JP3804332B2 - 被加工物の平面研磨装置及びこれに利用されるキャリア - Google Patents
被加工物の平面研磨装置及びこれに利用されるキャリア Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工物を加工する加工装置に係り、特に、例えば硬質の被加工物の端面を損なうことなく面取り研磨できるようにした被加工物の平面研磨装置とこれに用いる被加工物のキャリアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は、上述した硬質の被加工物の一例としての水晶振動片を示す概略斜視図である。
【0003】
このような水晶振動片1は、表面に必要な電極を設けて駆動電圧を印加することにより、その圧電作用により所定の振動を起こすことを利用した圧電振動片として、圧電発振器等の電子部品を構成するのに用いられている。
【0004】
図14乃至図20は、このような水晶振動片を製造する工程を順次示した概略説明図である。
【0005】
先ず、人工水晶の結晶から図14に示すような矩形状の水晶ウエハを切り出す。次に図15に示されているように、複数枚の水晶ウエハの主面どうしが重なり合うようにし、両側にガラス板3,3を配置して接着剤等により固定し、図16に示すようにブロック化したウエハブロック4を形成する。
【0006】
このウエハブロック4は、図17に示すように、切断線5によって複数に切断されて、図18に示す小ブロック6を得る。そして、図19(a)に示すように、複数の小ブロック6を貼り合わせた後に、切断線7に沿って再度切断されて、図19(b)に示すように加工用ブロック8を形成する。
【0007】
この加工用ブロック8を加工単位として、その角部9を研磨する加工を行い、図13に示した個々の水晶振動片1に切り離した時に、図13の点線で示した角部が削られた状態とするようにしている。
【0008】
そして、従来では、このような加工用ブロック8の端面加工は、例えば、作業者が所定の治具にセットしたこの加工用ブロック8を、回転する定盤に対して押し当てるといった手作業により行っていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような手作業においては、加工用ブロック8を所定の治具にセットするのに、精密な位置合わせを必要とし、時間がかかる。また、研磨作業自体も加工用ブロック8の1コーナー毎に行う必要があり、全部で4つのコーナーの加工が必要となり工数が多く、しかも作業者の熟練を要する上に、面取り状態に作業者毎のばらつきを生じやすいという問題があった。
【0010】
このため、例えば、図20に示すように、円筒状の内面に加工用ブロック8を入れて、軸方向を中心として回転させる研磨手段P(「パイプ」と呼ぶ)にて、機械による面取り加工も行われている。このようにすれば、手作業で行うより容易であるが、このような装置により端面の面取り加工を行うと、加工用ブロック8のコーナーの当たり量は、この加工用ブロック8の中央部と両端部とでは、パイプの円筒状内面に対する当たり具合が異なることによって、加工状態が不揃いとなるし、一つの水晶振動片に着目しても面取り状態が異なるという問題がある。
【0011】
ところで、水晶ウエハ等の主面を研磨する研磨装置としては、上記とは異なるものが用いられている。
【0012】
このような研磨装置10は、例えば図21に示すように構成されている。
【0013】
図21は、研磨装置10の要部の構成を示したもので、被加工物11は、キャリア12により保持された状態で、研磨手段である上下の各定盤13,14により上下方向から挟まれた状態で研磨されるようになっている。
【0014】
このような研磨装置10によれば、被加工物11は、図21の矢印に示す方向から加工圧力を受けながら、上下の各定盤13,14との間で図示しない駆動手段により相対的に回転され、被加工物11は、各定盤13,14に対して、その上下面を当接させつつ摺動することになる。そして、上下の各定盤13,14の研磨面と被加工物の被研磨面との間には、研磨液が供給され、これに混入された砥粒15が介在して、研磨加工されるようになっている。
