部分(図9,図10で左右前後の部分)27の高さを当該選択部分を除く非選択部分29の高さよりも大きくした段差有状態(27,29)に切替え保持し、図10の中心線Cの左側に示すように薄板形状体70の一部を非選択部分29から選択部分27へ圧流動させて選択部分形状に相当する突起部71を有する薄板形状体70(図11を参照)を製造する方法である。
【0091】
これを実施するために好適な圧粉・拡散用プレス機械1AKは、基本的な構成・機能的には第2の実施形態の圧粉・拡散用プレス機械1AKと同様に構築されている。したがって、第2の実施形態の場合(図7,図8)と共通する部分には同一の符号を付し、それらの部分についての説明は簡略化または省略する。
【0092】
すなわち、第2の実施形態の場合(図7,図8)と異なる点は、固定型アッパーダイ15URの下面に下方に開いた凹部(27)を設けることで、キャビティ21(25)の選択部分(図9,図10で左右前後の部分)27の図9に示す高さ(H27)を当該選択部分を除く非選択部分29の高さ(H29)よりも大きくした段差有状態に切替えるように構成してある。
【0093】
かかる第3の実施形態では、金型10のキャビティ高さを一定(H29)とした段差無状態に保持する。この段差無状態のキャビティ21(23)内に、多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を加圧することで一体に予備成形(圧粉)された予備成形体60を装填する。
【0094】
なお、この第3の実施形態では、第2の実施形態の場合と同様に、キャビティ21(23)内に、多数のAZ91マグネシウム合金チップ55を充填し、これを加圧することで一体(一塊)の予備成形体60を成形(図9の中心線Cの左側を参照。)し、結果として予備成形体60を図9の中心線Cの右側に示すようにキャビティ21(25)内に自動装填することができる。
【0095】
そして、予備成形体60を第1(第2)の実施形態の場合と同様な選択加熱加圧条件下で拡散させることにより、予備成形体60の平面形状よりも平面形状が拡大されかつ板厚(図11に示すt1)が一定の薄板形状体70を製造することができる。
【0096】
この成形中(または、成形後でもよい。)に、キャビティ21の選択部分27の高さ(H27)を当該選択部分を除く非選択部分29の高さ(H29)に比較して大きくした段差有状態(図9の中心線Cの右側を参照。)に切替え保持する。
【0097】
すなわち、金型10を構成するアッパーダイ11U(11UV)に設けた凹部(選択部分27)が現れるように切替える。そして、薄板形状体70を加圧すると、先に成形された板厚が一定である薄板形状体70の一部(非選択部分29)が選択部分27へ圧流動される。
【0098】
かくして、図10の中心線Cの左側に示すように、板厚が一定である薄板形状体70の選択部分27に当該選択部分形状に相当する形状の図11に示す高さh1の突起部(例えば、リブ,ダボ等)71を一体に成形することができる。その後に、ノックアウトされる(図10の中心線Cの右側を参照)。
【0099】
したがって、この第3の実施形態によれば、第2(第1)の実施形態の場合と同様に、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法で成形することができるから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体70を能率よく製造することができる。
【0100】
さらに、同一の金型10内で予備成形体60をも成形できるから実施化が一段と楽でかつ予備成形体60の入手コストおよび薄板形状体70の製造コストを一段と低減させることができる。装置の小型化も図れる。
【0101】
しかも、同一の金型10内で一体的なリブ,ダボ等(71)を有する薄板形状体70を安定かつ確実の成形できるとともに、一段と強度の高い筐体等を製作するに大きく貢献することができる。
【0102】
(第4の実施形態)
この第4の実施形態を、図12,図13を参照して説明する。なお、各寸法(H1,L1,h1,t1)は、概念を示すもので、以下で例示する値の比になってはいない。
【0103】
第3の実施形態が周囲(四方)に高さh1の突起部71を設けた図11に示す薄板形状体70を製造したのに対して、この第4の実施形態では図12に示すように周囲(四方)と内部(2箇所)とに高さh1の背低突起部71Lを設けた薄板形状体70を製造する場合である。
【0104】
これを実施するために好適な圧粉・拡散用プレス機械1AKは、基本的な構成・機能的には第3の実施形態の圧粉・拡散用プレス機械1AKと同様に構築されているが、さらに図9,図10に示す固定型アッパーダイ15URの下面に、下方に開いた各背低突起部71Lに対応する各凹部が設けられている(図示省略)。
【0105】
すなわち、図13に示す突起部(71)が底辺L1と高さh1との比(h1/L1)が“1未満”である背低突起部71Lを成形する場合には、図9,図10に示すような固定型アッパーダイ15URの下面に設けられた各背低突起部71Lに対応する各凹部に対応する部位を含む平面的部位の全てについての予備成形体60への圧下率Eが、50%以上になるように形成する。
【0106】
図13において、例えば真密度である予備成形体60の高さH1が“4mm”で薄板形状体70の厚さt1が“1mm”で、背低突起部71Lの高さh1が“1mm”である場合には、各背低突起部71Lでの圧下率Eを中央部で“50%”とすれば、厚さt1部分での圧下率Eは“75%”になる。
【0107】
しかして、この第4の実施形態によれば、第3の実施形態の場合と同様な作用効果を奏することができるとともに、薄板形状体70の平面中間部にも背低突起部71Lを確実に成形できる。
【0108】
(第5の実施形態)
この第5の実施形態は、図14,図15に示される。なお、各寸法(h2,t2)は、概念を示すもので、以下で例示する値の比になってはいない。
【0109】
すなわち、第4の実施形態が背低突起部71Lを設けたのに対して、この第5の実施形態は背高突起部71Hを成形した薄板形状体70を製造する場合である。
【0110】
これを実施するために好適な圧粉・拡散用プレス機械1AKは、基本的な構成・機能的には第3(第4)の実施形態の圧粉・拡散用プレス機械1AKと同様に構築されているが、さらに固定型アッパーダイ15UR側に図15に示すような突出し機構(シリンダ32,ピストン33)を設けて(組込んで)ある(図示省略)。
【0111】
