JP3800471B2 - 無機廃材の処理方法及びそのための反応装置 - Google Patents

無機廃材の処理方法及びそのための反応装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セメント系建築廃材、スラグ等の無機廃材の処理方法と、無機廃材の処理用反応装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築・土木産業ではビルの解体等によってセメント系建築廃材が大量に放出され、また鉄鋼産業では高炉や転炉のスラグが必ず放出される。従来、これらの無機廃材はそのほとんどが埋め立て等に利用されるだけであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの無機廃材は、SiO2、Al23及びCaOを多く含むため、回収後、窯業等の原料として再利用し得ると考えられる。これにより、資源の有効活用を図り得る。ただ、回収された無機廃材は、ガラス屑、コンクリート屑等を種々の割合で含み、かつ同じ例えばガラス屑だけにしてもそのガラス屑をなす成分が種々の割合でSiO2等を含んでいるため、およそそのままでは、組成のばらつきから、窯業等の原料として再利用することが困難である。特に、無機廃材が種々の割合でCaO等のアルカリ土類金属酸化物を含む場合、その無機廃材は焼成温度のばらつきを生じることから、窯業等の原料として再利用することが困難である。
【0004】
この点、こうした無機廃材からアルカリ土類金属を回収すべく、硫酸等の鉱酸を用いた酸処理による溶解抽出法が行われ得る。こうして、無機廃材からアルカリ土類金属を回収すれば、残部を焼成温度にはさほど影響を与えないSiO2及びAl23で主として構成することができると考えられるため、残部を窯業等の原料として再利用することが容易になると考えられる。
【0005】
しかしながら、かかる酸処理による溶解抽出法では、無機廃材の性状によってその溶解に長時間を要したり、高濃度の鉱酸を必要とするために操作上の危険性があるとともに装置・設備の腐食等を生じたりし、作業性が悪いという問題がある。
本発明は、上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、好適な作業性の下、無機廃材の窯業等の原料としての再利用を容易にすることのできる無機廃材の処理方法及びそのための反応装置を提供することを解決すべき課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行い、陽イオン交換樹脂が有効であることを発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の無機廃材の処理方法は、水を主成分とする第1反応液中に無機廃材と、該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂とを共存させることにより、該陽イオンを該陽イオン交換樹脂に吸着させて該無機廃材から該陽イオンを除去することを特徴とする。
また、本発明の無機廃材の処理用反応装置は、水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させ、該陽イオンを該陽イオン交換樹脂に吸着させて該無機廃材から該陽イオンを除去する反応槽を有することを特徴とする。
【0007】
発明者らの試験によれば、本発明の無機廃材の処理方法及びそのための反応装置では、陽イオン交換樹脂を用いていることから、無機廃材の性状にかかわらず無機廃材が迅速に溶解する。かかる溶解のメカニズムは、水を主成分とする第1反応液中において無機廃材から微量に溶出した陽イオンと陽イオン交換樹脂との間でイオン交換を生じ、その分だけ第1反応液中の平衡状態が損なわれることから、それを補うために第1反応液中に陽イオンが溶出していくことによると考えられる。なお、第1反応液中におけるイオン交換は、陽イオン交換樹脂の樹脂基体に導入された官能基から一般には水素イオンが分離する一方、そこに無機廃材の陽イオンが吸着することにより生じると考えられている。
【0008】
こうして、本発明の無機廃材の処理方法及びそのための反応装置によれば、無機廃材から陽イオンを除去することができるため、好適な作業性の下、残部の無機廃材を窯業等の原料として再利用することを容易にすることができる。また、イオン交換後の陽イオン交換樹脂を回収すれば、無機廃材から除去した陽イオンを陽イオン交換樹脂に吸着させた形で回収することができる。
【0009】
無機廃材は粉末状であることが好ましい。粉末状の無機廃材は、イオン交換の際、第1反応液との接触面積が大きいことから陽イオンを溶出しやすく、全体として溶解しやすいからである。また、陽イオン交換樹脂も粉末状又は粒状であることが好ましい。粉末状又は粒状の陽イオン交換樹脂は、イオン交換の際、第1反応液との接触面積が大きいことから陽イオンを吸着しやすく、反応効率が高いからである。また、粉末状又は粒状の陽イオン交換樹脂は、バブリングの際に再生もしやすく、かつ作業性にも優れるからである。また、イオン交換の際、第1反応液を攪拌したり、振動を与えたりすることが好ましい。攪拌や振動により、無機廃材からの陽イオンの溶出が促進されたり、陽イオンと陽イオン交換樹脂との接触が促進され、第1反応液全体でイオン交換を行いやすいと考えられるからである。このため、後述する反応装置における第1反応槽には、第1反応液を攪拌又は振動可能な手段が設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の無機廃材の処理方法として、水を主成分とする第2反応液中にイオン交換後の陽イオン交換樹脂を存在させ、第2反応液に二酸化炭素を泡立たせることが好ましい。こうすれば、第2反応液中に陽イオンを分離抽出させることができるため、陽イオン交換樹脂を再生することができる。また、第2反応液中で少なくとも陽イオンとCO3 2-とが反応した固体生成物を生成することができることから、近年地球環境の維持の観点から削減が要求されている二酸化炭素を経済的かつ大量に固定化することができる。
【0011】