【0015】
このような研磨装置10では、被加工物11は、図22に示すように、円板状のキャリア12に形成された保持孔内に保持される。このキャリア12を上下に挟むように設けられる上下の定盤13,14は、図23に示すように、円板状に同じ形態で構成され、その主面が研磨面として、被加工物11に当接した状態で、回転されるようになっている。
【0016】
そして、図23に示すように、各定盤13,14の研磨面には、溝13a,14aが設けられており、研磨装置10の図22に示す上定盤の貫通孔(図示せず)を介して供給される研磨液を導いて、砥粒15が図21に示すように、研磨面と被加工物11の被研磨面との間に入り込むようにされている。
【0017】
ところが、このような研磨装置10によれば、例えば水晶ウエハの主面のような平面部分を研磨する場合には問題がないが、図19に示した加工用ブロック8の角部9のような箇所を研磨しようとすると、定盤13,14に設けられた溝13a,14aが角部9に衝撃を加えることになり、特に硬質の被加工物の場合には、欠けたり、割れたりして損傷を与えてしまうという問題がある。
【0018】
この発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、作業が簡単で精度良く加工でき、しかも硬質の被加工物に対して損傷を与えることなくその端面を加工できる、被加工物の平面研磨装置とこれに利用される被加工物を保持するためのキャリアを提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項1の発明によれば、被加工物に対して当接状態にて摺動される研磨手段と、この研磨手段に対して被加工物を当接させるように保持するキャリアとを備え、前記研磨手段と被加工物との間に研磨液を供給して研磨を行うようにした被加工物の平面研磨装置であって、前記研磨手段は、被加工物を挟むように上下に配置された上定盤と下定盤からなり、前記研磨手段の研磨面が平坦に形成されており、かつ、前記キャリアは、前記研磨手段の研磨面に沿って前記研磨液を導く研磨液案内手段が設けられ、 前記下定盤に対して円周状に複数配置されるようにした円板状部材でなり、表裏面に貫通し、所定の傾斜角で傾斜して設けた被加工物の保持孔と表裏に貫通する複数の貫通孔とを有し、各保持孔及び貫通孔が案内溝を介して他の保持孔及び貫通孔と連通していることを特徴とする、被加工物の平面研磨装置により、達成される。
【0020】
請求項1の構成によれば、研磨手段の研磨面は平坦に形成されているから、被加工物に対して、衝撃を与えることがなく、このため被加工物が損傷を受けることがない。
【0021】
しかも、キャリアには、研磨手段の研磨面に沿って前記研磨液を導く研磨液案内手段が設けられているので、研磨手段の研磨面と被加工物との間に適切に研磨用の砥粒を導くことができる。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記キャリアが、前記下定盤に対して円周状に複数配置されるようにした円板状部材でなり、前記研磨液案内手段は、この円板状部材の中心から放射状に延びるように設けられた溝でなることを特徴とする。
【0025】
また、上記目的は、請求項3の発明によれば、上下の定盤の間に配置されて、被加工物を保持するためのキャリアであって、前記下定盤に対して円周状に複数配置されるようにした円板状部材でなり、表裏面に貫通し、所定の傾斜角で傾斜して設けた被加工物の保持孔と表裏に貫通する複数の貫通孔と、これらの貫通孔と連設された案内溝でなる研磨液の案内手段とを備える、キャリアにより、達成される。
【0026】
請求項3の構成によれば、傾斜した保持孔により、被加工物を斜めに保持してその端面を研磨面に向けることができる。また、表裏に貫通した貫通孔を介して上から供給される研磨液を裏側に導き、さらに案内溝によって拡げるように導くことができる。
【0027】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、前記円板状部材が、表裏面に貫通し、所定の傾斜角で傾斜して設けた被加工物の保持孔と表裏に貫通する複数の貫通孔とを有し、各保持孔及び貫通孔が案内溝を介して他の保持孔及び貫通孔と連通していることを特徴とする。