すなわち、図15に示す突起部(71)が底辺L2と高さh2との比(h2/L2)が“1以上”である背高突起部71Hを成形する場合には、第1段階で第4の実施形態の場合(図12,図13)と同様な背低突起部71L(H1,L2,h1,t1)を成形しておき、第2段階で背低突起部71Lよりも径が小さい凹部34に圧流動させて、その後、突出し機構(シリンダ32,ピストン33)を働かせてアッパーダイ15URより離脱させる。
【0112】
しかして、この第5の実施形態によれば、第4の実施形態の場合と同様な作用効果を奏することができるとともに、さらに複雑な断面の背高突起部71Hを確実に成形できる。
【0113】
なお、この第5の実施形態による2段階圧下方式によれば、第4の実施形態での背低突起部71Lとこの第5の実施形態での背高突起部71Hとを混在させた薄板形状体70をも簡単に製造することができると理解される。
【0114】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、AZ91マグネシウム合金チップを加圧成形した予備成形体をキャビティ内に装填し、横軸の成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸の予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下に装填された予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を製造する方法であるから、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法でもよいから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体を能率よく製造することができる。製品歩留まりも高い。
【0115】
また、請求項2の発明によれば、平面的に縮小状態に保持されたキャビティ内のAZ91マグネシウム合金チップを常温状態下で加圧して予備成形体を成形し、その後にキャビティを平面的に拡大した状態に切替えて保持しかつ請求項1の発明の場合と同様な選択加熱加圧条件の下に予備成形体を加圧・拡散させて薄板形状体を製造する方法であるから、請求項1の発明の場合と同様に、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法でもよいから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体を能率よく製造することができるという効果を奏することができることに加え、さらに同一の金型内で予備成形体をも成形できるから実施化が一段と楽でかつ予備成形体の入手コストおよび薄板形状体の製造コストを一段と低減させることができる。装置の小型化も図れる。
【0116】
また、請求項3の発明によれば、高さ一定の段差無状態に保持されたキャビティ内の予備成形体を請求項1の発明の場合と同様な選択加熱加圧条件下で加圧・拡散して薄板形状体を成形し、この成形中または成形後に、キャビティの選択部分の高さを当該選択部分を除く非選択部分の高さよりも大きくした段差有状態に切替え保持し、薄板形状体の一部を非選択部分から選択部分へ流動させて選択部分形状に相当する形状の突起部を有する薄板形状体を製造する方法であるから、請求項1(請求項2)の発明の場合と同様に、展伸材(AZ31マグネシウム合金)の場合に比較して素材コストが安価で、溶融・射出方法(ダイカスト法)でなくプレス加工方法でもよいから環境汚染ガスを使わずかつ空気の巻き込みもないので段差,肌荒れ,ピンホールのない良好な表面状態を得られ、しかも耐食性に優れた薄板形状体を能率よく製造することができるという効果を奏することができることに加え、さらに同一の金型内で予備成形体をも成形できるから実施化が一段と楽でかつ予備成形体の入手コストおよび薄板形状体の製造コストを一段と低減させることができる。装置の小型化も図れる。しかも、同一の金型内で一体的なリブ,ダボ等を有する薄板形状体を安定かつ確実に成形することができるとともに、一段と強度の高い筐体等を製作するのに大きく貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための工程図である。
【図2】同じく、成形温度および圧下率との関係を説明するための図である。
【図3】同じく、予備成形(圧粉)工程を説明するための図である。
【図4】同じく、薄板形状体成形工程を説明するための図である。
【図5】同じく、圧下率と室温限界曲げ値との関係を説明するための図である。
【図6】同じく、従来例との比較において選択加熱加圧条件と室温限界曲げ値との関係を説明するための図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る同一金型内での予備成形(圧粉)工程を説明するための図である。
【図8】同じく、同一金型内での薄板形状体成形工程を説明するための図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る同一金型内での予備成形(圧粉)工程を説明するための図である。
【図10】同じく、同一金型内でかつ薄板形状体成形工程を説明するための図である。
【図11】同じく、製造された突起部付き薄板形状体を説明するための外観斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る背低突起部付き薄板形状体を説明するための外観斜視図である。
【図13】同じく、横断面図である。
【図14】本発明の第5の実施形態に係る背高突起部付き薄板形状体を説明するための外観斜視図である。
【図15】同じく、中央横断面図である。
【符号の説明】
1A 圧粉用プレス機械
1K 拡散用プレス機械
1AK 圧粉・拡散用プレス機械
10 金型
11U 上ダイセット
11L 下ダイセット
15 ダイ
15U アッパーダイ
15L ロアーダイ
21 キャビティ
22 予備成形部
23 予備・拡散成形部(縮小状態部)
24 拡散成形部
25 拡散成形部(拡大状態部)
27 選択部分
29 非選択部分
31 パンチ
36 ノックアウト部材
37 ノックアウトピン
50 AZ91マグネシウム合金インゴット
55 AZ91マグネシウム合金チップ
60 予備成形体
70 薄板形状体
71 突起部
71L 背低突起部(突起部…リブ・ダボ等)
71H 背高突起部(突起部…リブ・ダボ等)
AVH 縦横軸特定領域
AK 拡散領域
LL 直線分
Q1 第1交点
Q2 第2交点