このバブリングの際、第2反応液中に塩基物を存在させることが好ましい。かかる手段としては、後述する反応装置における第2反応槽に塩基物を添加可能な手段を設けることができる。塩化物を添加するのは、二酸化炭素の固定化反応がpH10程度の塩基性の下で進行しやすいからである。この塩基物としては、アンモニア水、NaOH水溶液、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、トリメタノールアミン等を採用することができるが、アンモニア水を採用することが好ましい。アンモニア水では固体生成物を高い回収率で生成できるからである。
【0012】
また、このバブリングの際、第2反応液を攪拌したり、振動を与えたりすることが好ましい。攪拌や振動により、陽イオン交換樹脂からの陽イオンの分離抽出が促進されたり、二酸化炭素の第2反応液中への溶解が促進され、固体生成物の生成量を向上させることができると考えられるからである。このため、後述する反応装置における第2反応槽には、第2反応液を攪拌又は振動可能な手段が設けられていることが好ましい。
【0013】
さらに、このバブリングの際、第2反応液の温度は25°C程度以下が好ましい。第2反応液の温度が25°C程度を超えれば二酸化炭素及び塩基物の第2反応液への溶解度が減少し、反応しにくくなるからである。
陽イオンがCa2+等のアルカリ土類金属イオンであれば、無機廃材からアルカリ土類金属イオンを除去できることとなる。また、イオン交換後の陽イオン交換樹脂を回収すれば、無機廃材から除去したアルカリ土類金属イオンを陽イオン交換樹脂に吸着させた形で回収することができる。そして、無機廃材からアルカリ土類金属イオンを除去した残部は、焼成温度にはさほど影響を与えないSiO2及びAl23で主として構成されることとなると考えられるため、その残部を窯業等の原料として再利用することが容易になる。さらに、無機廃材から炭酸カルシウム(CaCO3)等のアルカリ土類炭酸塩を製造するに際し、バブリングにより二酸化炭素を消費することができるため、安定した窯業等の原料としてのアルカリ土類炭酸塩の確保と地球環境の維持とを両立することができる。
【0014】
また、本発明の無機廃材の処理用反応装置は、水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させる第1反応槽と、
水を主成分とする第2反応液及び該第1反応槽によるイオン交換後の該陽イオン交換樹脂を存在させ、該第2反応液に二酸化炭素を泡立たせ得る第2反応槽と、を有し、
該第1反応槽には該第1反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第1洗浄籠が収納されていることを特徴とする。
さらに、本発明の無機廃材の処理用反応装置は、水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させる第1反応槽と、
水を主成分とする第2反応液及び該第1反応槽によるイオン交換後の該陽イオン交換樹脂を存在させ、該第2反応液に二酸化炭素を泡立たせ得る第2反応槽と、を有し、
該第2反応槽には該第2反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第2洗浄籠が収納されていることを特徴とする。
また、本発明の無機廃材の処理用反応装置は、水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させる第1反応槽と、
水を主成分とする第2反応液及び該第1反応槽によるイオン交換後の該陽イオン交換樹脂を存在させ、該第2反応液に二酸化炭素を泡立たせ得る第2反応槽と、を有し、
該第1反応槽には該第1反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第1洗浄籠が収納され、
該第2反応槽には該第2反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第2洗浄籠が収納されていることを特徴とする。
【0015】
イオン交換の際の第1反応槽をそのままバブリングの際の第2反応槽に用いるとすれば、反応装置が単槽式となり、第1、2反応液を収容する反応槽を変えることなくイオン交換及びバブリングができるため、良好な作業性を得ることができると考えられる。しかしながら、単槽式にした場合、連続した反応を行いにくいため、反応効率が悪くなる。この点、本発明の反応装置では、イオン交換を行う第1反応槽とバブリングを行う第2反応槽との二槽式で反応装置を主として構成しているため、連続した反応により、優れた反応効率を確保することができる。
【0016】
第1反応槽には、第1反応槽内の陽イオン交換樹脂を排出可能な第1洗浄籠が収納されている。同様に、第2反応槽には、第2反応槽内の陽イオン交換樹脂を排出可能な第2洗浄籠が収納されている。ここで、第1洗浄籠と第2洗浄籠とを同一のものとすればより好ましい。また、第1反応槽には、弁手段を介して濾過した第1反応液を回収可能な第1濾液受け槽が接続され、第1濾液受け槽内の第1反応液は第1反応槽又は外部に供給可能になされていることが好ましい。同様に、第2反応槽には、弁手段を介して濾過した第2反応液を回収可能な第2濾液受け槽が接続され、第2濾液受け槽内の第2反応液は第2反応槽又は外部に供給可能になされていることが好ましい。これらにより、無機廃材や陽イオン交換樹脂等の移動をスムーズに行い得るからである。また、反応後の第1、2反応液を再利用できるからである。
【0017】
また、第1反応槽には、第1反応液の電気伝導率を計測可能な手段を設けることが好ましい。同様に、第2反応槽には、第2反応液のpHを計測可能な手段が設けられていることが好ましい。それぞれの反応状況を把握し、最適な条件の下で無機廃材の処理を行うことができるからである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態1〜5を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