【0028】
請求項5の発明は、請求項4の構成において、前記貫通孔は、円盤状のキャリアの中心に形成された比較的大きな貫通孔と、周縁部に形成された複数の貫通孔とを有し、前記中心部の貫通孔から、周縁部の各貫通孔に向かって放射状の前記案内溝を設けたことを特徴とする。
【0029】
請求項5の構成によれば、請求項5の作用に加えて、キャリアが自転する場合には、中心貫通孔から、周囲にむかって放射状の前記案内溝により放射状に拡散するように研磨液を導くことができる。
【0030】
請求項6の発明は、請求項3ないし5の構成において、前記保持孔は、セットされた被加工物の上下の端面をキャリアの表裏面にそれぞれ露出させて保持する構成としたことを特徴とする。
【0031】
請求項6の構成によれば、請求項2または5の作用に加えて、被加工物の上端面を上定盤で、下側端面を下定盤で同時に研磨させるように保持することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0033】
図1は、本発明の被加工物の平面研磨装置(以下、「平面研磨装置」という)の外観を示す概略斜視図である。
【0034】
図において、平面研磨装置20は、基台32上に起立する支柱23を備えており、支柱23の上部には、アーム22が取付けられている。アーム22は、水平に延びていて、その先端部にはシリンダ21が設けられており、シリンダ21の下方に延びる支軸35により、後述する研磨液供給手段25と、その下に同軸上に配置された円盤状の上定盤26を支持している。シリンダ21と上定盤の間には、図示しない加工圧力の調整手段が設けられている。そして、このシリンダ21の動作により、研磨液供給手段25と上定盤26を図において上下に進退させるようになっている。
【0035】
ここで、上記研磨液供給手段25には、後述するように研磨液が貯留されるようになっており、この研磨液は、アーム22側から複数のパイプ33を介して研磨液供給手段25に導かれるようになっている。研磨液供給手段25からは、上定盤26に延びる複数のパイプ34を介して研磨液が供給される。上定盤26には、複数の貫通孔が形成されており、各貫通孔に対して、パイプ34が接続されることにより、この上定盤26の下面側に研磨液が供給されるようになっている。
【0036】
一方、基台32上には、図2に示すように、上定盤26の中心軸と同心状にサンギア(太陽ギア)28が設けられており、また、定盤26の中心軸と同心状にて、下定盤27の周囲にインターナルギア31が設けられている。サンギア28とインターナルギア31は基台32内に設けられたそれぞれ独立して駆動される駆動手段により回転駆動される。
【0037】
このサンギア28と同心状に、上記上定盤26とほぼ同じ外形の円盤状でなる下定盤27が設けられている。キャリア29は、円盤状であり、後述するようにその周囲には歯車状に歯が形成されていて、これらのキャリア29は、下定盤27に載置固定される。そして、キャリア29の周囲の歯は上記サンギア28とインターナルギア31とに歯合し、サンギア28及びインターナルギア31の回転によってサンギア28に対して自転及び公転するようになっている。
【0038】
また、上定盤26と下定盤27はサンギア28やインターナルギア31とはそれぞれ独立して駆動されるので、キャリア29は複雑な運動軌跡を描くことになり、キャリア29に保持した被加工物に対して偏りのない研磨加工を行うことができる。
【0039】
そして、基台32に隣接して操作盤24が設けられており、平面研磨装置20の操作を指令できるようになっている。
【0040】
図2は、図1の平面研磨装置20の要部を示す部分断面図である。
【0041】
上述したように、シリンダ21の動作により上定盤26は下降されると、この上定盤26と下定盤27の間にキャリア29を挟み込む状態となる。この場合、上定盤26と下定盤27との間隔は、キャリア29に保持された加工用ブロック8の上に上定盤26が当接し、加工用ブロック8の下に下定盤27が当接するように設定されている。
【0042】
図3は、上下の各定盤26,27の構成を示す概略斜視図である。上定盤26と下定盤27とはほぼ同じ構成であり、上定盤26には、研磨液供給用のパイプ34が接続される貫通孔26aが形成されている。
【0043】
本実施形態では、図示されているように、上定盤26の研磨面26bと下定盤27の研磨面27bには、従来構成として図23で説明した溝が形成されておらず、平坦になっている点に特徴がある。
【0044】
図4乃至図11は、キャリア29の構成を説明するための図である。
【0045】
これらの図において、図4は、キャリア29の上面図、図5はキャリア29の下面図、図6はキャリア29を上から見た斜視図、図7は図6のキャリア29の保持孔に加工用ブロックを保持する様子を示す図、図8はキャリア29を下から見た斜視図、図9は図8のキャリア29の保持孔に加工用ブロックを保持する様子を示す図、図10は、キャリア29を上から見た場合に、裏側に位置する研磨液の供給手段を点線で示した図であり、図11は、図10のA−A断面図である。
【0046】
これらの図を適宜参照しつつキャリアの構成を説明する。
【0047】
キャリア29は、形状加工性がよく、錆びにくく、被加工物を傷つけにくい性質を有する材料で形成されており、例えば、プラスチック材料である塩化ビニル、ガラスエポキシ等の板材が適している。
【0048】
図4に示すように、キャリア29は、周囲に平面研磨装置20のサンギア28とインターナルギア31とに歯合する歯29aが形成された円盤状に構成されており、中心に大きな貫通孔41が設けられているとともに、周縁部には、等間隔で設けられた4つの比較的大きな貫通孔42,43,44,45と、これらの間にやや小さい径で形成されたさらに4つの貫通孔46,47,48,49とを備えている。
【0049】
また、キャリア貫通孔41の図4において左右対称にひとつずつ縦方向に延びるように、加工用ブロックを保持するための保持手段としての保持孔53,54が設けられている。さらに、キャリア貫通孔41の図4において上下対称に3つづつ横方向に延びるように、加工用ブロックを保持するための保持手段としての保持孔51,51,51及び52,52,52が設けられている。
【0050】
これらの保持孔51,51,51及び52,52,52は、図11の断面図に示されているように、キャリア29の貫通孔41の中心を通る仮想の垂直線に対して、孔が形成される向きである角度θが、好ましくは45度となるように設けられている。このθは、後述する加工用ブロックの端面研磨角度に対応して定められている。
【0051】
また、キャリア29の裏側には、図5及び図10,図11によく表れているように、研磨液案内手段としての案内溝が形成されている。案内溝は、貫通孔41を中心として放射状に形成されており、具体的には、案内溝は、貫通孔41と貫通孔42をつなぐ案内溝67、貫通孔41と貫通孔49をつなぐ案内溝68、貫通孔41と貫通孔45をつなぐ案内溝61、貫通孔41と貫通孔48をつなぐ案内溝62、貫通孔41と貫通孔44をつなぐ案内溝63、貫通孔41と貫通孔47をつなぐ案内溝64、貫通孔41と貫通孔43をつなぐ案内溝65、貫通孔41と貫通孔46をつなぐ案内溝66で構成されている。
【0052】
このように、各案内溝は、キャリア29の少なくとも裏側には形成されて(図11参照)、いるので、後述するように、キャリア29を平面研磨装置20にセットしたときに、上定盤26から供給される研磨液が各貫通孔,特に貫通孔41からキャリア29の裏側に導入されたとき、これを円盤の全域に均一に導くことができるようになっている。
【0053】
図7及び図9は、それぞれ,図6と図8にて破線の丸で囲んで示したひとつの保持孔54に対して、加工用ブロック8を差し込んで保持する様子を表側(図7)と裏側(図9)からそれぞれ示す工程図である。
【0054】
加工用ブロック8は、保持孔54に差し込まれると、この実施形態の場合、45度に傾斜した状態にて上端側と下端側の端面を露出して保持される。この結果、図12に示すように、加工用ブロック8は、上定盤26の研磨面26bと、下定盤27の研磨面27bに対して、加工されるべき上下の端面である上下の被研磨面を当接させるようにキャリア29に保持されることになる。
【0055】
本実施形態は、以上のように構成されており、次に平面研磨装置20の動作を説明する。
【0056】
先ず、キャリア29に加工用ブロック8をセットする。つまり、キャリア29の保持孔51,51,51,52,52,52,53,54の全ての保持孔に、合計8個の加工用ブロック8をセットし、各保持孔において、図12に示すように、加工用ブロック8の上下の端面が45度の角度で露出するように保持させる。この状態でキャリア29は、図1の下定盤27の上面に複数個保持される。
【0057】
次に、図1において、平面研磨装置20のシリンダ21の動作により、上定盤26が下降させると、図2に示すように、キャリア29に保持された下降用ブロック8の上下の端面は、上定盤26の研磨面26bと下定盤27の研磨面27bとにそれぞれ上下からはさまれるように当接される。
【0058】
この状態で、シリンダ21の動作により上方から加工用圧力をくわえながら、研磨を行う。すなわち、サンギア28かインターナルギア31の少なくとも一方が回転し、上下定盤26,27もそれぞれ回転するので、サンギア28とインターナルギア31とに歯合するキャリア29は、サンギア28に対して自転と公転し、上下定盤26,27に対して複雑な軌跡を描いて相対的に摺動される。
【0059】
この動きと同時に、研磨液供給手段25に貯留されている研磨液がパイプ34を介して上定盤26の貫通孔26aに供給される。この研磨液は、図2に矢印で示されているように、上定盤26の下面である研磨面26bに沿って、上記上定盤26とキャリア29との公転及び自転運動に基づく褶動作用によって拡がることで、研磨面26bと加工用ブロック8の上端の端面(被研磨面)との間に砥粒を供給する。そして、この研磨液は、さらに、キャリア29の中心にある大きな貫通孔41と周縁部に等間隔で設けられた4つの比較的大きな貫通孔42,43,44,45と、これらの間にやや小さい径で形成されたさらに4つの貫通孔46,47,48,49からキャリア29の裏側に導かれる。このキャリア29の裏側では、これらの貫通孔をむすぶように、研磨液の案内手段としての案内溝61等の各案内溝が形成されているので、加工用ブロック8の下側の端面(被研磨面)と研磨面27bとの間に研磨用の砥粒を供給することができる。
【0060】
これにより、複数の(この場合8つ)の加工用ブロック8は、上下の2つの端面を同時に研磨されることになり、この端面は、定められた角度,たとえば本実施形態の場合には、正確に45度の角度で研磨される。そして、研磨後は、キャリア29から加工用ブロック8を取り出して裏返し、未加工の端面を露出させるようにセットして、上述の作業をもう一度行うことにより、2回の作業で加工用ブロック8の4箇所の全ての端面を加工することができる。
【0061】
このため、従来、手作業で研磨していた場合と比べると、極めて多数の加工用ブロック8を同時に研磨することができ、しかも2回の作業ですべての端面の研磨が終了するので、ひとつ当たりの研磨作業に要する時間を大幅に削減することができる。
【0062】
さらに、加工用ブロック8の各端面は、キャリア29により保持された同一の角度で精密の研磨されることから、従来のパイプを用いた加工機と比べると、加工精度を格段に向上させることができる。また、専用の治具を用いて手作業の研磨をしていた場合と比べると、治具へのセットに熟練を要することなくできるので、作業者の負担が軽く、特別の技術を必要としないで精密な加工を行うことができる。
【0063】
かくして、被加工物が水晶振動片である場合に、この水晶振動片は、圧電発振器等の製品とされた状態においては、一端が固定され、他端が自由端として、ケース内に方持ち形式に保持される。このため、外部から衝撃が加わると、この自由端側が最も大きな振幅で振れることになる。この場合、水晶振動片が収容されるケースは、筒状のものが広く用いられている。この筒状のケースの内面は、外に凸となった曲面であることから、内部に収容されている板状の水晶振動片の自由端が振れた場合には、この自由端の幅方向両端の角部が衝突することになる。しかしながら、上述のような研磨により、この両角部が面取りされていることにより、このような衝突を避けることができる。
【0064】
特に、小型の水晶発振器においては、小型化のために、ケースと内部に収容される水晶振動片とのクリアランスが小さい場合に、外部からの衝撃に基づく上記衝突が起きる可能性があり、このような場合に特に有効で、水晶振動片の両角部が面取りされていると、上述のような衝突により、水晶振動片の先端部が欠けを生じることがない。
【0065】
また、このような場合には、容器(ケース)の内面形状や水晶振動片の長さ、あるいは振動片の幅等が上記面取り加工の角度決定のパラメータとなる。本実施形態では、このようなパラメータに基づいて決定された理想的な角度に基づいて面取り加工を正確に行うことができるので、耐衝撃性に特に優れた水晶振動子を形成することができる。
【0066】
さらに、所謂コンベックス形状の水晶振動片を得る場合に、従来のように所謂バレル加工を利用すると、水晶振動片の角部には、割れや欠け、あるいはピッチング等の不具合が生じる場合がある。そして、このような不具合は、バレル加工による歩留りを低下させるだけではなく、水晶振動子の耐衝撃性も低下させることになるが、本実施形態では、このような不具合が生じることがない。
【0067】
また、加工用ブロック8の端面は、平坦な定盤の研磨面に当接して褶動することになるため、従来のように、溝を設けた定盤による研磨と比べると、硬質のもろい材料でなる加工用ブロックの端面を衝撃により破損するおそれがなく、安全に精密加工することができる。
【0068】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0069】
例えば、キャリアに設ける案内溝は、キャリアの表裏両面に設けてもよい。
【0070】
また、キャリアの大きさに応じて、保持孔を数を増減してもよい。また、貫通孔と案内溝との関係において、それぞれ位置変更を行ってもよい。
【0072】
また、本実施形態の加工装置による被加工物は、水晶に限らず、これと同様に硬くもろい性質を有するあらゆる被加工物に適用することができる。
【0073】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1の発明によれば、作業が簡単で精度良く加工でき、しかも硬質の被加工物に対して損傷を与えることなくその端面を加工できる、被加工物の平面研磨装置を提供することができる。
【0074】
また、請求項2の発明によれば、従来装置を利用して、比較的簡単に請求項1の効果を発揮する平面研磨装置を構成することができる。
【0075】
また、請求項3または4の発明によれば、請求項1または3の平面研磨装置において、研磨用の砥粒を供給する研磨液を適切に研磨面に導く構成とすることができる。
【0076】
請求項5の発明によれば、キャリアに設けた傾斜した保持孔により、被加工物を斜めに保持してその端面を研磨面に向けることができる。また、表裏に貫通した貫通孔を介して上から供給される研磨液を裏側に導き、さらに案内溝によって拡げるように導くことができるので、請求項1の平面研磨装置に最適なキャリアを提供することができる。
【0077】
請求項6の発明によれば、請求項5の効果に加えて、キャリアの保持孔及び貫通孔により、研磨液をキャリアの表裏に導くことができる。
【0078】
請求項7の発明によれば、請求項5の効果に加えて、キャリアが自転する場合には、中心貫通孔から、周囲にむかって放射状の前記案内溝により放射状に拡散するように研磨液を導くことができる。
【0079】
請求項8の発明によれば、請求項5ないし7の効果に加えて、被加工物の上端面を上定盤で、下側端面を下定盤で同時に研磨させるように保持することができるので、その分被加工物の加工時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の被加工物の平面研磨装置の外観を示す概略斜視図。
【図2】 図1の平面研磨装置の要部を示す概略部分断面図。
【図3】 図1の平面研磨装置の定盤を示す概略斜視図。
【図4】 図1の平面研磨装置のキャリアの上面図。
【図5】 図1の平面研磨装置のキャリアの下面図。
【図6】 図1の平面研磨装置のキャリアを上から見た斜視図。
【図7】 図6のキャリアの保持孔に加工用ブロックを保持する様子を示す図。
【図8】 図1の平面研磨装置のキャリアを下から見た斜視図。
【図9】 図8のキャリアの保持孔に加工用ブロックを保持する様子を示す図。
【図10】 図1の平面研磨装置のキャリアを上から見た場合に、研磨液を裏面全体へ均一に供給するための供給手段(溝)を点線で示した図。
【図11】 図10のA−A線断面図。
【図12】 キャリアの保持した被加工物と上定盤及び下定盤の各研磨面との関係を示す図。
【図13】 硬質の被加工物の一例としての水晶振動片の形状を示す概略斜視図。
【図14】 水晶ウエハを示す概略斜視図。
【図15】 水晶ウエハから水晶振動片を加工する工程を示す図。
【図16】 水晶ウエハから水晶振動片を加工する工程を示す図。
【図17】 水晶ウエハから水晶振動片を加工する工程を示す図。
【図18】 水晶ウエハから水晶振動片を加工する工程を示す図。
【図19】 水晶ウエハから水晶振動片を加工する工程を示す図。
【図20】 加工用ブロックの研磨作業の一例を示す説明図。
【図21】 研磨装置の一例を示す要部概略図。
【図22】 研磨装置の構成の一部を示す要部概略図。
【図23】 図21の研磨装置の定盤の構成を示す概略斜視図。
【符号の説明】
20 (被加工物の)平面研磨装置
25 研磨液供給手段
26 上定盤
27 下定盤
28 サンギア
29 キャリア
31 インターナルギア
41,42,43,44,45,46,47,48,49 貫通孔
51,52,53,54 保持孔
61,62,63,64,65,66,67,68 研磨液案内手段
Claims (6)
- 被加工物に対して当接状態にて摺動される研磨手段と、この研磨手段に対して被加工物を当接させるように保持するキャリアとを備え、前記研磨手段と被加工物との間に研磨液を供給して研磨を行うようにした被加工物の平面研磨装置であって、
前記研磨手段は、被加工物を挟むように上下に配置された上定盤と下定盤からなり、
前記研磨手段の研磨面が平坦に形成されており、かつ、
前記キャリアは、前記研磨手段の研磨面に沿って前記研磨液を導く研磨液案内手段が設けられ、
前記下定盤に対して円周状に複数配置されるようにした円板状部材でなり、
表裏面に貫通し、所定の傾斜角で傾斜して設けた被加工物の保持孔と
表裏に貫通する複数の貫通孔とを有し、
各保持孔及び貫通孔が案内溝を介して他の保持孔及び貫通孔と連通している
ことを特徴とする、被加工物の平面研磨装置。 - 前記キャリアは、前記下定盤に対して円周状に複数配置されるようにした円板状部材でなり、前記研磨液案内手段は、この円板状部材の中心から放射状に延びるように設けられた溝でなる請求項1に記載の被加工物の平面研磨装置。
- 上下の定盤の間に配置されて、被加工物を保持するためのキャリアであって、
前記下定盤に対して円周状に複数配置されるようにした円板状部材でなり、
表裏面に貫通し、所定の傾斜角で傾斜して設けた被加工物の保持孔と
表裏に貫通する複数の貫通孔と
これらの貫通孔と連設された案内溝でなる研磨液の案内手段とを備えることを特徴とする、キャリア。 - 前記円板状部材は、
表裏面に貫通し、所定の傾斜角で傾斜して設けた被加工物の保持孔と
表裏に貫通する複数の貫通孔とを有し、
各保持孔及び貫通孔が案内溝を介して他の保持孔及び貫通孔と連通している請求項3に記載のキャリア。 - 前記貫通孔は、円盤状のキャリアの中心に形成された比較的大きな貫通孔と、
周縁部に形成された複数の貫通孔とを有し、
前記中心部の貫通孔から、周縁部の各貫通孔に向かって放射状の前記案内溝を設けた請求項4に記載のキャリア。 - 前記保持孔は、セットされた被加工物の上下の端面をキャリアの表裏面にそれぞれ露出させて保持する構成としたことを特徴とする、請求項3ないし5のいずれかに記載したキャリア。
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