JP3801844B2 - 内燃機関のバルブタイミング変更装置及びハウジング部材の成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の運転中に吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更するためのバルブタイミング変更装置及びバルブタイミング変更装置に使用するハウジング部材の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のバルブタイミング変更装置は、内燃機関のクランクシャフトによりゴム材よりなるタイミングベルトを介して回転駆動されるタイミングプーリと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、タイミングプーリに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更するように構成されている。
【0003】
例えば、特開平11−13432号公報には、内燃機関のクランクシャフトによって回転されるタイミングプーリと共に回転するハウジングと、このハウジング内に収容されて、カムシャフトと共に回転するロータと、このロータに放射方向に突出して設けられ、ハウジング内に複数の進角室及び遅角室を形成する複数のベーンと、進角室及び遅角室に作動油を供給及び排出する油圧給排手段とを備え、外部ロータと内部ロータの外周面との隙間を、リアプレートのボス部内周とカムシャフトの外周との隙間よりも小さくしたバルブタイミング調整装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来のバルブタイミング変更装置のように、ハウジングの内周面に複数の突条を突設することにより、ハウジング内に複数の作動油室を形成したものでは、ハウジングの形状が複雑となるため、ハウジングを製作するのに多くの工数を必要として装置が高価となる問題がある。
【0005】
かかる問題を解消するためには、ハウジングを燒結材料で成形すれば、複雑な形状のハウジングでも、少ない工数で容易に製作できるため、装置のコスト削減が可能となる。
【0006】
しかし燒結材料は多孔性材料のため、燒結材料により成形されたハウジングは多孔質となり、このためハウジング内の作動油室に圧油を供給すると、内部の空孔よりハウジングの外周面に油が滲み出して、タイミングプーリを駆動するゴム材よりなるタイミングベルトに油が付着し、タイミングベルトの耐久性が早期に劣化するなどの問題がある。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点を改善するためになされたもので、ハウジング部材を燒結材料により成形すると共に、前記ハウジング部材を封孔処理することにより、ハウジング部材中の空孔より油が滲み出すのを防止した内燃機関のバルブタイミング変更装置及びバルブタイミング変更装置に使用するハウジング部材の成形方法を提供して、空孔より滲み出した油によりゴムよりなるタイミングベルトが早期に劣化するのを未然に防止することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1記載の発明は、内燃機関の回転に同期してタイミングベルトにより回転が伝達されるタイミングプーリと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、タイミングプーリに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更する位相変更手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング変更装置であって、位相変更手段を構成するハウジング部材は、燒結材料により成形され、前記ハウジング部材内に設けられた作動油室の少なくとも内周面には、封孔処理された封孔層が形成され、前記封孔層は、樹脂材料を含む封孔材料が含浸され、前記封孔材料は、常温では液体で、加熱によって固体化し、固体化した後は、常温において、前記ハウジング部材より高度の小さい樹脂にしたものである。
【0009】
前記目的を達成するため請求項2記載の発明は、内燃機関の回転に同期してタイミングベルトにより回転が伝達されるタイミングプーリと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、タイミングプーリに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更する位相変更手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング変更装置であって、前記位相変更手段を構成するハウジング部材は、燒結材料により成形され、前記ハウジング部材内に設けられた作動油室の少なくとも内周面に開口する空孔に前記樹脂材料を含む封孔材料が含浸され、前記封孔材料は、常温では液体で、加熱によって固体化し、固体化した後は、常温において、前記ハウジング部材より硬度の小さい樹脂にしたものである。
【0010】
前記目的を達成するため請求項3記載の発明は、内燃機関の回転に対して、カムシャフトを作動油の油圧によって相対回転させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更する位相変更手段を有する内燃機関のバルブタイミング変更装置のハウジング部材の成形方法であって、位相変更手段を構成するハウジング部材を燒結材料により成形する工程と、常温では液体で、加熱することにより固体化し、固体化した後は、常温では前記ハウジングより硬度の小さい熱硬化性の封孔材料に前記ハウジング部材を浸漬する工程とを有し、少なくとも前記作動油が接触する前記ハウジング部材の空孔を前記封孔材料で塞ぐ封孔処理を行うことを特徴とする。
【0011】
前記目的を達成するため請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記浸漬工程では、前記ハウジング部材を大気圧以下に減圧した状態にして、液状化した前記封孔材料に浸漬して封孔処理を行うことを特徴とする。
【0012】
前記目的を達成するため請求項5記載の発明は、請求項3又は4に記載の発明おいて、前記封孔処理をした後、前記燒結材料で形成された前記ハウジング部材の前記空孔からの余分な封孔材料を除去する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
前記構成により、作動油室の内周面に開口する空孔が封孔層により塞がれるため、作動油室に供給された圧油がハウジング部材の外周面に滲み出してタイミングベルトやタイミングプーリに付着することがないので、タイミングベルトの耐久性を向上させることができる。
【0014】
また、前記構成により、液状化した樹脂中にハウジング部材を浸漬することにより、作動油室の内周面に封孔層を形成することができるため、ハウジング部材の封孔処理が容易に行える。
【0017】
前記構成により、ハウジング部材を機械加工する際、空孔に含浸された樹脂が加工の支障になることがないため、加工が容易な上、加工精度も容易に得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1ないし図5に示す図面を参照して詳述する。
【0029】
図1は本発明の実施の形態になる内燃機関のバルブタイミング変更装置を示す断面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は封孔処理を行う含浸処理装置の構成図、図4は封孔処理されたハウジング部材の拡大断面図である。
【0030】
図1において符号1で示すカムシャフトは、内燃機関の吸気弁または排気弁(ともに図示せず)を駆動可能であって、この実施の形態では、吸気弁を駆動するカムシャフトについて説明する。
【0031】
前記カムシャフト1はシリンダヘッドに固定された軸受け(ともに図示せず)によって回転自在に支承されており、前記軸受けよりも図1において右側のカムシャフト1の基幹部(図示せず)にはカムが形成されていて、このカムによって吸気弁が開閉駆動されるようになっている。
【0032】
前記カムシャフト1は内燃機関に同期して回転されるタイミングプーリ3によって回転駆動されるようになっている。
【0033】
前記タイミングプーリ3は、ハウジング部材4と共に回転可能となっており、前記カムシャフト1に対して所定角度相対回動可能となっている。
【0034】
また、前記タイミングプーリ3は、封孔処理を施した燒結材料よりなる筒状のハウジング本体5と、このハウジング本体5の両端側を閉鎖する板部材6,7とから構成された前記ハウジング部材4の一方の板部材7の外周側に一体に形成されており、前記ハウジング本体5と板部材6,7は連結ボルト8によって一体に連結されている。
【0035】
前記タイミングプーリ3の外周側には外歯9が形成されていて、この外歯9には図示しないクランクシャフトによって駆動されゴム材よりなるタイミングベルト10が巻装されている。
【0036】
前記ハウジング部材4は内部が中空状になっていて、筒状のハウジング本体5の半径方向内方に向かって突出する複数(この実施の形態においては4個)の突条12を形成することによって、半径方向外方寄りに、中央部分で連結された4個の作動油室13が図2に示すように形成されている。
【0037】
そしてこの作動油室13内には、ベーン部材15が所定角度相対回動自在に収容されていて、このベーン部材15とハウジング部材4とにより、後述する位相変更手段16が構成されている。
【0038】
前記ベーン部材15は、放射方向に突出された複数(この実施の形態においては4個)のベーン18を有していて、このベーン18を作動油室13内に配置した状態でハウジング部材4内に収容されており、このベーン部材15のベーン18が作動油室13内に配置されることによって、各作動油室13内にベーン18の円周方向両側に対峙するよう一対の進角室19及び遅角室20が区画形成されている。なお前記一対の進角室19及び遅角室20は、この実施の形態では4組形成されている。
【0039】
また前記進角室19及び遅角室20間は、ベーン18の先端に設けられたシール部材21によりシールされていると共に、ハウジング本体5の内周面に形成された突条12の先端には、別のシール部材22が設けられている。
【0040】
これらシール部材21,22は、シール面21a,22aとこのシール面21a,22aに対する背面に形成された凹入部21b,22bを有するほぼ角柱状となっていて、背面に形成された凹入部21b,22b内には、シール部材21,22を半径方向へ付勢するばね部材23が収容されている。
【0041】
前記シール部材21,22は、金属材料や合成樹脂材料等の弾性材料を製造型によって成形することにより形成されており、シール面21a,22aは全体として凸球面となるように、長手方向に比較的大きな曲率をもって湾曲していると共に、長手方向と直角な方向にも比較的小さな曲率をもって湾曲されており、背面に形成した凹入部21b,22b内にばね部材23を収容することにより、ばね部材23が長手方向に移動しないようになっている。前記ばね部材23は同じく金属材料や合成樹脂材料等の弾性材料から板状に形成されていて、全体が弓状に湾曲されている。
【0042】
なお前記シール部材21,22及びばね部材23が同一の材料から形成される場合に、これらシール部材21,22とばね部材23とを一体に形成することが可能である。
【0043】
以上のように構成することによって、前記ベーン18の先端に設けたシール部材21のシール面21aがハウジング本体5の内周面に摺接すると共に、ハウジング本体5の内周面に形成された突条12の先端に設けられたシール部材22のシール面22aがベーン部材15の外周面に摺接されることにより、進角室19及び遅角室20間がシールされるようになっている。
【0044】
なお前記シール部材21は、ベーン18の先端が接するハウジング本体5の内周面及び突条12の先端が接するベーン部材15の外周面に設けるようにしてもよい。
【0045】
一方前記ベーン部材15には、進角室19に連通する半径方向の油室側通路25及び遅角室20に連通する半径方向の油室側通路26が形成されていると共に、これら油室側通路25,26は、前記カムシャフト1に形成された油路27及び28を介して油圧給排手段(図示せず)に接続されている。
【0046】
前記カムシャフト1の一端側は板部材7を貫通してハウジング部材4内に突出され、ハウジング部材4のハウジング本体5内に収容されたベーン部材15に連結されていると共に、ベーン部材15のカムシャフト1側端面には嵌合凹部15aが形成されていて、この嵌合凹部15aにカムシャフト1の端部が嵌合されており、ベーン部材15の中心を貫通するよう形成された取付け孔15bに挿入されたボルト29の先端を、カムシャフト1内に形成されたねじ孔28に螺挿することにより、カムシャフト1の端部にベーン部材15が固着されている。
【0047】
以上のように前記タイミングプーリ3はハウジング部材4に連結されている一方、カムシャフト1に連結されたベーン部材15は、ハウジング部材4に対して相対回動可能となっているから、油室側通路25,26を介して進角室19及び遅角室20に作動油を選択的に供給及び排出することによって、ハウジング部材4とベーン部材15とが所定角度範囲内で相対回動できることになり、これによって前記ハウジング部材4とベーン部材15とを主要素として、タイミングプーリ3をカムシャフト1に対して相対回動させる位相変更手段16が構成されていることになる。
【0048】
一方多孔性の燒結材料により一方多孔性の燒結材料により成形されたハウジング部材4のハウジング本体5は、多孔質のため作動油室13内へ圧油を供給すると、ハウジング本体5内の空孔より油が外周面に滲み出して、タイミングプーリ3に捲装されたゴム材よりなるタイミングベルト10に付着し、タイミングベルト10とタイミングプーリ3の間で滑りが発生し、回転力の伝達ができなくなったり、タイミングベルト10が早期に劣化して耐久性が著しく損なわれる。
【0049】
これを防止するため本発明の実施の形態になるバルブタイミング変更装置では、燒結材料により成形したハウジング部材4のハウジング本体5に、封孔処理を施して、内部の空孔を塞ぐことにより、油漏れが生じるのを防止しており、次のその方法を説明する。