実施形態1では、無機廃材としてモルタル廃材を用いた。このモルタル廃材をジョークラッシャー等で粗砕後、ボ−ルミルで24時間湿式細摩し、90℃の乾燥機で一週間乾燥させ、モルタル廃材粉末とした。得られたモルタル廃材粉末の平均粒径は6.55μmである。このモルタル廃材粉末の構成相は、XRDチャートによると、石英(quartz)、曹長石(albite)、方解石(calcite)、緑泥石(clinochlore)及び白雲母(muscovite)である。また、このモルタル廃材粉末の化学組成(質量%)は、XRF分析によると、表1の通りであった。
【0019】
【表1】
Figure 0003800471
さらに、陽イオン交換樹脂として、ゲル型強酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンSK;三菱化学(株)製、直径約0.2mmの粒状、比重は1.1)を用意した。この陽イオン交換樹脂を多量の蒸留水で洗浄後、減圧濾過して湿潤状態とした。
【0020】
そして、モルタル廃材粉末2.0gと陽イオン交換樹脂0〜3.5gとを反応槽内で第1反応液としての25°Cの蒸留水50mlに添加し、30分間攪拌する。
効果を確認するため、濾紙により第1反応液を濾過し、ICPにより濾液のCa2+の濃度(mM)を測定した。また、濾液のpH及び電気伝導度(mS/cm)を測定した。これらと陽イオン交換樹脂の添加量(g)との関係を図1に示す。
【0021】
図1より、第1反応液中において、図2に示す陽イオン交換樹脂の官能基であるSO3 -からH+が分離する一方、そこにモルタル廃材粉末のCa2+が吸着することによりイオン交換が生じていることが想定される。
また、陽イオン交換樹脂の添加量に対するCa2+の濃度の変化と電気伝導度の変化とがほぼ一致していることがわかる。ここで、陽イオン交換樹脂を2.5g以上添加すると電気伝導度が急激に上昇するのは、同時にpHが低下していることから、モルタル廃材粉末における石膏中のCaSO4が溶解し、硫酸を放出するためであると考えられる。
【0022】
こうして、この処理方法及び処理用反応装置では、モルタル廃材粉末からCa2+を除去できることがわかる。また、イオン交換後の陽イオン交換樹脂を回収すれば、モルタル廃材粉末から除去したCa2+を陽イオン交換樹脂に吸着させた形で回収できることがわかる。そして、モルタル廃材粉末からCa2+を除去した残部は、焼成温度にはさほど影響を与えないSiO2及び/又はAl23で主として構成されることとなるため、その残部を窯業等の原料として再利用しやすいことがわかる。
(実施形態2)
実施形態2では、無機廃材として高炉スラグ微粉未(エスメントP;東京化成品(株)製)を用いた。この高炉スラグ微粉未は、急冷した高炉スラグを微粉砕したものであり、通常、セメントに10〜20質量%混合されて高炉スラグセメントとして供されている。高炉スラグ微粉未の平均粒径は11.06μmである。この高炉スラグ微粉未は、XRDチャートによると、ガラス質のみが確認された。この高炉スラグ微粉未の化学組成(質量%)は、XRF分析によると、表2の通りであった。
【0023】
【表2】
Figure 0003800471
さらに、陽イオン交換樹脂として実施形態1と同一のゲル型強酸性陽イオン交換樹脂を用意した。なお、この陽イオン交換樹脂は実施形態1と同様に前処理したものである。
【0024】
そして、高炉スラグ微粉未2.0gと陽イオン交換樹脂0〜15.0gとを反応槽内で第1反応液としての25°Cの蒸留水100mlに添加し、1時間攪拌する。
効果を確認するため、濾紙により第1反応液を濾過し、ICPにより濾液のSi4+、Al3+及びCa2+の濃度(mM)を測定した。また、濾液のpH及び電気伝導度(mS/cm)を測定した。これらと陽イオン交換樹脂の添加量(g)との関係を図3に示す。
【0025】
図3より、Si4+は陽イオン交換樹脂の添加量の増加と共に上昇し、最終的には高炉スラグ微粉未を構成するSiO2の92重量%を溶解できることがわかる。また、Al3+及びCa2+は二段階で溶解することがわかる。
こうして、この処理方法及び処理用反応装置では、高炉スラグ微粉未からSi4+、Al3+及びCa2+を除去できることがわかる。また、イオン交換後の陽イオン交換樹脂を回収すれば、高炉スラグ微粉未から除去したAl3+及びCa2+を陽イオン交換樹脂に吸着させた形で回収できることがわかる。さらに、陽イオン交換樹脂の添加量を多くすることにより、高炉スラグ微粉未からSi4+を多く含む濾液(高Si液)を製造できることがわかる。かかる高Si液はコンタクトレンズ等の製造に供し得ると考えられる。
【0026】
また、高炉スラグ微粉未からSi4+とAl3+及びCa2+とを選択的に除去し得ると考えられる。しかし、Al3+及びCa2+については、陽イオン交換樹脂の添加量で濃度に差をもたせることができないことから、これらを分離するためには他の手段を要すると考えられる。こうして、Si4+とAl3+及びCa2+とを選択的に除去することができれば、高炉スラグ微粉未の残部をSiO2で主として構成したり、Al23及びCaOで主として構成したりすることができることになるため、そうであればその残部は窯業等の原料としてさらに再利用しやすくなる。
(実施形態3)
実施形態3では、無機廃材としては実施形態1と同一のモルタル廃材粉末を用い、陽イオン交換樹脂としてポーラス型(スチレン系)強酸性陽イオン交換樹脂(ダイヤイオンPK228;三菱化学(株)製)を用いた。この陽イオン交換樹脂を多量の蒸留水で洗浄後、60°Cで3日間乾燥して乾燥状態とした。
「評価1」
そして、モルタル廃材粉末0〜20.0gと陽イオン交換樹脂5.0gとを反応槽内で第1反応液としての25°Cの蒸留水300mlに添加し、15分間攪拌する。
【0027】
効果を確認するため、目開き149μmの篩いを用いてイオン交換後の陽イオン交換樹脂を分離し、残りのモルタル廃材粉末及び第1反応液を80°Cで3日間乾燥させ、モルタル廃材粉末の質量減少量を求めた。求めたモルタル廃材粉末の質量減少量を陽イオン交換樹脂に吸着したCa2+を含むCaOの質量であると仮定し、陽イオン交換樹脂へのCa2+の吸着率(%)を計算した。モルタル廃材粉末の量(g)と吸着率との関係を図4に示す。
【0028】
図4より、モルタル廃材粉末の量を増やすにつれて吸着率が増大することがわかる。
「評価2」
また、モルタル廃材粉末4.0gと陽イオン交換樹脂5.0gとを反応槽内で第1反応液としての25°Cの蒸留水100〜300mlに添加し、15分間攪拌する。
【0029】
第1反応液の水量(ml)と上記と同様のCa2+の吸着率(%)との関係を図5に示す。
図5より、水量が少ないほど吸着率が増大することがわかる。これは、水量が減少することにより第1反応液中のCa2+の濃度が高くなり、陽イオン交換樹脂とCa2+との接触頻度が高くなるためであると推察される。
「評価3」
さらに、モルタル廃材粉末4.0gと陽イオン交換樹脂5.0gとを反応槽内で第1反応液としての25°Cの蒸留水300mlに添加し、0〜60分間攪拌する。
【0030】
攪拌時間としての反応時間(分)と上記と同様のCa2+の吸着率(%)との関係を図6に示す。
図6より、反応時間とともに吸着率が増大することがわかる。
(実施形態4)
実施形態4では、図7の流れ図に従って、以下のイオン交換及びバブリングを実行する。無機廃材としては実施形態1と同一のモルタル廃材粉末をもちい、陽イオン交換樹脂としては実施形態3と同一のポーラス型(スチレン系)強酸性陽イオン交換樹脂を用いた。なお、陽イオン交換樹脂は実施形態3と同様に前処理したものである。
「イオン交換」
まず、ステップS1において、第1反応槽1内に目開き149μmの第1洗浄籠2を収納する。また、第1反応槽1内に300mlの蒸留水からなる第1反応液3と、4.0gのモルタル廃材粉末4と、5.0gの陽イオン交換樹脂5とを投入する。そして、スターラー6により15分間攪拌する。これにより、陽イオン交換樹脂5にモルタル廃材粉末4から除去したCa2+を吸着させる。
【0031】
この後、ステップS2において、第1反応槽1から第1洗浄籠2を持ち上げ、Ca2+を吸着した陽イオン交換樹脂5を残りのモルタル廃材粉末4及び第1反応液3から分離する。
そして、ステップS3において、残りのモルタル廃材粉末4と第1反応液3とを濾過により分離する。第1反応液3はステップS1の第1反応槽1内に戻す。また、ステップS4において、蒸留水7を用いて陽イオン交換樹脂5を洗浄し、陽イオン交換樹脂5の表面に付着した処理後のモルタル廃材粉末4を除去する。
「バブリング」
次いで、ステップS5において、300mlの蒸留水からなる第2反応液8が収容された第2反応槽9を用意し、第2反応槽9内に第1洗浄籠2とともに陽イオン交換樹脂5を収納する。そして、スターラー10で攪拌しつつ、CO2ガス(CO2100%)を流量0.15ml/分で10分間泡立たせる。こうして、第2反応液8中のCO2濃度を一定にした後、ピペット11により濃度29%のアンモニア水を塩基物12として第2反応液8に加え、pH10に保持しつつ更に10分間CO2ガスを流量0.15ml/分で泡立たせる。なお、第2反応槽9にはpH計13も設けられている。こうして、陽イオン交換樹脂5から第2反応液8(塩基物12を含む。)中にCa2+を分離抽出させ、陽イオン交換樹脂5を再生するとともに、第2反応液8(塩基物12を含む。)中で少なくともCa2+とCO3 2-とを反応させ(炭酸化)、固体生成物14としてのCaCO3を生成し、沈殿させる。
【0032】
この後、ステップS6において、第2反応槽9から第1洗浄籠2を持ち上げ、Ca2+を分離抽出した陽イオン交換樹脂5を固体生成物14及び第2反応液8(塩基物12を含む。)から分離する。
そして、ステップS7において、固体生成物14と第2反応液8(塩基物12を含む。)とを濾過により分離する。固体生成物14は、80°Cの乾燥器で3日間乾燥後、秤量し、XRDにて方解石と同定した。他方、第2反応液8(塩基物12を含む。)はステップS5の第2反応槽9内に戻す。また、ステップS8において、蒸留水15を用いて陽イオン交換樹脂5を洗浄し、陽イオン交換樹脂5の表面に付着した固体生成物14を除去する。
【0033】
次いで、ステップS9において、塩酸及び蒸留水からなる第3反応液16内に陽イオン交換樹脂5を浸漬し、陽イオン交換樹脂5をほぼ完全に再生する。この陽イオン交換樹脂5はステップS1の第1反応槽1内に戻す。
こうして、この実施形態4では、モルタル廃材粉末4からCaCO3を製造するに際し、近年地球環境の維持の観点から削減が要求されているCO2を経済的かつ大量に固定化することができるため、安定した窯業等の原料としてのCaCO3の確保と地球環境の維持とを両立することができる。
「評価1」
塩基物12として、上記アンモニア水の代わりに、NaOH水溶液、ジエチルアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン又はトリメタノールアミンを用い、塩基物12の種類による固体生成物14への影響について検討した。
【0034】
この結果、アンモニア水とジエチルアミン以外の塩基物12についてはCaCO3を生成できず、NaOH水溶液を用いれば固体生成物14としてNa2CO3を主に生成できた。この理由は、NaOH水溶液は高い電離度の強塩基であり、第2反応液8中でのNa+の濃度が高いことからCO3 2‐と反応しやすくなるのに対し、アンモニア水は低い電離度の弱塩基であり、第2反応液8中でのNH4 +の濃度が低いことからCO3 2‐との反応が起こりにくいからであると推測される。他方、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン及びトリメタノールアミンについては、炭酸化反応の促進を期待したが、XRDでは同定不可能な黒いタール状の有機物を固体生成物14として生成した。pHを調整するためにこれらを多量に添加したためであると思われる。また、アンモニア水では方解石及び霰石(aragonite)を生成できたが、ジエチルアミンを用いると主に霰石を生成することができた。
【0035】
したがって、霰石を生成する上においては、塩化物12としてジエチルアミンを用いることが好ましいことがわかる。
CaCO3の回収率(%)は、アンモニア水を用いた場合では21.0%、ジエテルアミンを用いた場合では7.4%であり、アンモニア水を用いた場合の方が高い回収率を確保できることがわかる。
【0036】
したがって、塩化物12としてアンモニア水を用いることが高い回収率を確保できる点で好ましいことがわかる。
「評価2」
また、CO2ガスを泡立たせた反応時間を5〜80分間とし、反応時間(分)と、CaCO3の回収率(%)と、固体生成物14への影響との関係について検討した。
【0037】
反応時間と回収率との関係を図8に示す。図8より、反応時間が長いほど回収率も高くなることがわかる。
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、反応時間を5分とすると方解石のみが生成した。一方、反応時間を10分以上とすると霰石及び方解石の生成が認められた。更に反応時間を長くすると再び方解石を生じやすくなり、霰石を生じにくくなる。反応時間を80分とすると方解石のみを生成した。これにより、CaCO3の生成速度が大きいときには霰石ができやすく、CaCO3は方解石の方が安定していることがわかる。
【0038】
したがって、反応時間の調整によって霰石又は方解石を選択的に生成できることがわかる。
「評価3」
さらに、モルタル廃材粉末4の量を0.5〜8.0gとし、陽イオン交換樹脂5へのCa2+の吸着率(%)と、CaCO3の生成量(g)及び回収率(%)との関係を求めた。結果を図9に示す。
【0039】
図9より、吸着率の向上に伴い、生成量が大きく、回収率が高くなるが、吸着率が50%程度で生成量及び回収率が飽和することがわかる。また、バブリング前後の陽イオン交換樹脂5について、断面の線分析及び断面の面分析で比較すると、バブリング前にはCa2+が内部まで均―に吸着していること、バブリング後にはCa2+の濃度が減少し、表面付近のCa2+の濃度が下がっていることが確認できた。このため、CaCO3の生成は、陽イオン交換樹脂5の内部で起こるのではなく、陽イオン交換樹脂5の表面から第2反応液8(塩基物12を含む。)中にCa2+が溶出し、第2反応液8(塩基物12を含む。)において、そのCa2+とCO3 2‐とが反応することによって起こることがわかる。そして、陽イオン交換樹脂5の表面で不足したCa2+を補うように陽イオン交換樹脂5の内部からCa2+が拡散していくと推測される。よって、吸着率が50%程度で生成量及び回収率が飽和するのは、反応時間が10分と比較的短く、吸着率が50%程度でCa2+の拡散速度若しくはCO2の第2反応液8(塩基物12を含む。)への溶解速度が律速となり、陽イオン交換樹脂5に吸着したCa2+の全量がCaCO3生成に消費されず、CaCO3の生成量が反応時間10分での平衡値に達するからであると推定される。
【0040】
したがって、モルタル廃材粉末4の量を増大させれば、陽イオン交換樹脂5へのCa2+の吸着率を高めることができ、これによりCaCO3の回収率を向上できることがわかる。
「評価4」
また、第2反応液8に添加する塩基物12としてのアンモニア水量を変化させることにより、第2反応液8(塩基物12を含む。)のpHを9、9.5、10、10.5の4水準に変化させ、第2反応液8(塩基物12を含む。)のpHとCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。結果を図10に示す。
【0041】
図10より、第2反応液8(塩基物12を含む。)のpH10程度で最も高い回収率を発揮できるものの、第2反応液8(塩基物12を含む。)のpHによって回収率はほとんど変化しないことがわかる。この原因のひとつは、反応時間が比較的短いために、CO2の溶解が進んでおらず、CO3 2-の濃度が第2反応液8(塩基物12を含む。)のpHにそれほど寄与していないからであると考えられる。また、所定のpHに保つためにアンモニア水量が増え、これにより第2反応液8(塩基物12を含む。)の量も増えることから、CO3 2-とCa2+を吸着した陽イオン交換樹脂5との接触が妨げられることも原因であると考えられる。
【0042】
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、pHによる生成相の違いは認められなかった。
したがって、第2反応液8(塩基物12を含む。)はpH10程度が好ましいことがわかる。
「評価5」
CO2の供給源としては工場等からの排ガスを使用することが予想される。このため、ガス中のCO2濃度(%)を変化させた。なお、ガスのCO2を除く残部はN2である。こうして、反応時間10〜40分の下、CO2濃度とCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。結果を図11に示す。
【0043】
図11より、CO2濃度が下がると、回収率もそれに応じて減少することがわかる。また、CO2濃度の変化に伴う回収率の挙動は、反応時間10分、20分では大きな差は認められないが、反応時間40分では同じCO2濃度における反応時間20分の場合に比べ、約2倍の回収率を示すことがわかる。これは、CO2濃度の滅少に伴い、第2反応液8(塩基物12を含む。)中へのCO2の溶解量が減少することから、CO3 2-とCa2+を吸着した陽イオン交換樹脂5との接触の機会が減少するためにCaCO3の回収率は減少する一方、反応時間を長くすることで第2反応液8(塩基物12を含む。)中のCO3 2-の濃度が確保され、CaCO3の回収率が向上するからであると推定される。
【0044】
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、CO2濃度が低く、反応時間が短い場合には、CaCO3の生成量が低かった。特に、CO2濃度が5%、反応時間が10分の場合は、XRD分析が困難なほどCaCO3の生成量が低かった。
したがって、CO2濃度の高いガスを使用することが好ましいことがわかる。また、排ガス等のCO2濃度の低いガスをバブリングに用いる場合、反応時間を長くする、攪拌速度を上げる、振動させる、CO2ガスの流量を上げる、CO2ガスの気泡を細かくする等、CO2の溶解を促進してCO3 2-とCa2+を吸着した陽イオン交換樹脂5との接触の頻度を増加させる手段が必要となると思われる。