Claims (3)

  1. 多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することで一体に予備成形された予備成形体を金型のキャビティ内に装填し、
    横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下にキャビティ内に装填された予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を製造する、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法。
  2. 金型のキャビティを平面的に縮小した状態に保持し、縮小状態のキャビティ内に充填された多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することにより予備成形体を成形し、
    その後に当該金型のキャビティを平面的に拡大した状態に切替えて保持し、横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下に成形済予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を製造する、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法。
  3. 金型のキャビティ高さを一定とした段差無状態に保持し、段差無状態のキャビティ内に多数のAZ91マグネシウム合金チップを加圧することで一体に予備成形された予備成形体を装填し、
    横軸にとった成形温度が623K〜803Kでかつ縦軸にとった予備成形体の真密度を基準とした圧下率が50%〜80%として囲まれた縦横軸特定領域内であって、しかも成形温度が723Kでかつ圧下率が50%である第1交点と成形温度が623Kでかつ圧下率が70%である第2交点とを結ぶ直線分よりも上側に所在する拡散領域内において選択された成形温度と圧下率との組合せ状態である選択加熱加圧条件の下にキャビティ内の予備成形体を加圧しつつ拡散させて薄板形状体を成形し、
    この成形中または成形後に、キャビティの選択部分の高さを当該選択部分を除く非選択部分の高さよりも大きくした段差有状態に切替え保持し、成形された薄板形状体の一部を非選択部分から選択部分へ圧流動させて選択部分形状に相当する形状の突起部を有する薄板形状体を製造する、AZ91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法。
JP2001349758A 2001-11-15 2001-11-15 Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法 Expired - Fee Related JP3818640B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001349758A JP3818640B2 (ja) 2001-11-15 2001-11-15 Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001349758A JP3818640B2 (ja) 2001-11-15 2001-11-15 Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003145244A JP2003145244A (ja) 2003-05-20
JP3818640B2 true JP3818640B2 (ja) 2006-09-06

