JP3804443B2 - 基礎杭頭部の接合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、上部構造物の基礎部と基礎杭の頭部とを接合する時に用いる基礎杭頭部の接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の基礎杭頭部の接合構造としては、図9に示すように、基礎杭20から突出させた杭主筋21突出部を基礎部22aの内部に入り込ませて、上部構造物22の基礎部22aと基礎杭20の頭部20aとを一体化する、所謂、剛接合のものが一般に知られている。
【0003】
一方、近年では、図示しないが、基礎部と基礎杭頭部との接合部に、ピン接合等の免震機能を持たせたものも知られてきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の剛接合では、接合部の回転を許さない完全固定が原則であり、地震時等に、上部構造物の基礎部や基礎杭頭部に多大な応力が発生していた。
【0005】
そして、その応力による上部構造物の基礎部や基礎杭頭部の破壊や損傷を防ぐには、例えば、地震時に生じる基礎杭頭部の曲げモーメントを上部構造物の基礎部で抵抗させるために基礎部の断面も大きくする必要がある等、上部構造物の基礎部や基礎杭頭部の断面を大きくすることが必要になる。
【0006】
このように、従来の剛接合である接合構造では、地震時等に発生する多大な応力に対処できるようにすると、上部構造物の基礎部や基礎杭の形成工事が面倒なものになると共に、高価なものになってしまう。
【0007】
一方、免震機能を持たせたものは、接合構造が複雑で高価なものになる傾向がある。従って、この免震機能を持たせた従来の接合構造でも、上部構造物の基礎部や基礎杭の形成が面倒なものになると共に、高価なものになってしまう。
【0008】
この発明は前述した事情に鑑みて創案されたもので、その目的は簡単な構造であると共に、上部構造物の基礎部や基礎杭の頭部が、地震時等に発生する多大な応力で破壊や損傷してしまうことを確実に防ぐことのできる基礎杭頭部の接合構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の基礎杭頭部の接合構造は、上部構造物の基礎部と基礎杭頭部との接合構造であり、前記基礎部の地盤側にプレキャストリングが地盤方向に延びた状態に突設され、当該プレキャストリングは当該プレキャストリングに突設された定着鉄筋によって前記基礎部の地盤側に固定され、当該プレキャストリングに前記基礎杭の頭部が挿入され、当該プレキャストリング内で前記基礎部の地盤側の端面と前記基礎杭頭部の端面が対面し、当該基礎部の端面と前記基礎杭頭部の端面間に均しモルタル層と発泡ポリエチレン層が形成されてなることを特徴とするものである。
【0010】
即ち、内部に基礎杭の頭部が挿入されたプレキャストリングによって、基礎杭頭部の回転変形は許すが水平移動は拘束できるようにする。
このようなこの発明によれば、プレキャストリングによって、上部構造物の基礎部と基礎杭の頭部との接合部をピン接合に近い収まりにすることができ、地震時等に発生する多大な応力に確実に対処できるようにしている。
【0011】
しかも、この発明によれば、上部構造物における基礎部の地盤側にプレキャストリングを突設させるだけの簡単な構造によって、簡単に、接合部をピン接合に近い納まりにできる。
【0012】
そのため、上部構造物の基礎部や基礎杭の形成工事を、簡単なものにしていると共に、安価なものにしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の基礎杭頭部の接合構造を、図示する一実施形態によって説明する。
【0014】
上部構造物2の基礎部3と、基礎杭4の頭部4aとの接合構造1(図1〜図3参照)は、基礎部2の地盤5側に、地盤5方向へ延びるプレキャストリング6を突設している。
【0015】
そして、このプレキャストリング6の内部に基礎杭4の頭部4aを挿入して、プレキャストリング6の内部で、基礎部3の地盤4側の端面3aと、基礎杭頭部4aの上部構造物2側の端面4bとが対面するようにしている。
【0016】
この実施形態でのプレキャストリング6は、図2に示すように、環状のプレキャスト部材であり、その周囲に複数の定着鉄筋6aを突設していると共に、内部にスパイラル筋10を配筋している。そして、この複数の定着鉄筋6aで、図1に示すように、地盤5方向へ延びる突出状態で基礎部2の地盤5側に固定している。
【0017】
なお、このプレキャストリング6は、通常、図1〜図3の実施形態のように、鉄筋コンクリートのプレキャスト部材にて構成する。しかし、このプレキャストリング6には、より拘束力,耐力,変形性能等を高める場合に、リングの内側または外側に鋼板プレートリング(図示せず)を装着させることもある。
【0018】
そして、このプレキャストリング6の内部に、基礎部3(基礎部3のコンクリート)が入り込んでおり、その基礎部3の端面3aと挿入されている基礎杭頭部4aの端面4bとが対面している。
【0019】
この実施形態での基礎杭4は、現場造成杭であり、その主筋4cが、プレキャストリング6の内部において、基礎部3内に突出して入り込んでいる。
この実施形態における基礎部3の端面3aと基礎杭頭部4aの端面4bとの間には、均しモルタル層7と発泡ポリエチレン層8とを介在している。
【0020】
この均しモルタル層7および発泡ポリエチレン層8によって、基礎杭4の主筋4cが基礎部3内に突出して入り込んでいるものの、完全に一体化していないことになる。なお、均しモルタル層7および発泡ポリエチレン層8の中央部を貫通はしている。
【0021】
即ち、基礎部3の地盤5側の端面3aと、基礎杭頭部4aの上部構造物2側の端面4bとが、プレキャストリング6の内部で対面するようにしている。
このような構成からなる、この発明の接合構造1を採用しての、上部構造物2の基礎部3と基礎杭4の頭部4aとの接合は、次に述べるようにして行うこととなる。
【0022】
図1を参照して述べると、先ず、基礎杭4のコンクリートを打設して基礎杭4を形成すると共に、基礎杭頭部4aの余盛り部分をはつる。
次に、基礎杭頭部4aの端面4bにモルタルを敷きつめて、均しモルタル層7を形成すると共に、この均しモルタル層7の上部に略ドーナッツ状の発泡ポリエチレンを敷きつめて、発泡ポリエチレン層8を形成する。
【0023】
次に、この発泡ポリエチレン層8の内側に鋼管9を設置すると共に、プレキャストリング6をセットする。その後、基礎部3のコンクリートを打設して、基礎部3を形成する。
【0024】
このようにして、上部構造物2の基礎部3と基礎杭4の頭部4aとの接合が完了する。
このようなこの発明の接合構造1によれば、プレキャストリング6によって、上部構造物2の基礎部3と基礎杭4の頭部4aとの接合部をピン接合に近い納まりにすることができ、地震時等に発生する多大な応力に確実に対処できる。
【0025】
即ち、上部構造物2の基礎部3と基礎杭4の頭部4aとはプレキャストリング6の内部で完全に一体化していないことから、地震時等で多大な応力が発生すると、発泡ポリエチレン層8の鉛直剛性が小さいため、基礎杭頭部4aの回転移動ができることになる。
【0026】
しかも、プレキャストリング6によって、基礎杭頭部4aの水平移動は拘束することができる。
このことから、上部構造物2の基礎部3や基礎杭4の頭部4aが、地震時等に発生する多大な応力で破壊や損傷してしまうことを確実に防ぐことのできる。
【0027】
また、この発明によれば、上部構造物2における基礎部3の地盤5側にプレキャストリング6を突設させるだけの簡単な構造によって、簡単に、上部構造物2の基礎部3と基礎杭4の頭部4aとの接合部をピン接合に近い納まりにできる。
【0028】
このことから、上部構造物2の基礎部3や基礎杭4の形成工事を、簡単なものにできると共に、安価なものにできる。
なお、この発明の接合構造1における基礎杭4を高靱性杭と称して、杭頭固定や杭頭ピンの場合と比較した解析結果を、変形に関しては図4に、曲げモーメントに関しては図5に、剪断力に関しては図6に示す。ここでの杭径は1600であり、杭長さは22mである。
【0029】
また、図7に、解析結果の最大値を杭耐力表にプロットしたものを示す。ここで、高靱性杭に生じる最大曲げモーメントの値は、杭頭固定の値に対して十分小さくなっており、杭頭ピンの値に近くなっていることがわかる。
【0030】
図8は、この発明の接合構造の別形態を示すものであり、基礎杭4として既製杭を用いる場合の接合構造である。
ここでの、プレキャストリング6の内部における、基礎部3の地盤5側の端面3aと、基礎杭頭部4aの上部構造物2側の端面4bとの間には、発泡ポリエチレンを敷きつめて、発泡ポリエチレン層8を形成している。
【0031】
【発明の効果】
この発明の接合構造によれば、内部に基礎杭の頭部が挿入されたプレキャストリングによって、基礎杭頭部の回転変形は許すが水平移動は拘束できるようにしている。
【0032】
そのため、プレキャストリングによって、上部構造物の基礎部と基礎杭の頭部との接合部をピン接合に近い納まりにすることができ、地震時等に発生する多大な応力に確実に対処することができる。
【0033】
また、この発明によれば、上部構造物における基礎部の地盤側にプレキャストリングを突設させるだけの簡単な構造によって、簡単に、接合部をピン接合に近い収まりにできる。
【0034】
そのため、上部構造物の基礎部や基礎杭の形成工事を、簡単なものにできると共に、安価なものできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基礎杭頭部の接合構造を示す概略断面図である。
【図2】この発明の基礎杭頭部の接合構造を示す概略斜視図である。
【図3】 (a) この発明の基礎杭頭部の接合構造で用いるプレキャストリングを示す概略断面図で、(b) は(a) のA−A線断面である。
【図4】この発明の接合構造における基礎杭と従来の杭とを比較した解析結果を示すグラフである。
【図5】この発明の接合構造における基礎杭と従来の杭とを比較した解析結果を示すグラフである。
【図6】この発明の接合構造における基礎杭と従来の杭とを比較した解析結果を示すグラフである。
【図7】図4〜図6に示した解析結果に基づく杭耐力曲線を示すグラフである。
【図8】この発明の接合構造の別形態を示す概略断面図である。
【図9】従来の接合構造を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…接合構造、2…上部構造物、3…基礎部、3a…端面、4…基礎杭、4a…頭部、4b…端面、4c…主筋、5…地盤、6…プレキャストリング、6a…定着鉄筋、7…均しモルタル層、8…発泡ポリエチレン層、9…鋼管、10…スパイラル筋。
Claims (1)
- 上部構造物の基礎部と基礎杭頭部との接合構造であり、前記基礎部の地盤側にプレキャストリングが地盤方向に延びた状態に突設され、当該プレキャストリングは当該プレキャストリングに突設された定着鉄筋によって前記基礎部の地盤側に固定され、当該プレキャストリングに前記基礎杭の頭部が挿入され、当該プレキャストリング内で前記基礎部の地盤側の端面と前記基礎杭頭部の端面が対面し、当該基礎部の端面と前記基礎杭頭部の端面間に均しモルタル層と発泡ポリエチレン層が形成されてなることを特徴とする基礎杭頭部の接合構造。
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