「評価6」
第2反応液8(塩基物12を含む。)の攪拌速度を100〜400(rpm)で変化させ、攪拌速度とCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。結果を図12に示す。
【0045】
図12より、攪拌速度を上げるにつれて、CaCO3の回収率も向上することがわかる。攪拌速度を上げることにより、CO2の溶解及びCa2+とCO3 2-との接触頻度が高められるためと思われる。
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、攪拌速度の違いで生成相に相違を生じないことが確認された。
【0046】
したがって、排ガス等のCO2濃度の低いガスをバブリングに用いる場合、攪拌速度を上げることは有効であると考えられる。
「評価7」
第2反応槽9内の第2反応液8(塩基物12を含む。)を振動すべく、第2反応槽9に超音波発信器を設け、28kHz、45kHz、100kHzの3水準で周波数を変化させた。この際、攪拌は行わないこととした。こうして、超音波の周波数とCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。結果を図13に示す。
【0047】
図13より、周波数が低いほど、CaCO3の回収率が増大していることがわかる。しかし、周波数が高くなるほど、CaCO3の生成量が低下する。超音波を用いることにより発生するキャビテーションの影響により、第2反応液8(塩基物12を含む。)とCa2+を吸着した陽イオン交換樹脂5との間に摩擦力が生じ、これによりCa2+を吸着した陽イオン交換樹脂5の結合が切れることが推定される。
【0048】
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、周波数が低い場合には霰石の生成が確認された。
したがって、超音波を用いて第2反応液8(塩基物12を含む)を振動させる場合には、比較的低い周波数の方がCaCO3の回収に適していることがわかる。
「評価8」
評価7と同様、第2反応槽9内の第2反応液8(塩基物12を含む。)を振動すべく、第2反応槽9に超音波発信器を設け、出力を3水準で変化させた。この際、攪拌は行わないこととした。こうして、超音波の強さとCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。また、第2反応液8(塩基物12を含む。)をpH10に保持すべく使用したアンモニア水量(l)とCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。結果を図14に示す。
【0049】
図14より、超音波の出力の大小はCaCO3の回収率にあまり影響が無く、超音波により振動させない方が回収率が高いことがわかる。他方、超音波により振動させない方がアンモニア水の使用量が低いことがわかる。これは、超音波を使用すればキャビテーションの影響で第2反応液8(塩基物12を含む。)の温度が上昇し、これによりイオン積の関係でpHが低下するためである。このため、超音波により振動させると、pH10を維持すべくアンモニア水の使用量が増加するため、第2反応液8(塩基物12を含む。)中のCa2+の割合が減少すると考えられる。また、超音波による振動で第2反応液8(塩基物12を含む)の温度が上昇することにより、CO2の溶解度が低下し、CO2とCa2+との接触頻度が下がると考えられる。
【0050】
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、3水準共に生成相に違いがなかった。
したがって、超音波を用いて第2反応液8(塩基物12を含む)を振動させる場合には、第2反応液8(塩基物12を含む。)の温度を維持する手段を別に講じる必要があることが想定される。
「評価9」
第2反応液8(塩基物12を含む。)中に供給するCO2ガス(CO2100%)の流量を0〜15l/分で変化させ、CO2ガス流量とCaCO3の回収率(%)との関係を求めた。結果を図15に示す。
【0051】
図15より、流量が小さいほど回収率が低いことがわかる。しかし、流量を大きくしても回収率は飽和することがわかる。第2反応液8(塩基物12を含む。)中のCO3 2-の濃度が飽和するからであると想定される。
また、固体生成物14のXRDチャートによれば、CO2ガスの流量の差によって生成相に違いがなかった。
【0052】
したがって、CO2ガスの流量は、第2反応液8(塩基物12を含む。)の量、反応時間等との関係の下、反応効率を考慮して決定することが必要であると考えられる。
「評価10」
無機廃材として実施形態2の高炉スラグ微粉末を用い、6.002gの高炉スラグ微粉末4と20.0mlの陽イオン交換樹脂5とを第1反応液3としての25°Cの蒸留水75mlに添加し、1時間攪拌し、イオン交換を行った。
【0053】
ICPにより、このイオン交換後の第1反応液3についてSi4+、Al3+及びCa2+のイオン濃度(mg/l)を測定するとともに、このイオン交換後の陽イオン交換樹脂5についてSi4+、Al3+及びCa2+のイオン濃度(mg/kg)を測定した。結果を表3に示す。なお、陽イオン交換樹脂5については2回の平均値を示す。
【0054】
【表3】
Figure 0003800471
表3より、イオン交換によって、Al3+及びCa2+が陽イオン交換樹脂5に吸着されやすく、Si4+は第1反応液3に残留しやすいことがわかる。
【0055】
したがって、イオン交換によって、高炉スラグ微粉末4からAl3+及びCa2+を除去できることがわかる。また、イオン交換後の陽イオン交換樹脂5を回収すれば、高炉スラグ微粉末4から除去したAl3+及びCa2+を陽イオン交換樹脂5に吸着させた形で回収できることがわかる。そして、高炉スラグ微粉末4からAl3+及びCa2+を除去した残部たる第1反応液3は、Si4+を多く含むため、高Si液としてコンタクトレンズ等の製造に供し得ると考えられる。
「評価11」
また、上記評価10の上記イオン交換後の20.0mlの陽イオン交換樹脂5を蒸留水100ml及びアンモニア水135mlからなる25°C、pH10の第2反応液8に添加し、CO2ガス(CO2100%)を0.2ml/秒で1時間泡立たせ、バブリングを行った。
【0056】
ICPにより、このバブリング後の第2反応液8についてSi4+、Al3+及びCa2+のイオン濃度(mg/l)を測定するとともに、このバブリング後の陽イオン交換樹脂5についてSi4+、Al3+及びCa2+のイオン濃度(mg/kg)を測定した。結果を表4に示す。なお、陽イオン交換樹脂5については2回の平均値を示す。
【0057】
【表4】
Figure 0003800471
表3及び表4より、バブリングによって、陽イオン交換樹脂5のCa2+が第2反応液8に分離抽出され、CaCO3として生成されることがわかる。また、陽イオン交換樹脂5のSi4+及びAl3+は陽イオン交換樹脂5に残留しやすいことがわかる。
(実施形態5)
実施形態5では、図16に示す反応装置を用いる。この反応装置では、処理室20内に第1反応槽21及び第2反応槽22が設けられている。第1反応槽21内には目開き177μmの第1洗浄籠23が収納され、第2反応槽22内にも目開き177μmの第2洗浄籠24が収納されている。また、第1反応槽21及び第1洗浄籠23内には電気伝導率計25及び出力可変のスターラー26が設けられている。他方、第2反応槽22及び第2洗浄籠24内には、pH計27及び出力可変のスターラー28が設けられているとともに、アンモニア水を収納したボンベ29とポンプ30を介して接続されたノズル31が設けられている。また、第2洗浄籠24の内部底面にはCO2ガスを収納したボンベ32と接続されたノズル33が設けられ、第2反応槽22の内部底面には超音波発信器34が設けられている。
【0058】
また、第1反応槽21の底部には弁35を介して配管36が接続されており、配管36の下方にはNo.5Bの大型濾紙をもつ脱水籠37を上にして第1濾液受け槽38が設けられている。第1濾液受け槽38の底部にはポンプ39を介して二股の配管40が接続されている。配管40の一端は弁41を介して第1反応槽21内に位置され、配管40の他端は弁42を介して外部に位置されている。
【0059】
さらに、第2反応槽22の底部にも弁43を介して配管44が接続されており、配管44の下方にもNo.5Bの大型濾紙をもつ脱水籠45を上にして第2濾液受け槽46が設けられている。第2濾液受け槽46の底部にもポンプ47を介して二股の配管48が接続されている。配管48の一端は弁49を介して第2反応槽22内に位置され、配管48の他端は弁50を介して外部に位置されている。
【0060】
処理室20の上部には排気ファン51を介して外部に繋がる排気管52が設けられている。また、処理室20外には制御盤53が設けられ、電気伝導率計25、スターラー26、28、pH計27、ポンプ30、39、47、超音波発信器34及び排気ファン51は、この制御盤53に接続されている。
かかる反応装置により上記実施形態4と同様にイオン交換及びバブリングを実行する。但し、作業性を考慮し、イオン交換を第1反応槽21で行い、バブリングを第2反応槽22で行う。
「イオン交換」
すなわち、第1反応槽21内にそれぞれ一定量の蒸留水からなる第1反応液と、上記モルタル廃材粉末等の無機廃材と、陽イオン交換樹脂とを投入し、電気伝導率計25により確認しつつスターラー26により一定時間攪拌する。
【0061】
そして、弁35が開かれ、Ca2+を吸着した陽イオン交換樹脂を第1洗浄籠23に残し、残りの無機廃材及び第1反応液を脱水籠37を介して第1濾液受け槽38で受ける。この際、脱水籠37の濾紙上に処理後の無機廃材が残留されるため、第1濾液受け槽38には第1反応液が収納される。この第1反応液は、再利用可能であればポンプ39及び弁41を介して配管40により第1反応槽21内に環流され、再利用不能であればポンプ39及び弁42を介して配管40により外部に排出される。脱水籠37の濾紙上に残留した処理後の無機廃材を脱水し、再度第1反応槽21内に戻したり、他で再利用することもできる。
「バブリング」
第1洗浄籠23上に残されたイオン交換後の陽イオン交換樹脂は、そのまま第2反応槽22内に移される。なお、第2洗浄籠24は第1反応槽21に戻される。ここで、陽イオン交換樹脂を脱水してから移すこともできる。第2反応槽24内には、蒸留水と、ボンベ29からポンプ30及びノズル31を介して添加されたアンモニア水とがそれぞれ一定量貯留されており、これらにより第2反応液が構成されている。そして、pH計27で確認するとともにスターラー28で攪拌しつつ、ボンベ32及びノズル33を介してCO2ガスを一定流量及び一定時間泡立たせる。
【0062】
そして、弁43が開かれ、Ca2+を分離抽出した陽イオン交換樹脂を第1洗浄籠23に残し、CaCO3及び第2反応液を脱水籠45を介して第2濾液受け槽46で受ける。この際、脱水籠45の濾紙上にCaCO3が残留されるため、第2濾液受け槽46には第2反応液が収納される。この第2反応液は、再利用可能であればポンプ47及び弁49を介して配管48により第2反応槽22内に環流され、再利用不能であればポンプ47及び弁50を介して配管48により外部に排出される。ここで、第1洗浄籠23上に残留した陽イオン交換樹脂を脱水し、塩酸等で洗浄後、再度第1反応槽21内に戻して再利用する。また、脱水籠45の濾紙上に残留したCaCO3を脱水し、他で再利用することもできる。
【0063】
こうして、この実施形態5では、優れた作業性の下でCaCO3の確保とCO2の固定化とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係り、濾液のCa2+の濃度、濾液のpH及び電気伝導度と陽イオン交換樹脂の添加量との関係を示すグラフである。
【図2】実施形態1に係り、陽イオン交換樹脂の構造式及び模式平面図である。
【図3】実施形態2に係り、濾液のSi4+、Al3+及びCa2+の濃度、濾液のpH及び電気伝導度と陽イオン交換樹脂の添加量との関係を示すグラフである。
【図4】実施形態3の評価1に係り、モルタル廃材粉末の量と吸着率との関係を示すグラフである。