Family

ID=19162382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001349758A Expired - Fee Related JP3818640B2 (ja) 2001-11-15 2001-11-15 Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3818640B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113231587B (zh) * 2021-05-08 2022-03-29 哈尔滨工业大学 一种多向锻造获得双峰组织az80a镁合金锻坯的方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003145244A (ja) 2003-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4378734B2 (ja) 半凝固金属製品の成形金型構造および半凝固金属製品の成形方法
CN101020284A (zh) 高温合金大型异型截面环坯的制坯方法
WO1995034853A1 (en) Method for manufacturing flashless metal connecting rod
CN106312016B (zh) 一种铝合金锻件振动铸锻复合成形方法
KR20130100366A (ko) 고강도 소결성형체의 제조방법 및 그 제조장치
US20170361374A1 (en) Press forming method for a semi-solid metal material and press forming apparatus for a semi-solid metal material
CN104368790B (zh) 一种金属液态波动高压铸锻一次成型方法
KR920000810B1 (ko) 주조장치의 압축기구
JP3818640B2 (ja) Az91マグネシウム合金製薄板形状体の製造方法
US20100024512A1 (en) High strenght workpiece material and method and apparatus for producing the same
JP3901836B2 (ja) 高さの異なる突出部を有する製品の鍛造用金型
RU2371276C1 (ru) Способ объемной горячей штамповки деталей типа стакана или чаши
CN203316719U (zh) 粉末冶金制品压制成型模具
CN105149584B (zh) 一种粉末注射成型模具及其使用方法
US20090291012A1 (en) Production method for sintered part
JP2003326351A (ja) 金属製品の製造方法およびその装置と機械部品
CN113319238B (zh) 一种复杂铝合金传动轴锻件多向锻造成形的方法
CN209206073U (zh) 镁基复合材料的半固态坯料加工装置
CN210523784U (zh) 一种重力压铸装置
CN111822676A (zh) 一种产品制备工艺
JP4927918B2 (ja) 成形部品セット
JP2003071515A (ja) 両端末閉塞中空材及び後端末偏肉・増肉中空材の製造方法及びその装置
CN1136634A (zh) 一种锌合金挂锁锁体及其制造方法
JPH069725B2 (ja) コンロツドの成形方法
JP2001098303A (ja) 成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060605

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060612

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090623

Year of fee payment: 3

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100623

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100623

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110623

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130623

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130623

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140623

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees