JP3798910B2 - 画像読み書き一体ヘッド、およびこれを備えた画像処理装置 - Google Patents
画像読み書き一体ヘッド、およびこれを備えた画像処理装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、画像読み取り機能と、熱転写方式または感熱方式による画像形成機能を併せ持つ画像読み書き一体ヘッド、およびこれを備えた画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ装置などの画像処理装置においては、画像読み取り機能と画像形成機能とを併せ持つ必要があり、また、画像処理装置の小型化の要請にも応える必要があることから、画像読み取りと画像形成の双方を行うことができる画像読み書き一体ヘッドが提案されている。この種の画像読み書き一体ヘッドとしては、図16に示すような構成のものがある。この図に示された画像読み書き一体ヘッドYは、上部開口10が形成され、この上記開口10に透明カバー2が嵌め込まれたケース1を有し、このケース1の内部には、上記透明カバー2に設定される読み取りラインLを照明するための光源3が配置されている。そして、上記ケース1の下部にはさらに、長手状に形成された基板4が取り付けられており、この基板4の上面4Aおよび下面4Bには、長手方向に列状に並ぶようにして複数個の受光素子4aおよび複数個の発熱素子4bがそれぞれ搭載されている。
【0003】
このように構成された画像読み書き一体ヘッドYを備えた画像処理装置では、原稿送り用のプラテンローラP1 の回転によって上記透明カバー2に密着して読み取り原稿Dが搬送されるが、この過程において原稿Dが上記光源3からの光によって照明される。そして、原稿Dからの反射光は、上記読み取りラインLと上記各受光素子4aの間に配置された集光レンズ5によって集光され、原稿Dの画像が上記受光素子4aの列上に結像される。これにより原稿Dの画像データが得られる。一方、記録紙送り用のプラテンローラP2 の回転によって記録紙Kが上記各発熱素子4bに密着して搬送されるが、この過程において原稿Dの画像データに基づいて選択された適宜の発熱素子4bを発熱させることによって記録紙Kに画像が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記画像読み書き一体ヘッドYでは、基板4の上面4A側に各受光素子4aが搭載されている一方で、基板4の下面4B側に各発熱素子4bが搭載されているため、以下に述べるような不具合が生じる。
【0005】
すなわち、第1に、上記基板4に上記各受光素子4aおよび発熱素子4bを搭載する場合には、たとえば基板4の上面4A側に各受光素子4aを搭載した後に基板4の表裏を逆転させてから基板4の下面4B側に各発熱素子4bを搭載しなければならない。このように、基板4に各種の処理を施すためには、基板4の上下の面4A,4Bのそれぞれに処理を行わなければならず、基板4の一面側にのみ各種の処理を施す場合と比較すれば格段に作業効率が悪い。
【0006】
第2に、上記画像読み書き一体ヘッドYでは、上記ケース1の上部開口10に嵌め込まれた透明カバー2に密着して原稿Dが搬送される一方で、上記基板4の下面4Bに搭載された各発熱素子4bに密着して記録紙Kが搬送されるようになされている。つまり、上記画像読み書き一体ヘッドYを備えた画像処理装置では、原稿送り用のプラテンローラP1 が上記画像読み書き一体ヘッドYの上部に配置される一方で、記録紙送り用のプラテンローラP2 が上記画像読み書き一体ヘッドYの下部に配置されることになる。したがって、上記画像処理装置では、各プラテンローラP1 ,P2 の配置の都合上から、上下寸法を小さくして画像処理装置全体としての小型化を図るのが困難であった。
【0007】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、コスト的に有利に製造でき、画像処理装置の小型化を実現することができるようにすることをその課題としている。
【0008】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
すなわち、本願発明の第1の側面により提供される画像読み書き一体ヘッドは、上部および下部にそれぞれ開口が形成されたケースと、このケースの上部開口を塞ぐ長手状の透明カバーと、上記下部開口を塞ぐようにして取り付けられるとともに複数の受光素子および複数の発熱素子のそれぞれが搭載された基板と、を備えており、上記透明カバーに密着させて搬送される読み取り原稿に光源からの光を照射し、原稿からの反射光を上記複数の受光素子において受光する一方、上記複数の発熱素子のうちの適宜の発熱素子を発熱させることによって記録紙に画像を形成する画像読み書き一体ヘッドであって、上記基板は、幅方向の一側部よりの部位が上記ケースからはみ出すようにして上記ケースの下部に取り付けられており、このはみ出した部位における上面に、上記各発熱素子が長手状に延びるようにして列状に搭載されており、かつ、上記基板における上記発熱素子の列よりも他側部よりの部位の上面に、複数の受光素子が長手状に延びるようにして列状に搭載されていることを特徴としている。なお、受光素子などが搭載される基板とは別体として形成された基板上に上記光源を搭載し、これを上記ケース内に組み込んでもよいし、また受光素子などが搭載された基板上に上記光源を搭載し、これを上記ケース内に組み込んでもよい。この場合には、好ましくは上記基板における上記受光素子の列よりも幅方向の他側部よりの部位の上面に上記光源が搭載される。
【0010】
上記画像読み書き一体ヘッドおいては、上記各受光素子および各発熱素子が上記基板における同一面(上面)上に搭載されており、好ましくは上記光源も上記基板における同一面上に搭載される。このように、上記画像読み書き一体ヘッドでは、従来のように上記基板の表裏を逆転させずとも、上記基板に各受光素子および各発熱素子を搭載することができ、さらに光源を搭載することもできる。また、上記各発熱素子を駆動するための駆動ICや所定の配線パターンなどを上記基板上に搭載し、形成する必要があるが、上記各受光素子および各発熱素子が同一面上に搭載されていることから、駆動ICや配線パターンも上記基板における同一面上に搭載され、形成される。このように、上記画像読み書き一体ヘッドでは、上記基板の同一面に対して各種の処理を施したものを採用することができるため、従来に比べて画像読み書き一体ヘッドの製造効率の改善が図られる。
【0011】
また、上記構成の画像読み書き一体ヘッドを画像処理装置に組み込んだ場合には、上記透明カバーに密着させて原稿を搬送させるための原稿用プラテンローラが上記透明カバー(ケース)の上方に配置される一方、上記基板の上面に搭載された発熱素子の列に密着させて記録紙を搬送させるための記録紙用プラテンローラが、上記基板のはみ出した部位の上方(ケースの側方)に配置されることになる。このため、本願発明の画像読み書き一体ヘッドを組み込んだ画像処理装置では、記録紙用プラテンローラが上記ケースの側方に配置されているので、従来のような上記ケースの上方および下方に原稿送り用および記録紙用プラテンローラがそれぞれ配置された構成と比較すれば、画像処理装置の厚み方向の寸法を格段に小さくすることができる。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記透明カバーは、上記基板における幅方向の一側部に向かう方向ほど、上記基板からの距離が大きくなる傾斜状に配置されている。
【0013】
上記画像読み書き一体ヘッドでは、上記透明カバーが上記基板の一側部に向かう方向ほど、上記基板からの距離が大きくなるように傾斜して配置されている。すなわち、上記透明カバーは、記録紙用プラテンローラ側(基板の一側部に向かう方向側)の方が、上記基板の他側部側方向よりも高くなるようになされている。このような構成では、上記透明カバーが上記基板に対して平行とされた構成よりも、原稿用プラテンローラの回転中心(回転軸)が、記録紙用プラテンローラからより大きく退避することになる。すなわち、本願発明の画像読み書き一体ヘッドでは、原稿用プラテンローラと記録紙用プラテンローラとの距離を大きく確保することができる。このようにして上記各プラテンローラの距離を大きく設定できれば、たとえ原稿送りと記録紙送りとを同時に行ったとしても、原稿と記録紙とが互いに干渉して原稿送りや記録紙送りがスムースに行えないといった事態は生じにくくなるといった利点が得られる。
【0014】
好ましい実施の形態においてはさらに、上記ケースにおける上記基板の一側よりの側面は、その上端部が下端部よりも上記基板の他側部に向かう方向側に変移している。
【0015】
上記構成では、上記ケースにおける基板の一側よりの側面の上端部が下端部よりも上記基板の他側部に向かう方向側に変移するようにして上記ケースの形状が設計されている。すなわち、上記ケースの形状を工夫することによって、上記ケースの上端部が、記録紙用プラテンローラが配置される上記基板の一側部から退避するようになされている。上記ケースの上端部には、上記透明カバーが配置されることから、結局、上記透明カバー、ひいては原稿用プラテンローラが記録紙用プラテンローラから退避するようになされている。したがって、このような構成においても、原稿用プラテンローラと記録紙用プラテンローラとの距離を大きく確保することができる。
【0016】
好ましい実施の形態においてはさらに、上記ケース内における上記透明カバーと上記受光素子の列との間には、原稿からの反射光を各受光素子上に集束するための光学レンズが配置されており、この光学レンズは、上記基板の幅方向の他側部に向かう方向側に傾倒した状態で上記ケース内に配置されている。
【0017】
上記画像読み書き一体ヘッドにおいては、原稿の読み取りライン(透明カバー)と受光素子の間に上記光学レンズが配置されている。言い換えれば、上記受光素子と光学レンズとを結ぶ直線上に読み取りラインが設定され、同直線上に原稿用プラテンローラが配置される。このため、上記光学レンズが上記基板の幅方向の他側部に向かう方向側に傾倒した構成では、上記受光素子の直上よりも上記基板の幅方向の他側部側に変移した部位に読み取りラインが設定され、原稿用プラテンローラが配置されることになる。上述したように、上記基板の幅方向の一側部よりの部位が上記ケースからはみ出し、このはみ出し部分の上面に各発熱素子が形成された構成では、記録紙用プラテンローラが上記ケースの側方に配置されることから、原稿用プラテンローラと記録紙用プラテンローラとが比較的離間して配置されることになる。したがって、この画像読み書き一体ヘッドにおいても、上記各プラテンローラの間の距離を大きく確保して、原稿と記録紙とが互いに干渉することなく、スムースに原稿送りや記録紙送りを行うことができるようになる。
【0018】
また、上記光学レンズを傾斜状とすれば、上記ケースの厚み寸法を大きくすることなく読み取りラインと上記受光素子との距離(原稿からの反射光の光路長)を大きく確保することができ、読み取り画像の質を高めることができるといった利点が得られる。
【0019】
本願発明の第2の側面により提供される画像処理装置は、上述した第1の側面において記載した画像読み書き一体ヘッドを備えたことを特徴としており、好ましくは、所定の筐体内に、上記画像読み書き一体ヘッドが組み込まれており、かつ、上記透明カバーに密着させて読み取り原稿を搬送するための原稿用プラテンローラと、上記発熱素子の列に密着させて記録紙を搬送するための記録紙用プラテンローラとをさらに備えていることを特徴としている。
【0020】
上記画像処理装置においては、上述した第1の側面において記載された画像読み書き一体ヘッドを備えていることから、上述した第1の側面において記載した画像読み書き一体ヘッドの利点を享受することができる。すなわち、上記画像処理装置の厚み寸法を小さくしつつ、原稿と記録紙を干渉させることなくこれらを同時に搬送することができ、また読み取りラインと受光素子との間を比較的に大きく確保して読み取り画像の質を高めることができるといった利点を享受することができる。
【0021】
好ましい実施の形態においては、上記筐体は、この筐体に形成された開口を介して筐体の内部が臨む開放状態と、上記開口が閉塞された閉鎖状態とを選択可能とする開閉自在な蓋体をさらに有している。
【0022】
上記構成によれば、上記開口が開放した状態を選択すれば上記筐体の内部が臨んでいることから、上記開口から筐体内に組み込まれた各種の装置や部材などの交換や修理を容易に行うことができる。
【0023】
好ましい実施の形態においてはさらに、上記画像読み書き一体ヘッドは、上記筐体に形成された上記開口を介して外部に臨むようにして上記筐体内に組み込まれており、この場合には、上記画像読み書き一体ヘッドを、その幅方向の一側部または他側部もしくはこれらの近傍を支点として上記筐体に対して相対的に回動可能とすることにより、上記透明カバーが上記原稿用プラテンローラに対して当接する状態と離間する状態とを選択可能とするのが好ましい。
【0024】
上記記録紙としては、カット紙あるいはロール状とされた連続紙(ロール紙)のいずれでもよいが、一般家庭においては汎用されている画像処理装置ではロール紙が使用されることが多い。ロール紙を採用した画像処理装置では、上記画像読み書き一体ヘッド(発熱素子の列)の近傍にロール紙が配置されることが多いことから、上記蓋体を開けることによってロール紙が臨むように構成することもできる。この場合には、上記蓋体を開けるといった簡易な作業によってロール紙の交換を行うことができる。また、上記蓋体を開けた状態において、上記画像読み書き一体ヘッドによってロール紙が隠されてしまうような場合であっても、上記画像読み書き一体ヘッドが回動自在とされていれば上記画像読み書き一体ヘッドを回動させることによってロール紙の交換を容易に行うことができる。もちろん、紙詰まりなどが生じた場合にも、上記蓋体を開けることによって、あるいはさらに上記画像読み書き一体ヘッドを回動させることによって容易に対応することができる。
【0025】
好ましい実施の形態においては、上記画像読み書き一体ヘッドは、上記記録紙用プラテンローラの回転軸を支点として回動可能とされる。たとえば、上記画像読み書き一体ヘッドの一側部よりの部位に、上記記録紙用プラテンローラ側に突出するとともに、上記記録紙用プラテンローラの回転軸側に開放した切欠を有するフランジ片を形成し、上記切欠内に上記回転軸が遊挿した状態で上記画像読み書き一体ヘッドを上記筐体内に組み込むことによって上記画像読み書き一体ヘッドが上記筐体に対して上記回転軸を支点として相対的に回動可能な構成が採用される。この構成では、上記画像読み書き一体ヘッドを回動させるための回動軸を上記記録紙用プラテンローラの回転軸が兼ねていることから、回動軸を別途設ける必要はなく、コスト的にも、上記筐体内のレイアウト的にも有利である。
【0026】
好ましい実施の形態においてはさらに、上記画像読み書き一体ヘッドは、その幅方向の一側部および/または他側部が上記各プラテンローラに対して相対的に上記画像読み書き一体ヘッドの厚み方向に移動可能とされている。
【0027】
この構成では、上記画像読み書き一体ヘッドの幅方向の一側部および/または他側部がそれぞれのプラテンローラに対して相対的に進退可能とされている。たとえば、上記画像読み書き一体ヘッドの幅方向の一側部および/または他側部を上記画像読み書き一体ヘッドの厚み方向に適宜移動させることによって、あるいは上記各プラテンローラを上記画像読み書き一体ヘッドの厚み方向に移動させることによって上記画像読み書き一体ヘッドの幅方向の一側部および/または他側部がそれぞれのプラテンローラに対して相対的に進退可能とされている。言い換えれば、上記透明カバーに対する上記原稿用プラテンローラの押圧力や上記発熱素子の列に対する上記記録紙用プラテンローラの押圧力を、適宜の手段(押圧力調整手段)を採用することによって所望のものとすることができる。
【0028】
本願発明の画像処理装置においては、画像形成方式としていわゆる感熱方式あるいは熱転写方式が採用されていることから、記録紙を良好に上記発熱素子の列に押圧する必要があるため、上記記録紙用プラテンローラを上記発熱素子の列に対して比較的に大きな力(たとえば2kg重)で押圧する必要がある。一方、原稿を余りに大きな力で上記透明カバーに密着させて搬送すれば透明カバーに傷がつくなどの弊害が生じることから、原稿用プラテンローラは、上記透明カバーをさほど大きな力で押圧する必要はなく、その押圧力はたとえば0.5kg重とされる。このように、上記各プラテンローラによって透明カバーあるいは発熱素子の列を押圧する力をそれぞれ同一なものとするよりもむしろ、積極的に異なったものとされることから、上記画像読み書き一体ヘッドの幅方向の端部を厚み方向に移動可能として各プラテンローラの透明カバーや発熱素子の列に対する押圧力を所望のものとできることによる利点は大きい。
【0029】
上記押圧力調整手段としては、上記基板を上記各プラテンローラ側に押圧する押圧部材を有するものが好適に採用される。
【0030】
上記押圧部材は、たとえば上記蓋体に一体的に取り付けられ、あるいは上記画像読み書き一体ヘッドの基板の裏面側から突出状に取り付けられるが、これを構成する素材や大きさあるいは配置部位などを適宜選択することによって各プラテンローラが透明カバーや発熱素子の列を押圧する力を所望のものとすることができる。すなわち、たとえば上記押圧部材を、上記基板の幅方向におけるそれぞれの端部よりの部位を押圧するようにして上記基板の幅方向に2つ配置してもよく、また上記基板における幅方向の両端部にそれぞれ所望の割合で力が作用するように選択された上記基板の幅方向における所定の部位を押圧するようにして上記基板の幅方向に1つ配置してもよい。もちろん、上記基板の長手方向に配置される押圧部材の個数に特に限定はなく、1個でも複数個でもよい。
【0031】
前者の場合には、上記基板の幅方向における両端部のそれぞれを押圧するようにして上記押圧部材が配置されていることから、たとえば各押圧部材の弾性率(硬さ)や大きさ(たとえば長さ)を適宜選択すれば上記基板の両端部をそれぞれ所望の力で押圧することができる。後者の場合には、主に上記押圧部材による押圧部位を選択することによって上記基板の両端部をそれぞれ所望の力で押圧することができる。たとえば、上記基板の幅方向における他側部に作用させる力を1とし、基板の一側部に作用させる力を4とする場合には、上記基板の幅方向の一側部からみて上記基板を1対4に内分する部位を押圧するようにして上記押圧部材が配置される。
【0032】
なお、上記押圧部材は、好ましくは弾性部材によって構成される。この弾性部材としては、たとえばコイルバネ、板バネ、あるいはゴム、ウレタン、発泡プラスチックなどのエラストマーなどが挙げられる。
【0033】
好ましい実施の形態においてはまた、上記画像読み書き一体ヘッドは、上記蓋体に一体的に取り付けられている。この構成では、上記蓋体を開ければ上記画像読み書き一体ヘッドを上記筐体から取り除いた状態での筐体内部が臨むことになる。したがって、記録紙としてロール状とされたものが用いられ、この記録紙ロールが上記画像読み書き一体ヘッドに隣接して配置されている場合には、上述した画像読み書き一体ヘッドが回動自在とされた構成と同様に記録紙ロールを交換を容易に行うことができ、また紙詰まりに容易に対応できるといった利点がある。
【0034】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0036】
図1は、本願発明に係る画像読み書き一体ヘッドの分解斜視図であり、図2は、上記画像読み書き一体ヘッドの断面図である。なお、これらの図において、従来例を説明するために参照した図面に表されていた部材および部分などと同等なものには同一の符号を付してある。
【0037】
図1および図2に示したように、上記画像読み書き一体ヘッドXは、上下に開口10,15が形成されたケース1と、ガラス板など透明カバー2と、長矩形状の基板4と、細長状とされたレンズアレイ5(光学レンズ)とを備えて大略構成されている。
【0038】
上記ケース1は、主走査方向に長手状に延びるようにして上記各開口10,15に繋がる内部空間12が形成されて、全体として一定方向に延びた細長な箱状とされている。そして、上記ケース1の長手状の1つの側面1aがテーパ状に形成されて、上記ケース1の上部に向かうほど幅細となるような形状とされている。また、上記側面1a側の上下寸法が大きくなされて上部開口面が傾斜している。上記ケース1にはさらに、上記内部空間11に併設して上記上部開口10に繋がる長手状の嵌合溝16が形成されており、この嵌合溝16の下方には、この嵌合溝16および上記下部開口15のそれぞれと繋がる空間室11が形成されている。
【0039】
このような形状のケース1は、たとえばポリカーボネイトに酸化チタンを含有させた白色系の樹脂材料を用いた金型成形によって形成されており、このケース1の表面の各所は光の反射率の高い(光反射率が97%ないし98%程度)白色系とされている。すなわち、上記内部空間12の内壁面12a,12bも光反射率の高い反射面とされている。この内部空間12は、光源3から発せられた光が進行する空間であり、この内部空間12を進行する光は上記内壁面12a,12bにおいて反射しつつ進行する。このため、上記内壁面12a,12bが光反射率の高いものとされていれば、光源3から発せられた光を上記内壁面12a,12bにおいて高い反射率で反射させながら、それらの光を読み取りラインLに効率良く導くことができ、光源3から発せられた光が進行する際の光のロスを少なくすることができる。
【0040】
上記空間室11には、黒色の樹脂によって形成された黒色部材6が設けられており、これによって上記空間室11の内壁面11aが上記黒色部材6によって覆われた恰好とされている。この黒色部材6は、一定方向に延びる細長状とされており、その一般断面は下向きに開放した略コの字状とされている。すなわち、それぞれ長さの異なる左右2つの立ち上がり部61,62と、これらの立ち上がり部61,62を繋ぐテーパ状の基部60とを有している。また、上記基部60には、上記レンズアレイ4を通過した光が上記空間室11に到達できるように、上下に貫通する貫通孔63が形成されており、この基部60にはさらに、上方に突出する突起64が長手方向に一定間隔で複数設けられている。
【0041】
このような形状の黒色部材6は、ABS樹脂などの黒色の樹脂材料を金型成形するなどして形成されており、その表面の各所は光反射率の極めて低くなるようになされている。このため、上記黒色部材6を設けた場合に形成される上記空間室11の内壁面60は、上記黒色部材6によって光反射率の低い光吸収面とされている。なお、この黒色部材6は、上記各突起64を上記空間室11の上部に形成された突起に嵌合させることによって装着される。
【0042】
もちろん、上記光吸収面は、上記空間室11の内壁面11aに塗着形成された黒色系の塗装膜、または上記空間室11の内壁面11aに接着された黒色系のシートもしくはフィルムによって構成することもできる。また、上記ケース1を黒色形の樹脂によって形成した場合には、上記光吸収面60を別途設ける必要はない。
【0043】
上記透明カバー2は、上記上部開口10に嵌め込まれるが、上部開口面が傾斜していることから、上記透明カバー2を嵌め込んだ状態では、上記透明カバー2も傾斜させられている。また、上記画像読み書き一体ヘッドXを画像処理装置(図示略)に組み込んだ状態では、上記透明カバー2に対向する位置に図示しない駆動力によって回転自在とされたプラテンローラP1 が配置される。すなわち、このプラテンローラP1 が回転することによって、原稿Dが上記透明カバー2と上記プラテンローラP1 との間に挟まれた恰好で、上記原稿Dが上記透明カバー2に密着した状態で搬送される。なお、上記原稿Dの搬送は、上記プラテンローラP1 の回転を制御することによって間欠移送および連続移送のいずれをも選択可能であるが、本実施形態ではいずれの移送方法を採用してもよい。
【0044】
一方、上記ケース1の下部には、上記下部開口15を塞ぐようにして上記基板4が嵌め込まれているが、この基板4の幅方向の一側部42側は、平面視において上記ケース1の側部からはみ出すようになされている。
【0045】
上記基板4のはみ出した部位、すなわち上記基板4の幅方向の一側部42よりの部位の上面には、長手方向に延びるようにして発熱抵抗体40が形成されている。一方、上記基板4の他側部43よりの部位には、複数個の光源3が上記基板4の長手方向に列状に並ぶようにして実装されており、これらの光源3に併設して複数のイメージセンサチップ4aが列状に実装されている。
【0046】
上記発熱抵抗体40は、たとえば酸化ルテニウムなどを導体成分とする厚膜抵抗ペーストを印刷・焼成することによって形成されている。この発熱抵抗体40は、図示しない個別電極や共通電極などの配線パターンによって電気的に分断されて複数の発熱素子(4b)が列状に形成されたような恰好とされており、各発熱素子4bは上記基板4に実装された複数個の駆動IC8によって個別に発熱駆動させられる。
【0047】
上記各イメージセンサチップ4aは、上記基板4を上記ケース1に取り付けた場合には、上記ケース1に形成された空間室11内に収容されるようになされている。すなわち、上記空間室11を覆うようにして上記黒色部材6が設けられていることから、上記イメージセンサチップ4aの列は上記黒色部材6の基部60および各立ち上がり部61,62によって囲まれることになる。上記黒色部材6は、その表面の各所が光の反射率の低い面とされていることから、上記イメージセンサチップ4aは光吸収面によって囲まれることになる。このため、上記空間室11内において光が乱反射してしまうといった事態が適切に防止され、乱反射光の多くが上記各イメージセンサチップ4aに入射してしまうといった事態が回避される。したがって、上記黒色部材6を設けることによって、上記ケース1全体を白色系の樹脂によって形成したことに起因して読み取り画像の解像度が低下したり、あるいは原稿画像の再現性が低下したりすることを回避される。
【0048】
なお、上記画像読み書き一体ヘッドXがA4幅の原稿Dを8ドット/mmの読み取り密度で読み取るように構成されている場合には、1728個の受光素子を読み取り幅方向に配置させる必要があるが、たとえば96個の受光素子を造り込んでイメージセンサチップ4aを構成すれば、上記基板4上には計18個のイメージセンサチップ4aが実装される。
【0049】
また、上記画像読み書き一体ヘッドXが、原稿Dの画像を白黒に読み取るように構成されている場合には、上記光源3としてはLEDなどが用いられ、また、上記画像読み書き一体ヘッドXがA4幅の原稿Dを読み取るように構成されている場合には、上記光源3がたとえば14個実装される。もちろん、赤色、緑色および青色の光をそれぞれ発するLEDなどの光源を使用して、あるいは白色の光を発する光源を使用して原稿Dの画像をカラーに読み取るように構成してもよい。
【0050】
上記レンズアレイ5は、主走査方向に延びるブロック上のレンズホルダ50に、複数個のセルフォックレンズ51を列状に保持させたものである。このレンズアレイ5は、上記ケース1に形成された嵌合溝16に嵌合保持され、上記透明カバー2に設定された読み取りラインLとイメージセンサチップ4aの列との間に配置されている。上記嵌合溝16は、上記ケース1の主走査方向に延びる長手状に形成されているとともに、テーパ状とされた上記ケース1の側面1に対して断面視において平行状となるようにして形成されている。すなわち、上記嵌合溝16に上記レンズアレイ5が保持された状態では、上記レンズアレイ5が上記基板の幅方向の他側部43側に傾倒したような恰好とされている。
【0051】
このレンズアレイ5においては、透明カバー2に密着させて搬送される原稿Dから反射してくる光が上記イメージセンサチップ4aの列上に集光され、上記各イメージセンサチップ4aの受光素子には原稿Dの画像が正立等倍に結像する。そして、上記レンズアレイ5が傾斜状とされていることから、同じ厚み寸法を有するケース1内に直立状にレンズアレイ5が保持される場合と比較すれば、読み取りラインLとイメージセンサチップ4aとの間の距離を大きく確保することができるため、読み取り画像の質を高めることができる。
【0052】
なお、上記実施形態では、空洞とされた内部空間12内を光源3から発せられた光が読み取りラインLに向かって進行するように構成された画像読み書き一体ヘッドXについて説明したが、上記ケース1の形状を工夫してプラテンローラP1 をプラテンローラP2 から退避させるといった技術思想は、その他の構成の画像読み書き一体ヘッドXにも適用することができる。すなわち、図3に示すように、ケース1の内部空間11内に、上記光源3から発せられた光を読み取りラインLに効率良く導くための透明の導光部材7が収容された構成の画像読み書き一体ヘッドXにも適用することができる。
【0053】
また、図4に示したように、上記透明カバー2を上記基板4に対して平行になるように配置し、上記ケース1におけるプラテンローラP2 との対向面1aをテーパ状に構成した画像読み書き一体ヘッドXも本願発明の適用範囲である。この場合にも、上記対向面1aが傾斜しているために上記ケース1の上部(透明カバー)を上記プラテンローラP2 から退避させることができる。もちろん、上記ケース1におけるプラテンローラP2 との対向面1aを垂直状にし、上記透明カバー2を傾斜状に配置した構成のものも本願発明の適用範囲である。
【0054】
以上に説明した画像読み書き一体ヘッドXは、たとえば所定の筐体内に組み込まれて画像処理装置を構成するが、上記画像処理装置を組み込んだ画像処理装置の一例を図5に示す。
【0055】
図5に示すように、上記画像処理装置9は、たとえば樹脂製などの筐体90内に上記画像読み書き一体ヘッドXがそのケース1が下方に突出するような恰好で組み込まれている。上記筐体90は、上部に開口91を有しており、この開口91を介して筐体90の内部が臨む開放状態(図5に仮想線で示した状態)と、上記開口が閉塞された閉鎖状態(図5に実線で示した状態)とを選択可能とする開閉自在な蓋体92をさらに有している。また、上記筐体90内には、2つのプラテンローラP1 ,P2 が回転自在に配置されており、上記画像読み書き一体ヘッドXを組み込んだ状態では、一方のプラテンローラP1 (原稿用プラテンローラ)が上記画像読み書き一体ヘッドXの透明カバー2に当接しており、他方のプラテンローラP2 (記録紙用プラテンローラ)が画像読み書き一体ヘッドXの発熱抵抗体40に当接している。
【0056】
また、図6および図7に良く表れているように、上記画像読み書き一体ヘッドXは、上記基板4の長手方向の両端部42,43に取り付けられた一対のフランジ片48介して上記記録紙用プラテンローラP2 の回転軸pを支点として回動可能とされている。上記各フランジ片48は、L字状に屈曲形成されており、その先端部48Aに切欠48Aが形成されている。このような構成のフランジ片48は、その基端部48Bが上記基板4の幅方向の一側部42における長手方向のそれぞれの端部に接合されて、上記各フランジ片48の先端部48A側が上記基板4から上記記録紙用プラテンローラP2 側に突出した恰好とされている。そして、上記各フランジ片48のそれぞれの切欠48a内に上記録紙用プラテンローラP2 の回転軸pが遊挿されて上記各フランジ片48幅方向の移動が制限された恰好で筐体90内に画像読み書き一体ヘッドXが組み込まれている。これにより、画像読み書き一体ヘッドXが上記回転軸pを支点として回動可能とされている。
【0057】
また、上記画像読み書き一体ヘッドXに何らの外力を加えていない状態では、上記画像読み書き一体ヘッドXは自重のみによって上記各プラテンローラP1 ,P2 に当接した恰好とされており、本願発明では、この状態において上記回転軸pが上記各切欠48aの最深部に達しないようになされている(図6および図7参照)。このため、上記基板4(画像読み書き一体ヘッドX)の幅方向の一側部42が上記記録紙用プラテンローラP2 に対して退避可能とされているのはもちろんのこと、上記各切欠48aの最深部に達するまで上記記録紙用プラテンローラP2 側に近づくことができ、結局、上記基板4の一側部42が上記基板4の厚み方向に移動可能とされている。そして、上記画像読み書き一体ヘッドXが上記記録紙用プラテンローラP2 の回転軸pを支点として回動自在とされていることから、上記基板4(画像読み書き一体ヘッドX)の幅方向の他側部43が上記原稿用プラテンローラP1 に対して退避可能とされている。また、上記基板4の他側部43は、上記原稿用プラテンローラP1 の表面の弾性によってある程度は他側部43が上記原稿用プラテンローラP1 側に近づくことができる。このように、上記基板4(画像読み書き一体ヘッドX)は、幅方向の一側部42および他側部43が各プラテンローラP1 ,P2 に対して進退可能とされている。
【0058】
なお、上記記録紙用プラテンローラP2 および/または原稿用プラテンローラP1 を画像処理装置9の厚み方向に上下動可能とし、これにより上記基板4(画像読み書き一体ヘッドX)の一側部および/または他側部を上記記録紙用プラテンローラP2 および/または原稿用プラテンローラP1 に対して相対的に進退可能なように構成してもよい。
【0059】
このようにして画像読み書き一体ヘッドXの幅方向の一側部42および他側部43が厚み方向に移動可能とされていることから、上記基板4の裏面側から外力作用させることによって上記原稿用プラテンローラP1 が透明カバー2を押圧する力や上記記録紙用プラテンローラP2 が発熱抵抗体40を押圧する力を容易に調整して所望のものとすることができる。本実施形態では、コイルバネにより構成された押圧部材71,72によって各プラテンローラP1 ,P2 が透明カバー2や発熱抵抗体40を押圧する力を調整している。
【0060】
上記各押圧部材71,72は、たとえば上記蓋体92に一体的に設けられ、あるいは上記基板4の裏面側に一体的に設けられて、上記蓋体92を閉じた状態において上記各押圧部材71,72によって上記基板4の裏面側から上記画像読み書き一体ヘッドXを各プラテンローラP1 ,P2 に圧し付けるような恰好としている。具体的には、上記基板4の幅方向には2つの押圧部材71,72が設けられ、これらの押圧部材71,72が上記基板4の幅方向の両端部42,43からそれぞれ押圧するようにして配置されている。上記基板4の長手方向に関しては、上記各押圧部材71,72の配置個数は特に限定されず、適宜その配置個数を選択すればよい。また、上記各プラテンローラP1 ,P2 が透明カバー2や発熱抵抗体40を押圧する力の調整は、上記各押圧部材71,72の長さや硬さ(たとえばバネ定数)を適宜選択することによって、あるいは押圧部材71,72の配置を選択することによって行われる。上記したように、上記発熱抵抗体40には上記透明カバー2よりも大きな力で記録紙用プラテンローラP2 を押圧する必要があることから、上記記録紙用プラテンローラP2 側(基板4の一側部42側)を押圧する押圧部材71は、原稿用プラテンローラP1 (基板4の他側部43側)を押圧する押圧部材72よりもバネ定数が大きい(硬い)あるいは長いコイルバネが用いられる。このように、上記構成では、上記蓋体92を閉じておくといった通常の使用状態において、各プラテンローラP1 ,P2 が上記透明カバー2や上記発熱抵抗体40を押圧する力が所望のものとなるようになされている。
【0061】
なお、上記各押圧部材71,72を構成する材料としては、コイルバネの以外の弾性部材、たとえば板バネ、あるいはゴム、ウレタン、発泡プラスチックなどのエラストマーなどが好適に使用される。もちろん、図8に示したように、押圧部材73を上記基板4の幅方向に1つだけ配置されるようにし、この押圧部材73の配置位置を適宜選択することによって各プラテンローラP1 ,P2 が上記透明カバー2や上記発熱抵抗体40を押圧する力を適宜調整することができる。すなわち、上記発熱抵抗体40を上記透明カバー2よりも大きな力で押圧する場合には、上記基板2の幅方向の中心よりも一側部42よりの部位を押圧するように上記押圧部材73が配置され、より具体的な配置場所は、各プラテンローラP1 ,P2 のそれぞれが上記透明カバー2や発熱抵抗体40を押圧する力の割合に応じて、また上記透明カバー2の傾斜角度などに応じて適宜選択される。
【0062】
このように構成された画像処理装置9では、画像読み取り機能と画像記録機能を併有している。たとえば、原稿Dの画像を読み取り動作は、以下のようにして行われる。すなわち、まず、読み取り対象となる原稿Dを上記画像処理装置9の背面90aに形成された原稿搬入口90Aから投入する。この原稿Dは、紙送りローラ93によって所定の搬送経路に沿って搬送され、原稿用プラテンローラP1 の配置位置にまで達する。そして、上記原稿用プラテンローラP1 と上記透明カバー2の間に挟持されるような恰好とされ、原稿用プラテンローラP1 の反時計周り方向の回転によって上記透明カバー2に密着して搬送される。このとき、上記光源3からの光によって原稿Dの読み取りラインLが照明され、原稿Dからの反射光が上記レンズアレイ5によって集光された後に、イメージセンサチップ4a上に原稿Dの画像が結像される。このイメージセンサチップ4aでは、受光された光の光量に応じて出力レベルのアナログ信号が出力されるが、この信号は図示しないコネクタからケーブルを介して画像読み書き一体ヘッドXの外部に取り出されて、1ライン分の画像が読み取られたことになる。原稿DはプラテンローラP1 によって図中の矢印方向に1ライン分づつ次々に間欠的に送られ、あるいは連続的に送られて、同様な読み取り動作が次々と行われて原稿D全体の画像が読み取られる。なお、読み取りの終了した原稿Dは、紙送りローラ94によって搬送されて上記画像処理装置9の前面90bに形成された排出口90Bから排出される。
【0063】
一方、記録紙Kに画像を記録する場合には、上記画像処理装置9の前部側に配置され、ロール状とされた記録紙K(ロール紙R)が所定の搬送経路に沿って記録紙用プラテンローラP2 の配置位置にまで搬送される。記録紙Kは、上記記録紙用プラテンローラP2 と上記発熱抵抗体40の間に挟持されるような恰好とされ、記録紙用プラテンローラP2 の時計周り方向の回転によって上記発熱抵抗体40に密着して搬送される。そして、画像読み書き一体ヘッドXの外部からは、上記各駆動IC8に画像データが入力される。これらの駆動IC8は、上記基板4に形成された配線パターン(図示略)によってコネクタと導通させられているため、外部からの画像データは、ケーブル、コネクタおよび配線パターンを介して上記各駆動IC8に入力される。各駆動IC8に入力された画像データに基づいて駆動すべき発熱素子を選択し、選択された発熱素子に通電してそれを発熱させる。これにより、記録紙Kには1ライン分の画像が記録される。記録紙Kは記録紙用プラテンローラP2 によって図中の矢印方向に1ライン分ずつ次々と間欠的に送られ、あるいは連続的に送られて、同様な記録動作が次々と行われ、紙送りローラ95によって搬送されて最終的には上記画像処理装置9の前面90bに形成された排出口90Cから排出される。
【0064】
ところで、上記した画像読み取り動作および画像記録動作は、それぞれ単独で行われることもあるが、これらの動作が同時に行われる場合がある。この場合には、原稿用プラテンローラP1 における原稿送りと記録紙用プラテンローラP2 による記録紙送りとが同時に行われることになるため、原稿Dと記録紙Kとが干渉して原稿Dや記録紙Kの送りをスムースに行うことができないといった事態が生じかねない。上記ケース1における上記プラテンローラP2 と対向する面1aが傾斜とされて、上記ケース1の上部が上記プラテンローラP2 から退避した恰好とされているため、上記各プラテンローラP1 ,P2 の大きく離間させることができる。さらに、上記透明カバー2が上記プラテンローラP2 から離間した側が下方に沈んだ傾斜状に配置されていることから、これによっても上記各プラテンローラP1 ,P2 が大きく離間させられている。すなわち、透明カバー2が基板に対して平行になされている場合と比較すれば明らかなように、上記のようにして透明カバーを傾斜させた場合には、プラテンローラP1 の回転中心が、プラテンローラP2 からより大きく退避することとなり、各プラテンローラP1 ,P2 の間の距離を大きく確保することができる。このように、上記画像処理装置9では、上記原稿用プラテンローラP1 と記録紙用プラテンローラP2 の距離が大きく確保されているため、原稿Dと記録紙Kが干渉せずに原稿Dや記録紙Kの送りをスムースに行えるようになされている。
【0065】
また、上記画像処理装置9では、上記発熱抵抗体40に密着するようにして上記基板4の上面側にプラテンローラP2 が配置される。このため、図16を参照して説明した従来の画像読み書き一体ヘッドY、すなわち上記ケース1の上方および下方のそれぞれに各プラテンローラP1 ,P2 が配置された画像処理装置と比較すれば、本実施形態の画像処理装置9では、その上下寸法を格段に小さくすることができる。
【0066】
なお、上記画像処理装置9では、上記画像読み書き一体ヘッドXがケース1が上記基板4から下方に突出するような恰好で、しかも上記記録紙用プラテンローラP2 の回転軸pを支点として回動自在に上記筐体90内に組み込まれていたが、上記画像読み書き一体ヘッドXを上記基板4から上方に上記ケース1が突出するような恰好で上記筐体90内に組み込んでもよく、また上記画像読み書き一体ヘッドXを必ずしも回動自在とする必要はない。もちろん、上記画像読み書き一体ヘッドXを回動自在に上記筐体90内に組み込む場合には、上記した手段以外によって上記画像読み書き一体ヘッドXを回動自在としてもよい。
【0067】
また、上記原稿の送りや記録紙の送り方向は、すなわち上記各プラテンローラP1 ,P2 やロール紙Rあるいは画像読み書き一体ヘッドXの配置などは、上述した実施形態のものには限定されず、たとえば図9ないし図15に例示したように種々に変更可能である。
【0068】
図9に示した画像処理装置9では、上記基板4から上方側に上記ケース1が突出し、基板4のはみ出し部分(一側部42)が上記画像処理装置9の前面90b側に突出するような恰好で上記画像読み書き一体ヘッドXが組み込まれている。そして、上記原稿用プラテンローラP1 に隣接して、これよりさらに前面90b側にロール紙Rが配置されている。すなわち、上述した実施形態において画像読み書き一体ヘッドXの上下を反転させた状態で上記画像読み書き一体ヘッドXが上記筐体90内に組み込まれた恰好とされている。この構成では、上記ロール紙Rの下部側から記録紙Kが引き出され、これが上記画像処理装置9の上面90cにおける前部よりの部位から排出されるようになされている。一方、原稿Dは、たとえば上記画像処理装置9の背面90a側あるいは筐体90の上面90c後部側から投入され、記録紙Kに隣接して設けられた排出口から排出される。また、図10に示したように、各プラテンローラP1 ,P2 、ロール紙R、画像読み書き一体ヘッドXの配置を図9に示したものと同様とし、ロール紙Rの上部から記録紙Kが引き出されるようにして、印字の終了した記録紙Kが上記画像読み書き一体ヘッドXの前面90bから排出されるように構成してもよい。
【0069】
図11に示すように、図9に示した構成において、各プラテンローラP1 ,P2 、ロール紙R、および画像読み書き一体ヘッドXの配置を前後反転させてもよい。この場合には、たとえばロール紙Rが上記画像処理装置9の後部側に配置され、ロール紙Rの下部から記録紙Kが引き出される。そして、記録紙用プラテンローラP2 が時計周り方向に回転して印字の終了した記録紙Kが上記筐体90の上面90cにおける後方側から排出される。一方、記録紙Kの排出部位に隣接した部位から原稿Dが搬入され、原稿用プラテンローラP1 が時計周り方向に回転して上記画像処理装置9の前面90bから原稿Dが排出される。もちろん、図12に示したようにロール紙Rの上部から記録紙Kを引き出すように構成してもよい。この構成において、図13に示すように記録紙用プラテンローラP2 を反時計周り方向に回転させて記録Kを上記筐体90の背面90a側から搬出するように構成することもできる。
【0070】
また、上記画像読み書き一体ヘッドXとロール紙Rとを比較的離して配置してもよい。たとえば図14に示したように、ロール紙Rを上記筐体90の前面90b側に配置するとともに、上記画像読み書き一体ヘッドXを中央部ないし背面90a側に配置してもよい。同図に例示した構成では、ケース1が基板4の上方に突出し、はみ出し部分(一側部43)が背面90a側に突出するようにして上記画像読み書き一体ヘッドXが筐体90内に組み込まれており、原稿用プラテンローラP1 が反時計周り方向に回転して上記筐体90の上面90cにおける前部側から後部側に原稿Dが送られるようになされている。一方、記録紙用プラテンローラP2 が時計方向周りに回転して記録紙Kが原稿Dに排出部位に隣接した部位から排出されるようになれている。
【0071】
さらに、図15に示したように、画像読み取り部が本体92に対して分離可能構成され、画像読み取り部が、いわゆるハンディスキャナHとして構成されたような画像処理装置9についても本願発明を適用可能である。この場合には、たとえばハンディスキャナH内に画像読み書き一体ヘッドXを組み込み、各プラテンローラP1 ,P2 やロール紙Rは、本体92またはハンディスキャナHのいずれに組み込んでもよい。もちろん、上記したいずれの画像処理装置9においても、各図に示された筐体90の底面90dが壁面に沿うようにして起立状に配置される、いわゆる壁掛けタイプとして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の画像読み書き一体ヘッドの一例を表す分解斜視図である。
【図2】上記画像読み書き一体ヘッドの断面図である。
【図3】上記画像読み書き一体ヘッドの変形例の断面図である。
【図4】上記画像読み書き一体ヘッドのその他の変形例の断面図である。
【図5】上記画像読み書き一体ヘッドを組み込んだ本願発明の画像処理装置を一例を表す断面図である。
【図6】上記画像処理装置の要部拡大断面図である。
【図7】上記画像処理装置の要部拡大図である。
【図8】上記画像処理装置の変形例を表す要部拡大断面図である。
【図9】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図10】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図11】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図12】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図13】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図14】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図15】上記画像処理装置における原稿および記録紙の搬送方向の変形例を表す概略断面図である。
【図16】従来の画像読み書き一体ヘッドの一例を表す断面図である。
【符号の説明】
X 画像読み書き一体ヘッド
1 ケース
2 透明カバー
3 光源
4 基板
4a イメージセンサチップ(受光素子)
4b 発熱素子
5 レンズアレイ(光学レンズとしての)
9 画像処理装置
10 上部開口(ケースの)
15 下部開口(ケースの)
42 一側部(基板の)
42 他側部(基板の)
48 フランジ片(基板に取り付けられた)
48a 切欠(フランジ片の)
71,72,73 押圧部材(押圧力調整手段を構成する)
90 筐体
91 開口(筐体の)
92 蓋体(筐体の)
D 原稿
K 記録紙
L 読み取りライン
P1 原稿用プラテンローラ
P2 記録紙用プラテンローラ
p 回転軸(記録用プラテンローラの)
Claims (19)
- 上部および下部にそれぞれ開口が形成されたケースと、このケースの上部開口を塞ぐ長手状の透明カバーと、上記下部開口を塞ぐようにして取り付けられるとともに複数の受光素子および複数の発熱素子のそれぞれが搭載された基板と、を備えており、上記透明カバーに密着させて搬送される読み取り原稿に光源からの光を照射し、原稿からの反射光を上記複数の受光素子において受光する一方、上記複数の発熱素子のうちの適宜の発熱素子を発熱させることによって記録紙に画像を形成する画像読み書き一体ヘッドであって、
上記基板は、幅方向の一側部よりの部位が上記ケースからはみ出すようにして上記ケースの下部に取り付けられており、このはみ出した部位における上面に、上記各発熱素子が長手状に延びるようにして列状に搭載されており、かつ、
上記基板における上記発熱素子の列よりも他側部よりの部位の上面に、複数の受光素子が長手状に延びるようにして列状に搭載されていることを特徴とする、画像読み書き一体ヘッド。 - 上記光源は、上記基板における上記受光素子の列よりも幅方向の他側部よりの部位の上面に搭載されている、請求項1に記載の画像読み書き一体ヘッド。
- 上記透明カバーは、上記基板における幅方向の一側部に向かう方向ほど、上記基板からの距離が大きくなる傾斜状に配置されている、請求項1または2に記載の画像読み書き一体ヘッド。
- 上記ケースにおける上記基板の一側よりの側面は、その上端部が下端部よりも上記基板の他側部に向かう方向側に変移している、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像読み書き一体ヘッド。
- 上記ケース内における上記透明カバーと上記受光素子の列との間には、原稿からの反射光を各受光素子上に集束するための光学レンズが配置されており、この光学レンズは、上記基板の幅方向の他側部に向かう方向側に傾倒した状態で上記ケース内に配置されている、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像読み書き一体ヘッド。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載した画像読み書き一体ヘッドを備えたことを特徴とする、画像処理装置。
- 所定の筐体内に、上記画像読み書き一体ヘッドが組み込まれており、かつ、上記透明カバーに密着させて読み取り原稿を搬送するための原稿用プラテンローラと、上記発熱素子の列に密着させて記録紙を搬送するための記録紙用プラテンローラとをさらに備えている、請求項6に記載の画像処理装置。
- 上記筐体は、この筐体に形成された開口を介して筐体の内部が臨む開放状態と、上記開口が閉塞された閉鎖状態とを選択可能とする開閉自在な蓋体をさらに有している、請求項7に記載の画像処理装置。
- 上記画像読み書き一体ヘッドは、上記筐体に形成された上記開口を介して外部に臨むようにして上記筐体内に組み込まれている、請求項8に記載の画像処理装置。
- 上記画像読み書き一体ヘッドは、その幅方向の一側部または他側部もしくはこれらの近傍を支点として上記筐体に対して相対的に回動可能とすることにより、上記透明カバーが上記原稿用プラテンローラに対して当接する状態と離間する状態とを選択可能とした、請求項6ないし9のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記画像読み書き一体ヘッドは、上記記録紙用プラテンローラの回転軸を支点として回動可能とされている、請求項10に記載の画像処理装置。
- 上記画像読み書き一体ヘッドの一側部よりの部位には、上記記録紙用プラテンローラ側に突出するとともに、上記記録紙用プラテンローラの回転軸側に開放した切欠を有するフランジ片が形成されており、かつ上記切欠内に上記回転軸が遊挿されることにより、上記読み書き一体ヘッドが上記回転軸を支点として回動可能となるように上記筐体内に組み込まれている、請求項11に記載の画像処理装置。
- 上記画像読み書き一体ヘッドは、その幅方向の一側部および/または他側部が上記各プラテンローラに対して相対的に上記画像読み書き一体ヘッドの厚み方向に移動可能とされている、請求項6ないし12のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記原稿用プラテンローラが上記透明カバーを押圧する力および上記記録紙用プラテンローラが上記発熱素子を押圧する力のそれぞれを所望のものとする押圧力調整手段をさらに備える、請求項6ないし13のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記押圧力調整手段は、上記基板を上記各プラテンローラ側に押圧する押圧部材を有している、請求項14に記載の画像処理装置。
- 上記押圧部材は、上記基板の幅方向におけるそれぞれの端部よりの部位を押圧するようにして上記基板の幅方向に2つ配置されている、請求項15に記載の画像処理装置。
- 上記押圧部材は、上記基板における幅方向の両端部にそれぞれ所望の割合で力が作用するように選択された上記基板の所定の部位を押圧するようにして上記基板の幅方向に1つ配置されている、請求項15に記載の画像処理装置。
- 上記押圧部材は、弾性部材によって構成されている、請求項15ないし17のいずれかに記載の画像処理装置。
- 上記画像読み書き一体ヘッドは、上記蓋体に一体的に取り付けられている、請求項8または9に記載の画像処理装置。
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