【0050】
まずハウジング本体5を成形するに当って、粉末状の燒結材料、例えばFeとCu及びCを適当な割合で配合し、ミキサなどの混合手段を使用して混合したら、金型内に燒結材料を充填し、プレスなどの加圧手段を使用して、金型内の燒結材料を上下方向から加圧することにより、所定形状のハウジング本体5を成形する。
【0051】
そして得られたハウジング本体5を燒結炉内に投入して、燒結材料の溶融点以上の温度(約1150℃)で一定時間加熱し、燒結材料の金属粒子を拡散結合させて合金化することにより、燒結処理を行う。
【0052】
以上のようにして得られた燒結材料よりなるハウジング本体5は、図4に示すように内部に多数の空孔(黒い部分)があってそのまま使用した場合、空孔より油が滲み出るため、気孔を塞ぐ封孔処理を行う。
【0053】
封孔処理に使用する封孔材料としては、常温では液体で,かつ加熱すると硬化するともに燒結材料により成形されたハウジング本体5より硬度の小さい熱硬化性樹脂、例えばアクリル系樹脂を使用して、ハウジング本体5全体を封孔処理するか、少なくともハウジング本体5内に形成された作動油室13の内周面の封孔処理を行うことにより、作動油室13の内周面に封孔層34を形成する。
【0054】
封孔処理に当っては、図3に示す含浸槽30内にハウジング本体5を所定数投入したら、蓋体31により含浸槽30を密閉し、この状態で含浸槽30内をバキューム状態にして、含浸槽30の底部に接続された貯液槽32より液状の封孔材料(溶融した樹脂)を含浸槽30内へ移送したら、含浸槽30内を2〜3kg/cm2の圧力に加圧して、封孔材料をハウジング本体5内の空孔に含浸させる。
【0055】
その後含浸槽30内の封孔材料が貯液槽32内へ戻されたら、遠心分離により余分な封孔材料をハウジング本体5より除去した後、含浸槽30内より取り出し、次の洗浄工程で洗浄して、さらに余分な封孔材料を除去する。
【0056】
その後硬化処理工程で、ハウジング本体5を熱硬化樹脂の硬化温度まで加熱して、空気に含浸された樹脂の硬化処理を行うもので、以上のようにして封孔処理されたハウジング本体5は、作動油室13の内周面に封孔層34が形成された上,内部の空孔が熱硬化樹脂により塞がれているため、バルブタイミング変更装置に組立てられて、作動油室13内に圧油が供給されても、空孔より油が漏れ出すことがない。
【0057】
また封孔処理に使用された熱硬化性樹脂は、燒結材料により成形されたハウジング本体5より硬度が小さいことから、ハウジング本体5を機械加工することにより、所定の精度を容易に出すことができると共に、ハウジング本体5の作動油室13内周面には、封孔層34が形成されているため、シール部材21との摺動抵抗が軽減され、これによってベーン部材を回動して、位相を変更する際の応答性が向上する上、シール部材21の摩耗が少なくできるため、シール部材21の寿命を向上させることができる。
【0058】
なお前記実施の形態では、ハウジング本体5全体に封孔処理を施したが、ハウジング本体5の作動油室13内に処理液を充填して、作動油室14の内周面にのみ封孔処理を行うようにして、作動油室13の内周面に封孔層34を形成してもよい。
【0059】
また燒結材料により成形されたハウジング本体5は、寸法精度がよいため成形後の機械加工はほとんど必要としないが、さらに精度を上げるために作動油室13の内周面を機械加工してもよく、この場合内周面に形成された封孔層34は削り取られてしまうが、空孔内に含浸された樹脂によって油が漏れるのを防止できると共に、作動油室13の内周面を機械加工することによって空孔内の樹脂が内周面に露出するため、シール部材21との摺動抵抗を低減する効果が損なわれることはない。
【0060】
次に前記構成された内燃機関のバルブタイミング変更装置の作用を説明すると、内燃機関の始動時で図示しないオイルポンプから作動油が十分に供給されないとき、図示しない制御装置に最遅角状態を保つ信号が入力されている場合には、位相変更手段16のベーン部材15は図4に示すように、ハウジング部材4に対して最遅角位置にあって、回動規制手段(図示せず)によりハウジング部材4とベーン部材15とを連繋している。
【0061】
これによって図示しないクランクシャフトからタイミングベルト10を介してタイミングプーリ3に伝達された回転駆動力は、ハウジング部材4及びベーン部材15を介してカムシャフト1に伝達されるが、このとき前記ベーン部材15のベーン18は、ハウジング部材4内に作動油室13を形成する突条12の側面に当接していないと共に、前記カムシャフト1が回転することによって、内燃機関の吸気弁が駆動され、開閉が制御されることになる。
【0062】
また、前記ベーン部材15がハウジング部材4に対して最遅角位置にあるとき、回動規制手段によってハウジング部材4とベーン部材15との間の相対回動が規制されているため、前記カムシャフト1が図示しない吸気弁を駆動する際に、このカムシャフト1に正または負の反転トルクが作用してもベーン部材15はハウジング部材4に対して相対回動することがないことから、ベーン部材15のベーン18が突条12の側面に衝突することにより生じる打音等を効果的に防止することができる。
【0063】
一方進角制御する場合は、図示しない油圧給排手段の切換え弁が制御装置によって切換え制御され、油圧給排手段より供給された作動油がカムシャフト1内に形成された油路1aより油室側通路25を介して進角室19内へ供給される。
【0064】
前記進角室19内に作動油が導かれることにより回動規制手段による係合が解除される。
【0065】
また前記進角室19内に作動油が供給される一方、遅角室20内が油路1bに連通することによって、進角室19内の油圧力がベーン18の側面に作用し、ベーン部材15をハウジング部材4に対して図2の矢印で示す時計回り方向、即ち進角方向に回動させる。これによって、前記タイミングプーリ3とカムシャフト1とが相対回動することになり、カムシャフト1のクランクシャフトに対する回転位相が変更されて、カムシャフト1は進角制御され、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁の開閉のタイミングが早められる。
【0066】
次に、油圧給排手段の切換え弁が制御装置によって切換え制御されると、オイルポンプからの作動油がカムシャフト1内の油路28及び油室側通路26を介して遅角室20に導かれ、また前記進角室19内の作動油は、油室側通路25よりカムシャフト1内の油路27を経てタンクへドレンされる。
【0067】
そして前記進角室19内の作動油が排出されることによって、ハウジング部材4とベーン部材15とは、回動規制手段による拘束が解除された状態が継続される。
【0068】
また前記遅角室20内に作動油が供給される一方、進角室19内が油路1aに連通することによって、遅角室20内の油圧力がベーン18の側面に作用し、ベーン部材15をハウジング部材4に対して図2において反時計回り方向、即ち遅角方向に回動されるため、前記タイミングプーリ3とカムシャフト1とが相対回動することになり、これによってカムシャフト1のクランクシャフトに対する回転位相が変更されて、カムシャフト1は再び遅角制御され、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁の開閉のタイミングが遅らされることになる。
【0069】
前記カムシャフト1が遅角制御され、ベーン部材15がハウジング部材4に対して相対回動して最遅角位置となると、回動規制手段が再び係合される。
【0070】
一方前記ベーン部材15がハウジング部材4に対して進角方向或いは遅角方向に回動している状態で、油圧給排手段の切換え弁が制御装置によって切換え制御されて作動油の給排が遮断されると、ハウジング部材4とベーン部材15とは、相対回動の中間的な位置に保持され、これによって、前記タイミングプーリ3とカムシャフト1とは相対回動の中間的な位置に保持されるため、カムシャフト1は、このカムシャフト1によって駆動される吸気弁を所望のタイミングで制御することになる。
【0071】
このとき前記進角室19内は、所定の圧力状態が維持されていると共に、密閉された状態となっているから、ハウジング部材4とベーン部材15とは、回動規制手段による拘束が解除された状態が継続されることになる。
【0072】
以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0073】
また吸気弁を進角制御する実施の形態について述べたが、排気弁を遅角制御するバルブタイミング変更装置に採用することも可能である。
【0074】
【発明の効果】
本発明は以上詳述したように、位相変更手段を構成するハウジング部材を燒結材料により形成すると共に、ハウジング部材内に設けられた作動油室の少なくとも内周面を封孔処理することにより、前記内周面に封孔層を形成したもので、作動油室の内周面に開口する空孔が封孔層により塞がれるため、作動油室に供給された圧油がハウジング部材の外周面に滲み出してタイミングベルトやタイミングプーリに付着することがないので、ゴム材よりなるタイミングベルトの耐久性を向上させることができる。
【0075】
また作動油室内を進角室と遅角室に区画するベーンの先端に設けられれて進角室と遅角室の間をシールするシール部材と、作動油室の内周面に形成された封孔層が摺動する際の摺動抵抗を大幅に低減することができるため、位相変更手段の応答性が向上すると共に、シール部材の摩耗を少なくできるため、シール部材の寿命も向上する。
【0076】
さらに液状化した封孔材料中にハウジング部材を浸漬するだけで封孔処理が行えるため、ハウジング部材中の空孔を確実に塞ぐことができると共に、封孔層を形成する樹脂の一部が空孔内に含浸されるため、封孔層がシール部材と摺動しても剥離することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態になる内燃機関のバルブタイミング変更装置を示す断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】封孔処理を行う含浸処理装置の構成図である。
【図4】封孔処理されたハウジング部材の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 カムシャフト
3 タイミングプーリ
4 ハウジング部材
5 ハウジング本体
15 ベーン部材
18 ベーン
18a シール溝
19 進角室
20 遅角室
21 シール部材
21 摺接面
23 ばね部材
34 封孔層
Claims (5)
- 内燃機関の回転に同期してタイミングベルトにより回転が伝達されるタイミングプーリと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、タイミングプーリに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更する位相変更手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング変更装置であって、
前記位相変更手段を構成するハウジング部材は、燒結材料により成形され、前記ハウジング部材内に設けられた作動油室の少なくとも内周面には、封孔処理された封孔層が形成され、前記封孔層は、樹脂材料を含む封孔材料が含浸され、前記封孔材料は、常温では液体で、加熱によって固体化し、固体化した後は、常温において、前記ハウジング部材より高度の小さい樹脂であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング変更装置。 - 内燃機関の回転に同期してタイミングベルトにより回転が伝達されるタイミングプーリと、吸気弁または排気弁を駆動するカムシャフトとの間に設けられ、タイミングプーリに対してカムシャフトを相対回動させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更する位相変更手段とを備えた内燃機関のバルブタイミング変更装置であって、
前記位相変更手段を構成するハウジング部材は、燒結材料により成形され、前記ハウジング部材内に設けられた作動油室の少なくとも内周面に開口する空孔に前記樹脂材料を含む封孔材料が含浸され、前記封孔材料は、常温では液体で、加熱によって固体化し、固体化した後は、常温において、前記ハウジング部材より硬度の小さい樹脂であることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング変更装置。 - 内燃機関の回転に対して、カムシャフトを作動油の油圧によって相対回転させて吸気弁または排気弁の開閉タイミングを変更する位相変更手段を有する内燃機関のバルブタイミング変更装置のハウジング部材の成形方法であって、
位相変更手段を構成するハウジング部材を燒結材料により成形する工程と、
常温では液体で、加熱することにより固体化し、固体化した後は、常温では前記ハウジングより硬度の小さい熱硬化性の封孔材料に前記ハウジング部材を浸漬する工程とを有し、少なくとも前記作動油が接触する前記ハウジング部材の空孔を前記封孔材料で塞ぐ封孔処理を行うことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング変更装置のハウジング部材の成形方法。 - 請求項3において、
前記浸漬工程では、前記ハウジング部材を大気圧以下に減圧した状態にして、液状化した前記封孔材料に浸漬して封孔処理を行うことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング変更装置のハウジング部材の成形方法。 - 請求項3又は4において、
前記封孔処理をした後、前記燒結材料で形成された前記ハウジング部材の前記空孔からの余分な封孔材料を除去する工程とを有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング変更装置のハウジング部材の成形方法。
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JP2000203845A JP3801844B2 (ja) | 2000-07-05 | 2000-07-05 | 内燃機関のバルブタイミング変更装置及びハウジング部材の成形方法 |
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