JP3817226B2 - 光記録媒体の再生方法及び記録再生装置並びに光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体の再生方法及び記録再生装置並びに光記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体の再生方法及び記録再生装置に関し、より詳細には、基板上に形成されたピット領域の上に記録層を堆積させた光記録媒体のピット情報及び記録層の情報を個別に再生する方法及び記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
音声、動画像、あるいはグラフィックなどの情報データを記録再生できる媒体の一つとして光ディスクがある。光ディスクには、例えば、CD−ROMのように情報の再生だけが可能な再生専用型光ディスク(以下では、ROM型光ディスクという)、CD−Rのように1回だけ情報の書き込みが可能な追記型光ディスク及びCD−RWのように情報を何度も書き換えが可能な書換型光ディスク(以下では、RAM型光ディスクという)がある。
【0003】
ROM型光ディスクは、ユーザー情報に対応したピットが基板上の全領域にわたって予め形成され、そのピットが形成されている側の基板上に反射膜が形成された構造になっている。ROM型光ディスクでは、ピットの有無による反射光量の変化に基づいて情報が再生される。従来のROM型光ディスクには、基板にピットとして記録されたユーザー情報の無制限なインストールを防止するために、基板上に形成されている情報の管理データ領域にのみ相変化材料層を積層したROM型光ディスクがある(例えば、特許文献1参照)。このROM型光ディスクに再生光を照射すると、管理データ領域上の相変化材料層が溶融して、相変化材料層の反射率が著しく低下する。再生光の照射回数、即ち、再生回数が増加するに従って管理データ領域に形成されたピット情報が読み取り難くなり、ある特定の再生回数で管理データ領域のピット情報が再生不可能になる。これにより、管理データ領域のピット情報を介してユーザー情報のインストールすることが不可能となり、光ディスクに記録されたユーザー情報のインストール回数を制限することができる。
【0004】
一方、追記型光ディスクやRAM型光ディスクは、基板上に情報を記録するための記録層を備えており、記録層に形成された記録マークの有無による反射率の変化に基づいて情報が再生される。一般に、追記型光ディスクでは記録層の材料として有機色素材料が用いられ、RAM型光ディスクでは相変化材料が用いられる。また、従来の追記型及びRAM型光ディスクでは、アドレス情報などがピットで形成された再生専用領域とユーザー情報の書き込み及び書き換え可能な領域がディスク基板上で別々の場所に配置されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、このような3種類の光ディスクのいずれにも対応する記録再生装置が商品化されている。この記録再生装置では、追記型及びRAM型光ディスクへのユーザ情報の記録再生が可能であるとともに、ROM型光ディスクのユーザー情報を再生することができる。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−231612号公報(第2−5頁、第1図)
【特許文献2】
特開2000−298882号公報(第4−5頁、第1−3図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の追記型及びRAM型光ディスクで、情報の高密度記録化を図るためには、再生専用領域のピットと書き込み及び書き換え可能な領域(以下では、記録可能領域という)の記録マークを微小化する必要がある。しかし、再生専用領域のピット及び記録可能領域の記録マークの微小化が達成されても、光スポットの回折限界により再生光の再生分解能より小さい記録マークを再生することできないという問題があった。また、これらの光ディスクでは、情報の再生専用領域と情報の記録可能領域が光ディスクの基板上で互いに異なる場所に配置されているので、各領域における情報の記録容量にも限界があるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決するものであって、再生専用領域のピット及び記録可能領域の記録マークを微小化することなく、各領域の記録容量を増大させることができる光記録媒体の再生方法及びその記録再生装置並びに光記録媒体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に従えば、基板上の少なくとも一部の領域に形成された情報パターンと、該情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む前記基板上の領域に堆積された、反射率の変化により情報が記録再生される記録層とを備え、該記録層に情報が記録されている光記録媒体の再生方法であって、前記光記録媒体に光を照射して前記光記録媒体からの第1反射光信号を検出するステップと、前記光記録媒体に光を照射して前記記録層の情報を消去するステップと、前記記録層の情報が消去された光記録媒体に光を照射して該光記録媒体からの第2反射光信号を検出するステップと、第2反射光信号と第1反射光信号との差を求めて前記記録層の情報に相当する信号を生成するステップとを含む光記録媒体の再生方法が提供される。
【0010】
本発明の光記録媒体の再生方法では、まず、基板上の少なくとも一部の領域に形成された情報パターンと、その情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む基板上の領域に堆積された、反射率の変化により情報が記録再生される記録層とを備え、且つ、記録層に情報が記録されている光記録媒体を用意する。ここで、情報パターンはピットで形成されていることが好ましい。反射率の変化により情報が記録再生される記録層は、例えば有機色素材料あるいは相変化材料で形成され得る。また、ユーザー情報は記録層にのみ記録されていても良い。
【0011】
上記用意された光記録媒体の表面の領域に再生光を照射して、光記録媒体からの反射光の信号を検出すると、基板上に形成された情報パターンの情報と記録層に記録された情報を含んだ信号(以下では、第1反射光信号という)が得られる。
【0012】
次に、光記録媒体に光(消去光)を照射して記録層の情報を消去する。この際、記録層が相変化材料のように光照射で書き換え可能な材料で形成されている場合には、照射される消去光の強度を調整して光記録媒体に照射することにより媒体内の記録層を全て記録状態または未記録状態(初期化状態)にする。これにより、記録層からの反射光量が一定になり、記録層の情報が消去された状態になる。また、記録層が有機色素材料のように光照射で書き込みのみ可能な材料で形成されている場合には、消去光を光記録媒体に照射して媒体内の記録層を全て記録状態にする。これにより、記録層からの反射光量が一定になり、記録層の情報が消去された状態になる。
【0013】
記録層の情報を消去した後、再度、光記録媒体に再生光を照射して光記録媒体からの反射光の信号(以下では、第2反射光信号という)を検出する。この際、媒体内の記録層の情報はすでに消去されているので、検出される第2反射光信号は、基板上に形成された情報パターンの情報のみを含んだ信号となる。次いで、第2反射光信号と第1反射光信号との差を求めると、媒体内の記録層に記録された情報に相当する信号が得られる。それゆえ、本発明の光記録媒体の再生方法では、情報パターンの情報と記録層の情報を含んだ再生信号から情報パターンの情報と記録層の情報を個別に再生することができる。
【0014】
本発明の光記録媒体の再生方法では、さらに、第1反射光信号を検出するステップの後に、第1反射光信号を保存するステップを含んでも良い。また、情報が消去された記録層に、再度、消去された情報と同一の情報を記録するステップを含んでも良い。
【0015】
本発明の第2に態様に従えば、基板上の少なくとも一部の領域に形成された情報パターンと、該情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む前記基板上の領域に堆積された、反射率の変化により情報が記録再生される記録層とを備えた光記録媒体の記録再生装置であって、前記光記録媒体に光を照射し且つ反射光を検出する光ヘッド部と、前記光ヘッド部で検出された信号を処理して情報パターンの情報及び記録層の情報を個別に再生する再生部とを備え、前記再生部が、前記光ヘッド部で検出された情報パターンの情報及び記録層の情報を含んだ第1反射光信号を保存するメモリ部と、前記メモリ部に保存された第1反射光信号と前記光ヘッド部で検出された情報パターンの情報のみを含む第2反射光信号とに基づいて、前記記録層の情報に対応する信号を生成する処理部とを備えることを特徴とする光記録媒体の記録再生装置が提供される。
【0016】
本発明の光記録媒体の記録再生装置は、光記録媒体に光を照射し且つ反射光を検出する光ヘッド部と、光ヘッド部で検出された信号を処理して基板上に形成された情報パターンの情報及び記録層の情報を再生する再生部とで構成されている。再生部に含まれる処理部は、同じく再生部のメモリ部に保存した情報パターンの情報及び記録層の情報を含んだ第1反射光信号と、情報パターンの情報のみを含んだ第2反射光信号とを、例えば演算して記録層の情報に相当する信号だけを求めることができる。即ち、再生部は、基板上に形成された情報パターンの情報と記録層に記録された情報を独立して求めることができる。それゆえ、本発明の装置は、本発明の再生方法及び後述する本発明の光記録媒体に好適である。
【0017】
本発明の光記録媒体の記録再生装置では、上記処理部が第1反射光信号と第2反射光信号との差を求める機能を備えていることが好ましい。
【0018】
本発明の第3の態様に従えば、光記録媒体であって、基板と、前記基板上の少なくとも一部の領域に形成された情報パターンと、前記情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む前記基板上の領域に堆積された、反射率の変化により情報が記録再生される記録層とを備え、前記記録層に予め情報が記録されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
【0019】
本発明の光記録媒体では、基板上の少なくとも一部の領域に情報パターンが形成されており、その情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む基板の領域上に記録層が堆積されている。そして、その記録層には予め情報が記録されている。本発明の光記録媒体では、記録層は反射率の変化により情報が記録再生される材料で形成されており、その材料として、例えば、有機色素材料のような書き換え不可能な材料を用いても良いし、相変化材料のような書き換え可能な材料を用いても良い。また、ユーザー情報が記録層にのみ記録されていても良い。また、本発明の光記録媒体では、基板上に形成される情報パターンはピットで形成されていることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の光記録媒体の再生方法及びその記録再生装置並びに光記録媒体について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0021】
【実施例1】
実施例1で作製した光ディスクの概略断面図を図1に示した。この例で作製した光ディスク10は、図1に示すように、基板11上に記録層12、反射層13及び保護層14を順次積層させた構造を有する。
【0022】
この例で作製した光ディスク10の作製方法は、まず、ピットパターンが表面全体にわたって形成されている原盤(不図示)を用意した。なお、原盤上に形成されたピットパターンは、フォトレジストが塗布された原盤を露光ヘッドを有する原盤露光装置(不図示)に装着した後、図4に示した原盤露光信号を露光ヘッドに供給して、その原盤露光信号に従って原盤表面に光を照射してパターニングすることにより形成した。次いで、原盤上に形成されたピットパターンを、Ni製のスタンパ(不図示)に転写し、かかるスタンパ表面に形成された凹凸パターンを再転写して得られたスタンパ(不図示)を用いて射出成形することにより、直径60mm、厚さ1.2mmのポリカーボネート製ディスク状基板11を成形した。これにより、基板11の一面上の全領域にわたってトラックピッチ1.6μm、ピット幅0.5μm及びピット深さ50nmの所定のピットパターンが得られた。なお、この例で用いたポリカーボネート製の基板11の屈折率は1.5であった。
【0023】
次に、2,2,3,3−テトラフロロプロパノールに2−メトキシエタノール5重量%を加えた混合溶媒にシアニン系色素1.5重量%(混合溶液中の重量%)を溶解させて色素溶液を調整した。次いで、この色素溶液を基板11上にスピンコート法により塗布して記録層12を形成した。ここで、記録層12の膜厚は約130nmとした。
【0024】
記録層12を形成した後、記録層12上に、AlTiをスパッタ法により約80nm堆積させて反射層13を形成した。最後に、反射層13上に、紫外線硬化樹脂を約5μm塗布して、その紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させることにより保護層14を形成した。こうして図1に示した積層構造を有する光ディスク10を作製した。
【0025】
次に、この例で作製した光ディスク10の記録再生に使用する記録再生装置について説明する。図2に、この例で作製した光ディスク10の記録再生に最適な記録再生装置20の概略構成を示した。記録再生装置20は、図2に示すように、光照射系21と、光照射系21を制御する制御回路系22とで構成した。図2中の各回路ブロック間をつないでいる矢印は電気信号の流れを表している。
【0026】
光照射系21は、情報の記録再生時に光ディスク10にレーザー光を照射するとともに、光ディスク10からの反射光を検出する機能を備えた光ヘッド部211と、光ディスク10を回転させるためのスピンドルモータ212とで構成されている。
【0027】
光ヘッド部211は、波長780nmのレーザー光源と、開口数NA=0.55の対物レンズと、光スポットの焦点を光ディスク10上に合わせるためのフォーカシング機能及び光スポットを光ディスク10上のトラックに追従させるためのトラッキング機能を有するアクチュエータと、反射光を検出するためのフォトディテクタとを内蔵している(いずれも不図示)。光ヘッド部211内のアクチュエータは、フォトディテクタで検出された反射光のプッシュプル信号を後述する制御回路系22内のサーボ回路221でフィードバックすることによって得られる信号により制御される。また、光ヘッド部211内のフォトディテクタで検出された光ディスク10からの反射光の信号は、図2に示すように、後述する制御回路系22内の再生信号処理部225に入力される。
【0028】
スピンドルモータ212は、図2に示すように、後述する制御回路系22内のコントローラ230により制御されて光ディスク10を回転させる。この例で作製した光ディスク10は、基板側から光入射して情報の記録再生を行うので、光ディスク10の基板側の面が光ヘッド部211と対向するように、スピンドルモータ212に装着される。
【0029】
制御回路系22は、サーボ回路221と、レーザーコントローラ222と、エンコーダ223と、記録信号生成回路224と、再生信号処理部225と、メモリ装置226と、演算装置227と、エラー訂正デコーダ228と、データブロック229と、コントローラ230とで構成した。回路制御系22の各回路ブロックは、ホストコンピュータ23によりコントローラ230を介して制御される。
【0030】
図2に示した記録再生装置20を用いて、光ディスク10に情報を記録する場合、情報はホストコンピュータ23からコントローラ230を介してエンコーダ223に入力されて記録データに変換される。この記録データは記録信号発生回路224に入力されて記録信号(以下では、光照射信号という)に変換される。この光照射信号をレーザーコントローラ222に入力することにより、この光照射信号に従って光強度変調された光パルスが光ヘッド部211から光ディスク10に照射されて情報が記録される。
【0031】
一方、図2に示した記録再生装置20を用いて、光ディスク10の情報を再生する場合、光ヘッド部211から再生光を光ディスク10に照射して、光ディスク10からの反射光を光ヘッド部211内のフォトディテクタで検出する。フォトディテクタで検出した反射光の信号は再生信号処理部225に入力される。再生信号処理部225では、入力された反射光の信号をI−V変換回路(不図示)により電圧の信号に変換して、その後、AD変換器(不図示)により反射光の電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して出力する。この際、AD変換するタイミングは再生信号処理部225内のPLL回路(不図示)により生成されたクロック信号により決定される。
【0032】
再生信号処理部225から出力される反射光のデジタル信号は、再生過程の中で、光ヘッド部211で検出された反射光の信号がピット情報及び記録層の情報を含んだ信号である場合には、メモリ装置226に送られて保存される。一方、光ヘッド部211で検出された反射光の信号がピット情報のみを含む場合には、再生信号処理部225から出力される反射光のデジタル信号は演算装置227に入力される。
【0033】
演算装置227では、再生信号処理部225から直接入力されるピット情報のみを含んだ反射光のデジタル信号と、メモリ装置226から入力されるピット情報及び記録層の情報を含んだ反射光のデジタル信号との差を計算して記録層の情報に相当する反射光のデジタル信号を生成する。そして、演算装置227からピット情報に相当するデジタル信号と記録層の情報に相当するデジタル信号を個別に出力する。
【0034】
演算装置227から個別に出力されたピット情報に相当するデジタル信号と記録層の情報に相当するデジタル信号は、ともにエラー訂正デコーダ228に入力される。エラー訂正デコーダ228では、個別に入力されたピット情報に相当するデジタル信号と記録層の情報に相当するデジタル信号に対してそれぞれエラー訂正を行い、エラー訂正デコーダ228内のデコーダ(不図示)でユーザー情報に変換する。
【0035】
次に、実際に、図2に示した本発明の記録再生装置20に、この例で作製した光ディスク10を装着して情報の記録再生を行った。まず、光ディスク10への記録は、図5に示した光照射信号に従って変調されたレーザー光(記録光)を光ディスク10に照射して行った。記録光の記録パワーは9mWとした。ただし、この例では、図5に示した記録層の光照射信号の周期を、図4に示したピット形成のために用いた原盤露光信号の周期より短くした。
【0036】
情報を記録した際、光ディスク10の基板上に形成されたピットと記録層に記録された記録マークとの配置パターンには、図3に示すように、4つの組み合わせが考えられる。ただし、この例では、図3に示すように、光入射側(基板31側)から見て凹形状になる部分(図3中の35)をピットとした。図3(a)は、ピット35上の記録層32に記録マーク36が存在する場合であり、図3(b)は、ピット35上の記録層32に記録マーク36が存在しない場合である。図3(c)は、ピット35が存在しない基板領域上の記録層32に記録マーク36が存在する場合であり、図3(d)は、ピット35が存在しない基板領域上の記録層32に記録マーク36が存在しない場合の光ディスクの概略断面図である。ピット35及び記録マーク36の配置パターンが異なると、各配置パターンで得られる反射光の反射光量もそれぞれ異なる。図3(a)に示すようなピット35上の記録層32に記録マーク36が存在する場合が最も反射光量が小さくなり、図3(d)に示すようなピット35及び記録マーク36が共に存在しない場合が最も反射光量が大きくなる。
【0037】
次に、記録層に情報が記録された光ディスク10にレーザー光(再生光)を照射して情報の再生を行った。再生光の再生パワーは1mWとした。この際、検出された光ディスク10から検出された反射光の信号を図6(a)に示した。検出された反射光の信号にはピット情報と記録層に記録された情報が含まれており、このような信号では、図3に示したピットと記録層の記録マークの配置パターンにより反射光量の異なった反射光の信号が混在するので、図6(a)に示すように、複雑な信号波形になる。次いで、図6(a)に示したピット情報及び記録層に記録された情報を含んだ反射光の信号データを、図2に示した記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。
【0038】
次に、レーザーパワー9mWのレーザー光(消去光)を光ディスク10に照射して、記録層の情報を消去した。この例では、記録層に有機色素材料を用いているので、消去光を照射することにより記録層は全て記録状態になり、これにより記録層からの反射光量が一定になって、記録層の情報が消去された状態になる。記録層の情報を消去した後、再生パワー1mWのレーザー光を光ディスク10に照射して再生を行うと、図6(b)に示すような反射光の信号が得られた。この際、記録層の情報はすでに消去されているので、図6(b)に示した反射光の信号は、図4に示したピットパターンを形成するために用いた原盤露光信号と同じ周期の信号となり、ピット情報に相当する信号が得られた。
【0039】
最後に、図2に示した記録再生装置20内のメモリ装置226に保存された図6(a)のピット情報及び記録層の情報を含んだ反射光の信号と図6(b)のピット情報に相当する反射光の信号とを記録再生装置20内の演算装置227に入力して差分処理を行うと、図6(c)に示すような信号が得られた。図6(c)に示した反射光の信号と、図5に示した記録層に情報を記録する際に用いた光照射信号を比較すると分かるように、図6(c)に示した反射光の信号は、図5に示した記録層に情報を記録する際に用いた光照射信号と同じ周期の信号となり、記録層に記録された情報に相当する信号が得られた。以上で説明したように、本発明の記録再生方法及び装置を用いると、ピット情報及び記録層の情報を含んだ再生信号から、各情報を個別に再生可能することができる。
【0040】
【実施例2】
図7に、実施例2で作製した光ディスクを示した。図7(a)に示すように、この例で作製した光ディスク70では、基板71上の全面にわたり記録層72が積層されている。ただし、この例で作製した光ディスク70は実施例1と同様の製造方法で作製した。記録層72には実施例1と同様に有機色素材料を用いた。なお、図7ではここでの説明を簡略化するために保護層及び反射層は省略した。
【0041】
この例で作製した光ディスク70では、ユーザー情報(伝達・保持しようとする情報)は記録層72に記録マークとして記録され、記録層72に記録されたユーザー情報を再生するために必要な鍵情報は基板71上の全面にわたってピット73として形成されている。すなわち、この例で作製した光ディスク70では、基板71上に形成されたピット情報と記録層72に記録されている情報は光ディスク70の全面にわたり重なった構造を有する。ただし、この例では、図7(b)に示すように、光入射側(基板71側)から見て凸形状になる部分(図7(b)中の73)をピットとした。
【0042】
この例で作製した光ディスク70のユーザー情報及び鍵情報の記録方法について説明する。ユーザー情報の再生に必要な鍵情報は基板71の製造過程で作製した。その方法は、実施例1と同様に、鍵情報に対応した凹凸パターンを有するスタンパ(不図示)を用いて射出成型することにより、基板71上の全面にわたって鍵情報をピット73として形成した。ユーザー情報は、この例で作製した光ディスク70を図2に示した記録再生装置20に装着して、光ディスク70の全面にわたりユーザー情報に従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射することにより記録層72に記録マークとして記録した。この際、光ディスク70に照射される記録光の強度は、記録層72にユーザー情報を記録するのに十分なレベルの強度とした。
【0043】
次に、この例で作製した光ディスク70のユーザー情報の再生方法について説明する。まず、上記記録方法でユーザー情報及び鍵情報が記録された光ディスク70を図2に示した記録再生装置20に装着して、光ディスク70の全面にわたり光(再生光)を照射して、光ディスク70からの反射光を検知して情報を再生した。この際、光ディスク70に照射する再生光の強度は、記録層72に記録されているユーザー情報を破壊しない程度の強度とした。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際に得られる情報は、記録層に記録されたユーザー情報と基板上にピットとして形成された鍵情報が混在した情報(以下では情報A2という)となる。
【0044】
次いで、光ディスク70の全面にわたり光(消去光)を照射して、記録層72に記録されている全てのユーザー情報を消去した。この際、光ディスク70に照射する消去光の強度は、記録層72に記録されたユーザー情報を消去するのに十分なレベルの強度とした。この例では、記録層72に有機色素材料を用いているので、光を照射することにより記録層72は全て記録状態になり、これにより記録層72からの反射光量が一定になって、記録層72の情報が消去された状態になる。記録層72のユーザー情報を消去した後、再度、光ディスク70の全面にわたって再生光を照射して、光ディスク70からの反射光を検知して情報を再生した。再生した情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際に得られる情報は、すでに記録層72に記録された全てのユーザー情報が消去されているので、基板71上にピットとして形成された鍵情報に相当した情報(以下では情報B2という)となる。
【0045】
次に、図2に示した記録再生装置20内の演算装置227で、メモリ装置226に保存されたユーザー情報及び鍵情報が混在した情報に相当する情報A2と鍵情報に相当する情報B2との差分を求めて、記録層72に記録されたユーザー情報に相当する情報を再生した。
【0046】
この例で作製した光ディスク70では、上述のように、記録層に記録されたユーザー情報を再生する過程の途中で全てのユーザー情報を消去するので、一度ユーザー情報を再生すると、再度、ユーザー情報の再生及びインストールは不可能となる。それゆえ、この例で作製した光ディスク70は、例えば個人情報や小規模な出版情報などをユーザーが個人で記録して、これを一度再生するのみで記録情報を滅却したい場合に用いるような光記録媒体としては好適な媒体である。なお、この例ではユーザー情報を光ディスク70の全面にわたって記録層に記録した例を説明したが、基板上にピットとして形成された鍵情報の領域上の一部の記録層領域に、ユーザー情報が記録されていても良い。
【0047】
【実施例3】
図8に、実施例3で作製した光ディスクを示した。図8(a)に示すように、この例で作製した光ディスク80は、基板81上の全面にわたり記録層82が積層されている。ただし、この例で作製した光ディスク80は実施例1と同様の製造方法で作製した。記録層82には実施例1と同様に有機色素材料を用いた。なお、図8ではここでの説明を簡略化するために保護層及び反射層は省略した。
【0048】
この例で作製した光ディスク80では、ユーザー情報は記録層82に記録マークとして記録され、ユーザー情報の再生に必要な鍵情報は基板81上にピット83として光ディスク80の外周付近の領域(領域82bの記録層の下部)に形成され、その領域82bは光ディスク80の中心に対して同心円の帯形状となるように形成されている。すなわち、この例で作製した光ディスク80では、図8(a)に示すように、基板81上に形成されているピット情報と記録層82に記録されている情報がオーバーラップする領域は領域82b(以下ではオーバーラップ領域という)のみであり、領域82a及び82cは記録層82に記録されている情報のみが存在する領域である。ただし、この例では、図8(b)に示すように、光入射側(基板81側)から見て凸形状になる部分(図8(b)中の83)をピットとした。
【0049】
この例で作製した光ディスク80のユーザー情報及び鍵情報の記録方法について説明する。ユーザー情報の再生に必要な鍵情報は基板81の製造過程で作製した。その方法は、実施例1と同様に、鍵情報に対応した凹凸パターンを有するスタンパ(不図示)を用いて射出成型することにより、オーバーラップ領域82b下部の基板81上の領域に鍵情報をピット83として形成した。ユーザー情報は、この例で作製した光ディスク80を図2に示した記録再生装置20に装着して、光ディスク80の全面にわたってユーザー情報に従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射することにより記録層82に記録マークとして記録した。
【0050】
次に、この例で作製した光ディスク80のユーザー情報の再生方法について説明する。まず、ユーザー情報及び鍵情報が記録されている光ディスク80を図2に示した記録再生装置20に装着して、光ディスク80のユーザー情報と鍵情報がオーバーラップしている領域82bに光(再生光)を照射し、オーバーラップ領域82bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。この際に得られる情報は、オーバーラップ領域82bの記録層に記録されたユーザー情報と基板81上にピット83として形成された鍵情報が混在した情報(以下では情報A3という)となる。
【0051】
次いで、鍵情報とユーザー情報のオーバーラップ領域82bに光(消去光)を照射してオーバーラップ領域82bの記録層に記録されたユーザー情報を消去した。この例では、実施例1と同様に、記録層に有機色素材料を用いているので、オーバーラップ領域82bに消去光を照射することによりオーバーラップ領域82bの記録層は全て記録状態になり、これによりオーバーラップ領域82bの記録層からの反射光量が一定になって、オーバーラップ領域82bの記録層の情報が消去された状態になる。オーバーラップ領域82bの記録層に記録されたユーザー情報を消去した後、再度、光ディスク80のオーバーラップ領域82bに再生光を照射して、オーバーラップ領域82bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際にオーバーラップ領域82bから得られる情報は、すでにオーバーラップ領域82bのユーザー情報を消去しているので、オーバーラップ領域82bの基板81上にピット83として形成された鍵情報に相当した情報(以下では情報B3という)となる。
【0052】
次に、図2に示した記録再生装置20内のメモリ装置226に保存されたオーバーラップ領域82bのユーザー情報と鍵情報が混在した情報に相当する情報A3とオーバーラップ領域82bの鍵情報に相当する情報B3との差分を求めて、オーバーラップ領域82bの記録層に記録されたユーザー情報に相当する情報を再生した。次いで、ユーザー情報のみが存在する領域82a及び82cに再生光を照射して、各領域からユーザー情報を再生し、光ディスク80の記録層に記録された全てのユーザー情報を再生した。
【0053】
この例で作製した光ディスク80では、上述のように、ユーザー情報を再生する過程の途中で、オーバーラップ領域82bの記録層に記録されたユーザー情報を消去するので、一度光ディスク80のユーザー情報を再生すると、二度とオーバーラップ領域82bのユーザー情報の再生及びインストールが不可能になる。それゆえ、この例で作製した光ディスク80では、全てのユーザー情報の再生及びインストールは1回のみとなる。また、この例で作製した光ディスク80では記録層82に記録されたユーザー情報と基板81上にピットとして形成された鍵情報のオーバーラップする領域82bを実施例2で作製した光ディスク70に比べて小さくすることができるので、ユーザー情報の再生過程で必要になる記録再生装置内のメモリ量を少なくすることができる。さらに、オーバーラップ領域82bを小さくすることにより、オーバーラップ領域82bから得られる再生情報の再生及び演算時間が短くなるので、ユーザー情報の再生時間の短縮も可能になる。
【0054】
【実施例4】
図9に、実施例4で作製した光ディスクを示した。図9(a)に示すように、この例で作製した光ディスク90は、基板91上の全面にわたり記録層92が積層されている。ただし、この例で作製した光ディスク90は実施例1と同様の製造方法で作製した。記録層92には実施例1と同様に有機色素材料を用いた。なお、図9ではここでの説明を簡略化するために保護層及び反射層は省略した。
【0055】
この例で作製した光ディスク90では、ユーザー情報の再生に必要な鍵情報は基板91上にピット93として光ディスク90の外周付近の領域(領域92bの記録層の下部)に形成され、その領域92bは光ディスク90の中心に対して同心円の帯形状となるように形成されている。ただし、この例では、図9(b)に示すように、光入射側(基板91側)から見て凸形状になる部分(図9(b)中の93)をピットとした。記録層92には、基板91上にピット93として形成されている鍵情報によりユーザー情報を演算加工した情報(以下では情報Cという)が記録マークとして記録されている。ここで、鍵情報によりユーザー情報を演算加工する手法としては、暗号化や配列変更などの手法を用いた。なお、鍵情報とは、ユーザー情報が暗号化される場合にはそれを解読するための規則や変換コードであり、また、ユーザー情報が配列変更される場合にはその規則や配列番号などの鍵情報である。すなわち、図9(a)に示すように、基板91上に形成されているピット情報と記録層92に記録されている情報とがオーバーラップする領域は領域92b(以下ではオーバーラップ領域という)のみであり、領域92a及び92cには記録層に記録された情報のみが存在する領域である。
【0056】
この例で作製した光ディスク90のユーザー情報及び鍵情報の記録方法を説明する。ユーザー情報の再生に必要な鍵情報は基板91の製造過程で作製した。その方法は、実施例1と同様に、鍵情報に対応した凹凸パターンを有するスタンパ(不図示)を用いて射出成型することにより、オーバーラップ領域92b下部の基板91上の領域に鍵情報をピット93として形成した。
【0057】
ユーザー情報の記録方法は次の通りである。この例で作製した光ディスク90を図2に示した記録再生装置20に装着して、オーバーラップ領域92bに再生光を照射し、オーバーラップ領域92bからの反射光を検知して情報を再生した。この際、オーバーラップ領域92bの記録層には情報が記録されていないので、再生された情報はオーバーラップ領域92b下部の基板91にピット93として形成された鍵情報に相当する情報となる。再生された鍵情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。次いで、記録再生装置20内で、メモリ装置226に保存された鍵情報を用いて、暗号化や配列変更などの手法でユーザー情報を演算加工して情報Cを作製した。ユーザー情報を鍵情報で演算加工して情報Cを作製した後、情報Cに従って変調されたレーザー光(記録光)を光ディスク90の全面にわたって断続的に照射することにより情報Cを記録層92に記録マークとして記録した。
【0058】
次に、この例で作製した光ディスク90のユーザー情報の再生方法について説明する。まず、上記記録方法でユーザー情報及び鍵情報が記録された光ディスク90を図2に示した記録再生装置20に装着して、光ディスク90の記録層92に記録されている情報Cと基板91上にピット93として形成されている鍵情報がオーバーラップしている領域92bに光(再生光)を照射し、オーバーラップ領域92bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。この際に得られる情報は、オーバーラップ領域92bの情報Cと鍵情報が混在した情報(以下では情報A4という)となる。
【0059】
次いで、オーバーラップ領域92bに光(消去光)を照射してオーバーラップ領域92bの記録層に記録されている情報Cを消去した。この例では、実施例1と同様に、記録層に有機色素材料を用いているので、オーバーラップ領域92bに消去光を照射することによりオーバーラップ領域92bの記録層は全て記録状態になり、これによりオーバーラップ領域92bの記録層からの反射光量が一定になって、オーバーラップ領域92bの記録層に記録されている情報Cが消去された状態になる。オーバーラップ領域92bの記録層に記録されている情報Cを消去した後、再度、オーバーラップ領域92bに再生光を照射して、オーバーラップ領域92bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際にオーバーラップ領域92bから得られる情報は、すでにオーバーラップ領域92bの記録層の情報Cが消去されているので、オーバーラップ領域92b下部の基板91上にピット93として形成された鍵情報に相当した情報(以下では情報B4という)となる。
【0060】
次に、記録再生装置20内のメモリ装置226に保存されたオーバーラップ領域92bの情報C及び鍵情報が混在した情報に相当する情報A4と鍵情報に相当する情報B4との差分を求めて、オーバーラップ領域92bの記録層に記録された情報Cに相当する情報を再生した。オーバーラップ領域92bの記録層の情報Cを再生した後、領域92a及び92cに再生光を照射して各領域の記録層に記録された情報Cを再生し、全ての情報Cを再生した。最後に、再生された全ての情報Cを、メモリ装置226に保存された鍵情報により逆演算加工してユーザー情報を再生した。ただし、鍵情報による情報Cの逆演算加工は、該各領域の記録層に記録された情報Cを再生しながら随時行っても良い。
【0061】
この例で作製した光ディスク90では、上述のように、ユーザー情報を再生する過程の途中で、オーバーラップ領域92bの記録層に記録された情報Cを消去するので、一度ユーザー情報を再生すると、二度とオーバーラップ領域92bの情報Cの再生が不可能となり、オーバーラップ領域92bのユーザー情報の再度の再生及びインストールが不可能となる。それゆえ、この例で作製した光ディスク90では、全てのユーザー情報の再生及びインストールは1回のみとなる。また、この例で作製した光ディスク90では、記録層92に記録されたユーザー情報と基板91上にピットとして形成された鍵情報とがオーバーラップする領域92bを、実施例3と同様に、小さくすることができるのでユーザー情報の再生過程で必要になる記録再生装置内のメモリ量を少なくすることができる。さらに、オーバーラップ領域92bを小さくすることにより、オーバーラップ領域92bから得られる再生情報の再生及び演算時間が短くなるので、ユーザー情報の再生時間の短縮も可能になる。
【0062】
【実施例5】
図10に、実施例5で作製した光ディスクを示した。図10(a)に示すように、この例で作製した光ディスク100は、基板101上の全面にわたり記録層102が積層されている。ただし、この例で作製した光ディスク100は実施例1と同様の製造方法で作製した。記録層102には実施例1と同様に有機色素材料を用いた。なお、図10ではここでの説明を簡略化するために保護層及び反射層は省略した。
【0063】
この例で作製した光ディスク100では、ユーザー情報の再生に必要な鍵情報(以下では第1鍵情報という)は、基板101上にピット103として光ディスク100の外周付近の領域(領域102bの記録層の下部)に形成され、その領域102bは光ディスク100の中心に対して同心円の帯形状となるように形成されている。ただし、この例では、図10(b)に示すように、光入射側(基板101側)から見て凸形状になる部分(図10(b)中の103)をピットとした。記録層102は、図10(a)に示すように、3つの領域(領域102a、102b及び102c)に分けられる。領域102bは、基板101上にピット103として形成された第1鍵情報と記録層102が重なる領域(以下では、オーバーラップ領域という)であり、オーバーラップ領域102bの記録層にはユーザー情報を演算加工するためにユーザー側あるいはドライブシステム側で作製された鍵情報(以下では第2鍵情報という)が記録マークとして記録されている。領域102a及び102cの記録層には、ユーザー情報を第2鍵情報で演算加工した情報(以下では情報Dという)が記録マークとして記録されている。すなわち、この例で作製した光ディスク100では、基板101上に形成されたピット情報と記録層102に記録された情報とが重なる領域はオーバーラップ領域102bのみであり、それ以外の領域102a及び102cには記録層の情報のみが形成されている。ここで、第2鍵情報は、ユーザー情報が暗号化される場合にはそれを解読するための規則や変換コードであり、また、ユーザー情報が配列変更される場合にはその規則や配列番号などの鍵情報である。この第2鍵情報はユーザー側あるいはドライブシステム側で任意に作製することができる。また、情報Dは第2鍵情報を用いて暗号化や配列変更などの手法によりユーザー情報を演算加工して作製される。
【0064】
この例で作製した光ディスク100のユーザー情報及び鍵情報の記録方法について説明する。この例で作製した光ディスク100では、第2鍵情報を取得するためには第1鍵情報が必要であり、その第1鍵情報は基板101の製造過程で作製した。その方法は、実施例1と同様に、鍵情報に対応した凹凸パターンを有するスタンパ(不図示)を用いて射出成型することにより、オーバーラップ領域102b下部の基板101上の領域に第1鍵情報をピット103として形成した。
【0065】
ユーザー情報及び第2鍵情報の記録方法は次の通りである。この例で作製した光ディスク100を図2に示した記録再生装置20に装着して、オーバーラップ領域102bに、ユーザー側あるいはドライブシステム側で作製した第2鍵情報に従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射してオーバーラップ領域102bの記録層に第2鍵情報を記録した。次いで、領域102a及び102cの記録層には、ユーザー情報を第2鍵情報で演算加工した情報Dに従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射して情報Dを記録した。
【0066】
次に、この例で作製した光ディスク100のユーザー情報の再生方法について説明する。まず、上記記録方法でユーザー情報及び鍵情報が記録されている光ディスク100を図2に示す記録再生装置20に装着して、光ディスク100のオーバーラップ領域102bに光(再生光)を照射して、オーバーラップ領域102bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報を記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。この際に得られる情報は、基板101上にピット103として形成されている第1鍵情報とオーバーラップ領域102bの記録層に記録されている第2鍵情報が混在した情報(以下では情報A5という)となる。
【0067】
次に、光ディスク100のオーバーラップ領域102bに光(消去光)を照射してオーバーラップ領域102bの記録層に記録されている第2鍵情報を消去した。この例では、実施例1と同様に、記録層に有機色素材料を用いているので、オーバーラップ領域102bに消去光を照射することによりオーバーラップ領域102bの記録層は全て記録状態になり、これによりオーバーラップ領域102bの記録層からの反射光量が一定になって、オーバーラップ領域102bの記録層に記録された第2鍵情報が消去された状態になる。オーバーラップ領域102bの記録層に記録されている第2鍵情報を消去した後、再度、光ディスク100のオーバーラップ領域102bに再生光を照射して、オーバーラップ領域102bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報を記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際にオーバーラップ領域102bから得られる情報は、すでにオーバーラップ領域102bの記録層に記録されていた第2鍵情報は消去されているので、オーバーラップ領域102b下部の基板101上にピット103として形成された第1鍵情報に相当した情報(以下では情報B5という)となる。
【0068】
次に、記録再生装置20内のメモリ装置226に保存されたオーバーラップ領域102bの第1鍵情報及び第2鍵情報が混在した情報に相当する情報A5と第1鍵情報に相当する情報B5との差分を求めて、オーバーラップ領域102bの記録層に記録された第2鍵情報に相当する情報を再生した。再生された第2鍵情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。次いで、光ディスク100の領域102a及び102cに再生光を照射して、ユーザー情報を第2鍵情報で演算加工した情報Dを再生した。最後に、再生された情報Dを、メモリ装置226に保存された第2鍵情報で逆演算加工してユーザー情報を再生した。なお、第2鍵情報による情報Dの逆演算加工は、光ディスク100の領域102a及び102cに記録された情報Dの再生と並行して行っても良い。
【0069】
この例で作製した光ディスク100では、上述のように、ユーザー情報を再生する過程の途中で、オーバーラップ領域102bの第2鍵情報を消去するので、一度光ディスク100のユーザー情報を再生すると、二度とオーバーラップ領域102bの記録層に記録されている第2鍵情報の再生が不可能になる。それゆえ、再度、光ディスク100からユーザー情報を再生しようとする場合、光ディスク100の領域102a及び102cの記録層から情報Dを再生することは可能であるが、第2鍵情報が得られないので、情報Dから第2鍵情報を用いて逆演算加工してユーザー情報を再生することは不可能となる。すなわち、この例で作製した光ディスク100では、ユーザー情報の再生及びインストールは1回のみとなる。また、この例で作製した光ディスク100では、記録層102に記録されているユーザー情報と基板101上にピットとして形成されている鍵情報がオーバーラップする領域102bを、実施例3と同様に、小さくすることができるのでユーザー情報の再生過程で必要になる記録再生装置20内のメモリ量を少なくすることができる。さらに、オーバーラップ領域102bを小さくすることにより、オーバーラップ領域102bから得られる再生情報の再生及び演算時間が短くなるので、ユーザー情報の再生時間の短縮も可能になる。
【0070】
【実施例6】
図11に、実施例6で作製した光ディスクを示した。図11(a)に示すように、この例で作製した光ディスク110は、基板111上の全面にわたり記録層112が積層されている。ただし、この例で作製した光ディスク110は実施例1と同様の製造方法で作製した。記録層112には実施例1と同様に有機色素材料を用いた。なお、図11ではここでの説明を簡略化するために保護層及び反射層は省略した。
【0071】
この例で作製した光ディスク110では、ユーザー情報の再生に必要な鍵情報(以下では第1鍵情報という)は、基板111上にピット113として光ディスク110の外周付近の領域(領域112bの記録層の下部)に形成され、その領域112bは光ディスク110の中心に対して同心円の帯形状となるように形成されている。ただし、この例では、図11(b)に示すように、光入射側(基板111側)から見て凸形状になる部分(図11(b)中の113)をピットとした。記録層112は、図11(a)に示すように、3つの領域(領域112a、112b及び112c)に分けられる。領域112bは、基板111上にピット113として形成された第1鍵情報と記録層112とが重なる領域(以下では、オーバーラップ領域という)であり、オーバーラップ領域112bの記録層にはユーザー側あるいはドライブシステム側で作製された鍵情報(以下では第2鍵情報という)が記録マークとして記録されている。領域112a及び112cの記録層には、ユーザー情報を第1及び第2鍵情報で演算加工した情報(以下では情報Eという)が記録マークとして記録されている。すなわち、この例で作製した光ディスク110では、基板111上に形成されたピット情報と記録層112に記録された情報とが重なる領域はオーバーラップ領域112bのみであり、それ以外の領域112a及び112cには記録層の情報のみが形成されている。ただし、この例で作製された光ディスク110では、領域112a及び112cの記録層に記録される情報Eは第1及び第2鍵情報の両方を用いて暗号化や配列変更などの手法によりユーザー情報を演算加工して作製される。ここで、鍵情報とは、ユーザー情報が暗号化される場合にはそれを解読するための規則や変換コードであり、また、ユーザー情報が配列変更される場合にはその規則や配列番号などの鍵情報である。この例では、これらの鍵情報を基板111上にピット113として形成された第1鍵情報とユーザー側あるいはドライブシステム側で作製された第2鍵情報とに分けて使用した。
【0072】
この例で作製した光ディスク110のユーザー情報並びに第1及び第2鍵情報の記録方法について説明する。ユーザー情報の再生に必要な第1鍵情報は基板111の製造過程で作製した。その方法は、実施例1と同様に、鍵情報に対応した凹凸パターンを有するスタンパ(不図示)を用いて射出成型することにより、オーバーラップ領域112b下部の基板111上の領域に第1鍵情報をピット113として形成した。
【0073】
ユーザー情報の記録方法は次の通りである。この例で作製した光ディスク110を図2に示した記録再生装置20に装着して、オーバーラップ領域112bに再生光を照射して情報を再生した。この際、オーバーラップ領域112bの記録層には情報が記録されていないので、再生された情報はオーバーラップ領域112b下部の基板111上にピット113として形成された第1鍵情報に相当する情報となる。再生された第1鍵情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。次いで、ユーザー側あるいはドライブシステム側で第2鍵情報を作製した。ただし、第2鍵情報の作製は第1鍵情報を再生する前に行なっても良い。また、第2鍵情報は記録再生装置20内で作製しても良いし、記録再生装置外で予め作製しても良い。次に、第1及び第2鍵情報を用いてユーザー情報を演算加工して情報Eを作製した。次いで、オーバーラップ領域112bに第2鍵情報に従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射して、オーバーラップ領域112bの記録層に第2鍵情報を記録マークとして形成した。領域112a及び112cの記録層には、情報Eに従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射して情報Eを記録マークとして記録した。
【0074】
次に、この例で作製した光ディスク110のユーザー情報の再生方法について説明する。まず、上記記録方法でユーザー情報及び鍵情報が記録されている光ディスク110を図2に示す記録再生装置20に装着して、光ディスク110のオーバーラップ領域112bに光(再生光)を照射して、オーバーラップ領域112bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。この際に得られる情報は、基板111上にピット113として形成されている第1鍵情報とオーバーラップ領域112bの記録層に記録マークとして記録されている第2鍵情報が混在した情報(以下では情報A6という)となる。
【0075】
次に、光ディスク110のオーバーラップする領域112bに光(消去光)を照射してオーバーラップ領域112bの記録層に記録されている第2鍵情報を消去した。この例では、実施例1と同様に、記録層に有機色素材料を用いているので、オーバーラップ領域112bに消去光を照射することによりオーバーラップ領域112bの記録層は全て記録状態になり、これによりオーバーラップ領域112bの記録層からの反射光量が一定になって、オーバーラップ領域112bの記録層に記録された第2鍵情報が消去された状態になる。オーバーラップ領域112bの記録層に記録されている第2鍵情報を消去した後、再度、光ディスク110のオーバーラップ領域112bに再生光を照射して、オーバーラップ領域112bからの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際にオーバーラップ領域112bから得られる情報は、すでにオーバーラップ領域112bの記録層に記録されていた第2鍵情報は消去されているので、オーバーラップ領域112bの下部の基板111上にピット113として形成された第1鍵情報に相当した情報(以下では情報B6という)となる。
【0076】
次に、記録再生装置20内のメモリ装置226に保存されたオーバーラップ領域112bの第1及び第2鍵情報が混在した情報に相当する情報A6と第1鍵情報に相当する情報B6との差分を求めて、オーバーラップ領域112bの記録層に記録された第2鍵情報に相当する情報を再生した。再生された第2鍵情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。次いで、光ディスク110の領域112a及び112cに再生光を照射して、各領域からの反射光を検知して情報Eを再生した。最後に、再生された情報Eを、記録再生装置20内のメモリ装置226に保存された第1及び第2鍵情報で逆演算加工してユーザー情報を再生した。なお、第1及び第2鍵情報による情報Eの逆演算加工は、光ディスク110の領域112a及び112cに記録された情報Eの再生と並行して行っても良い。
【0077】