【図5】実施形態3の評価2に係り、水量とCa2+の吸着率との関係を示すグラフである。
【図6】実施形態3の評価3に係り、反応時間とCa2+の吸着率との関係を示すグラフである。
【図7】実施形態4の流れ図である。
【図8】実施形態4の評価2に係り、反応時間と回収率との関係を示すグラフである。
【図9】実施形態4の評価3に係り、Ca2+の吸着率とCaCO3の生成量及び回収率との関係を示すグラフである。
【図10】実施形態4の評価4に係り、第2反応液(塩基物を含む。)のpHとCaCO3の回収率との関係を示すグラフである。
【図11】実施形態4の評価5に係り、CO2濃度とCaCO3の回収率との関係を示すグラフである。
【図12】実施形態4の評価6に係り、攪拌速度とCaCO3の回収率との関係を示すグラフである。
【図13】実施形態4の評価7に係り、超音波の周波数とCaCO3の回収率との関係を示すグラフである。
【図14】実施形態4の評価8に係り、超音波の出力の強弱と使用したアンモニア水の量とCaCO3の回収率との関係を示すグラフである。
【図15】実施形態4の評価9に係り、CO2の流量とCaCO3の回収率との関係を示すグラフである。
【図16】実施形態5の反応装置の模式構成図である。
【符号の説明】
3…第1反応液
4…無機廃材(モルタル廃材粉末、高炉スラグ微粉末)
5…陽イオン交換樹脂
8…第2反応液
14…固体生成物
12…塩基物
1、21…第1反応槽
9、22…第2反応槽
2、23…第1洗浄籠
2、24…第2洗浄籠
25…電気伝導率を計測可能な手段(電気伝導率計)
6、10、26、28…攪拌可能な手段(スターラー)
34…振動可能な手段(超音波発信器)
13…pHを計測可能な手段(pH計)
11、29、30…塩基物を添加可能な手段(11…ピペット、29…ボンベ、30…ポンプ)
35、41、42、43、49、50…弁手段(弁)
38…第1濾液受け槽
46…第2濾液受け槽

Claims (13)

  1. 水を主成分とする第1反応液中に無機廃材と、該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂とを共存させることにより、該陽イオンを該陽イオン交換樹脂に吸着させて該無機廃材から該陽イオンを除去することを特徴とする無機廃材の処理方法。
  2. 水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させ、該陽イオンを該陽イオン交換樹脂に吸着させて該無機廃材から該陽イオンを除去する反応槽を有することを特徴とする無機廃材の処理用反応装置。
  3. 水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させる第1反応槽と、
    水を主成分とする第2反応液及び該第1反応槽によるイオン交換後の該陽イオン交換樹脂を存在させ、該第2反応液に二酸化炭素を泡立たせ得る第2反応槽と、を有し、
    該第1反応槽には該第1反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第1洗浄籠が収納されていることを特徴とする無機廃材の処理用反応装置。
  4. 水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させる第1反応槽と、
    水を主成分とする第2反応液及び該第1反応槽によるイオン交換後の該陽イオン交換樹脂を存在させ、該第2反応液に二酸化炭素を泡立たせ得る第2反応槽と、を有し、
    該第2反応槽には該第2反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第2洗浄籠が収納されていることを特徴とする無機廃材の処理用反応装置。
  5. 水を主成分とする第1反応液、無機廃材及び該無機廃材の陽イオンをイオン交換により吸着可能な陽イオン交換樹脂を共存させる第1反応槽と、
    水を主成分とする第2反応液及び該第1反応槽によるイオン交換後の該陽イオン交換樹脂を存在させ、該第2反応液に二酸化炭素を泡立たせ得る第2反応槽と、を有し、
    該第1反応槽には該第1反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第1洗浄籠が収納され、
    該第2反応槽には該第2反応槽内の該陽イオン交換樹脂を排出可能な第2洗浄籠が収納されていることを特徴とする無機廃材の処理用反応装置。
  6. 第1洗浄籠と第2洗浄籠とは同一のものであることを特徴とする請求項記載の無機廃材の処理用反応装置。
  7. 第1反応槽には第1反応液の電気伝導率を計測可能な手段が設けられていることを特徴とする請求項3又は5記載の無機廃材の処理用反応装置。
  8. 第1反応槽には第1反応液を攪拌又は振動可能な手段が設けられていることを特徴とする請求項3、5又は7記載の無機廃材の処理用反応装置。
  9. 第1反応槽には弁手段を介して濾過した第1反応液を回収可能な第1濾液受け槽が接続され、該第1濾液受け槽内の該第1反応液は該第1反応槽又は外部に供給可能になされていることを特徴とする請求項3、5、7又は8記載の無機廃材の処理用反応装置。
  10. 第2反応槽には第2反応液のpHを計測可能な手段が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の無機廃材の処理用反応装置。
  11. 第2反応槽には第2反応液を攪拌又は振動可能な手段が設けられていることを特徴とする請求項4、5又は10記載の無機廃材の処理用反応装置。
  12. 第2反応槽には第2反応液に塩基物を添加可能な手段が設けられていることを特徴とする請求項4、5、10又は11記載の無機廃材の処理用反応装置。
  13. 第2反応槽には弁手段を介して濾過した第2反応液を回収可能な第2濾液受け槽が接続され、該第2濾液受け槽内の該第2反応液は該第2反応槽又は外部に供給可能になされていることを特徴とする請求項4、5、10、11又は12記載の無機廃材の処理用反応装置。
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