この例で作製した光ディスク110では、上述のように、ユーザー情報を再生する過程の途中で、オーバーラップ領域112bの記録層に記録されている第2鍵情報を消去するので、一度光ディスク110のユーザー情報を再生すると、二度とオーバーラップ領域112bの記録層に記録されている第2鍵情報の再生が不可能になる。それゆえ、再度、光ディスク110からユーザー情報を再生しようとする場合、領域112a及び112cの記録層から情報Eと基板111上にピットとして形成された第1鍵情報の再生は可能であるが、第2鍵情報が得られないので、情報Eから第1及び第2鍵情報を用いて逆演算加工してユーザー情報を再生することができなくなる。すなわち、この例で作製した光ディスク110では、ユーザー情報の再生及びインストールは1回のみとなる。また、この例で作製した光ディスク110では、記録層112に記録されたユーザー情報と基板111上にピットとして形成された鍵情報がオーバーラップする領域112bを、実施例3と同様に、小さくすることができるのでユーザー情報の再生過程で必要になる記録再生装置20内のメモリ量を少なくすることができる。さらに、オーバーラップ領域112bを小さくすることにより、オーバーラップ領域112bから得られる再生情報の再生及び演算時間が短くなるので、ユーザー情報の再生時間の短縮も可能になる。
【0078】
【実施例7】
図12に、実施例7で作製した光ディスクを示した。この例で作製した光ディスク120では、図12(a)に示すように、記録層は基板121上の外周付近の一部の領域(領域122)に形成され、その領域122は光ディスク110の中心に対して同心円の帯形状になるように形成されている。ただし、この例で作製した光ディスク120は実施例1と同様の製造方法で作製した。ただし、領域122の記録層には実施例1と同様に有機色素材料を用いた。なお、図12(b)は領域122におけるトラックの周方向の概略断面図であり、図12ではここでの説明を簡略化するために保護層及び反射層は省略した。
【0079】
この例で作製した光ディスク120では、ユーザー情報の再生に必要な鍵情報は領域122の記録層に記録マークとして形成されている。ユーザー情報は鍵情報により演算加工され(以下ではこの演算加工された情報を情報Fという)、その情報Fは基板121の全面にわたってピット123として形成されている。ただし、この例では、図12(b)に示すように、光入射側(基板121側)から見て凸形状になる部分(図12(b)中の123)をピットとした。すなわち、この例で作製した光ディスク120では、図12(a)に示すように、基板121上に形成されたピット情報と記録層に記録された情報とが重なる領域は領域122(以下では、オーバーラップ領域という)のみであり、それ以外の領域124及び125は基板121上に形成されたピット情報のみの領域となる。ここで、情報Fは、鍵情報を用いて暗号化や配列変更などの手法によりユーザー情報を演算加工して作製される。
【0080】
この例で作製した光ディスク120のユーザー情報及び鍵情報の記録方法について説明する。まず、ユーザー情報を鍵情報で演算加工した情報Fを作製した。情報Fは、実施例1と同様に、情報Fに対応した凹凸パターンを有するスタンパ(不図示)を用いて射出成型することにより、基板121上の全面にわたりピット123として形成した。一方、鍵情報の記録方法は次の通りである。この例で作製した光ディスク120を図2に示した記録再生装置20に装着して、オーバーラップ領域122に鍵情報に従って変調されたレーザー光(記録光)を断続的に照射して、オーバーラップ領域122の記録層に鍵情報を記録マークとして記録した。
【0081】
次に、この例で作製した光ディスク120のユーザー情報の再生方法について説明する。まず、上記記録方法でユーザー情報及び鍵情報が記録されている光ディスク120を図2に示す記録再生装置20に装着して、光ディスク120のオーバーラップ領域122に光(再生光)を照射して、オーバーラップ領域122からの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。この際に得られる再生情報は、オーバーラップ領域122の下部にピット123として形成された情報Fの一部とオーバーラップ領域122の記録層に記録された鍵情報が混在した情報(以下では情報A7という)となる。
【0082】
次いで、光ディスク120のオーバーラップ領域122に光(消去光)を照射してオーバーラップ領域122の記録層に記録された鍵情報を消去した。この例では、実施例1と同様に、記録層に有機色素材料を用いているので、オーバーラップ領域122に消去光を照射することによりオーバーラップ領域122の記録層は全て記録状態になり、これによりオーバーラップ領域122の記録層からの反射光量が一定になって、オーバーラップ領域122の記録層に記録された鍵情報が消去された状態になる。オーバーラップ領域122の記録層に記録されている鍵情報を消去した後、再度、光ディスク120のオーバーラップ領域122に再生光を照射して、オーバーラップ領域122からの反射光を検知して情報を再生した。再生された情報は記録再生装置20内のメモリ装置226に保存した。ただし、この際にオーバーラップ領域122から得られる情報は、すでにオーバーラップ領域122の記録層に記録されていた鍵情報は消去されているので、オーバーラップ領域122の下部の基板121上にピット123として形成された情報Fの一部に相当した情報(以下では情報B7という)となる。
【0083】
次に、記録再生装置20内のメモリ装置226に保存されたオーバーラップ領域122の情報F及び鍵情報が混在した情報に相当する情報A7とオーバーラップ領域122の情報Fに相当する情報B7との差分を求めて、オーバーラップ領域122の記録層に記録された鍵情報に相当する情報を再生した。次いで、光ディスク120の領域124及び125に再生光を照射して、各領域の情報Fを再生することにより、全ての情報Fを再生した。最後に、再生された全ての情報Fを、記録再生装置20内のメモリ装置226に保存された鍵情報で逆演算加工してユーザー情報を再生した。なお、鍵情報による情報Fの逆演算加工は、光ディスク120の領域124及び125記録された情報Fの再生と並行して行っても良い。
【0084】
この例で作製した光ディスク120では、上述のように、ユーザー情報を再生する過程の途中で、オーバーラップ領域122の鍵情報を消去するので、一度光ディスク120のユーザー情報を再生すると、二度とオーバーラップ領域122の鍵情報の再生が不可能になる。それゆえ、再度、光ディスク120からユーザー情報を再生しようとする場合、基板121上にピットとして形成された情報Fは再生可能であるが、鍵情報が得られないので、情報Fから鍵情報を用いて逆演算加工してユーザー情報を再生することができなくなる。すなわち、この例で作製した光ディスク120では、ユーザー情報の再生及びインストールは1回のみとなる。このような光ディスク120はソフトウェアを配布あるいは販売する際の媒体として好適である。また、この例で作製した光ディスク120では、基板121上にピットとして形成されているユーザー情報と記録層に記録されている鍵情報がオーバーラップする領域122を、実施例3と同様に、小さくすることができるのでユーザー情報の再生過程で必要になる記録再生装置20内のメモリ量を少なくすることができる。さらにオーバーラップ領域122を小さくすることにより、オーバーラップ領域122から得られる再生情報の再生及び演算時間が短くなるので、ユーザー情報の再生時間の短縮も可能になる。
【0085】
上記実施例1〜7では、記録層に有機色素材料を用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。記録層の形成材料としては、光照射により反射率が変化する材料であれば良く、例えば、相変化材料のような書き換え可能な材料を用いても良い。
【0086】
上記実施例1〜7では、本発明の記録再生装置を用いて光ディスクの記録層に情報を記録した後に情報再生を行ったが、本発明はこれに限定されない。従来の記録再生装置などで予め記録層に情報が記録された光ディスクを用意して、その光ディスクを本発明の記録再生装置で再生しても良い。
【0087】
上記実施例1では、光入射側(基板側)から見て凹形状になる部分をピットとして説明したが、本発明はこれに限定されず、光入射側(基板側)から見て凸形状になる部分をピットとしても良い。また、上記実施例2〜7では、光入射側(基板側)から見て凸形状になる部分をピットとして説明したが、本発明はこれに限定されず、光入射側(基板側)から見て凹形状になる部分をピットとしても良い。
【0088】
上記実施例1では、ピットパターンの原盤露光信号の周期より短い周期を有する光照射信号を用いて記録層に情報を記録したが、本発明はこれに限定されない。ピットパターンの原盤露光信号の周期より長い周期を有する光照射信号を用いて記録層に情報を記録しても良いし、ピットパターンの原盤露光信号の周期と同じ周期を有する光照射信号を用いて記録層に情報を記録しても良い。また、上記実施例1〜7では、基板上にピットとして形成された情報及び記録層に記録された情報の周期や変調方法などは、それぞれ独立して設定しても良いし、同じ設定にしても良い。
【0089】
上記実施例7では、光ディスクの基板上の一部に記録層を堆積させ、その記録層に鍵情報を記録する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、記録層が基板上の全面にわたって堆積させ、その記録層の一部にユーザー情報の再生に必要な鍵情報を記録しても良い。
【0090】
上記実施例2〜6では、主に、光ディスクの記録層に主にユーザー情報に関する情報を記録し、ユーザー情報再生に必要な鍵情報は基板上にピットパターンとして記録した例を説明したが、本発明はこれに限定されず、基板上に形成されるピットパターンに鍵情報以外にユーザー情報に関する情報を含んでも良い。また、上記実施例7では、光ディスクの記録層に鍵情報を記録し、ユーザー情報に関する情報は基板上にピットパターンとして記録した例を説明したが、本発明はこれに限定されず、記録層にも鍵情報以外にユーザー情報に関する情報を含んでいても良い。
【0091】
上記実施例4〜7では、ユーザー情報を鍵情報で演算加工する際の手法としては、暗号化や配列変更などを用いたが、本発明はこれに限定されず、ユーザー情報を直接あるいは従来の方法で再生するだけでは採取できないような状態にユーザー情報を変化させる方法であれば良く、その効果をもたらす任意の演算加工の手法を用い得る。
【0092】
上記実施例3〜7では、基板上に形成されるピット情報と記録層に記録される情報とのオーバーラップ領域を、光ディスクの外周付近の一部の領域に光ディスクの中心に対して同心円の帯形状となるように設けた例を説明したが、これは本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。例えば、オーバーラップ領域を光ディスクの内周付近の一部の領域に光ディスクの中心に対して同心円の帯形状になるように設けても良い。また、オーバーラップ領域は光ディスクの中心に対して同心円状の形状でなくても良く、任意の形状で設けても良い。
【0093】
上記実施例1〜7では、基板上に形成される情報パターンとしてピットを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、溝の蛇行(ウォブル)や溝幅による変調、ピットの幅、長さ及び深さなどによる変調、あるいはそれらの組み合わせなど、基板上に施すことのできるあらゆる形状による変調を情報パターンとして用いることができる。
【0094】
【発明の効果】
本発明の光記録媒体の再生方法及び記録再生装置並びに光記録媒体によれば、ピット情報及び記録層の情報を含んだ再生信号から各情報を個別に再生することができるので、従来の追記型及びRAM型光記録媒体のように情報の再生専用領域と記録可能領域を基板上で別の領域に配置する必要が無くなり、ピットで形成された再生専用領域の上に情報の記録可能領域を設けた光記録媒体であっても、各領域の情報を個別に再生することができる。それゆえ、再生専用領域のピット及び記録可能領域の記録マークを微小化することなく光記録媒体の記録容量を増大させることができる。
【0095】
また、本発明の光記録媒体の再生方法及び記録再生装置並びに光記録媒体によれば、ピット情報のみを含んだ反射光の信号を検出するために記録層の情報を消去するので、例えば、追記型光ディスクのように、記録層の書き込みが1回のみである光記録媒体では、一度再生すると二度と再生できなくなる。それゆえ、記録層への書き込みが1回しかできない光記録媒体に対して、本発明の光記録媒体の再生方法及び記録再生装置は、無制限なコピーの防止に有効であり、また、光記録媒体に記録された情報の開封確認にも用いることができるので情報のセキュリティ性を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で作製した光ディスクの概略断面図である。
【図2】 実施例1で用いた記録再生装置を示したブロック図である。
【図3】 実施例1で作製した光ディスクのピットと記録マークとの配置パターンを示した概略断面図であり、図3(a)はピット上に記録マークが存在する場合であり、図3(b)はピット上に記録マークが存在しない場合であり、図3(c)はピットが存在しない領域に記録マークが存在する場合であり、図3(d)はピットが存在しない領域に記録マークが存在しない場合である。
【図4】 実施例1で作製した光ディスクのピットパターン形成のために用いた原盤露光信号を示した図である。
【図5】 実施例1で作製した光ディスクの記録層に記録した情報の光照射信号を示した図である。
【図6】 実施例1の再生方法を説明するための反射光の信号を示した図であり、図6(a)はピット情報及び記録層の情報を含んだ反射光の信号であり、図6(b)は、記録層の情報を消去した後の反射光の信号であり、図6(c)は、図6(a)の信号と図6(b)の信号の差分を計算した後の信号である。
【図7】 実施例2で作製した光ディスクの概略図であり、図7(a)は光ディスクの斜視図であり、図7(b)はオーバーラップ領域72bにおけるトラックの周方向の概略断面図である。
【図8】 実施例3作製した光ディスクの概略図であり、図8(a)は光ディスクの斜視図であり、図8(b)はオーバーラップ領域82bにおけるトラックの周方向の概略断面図である。
【図9】 実施例4で作製した光ディスクの概略図であり、図9(a)は光ディスクの斜視図であり、図9(b)はオーバーラップ領域92bにおけるトラックの周方向の概略断面図である。
【図10】 実施例5で作製した光ディスクの概略図であり、図10(a)は光ディスクの斜視図であり、図10(b)はオーバーラップ領域102bにおけるトラックの周方向の概略断面図である。
【図11】 実施例6で作製した光ディスクの概略図であり、図11(a)は光ディスクの斜視図であり、図11(b)はオーバーラップ領域112bにおけるトラックの周方向の概略断面図である。
【図12】 実施例7で作製した光ディスクの概略図であり、図12(a)は光ディスクの斜視図であり、図12(b)はオーバーラップ領域122におけるトラックの周方向の概略断面図である。
【符号の説明】
10 光ディスク
11,31 基板
12,32 記録層
13,33 反射層
14,34 保護層
20 記録再生装置
35 ピット
36 記録マーク
221 光ヘッド部
225 再生信号処理部
226 メモリ装置
227 演算装置

Claims (7)

  1. 基板上の少なくとも一部の領域に形成された情報パターンと、該情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む前記基板上の領域に堆積された、反射率の変化により情報が記録再生される記録層とを備え、該記録層に情報が記録されている光記録媒体の再生方法であって、
    前記光記録媒体に光を照射して前記光記録媒体からの第1反射光信号を検出するステップと、
    前記光記録媒体に光を照射して前記記録層の情報を消去するステップと、
    前記記録層の情報が消去された光記録媒体に光を照射して該光記録媒体からの第2反射光信号を検出するステップと、
    第2反射光信号と第1反射光信号との差を求めて前記記録層の情報に相当する信号を生成するステップとを含む光記録媒体の再生方法。
  2. さらに、第1反射光信号を検出するステップの後に、第1反射光信号を保存するステップを含む請求項1に記載の光記録媒体の再生方法。
  3. 前記記録層が有機色素材料で形成されていることを特徴とする請求項1また2に記載の光記録媒体の再生方法。
  4. 前記記録層が相変化材料で形成されていることを特徴とする請求項1また2に記載の光記録媒体の再生方法。
  5. 前記情報パターンがピットで形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光記録媒体の再生方法。
  6. 基板上の少なくとも一部の領域に形成された情報パターンと、該情報パターンが形成されている領域の少なくとも一部を含む前記基板上の領域に堆積された、反射率の変化により情報が記録再生される記録層とを備えた光記録媒体の記録再生装置であって、
    前記光記録媒体に光を照射し且つ反射光を検出する光ヘッド部と、
    前記光ヘッド部で検出された信号を処理して情報パターンの情報及び記録層の情報を個別に再生する再生部とを備え、
    前記再生部が、前記光ヘッド部で検出された情報パターンの情報及び記録層の情報を含んだ第1反射光信号を保存するメモリ部と、前記メモリ部に保存された第1反射光信号と前記光ヘッド部で検出された情報パターンの情報のみを含む第2反射光信号とに基づいて、前記記録層の情報に対応する信号を生成する処理部とを備えることを特徴とする光記録媒体の記録再生装置。
  7. 前記処理部が第1反射光信号と第2反射光信号との差分演算機能を有することを特徴とする請求項6に記載の光記録媒体の記録再生装置。
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